JPH0414410Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 イ 考案の目的 〔産業上の利用分野〕 本考案は衣服上着の肩部整容に用いられるくる
み肩パツトを得るための芯体に関し、詳しくは、
くるみ用布による芯体くるみが容易良好に行うこ
とができる芯体の提供を目的とするものである。

〔従来の技術〕

スーツ、コート、ブラウス、カーデイガンなど
衣服上着の仕立ての場合、その肩部内面に肩パツ
トを添着して整容することは、通常行なわれてい
る。

この肩パツトは、上着の袖付線から肩線に沿つ
て、着衣時の肩部に適度の緩曲支持面を形成する
ため、フエルト、不織布あるいは合成樹脂スポン
ジなどの柔軟性素材によつて略半円の平面形で、
その弦部中央を最大厚とし、弧状周縁部に向つて
順次薄肉になるような可撓性芯体が用いられ、該
可撓性芯体は上着服地、裏地などの条件を考慮し
て一般に、滑りのよい薄地布で包被したくるみ肩
パツトが広く用いられている。

（考案が解決しようとする課題） 前記の可撓性芯体を芯地布で包被してくるみ肩
パツトを得る作業は、略半円の平面形で肉厚が順
次異なる可撓性芯体を、一枚のくるみ用薄布を折
返して挟んで、全体として適度の湾曲を与えつ
つ、芯体の弧状周縁部でくるみ用薄布折返し縁部
を重合縫着する工程によつて行なわれるが、表裏
表面積が異なる柔軟な芯体に対し、くるみ布を皺
やずれなく包被してミシン縁縫を行うことは熟練
者といえども相当の注意が必要となる。

ロ 考案の構成 〔課題を解決するための手段〕 本考案は肩パツト用の可撓性芯体の中央周面に
熱接着性を付与することにより、前記薄布包被に
よるくるみ肩パツト製造作業の困難性を解決した
ものであり、しかも得られたくるみ肩パツトの性
能耐久性の改善も得られるくるみ肩パツト用芯体
である。

すなわち、本考案は略半円の平面形をなし、そ
の最厚の弦部中央から弧状周縁部に向つて順次薄
肉となつた柔軟弾性を有する可撓性芯体の弦部中
央と弧状周縁部中央を通る芯体周表面に、熱可塑
性合成樹脂系接着剤の帯状薄層を付着形成したこ
とを特徴とするくるみ肩パツト用芯体を要旨とす
るものである。

前記の柔軟弾性を有する可撓性芯体としては、
従来のフエルト、不織布、合成樹脂スポンジなど
あるいはこれを積層接着し、またはニードリング
処理して、所定形状に成形したものであり、これ
らは表面又は表裏両面に平滑薄シートを被着した
ものであつてもよい。

該可撓性芯体の弦部中央、弧状周縁部中央を通
つて芯体周表面に付着形成する熱可塑性合成樹脂
系接着剤の帯状薄層は、くるみ布の接着強度が得
られる限度においてなるべく狭巾であることが望
ましく、通常５〜30mmの巾でればよい。

熱可塑性合成樹脂系接着剤としては、通常の服
仕立て用のアイロン温度によつて熱接着性を生ず
るポリアミド系、ポリエステル系、ポリ塩化ビニ
ル系、エチレン酢酸ビニル系などの接着剤が、素
材条件に応じて適宜選択され、また該接着剤の帯
状薄層は芯体全周にわたつて連続し又は適宜の間
隔を置いて設けられた連続皮膜であつてもよい
が、くるみ布接着面の柔軟風合を得る上から、間
隔を置いた多数の点状分布、平行線状または網目
状とすることが好ましい。

この接着剤薄層の形成手段としては、溶剤溶液
型、熱溶融型の液状塗着、粉末撒布融着などであ
つてもよいが、離型性シートの表面に予め接着剤
薄層を形成しておき、これをテープ状として、ア
イロン掛けにより芯体表面に転着せしめるように
すれば薄層形成が簡単良好にでき、この場合には
くるみ作業時に離型性シートを剥ぎ取り使用でき
るようにすれば接着剤薄層が使用時まで保護でき
るので好ましい。

〔作用〕

本考案のくるみ肩パツト用芯体は、その芯体の
弦部中央、弧状周縁部中央を通る芯体周表面に熱
可塑性合成樹脂系接着剤の帯状薄層を有している
ので、くるみよう薄布の中心線をこれに重ねて、
アイロンにより熱接着し、この安定した接着部分
を軸として、芯材に適度な湾曲を与えつつ、くる
み布に適当な張力を加えて、芯部の弧状周縁とく
るみ布の折返し縁との重ね合せミシン縫合を行う
ことにより、皺、ずれ、つり、そり反りなどの欠
点のない良好なくるみ肩パツトを容易に得ること
ができる。

〔実施例〕

本考案の実施例を図面によつて説明する。

第１図は本考案のくるみ肩パツト用芯体の斜視
図であつて、１は不織布などの繊維シートを積層
接着した略半円の平面形をなした可撓性芯体で、
２はその側面をなす弦部、３は最厚部である弦部
中央、４は薄肉の弧状周縁部、５は弧状周縁部中
央であり、６は可撓性芯体１の弦部中央３と弧状
周縁部中央５を経る芯体周表面に付着形成したポ
リアミド系接着剤の帯状薄層である。

第２図は上記のくるみ肩パツト用芯体の弦部２
側面を示す正面図、第３図はその弦部中央３、弧
状周縁部中央５を含むポリアミド系接着剤の帯状
薄層６形成部分における断面図であり、可撓性芯
体１は全体として上方へ緩凸出するように湾曲し
ている。

上記のくるみ肩パツト用芯体は、通常服裏地に
用いられる滑りのよい薄布例えばポリエステルデ
シンなどのフイラメント薄織物をくるみ布とし、
これをバイアス織目になるように折返して芯体を
挟み込む過程において、アイロン掛けを行つて、
芯体のポリアミド系接着剤の帯状薄層６部分にお
いて両者を接着固定することができるので、その
後の芯体弧状周縁部４とその両面にあるくるみ布
とのミシン縫着時におけるクルミ布の展張調節が
安定容易に行うことができ、したがつて、皺、つ
れ、ゆるみなどのない平滑なくるみ布面を有する
良好なくるみ肩パツトを製造することができる。

第４図は上記のようにして得られたくるみ肩パ
ツトの平面図であつて、１０はくるみ布であり、
１６は芯体１の中央周面に設けた接着剤の帯状薄
層による芯体１とくるみ布１０との接着固定部
分、一点鎖線１４は芯体弧状周縁部４とくるみ布
１０とのミシン縫合線、１５はくるみ布１０の折
返し重合端縁のほつれ止め用の縁かがりミシン縫
目であり、これはパイピング仕立てにしてもよ
い。

このくるみ肩パツトは芯体１の中央周面部分で
くるみ布が接着固定された比較的寸法安定性のあ
る部分の両端において、衣服上着の袖付線と肩線
にそれぞれ縫着されるので、上着肩線の安定保持
性が得られ、またくるみ肩パツト全体として柔軟
弾性、可撓性を維持しつつ、芯体の移動、変形が
抑止され、耐久性な整容効果を得ることができ
る。

ハ 考案の効果 本考案のくるみ肩パツト芯体は前記の構成、作
用の下にくるみ布による包被締着が容易良好に行
うことができ、品質の優れたくるみ肩パツトを特
に熟練作業者を要せずに能率的に製造することが
でき、また特に婦人用上着における薄手服地の場
合において、服地色彩、組織に応じて適当なくる
み布を選択してくるみ肩パツトを得る場合におい
ての仕立縫成作業の能率向上が得られるなど優れ
た実用上の効果を奏するものである。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案の実施例を示すもので、第１図は
斜視図、第２図は弦部側面の正面図、第３図は断
面図、第４図は本案の芯体を用いたくるみ肩パツ
トの平面図である。 １……可撓性芯体、２……弦部、３……弦部中
央、４……弧状周縁部、５……弧状周縁部中央、
６……帯状薄層、１０……くるみ布、１４……ミ
シン縫合線、１５……縁かがりミシン目、１６…
…接着固定部分。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 １ 略半円の平面形をなし、その最厚の弦部中央
   ３から弧状周縁部４に向つて順次薄肉となつた
   柔軟弾性を有する可撓性芯体１の弦部中央３と
   弧状周縁部中央５を通る芯体１の周表面に、熱
   可塑性合成樹脂系接着剤の帯状薄層６を付着形
   成したことを特徴とするくるみ肩パツト用芯
   体。 ２ 熱可塑性合成樹脂系接着剤の帯状薄層６が、
   点状、線状、編目状をなす接着剤分布によつて
   形成されたものである請求項１記載のくるみ肩
   パツト用芯体。 ３ 熱可塑性合成樹脂系接着剤の帯状薄層６の表
   面を覆つて離型性シートが付着している請求項
   １または２記載のくるみ肩パツト用芯体。