JPH08157929A - 製鋼用ア−ク炉及びその操業方法 - Google Patents
製鋼用ア−ク炉及びその操業方法Info
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- JPH08157929A JPH08157929A JP30089094A JP30089094A JPH08157929A JP H08157929 A JPH08157929 A JP H08157929A JP 30089094 A JP30089094 A JP 30089094A JP 30089094 A JP30089094 A JP 30089094A JP H08157929 A JPH08157929 A JP H08157929A
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- Refinement Of Pig-Iron, Manufacture Of Cast Iron, And Steel Manufacture Other Than In Revolving Furnaces (AREA)
Abstract
(57)【要約】
【構成】 製鋼用ア−ク炉において、炉内に挿入して酸
素ガスもしくは酸素含有ガスを単独で又は燃料ガスと共
に噴射可能なバーナーランスを、炉の高さ方向ヘ移動可
能に1本以上設けたことを特徴とする製鋼用ア−ク炉。 【効果】 バーナーランスは、燃料ガス、酸素ガス等を
同時に噴射可能な、多機能ランスであるため、電気炉操
業の溶解期から精錬期にわたって、アーク加熱を行いつ
つ、スクラップの加熱のための火炎噴射、酸化溶断のた
めの酸素ガス噴射及び二次燃焼のための酸素ガスの噴
射、また、炭材や精錬材の供給を1本のバーナーランス
で行うことができるから、止電や上部電極の引き上げや
ランスの交換が不要になり、より短期間での溶解操業が
可能になり、簡易な操業でスクラップの高速溶解精錬が
達成される。
素ガスもしくは酸素含有ガスを単独で又は燃料ガスと共
に噴射可能なバーナーランスを、炉の高さ方向ヘ移動可
能に1本以上設けたことを特徴とする製鋼用ア−ク炉。 【効果】 バーナーランスは、燃料ガス、酸素ガス等を
同時に噴射可能な、多機能ランスであるため、電気炉操
業の溶解期から精錬期にわたって、アーク加熱を行いつ
つ、スクラップの加熱のための火炎噴射、酸化溶断のた
めの酸素ガス噴射及び二次燃焼のための酸素ガスの噴
射、また、炭材や精錬材の供給を1本のバーナーランス
で行うことができるから、止電や上部電極の引き上げや
ランスの交換が不要になり、より短期間での溶解操業が
可能になり、簡易な操業でスクラップの高速溶解精錬が
達成される。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、スクラップを高速に
溶解して精錬期間の短縮化を図ることのできるア−ク炉
及びその操業方法を提案しようとするものである。
溶解して精錬期間の短縮化を図ることのできるア−ク炉
及びその操業方法を提案しようとするものである。
【0002】
【従来の技術】一般にア−ク炉を用いて、スクラップや
還元鉄などの固体原料を溶解して、溶銑や溶鋼などの溶
融原料と共に精錬を行う際に重要なことは、溶解時間及
び電力原単位を極力少なくすることである。かかる要請
に応えるために、スクラップの溶解、溶鋼の昇温の際に
は、電気エネルギ−に加えて、酸化反応による熱を利用
する方法が広く普及している。
還元鉄などの固体原料を溶解して、溶銑や溶鋼などの溶
融原料と共に精錬を行う際に重要なことは、溶解時間及
び電力原単位を極力少なくすることである。かかる要請
に応えるために、スクラップの溶解、溶鋼の昇温の際に
は、電気エネルギ−に加えて、酸化反応による熱を利用
する方法が広く普及している。
【0003】具体的には、LPGや灯油等の燃料を用い
た助燃バ−ナ−を炉壁や排滓孔に設置してその燃焼熱に
よりスクラップの加熱、溶解を促進する方法、また主に
排滓孔から消耗式ランスパイプや水冷ランスを用いて加
炭剤及び酸素を供給し、炭素や溶鋼の酸化反応熱を利用
する、いわゆる酸素富化操業方法が挙げられる。さら
に、直流ア−ク炉においては、交流ア−ク炉に比較して
ア−ク長が長くなるため、加炭剤及び酸素の供給により
スラグをフォ−ミングさせ、スラグでア−クを覆うこと
によってア−クエネルギ−の鋼浴への着熱効率を高め
る、いわゆるスラグフォ−ミング操業が行われている
(以上、日本鉄鋼協会編『最近のア−ク炉製鋼法の進歩
(第3版)』 p.51,(1993))。
た助燃バ−ナ−を炉壁や排滓孔に設置してその燃焼熱に
よりスクラップの加熱、溶解を促進する方法、また主に
排滓孔から消耗式ランスパイプや水冷ランスを用いて加
炭剤及び酸素を供給し、炭素や溶鋼の酸化反応熱を利用
する、いわゆる酸素富化操業方法が挙げられる。さら
に、直流ア−ク炉においては、交流ア−ク炉に比較して
ア−ク長が長くなるため、加炭剤及び酸素の供給により
スラグをフォ−ミングさせ、スラグでア−クを覆うこと
によってア−クエネルギ−の鋼浴への着熱効率を高め
る、いわゆるスラグフォ−ミング操業が行われている
(以上、日本鉄鋼協会編『最近のア−ク炉製鋼法の進歩
(第3版)』 p.51,(1993))。
【0004】ところで、アーク炉の操業に際し、加炭剤
を供給したり、原料の一部として溶銑を使用した場合に
は、炉内より多量のCOガスが発生する。一般のア−ク
炉においては、かかるCOガスを排気ダクトから炉外に
設置した燃焼塔内へ導き、空気と混合させてCO2 にま
で酸化させた後、屋外に放出している。この燃焼塔内に
おけるCOからCO2 へのいわゆる2次燃焼反応は、発
熱反応であるから、この熱をいたずらに屋外へ放出する
ことなく、効率的にスクラップへ着熱させることが可能
となれば、さらなる溶解時間の短縮と電力原単位の低減
が期待できる。
を供給したり、原料の一部として溶銑を使用した場合に
は、炉内より多量のCOガスが発生する。一般のア−ク
炉においては、かかるCOガスを排気ダクトから炉外に
設置した燃焼塔内へ導き、空気と混合させてCO2 にま
で酸化させた後、屋外に放出している。この燃焼塔内に
おけるCOからCO2 へのいわゆる2次燃焼反応は、発
熱反応であるから、この熱をいたずらに屋外へ放出する
ことなく、効率的にスクラップへ着熱させることが可能
となれば、さらなる溶解時間の短縮と電力原単位の低減
が期待できる。
【0005】このような着想に基づいて、COガスの2
次燃焼反応による熱をスクラップの溶解に利用する方法
は既に幾つか提案されている。例えば、特開昭62−3
7309号公報には、ア−クによってスクラップ中にボ
−リング孔を形成した後、湯溜まり部溶湯中に炭材及び
酸素含有気体を吹き込んで、2次燃焼反応を生じさせる
技術が開示されている。
次燃焼反応による熱をスクラップの溶解に利用する方法
は既に幾つか提案されている。例えば、特開昭62−3
7309号公報には、ア−クによってスクラップ中にボ
−リング孔を形成した後、湯溜まり部溶湯中に炭材及び
酸素含有気体を吹き込んで、2次燃焼反応を生じさせる
技術が開示されている。
【0006】また、特公平1−20208号公報には、
炭素質材料をキャリアガスの流れにのせて溶鋼及び(又
は)溶融スラグ中に吹き込むこと、及び酸素を炉内の空
間及び(又は)溶融スラグ中に吹き込んで、炭素質材料
の吹き込みにより発生したCOの少なくとも一部をCO
2 に酸化する、2次燃焼反応を生じさせることを骨子と
する技術が開示されている。
炭素質材料をキャリアガスの流れにのせて溶鋼及び(又
は)溶融スラグ中に吹き込むこと、及び酸素を炉内の空
間及び(又は)溶融スラグ中に吹き込んで、炭素質材料
の吹き込みにより発生したCOの少なくとも一部をCO
2 に酸化する、2次燃焼反応を生じさせることを骨子と
する技術が開示されている。
【0007】さらに、特公平1−37449号公報に
は、炉の上部に固定配置された吹込み装置から酸素含有
ガスを電極ピッチ円の接線方向下方に向け吹き込み、中
空電極孔から供給された燃料と反応させ、その際に生ず
る強力なガス流によって、COガスの2次燃焼反応を生
じさせる技術が開示されている。
は、炉の上部に固定配置された吹込み装置から酸素含有
ガスを電極ピッチ円の接線方向下方に向け吹き込み、中
空電極孔から供給された燃料と反応させ、その際に生ず
る強力なガス流によって、COガスの2次燃焼反応を生
じさせる技術が開示されている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら上述した
技術には、次のような問題が残されていた。まず特開昭
62−37309号公報に記載の方法は、電力エネルギ
−の低減には効果があるけれども、ボ−リング孔を形成
した後の加炭剤と酸素の吹き込みは、電極がボーリング
孔に挿入されており、スペースがないとともに、仮に酸
素を吹込めば電極の酸化損耗が著しいという理由から一
旦止電して上部電極を上昇させてから行わねばならず、
この点で溶解時間の短縮は不可能であった。
技術には、次のような問題が残されていた。まず特開昭
62−37309号公報に記載の方法は、電力エネルギ
−の低減には効果があるけれども、ボ−リング孔を形成
した後の加炭剤と酸素の吹き込みは、電極がボーリング
孔に挿入されており、スペースがないとともに、仮に酸
素を吹込めば電極の酸化損耗が著しいという理由から一
旦止電して上部電極を上昇させてから行わねばならず、
この点で溶解時間の短縮は不可能であった。
【0009】また、特公平1−20208号公報や特公
平1−37449号公報に記載の方法では、スクラップ
中にボ−リング孔を形成させることがないため、スクラ
ップ溶解時に酸素含有ガスとCOとを2次燃焼させたと
しても、この燃焼による熱をスクラップ中に有効に熱伝
達させることが難く、結果として効率の悪いものであっ
た。すなわち、ア−ク炉の多くは炉壁を水冷パネルとし
ているため、これらの方法では発生した2次燃焼熱の大
部分が炉壁へ放散されるためにスクラップへの着熱効率
が悪いという問題点があったのである。
平1−37449号公報に記載の方法では、スクラップ
中にボ−リング孔を形成させることがないため、スクラ
ップ溶解時に酸素含有ガスとCOとを2次燃焼させたと
しても、この燃焼による熱をスクラップ中に有効に熱伝
達させることが難く、結果として効率の悪いものであっ
た。すなわち、ア−ク炉の多くは炉壁を水冷パネルとし
ているため、これらの方法では発生した2次燃焼熱の大
部分が炉壁へ放散されるためにスクラップへの着熱効率
が悪いという問題点があったのである。
【0010】この発明は、上記の問題点を有利に解決す
るもので、操業中に一旦止電することなく、2次燃焼熱
のスクラップへの着熱効率を向上させてスクラップの高
速溶解及び精錬を行うことかでき、ひいては、精錬時間
の短縮化及び電力原単位の低減を行うことのできる製鋼
用ア−ク炉及びその操業方法を提案することを目的とす
る。
るもので、操業中に一旦止電することなく、2次燃焼熱
のスクラップへの着熱効率を向上させてスクラップの高
速溶解及び精錬を行うことかでき、ひいては、精錬時間
の短縮化及び電力原単位の低減を行うことのできる製鋼
用ア−ク炉及びその操業方法を提案することを目的とす
る。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するこ
の発明の製鋼用アーク炉及びその操業方法の要旨構成
は、次のとおりである。製鋼用ア−ク炉において、炉内
に挿入して酸素ガスもしくは酸素含有ガスを単独で又は
燃料ガスと共に噴射可能なバーナーランスを、炉の高さ
方向ヘ移動可能に1本以上設けたことを特徴とする製鋼
用ア−ク炉(第1発明)。
の発明の製鋼用アーク炉及びその操業方法の要旨構成
は、次のとおりである。製鋼用ア−ク炉において、炉内
に挿入して酸素ガスもしくは酸素含有ガスを単独で又は
燃料ガスと共に噴射可能なバーナーランスを、炉の高さ
方向ヘ移動可能に1本以上設けたことを特徴とする製鋼
用ア−ク炉(第1発明)。
【0012】第1発明の製鋼用アーク炉にて製鋼操業を
する方法であって、炉内に装入した固体原料をアークに
より溶解する際、バーナーランスから酸素ガスもしくは
酸素含有ガス及び燃料ガスを共に噴射してその火炎によ
り上記固体原料の表面を酸化溶融が可能な温度にまで加
熱し、次いでバーナーランスから酸素ガスもしくは酸素
含有ガスを、単独で又は燃料ガスと同時にかつこの燃料
ガスを燃焼させるのに必要な流量よりも過剰な流量に
て、固体原料に向け噴射することによって、酸化溶解に
より前記装入した固体原料中にボ−リング孔を形成する
とともに、このボ−リング孔内にてCOガスとの2次燃
焼反応をさせることを特徴とする製鋼用ア−ク炉の操業
方法(第2発明)。
する方法であって、炉内に装入した固体原料をアークに
より溶解する際、バーナーランスから酸素ガスもしくは
酸素含有ガス及び燃料ガスを共に噴射してその火炎によ
り上記固体原料の表面を酸化溶融が可能な温度にまで加
熱し、次いでバーナーランスから酸素ガスもしくは酸素
含有ガスを、単独で又は燃料ガスと同時にかつこの燃料
ガスを燃焼させるのに必要な流量よりも過剰な流量に
て、固体原料に向け噴射することによって、酸化溶解に
より前記装入した固体原料中にボ−リング孔を形成する
とともに、このボ−リング孔内にてCOガスとの2次燃
焼反応をさせることを特徴とする製鋼用ア−ク炉の操業
方法(第2発明)。
【0013】第1発明の製鋼用アーク炉にて製鋼操業を
する方法であって、溶解期後半から精錬期において、バ
−ナ−ランスから酸素ガスもしくは酸素含有ガスを鋼浴
面に向けて噴射して、脱炭及び鋼中不純物の酸化除去を
することを特徴とする製鋼用ア−ク炉の操業方法(第3
発明)。
する方法であって、溶解期後半から精錬期において、バ
−ナ−ランスから酸素ガスもしくは酸素含有ガスを鋼浴
面に向けて噴射して、脱炭及び鋼中不純物の酸化除去を
することを特徴とする製鋼用ア−ク炉の操業方法(第3
発明)。
【0014】第3発明の方法において、酸素ガスもしく
は酸素含有ガスの噴射を、鋼浴面での線速度を低くして
行うことを特徴とする製鋼用ア−ク炉の操業方法(第4
発明)。
は酸素含有ガスの噴射を、鋼浴面での線速度を低くして
行うことを特徴とする製鋼用ア−ク炉の操業方法(第4
発明)。
【0015】第1発明の製鋼用ア−ク炉において、バ−
ナ−ランスが、さらに炭材、精錬材も同時に噴射可能な
ものであることを特徴とする製鋼用ア−ク炉(第5発
明)。
ナ−ランスが、さらに炭材、精錬材も同時に噴射可能な
ものであることを特徴とする製鋼用ア−ク炉(第5発
明)。
【0016】第2〜第4発明の方法において、バ−ナ−
ランスからのガス噴射を行いつつ、炉内への炭材の供給
を一定期間行うことを特徴とする製鋼用ア−ク炉の操業
方法(第6発明)。
ランスからのガス噴射を行いつつ、炉内への炭材の供給
を一定期間行うことを特徴とする製鋼用ア−ク炉の操業
方法(第6発明)。
【0017】
【作用】さて、COガスの2次燃焼によりスクラップへ
の着熱効率を高めるためには、酸素ガス又は酸素含有ガ
スを、スクラップ中へできる限り密に供給し、このスク
ラップ内で2次燃焼反応を生じさせることが重要であ
る。これを達成すべくこの発明では、酸素ガスもしくは
酸素含有ガスを単独で又は燃料ガスと共に噴射可能なバ
ーナーランスを配設したアーク炉を新たに開発したので
ある。
の着熱効率を高めるためには、酸素ガス又は酸素含有ガ
スを、スクラップ中へできる限り密に供給し、このスク
ラップ内で2次燃焼反応を生じさせることが重要であ
る。これを達成すべくこの発明では、酸素ガスもしくは
酸素含有ガスを単独で又は燃料ガスと共に噴射可能なバ
ーナーランスを配設したアーク炉を新たに開発したので
ある。
【0018】この発明に従う製鋼用アーク炉の一例を図
1に要部の平面図(同図(a) )及び部分断面図(同図
(b))で示す。図1の製鋼用アーク炉は、直流アーク炉
であり、炉上部には、上部電極1がアーム2により支持
され、上蓋3を通して昇降可能に炉内へ垂下される(昇
降手段及び給電手段は略す)。上蓋3は、排気口4を有
し、懸架ビーム5より支持されて開閉可能となってい
る。炉底には、炉底出鋼のための出鋼孔6をそなえ、ま
た、数個の下部電極7を配置して、上部電極1との間に
アーク8を発生させてスクラップ9を溶解する。必要に
応じて炉壁に設けた排滓口10から、コークス粉等の炭材
を消耗式ランスパイプ11等により供給して、スラグフォ
ーミングやCOガスの発生を図る。このような製鋼炉に
おいて、バーナーランス12を、炉の高さ方向ヘ移動可能
に1本以上(図1では2本)設け、炉内ヘ挿入して火炎
や酸素ガス13等を噴射するようにしたことがこの発明の
特徴である。
1に要部の平面図(同図(a) )及び部分断面図(同図
(b))で示す。図1の製鋼用アーク炉は、直流アーク炉
であり、炉上部には、上部電極1がアーム2により支持
され、上蓋3を通して昇降可能に炉内へ垂下される(昇
降手段及び給電手段は略す)。上蓋3は、排気口4を有
し、懸架ビーム5より支持されて開閉可能となってい
る。炉底には、炉底出鋼のための出鋼孔6をそなえ、ま
た、数個の下部電極7を配置して、上部電極1との間に
アーク8を発生させてスクラップ9を溶解する。必要に
応じて炉壁に設けた排滓口10から、コークス粉等の炭材
を消耗式ランスパイプ11等により供給して、スラグフォ
ーミングやCOガスの発生を図る。このような製鋼炉に
おいて、バーナーランス12を、炉の高さ方向ヘ移動可能
に1本以上(図1では2本)設け、炉内ヘ挿入して火炎
や酸素ガス13等を噴射するようにしたことがこの発明の
特徴である。
【0019】そして、このようなバーナーランスを用い
るアーク炉の操業にあっては、アーク加熱を行いなが
ら、まず、酸素ガスもしくは酸素含有ガスと燃料ガスと
を同時にスクラップに向けて噴射し、その燃焼炎により
スクラップの表面を酸化溶融が可能な温度にまで加熱す
る。次いで同一バーナーランスからの噴射ガスを変化さ
せて、実質的な酸化性ガス(酸素ガスもしくは酸素含有
ガスを、単独で又は燃料ガスと同時にかつこの燃料ガス
を燃焼させるのに必要な流量よりも過剰な流量で噴射す
るガス)を噴射することにより、スクラップを酸化溶断
してボ−リング孔を形成する。このボーリング孔中でC
Oガスと、バーナーランスからの実質的な酸化性ガスと
の2次燃焼反応を生じさせることにより高い着熱効率が
得られるのである。
るアーク炉の操業にあっては、アーク加熱を行いなが
ら、まず、酸素ガスもしくは酸素含有ガスと燃料ガスと
を同時にスクラップに向けて噴射し、その燃焼炎により
スクラップの表面を酸化溶融が可能な温度にまで加熱す
る。次いで同一バーナーランスからの噴射ガスを変化さ
せて、実質的な酸化性ガス(酸素ガスもしくは酸素含有
ガスを、単独で又は燃料ガスと同時にかつこの燃料ガス
を燃焼させるのに必要な流量よりも過剰な流量で噴射す
るガス)を噴射することにより、スクラップを酸化溶断
してボ−リング孔を形成する。このボーリング孔中でC
Oガスと、バーナーランスからの実質的な酸化性ガスと
の2次燃焼反応を生じさせることにより高い着熱効率が
得られるのである。
【0020】しかも該バ−ナ−ランスは、設置位置が最
大スクラップ装入高さより上方、例えば炉蓋から炉内へ
垂下させてなり、しかも高さ方向に移動可能であるた
め、任意にランス高さを設定、変更できる。このため、
図2に示す従来の製鋼用アーク炉のように炉壁や排滓口
10等の固定位置から助燃や溶断のためのガスをランスパ
イプ11などから噴射する場合に比較して、炉の中央部に
まで溶断や二次燃焼のための酸素又は酸素含有ガスを供
給することが可能となる。かくして、スクラップの溶解
段階に依らず常に高い着熱効率を維持しつつ操業でき
る。
大スクラップ装入高さより上方、例えば炉蓋から炉内へ
垂下させてなり、しかも高さ方向に移動可能であるた
め、任意にランス高さを設定、変更できる。このため、
図2に示す従来の製鋼用アーク炉のように炉壁や排滓口
10等の固定位置から助燃や溶断のためのガスをランスパ
イプ11などから噴射する場合に比較して、炉の中央部に
まで溶断や二次燃焼のための酸素又は酸素含有ガスを供
給することが可能となる。かくして、スクラップの溶解
段階に依らず常に高い着熱効率を維持しつつ操業でき
る。
【0021】バーナーランスを支持して高さ方向へ移動
可能にするための昇降装置の一例を図3に平面図(同図
(a) )及び部分断面図(同図 (b))で示す。図3の昇降
装置は、次の構成になる。すなわち、上蓋懸架ビーム5
上にランス支持架構14を配設し、このランス支持架構14
にガイドレール15を垂直方向に取付けて、このガイドレ
ール15に、ランス12を保持するランスサポート16を移動
可能に組み合わせる。このランスサポート16には、駆動
装置(図3では電動チェーンブロック)17が接続され
て、駆動装置17の動作によってランス12を保持するラン
スサポート16がガイドレール15に沿って昇降するのであ
る。
可能にするための昇降装置の一例を図3に平面図(同図
(a) )及び部分断面図(同図 (b))で示す。図3の昇降
装置は、次の構成になる。すなわち、上蓋懸架ビーム5
上にランス支持架構14を配設し、このランス支持架構14
にガイドレール15を垂直方向に取付けて、このガイドレ
ール15に、ランス12を保持するランスサポート16を移動
可能に組み合わせる。このランスサポート16には、駆動
装置(図3では電動チェーンブロック)17が接続され
て、駆動装置17の動作によってランス12を保持するラン
スサポート16がガイドレール15に沿って昇降するのであ
る。
【0022】次に、電気炉操業において、溶解期の後半
から精錬期にかけては、目標よりも多量のCや、P等の
溶鋼中不純物の酸化除去及びスラグフォ−ミングを伴っ
た昇温が必要となる。その際においてもこの発明では、
酸素供給のための装置を別途準備することなく、二次燃
焼等のために用いた同一のランスで継続的に操業を行う
ことができる。具体的には、スクラップ溶解の完了時に
目標成分に対して溶鋼中の炭素濃度が高く、脱炭を要す
る場合には、転炉の場合の吹錬末期と同様に、バーナー
ランスのランス高さを低くして酸素を噴射し、溶鋼の攪
拌を強化、有価成分のロスなく優先脱炭を指向する。一
方、溶鋼中の炭素濃度が低い場合には、ランス高さを高
くして酸素を噴射し、スラグ中の鉄酸化物濃度を上昇さ
せるのである。
から精錬期にかけては、目標よりも多量のCや、P等の
溶鋼中不純物の酸化除去及びスラグフォ−ミングを伴っ
た昇温が必要となる。その際においてもこの発明では、
酸素供給のための装置を別途準備することなく、二次燃
焼等のために用いた同一のランスで継続的に操業を行う
ことができる。具体的には、スクラップ溶解の完了時に
目標成分に対して溶鋼中の炭素濃度が高く、脱炭を要す
る場合には、転炉の場合の吹錬末期と同様に、バーナー
ランスのランス高さを低くして酸素を噴射し、溶鋼の攪
拌を強化、有価成分のロスなく優先脱炭を指向する。一
方、溶鋼中の炭素濃度が低い場合には、ランス高さを高
くして酸素を噴射し、スラグ中の鉄酸化物濃度を上昇さ
せるのである。
【0023】また、このような溶鋼中不純物の酸化除去
及びスラグフォ−ミングを伴った昇温の際は、酸素ガス
もしくは酸素含有ガスの噴射を、鋼浴面での線速度を低
くして行うことがより好ましい。というのは、鋼浴面で
の線速度が低くなるように噴射することにより、スラグ
フォーミングが促進され、残スクラップの溶解及び溶鋼
温度の上昇を図ることができるからである。加えて、ス
ラグへの炭材供給を行えば、スラグフォ−ミングがより
一層促進されてア−クがスラグで覆われるため、昇温効
率が向上する。
及びスラグフォ−ミングを伴った昇温の際は、酸素ガス
もしくは酸素含有ガスの噴射を、鋼浴面での線速度を低
くして行うことがより好ましい。というのは、鋼浴面で
の線速度が低くなるように噴射することにより、スラグ
フォーミングが促進され、残スクラップの溶解及び溶鋼
温度の上昇を図ることができるからである。加えて、ス
ラグへの炭材供給を行えば、スラグフォ−ミングがより
一層促進されてア−クがスラグで覆われるため、昇温効
率が向上する。
【0024】このように、この発明において提案したバ
ーナーランスは、燃料ガス、酸素ガス、さらには次に述
べるように、必要に応じて炭材や精錬材をも同時に噴射
可能な、多機能ランスであるため、電気炉操業の溶解期
から精錬期にわたって、アーク加熱を行いつつ、スクラ
ップの加熱のための火炎噴射、酸化溶断のための酸素ガ
ス噴射及び二次燃焼のための酸素ガスの噴射、また、炭
材や精錬材の供給を1本のバーナーランスで行うことが
できるから、止電や上部電極の引き上げやランスの交換
が不要になり、より短期間での溶解操業が可能になり、
簡易な操業でスクラップの高速溶解精錬が達成されるの
である。
ーナーランスは、燃料ガス、酸素ガス、さらには次に述
べるように、必要に応じて炭材や精錬材をも同時に噴射
可能な、多機能ランスであるため、電気炉操業の溶解期
から精錬期にわたって、アーク加熱を行いつつ、スクラ
ップの加熱のための火炎噴射、酸化溶断のための酸素ガ
ス噴射及び二次燃焼のための酸素ガスの噴射、また、炭
材や精錬材の供給を1本のバーナーランスで行うことが
できるから、止電や上部電極の引き上げやランスの交換
が不要になり、より短期間での溶解操業が可能になり、
簡易な操業でスクラップの高速溶解精錬が達成されるの
である。
【0025】次に、この発明のバーナーランスのより好
ましい態様は、炭材、精錬材も同時に噴射可能なもので
あることである。その具体的手段の一つを図4を用いて
説明する。同図は、バーナーランスに接続する配管を模
式的に示したものであり、燃料ガス(例えばLPG)配
管18、酸素ガスもしくは酸素含有ガスの配管19及び冷却
水の配管20,21が、バーナーランス12に接続されてい
る。これらの配管においては、炉の傾動及びバーナーラ
ンス12の昇降に追従できるように、途中に可撓性配管を
用いている。そして、燃料ガス配管18は、バーナーラン
スへ向かう間に、粉炭ディスペンサ22からの配管23と接
続しているので、バルブの調整により粉炭のみで又は粉
炭と燃料ガスを混合してバーナーランスへ供給すること
ができるようになっている。図示はしていないが、精錬
材の場合も同様に、バーナーランスへ向かう配管に接続
することで同時供給が可能である。なお、図4中、番号
24は電極支腕、25は電極支柱である。
ましい態様は、炭材、精錬材も同時に噴射可能なもので
あることである。その具体的手段の一つを図4を用いて
説明する。同図は、バーナーランスに接続する配管を模
式的に示したものであり、燃料ガス(例えばLPG)配
管18、酸素ガスもしくは酸素含有ガスの配管19及び冷却
水の配管20,21が、バーナーランス12に接続されてい
る。これらの配管においては、炉の傾動及びバーナーラ
ンス12の昇降に追従できるように、途中に可撓性配管を
用いている。そして、燃料ガス配管18は、バーナーラン
スへ向かう間に、粉炭ディスペンサ22からの配管23と接
続しているので、バルブの調整により粉炭のみで又は粉
炭と燃料ガスを混合してバーナーランスへ供給すること
ができるようになっている。図示はしていないが、精錬
材の場合も同様に、バーナーランスへ向かう配管に接続
することで同時供給が可能である。なお、図4中、番号
24は電極支腕、25は電極支柱である。
【0026】かくして、この発明の電気アーク炉の操業
方法においては、炭材を、バーナーランスからまた除滓
口から供給することにより、溶解期にあってはCOを発
生させるための炭素源となったり、また、溶解期の後半
から精錬期にかけては、スラグフォーミングの促進を図
ったりすることができる。
方法においては、炭材を、バーナーランスからまた除滓
口から供給することにより、溶解期にあってはCOを発
生させるための炭素源となったり、また、溶解期の後半
から精錬期にかけては、スラグフォーミングの促進を図
ったりすることができる。
【0027】以上、この発明の製鋼用アーク炉を直流ア
ーク炉に基づいて説明したが、この発明では、直流アー
ク炉に限らず、例えば3相交流アーク炉に適用すること
もできる。ただし、交流アーク炉では炉上方の電極数が
増えるので、バーナーランスを配置する領域を確保する
観点からは、直流アーク炉が有利である。
ーク炉に基づいて説明したが、この発明では、直流アー
ク炉に限らず、例えば3相交流アーク炉に適用すること
もできる。ただし、交流アーク炉では炉上方の電極数が
増えるので、バーナーランスを配置する領域を確保する
観点からは、直流アーク炉が有利である。
【0028】
【実施例】図1に示す直流アーク炉(100 t)を用い
て、製鋼操業を行った。炉蓋に2本を設置したバーナー
ランスは、図5にこのバーナーランス先端部の縦断面図
及び横断面図を示すように、4孔ランスであり、中心孔
より純酸素、外周孔よりバ−ナ−炎もしくは純酸素を噴
射するようになっている。4孔のうち3孔は、第1図の
矢印の方向へ15°偏向させることによって、供給した酸
素が排気孔へ直接吸引されたり、電極へアタックするこ
とをを回避している。
て、製鋼操業を行った。炉蓋に2本を設置したバーナー
ランスは、図5にこのバーナーランス先端部の縦断面図
及び横断面図を示すように、4孔ランスであり、中心孔
より純酸素、外周孔よりバ−ナ−炎もしくは純酸素を噴
射するようになっている。4孔のうち3孔は、第1図の
矢印の方向へ15°偏向させることによって、供給した酸
素が排気孔へ直接吸引されたり、電極へアタックするこ
とをを回避している。
【0029】かかる構成により、バーナーランスはそれ
ぞれバ−ナ−モ−ド時に最大3MW(燃料LPG)の熱
量、送酸モ−ド時に最大60Nm3/min の酸素が供給可能で
あり、2本のランスで合計6MW、120 Nm3/min の熱及び
酸素が供給される。原料にはスクラップ70t、溶銑30
t、溶鋼ホットヒ−ル10tを用いた。図6に、以下に述
べる実施例1,2及び従来例の操業パターンを示す。
ぞれバ−ナ−モ−ド時に最大3MW(燃料LPG)の熱
量、送酸モ−ド時に最大60Nm3/min の酸素が供給可能で
あり、2本のランスで合計6MW、120 Nm3/min の熱及び
酸素が供給される。原料にはスクラップ70t、溶銑30
t、溶鋼ホットヒ−ル10tを用いた。図6に、以下に述
べる実施例1,2及び従来例の操業パターンを示す。
【0030】(実施例1)まず、スクラップ70tを装
入して5分間の通電を行った。この間、2本のランスは
バ−ナ−モ−ドとして、スクラップ直上でバ−ナ−炎を
噴射してスクラップの表面を加熱する。この後、いった
ん通電を停止し、溶銑30tを追加装入した後、再び通電
を開始する。投入電力は50MVA である。再通電開始より
2分間、さらにバ−ナ−炎でスクラップの表面を加熱し
た後、2本のランスを送酸モ−ドに切替え、合計120 Nm
3/min の酸素を噴射してスクラップを酸化溶断した。
入して5分間の通電を行った。この間、2本のランスは
バ−ナ−モ−ドとして、スクラップ直上でバ−ナ−炎を
噴射してスクラップの表面を加熱する。この後、いった
ん通電を停止し、溶銑30tを追加装入した後、再び通電
を開始する。投入電力は50MVA である。再通電開始より
2分間、さらにバ−ナ−炎でスクラップの表面を加熱し
た後、2本のランスを送酸モ−ドに切替え、合計120 Nm
3/min の酸素を噴射してスクラップを酸化溶断した。
【0031】この状態で8分間送酸を継続したところ、
スクラップに目視観察で直径1m,深さ1.5 m程度のボ
−リング孔が形成されたので、送酸速度を低下させた合
計100 Nm3/min のソフトブロ−にて、ボ−リング孔にバ
ーナーランスから酸素を供給して、溶銑中のCの脱炭反
応によって生成するCOガスを2次燃焼させた。この
間、スクラップの溶解、崩落に従ってランス高さを2m
まで徐々に低下させながら9分間送酸を継続した。ま
た、この時期の後半6分間は排滓口よりコ−クス粉を50
kg/minの速度で吹き込んでCOガスの発生を促進させ
た。結局、初期通電開始から29分でスクラップの溶解
が完了した。
スクラップに目視観察で直径1m,深さ1.5 m程度のボ
−リング孔が形成されたので、送酸速度を低下させた合
計100 Nm3/min のソフトブロ−にて、ボ−リング孔にバ
ーナーランスから酸素を供給して、溶銑中のCの脱炭反
応によって生成するCOガスを2次燃焼させた。この
間、スクラップの溶解、崩落に従ってランス高さを2m
まで徐々に低下させながら9分間送酸を継続した。ま
た、この時期の後半6分間は排滓口よりコ−クス粉を50
kg/minの速度で吹き込んでCOガスの発生を促進させ
た。結局、初期通電開始から29分でスクラップの溶解
が完了した。
【0032】この時点で溶鋼のサンプリングを行ったと
ころ、溶鋼中の炭素濃度は0.52wt%であったため、通電
を継続しつつ2本のランスを湯面より1.5 mの高さまで
低下させ、合計120 Nm3/min の酸素を供給して脱炭精錬
及び昇温を行った。最終的に初期通電開始から37min で
脱炭及び昇温を終了し、出鋼した。
ころ、溶鋼中の炭素濃度は0.52wt%であったため、通電
を継続しつつ2本のランスを湯面より1.5 mの高さまで
低下させ、合計120 Nm3/min の酸素を供給して脱炭精錬
及び昇温を行った。最終的に初期通電開始から37min で
脱炭及び昇温を終了し、出鋼した。
【0033】(実施例2)スクラップの溶解完了までは
実施例1と同一の条件で操業を行った。溶解完了時に溶
鋼のサンプリングを行ったところ、溶鋼中の炭素濃度は
0.21wt%であったため、ランス高さ2m、送酸速度100
Nm3/min のまま排滓口からコ−クスの吹き込みを継続し
てスラグのフォ−ミングを促進させて昇温を図った。こ
の間、測温を間欠的に実施し、出鋼目標温度1630℃に達
したところで出鋼した。最終的に初期通電開始から出鋼
まで38分の操業であった。
実施例1と同一の条件で操業を行った。溶解完了時に溶
鋼のサンプリングを行ったところ、溶鋼中の炭素濃度は
0.21wt%であったため、ランス高さ2m、送酸速度100
Nm3/min のまま排滓口からコ−クスの吹き込みを継続し
てスラグのフォ−ミングを促進させて昇温を図った。こ
の間、測温を間欠的に実施し、出鋼目標温度1630℃に達
したところで出鋼した。最終的に初期通電開始から出鋼
まで38分の操業であった。
【0034】(従来例)従来例としてこの発明の実施以
前の通常の操業方法に従い、70tのスクラップを挿入し
て、5分間の通電を行った後、通電を中断して溶銑30t
を追加装入してから再び通電した。通電再開より出鋼ま
での期間120 Nm3/min で送酸を行った。なお、この従来
例では送酸を排滓孔から消耗式のランスパイプで行った
ものである。この場合、スクラップの溶解が促進され
ず、溶解完了までに 分を要し、最終的に初期通電開始
から出鋼までに47分、電力原単位287 kWh/t の結果とな
った。
前の通常の操業方法に従い、70tのスクラップを挿入し
て、5分間の通電を行った後、通電を中断して溶銑30t
を追加装入してから再び通電した。通電再開より出鋼ま
での期間120 Nm3/min で送酸を行った。なお、この従来
例では送酸を排滓孔から消耗式のランスパイプで行った
ものである。この場合、スクラップの溶解が促進され
ず、溶解完了までに 分を要し、最終的に初期通電開始
から出鋼までに47分、電力原単位287 kWh/t の結果とな
った。
【0035】(比較例)バ−ナ−加熱及び酸化溶断によ
るボ−リング孔形成の有無による2次燃焼熱の着熱効率
への影響を確認するため、ランス高さを炉蓋直下の初期
高さに固定し、100 Nm3/min での送酸のみの操業を行っ
た。他の条件は実施例1と同一である。この場合、スク
ラップの溶解が促進されず、溶解完了までに36分を要
し、最終的に初期通電開始から出鋼までに45分、電力原
単位284 kWh/t の結果となった。この結果から、炉内2
次燃焼熱によるスクラップ溶解促進は単に炉内を酸素富
化するのみでは達成されず、バ−ナ−加熱及び酸化溶断
によるボ−リング孔形成、スクラップ高さに応じたラン
ス高さ制御が必要であることがわかる。
るボ−リング孔形成の有無による2次燃焼熱の着熱効率
への影響を確認するため、ランス高さを炉蓋直下の初期
高さに固定し、100 Nm3/min での送酸のみの操業を行っ
た。他の条件は実施例1と同一である。この場合、スク
ラップの溶解が促進されず、溶解完了までに36分を要
し、最終的に初期通電開始から出鋼までに45分、電力原
単位284 kWh/t の結果となった。この結果から、炉内2
次燃焼熱によるスクラップ溶解促進は単に炉内を酸素富
化するのみでは達成されず、バ−ナ−加熱及び酸化溶断
によるボ−リング孔形成、スクラップ高さに応じたラン
ス高さ制御が必要であることがわかる。
【0036】表1に、今回行った実施例と従来例として
この発明の実施以前の操業結果をまとめて示す。
この発明の実施以前の操業結果をまとめて示す。
【0037】
【表1】
【0038】表1より、この発明によれば、溶解、精錬
時間が9〜10分間短縮され、その結果、電力原単位が31
〜33kWh/t 低減できることがわかる。実施例ではバ−ナ
−加熱を行う分、比較例よりも酸素原単位、LPG原単
位が増加するが、コスト的には電力使用量を低減させた
方が有利である。また、実施例ではスラグ中のT.Fe
及び炭剤原単位の低減効果が認められることはこの発明
の大きな利点である。これは、従来の送酸方法ではCO
の2次燃焼がほとんど起こらないか、起こってもスクラ
ップへ着熱しないため、専ら炭材及び鉄の酸化により発
生する熱をスクラップ溶解や溶鋼の昇温に消費していた
からである。これに対し、この発明では、2次燃焼熱の
有効利用が可能なため、無駄な炭材の供給や鉄の酸化が
不要となる。
時間が9〜10分間短縮され、その結果、電力原単位が31
〜33kWh/t 低減できることがわかる。実施例ではバ−ナ
−加熱を行う分、比較例よりも酸素原単位、LPG原単
位が増加するが、コスト的には電力使用量を低減させた
方が有利である。また、実施例ではスラグ中のT.Fe
及び炭剤原単位の低減効果が認められることはこの発明
の大きな利点である。これは、従来の送酸方法ではCO
の2次燃焼がほとんど起こらないか、起こってもスクラ
ップへ着熱しないため、専ら炭材及び鉄の酸化により発
生する熱をスクラップ溶解や溶鋼の昇温に消費していた
からである。これに対し、この発明では、2次燃焼熱の
有効利用が可能なため、無駄な炭材の供給や鉄の酸化が
不要となる。
【0039】
【発明の効果】以上述べたとおり、この発明によれば、
炉内2次燃焼が効率良くスクラップに着熱可能となり、
スクラップの高速溶解・精錬が達成することができる。
また、同一のランスで酸素精錬やスラグフォ−ミング操
業が可能なため、操業が簡易であるという効果も有す
る。
炉内2次燃焼が効率良くスクラップに着熱可能となり、
スクラップの高速溶解・精錬が達成することができる。
また、同一のランスで酸素精錬やスラグフォ−ミング操
業が可能なため、操業が簡易であるという効果も有す
る。
【図1】この発明に従う製鋼用アーク炉の一例を説明す
る図である。
る図である。
【図2】従来の製鋼用アーク炉を模式的に示す図であ
る。
る。
【図3】バーナーランスの昇降装置の一例を示す模式図
である。
である。
【図4】バーナーランスに接続する配管の一例を示す模
式図である。
式図である。
【図5】実施例におけるこの発明のバーナーランス先端
部の断面図である。
部の断面図である。
【図6】実施例1,2及び従来例における操業パターン
を示す線図である。
を示す線図である。
1 上部電極 2 アーム 3 上蓋 4 排気口 5 懸架ビーム 6 出鋼孔 7 下部電極 8 アーク 9 スクラップ 10 排滓口 11 消耗式ランスパイプ 12 バーナーランス 13 酸素ガス 14 ランス支持架構 15 ガイドレール 16 ランスラポート 17 駆動装置 18 燃料ガス配管 19 酸素含有ガス配管 20 冷却水配管 21 冷却水配管 22 粉炭ディスペンサ 23 配管 24 電極支腕 25 電極支柱
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 中戸 參 千葉県千葉市中央区川崎町1番地 川崎製 鉄株式会社鉄鋼研究所内 (72)発明者 吉田 正弘 東京都千代田区内幸町2丁目2番3号 川 崎製鉄株式会社内 (72)発明者 上田 新 岡山県倉敷市水島川崎通1丁目(番地な し) ダイワスチール株式会社水島事業所 内
Claims (6)
- 【請求項1】 製鋼用ア−ク炉において、炉内に挿入し
て酸素ガスもしくは酸素含有ガスを単独で又は燃料ガス
と共に噴射可能なバーナーランスを、炉の高さ方向ヘ移
動可能に1本以上設けたことを特徴とする製鋼用ア−ク
炉。 - 【請求項2】 請求項1記載の製鋼用アーク炉にて製鋼
操業をする方法であって、炉内に装入した固体原料をア
ークにより溶解する際、 バーナーランスから酸素ガスもしくは酸素含有ガス及び
燃料ガスを共に噴射してその火炎により上記固体原料の
表面を酸化溶融が可能な温度にまで加熱し、 次いでバーナーランスから酸素ガスもしくは酸素含有ガ
スを、単独で又は燃料ガスと同時にかつこの燃料ガスを
燃焼させるのに必要な流量よりも過剰な流量にて、固体
原料に向け噴射することによって、酸化溶解により前記
装入した固体原料中にボ−リング孔を形成するととも
に、このボ−リング孔内にてCOガスとの2次燃焼反応
をさせることを特徴とする製鋼用ア−ク炉の操業方法。 - 【請求項3】 請求項1記載の製鋼用アーク炉にて製鋼
操業をする方法であって、溶解期後半から精錬期におい
て、 バ−ナ−ランスから酸素ガスもしくは酸素含有ガスを鋼
浴面に向けて噴射して、脱炭及び鋼中不純物の酸化除去
をすることを特徴とする製鋼用ア−ク炉の操業方法。 - 【請求項4】 請求項3記載の方法において、酸素ガス
もしくは酸素含有ガスの噴射を、鋼浴面での線速度を低
くして行うことを特徴とする製鋼用ア−ク炉の操業方
法。 - 【請求項5】 請求項1記載の製鋼用ア−ク炉におい
て、バ−ナ−ランスが、さらに炭材、精錬材も同時に噴
射可能なものであることを特徴とする製鋼用ア−ク炉。 - 【請求項6】 請求項2〜4から選ばれる一の方法にお
いて、バ−ナ−ランスからのガス噴射を行いつつ、炉内
への炭材の供給を一定期間行うことを特徴とする製鋼用
ア−ク炉の操業方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP30089094A JPH08157929A (ja) | 1994-12-05 | 1994-12-05 | 製鋼用ア−ク炉及びその操業方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP30089094A JPH08157929A (ja) | 1994-12-05 | 1994-12-05 | 製鋼用ア−ク炉及びその操業方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH08157929A true JPH08157929A (ja) | 1996-06-18 |
Family
ID=17890361
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP30089094A Pending JPH08157929A (ja) | 1994-12-05 | 1994-12-05 | 製鋼用ア−ク炉及びその操業方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH08157929A (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2004092422A3 (de) * | 2003-04-15 | 2005-02-17 | Brotzmann Karl Consulting | Verfahren zur verbesserung der energiezufuhr in ein schrotthaufwerk |
WO2014064193A1 (de) * | 2012-10-24 | 2014-05-01 | Siemens Vai Metals Technologies Gmbh | Verfahren und vorrichtung zur energiezufuhr in ein schrotthaufwerk in einem elektrolichtbogenofen |
CN107760823A (zh) * | 2017-11-22 | 2018-03-06 | 北京科技大学 | 一种全废钢电弧炉准连续炼钢系统及工艺 |
-
1994
- 1994-12-05 JP JP30089094A patent/JPH08157929A/ja active Pending
Cited By (7)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2004092422A3 (de) * | 2003-04-15 | 2005-02-17 | Brotzmann Karl Consulting | Verfahren zur verbesserung der energiezufuhr in ein schrotthaufwerk |
JP2006523814A (ja) * | 2003-04-15 | 2006-10-19 | カール ブロッズマン コンサルティング ゲーエムベーハ− | スクラップバルクへのエネルギー供給の改良方法 |
US8557018B2 (en) | 2003-04-15 | 2013-10-15 | Siemens Vai Metals Technologies Gmbh | Process for improving energy supply to a scrap bulk |
WO2014064193A1 (de) * | 2012-10-24 | 2014-05-01 | Siemens Vai Metals Technologies Gmbh | Verfahren und vorrichtung zur energiezufuhr in ein schrotthaufwerk in einem elektrolichtbogenofen |
US10151007B2 (en) | 2012-10-24 | 2018-12-11 | Primetals Technologies Austria GmbH | Method and device for supplying energy into a scrap metal pile in an electric arc furnace |
CN107760823A (zh) * | 2017-11-22 | 2018-03-06 | 北京科技大学 | 一种全废钢电弧炉准连续炼钢系统及工艺 |
CN107760823B (zh) * | 2017-11-22 | 2023-04-25 | 北京科技大学 | 一种全废钢电弧炉准连续炼钢系统及工艺 |
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