JPH08157492A - 抗動脈硬化ペプチド - Google Patents

抗動脈硬化ペプチド

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JPH08157492A
JPH08157492A JP6331293A JP33129394A JPH08157492A JP H08157492 A JPH08157492 A JP H08157492A JP 6331293 A JP6331293 A JP 6331293A JP 33129394 A JP33129394 A JP 33129394A JP H08157492 A JPH08157492 A JP H08157492A
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analog
homolog
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apoa
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Susumu Sakuma
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Takeshi Terano
剛 寺野
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 粥状動脈硬化の進展を抑制し退縮を促進させ
ることによって、粥状動脈硬化を基盤として発病する疾
病を治療する薬剤を提供することを目的とする。 【構成】 化学合成によって、または大腸菌、酵母等の
微生物あるいはCHO細胞等の動物細胞を宿主として用
いた遺伝子組換え技術によって得られるapoA-IのC
末端側のペプチドもしくはその類似体、さらに、完全分
子型apoA-Iを適当なプロテアーゼで処理して切り出
されたapoA-IのC末端側のペプチドもしくはその類
似体を主成分とする粥状動脈硬化を基盤として発病する
疾病を予防または治療する薬剤。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は粥状動脈硬化に起因する
疾病の治療、予防に有用なペプチド並びに該ペプチドを
含有する抗動脈硬化剤に関する。
【0002】
【従来の技術並びに発明が解決しようとする課題】今
日、先進国では虚血性心疾患及び虚血性脳疾患等の虚血
性疾患が癌と並んで死因の大きな部分を占めている。虚
血性疾患の大部分は粥状動脈硬化を基盤として発症して
いるので、そのため粥状動脈硬化の治療に有効な薬剤の
開発が望まれている。粥状動脈硬化の発生のメカニズム
はRussel Rossの"Injury to Response"説が今日広く受
け入れられている(Ross R., Nature,362,p.801-(199
3))。即ち、血管の内皮細胞は障害を受けたり、あるい
は高脂血症、ウイルス感染、高血圧などの刺激を受ける
と平滑筋の増殖を促進する種々のgrowth factorを産生
する。その結果、平滑筋が増殖して内膜の肥厚を生ず
る。さらに内皮細胞はモノサイトやT細胞の接着因子を
発現させて内皮下へそれらの細胞を呼び入れる。内皮下
へ入ったモノサイトはマクロファージとなり、スカベン
ジャーレセプターを発現して、変性した低密度リポ蛋白
質(Low Density Lipoprotein (以下、LDLと称するこ
とがある))コレステロールを無制限に取り込み、泡沫細
胞となって粥状動脈硬化の病巣を形成する。粥状動脈硬
化が冠状動脈にできた場合、内腔を狭窄して狭心症を引
き起こし、また粥状動脈硬化巣が破綻すれば血栓を形成
して不安定狭心症や心筋梗塞などの重篤な疾病を招来す
る。脳動脈に粥状動脈硬化が発生した場合には脳梗塞あ
るいは脳内出血を起こす原因となる。また、下肢支配動
脈(腎下部大動脈から大腿動脈)の場合は閉塞性動脈硬化
症を引き起こす。このように粥状動脈硬化は重大な疾病
の原因となっている。
【0003】血清のコレステロールは主に2種類のリポ
蛋白質によって運搬されている。1つは肝臓で合成され
たコレステロールや食事由来のコレステロールを末梢組
織に運ぶLDLであり、2つ目は末梢組織で余剰となっ
たコレステロールを肝臓に運ぶ高比重リポ蛋白質(High
Density Lipoprotein(以下、HDLと称することがあ
る))である。肝臓に戻されたコレステロールは胆汁酸と
して排泄される。LDLによって運ばれるコレステロー
ルをLDLコレステロール、HDLによって運ばれるコ
レステロールをHDLコレステロールと呼んでいる。粥
状動脈硬化の発生と進展にはLDLコレステロールが密
接に関係しており、一方HDLコレステロールは粥状動
脈硬化巣に蓄積しているコレステロールを引き抜いて肝
臓へ送る役割をしていることから、抗粥状動脈硬化的に
作用するとされている(Philips M.C. et al. Biochem.
Biophys. Acta, 906:p.223- (1987))。疫学的にも血清
コレステロール量と心疾患の発生率が相関すること(Kan
nel W. B., et al. The Framingham Study. Ann. Inter
n. Med., 74:p.1-, (1971))及びHDLコレステロール
量と心疾患の発生率は逆相関すること(Miller N. E., e
t al. Lancet, 2:p.965-,(1977))が知られている。
【0004】このことより虚血性疾患の発症を予防する
方法として、まず血清コレステロールを低下させること
が考慮され得るが、それには種々の方法が知られてい
る。例えば、生体内でのコレステロールの合成を阻害す
るHMG-CoA還元酵素の阻害剤、胆汁酸の再吸収を
阻害してコレステロールから胆汁酸への転換を亢進させ
るイオン交換樹脂剤、LDLを生成するVLDLの合成
を阻害するニコチン酸剤等がある。また、酸化LDLの
生成を抑制するプロブコール等の薬剤も使われている。
これらの薬剤の組み合わせによりLDLコレステロール
を低下させて退縮が認められたとの報告もあるが(Brown
G., et al. N. Engl. J. Med., 323:p.1289-, (199
0))、これらの薬剤は作用メカニズムとして粥状動脈硬
化巣に直接作用するものではないので、期待し得る効果
としては粥状動脈硬化の進展の抑制である。一方、粥状
動脈硬化は前述したコレステロールの他に糖尿病、高血
圧、喫煙及び肥満等もリスクファクターに挙げられてい
る。粥状動脈硬化の進展の抑制を図るには上述した薬剤
によるコレステロールの管理だけでは不十分である。
【0005】粥状動脈硬化の最も望ましい治療法は病巣
を退縮させることである。粥状動脈硬化巣はコレステロ
ールを低下させると退縮が起こることが知られている(B
lankenhorn D. H., et al. JAMA, 257:p.3233-,(198
7))。このことからLDLコレステロールを選択的に体
外循環によって取り除くLDLアフェレーシス療法が開
発されている。この療法は冠動脈狭窄や下肢動脈の狭
窄、閉塞を退縮に導く治療法として認められている。し
かしながらLDLコレステロールをほとんど無になるま
で下げてもリバウンド(rebound)が起こって、3週間で
元のレベルに戻ってしまうので、2週間に1回の反復施
行が必要であり、さらに退縮を生じさせるには年単位の
施行期間が必要であるため、患者の負担が極めて大きい
治療法である。
【0006】粥状動脈硬化の望まれている治療法は薬剤
の投与によって非観血的に病巣の治癒を導くことであ
る。この方法としてHDLの抗粥状動脈硬化作用が注目
されている。Badimonらは高脂食を投与して粥状動脈硬
化を作らせたウサギにHDLを静脈内注射して粥状動脈
硬化巣を退縮させたことを報告している(Badimon J.J.,
et al. J. Clin. Invest., 85:p.1234-,(1990))。ま
た、HDLを構成する主要なアポ蛋白であるapolipopro
tein A-I(apoA-I)を使って人工HDLを調製し、抗
動脈硬化剤とする方法が試みられている(特許公報 特開
昭61-152632)。さらに、高脂食を与えて動脈硬化を作ら
せたウサギにapoA-Iを静脈内注射して動脈硬化の進
行を抑制する試みが行なわれている(Maciejko J. J., e
t al. Arteriosclerosis, 2:p.407a-,(1982))。
【0007】これに対して、HDLの抗粥状動脈硬化作
用については生理学的な面から疑問視する意見が出され
ている。即ち、HDLコレステロールの低下ないし欠損
する遺伝性疾患の全てが冠状動脈疾患を高率に発症する
わけではないこと(Durrington P. N., Lancet, 342:p.1
315-,(1993))、高HDLコレステロール血症でも冠状動
脈疾患を認める症例が報告されていること(山下静也ほ
か 動脈硬化 13:p.981-,(1985))、apoA-Iノックア
ウトマウスでも動脈硬化は必ずしも進展するわけではな
いこと(Li H., et al. Arterioscler. Thromb., 13:p.1
814-,(1993))等の知見があるためであり、これらはHD
L及びapoA-I共に粥状動脈硬化の防御に直接関係し
ていないことを示していると考えられるからである。こ
れによれば、HDLコレステロールは心疾患の疫学上の
単なるマーカーに過ぎないことになる。このようにHD
Lの抗粥状動脈硬化作用のメカニズムについては現在の
ところ不明な点が多い。
【0008】本発明はHDLの抗動脈硬化作用の機序を
明らかにすべく、特にapoA-Iの抗粥状動脈硬化作用
の役割について鋭意検討した結果、驚くべきことにap
oA-IのC末端ペプチドが完全分子型のapoA-Iでは
効果がない場合でも著しい抗粥状動脈硬化作用を示し、
さらに、完全分子型のapoA-Iでは認められないHD
Lコレステロールの上昇も引き起こすことを見出し、該
知見を基に本発明を完成するに至った。従って、本願発
明の目的は、粥状動脈硬化の進展を抑制し退縮を促進さ
せることによって、粥状動脈硬化を基盤として発病する
疾病を治療する薬剤を提供することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者は上述の目的を
達成するために、鋭意研究を重ねた結果、下述する知見
を得、該知見に基づいて更なる研究の結果、本願発明の
完成に至ったものである。即ち、本発明者は高脂食を投
与して高脂血症状態を作らせたウサギに遊離の完全分子
型ウサギapoA-Iを静脈内に注射した時、接種したa
poA-Iが血清中で分解を受けることを見出した。そこ
でapoA-Iの分解物の抗動脈硬化作用を調べたとこ
ろ、apoA-IのC末端領域のペプチドが著しい抗粥状
動脈効果作用を示すことを見出し、これらの知見に基づ
き本願発明を完成した。該ペプチドは化学合成によっ
て、または大腸菌、酵母等の微生物あるいはCHO細胞
等の動物細胞を宿主として用いた遺伝子組換え技術によ
って得ることができる。さらに、完全分子型apoA-I
を適当なプロテアーゼで処理して、apoA-Iより切り
出された該ペプチドを採取して得ることもできる。ap
oA-Iを構成するアミノ酸のうちアミノ酸番号227
番目から243番目までの配列に対応する17個のアミ
ノ酸を含むペプチドまたはその類似体は、いずれも抗粥
状動脈硬化作用を期待しうるが、ヒトに用いる場合に
は、下記のアミノ酸配列で示されるアミノ酸よりなるペ
プチドが特に好ましい。
【0010】ヒト ペプチドA(Peptide A) VSFL
SALEEYTKKLNTQ ヒト ペプチドB(Peptide B) VSFKSAKEET
TKKLNTQ 式中、記号は次のように定義される。[D:アスハ゜ラキ゛ン
酸、N:アスハ゜ラキ゛ン、T:トレオニン、S:セリン、E:ク゛ルタミン酸、
Q:ク゛ルタミン、P:フ゜ロリン、G:ク゛リシン、A:アラニン、V:ハ゛リン、
M:メチオニン、I:イソロイシン、L:ロイシン、Y:チロシン、F:フェニルアラニ
ン、K:リシ゛ン、H:ヒスチシ゛ン、R:アルキ゛ニン、W:トリフ゜トファン]
【0011】薬効を調べるためにウサギ動脈硬化症モデ
ルを作製して検討を行なった。この動物実験ではウサギ
apoA-Iの227番目から243番目のアミノ酸配列に対応
する下記のアミノ酸配列を有するペプチドを用いた。 ウサギ ペプチドC(Peptide C) ASVQNLVDEA
TKKLNTQ なお、ヒト、ウサギ、イヌ及びラットのそれぞれのap
oA-Iのアミノ酸配列を比較すると、C末端領域の237
番目から243番目までが4種ともに完全に一致してい
る。従って、apoA-IのC末端領域の237番目から243
番目に対応するペプチドに抗動脈硬化作用の本態が存在
することが推定される。これらのペプチドを含有する薬
剤は薬学的に有効な担体等と調合されて好適に製剤化さ
れ、静脈注射剤、経口剤、経皮薬及び経粘膜薬として用
いることができる。
【0012】
【発明の作用並びに効果】本願発明によってもたらされ
るペプチドの作用は以下の方法で確認した。ペプチドC
をウサギ体重あたり50μg/kg〜5mg/kg、好ましくは
1mg/kgを投与して、高脂食例えば0.5%コレステロー
ルを添加した飼料等で飼育して大動脈等の動脈に生じる
粥状動脈硬化の発生を抑えること、及びHDLコレステ
ロールが上昇することを指標として確認することができ
た。また、高脂食を与えて飼育して予め粥状動脈硬化を
作らせたウサギにペプチドCを50μg/kg〜5mg/kg、好
ましくは1mg/kg投与して、大動脈及び冠状動脈を摘出
し、それらにできた粥状動脈硬化の病巣が退縮すること
から確認することができた。さらに、動物の動脈例えば
ウサギの頸動脈をバルーンカテーテルで障害したPTC
A(Percutaneous Transluminal Coronary Angioplasty)
後の再狭窄モデルを作製し、次いでペプチドC 50μg/
kg〜5mg/kg、好ましくは1mg/kgをウサギのPTCA後
再狭窄モデルに投与して、バルーンによる障害を受けた
頸部動脈を摘出し、内膜の肥厚を測定することによって
確認し得た。従って、本願発明によってもたらされるペ
プチドを本態とする抗動脈硬化剤並びにPTCA後の再
狭窄予防薬によって、完全分子型apoA-I等従来の薬
剤で達成することのできなかった驚くべき効果を期待す
ることができる。
【0013】以下に実施例により本発明を詳述するが、
本発明は該実施例によって限定されるものではない。
【0014】
【実施例】実施例 1 (ペプチドの調製 1)請求項1に記載のペプチドを以下に
示す方法で合成した。ペプチドの合成はアフ゜ライト゛ハ゛イオシステ
ムス゛(Applied Biosystems)社製 430A Peptide Synthesiz
erを用い、t-Bocアミン酸の対称性無水物で合成を行
なった。次に、アニソール・ジメチルサルファイド・パラ
チオクレゾール中に溶かした合成ペプチドを0〜5℃の
フッ化水素酸の存在下で1時間反応させて脱保護を行な
った。この方法は、S. Sakakibaraによる方法 (Ball. C
hem. Soc. Jpm. 40: p.2164-, (1967))である。この粗
結晶を2N酢酸に溶解して抽出し、凍結乾燥を行なっ
た。これをアフ゜ライト゛ハ゛イオシステムス゛社製Brownleeカラム(直径
10mm、長さ250mm)を用い、0.1% Trifluoroacet
ic acid(TFA)溶液と0.09%TFAを含む70%ア
セトニトリル(Acetonitrile)溶液でグラジエント(0→
100%)をかけることによって精製した。この時のペ
プチドA、ペプチドB及びペプチドCのクロマトグラフを
第1図に示す。
【0015】実施例 2 (ペプチドの調製 2)ファルマシア社製のCNBr-activated
Sepharose 4Bを用いて、エラスターゼ(Elastase)をリ
ガンドとしたElastase-Sepharose 4Bを作製した。即
ち、10mgのElastase(シグマ社)を0.5M NaClを
含む0.1Mの炭酸水素ナトリウム緩衝液(pH 8.3)
50mlに溶解し、CNBr-activated Sepharose gel 10m
lを加えて室温で1時間カッフ゜リンク゛させて作製した。このE
lastase-Sepharose 4B gel 10mlに0.01M リン酸
緩衝化生理食塩水(phosphate buffered saline:PBS)
(pH 7.4)でウサギapoA-Iを5mg/mlの濃度に溶
解した溶液100mlを混合し、37℃で3日間ローテー
ターで攪拌した。3000rpmで10分間遠心処理して
ゲルを分離し、この上清をPoly LC社のpoly hydroxyeth
yl aspartamideカラムに通液し、10mM Triethylamine
Phosphateを含む70%アセトニトリル緩衝液と10mM
Triethylamine Phosphateを含む40%アセトニトリル
緩衝液のグラジエント(5%→100%)で分離精製を行
なった。ピーク3がペプチドCで、ピーク4がC末端側
のペプチドが欠損したdegraded apoA-I(以下、D.a
poA-Iと称することがある)である。
【0016】実施例 3 (粥状動脈硬化の進展の抑制)ニュージーランドホワイト
種の雄性ウサギ(n=10)にペプチドCを体重1kgあたり
1mgの割合で、2日に1回、計30回静脈内注射した。
また、遊離のウサギapoA-Iを体重1kgあたり5mg、
2日に1回、計30回静脈内注射した。対照群として生
理食塩水を接種した。接種開始と同時に0.5%コレス
テロールを含む日本農産固型RG-RO飼料を150g/日/匹
投与して、60日間飼育した。また、15日毎に採血し
て血清総コレステロール量及びHDLコレステロール量
を測定した。飼育60日目に解剖して胸部腹部大動脈を
摘出した。胸部腹部大動脈は10%中性ホルマリンで1
晩固定した後、SudanIVにて脂質染色を行なった。Sudan
IVで染色された領域を画像解析装置(エプソン社)を使っ
て面積を測定した。その結果ペプチドC接種群は対照群
よりも有意(p<0.05)に病変面積が小さく、ペプチドCの
接種によって動脈硬化の発生と進展が抑制されることが
判った。一方、遊離の完全分子型apoA-I接種群では
病変面積は対照群と差は観られず、抗粥状動脈硬化作用
は認められなかった(以上表1参照)。さらに、ペプチド
C接種群は対照群に比べて有意(p<0.05)にHDLコレス
テロールの上昇が認められ、血清総コレステロールで
は、対照群よりも有意(p<0.05)に低いことが明らかとな
った。これに対して遊離のapoA-IはHDLコレステ
ロール量及び血清総コレステロール量共に対照群との間
に差は認められなかった。
【0017】
【表1】 n=10、p<0.05(t-test)
【0018】実施例 4 (粥状動脈硬化の退縮作用)ニュージーランドホワイト種
の雄性のウサギに0.5%コレステロールを含むRG-RO飼
料を150g/日/匹、105日間投与した。106日目
より正常食に替えて飼育し、165日目からペプチド
C、遊離のウサギapoA-I、ウサギD.apoA-Iを接
種した。ペプチドCの場合は体重1kgあたり1mg、ap
oA-Iの場合は体重1kgあたり5mg、D.apoA-Iの場
合は体重1kgあたり1mgの割合で2日に1回、計30回
耳静脈内注射を行なった。飼育225日目に解剖して、
胸部腹部大動脈を摘出し、10%ホルマリンにて1晩固
定した。この後SudanIVにて粥状動脈硬化巣を染色し、
染色された領域を画像解析装置で面積の測定を行なっ
た。その結果、ペプチドC接種群は胸部腹部大動脈に於
いて対照群よりも有意に病変面積が小さく粥状動脈硬化
の退縮を引き起こしていることがわかった。一方、遊離
のapoA-I及びD.apoA-I接種群では対照群と差は
認められなかった(表2参照)。
【0019】
【表2】 n=10、p<0.05(t-test)
【0020】実施例 5 (PTCA後の再狭窄に対する効果)体重2.5〜3.0kg
のニュージーランドホワイト種の雄性ウサギの外頸動脈
より、Baxter社製2Fr.Fogarty Catheterを総頸動脈に向
けて挿入し、400mmHgの圧力でバルーンを膨らませて
3回擦過することにより血管内皮を剥離してPTCA後
の再狭窄動物モデルを作製した。バルーン処置直後から
ペプチドCを体重1kgあたり1mgを毎日耳静脈へ注射し
た。14日目に総頸動脈を3%グルタルアルデヒド液で
潅流固定した後摘出し、Resorcin-Fuchsin染色した病理
組織標本を作製して内膜の肥厚を測定した。ペプチドC
接種群は対照群よりも内膜の肥厚が少なく、PTCA後
の再狭窄の予防に効果のあることが判明した(表3参
照)。
【0021】
【表3】
【0022】
【図面の簡単な説明】
【図1】 合成ペプチドの精製に関するもので、化学合
成したペプチドの高速液体クロマトグラフィー(HPL
C)による精製のクロマトグラフを示す図である。Aのp
eak2がペプチドA、Bのpeak1がペプチドB、Cのpeak1が
ペプチドCを示す。
【図2】 apoA-Iからの本願発明のペプチドの精製
に関するもので、peak3が分子量2,000のペプチドC、pea
k 4が分子量26,000のD.apoA-Iを示す。
【図3】 ウサギ血清中のHDLコレステロール量(mg/
dl)の経日変化を示す。
【図4】 ウサギ血清中の総コレステロール(mg/dl)の
経日変化を示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C07K 14/775 8318−4H

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 アポリポ蛋白A-I(以下、apoA-I
    と称することがある)を構成するアミノ酸のうちアミノ
    酸番号227番目から243番目までの配列に対応する
    17個のアミノ酸よりなる抗動脈硬化ペプチドまたはそ
    の類似体および該アミノ酸を含む抗動脈硬化ペプチドま
    たはその類似体。
  2. 【請求項2】 式:X1-X2-X3-X4-X5-X6-X7-X8-
    E-X9-X10-K-K-L-N-X11-Q [式中、X1はAも
    しくはVまたはそれらの同族体又は類似体、X2はSも
    しくはKまたはそれらの同族体又は類似体、X3はV、
    F、LもしくはIまたはそれらの同族体又は類似体、X
    4はQ、K、LもしくはMまたはそれらの同族体又は類
    似体、X5はN、SもしくはAまたはそれらの同族体又
    は類似体、X6はL、AもしくはMまたはそれらの同族
    体又は類似体、X7はV、K、IもしくはLまたはそれ
    らの同族体又は類似体、X8はDもしくはEまたはそれ
    らの同族体又は類似体、X9はA、TもしくはYまたは
    それらの同族体又は類似体、X10はTもしくはKまたは
    それらの同族体又は類似体、X11はTもしくはAまたは
    それらの同族体又は類似体を意味し、各構成要素は、
    D:アスハ゜ラキ゛ン酸、N:アスハ゜ラキ゛ン、T:トレオニン、S:セリン、E:ク
    ゛ルタミン酸、Q:ク゛ルタミン、P:フ゜ロリン、G:ク゛リシン、A:アラニン、
    V:ハ゛リン、M:メチオニン、I:イソロイシン、L:ロイシン、Y:チロシン、
    F:フェニルアラニン、K:リシ゛ン、H:ヒスチシ゛ン、R:アルキ゛ニン、W:トリフ
    ゜トファンと定義される。]で示されるアミノ酸配列を有す
    る請求項1記載の抗動脈硬化ペプチドまたはその類似
    体。
  3. 【請求項3】 式:VSFLSALEEYTKKLNT
    QもしくはVSFKSAKEETTKKLNTQで示さ
    れるアミノ酸配列を有する請求項1もしくは請求項2記
    載の抗動脈硬化ペプチドまたはその類似体。
  4. 【請求項4】 請求項1から請求項3に記載のペプチド
    もしくはその類似体を含有する抗動脈硬化剤。
  5. 【請求項5】 請求項1から請求項3に記載のペプチド
    もしくはその類似体を含有する経皮的冠動脈形成術(Per
    cutaneous Transluminal Coronary Angioplasty:PTC
    A)後の再狭窄予防薬。
JP33129394A 1994-12-07 1994-12-07 抗動脈硬化ペプチド Expired - Lifetime JP3691533B2 (ja)

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