JPH08156000A - 空隙を有する発泡成型体の製造方法 - Google Patents

空隙を有する発泡成型体の製造方法

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JPH08156000A
JPH08156000A JP6332103A JP33210394A JPH08156000A JP H08156000 A JPH08156000 A JP H08156000A JP 6332103 A JP6332103 A JP 6332103A JP 33210394 A JP33210394 A JP 33210394A JP H08156000 A JPH08156000 A JP H08156000A
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JP
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mold
cooling
foamed
foamed molded
particles
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JP6332103A
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Toshio Tokoro
寿男 所
Teru Hinokawa
輝 火ノ川
Akira Shiotani
暁 塩谷
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 熱可塑性樹脂発泡粒子を金型内に充填し、水
蒸気により加熱して該発泡粒子を溶融接着した後冷却工
程を経て5〜70%の連通した空隙を有する発泡成型体
を得る方法において、上記冷却工程で、圧力0.5〜1
0kgf/cm2(G)、温度70℃以下の不活性気体
を金型内に導入して冷却を行った。 【効果】 空隙を有する発泡成形体を金型から取り出す
際に、水分の少ない状態で取り出し可能であり、特に大
型の空隙を有する発泡成型体を製造する際、従来の製造
方法では空隙に多量の水を含むため重量が重くなり、型
から落下させて取り出す場合に該発泡成型体が割れた
り、作業者に危険を及ぼすものであったが、そのような
問題を解決できる。更に乾燥時間の短縮を図ることがで
きるため、製造効率が向上し低コスト化が図れる。又、
成型装置は特に減圧用ポンプ等も不要であって、従来の
製造装置に空気配管を接続するだけで良く、従来の装置
を利用して製造可能であり、設備コストがさほど上昇す
ることもなく、実用的効果が大きい。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、内部に空隙を有する熱
可塑性樹脂発泡成型体を、型内成型により製造する方法
に関する。
【0002】
【従来の技術】従来の空隙を有する発泡成型体の製造方
法として、例えば特開平5−147120号公報には多
孔質構造体の製造方法が開示されている。この製造方法
は、所定形状のキャビティが形成された雄型及び雌型と
から構成される一対の金型を用いるもので、該金型には
蒸気導入管、冷却水導入管、蒸気・冷却水排出管等が雄
型及び雌型のそれぞれに設けられ、該キャビティ内に樹
脂粒子を充填した後、蒸気導入管より蒸気を金型内に導
入してキャビテイ内に流入させ、均一に樹脂粒子を加熱
した後冷却して金型を型開きし成型体を取り出して発泡
成型体を得るものである。尚、上記の製造方法におい
て、加熱後の冷却は、冷却水導入管より冷却水を金型内
に導入して、雄型及び雌型の裏面に向けて冷却水をシャ
ワー状に噴出させて冷却する。即ち、上記公報の方法
は、空隙のない成型体の場合に通常行われていた方法と
同じように、冷却を水冷で行う方法である。
【0003】しかしながら上記の製造方法では成型体の
冷却に用いた水が成型体の空隙内部に入り込んでしま
い、冷却後に金型を型開きして成型体を取り出す際、成
型体の空隙に水を多量に含むために重量が重く、金型か
ら成型体を落下させると成型体が変形したり割れたりす
る不具合があった。一般に、金型から成型体を落下させ
て取り出してから該成型体が出荷される間に、成型体の
乾燥及び収縮の回復を目的として、通常50〜90°C
の状態に放置する、いわゆる養生工程が設けられてい
る。しかし、上記従来の方法では、金型から取り出した
発泡成型体は、空隙に多量に水が存在するため重量が重
く、養生工程に移す際に運搬等の取り扱いが非常に不便
であった。又、発泡成型体の内部の空隙に含まれる水は
40℃以上の温水の状態で存在することが多く、金型か
らの落下や運搬の際に、作業者にその温水がかかりやけ
ど等の危険性が大きいという問題があった。又、型から
取り出した状態の成型体が水分を多量に含んでいると、
乾燥工程の時間が長くなってしまい、空隙のない発泡成
型体と比較して製造効率が著しく低いという問題があっ
た。
【0004】そこで、金型内の冷却を水冷で行う上記従
来の空隙を有する発泡成型体の製造方法を改良したもの
として、水を使用せずに成型体を冷却する、空隙を有す
る発泡成型体の製造方法が提案されている(例えば特開
平6−55648号公報)。この方法は成型体の冷却を
真空減圧にて行い空隙率2〜70%の合成樹脂発泡粒子
成型体を製造するものである。上記の真空減圧条件とし
て、型内冷却工程において型内を200Torr以上、
500Torr以下(好ましくは200Torr以上、
400Torr以下)の圧力になるように減圧吸引する
ことが記載されている。
【0005】金型内の冷却を真空減圧にて行う場合の装
置は、例えば特開昭58−14524号公報等に記載さ
れているような、成型機として金型加熱用の水蒸気供給
ライン及び冷却水供給ライン以外に、金型内冷却用の真
空ラインを備えたものが用いられる。
【0006】しかしながら、上記の成型体の冷却を真空
減圧で行う製造方法の場合、金型から取り出した成型体
の含水率を低くできるものの、以下の如き問題点があっ
た。従来の金型加熱用の水蒸気供給ラインと冷却水供給
ラインを備えた、空隙のない発泡成型体に用いられてい
る金型に、真空減圧用の真空ラインを別に付け加える必
要がある。更に、成型用金型の内部を高い真空度に保つ
のは従来の金型では困難であり、密閉性を高めてそのよ
うな減圧に対応できるように金型の設計を変更する必要
があり、設備コストが大きく上昇してしまう。このよう
な問題は、製造しようとする発泡成型体の大きさが大き
くなる程、金型も大きくなるため顕著である。又、発泡
成型体の空隙率が高くなった場合も、空隙へ水が残る割
合が多くなるため、成型体が大きくなった場合と同様に
顕著になってしまう。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上記従来の問
題点を解決するためのものであり、空隙を有する発泡成
型体を製造する際、成型用金型から発泡成型体を取り出
した場合に含水率が低く、かつ従来の成型用金型で容易
に製造可能であり製造コストが上昇せず、安全に作業を
行うことのできる、空隙を有する発泡成型体の製造方法
を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
(1)本発明の空隙を有する発泡成型体の製造方法は、
熱可塑性樹脂発泡粒子を金型内に充填し、水蒸気により
加熱して該発泡粒子を溶融接着した後冷却工程を経て5
〜70%の連通した空隙を有する発泡成型体を得る方法
であって、上記冷却工程で、圧力0.5〜10kgf/
cm2 (G)、温度70℃以下の不活性気体を金型内に
導入して冷却を行うことを特徴とする (2)上記(1)の空隙を有する発泡成型体の製造方法
では、冷却工程において、減圧操作を併用することがで
きる。
【0009】以下、図面を参照して本発明の空隙を有す
る発泡成型体の製造方法を詳細に説明する。図1、図2
及び図3は成型用金型の配管の弁の異なる開閉状態を示
し、本発明の製造方法を説明するための図である。本発
明の空隙を有する発泡成型体の製造方法は、図1に示す
ように熱可塑性樹脂発泡粒子1を成型用金型2のキャビ
ティ3内に充填し、該発泡粒子1を溶融接着した後に冷
却工程を経て空隙を有する発泡成型体を製造する方法に
おいて、上記冷却工程を空気等の不活性気体を用いて冷
却を行うものである。
【0010】冷却工程における成型体の冷却は、圧力
0.5〜10kg/cm2 (G)、温度70℃以下の不
活性気体(以下、単に気体と略記することもある)を用
いる。具体的には、金型に設けられた気体導入口から気
体を金型の内部に導入し、排出口から外部に排出させれ
ばよい。具体的な冷却気体の金型への導入及び排出の方
法を、下記の〜に示す。
【0011】例えば成型用金型2は一般に図1に示す
ように固定型21と移動型22によって構成される。こ
の場合、固定型21は、キャビティ側インナー型4とキ
ャビティ型バックプレート5からなり内部の加熱及び冷
却用空間6に、気体導入弁11とドレン弁13とが接続
され、移動型22は同様にコアー側インナー型7とコア
ー型バックプレート8からなり内部の加熱及び冷却空間
9に、気体導入弁12とドレン弁14が接続されて構成
される。図1は、固定型21及び移動型22に接続した
気体導入弁11、12及びドレン弁13、14をいずれ
も開いた状態を示す。この状態では、気体導入弁11か
ら空間6内に導入された気体は、固定型21のドレン弁
13より外部に排出される。又、気体導入弁12より空
間9内に導入された気体は移動型22のドレン弁14よ
り排出される。
【0012】図2に示すように、固定型21の気体導
入弁11を閉じドレン弁13のみ開く。一方移動型22
は気体導入弁12を開きドレン弁14を閉じる。この状
態で冷却用の気体を気体導入弁12から導入すると、気
体はチャンバー内の発泡成型体の内部の空隙を通過し
て、固定型21のドレン弁13から排出される。
【0013】図3に示すように、図2に示す状態とは
反対に、固定型21の気体導入弁11を開きドレン弁1
3を閉じ、移動型22の気体導入弁12を閉じドレン弁
14を開く。固定型21の気体導入弁11から導入され
た気体は、成型体の内部を通過して反対側の型である移
動型22の排出弁14から排出される。この図3に示す
場合も図2に示す場合と同様に、導入された気体が発泡
成型体の内部を通過して反対側の型のドレン弁から排出
される。
【0014】上記〜に示した方法を組合わせる。
特に好ましい金型への気体の導入は、上記、及び
に示したように、冷却用の気体を発泡成型体の空隙内部
を通して気体を導入した側の型とは反対側の型の排出口
から排出するように流す方法である。この方法は成型体
内部の水分の除去効率に優れる。上記〜の弁開閉状
態をまとめて下記の表1に示した。
【0015】
【表1】
【0016】上記の冷却工程において用いる不活性気体
とは、空気以外にも窒素、アルゴン、二酸化炭素等の化
学的に不活性なガスであれば用いることができるが、経
済的な点からは空気が最も好ましい。不活性気体として
空気を用いる場合に、空気はコップレッサー等で圧縮し
て得られた圧縮空気を用いる。本発明方法において金型
内に導入される不活性気体は、温度が70℃以下のもの
を用いる。70℃を超える不活性気体を用いた場合に
は、冷却時間が長くなってしまう。より好ましい温度は
40°C以下である。又、不活性気体の圧力は0.5〜
10kg/cm2(G)のものが用いられる。圧力が
0.5kg/cm2 (G)未満では冷却時間が長くなっ
てしまい、又、成型体中の水分を吹き飛ばす効果も小さ
く、製造効率が低下する。一方圧力が10kg/cm2
(G)を超える気体は、そのような高い圧力の気体を供
給すること自体に困難性を有する。冷却に用いる気体の
好ましい圧力は、0.5〜6kg/cm2 (G)の範囲
である。この範囲であれば冷却時間が長くならず、気体
の供給も容易に行える。不活性気体は、温度が40°C
以下の乾燥したものが、乾燥効率及び冷却効率が共に良
好であり、更に好ましい。又、冷却時間は10〜180
秒が好ましい。10秒未満では充分な冷却を行うことが
困難で、180秒を超えると成形サイクルが長くなる為
コトスアップになる。
【0017】本発明の製造方法において用いる熱可塑性
樹脂発泡粒子の形状は、粒子状、チップ状、その他の形
状等の種々の形状に形成されたものや、発泡成型品を粉
砕して得られる粉砕チップ等が用いられ、従来公知のこ
の種の発泡成型に用いられるものであれば、いずれも使
用できる。発泡粒子の形状が例えば粒子状の場合は、従
来公知の球状及びL/D<2の円柱状のもの以外であれ
ば、中空構造であっても中実構造のいずれでもよく、具
体的にはL/D≧2の円柱状、円筒状、L/D≧2.5
の多角柱状、多角筒状、断面十字型の柱状等が挙げられ
る。このような所望形状の発泡粒子を得るには、発泡
粒子の基材樹脂粒子を得た後発泡させる方法や、押出
すと同時に発泡する方法が挙げられるが、いずれにせよ
押出機のダイス口金形状を選択することで基材樹脂粒子
又は発泡粒子を所望の形状とすることができる。
【0018】本発明において、上記、発泡粒子の発泡倍
率は、真倍率で通常4〜80倍のものが用いられるが、
特に成型体の圧縮強度を高くできること、重量を少なく
できること、及び経済性の点から真倍率で4〜30倍の
ものを用いることが好ましい。尚、上記発泡粒子の真倍
率とは、発泡粒子をアルコール等の液体中に沈めた際に
増加した体積を測定することによって求められる真の体
積で沈めた発泡粒子の重量を割ることによって真の密度
を求め、発泡粒子の基材樹脂の密度を真の密度で割るこ
とによって求められる値である。
【0019】熱可塑性樹脂発泡粒子の基材樹脂は、ポリ
オレフィン系樹脂やポリスチレン系樹脂等が用いられ
る。又、その他の樹脂であってもこの種の、型内に充填
して発泡体を成型する方法に使用できるものであればど
のような樹脂でもよい。上記のポリオレフィン系樹脂
は、具体的には、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチ
レン、高密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、
線状超低密度ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重
合体等で代表されるポリエチレン系樹脂、ポリプロピレ
ン、共重合成分をエチレン、ブテン、ペンテン、1,4
−2メチルペンテンの1種以上とするプロピレンとの
(ランダム又はブロック)共重合体等で代表されるポリ
プロピレン系樹脂、またはこれらの樹脂の2種類以上が
配合された混合樹脂、或いはエチレン成分を主体として
塩化ビニル、エチルアクリレート、メチルアクリレー
ト、アクリル酸等と共重合した共重合体等が挙げられ
る。又、上記樹脂には発泡に差し支えない程度に他の熱
可塑性樹脂を混合してもよい。
【0020】基材樹脂として用いられるポリスチレン系
樹脂は、具体的には、例えばスチレン、イソプロピルス
チレン、アルファメチルスチレン、パラメチルスチレ
ン、クロルスチレン等のモノマー類から得られるホモポ
リマー或いはコポリマーのみならず、スチレン−無水マ
レイン酸共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合
体、スチレン−メチルメタクリレート共重合体、スチレ
ン−ブタジエン共重合体等のスチレンを主体とする共重
合体及び水素添加スチレン−ブタジエン共重合体及びポ
リフェニレンオキサイド変性ポリスチレンまたはこれら
の混合物が使用できる。更に発泡に差し支えない程度に
他の熱可塑性樹脂との混合物も使用できる。
【0021】上記の樹脂は発泡粒子にする前の段階で架
橋して用いることもでき、無架橋のままで使用してもよ
い。発泡状態をより安定させる観点からは、架橋した方
がよい。架橋法は一般にはジクミルパーオキサイド等の
過酸化物を樹脂内に含有させ、樹脂を架橋する方法が一
般的である。一方、リサイクル性を考慮する観点からは
無架橋のものが好ましい。
【0022】本発明の空隙を有する発泡成型体の製造方
法において、上記の冷却工程を除く各工程は、従来公知
又は既に本発明出願人によって出願済の、空隙を有する
発泡成型体を金型を用いて型内成型する場合の製造方法
等が利用できる。その製造方法の例を下記の(a)〜
(c)に示す。
【0024】(a)ポリスチレン発泡体からなり、最長
部分の長さが2cm以上である非球形の同一形状の多数
の押出し成形チップを金型のキャビティ内に充填し、型
締めを行った後に90〜110℃の蒸気で加熱し、押出
し成形チップの表面同士を互いに融着させる方法(特開
平5−177723号公報)。上記の押出し成形チップ
は、特公昭55−44700号公報に開示されているよ
うな、発泡性ポリスチレンに未だ発泡していない円筒形
の押出し棒状体を、70℃〜90℃においてロール圧延
により楕円形の断面を有する棒状体に変形させ、その楕
円形の断面の短軸方向に切断して得たチップを発泡させ
た鞍型形状のものである。またそれ以外にも、ストラン
ド状に押し出して変形させたもの、まが玉状に変形させ
たもの、眼鏡リング状に変形したもの等の予備発泡させ
たチップがある。上記チップは最長部分の長さが肉厚の
5倍以上のものが好ましく、特公昭47−30102号
公報に記載の異型ダイにより押出発泡された発泡体を冷
却しその後でカッティングしたものが用いられる。
【0025】(b)L/D(L:最長部の長さ、D:最
大胴部の断面長さ)が2/1〜10/1である柱状ポリ
オレフィン系樹脂発泡粒子を用い、相互に融着した状態
となり、且つ粒子相互が不規則な方向を向くように成型
用金型に充填した後、基材樹脂のビカット軟化点−20
°C〜融点の温度の蒸気で加熱して粒子相互を融着させ
る方法(特開平3−224727号公報)。
【0026】(c)重合体発泡粒子の嵩密度ρ1 と真密
度ρ2 との関係が、0.25ρ2 <ρ1 <0.55ρ2
なる条件を満足し、且つ上記重合体発泡粒子の形状が下
記条件式(1)〜(3)を満足する重合体発泡粒子を用
いて金型に充填した後加熱し相互に融着させる方法。 a≦b≦c・・・・・・・・(1) 1≦b/a≦2・・・・・・(2) 1≦c/a≦2・・・・・・(3) 但し、a、b、cは発泡粒子を三次元座標上のxy、y
z、zyの各平面のそれぞれが、上記発泡粒子に少なく
とも1点で接し、且つ上記各平面が発泡粒子を切断しな
いように三次元座標上に配置した時、上記発泡粒子表面
におけるx、y、zの各座標の絶対値の最大値のいずれ
かがとり得る最小の座標絶対値をaとし、、座標値絶対
値aを示した座標軸と直交する方向の2つの座標値絶対
値の最大値のいずれかとり得る最小の値をbとし、残り
の座標絶対値をcとする(特願平5−309776
号)。
【0027】本発明の製造方法は、連通した空隙が発泡
体の全体積に対して5〜70%存在する熱可塑性樹脂発
泡粒子成型体を対象とするものである。連通した空隙が
5%未満の発泡成型体は、金型を水冷する従来の製造方
法で製造しても、空隙率が小さい為含水量はさほど高く
ならない。従って、空隙が5%未満の発泡成型体を製造
する際、本発明の不活性気体で冷却する製造方法を用い
ても顕著な効果は得られない。又、連通した空隙が70
%を越える発泡成型体の場合、型内成型では発泡成型体
を安定的に製造するのが困難であり、物性的に優れた成
型体が得られない。尚、本発明の製造方法は空隙率が大
きい程、又、発泡成型体の体積が大きい程、冷却用の気
体が成型体の内部を通過する効率が良くなるため、効果
が大きい。
【0028】本発明の製造方法は、冷却工程において不
活性気体の導入とチャンバー内を減圧するのを併用する
ことも可能である。例えば成型用金型に減圧装置が備わ
っている場合には、設備を特別に改良する必要がなく有
利である。この場合、チャンバー内の減圧は、気体導入
の前、後のいずれでも良いが、気体を用いた冷却前に行
うのが好ましい。これは気体を導入する前の発泡成型体
が水蒸気加熱による水分を多く含み、発泡成型体が水分
を多く含んでいると、減圧操作の際の気化熱の絶対量が
大きくなって冷却効果が更に大きくなるためである。こ
の場合の減圧操作はチャンバーに接続された配管等に真
空ポンプを接続して吸引する。好ましい減圧条件は、5
00〜760mmHgで10〜120秒間吸引を行うこ
とである。この範囲内であれば、型内の密閉度をさほど
要求されず設備的に安価であり、又、生産性が低下する
こともない。尚、冷却工程において従来公知の水冷によ
る方法を併用することもできるが、その場合は、不活性
気体を用いた冷却前に行う必要がある。又、当然のこと
ながら冷却工程は不活性気体の導入のみで行っても空隙
を有する発泡成型体の冷却は十分可能であり、安全性、
経済性、作業性の面で最も好ましい。
【0029】
〔実施例1〜6、比較例1〜2〕
(a)発泡粒子の製造:下記の表2にそれぞれ示す基材
樹脂に水酸化アルミニウムを添加して(基材樹脂100
重量部に対し、0.2重量部)押出機内で溶融混練し、
表2に示すような断面形状に応じた形状のダイスからス
トランド状に押出して水中で急冷した後、所定の長さに
カットしてペレット状に造粒してペレットを得た。次い
で、容積400リットルの密閉容器に上記ペレット10
0kgを二酸化炭素(発泡剤)4〜7kg、カオリン
(分散剤)400g、ドデシルベンゼンスルホン酸ナト
リウム(界面活性剤)6g、水220リットルを配合
し、容器内でかくはんしながら基材樹脂の融解終了温度
以上の温度に昇温することなく、152℃の発泡温度
(但し実施例4を除く。実施例4の発泡温度は123℃
とした。)に昇温しその温度で10〜15分間保持した
後に平衡蒸気圧に等しい背圧をかけ、その圧力を保持し
たまま容器の一端を開放して樹脂粒子と水とを同時に放
出して樹脂粒子を所定の発泡倍率に発泡せしめ、表1に
示すような胴部長さ(L)と胴部径(D)との比(L/
D)を有する円筒形又は円柱形の発泡粒子を得た。
【0030】(b)成型:金型内寸法が横幅×縦幅×厚
み=1200mm×900mm×60mmの、蒸気供給
用のスリット孔を有する平板状の成型用金型に発泡粒子
を充填し、蒸気を型内に導入してチャンバー内の発泡粒
子を加熱した。加熱条件は下記の通りである。まず固定
型及び移動型の蒸気弁及びドレン弁を開いて蒸気で5秒
間排気し、次いで固定型の蒸気弁及び両方のドレン弁を
閉じて移動型の蒸気弁のみ開いて表2に示すスチーム圧
−1kgf/cm2 (G)で3秒間蒸気を導入し、最後
に移動型の蒸気弁及び両方のドレン弁を閉じ固定型の蒸
気弁を開いて表2に示す圧力で3秒間蒸気を導入した。
加熱により発泡粒子を融着一体化した後、表2に示す冷
却条件で成型体を冷却して発泡成型体を取り出した。
【0031】
【表2】
【0032】※1:基材樹脂の略号は、PPがエチレン
−プロピレンランダム共重合体(エチレン含有量2.4
重量%、融点146℃、MI=10g/10min)、
LLが直鎖状低密度ポリエチレン(C6 含有量8.6重
量%、融点109℃、MI=2g/10min)であ
る。 ※2:実施例1〜6の成型体の冷却は、圧力が2kgf
/cm2 (G)、温度が20〜30℃の空気を用いた。
金型冷却条件は、弁の開閉状態を前記の表1に示す〜
の状態で、空気を導入した時間(秒)を示した。尚、
比較例1、2の冷却は、21°Cの水を用いた。 ※3:実施例6は、空気を導入する前に600〜500
mmHgにて15秒間真空吸引を行った。得られた発泡
成型体の融着状態、収縮状態、空隙率、含水比を調べ
た。これらの試験方法及び測定方法を下記(d)〜
(g)に示す。
【0033】(d)融着状態は発泡成型体を縦5cm×
横10cm×厚み5mmに切断して得た試験片を長手方
向に切断するまで引張り、切断面を観察した。これを5
枚の試験片について繰り返し行い下記の通り評価した。 ○:全試験片において破断面の発泡粒子の80%(個数
%)に破壊部分が発生 △:1〜2枚の試験片において破断面の発泡粒子の21
%(個数%)以上が破壊されずに破断 ×:3枚以上の試験片において破断面の発泡粒子の21
%(個数%)以上が破壊されずに破断 (e)収縮状態は平板状成型体養生後に横幅×縦幅の面
における横幅及び縦幅を2分する中心線の長さを測定
し、それぞれに対応する金型寸法から縦と横の寸法変化
率を求め、その平均値が4%以内の場合○とし、4%を
越える場合には×とした。 (f)空隙率は、発泡成型体の外形寸法から見掛け体積
Bを算出し、また発泡成型体をアルコール中に沈めた際
に増量した体積を測定して真の体積Cを求め、下記式
(4)より求めた。 空隙率(%)=〔(B−C)/B〕×100・・・・(4) (g)含水比は、金型から取り出した直後の発泡成型体
の重量を測定し、更に養生を行って、乾燥した後の重量
を測定し、下記式(5)より求めた。 含水比(%)=〔成型直後の重量/乾燥後の重量〕×100・・・・(5)
【0034】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の製造方法
は不活性気体を用いて金型の冷却を行う構成を採用した
ことにより、空隙を有する発泡成型体を金型から取り出
す際に、水分の少ない状態で取り出し可能となった。従
来の製造方法では、特に大型の空隙を有する発泡成型体
の場合や空隙率が大きい場合、空隙に多量の水を含むた
め、重量が重くなり型から落下させて取り出す場合に該
発泡成型体が変形したり割れたり、作業者に危険を及ぼ
すといった問題を解決できる。更に乾燥時間の短縮を図
ることができるため、製造効率が向上し低コスト化が図
れる。又、成型装置は特に減圧用ポンプ等も不要であっ
て、従来の装置を略利用して製造可能であって設備コス
トがさほど上昇することもなく、実用的効果が大きい。
【図面の簡単な説明】
【図1】成型用金型の配管の弁の開閉状態を示し、本発
明の製造方法を説明するための図である。
【図2】成型用金型の配管の弁の開閉状態を示し、本発
明の製造方法を説明するための図である。
【図3】成型用金型の配管の弁の開閉状態を示し、本発
明の製造方法を説明するための図である。
【符号の説明】
1 熱可塑性樹脂発泡粒子 2 成型用金型 21 固定型 22 移動型 3 キャビティ 4 キャビティ側インナー型 5 キャビティ型バックプレート 6 加熱及び冷却空間 7 コアー側インナー型 8 コアー型バックプレート 9 加熱及び冷却空間 11、12 冷却用気体導入弁 13、14 ドレン弁

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 熱可塑性樹脂発泡粒子を金型内に充填
    し、水蒸気により加熱して該発泡粒子を溶融接着した後
    冷却工程を経て5〜70%の連通した空隙を有する発泡
    成型体を得る方法であって、上記冷却工程で、圧力0.
    5〜10kgf/cm2 (G)、温度70℃以下の不活
    性気体を金型内に導入して冷却を行うことを特徴とする
    空隙を有する発泡成型体の製造方法。
  2. 【請求項2】 冷却工程において、減圧操作を併用する
    請求項1記載の空隙を有する発泡成型体の製造方法。
JP6332103A 1994-08-16 1994-12-12 空隙を有する発泡成型体の製造方法 Pending JPH08156000A (ja)

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