JPH08154845A - 断熱調理容器 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 蓋部材の開閉操作を容易かつスムーズに行う
ことができ、外容器の口部に偏心または変形が生じても
蓋部材と外容器とが常に確実に係止される断熱調理容器
を得る。 【構成】 断熱性を有する外容器１と、この外容器１に
出し入れ自在に収容された内容器２と、外容器１の口部
外周に開閉自在に設けらた断熱性の蓋部材３とからなる
断熱調理容器において、外容器１の口部外周に、ヒンジ
軸６とバネ９とを備えたヒンジ部１０と、このヒンジ部
１０と対向する側にフック２０を配した環状の肩部材７
が設けられ、蓋部材３をヒンジ部１０のヒンジ軸６に係
合し、バネ９の一端が蓋部材３を開方向に付勢する状態
に係合され、かつ蓋部材３の周縁にフック２０と係合す
るフック係止部２５が設けられている。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、加熱等により半調理品
とした食物を保温して調理完成品とする調理法等に好適
に利用される断熱調理容器に関し、特に蓋部材の開閉操
作を容易にしたものである。

【０００２】

【従来の技術】一般に食物の加熱調理加工は、電熱や直
火を用いて行われるが、このような調理法では、過熱に
よる煮くずれや、焦げ付きが生じ易く、またエネルギー
を多量に消費するといった不都合があった。この不都合
を解消することができる調理法として、熱湯あるいは沸
騰した煮汁中に所望の生野菜や、穀物を浸漬して、半調
理された加熱状態の食品を長時間保温することにより調
理完成品とするものが知られている。この種の断熱調理
容器として、図６及び図７に示すものがある。

【０００３】図６に示した断熱調理容器は、断熱性を有
する外容器１と内容器２と前記外容器１の開口部を閉じ
る断熱性の蓋部材３とからなるものである。外容器１は
外瓶と内瓶とからなる二重構造のもので、これら内外瓶
の間には、真空あるいは断熱材が充填された断熱部が形
成されている。上記蓋部材３の外周部には、外側に向か
って突設され、両側にリブ壁４、４が設けられた凸部５
が設けられている。そして、これらのリブ壁４、４の間
を水平にわたるヒンジ軸６が取り付けられている。

【０００４】また、外容器１の開口部外周には、円環状
の肩部材７が取り付けられている。この肩部材７には、
前記ヒンジ軸６に係合し、前記蓋部材３を回動自在に接
続するヒンジ受け部８が一体成形されており、このヒン
ジ受け部８は上記蓋部材３のリブ壁４、４の間に嵌合さ
れる寸法の上面８ａを有している。この上面８ａの外側
端部には、垂直に立ち上がり、さらにその上端が内側に
湾曲した舌片８ｂが設けられ、上記蓋部材３に取り付け
られたヒンジ軸６が係止される横溝が形成される。そし
て、前記上面８ａの内側端部には、上記横溝に係止され
たヒンジ軸６が外容器１から外れてしまうことを防止す
るためのストッパー８ｃが設けられている。この種の断
熱調理容器では、外容器１のヒンジ受け部８と蓋部材３
のヒンジ軸６とを係合してヒンジ部が構成されている。

【０００５】また、図７に示す断熱調理容器は、図６に
示した断熱調理容器に、さらに前記ヒンジ部と対向する
側の蓋部材３周縁に設けられたフック１２と同じ側の肩
部材７外周に設けられたフック係止部１３とからなるロ
ック機構が設けられた構成となっている。前記フック１
２は、先端部が内側に鋭角に湾曲するレ字形を成してお
り、フック１２の外側面にはフック１２を開閉する際の
把手１２ａが設けられている。このフック１２は、その
基部においてヒンジ１１を支点として回動できるように
取り付けられている。また、外容器１側に形成された前
記フック係止部１３は、前記フック１２のレ字形湾曲部
が嵌合するように形成されている。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】ところが、上述した従
来の断熱調理容器にあっては、ヒンジ部が蓋部材３のヒ
ンジ軸６を外容器１のヒンジ受け部８に係止するだけの
構成となっているため、ヒンジ軸６がヒンジ受け部上面
８ａを舌片８ｂとストッパー８ｃとの間で自由に動くこ
とができ、接続部にガタツキが生じてしまう。また、蓋
部材３は、容器の断熱性能を高めるために、図６および
図７に示すように外容器１の内部に落しこむ構造となっ
ているが、外容器１内部口元に発生する対流を防止する
必要性から、蓋部材３を閉じた際に、外容器１の内周面
とこれに対向する蓋部材３の周面との間隔を大きく取る
ことができない。このため、ヒンジ軸６が係止される定
位置からずれてしまうと、蓋部材３を開閉する際に、こ
の蓋部材３が内容器２または外容器１に接触してしま
い、スムーズな開閉が行えないことがあった。

【０００７】また、図７で示したロック機構が設けられ
た断熱調理容器にあっては、蓋部材３を係止する際には
フック１２のレ字形湾曲部をフック係止部１３に押し込
み、係止をはずす際にはフック１２に設けられた把手１
２ａを外側上方に引き上げてフック１２をフック係止部
１３からはずすといったものであった。また、蓋部材３
を開ける際には、係止をはずしてから蓋部材３を持ち上
げるため、二段階の操作を必要とした。従って、このよ
うなロック機構にあっては、操作が面倒であった。

【０００８】さらに、この種のロック機構は、蓋部材３
と外容器１との隙間からの熱漏れを少しでも小さくする
ため、フック１２とフック係止部１３とのかかりしろに
寸法上の余裕をとることは好ましくない。このため、外
容器１の口部に偏心または歪が生ずると、フック１２と
フック係止部１３との係止が必ずしも確実には行われ
ず、容器の断熱性が不十分となる恐れがあった。

【０００９】本発明は、これらの事情に鑑みてなされた
ものであって、蓋部材の開閉操作を容易かつスムーズに
行うことができ、外容器の口部に偏心または変形が生じ
ても蓋部材と外容器とが常に確実に係止される断熱調理
容器を提供することを目的としている。

【００１０】

【課題を解決するための手段】かかる目的を解決するた
めに、本発明の断熱調理容器は、断熱性を有する外容器
と、この外容器に出し入れ自在に収容された内容器と、
該外容器の口部外周に開閉自在に設けられ、該内容器が
収容された状態で前記外容器の口部開口を閉じる断熱性
の蓋部材とからなる断熱調理容器において、前記外容器
の口部外周に、ヒンジ軸と一端を径方向内方に向けて突
出した状態で設けられたバネとを備えたヒンジ部と、該
ヒンジ部と対向する側に設けられたフックとを配設して
なる環状の肩部材が設けられ、前記蓋部材を該ヒンジ部
のヒンジ軸に係合せしめるとともに、この蓋部材に前記
バネの一端を該蓋部材を開方向に付勢する状態に係合せ
しめ、かつ該蓋部材の前記フックに対応する位置の周縁
に該フックと係合するフック係止部が設けられてなるこ
とを特徴とする。

【００１１】

【作用】本発明の断熱調理容器によれば、上記構成とし
たことにより、フックを押圧して下方に回動させ、フッ
ク爪をフック係止部の係止部天面からはずすだけで、ヒ
ンジ部に配されたバネの復元力によって自動的に蓋部材
が持ち上げられ、容易に容器の蓋を開けることができ
る。また、蓋部材を外容器の開口部に覆いかぶせ、蓋部
材のフック係止部の側面をフック爪の上面に摺動させ
て、フックを下方に回動しながら蓋部材を外容器の開口
端に密着させると、弾性体によってフックが係止位置に
戻され、簡単に蓋部材を外容器にロックすることができ
る。

【００１２】また、バネによって蓋部材が常に開方向に
付勢されているため、蓋部材と外容器との接続部に生じ
るガタツキを少なくすることができ、スムーズに蓋部材
を開閉することができる。

【００１３】

【実施例】図１ないし図５は、本発明の断熱調理容器の
一実施例を示すもので、図６および図７と同一の構成要
素には同一符号を付してその説明を省略または簡略化す
る。図中符号１は外容器、符号２は内容器、および符号
３は蓋部材である。この蓋部材３は、上述の従来例と同
様に、上蓋体３ａと下蓋体３ｂとこれらの間に介在され
る断熱材３ｃとからなる。

【００１４】この蓋部材３は前記外容器１の開口部より
蓋部材３下端が下方に位置するような落し込み構造とさ
れている。この下蓋体３ｂの外径と前記外容器１の内径
との差異は、蓋部材３と外容器１とを閉じたときにこの
間に介在する空気が対流を起こさない寸法範囲とされ、
好ましくは７ｍｍ以下とされる。また、この蓋部材３の
外周部には、外側に向かって突設され両側にリブ壁４、
４を有する凸部５が設けられている。

【００１５】前記外容器１の口部外周、すなわち肩部材
７の外周面には、ヒンジ部１０が設けられている。この
ヒンジ部１０は、肩部材７と一体化された容器側壁部１
０ａと、その上端から延出し下方に折曲される壁部１０
ｂとを有している。これら容器側壁部１０ａと壁部１０
ｂの幅は、前記蓋部材３の各リブ壁４、４間の寸法とほ
ぼ一致するように形成されている。このヒンジ部１０の
上端部には、径方向と同一な向きで、トーションバネ９
の一方の腕が貫通し往復運動できる長孔の溝（図示略）
が形成されている。

【００１６】上記ヒンジ部１０には、水平にヒンジ軸６
が配され、このヒンジ軸６には前記トーションバネ９が
軸止され、かつこのヒンジ軸６には前記蓋部材３のリブ
壁４、４がその両端に係合され、蓋部材３が開閉可能に
取り付けられている。前記トーションバネ９の一方の腕
は、径方向内方に向けて突出し、かつヒンジ部１０の上
端部の溝を貫通して、蓋部材３に嵌合している。また、
トーションバネ９の他方の腕は、ヒンジ部１０の壁部１
０ｂの内面に沿うように配されている。

【００１７】また、上記ヒンジ部１０と対向する側の肩
部材７外周に設けられたフック２０と、このフック２０
と同じ側の蓋部材３周縁に設けられたフック係止部２５
とからなるロック機構が設けられている。図２は、該ロ
ック機構を拡大視して図示したものである。フック２０
は、その上端に、斜め下方に傾斜しかつ前記フック係止
部２５に係止するフック爪２０ａが設けられている。こ
のフック２０は、外容器１の肩部材７外周面から外側に
張り出した突出部７ａにヒンジ軸２１を介して回動自在
に軸支されている。また、前記フック２０の下端と前記
肩部材７との間には、弾性体２２としてコイルスプリン
グの端部がそれぞれ固着されており、この弾性体２２の
復元力によって前記フック２０が常に図１に示す係止位
置に付勢されている。

【００１８】また、蓋部材３側に設けられた前記フック
係止部２５は、前記フック爪２０ａの先端が係止するた
めの係止部天面２６を有している。上記ロック機構は、
フック２０に設けられたフック爪２０ａの先端が、フッ
ク係止部２５の係止部天面２６の中央に係止するように
設定されている。

【００１９】上述のヒンジ部とロック機構とを併せもつ
断熱調理容器にあっては、蓋部材３を開けるときには、
フック２０を押圧してヒンジ２１を支点にフック２０下
端を外容器１に近づける方向に回動させ、フック爪２０
ａをフック係止部２５の係止部天面２６からはずすこと
によって、ロックが解除されると同時に、ヒンジ部１０
に配されたトーションバネ９の復元力によって蓋部材３
が持ち上げられる。

【００２０】また、この蓋部材３を閉じ、ロックするに
は、蓋部材３を外容器１の開口部にかぶせ、蓋部材３の
フック係止部２５の傾斜した側面を、フック２０のフッ
ク爪２０ａの上面に当接させる。さらに、蓋部材３を下
方に押し込んでフック係止部２５の側面でフック爪２０
ａの上面を摺動しながらフック２０を外側に回動させ
て、蓋部材３を外容器１の開口端に密着させる。このと
き、弾性体２２によってフック２０が係止位置に戻さ
れ、係止部天面２６にフック爪２０ａが係止して蓋部材
３が外容器１にロックされる。

【００２１】このような断熱調理容器にあっては、フッ
ク２０を下方に回動させるだけで自動的に蓋部材３を開
けることができ、また、蓋部材３を外容器１の開口部に
かぶせて押し込むだけで、蓋を閉じ、かつロックするこ
とができる。これにより、蓋部材３の開閉作業から煩わ
しさを解消することができる。また、外容器１と蓋部材
３とを接続するヒンジ部１０において、蓋部材３がトー
ションバネ９によって常に開方向に付勢されていること
から、蓋部材３と外容器１との接続部におけるガタツキ
が少なくなる。

【００２２】尚、上記実施例では、蓋部材を開方向に付
勢するバネとして、トーションバネを例示したが、これ
に換えて同様の機能を有するバネ、例えば板バネを用い
て構成してもよい。また、上述の断熱調理容器では、フ
ック２０が外容器１の開口部に設けられ、このフック２
０を係止するためのフック係止部２５が蓋部材３に設け
られているが、これらの取り付け位置は互いに交換可能
であり、前記フック２０が蓋部材３に取り付けられ、前
記フック係止部２５が外容器１の肩部材７に取り付けら
れていてもよい。また、フック係止部２５の係止部天面
２６の径方向の寸法は、外容器１の口部が偏心または変
形してもフック２０が係止されうるように、３ｍｍ程度
以上の係りしろがとられているものが好ましい。

【００２３】

【発明の効果】以上説明したように、本発明の断熱調理
容器は、外容器の口部外周に、ヒンジ軸と一端を径方向
内方に向けて突出した状態で設けられたバネとを備えた
ヒンジ部と、このヒンジ部と対向する側に設けられたフ
ックとを備えた環状の肩部材を設け、蓋部材をヒンジ部
のヒンジ軸に係合し、この蓋部材に前記バネの一端を蓋
部材を開方向に付勢する状態に係合し、かつこの蓋部材
の周縁で前記フックに対応する位置に、このフックと係
合するフック係止部を設けた構成としたことにより、フ
ックを回動させてフック係止部との係止をはずすだけ
で、バネの復元力により自動的に蓋部材を開けることが
でき、また、蓋部材を外容器の開口部にかぶせて下方に
押し込むだけで容器の蓋を閉じかつ蓋部材と外容器とを
ロックすることができるため、蓋部材の開閉作業から煩
わしさが解消される。さらに、バネによって蓋部材が開
方向に常に付勢されているため、蓋部材と外容器との接
続部に生じるガタツキを少なくすることができる。従っ
て、本発明の断熱調理容器は、使用しやすく、操作性の
優れたものとなる。

【００２４】また、フック係止部の係止部天面の径方向
に係りしろがとられているものであれば、外容器の口部
が偏心または変形してもフック爪が確実に前記係止部天
面に係止され、容器の断熱性を一層向上させることがで
きる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の断熱調理容器の一実施例を示す縦断面
図である。

【図２】この実施例におけるロック機構を拡大視した縦
断面図である。

【図３】この実施例のフックをヒンジを支点に回動させ
た状態を示す縦断面図である。

【図４】この実施例の蓋部材を開けた状態を示す縦断面
図である。

【図５】この実施例の蓋部材に設けられたフック係止部
の側面がフック爪の上面に当接した状態を示す縦断面図
である。

【図６】従来の断熱調理容器の一例を示す縦断面図であ
る。

【図７】従来の断熱調理容器の他の例を示す縦断面図で
ある。

【符号の説明】

１…外容器、２…内容器、３…蓋部材、６…ヒンジ軸、
７…肩部材、９…トーションバネ、１０…ヒンジ部、２
０…フック、２５…フック係止部。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 断熱性を有する外容器と、この外容器に
   出し入れ自在に収容された内容器と、該外容器の口部外
   周に開閉自在に設けられ、該内容器が収容された状態で
   前記外容器の口部開口を閉じる断熱性の蓋部材とからな
   る断熱調理容器において、 前記外容器の口部外周に、ヒンジ軸と一端を径方向内方
   に向けて突出した状態で設けられたバネとを備えたヒン
   ジ部と、該ヒンジ部と対向する側に設けられたフックと
   を配設してなる環状の肩部材が設けられ、前記蓋部材を
   該ヒンジ部のヒンジ軸に係合せしめるとともに、この蓋
   部材に前記バネの一端を該蓋部材を開方向に付勢する状
   態に係合せしめ、かつ該蓋部材の前記フックに対応する
   位置の周縁に該フックと係合するフック係止部が設けら
   れてなることを特徴とする断熱調理容器。