JPH08152039A - 振動減衰装置 - Google Patents

振動減衰装置

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JPH08152039A
JPH08152039A JP29540294A JP29540294A JPH08152039A JP H08152039 A JPH08152039 A JP H08152039A JP 29540294 A JP29540294 A JP 29540294A JP 29540294 A JP29540294 A JP 29540294A JP H08152039 A JPH08152039 A JP H08152039A
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particles
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fluid
voltage
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Withdrawn
Application number
JP29540294A
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English (en)
Inventor
Moritaka Goto
守孝 後藤
Kenji Furuichi
健二 古市
Hidenobu Anzai
秀伸 安齊
Masayuki Tsunoda
政幸 角田
Hisao Someya
久雄 染谷
Shigeki Moriga
茂樹 森賀
Kazuya Edamura
一弥 枝村
Yasubumi Otsubo
泰文 大坪
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Fujikura Kasei Co Ltd
Fujikura Ltd
Fujikura Composites Inc
Original Assignee
Fujikura Kasei Co Ltd
Fujikura Rubber Ltd
Fujikura Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 ER流体の減衰力を振動検出データにより制
御して振動を吸収する。 【構成】 被振動吸収体と一体に振動する架台24の振
動を検出し、これによって電源部300を制御すること
により、ピストン体30に粘性抵抗を与えるER流体の
印加電圧を制御する。またER流体には、電気絶縁性媒
体中に誘電体粒子を分散させてなる粒子分散型ER流体
が用いられる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、電気レオロジー流体
(Electro Rheological流体、以下
ER流体と称す)を用い、その電界配列効果に基づいて
物体の振動を減衰させる技術に関する。
【0002】
【従来の技術】電気レオロジー流体を用いた振動減衰の
技術として、特開平1−312241号公報に記載され
た「粘度可変流体封入制御型エンジンマウント装置」が
知られている。この装置にあっては、エンジンマウント
装置に振動減衰のために設けられたいわゆるダッシュポ
ットの作動流体としてER流体を適用し、エンジン回転
数の検出値に基づいて前記ER流体へ印加する電圧をフ
ィードバック制御することにより、振動減衰力を適正な
大きさに制御することが行われている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところで、従来のER
流体を用いた制御系では、検出値に基づき、制御系に設
定された所定のループゲインを乗じてER流体の印加電
圧を制御したとしても、減衰力がばらつく傾向があり有
効に振動を減衰させることができない場合があった。こ
れは、作動流体中の電界配列性粒子(Electro
Alignmnet性を有する粒子、以下EA粒子と称
す)が不定形であるため、所定の印加電圧によって鎖状
体が形成されることによる応力値が一定でないことに起
因するものと推定される。この結果、従来のER流体を
用いた振動減衰用のフィードバック制御系では、確実に
振動を減衰させることが難しいという問題があった。
【0004】ところで、本発明者らは、従来知られてい
ない新規な電界配列特性を有するER流体の研究を行っ
ている。この流体組成物は、例えば、電気絶縁性の媒体
中に固体粒子を分散させて得られる流体に電界を印加す
ると固体粒子が誘電分極を起こし、さらに誘電分極に基
づく静電引力によって互いに電場方向に配位連結して整
列し、鎖状体構造を示す性質を持っている。また、固体
粒子によっては電気泳動して配列配向し、配列塊状構造
を示す性質を示すものもある。このように、電界下にお
ける粒子の配列配向を電界配列効果と呼び、そのような
性質を有する固体粒子を電界配列性粒子と呼ぶこととす
る。そして本発明者らは、この新規な構造のER流体の
研究を進めることにより本発明に到達した。
【0005】本発明は、上記従技術の有する問題点に鑑
みてなされたものであり、電界配列効果を有し、印加さ
れる電圧によって粘度を変更することができる流体組成
物を備えた振動減衰装置を提供することによって上記の
問題点を解決することを目的としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、請求項1の発明は、被振動吸収体と一体に変位し、
機枠に対して移動可能に支持された架台と、この架台に
結合されたピストン体と、このピストン体内に形成さ
れ、内部に電気レオロジー流体が封入された粘性体室
と、この粘性体室内にあって、前記ピストン体の移動に
対して相対的に移動する固定部材と、前記電気レオロジ
ー流体に電圧を印加する電極部材と、この電極部材に電
源を供給する電源部と、前記架台に生じる振動を検出す
る振動検出手段と、この振動検出手段の検出信号によっ
て前記電源部を制御する電源制御手段とを備えたことを
特徴とする。請求項2の発明は、請求項1において、前
記電気レオロジー流体は、電気絶縁性媒体中に誘電体粒
子を分散させてなる粒子分散型電気レオロジー流体であ
ることを特徴とする。請求項3の発明は、請求項2にお
いて、前記誘電体粒子が、有機高分子材料からなる芯体
と電気レオロジー効果を有する無機物からなる表層とに
よって形成される無機・有機複合粒子であることを特徴
とする。請求項4の発明は、請求項3において、電気レ
オロジー効果を有する無機物が、無機イオン交換体、シ
リカゲル及び電気半導体性無機物のうちから選択される
少なくとも一種からなるものであることを特徴とする。
請求項5の発明は、請求項1ないし4のいずれかにおい
て、前記ピストン体には、前記架台の変位方向に相互に
間隔をおいて設けられて粘性体室を構成する一対の環状
ダイアフラムが設けられていて、これらの一対の環状ダ
イアフラムの外周縁部と内周縁部は前記機枠側に固定さ
れており、これらの一対の環状ダイアフラムの間に前記
電極部材を有する固定部材が配置されたことを特徴とす
る。
【0007】さらに、電界配列性の無機物が無機イオン
交換体である場合、この無機イオン交換体は、多価金属
の水酸化物、ハイドロタルサイト類、多価金属の酸性
塩、ヒドロキシアパタイト、ナシコン型化合物、粘土鉱
物、チタン酸カリウム類、ヘテロポリ酸塩および不溶性
フェロシアン化物からなる群から選ばれた少なくとも1
種であることが好ましい。また、電界配列性の無機物が
電気半導体性無機物である場合、この電気半導体性無機
物は、室温にて103 Ω-1cm-1ないし10-11Ω-1
-1の範囲内の電気伝導 度を有するものであることが
好ましい。この電気半導体性無機物は、金属酸化物、金
属水酸化物、金属酸化水酸化物、無機イオン交換体、こ
れらの少なくともいずれか1種に金属ドーピングを施し
たもの、および金属ドーピングの有無に拘らず、これら
の少なくともいずれか1種を他の支持体上に電気半導体
層として施したものからなる群から選ばれた少なくとも
1種であることが好ましい。
【0008】
【作用】本発明の振動減衰装置において、振動検出手段
が被振動吸収体の振動を検出しない場合、電極部材間に
電圧が印加されず、この状態では、ER流体中の電界配
列効果(以下EA効果と称する)を有するEA粒子は電
気絶縁性媒体中に不規則にランダムに浮遊・分散してい
る。被振動吸収体の振動が検出されると、制御手段が電
源部を制御して電極部材に電圧を印加する。電極部材に
電圧が印加されると、誘電体粒子が鎖状に配列結合して
鎖状体(粒子鎖)を形成し、この鎖状体が電界方向に平
行して配列する。この状態では、被振動吸収体の振動に
伴ってピストン体と固定部材とが相対的に移動するが、
粘性体室内のER流体に電圧が印加されていて鎖状体自
体が弾性の性質を持っているため、鎖状体が引っ張られ
る方向への変位に対しては、向かい合う粒子同士が引き
合って引力を生じ、また、鎖状体が圧縮される方向への
変位に対しては、鎖状体が撓んで反発力を生じ、ピスト
ン体と固定部材との相対的な移動に対して粘性抵抗を与
える。すなわち、振動検出手段が大きな振動を検出した
場合には架台の変位に対して粘性体室内におけるピスト
ン体および固定部材の相対的な変位に大きな流体抵抗が
与えられて振動が減衰する。
【0009】図6はEA粒子30wt%分散系について
電界配列特性(以下EA特性と称する)に及ぼす電界強
度の影響を測定した結果を示すグラフである。このグラ
フから印加電圧が増加するほど鎖状体に働く応力は増大
することが明かである。EA特性は、誘電分極した粒子
が電気的引力により電場方向に配列し、鎖状構造を形成
することに起因する。低せん断速度では、電気的引力が
支配的であるので、鎖状構造の破壊と再形成がゆるやか
に繰り返される。電場方向に並んだ鎖をそれと直角方向
にせん断破壊させるとき発生する力が降伏応力に相当す
る。形成されるすべての鎖の粒子が同じ直径をもち、直
鎖状の並んで電極板間を結んでいると考えると、鎖の数
は粒子濃度に比例するので、降伏応力も粒子濃度に比例
することになる。
【0010】
【実施例】以下、本発明の一実施例について図面を参照
して詳細に説明する。先ず、図3に本発明に係わるER
流体組成物の一具体例を示す。このER流体組成物は、
電気絶縁性媒体1中に固体粒子であるEA粒子(電界配
列性粒子)2が均一に分散されてなっている。このEA
粒子2は、有機高分子化合物からなる芯体3と、電界配
列性無機物(以下EA無機物と称する)である粒子4か
らなる表層5とによって形成され、無機・有機複合粒子
を形成している。この具体例において、電気絶縁性媒体
1は無色透明のシリコーン油であり、無機・有機複合粒
子の芯体3を形成する有機高分子化合物はポリアクリル
酸エステルであり、表層5を形成するEA無機物の粒子
4は無機イオン交換体でありかつ電気半導体性無機物で
もある白色の水酸化チタンである。このEA粒子(無機
・有機複合粒子)の色は例えば白色である。また、電気
絶縁性媒体1中に含まれるEA粒子2の割合は例えば3
0重量%である。
【0011】 このER流体組成物は、図4に示すよう
に、離間して平行に配置した一対の電極板7,8の間に
介在させる。図5に示すように、この一対の電極板7,
8に、電源9からスイッチSWを介して電圧を印加する
と、EA効果によってEA粒子2が電極板7,8の面と
直角の方向に鎖状に配列して鎖状体(粒子鎖)6を形成
する。このとき、各鎖状体6は相互に離間して平行に配
向する。
【0012】上記ER流体組成物を用いた振動減衰装置
は、全体として図1に示すような構成となっている。す
なわち、振動減衰機本体100と、図示しない被振動吸
収体の振動を検出するセンサ200と、このセンサ20
0の検出信号によって前記振動減衰機100中のER流
体へ電圧を印加する電源部(具体的には高圧電源)30
0を制御する電源制御手段400とから構成されてい
る。
【0013】本発明の第1実施例に適用される振動減衰
機本体100の具体的構成を図7ないし図10によって
説明する。この実施例に示す減衰装置100は、鉛直軸
Oを中心とする回転対称形状をしている。機枠11は、
外筒12、内筒13、環状天板14、底板15、環状リ
テーナ16及び内筒13の底部閉塞板17からなってい
て、外筒12の内部に閉じられた大気体室18を形成し
ている。この大気体室18内には、被振動吸収体の重量
に合わせた空気圧(気体圧)でガス(通常は空気)が封
入されている。環状リテーナ16と環状天板14には、
それぞれその中心部に円形孔16a、14aが形成され
ている。この環状リテーナ16と環状天板14aの間に
は、ローリングダイアフラム(Rダイアフラム)20の
周縁ビード部20aが保持されている。このRダイアフ
ラム20は、円形孔16a、14aと、円形台22との
隙間内に入り込む折返部分20bが断面半円弧状をなし
ている。このRダイアフラム20は、円形台22が移動
しても、受圧面積が変化しないダイアフラムとして知ら
れている。
【0014】円形孔16aと14a内には、円形台22
が環状の隙間をもって位置しており、この円形台22の
下面と結合ロッド23の頭部23aとの間に、Rダイア
フラム20の中心部が挟着支持されている。円形台22
上には、被振動吸収体に結合される架台24が固定され
ており、結合ロッド23の下端部は、ピストン体30に
固定されている。ピストン体30は、内筒13内に位置
していて、内筒13内は、大気体室18内に位置する別
の小気体室27が形成されている。すなわち、小気体室
27は、Rダイアフラム20、内筒13及び下部閉塞板
17によって形成されており、この小気体室27は、オ
リフィス28を介して大気体室18と連通している。
【0015】ピストン体30は、上下左右に両対称な形
状をなしている。結合ロッド23に結合されている断面
T字状のピストン基体31は、天板部31aと軸部31
bを有し、この軸部31bの下端部に底板32が固定さ
れている。この天板部31aと底板32にはそれぞれ対
向させて、ダイアフラムのバックアップリング33、3
4が固定されている。このバックアップリング33、3
4にはそれぞれ、環状ローリングダイアフラム(環状R
ダイアフラム)35、36の中心部が接触している。
【0016】一方、内筒13には、この環状Rダイアフ
ラム35、36とともに、ピストン体30内にER流体
室40を形成する4つの液室ブロック41、42、4
3、44が固定されている。これらの液室ブロックは、
上側内環状ブロック41、上側外環状ブロック42、下
側内環状ブロック43、及び下側外環状ブロック44か
らなるもので、軸部31b(鉛直軸O)を中心とする同
心状に配置されている。上側外環状ブロック42、下側
外環状ブロック44はそれぞれ、係止リング45、46
により内筒13に固定されるもので、上側外環状ブロッ
ク42と内筒13の間に、環状Rダイアフラム35の外
周縁ビード部35aが固定され、下側外環状ブロック4
4と内筒13の間に、環状Rダイアフラム36の外周縁
ビード部36aが固定されている。また、環状Rダイア
フラム35、36の内周縁部は、固定リング47、48
によって、上側内環状ブロック41、下側内環状ブロッ
ク43に固定されている。
【0017】バックアップリング33、34の内周側と
外周側にはそれぞれ、上側及び下側外環状ブロック4
2、44との間、及び上側及び下側内環状ブロック4
1、43との間に環状の隙間が形成されている。環状R
ダイアフラム35、36は、この内外の環状の隙間内に
入り込んで折り返され、その折返部分35b,36bと
35c,36cとは断面半円弧状をなしている。
【0018】一方、上側内環状ブロック41と上側外環
状ブロック42の下端部と、下側内環状ブロック43と
下側外環状ブロック44の上端部の間には、多孔電極円
板群50が挟着されている。この多孔電極円板群50
は、図9、図10に示すように、一対の多孔電極円板5
1、52を単位とするもので、この多孔電極円板51、
52の間に、電圧制御回路53を介して制御電圧が与え
られる。多孔電極円板51、52は、多数の流体通過孔
54を有するもので、この流体通過孔54を通って、E
R流体室40内に封入したER流体が移動できる。ER
流体は、多孔電極円板51と52の間に印加する電圧の
大小によって粘性が変化するものであり、ピストン体3
0の移動抵抗は、高圧電源300によって多孔電極円板
51と52に与える電圧の大小によって制御することが
できる。内環状ブロック41、43の外環状ブロック4
2、44に対する同心性は、多孔電極円板群50によっ
て保持されている。55、56は、隣り合う多孔電極円
板51、52の内周部と外周部の間に挿入された環状絶
縁スペーサである。なお、ピストン体30の天板部31
aと底板32にはそれぞれピストン体の上下を連通さ
せ、内筒13内を連続した小気体室27とする連通孔3
3a、34aが形成されている。
【0019】上記構成の本装置は、架台24上に振動を
吸収すべき物体を置くと、その振動が概ね次のようにし
て吸収される。架台24に振動が加わると、その上下方
向の成分は、架台24、円形台22及びピストン体30
の全体を上下方向に移動させようとする。いま、多孔電
極円板群50の多孔電極円板51と52の間には、電圧
を印加しないとすると、ER流体室40内のER流体の
粘度は最低である。つまり、ER流体室40内のER流
体は、架台24の振動吸収には殆ど寄与しないと考えら
れる。よって、この状態では、主に、小気体室27内の
加圧空気の作用により振動が吸収される。すなわち、円
形台22、架台24が上下に動くと、小気体室27の容
積が変化するから、オリフィス28を介して小気体室2
7内の圧縮空気が大気体室18との間で移動し、その結
果、振動が吸収される。また、この実施例では、Rダイ
アフラム20の折返部分20bの間に、圧縮空気が入り
込んでいるので、この部分の圧縮空気の変形によって水
平方向への振動をも吸収することができる。
【0020】この圧縮空気を利用した振動減衰系では、
一定以上の高周波に対する振動吸収能力が小さい。そこ
で、振動が高周波にはるに従い、電圧制御回路53を介
して、多孔電極円板51、52の間に電圧を印加し始め
る。すると、ER流体室40内のER流体の粘度が上昇
していく結果、ピストン体30の移動抵抗が増加してい
くので、高周波域の振動も吸収することができることに
なる。すなわち、ピストン体30は、架台24が上下に
振動すると、機枠11側に固定されている液室ブロック
41〜44に対して移動することとなり、その際、バッ
クアップリング33、34が環状Rダイアフラム35、
36を介して室40内のER流体を多孔電極円板群50
の流体通過孔54を通過させる。流体通過孔54を通っ
て移動するER流体の粘度が高くなれば、ピストン体3
0の移動抵抗が増加するから、多孔電極円板51、52
の間に印加する電圧を、振動が高周波になるにしたがっ
て高くするように電源部300を制御することにより、
より高周波域の振動を吸収することができる。また、振
動検出手段200により検出される振動(の振幅が)大
きくなるにしたがって印加電圧が高くなるように制御す
ることによっても、同様に振動を有効に抑制することが
できる。
【0021】次いで、前記電源制御手段400の具体的
構成、およびその制御動作の内容を説明する。振動検出
手段200は例えば加速度センサからなるもので、架台
24(被振動吸収体)に発生した振動の振幅に対応する
信号(以下検出信号と称す)を出力する。この検出信号
は、増幅器401により増幅された後、サンプル&ホー
ルド回路402においてアナログ値が保持され、A/D
コンバータ403により所定のnビットの信号に変換さ
れた後、CPU405へ供給される。前記サンプル&ホ
ールド回路402におけるサンプリングおよびホール
ド、および、前記A/Dコンバータ403における変換
処理は、サンプリングクロック404から供給されるク
ロックパルスによって所定のタイミングで同期して行わ
れるようになっている。
【0022】前記CPU405は、振動の検出信号に対
応して予め記憶されているデータを前記取り込まれた検
出信号に基づいて検索し、検出信号に対応した電圧指令
値を出力する。この電圧指令値は、D/Aコンバータ4
06によってD/A変換された後、増幅器407によっ
て増幅され、出力電圧の制御信号として高圧電源300
へ供給される。この結果、高圧電源300によって多孔
電極円板51、52へ印加される電圧が架台24の振動
の大きさ(振幅)に対応した適正な値に制御される。す
なわち、振動が大きい場合には、より大きな減衰力を発
生させるべくER流体の粘性を高めるように印加電圧が
制御される。
【0023】上記CPU405における制御動作の内容
を図2のフローチャートにより説明する。 ステップS1 振動検出値G1が入力される。 ステップS2 振動検出値G1に対応する電圧指令値E1を検索する。 ステップS3 検索された電圧指令値E1を出力する。この結果、ER
流体に印加される電圧が調整される。 ステップS4 再度振動検出値G2が入力される。 ステップS5 G2−G1なる演算により、振動検出値の偏差ΔGを求
める。 ステップS6 偏差ΔGを基準値Tと比較する。偏差ΔGが基準値T未
満の場合にはS7へ、ΔGが基準値T以上の場合にはS
8へ進む。 ステップS7 現在のG1の値にG2を代入し、S4へ戻って以下のス
テップを繰り返す。 ステップS8 G2に対応する電圧指令値E2を検索する。 ステップS9 電圧指令値E2を出力し、この結果、ER流体の粘度が
変化して減衰力が制御される。 ステップS10 現在のG1の値にG2を代入し、S4に戻って以下のス
テップを繰り返す。すなわち上記各ステップの処理を行
うことにより、振幅の検出値G1が所定値T以上にわた
って変化するごとに多孔電極円板51,52への印加電
圧が調整される。
【0024】なお、振幅検出値に基づいて高圧電源30
0を制御する方式に代えて、図1に破線で示すように振
動周期(振動数の逆数)を検出し、この検出値によって
高圧電源300を制御するようにしてもよい。すなわ
ち、増幅器401の出力を比較器408に供給し、この
比較器408において所定のしきい値と比較してLまた
はHのいずれかを判定し、LからHへの立ち上がりの周
期をCPU405の内蔵タイマによって計数することに
より、架台24の振動周期(振動数の逆数)を検出する
ことができる。CPU405は、振動周期が短くなるに
したがって(振動周波数が高くなるにしたがって)ER
流体に印加する電圧を高くして大きな減衰力を発生させ
るように高圧電源300を制御する。
【0025】また、振幅の検出値に基づいて高圧電源3
00を制御する方式において、制御信号を振動数(振動
周期)の検出値によって補正する方式を採用してもよ
い。すなわち、振動減衰機本体100の減衰能力は振動
数によって異なるから、振幅の検出信号によって高圧電
源300のフィードバック制御する際のループゲインを
振動数の検出信号によって補正するようにしてもよい。
【0026】図11は、本発明の第2実施例にかかる振
動減衰機本体100Aを示すものである。第1の実施例
では内筒13内の全体を小気体室27としたが、この実
施例では、内筒13内に、ピストン体30の上方に位置
させて隔壁25を設け、この隔壁25によって小気体室
27’を形成している。隔壁25には、結合ロッド23
を気密に保持した状態で摺動自在に保持する挿通孔26
が形成されている。内面13の下端部には閉塞板が設け
られておらず、下端開放部62を介して大気体室17と
連通している。また、隔壁25の下部は、連通孔61を
介して大気圧室17と連通している。したがって、この
実施例に示す装置においても、架台24に振動が加わる
と、小気体室27’の容積が変化するから、第1実施例
の場合と同様の減衰作用を得ることができる。
【0027】以上の各実施例では、ER流体に電圧を加
える電極部材として多孔電極円板51、52を用いた
が、これは例えば、ER流体の流路を挟んで互いに対向
する電極部材に置き換えることが可能である。要は、E
R流体の粘度が変化する結果、ピストン体30の移動抵
抗が変化するように、電極部材を設置すればよい。ま
た、小気体室27とER流体室40(ピストン体30)
の設置位置には自由度があるから、振動を吸収すべき物
体あるいはその周囲の状況に応じて、小気体室27とE
R流体室40の位置は変えることができる。また、ロー
リングダイアフラム20、35、36は、通常のダイア
フラムに代えることも可能である。
【0028】図12は本発明の第3実施例にかかる振動
減衰機本体100Bを示すものである。この実施例で
は、第1の実施例における小気体室27を粘性流体室7
0とし、この粘性流体室70内に上部に気体室71を残
してER流体72を封入している。小気体室71は、内
筒13、ER流体72の液面、Rダイアフラム20、及
び円形台22によって閉じられており、この小気体室7
1と機枠11内の大気体室18Aとはオリフィス28a
によって連通している。この実施例では、結合ロッド2
3の下端部に電極固定部73が一体に設けられており、
架台24、円形台2、結合ロッド23、及び電極固定部
73が上下に一体に移動する上下動体74を構成してい
る。上下動体74には、ER流体72内に延びる上下方
向に長い複数の電極板51Aが固定されており、一方、
内筒13には、これらの複数の電極板51Aの間に交互
に位置して上下方向に延びる複数の電極板52Aが固定
されている。この電極板51Aと52Aとの間には、図
9の高圧電源300と同様の回路によって所望の電圧が
与えられる。
【0029】この実施例によると、架台24に振動が加
わると、オリフィス28aを通じて小気体室71と大気
体室18とで行き来する圧縮空気により、振動が吸収さ
れる。また、電極板51Aと52Aに印加する電圧の大
小によりER流体の粘度が変化するから、上下動体74
の移動抵抗が変化する。よって、先の各実施例と同様
に、電極板51Aと52Aに印加する電圧を制御するこ
とにより、低周波から高周波まで振動を吸収することが
できる。
【0030】なお、第2実施例、第3実施例のいずれの
場合においても、第1実施例の振動減衰機本体と同様、
図1に示すようなフィードバック制御によって振動を有
効に減衰させることができる。また、振動減衰機本体の
構成は上記各実施例に限定されるものではなく、被振動
吸収体と一体に変位する架台24に連結されたピストン
に粘性抵抗を与える流体としてER流体を用いるもので
あれば、その具体的構成は実施例に限定されるものでは
ない。
【0031】図13および図14は本発明のER流体の
応答性についての実験例を示すものである。図13は実
験装置の構成を示すものである。Fは棒状の被振動体で
あって、この被振動体Fの一端にはコイルCが設けられ
ている。このコイルCに電流を供給して交番磁界を発生
させることにより、永久磁石Mとの間に被振動体Fの長
さ方向へ向けて、前記電流に同期した吸引力あるいは反
発力が生じるようになっている。前記被振動体Fの他端
には、振動検出部Pが設けられている。この振動検出部
Pは、前記被振動体Fの振動に伴って一対の電極板の相
互間隔が変化することを利用し、被振動体Fの振動を前
記一対の電極の間の静電容量の変化として検出するよう
になっている。
【0032】前記被振動体Fの中間部分には電極Gが設
けられ、この電極Gと対向する位置にも電極Tが設けら
れている。そして、これら電極GおよびTの間にER流
体Sが介在させられていて、電極GおよびTの間に印加
される電圧に応じてその粘性が変化して振動減衰能力を
発揮するようになっている。なお符号Lは被振動体Fを
支持する支持部材である。
【0033】上記実験装置において、コイルCを50ヘ
ルツの交流電流で励磁すると、マグネットMとの間に生
じる力によって被振動体Fに周期20ms(ミリ秒)の
振動が生じ、これが振動検出部Pにより検出される。こ
こで、時刻t1において電極GとTとの間に電圧を印加
する。この印加電圧は時刻t1から時刻t3までの間に
ゼロボルトからEボルトまで立ち上げられる。図14の
実験データから明かなように、時刻t1において印加電
圧が上昇し始めると、その直後(約二周期後)の時刻t
2では既に振動が減衰していることが確認された。さら
に、時刻t3において印加電圧がEに達した後、時刻t
4にいたる迄の区間で徐々に振動が減衰することが確認
された。したがって、本発明のER流体を用いて電圧を
印加することにより減衰力を発生させようとする場合、
少なくとも40ms以上のレスポンス特性が得られる
(長くとも40msで応答して減衰能力を発揮すること
ができる)ことが確認された。
【0034】 なお、上記実施例においては、電界の印
加によってEA粒子(無機・有機複合粒子)2が1列の
鎖状体6を形成して平行に配列する現象について説明し
たが、EA粒子2の数が数重量%を越えて多くなると、
1列の鎖状体6ではなく、鎖状体6が複数列相互に接合
して、図15の(a)の如くカラム6’を構成して配列
するようになる。このカラム6’においては左右の鎖状
体のEA粒子2は1つずつずれて互い違いに隣接する。
これについて本発明者らは、図15の(b)に示すごと
く、+極部分と−極部分に誘電分極しているEA粒子2
が互い違いに隣接して+極部分と−極部分とが引き合っ
て配列した方がエネルギー的に安定なためであると推定
している。
【0035】本発明のER流体組成物に用いる電気絶縁
性媒体1としては、例えば、塩化ジフェニル、セバチン
酸ブチル、芳香族ポリカルボン酸高級アルコールエステ
ル、ハロフェニルアルキルエーテル、トランス油、塩化
パラフィン、弗素系オイル、またはシリコーン系オイル
やフルオロシリコーン系オイルなど、電気絶縁性及び電
気絶縁破壊強度が高く、化学的に安定でかつEA粒子を
安定に分散させ得るものであればいずれの流体またはこ
れらの混合物も使用可能である。この電気絶縁性媒体1
は、目的に応じて着色することができる。着色する場合
は、選択された電気絶縁性媒体に可溶であってその電気
的特性を損なわない種類と量の油溶性染料または分散性
染料を用いることが好ましい。電気絶縁性媒体1には、
この他に分散剤、界面活性剤、粘度調整剤、酸化防止
剤、安定剤などが含まれていてもよい。
【0036】この電気絶縁性媒体1の動粘度は、1cS
tないし30000cStの範囲内であることが好まし
い。動粘度が1cStより小さいと、流体組成物の貯蔵
安定性の面で不足を生じ、動粘度が30000cStよ
り大きいと、EA粒子の均一分散が困難になるととも
に、調整時に気泡を巻き込み、その気泡が抜けにくくな
り、取り扱いに支障を来すので好ましくない。この観点
から、動粘度は10cStないし1000cStの範囲
内、特に10cStないし100cStの範囲内である
ことが好ましい。もちろん、電気絶縁性媒体1の動粘度
は、温度により変化し、この温度影響を印加電圧によっ
て抑制することができる。
【0037】本発明に用いられるEA粒子2は、EA効
果を有する無機・有機複合粒子であれば、元素、有機化
合物、または無機化合物、またはそれらの混合物など、
いずれの素材も使用可能である。その例としては例えば
無機イオン交換体、金属酸化物、シリカゲル、電気半導
体性無機物、カーボンブラックなどの粒子、およびこれ
らを表層として有する粒子を挙げることができる。しか
し、このEA粒子2は、上記実施例に示したように、有
機高分子化合物からなる芯体3と、EA無機物の粒子4
からなる表層5とによって形成された無機・有機複合粒
子であることが特に好ましい。この無機・有機複合粒子
は、比較的比重が重いEA無機物の粒子4からなる表層
5が比較的比重の軽い有機高分子化合物である芯体3に
担持されていて、その粒子全体の比重を電気絶縁性媒体
1に対して近似するように調節できる。従ってこれを電
気絶縁性媒体1に分散して得られたER流体組成物は、
貯蔵安定性に優れたものとなる。
【0038】EA粒子(無機・有機複合粒子)2の芯体
3として使用し得る有機高分子化合物の例としては、ポ
リ(メタ)アクリル酸エステル、(メタ)アクリル酸エ
ステル−スチレン共重合物、ポリスチレン、ポリエチレ
ン、ポリプロピレン、ニトリルゴム、ブチルゴム、AB
S樹脂、ナイロン、ポリビニルブチレート、アイオノマ
ー、エチレン−酢酸ビニル共重合体、酢酸ビニル樹脂、
ポリカーボネート樹脂などの1種または2種以上の混合
物または共重合物を挙げることができる。
【0039】表層5を形成するEA無機物である粒子4
としては種々のものが用い得るが、好ましい例としては
無機イオン交換体とシリカゲルと電気半導体性無機物と
を挙げることができる。これらの粒子4を用いて有機高
分子化合物からなる芯体3の上に表層5を形成すると
き、得られた無機・有機複合粒子は有用なEA粒子2と
なる。
【0040】上記無機イオン交換体の例としては(1)
多価金属の水酸化物、(2)ハイドロタルサイト類、
(3)多価金属の酸性塩、(4)ヒドロキシアパタイ
ト、(5)ナシコン型化合物、(6)粘土鉱物、(7)
チタン酸カリウム類、(8)ヘテロポリ酸塩、および
(9)不溶性フェロシアン化物を挙げることができる。
【0041】以下に、それぞれの無機イオン交換体につ
いて詳しく説明する。 (1)多価金属の水酸化物。 これらの化合物は、一般式MOx(OH)y(Mは多価金
属であり、xは零以上の数であり、yは正数である)で
表され、例えば、水酸化チタン、水酸化ジルコニウム、
水酸化ビスマス、水酸化錫、水酸化鉛、水酸化アルミニ
ウム、水酸化タンタル、水酸化ニオブ、水酸化モリブデ
ン、水酸化マグネシウム、水酸化マンガン、および水酸
化鉄などである。ここで、例えば水酸化チタンとは含水
酸化チタン(別名メタチタン酸またはβチタン酸、Ti
O(OH)2)および水酸化チタン(別名オルソチタン
酸またはαチタン酸、Ti(OH)4)の双方を含むも
のであり、他の化合物についても同様である。
【0042】(2)ハイドロタルサイト類。 これらの化合物は、一般式M13Al6(OH)43(C
O)3・12H2O(Mは二価の金属である)で表され、
例えば二価の金属MがMg、CaまたはNiなどであ
る。 (3)多価金属の酸性塩。 これらは例えばリン酸チタン、リン酸ジルコニウム、リ
ン酸錫、リン酸セリウム、リン酸クロム、ヒ酸ジルコニ
ウム、ヒ酸チタン、ヒ酸錫、ヒ酸セリウム、アンチモン
酸チタン、アンチモン酸錫、アンチモン酸タンタル、ア
ンチモン酸ニオブ、タングステン酸ジルコニウム、バナ
ジン酸チタン、モリブデン酸ジルコニウム、セレン酸チ
タンおよびモリブデン酸錫などである。
【0043】(4)ヒドロキシアパタイト。 これらは例えばカルシウムアパタイト、鉛アパタイト、
ストロンチウムアパタイト、カドミウムアパタイトなど
である。 (5)ナシコン型化合物。 これらには例えば(H3O)Zr2(PO43のようなも
のが含まれるが、本発明においてはH3OをNaと置換
したナシコン型化合物も使用できる。 (6)粘土鉱物。 これらは例えばモンモリロナイト、セピオライト、ベン
トナイトなどであり、特にセピオライトが好ましい。
【0044】(7)チタン酸カリウム類。 これらは一般式aK2O・bTiO2・nH2O(aは0
<a≦1を満たす正数であり、bは1≦b≦6を満たす
正数であり、nは正数である)で表され、例えばK2
TiO2・2H2O、K2O・2TiO2・2H2O、0.
5K2O・TiO2・2H2O、及びK2O・2.5TiO
2・2H2Oなどである。なお、上記化合物のうち、aま
たはbが整数でない化合物はaまたはbが適当な整数で
ある化合物を酸処理し、KとHとを置換することによっ
て容易に合成される。
【0045】(8)ヘテロポリ酸塩。 これらは一般式H3AE1240・nH2O(Aはリン、ヒ
素、ゲルマニウム、またはケイ素であり、Eはモリブデ
ン、タングステン、またはバナジウムであり、nは正数
である)で表され、例えばモリブドリン酸アンモニウ
ム、およびタングストリン酸アンモニウムである。 (9)不溶性フェロシアン化物。 これらは次の一般式で表される化合物である。Mb-pxa
A[E(CN)6](Mはアルカリ金属または水素イオ
ン、Aは亜鉛、銅、ニッケル、コバルト、マンガン、カ
ドミウム、鉄(III)またはチタンなどの重金属イオ
ン、Eは鉄(II)、鉄(III)、またはコバルト
(II)などであり、bは4または3であり、aはAの
価数であり、pは0〜b/aの正数である。) これらには例えば、Cs2Zn[Fe(CN)6]および
2Co[Fe(CN)6]などの不溶性フェロシアン化
合物が含まれる。
【0046】上記(1)〜(6)の無機イオン交換体は
いずれもOH基を有しており、これらの無機イオン交換
体のイオン交換サイトに存在するイオンの一部または全
部を別のイオンに置換したもの(以下、置換型無機イオ
ン交換体という)も、本発明における無機イオン交換体
に含まれるものである。即ち、前述の無機イオン交換体
をR−M1(M1は、イオン交換サイトのイオン種を表
す)と表すと、R−M1におけるM1の一部または全部
を、下記のイオン交換反応によって、M1とは異なるイ
オン種M2に置換した置換型無機イオン交換体もまた、
本発明における無機イオン交換体である。 xR−M1+yM2→Rx−(M2)y+xM1 (ここでx、yはそれぞれイオン種M2、M1の価数を表
す)。M1はOH基を有する無機イオン交換体の種類に
より異なるが、無機イオン交換体が陽イオン交換性を示
すものでは、一般にM1はH+であり、この場合のM
アルカリ金属、アルカリ土類金属、多価典型金属、遷移
金属または希土類金属等、H以外の金属イオンのいず
れか任意のものである。OH基を有する無機イオン交換
体が陰イオン交換性を示すものでは、M1は一般にOH-
であり、その場合M2は例えばI、Cl、SCN、N
2、Br、F、CH3COO、SO4またはCrO4など
や錯イオンなど、OH-以外の陰イオン全般の内の任意
のものである。
【0047】また、高温加熱処理によりOH基を一旦失
ってはいるが、水に浸漬させるなどの操作によって再び
OH基を有するようになる無機イオン交換体について
は、その高温加熱処理後の無機イオン交換体なども本発
明に使用できる無機イオン交換体の一種であり、その具
体例としてはナシコン型化合物、例えば(H3O)Zr2
(PO43の加熱により得られるHZr2(PO43
ハイドロタルサイトの高温 加熱処理物(500〜70
0℃で加熱処理したもの)などがある。これらの無機イ
オン交換体は一種類だけではなく、多種類を同時に表層
として用いることもできる。なお、上記の無機イオン交
換体として、多価金属の水酸化物、及び多価金属の酸性
塩を用いることが特に好ましい。
【0048】上記EA粒子(無機・有機複合粒子)2の
表層5として使用し得る電気半導体性無機物の例は、電
気伝導度が、室温にて103〜10-11Ω-1/cmの金属
酸化物、金属水酸化物、金属酸化水酸化物、無機イオン
交換体、またはこれらの少なくともいずれか1種に金属
ドーピングしたもの、もしくは金属ドーピングの有無に
拘わらず、これらの少なくともいずれか1種を他の支持
体上に電気半導体層として施したものなどである。
【0049】好ましい電気半導体性無機物の例を以下に
示す。 (A)金属酸化物:例えばSnO2 、アモルファス型二
酸化チタン(出光石油化学社製)などである。 (B)金属水酸化物:例えば水酸化チタン、水酸化ニオ
ブなどである。ここで水酸化チタンとは、含水酸化チタ
ン(石原産業社製)、メタチタン酸(別名βチタン酸、
TiO(OH)2 )およびオルソチタン酸(別名αチタ
ン酸、Ti(OH)4 )を含むものである。 (C)金属酸化水酸化物:この例としては例えばFeO
(OH)(ゲーサイト)などを挙げることができる。 (D)多価金属の水酸化物:無機イオン交換体(1)と
同等。 (E)ハイドロタルサイト類:無機イオン交換体(2)
と同等。 (F)多価金属の酸性塩:無機イオン交換体(3)と同
等。 (G)ヒドロキシアパタイト:無機イオン交換体(4)
と同等。 (H)ナシコン型化合物:無機イオン交換体(5)と同
等。 (I)粘土鉱物:無機イオン交換体(6)と同等。 (J)チタン酸カリウム類:無機イオン交換体(7)と
同等。 (K)ヘテロポリ酸塩:無機イオン交換体(8)と同
等。 (L)不溶性フェロシアン化物:無機イオン交換体
(9)と同等。 (M)金属ドーピング電界配列性無機物:これは、上記
の電気半導体性無機物(A)〜(L)の電気伝導度を上
げるために、アンチモン(Sb)などの金属をER無機
物にドーピングしたものであって、例としてはアンチモ
ン(Sb)ドーピング酸化錫(SnO2 )などを挙げる
ことができる。 (N)他の支持体上に電気半導体層として電界配列性無
機物を施したもの:例えば支持体として酸化チタン、シ
リカ、アルミナ、シリカ−アルミナなどの無機物粒子、
またはポリエチレン、ポリプロピレンなどの有機高分子
粒子を用い、これに電気半導体層としてアンチモン(S
b)ドーピング酸化錫(SnO2 )を施したものなどを
挙げることができる。このように他の支持体上に電界配
列性無機物が施された粒子も、全体として電界配列性無
機物と見なすことができる。これらの電界配列性無機物
は、1種類だけでなく、2種類またはそれ以上を同時に
表層として用いることもできる。
【0050】EA粒子(無機・有機複合粒子)2は、種
々な方法によって製造することができる。例えば、有機
高分子化合物からなる粒子状の芯体3と微粒子状の粒子
4とをジェット気流によって搬送し、衝突させて製造す
る方法がある。この場合は粒子状の芯体3の表面に粒子
4の微粒子が高速度で衝突し、固着して表層5を形成す
る。また別の製法例としては、粒子状の芯体3を気体中
に浮遊させ、粒子4の溶液を霧状にしてその表面に噴霧
する方法がある。この場合はその溶液が芯体3の表面に
付着し乾燥することによって表層5が形成される。
【0051】EA粒子(無機・有機複合粒子)2を製造
する特に好ましい製法は、芯体3と同時に表層5を形成
する方法である。この方法は、例えば、芯体3を形成す
る有機高分子化合物のモノマーを重合媒体中で乳化重
合、懸濁重合または分散重合するに際して、微粒子状と
した電界配列性無機物である粒子4を上記モノマー中、
または重合媒体中に存在させるというものである。重合
媒体としては水が好ましいが、水と水溶性有機溶媒との
混合物を使用することもでき、また有機系の貧溶媒を使
用することもできる。この方法によれば、重合媒体の中
でモノマーが重合して芯体粒子3を形成すると同時に、
微粒子状のEA無機物の粒子4が芯体3の表面に層状に
配向してこれを被覆し、表層5を形成する。
【0052】乳化重合または懸濁重合によってEA粒子
(無機・有機複合粒子)を製造する場合には、モノマー
の疎水性の性質と電界配列性無機物の親水性の性質を組
み合わせることによって、電界配列性無機物の粒子4の
大部分を芯体3の表面に付着させることができる。この
芯体3と表層5との同時形成方法によれば、有機高分子
化合物からなる芯体3の表面にEA無機物の粒子4が緻
密かつ強固に接着し、堅牢なEA粒子(無機・有機複合
粒子)2が形成される。
【0053】本発明に使用するEA粒子2の形状は必ず
しも球形であることを要しないが、粒子状の芯体3が調
節された乳化・懸濁重合方法によって製造された場合
は、得られるEA粒子2の形状はほぼ球形となる。EA
粒子2の粒径は特に限定されるものではないが、0.1
μmないし500μm、特に5μmないし200μmの
範囲内とすることが好ましい。この際の微粒子状のEA
無機物である粒子4の粒径は特に限定されるものではな
いが、好ましくは0.005μmないし100μm、さ
らに好ましくは0.01μmないし10μmの範囲内と
する。
【0054】EA粒子(無機・有機複合粒子)2におい
て、表層5を形成するEA無機物である粒子4と芯体3
を形成する有機高分子化合物の重量比は特に限定される
ものではないが、保存安定性の高いER流体組成物を得
るためには、EA無機物の粒子4と有機高分子化合物の
芯体3の合計重量に対して粒子4が1重量%ないし60
重量%の範囲内、特に4重量%ないし30重量%の範囲
内とすることが好ましい。この芯体3の割合が1重量%
未満では、得られたEA粒子2のEA特性が不十分とな
り、60重量%を超えると、EA2粒子の比重が過大と
なって保存安定性を損なう惧れがある。また、本発明の
ER流体組成物は、上記のEA粒子2を、必要なら分散
剤、他の成分とともに電気絶縁性媒体中に均一に攪拌混
合して製造することができる。この攪拌機としては、液
状分散媒に固体粒子を分散させるために通常使用される
ものがいずれも使用できる。電気絶縁性媒体中1におけ
るEA粒子2の含有率は、特に限定されるものではない
が、0.5〜75重量%、特に5〜50重量%であるこ
とが好ましい。その含有率が1%未満では充分なEA効
果が得られず、75%以上では電圧を印加しないときの
ER流体組成物の初期粘度が過大となって使用が困難に
なる。
【0055】上記の各種方法、特に芯体3と表層5とを
同時に形成する方法によって製造されたEA粒子2は、
その表層5の全部または一部分が有機高分子物質や、製
造工程で使用された分散剤、乳化剤その他の添加物質の
薄膜で覆われていて、電界配列性粒子としての電界配列
効果が充分に発揮されない場合がある。この不活性物質
の薄膜は粒子表面を研磨することによって容易に除去す
ることができる。従って芯体3と表層5とを同時に形成
する場合には、その表面を研磨することが好ましい。
【0056】この粒子表面の研磨は、種々な方法で行う
ことができる。例えば、無機・有機複合粒子であるEA
粒子2を水などの分散媒体中に分散させて、これを攪拌
する方法によって行うことができる。この際、分散媒体
中に砂粒やボールなどの研磨材を混入してEA粒子2と
共に攪拌する方法、あるいは研削砥石を用いて攪拌する
方法などによって行うこともできる。例えばまた、分散
媒体を使用せず、EA粒子2と上記のような研磨材また
は研削砥石とを用いて乾式で攪拌して行うこともでき
る。
【0057】さらに好ましい研磨方法は、EA粒子2を
ジェット気流などによって気流攪拌する方法である。こ
れは気相中で粒子自体を相互に激しく衝突させて研磨す
る方法であり、他の研磨材を必要とせず、研磨済みの粒
子を分級によって容易に分離し得る点で好ましい方法で
ある。上記のジェット気流攪拌においては、それに用い
られる装置の種類、攪拌速度、EA粒子2の材質などに
より研磨条件を選定する必要があるが、一般的には60
00rpmの攪拌速度で0.5min〜15min程度
ジェット気流攪拌することが好ましい。
【0058】本発明のER流体組成物は、上記のEA粒
子2を、必要なら分散剤など他の成分と共に電気絶縁性
媒体1中に均一に攪拌混合し分散させて製造することが
できる。この攪拌機としては、液状分散媒に固体粒子を
分散させるために通常使用されるものがいずれも使用で
きる。
【0059】
【発明の効果】以上の説明で明かなように、本発明によ
れば、被振動吸収体と一体に変位するピストン体に粘性
抵抗を与える流体としてER流体を用い、これに印加す
る電圧を振動検出値によって制御しているから、発生す
る振動の大きさに対応して直ちに振動を減衰させること
ができる。また本発明に適用されるER流体は、固体粒
子(電界配列性粒子)が、有機高分子化合物からなる芯
体と、電界配列性無機物からなる表層とによって形成さ
れた無機・有機複合粒子からなる場合は、高い保存安定
性を有する実用的な電気レオロジー粘性流体組成物が得
られ、結果的に振動検出値に基づく印加電圧の制御を安
定して行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 電気感応型流体組成物を備えた本発明の振動
減衰装置の第1実施例のブロック図である。
【図2】 第1実施例における制御動作を示すフローチ
ャートである。
【図3】 第1実施例に係わる電気感応型流体組成物を
示す断面図である。
【図4】 第1実施例に係わる電気感応型音波吸収制御
用流体組成物の電源オフ時の態様を示す断面図である。
【図5】 第1実施例に係わる電気感応型流体組成物の
電源オン時の態様を示す断面図である。
【図6】 電界配列性粒子分散系について電界配列特性
に及ぼす電界強度の影響を測定した結果を示すグラフで
ある。
【図7】 第1実施例に係わる振動減衰機本体の縦断面
図である。
【図8】 図7に係わるピストン体の拡大縦断面図であ
る。本発明の音波吸収制御装置において、鎖状体の撓み
状態の別な例を示す図である。
【図9】 図7に係わる電極部材の一部を断面とした斜
視図である。
【図10】 図7に係わる電極部材の縦断面図である。
【図11】 第2実施例に係わる減衰機本体の縦断面図
である。
【図12】 第3実施例に係わる減衰機本体の縦断面図
である。
【図13】 本発明の振動減衰機の応答性試験装置の側
面図である。
【図14】 本発明の振動減衰機の応答性試験結果を示
す図表である。
【図15】 本電界配列性粒子分散系における、鎖状体
が複数列相互に接合された場合のカラムを示す図であ
る。
【符号の説明】
1…電気絶縁性媒体、2…電界配列性粒子(EA粒子、
固体粒子、無機・有機複合粒子)、3…芯体(有機高分
子化合物)、4…粒子(電界配列性無機物の粒子)、5
…表層、6…鎖状体(粒子鎖)、7,8…電極板、9…
電源、11……機枠、18……大気体室、24……架
台、30……ピストン体、50……多孔電極円板群、5
1……多孔電極円板、52……多孔電極円板、100…
…振動減衰機本体、200……センサ、300……電源
部、400……電源制御手段。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 古市 健二 東京都江東区木場1丁目5番1号 株式会 社フジクラ内 (72)発明者 安齊 秀伸 東京都江東区木場1丁目5番1号 株式会 社フジクラ内 (72)発明者 角田 政幸 埼玉県大宮市三橋1丁目840 藤倉ゴム工 業株式会社大宮工場内 (72)発明者 染谷 久雄 埼玉県大宮市三橋1丁目840 藤倉ゴム工 業株式会社大宮工場内 (72)発明者 森賀 茂樹 埼玉県大宮市三橋1丁目840 藤倉ゴム工 業株式会社大宮工場内 (72)発明者 枝村 一弥 東京都港区芝公園2丁目6番15号 藤倉化 成株式会社本社事務所内 (72)発明者 大坪 泰文 千葉県千葉市稲毛区小仲台9丁目21番1号 206

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】被振動吸収体と一体に変位し、機枠に対し
    て移動可能に支持された架台と、 この架台に結合されたピストン体と、 このピストン体内に形成され、内部に電気レオロジー流
    体が封入された粘性体室と、 この粘性体室内にあって、前記ピストン体の移動に対し
    て相対的に移動する固定部材と、 前記電気レオロジー流体に電圧を印加する電極部材と、 この電極部材に電源を供給する電源部と、 前記架台に生じる振動を検出する振動検出手段と、 この振動検出手段の検出信号によって前記電源部を制御
    する電源制御手段とを備えたことを特徴とする振動減衰
    装置。
  2. 【請求項2】前記電気レオロジー流体は、電気絶縁性媒
    体中に誘電体粒子を分散させてなる粒子分散型電気レオ
    ロジー流体であることを特徴とする請求項1に記載の振
    動減衰装置。
  3. 【請求項3】前記誘電体粒子が、有機高分子材料からな
    る芯体と電気レオロジー効果を有する無機物からなる表
    層とによって形成される無機・有機複合粒子であること
    を特徴とする請求項2に記載の振動減衰装置。
  4. 【請求項4】電気レオロジー効果を有する無機物が、無
    機イオン交換体、シリカゲル及び電気半導体性無機物の
    うちから選択される少なくとも一種からなるものである
    ことを特徴とする請求項3の振動減衰装置。
  5. 【請求項5】前記ピストン体には、前記架台の変位方向
    に相互に間隔をおいて設けられて粘性体室を構成する一
    対の環状ダイアフラムが設けられていて、これらの一対
    の環状ダイアフラムの外周縁部と内周縁部は前記機枠側
    に固定されており、これらの一対の環状ダイアフラムの
    間に前記電極部材を有する固定部材が配置されたことを
    特徴とする請求項1ないし4のいずれか一に記載の振動
    減衰装置。
JP29540294A 1994-11-29 1994-11-29 振動減衰装置 Withdrawn JPH08152039A (ja)

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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008249031A (ja) * 2007-03-30 2008-10-16 Honda Motor Co Ltd 可変減衰力ダンパー
JP2011144894A (ja) * 2010-01-15 2011-07-28 Bridgestone Corp 空気ばね及び免震装置
CN113936902A (zh) * 2021-11-11 2022-01-14 国网上海市电力公司 一种基于颗粒阻尼的电力设备箱体减振降噪方法

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