JPH07266178A - 工作機械用制振装置 - Google Patents

工作機械用制振装置

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JPH07266178A
JPH07266178A JP6056336A JP5633694A JPH07266178A JP H07266178 A JPH07266178 A JP H07266178A JP 6056336 A JP6056336 A JP 6056336A JP 5633694 A JP5633694 A JP 5633694A JP H07266178 A JPH07266178 A JP H07266178A
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JP
Japan
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electrode
vibration damping
damping device
inorganic
machine tools
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Kazuya Edamura
一弥 枝村
Toushirou Aoyama
藤詞郎 青山
Yasubumi Otsubo
泰文 大坪
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Fujikura Kasei Co Ltd
Original Assignee
Fujikura Kasei Co Ltd
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    • F16ENGINEERING ELEMENTS AND UNITS; GENERAL MEASURES FOR PRODUCING AND MAINTAINING EFFECTIVE FUNCTIONING OF MACHINES OR INSTALLATIONS; THERMAL INSULATION IN GENERAL
    • F16FSPRINGS; SHOCK-ABSORBERS; MEANS FOR DAMPING VIBRATION
    • F16F9/00Springs, vibration-dampers, shock-absorbers, or similarly-constructed movement-dampers using a fluid or the equivalent as damping medium
    • F16F9/32Details
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 移動テーブルまたは工具取付移動ヘッドに高
い振動減衰効果を付与し、しかもX,Y,Z方向の三軸
方向での十分な制振が可能であるER流体を使用した工
作機械用制振装置を得る。 【構成】 移動テーブル14または工具取付移動ヘッド
に第1電極15を、テーブル基台または支持体に第2電
極17を取り付ける。第1電極15は、1以上の電極面
15a,15b…を有し、第2電極17も1以上の電極
面17b,17c…を有し、これら電極面を微小な間隙
を介して対向せしめ、この間隙にER流体を満たし、両
電極15,17間に電界を印加する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、中ぐり盤、ラジアル
ボール盤などの工作機械の移動テーブルや工具取付移動
ヘッドなどの振動を強制的に制振するための制振装置に
関し、特に電気レオロジー流体(以下、ER流体と略記
する。)の電気レオロジー効果(以下、ER効果と言
う。)を利用して制振するようにしたものである。
【0002】
【従来の技術】工作機械のテーブルの切削加工などの加
工中におけるびびり振動などの振動を吸収し、加工精度
を高めるために、ER流体を応用した例はほとんどな
く、わずかに橋詰らの研究報告(日本機械学会第71期
全国大会講演論文集,F巻,第401〜403頁,19
93年10月)が知られているのみである。
【0003】この先行技術に開示のテーブル制振装置
は、図19にあるように、一方向(X方向)に往復移動
可能とされた鞍状のテーブル1とこのテーブル1を支持
するレール状のベース2とから概略構成されている。テ
ーブル1とベース2とは案内要素としてのボールガイド
3,3により、摺動自在となっており、ベース2の上部
中央にはテーブル1の移動方向に延びる溝4が形成さ
れ、この溝4の底部には、溝4の全長にわたって角棒状
の下側電極5が設けられている。
【0004】上記テーブル1の裏側には上記ベース2の
溝4に収容されるように棒状の上側電極6が絶縁板7を
介して取り付けられ、この上側電極6と下側電極5とが
1mm以下の間隙を介して対向するようになっている。
そして、この間隙にER流体が満たされた構造となって
いる。ここで用いられるER流体としては、シリコーン
オイル中に粒径0.65μmのSiO2 粒子を濃度25
体積%で分散したものである。
【0005】そして、上側電極6と下側電極7との間隙
を0.4〜0.8mmとし、両電極6,7間に0.5〜
2kV/mmの電界を印加することで、テーブル1の移
動方向における振動が減衰することが確認されている。
【0006】しかしながら、この振動減衰量は約15%
程度と小さく、制振効果が不十分であり、かつテーブル
1の移動方向(X方向)のみの制御効果が得られている
だけであり、工作機械の移動テーブル用としては、制振
特性の改善に不満があった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】よって、この発明にお
ける課題は、振動減衰効果が高く、しかも三軸方向での
十分な制振が可能なER流体を使用した工作機械用制振
装置を得ることにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】かかる課題は、移動テー
ブルまたは工具取付移動ヘッドに取り付けられた第1の
電極と、テーブル基台またはヘッド支持体に取り付けら
れた第2の電極とを有し、第1の電極は、1以上の電極
面を有し、第2の電極は、第1の電極の電極面に対して
微小な間隙を介して対向する1以上の電極面を有し、第
1の電極の電極面と第2の電極の電極面との間隙に電気
レオロジー流体が充填された工作機械用制振装置で解決
される。また、電極の電極面が平面状であり、この平面
状の電極面が2以上であって、これらが互いに10〜1
70度の角度で交わっているものでもよい。また、電極
の一方が平板状であって、その表面および裏面が電極面
として機能するものでもよい。また、電極の一方が円筒
状または円柱状であって、その外周面が電極面として機
能するものでもよい。さらに、ER流体として、有機高
分子化合物からなる芯体と無機イオン交換体またはER
効果を有する無機物からなる表層とによって形成される
無機・有機複合粒子を電気絶縁性媒体中に分散させたも
のを用いることが好ましい。
【0009】以下、本発明を図面に示した実施例によっ
て説明する。図1および図2は、この発明の工作機械用
制振装置をボール盤などの一軸移動テーブルに適用した
第1の例を示すものである。図中符号11は、ベースプ
レートであり、このベースプレート11は、図示しない
テーブル基台に取り付けられている。ベースプレート1
1上にはレール状の転がり案内の固定台12が取り付け
られている。この固定台12には転がり案内の鞍状の滑
動ブロック13がその長手方向に移動自在に取り付けら
れており、この滑動ブロック13上には平板状のテーブ
ル14がボルトによって固定されている。
【0010】このテーブル14の一辺からはベースプレ
ート11側に向けて垂下する平板状の第1電極15が、
テーブル14と一体に、かつこれと直交するように設け
られている。この平板状の第1電極15の表面および裏
面がそれぞれ平坦な電極面15a,15bを形成してい
る。一方、ベースプレート11上には、ライナープレー
ト16を介して、第2電極17が固定されている。この
第2電極17は、図1に示すように断面形状が略U字状
の深い樋状のもので、その両端部は閉じられ、その凹部
17a内にER流体が充填され、かつ上記第1電極15
が挿入され、その挿入状態で第1電極15が転がり案内
の移動方向に沿って自在に移動できるようになってい
る。
【0011】したがって、第2電極17の凹部17aの
長手方向の長さは、転がり案内の滑動ブロック13の移
動距離とほぼ同じ程度のものとなっている。また、第2
電極17の凹部17aの長手方向に沿った相対向する2
つの平面はそれぞれ第2電極17の電極面17b,17
cを形成しており、凹部17aに挿入されている第1電
極15の2つの電極面15a,15bとこれら電極面1
7b,17cとがそれぞれ微かの間隙を介して対向する
ようになっている。
【0012】この間隙を満たすようにER流体が凹部1
7a内に充填されている。また、第1電極15および第
2電極17は、ともに図示しない直流電源に、第1電極
15がマイナスに、第2電極17がプラスになるように
接続されている。第1電極15および第2電極17は、
ともにセラミックスプレートなどで電気的に絶縁されて
いることは当然である。ここで、この装置の座標系での
方向を、図1,2にあるようにテーブル14の移動方向
をX方向、これに直交する水平方向をY方向、X方向に
直交する鉛直方向をZ方向と定めておく。
【0013】また、この装置で用いられるER流体とし
ては、特に限定されず、従来より知られているものが用
いられるが、なかでも、本出願人が先に特許出願(特願
平4−65021号,特願平4−214394号)した
ものが好ましい。このER流体は、有機高分子化合物か
らなる芯体と無機イオン交換体からなる表層とによって
形成される無機・有機複合粒子を電気絶縁性媒体中に分
散させたもの、あるいは有機高分子化合物からなる芯体
と電気レオロジー効果を有する無機物からなる表層とに
よって形成される無機・有機複合粒子を電気絶縁性媒体
中に分散させてなり、かつ該無機・有機複合粒子の表面
が研磨されてなるものである。
【0014】上記無機イオン交換体としては、多価金属
の水酸化物、ハイドロタルサイト類、多価金属の酸性
塩、ヒドロキシアパタイト、ナシコン型化合物、粘土鉱
物、チタン酸カリウム類、ヘテロポリ酸塩または不溶性
フェロシアン化物から選ばれた少なくとも1種が用いら
れ、また上記電気レオロジー効果を有する無機物には、
多価金属の水酸化物、ハイドロタルサイト類、多価金属
の酸性塩、ヒドロキシアパタイト、ナシコン型化合物、
粘土鉱物、チタン酸カリウム類、ヘテロポリ酸塩または
不溶性フェロシアン化物からなる無機イオン交換体及び
シリカゲルから選ばれた少なくとも1種が用いられる。
【0015】また、無機・有機複合粒子の芯体として使
用される有機高分子化合物の例としては、ポリ(メタ)
アクリル酸エステル、(メタ)アクリル酸エステル−ス
チレン共重合物、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリプ
ロピレン、ニトリルゴム、ブチルゴム、ABS樹脂、ナ
イロン、ポリビニルブチレート、アイオノマー、エチレ
ン−酢酸ビニル共重合体、酢酸ビニル樹脂、ポリカーボ
ネート樹脂等の1種または2種以上の混合物または共重
合物を挙げることができる。また、上記電気絶縁媒体と
しては、従来のER流体に使用されているものがすべて
使用可能である。例えば、塩化ジフェニル、セバチン酸
ブチル、芳香族ポリカルボン酸高級アルコールエステ
ル、ハロフェニルアルキルエーテル、トランス油、塩化
パラフィン、弗素系オイル、またはシリコン系オイル
等、電気絶縁性及び電気絶縁性及び電気絶縁破壊強度が
高く、化学的に安定でかつ無機・有機複合粒子を安定に
分散させ得るものであればいずれの流体も使用可能であ
り、またそれらの混合物を使用することもできる。
【0016】さらに、上記無機・有機複合粒子を製造す
るには、例えば、有機高分子化合物からなる芯体粒子と
無機イオン交換体あるいは電気レオロジー効果を有する
無機物(以下、ER無機物と呼ぶ。)の微粒子をジェッ
ト気流によって搬送し、衝突させる方法がある。この場
合は芯体粒子の表面にER無機物の微粒子が高速度で衝
突し、固着して表層を形成する。また、別の製法例とし
ては、芯体粒子を気体中に浮遊させておき、ER無機物
の溶液を霧状にしてその表面に噴霧する方法がある。こ
の場合はその溶液が芯体粒子の表面に付着し乾燥するこ
とによって表層が形成される。
【0017】さらに、無機・有機複合粒子を製造する好
ましい製法例は、芯体と同時に表層を形成する方法であ
る。この方法は、例えば、芯体を形成する有機高分子化
合物のモノマーを重合媒体中で乳化重合、懸濁重合また
は分散重合するに際して、ER無機物の微粒子を上記モ
ノマー中、または重合媒体中に存在させて行うものであ
る。重合媒体としては水が好ましいが、水と水溶性有機
媒体との混合物も使用でき、また有機系の貧溶媒を使用
することもできる。この方法によれば、重合媒体の中で
モノマーが重合して芯体粒子を形成すると同時に、ER
無機物微粒子が芯体粒子の表面に層状に配向してこれを
被覆し、表層を形成する。この芯体と表層との同時形成
方法によれば、有機高分子化合物からなる芯体粒子1の
表面にER無機物粒子が緻密かつ強固に接着し、堅牢な
無機・有機複合粒子が形成される。
【0018】無機・有機複合粒子の形状は必ずしも球形
であることを要しないが、芯体粒子が調節された乳化・
懸濁重合方法によって製造された場合は、得られる無機
・有機複合粒子の形状はほぼ球形となる。無機・有機複
合粒子の粒径は特に限定されるものではないが、0.1
〜500μm、特に5〜200μm程度とすることが好
ましい。このときのER無機物微粒子の粒径は特に限定
されるものではないが、好ましくは0.005〜100
μmであり、さらに好ましくは0.01〜10μmであ
る。
【0019】このような無機・有機複合粒子において、
表層を形成するER無機物と芯体を形成する有機高分子
化合物の重量比は特に限定されるものではないが、ER
無機物:有機高分子化合物比で1〜60:99〜40の
範囲、特に4〜30:96〜70の範囲であることが好
ましい。ER無機物の重量比が1%未満では得られたE
R流体組成物のER効果が不充分であり、60%を超え
ると得られた流体組成物に過大な電流が流れるようにな
る。
【0020】上記のような各種の方法、特に芯体と表層
を同時に形成する方法によって製造された無機・有機複
合粒子は一般に、その表層の全部または一部分が有機高
分子物質や、製造工程で使用された分散剤、乳化剤その
他の添加物質の薄膜で覆われていて、ER無機物微粒子
のER効果が充分に発揮されないため、その表面を研磨
した無機・有機複合粒子を用いるのが望ましい。ただ
し、無機・有機複合粒子が芯体を形成した後で上記の表
層を形成する方法によって製造された場合は、表層の表
面に不活性物質がなく、かつ無機イオン交換体のER効
果が充分に大きいので、研磨は必ずしも必要としない。
【0021】この粒子表面の研磨は、種々な方法で行う
ことができる。例えば、無機・有機複合粒子を水などの
分散媒体中に分散させて、これを撹拌する方法によって
行うことができる。この際、分散媒体中に砂粒やボール
などの研磨材を混入して無機・有機複合粒子と共に撹拌
する方法、あるいは研削砥石を用いて撹拌する方法等に
よって行うこともできる。また、分散媒体を使用せず、
無機・有機複合粒子と上記のような研磨材、研削砥石を
用いて乾式で撹拌して行うこともできる。
【0022】さらに好ましい研磨方法は、無機・有機複
合粒子をジェット気流等によって気流撹拌する方法であ
る。これは該粒子自体を相互に気相において激しく衝突
させて研磨する方法であり、他の研磨材を必要とせず、
粒子表面から剥離した不活性物質を分級によって容易に
分散し得る点で好ましい方法である。上記のジェット気
流撹拌においては、それに用いられる装置の種類、撹拌
速度、無機・有機複合粒子の材質等により研磨条件を特
定するのが難しいが、一般的には6000rpmの撹拌
速度で0.5〜15分程度ジェット気流撹拌するのが好
ましい。
【0023】このER流体は、上記無機・有機複合粒子
を、必要なら分散剤等、他の成分と共に電気絶縁性媒体
中に均一に撹拌混合して製造することができる。この撹
拌機としては、液状分散媒に固体粒子を分散させるため
に通常使用されるものがいずれも使用できる。このER
流体における無機・有機複合粒子の含有率は、特に限定
されるものではないが1〜75重量%、特に10〜60
重量%であることが好ましい。その含有率が1%未満で
は充分なER効果が得られず、75%以上では電圧を印
加しないときの組成物の初期粘度が過大となって使用が
困難になる。
【0024】この先行発明のER流体は、極めて高いE
R効果を有し、経時安定性に優れ、また擦傷性が少ない
ので電極面や機器壁を摩耗せず、電圧印加中に流れる電
流が少ないので、発熱の危険がなく、消費電力が少ない
ものであって、実用性に富み、本発明の制振装置に特に
好適である。
【0025】このような構造の制振装置においては、第
1電極15と第2電極17との間に直流電界を印加する
ことにより、電極間に存在するER流体の見かけの粘度
が増加し、第1電極15と一体となっているテーブル1
4に加工によって発生するびびり振動などの振動が吸収
され、テーブル14の振動減衰性能が大幅に向上する。
【0026】以下に、上述の例の制振装置の振動減衰性
能について実験結果に基づいて具体的に説明する。以下
の説明において、ER流体としては、上述のポリマー粒
子の表面を特殊酸化チタンの粒子で被覆した平均粒径1
5〜20μmの無機・有機複合粒子をシリコーンオイル
に分散させたものを用いた。また、第1電極15の2つ
の電極面15,15bの合計の有効面積は6400mm
2 とした。
【0027】図3ないし図5は、電極間間隙を0.5m
mとし、ER流体として粒子含有量が20重量%、シリ
コーンオイル自体の粘度が10センチストークスのもの
を用いた場合のテーブル14のX,Y,Z各方向の動コ
ンプライアンスの周波数依存性を印加電界強度をパラメ
ータとして求めた結果を示すグラフである。印加電界強
度は、0,1.0,2.0,3.0kV/mmである。
図3ないし図5のグラフから、印加電界強度を高めてゆ
くにしたがい、各方向におけるテーブルの共振周波数で
の動コンプライアンスが低下し、テーブルの動特性が向
上することがわかる。
【0028】図6に示したグラフは、テーブル14の
X,Y,Z各方向の減衰比と印加電界強度との関係を示
すもので、ER流体による効果が認められ、テーブルの
動剛性が向上していることが認められる。ところで、こ
の図6のグラフから明らかなように、この例の制振装置
では、X方向およびZ方向に高い減衰性能が得られる
が、Y方向ではあまり十分な性能が得られないことがわ
かる。これは、第1電極15および第2電極17の各電
極面のジオメトリーによるものと考えられ、それらの電
極面がいずれもX−Z平面を構成しているためである。
【0029】図7のグラフは、第1電極15と第2電極
17との電極間間隙の影響を示したもので、その間隙が
0.2〜0.6mmの範囲では、間隙が狭いほど減衰性
能が高くなる傾向が認められる。このため、間隙は狭い
ほど好ましいことになるが、電極の移動、工作精度など
の点から0.05mm以上とすることが好ましく、また
上限は十分なER効果を得るうえで1mm以下であるこ
とが望ましい。
【0030】図8のグラフは、びびり振動に対する制振
性を示すものである。テーブルのX方向の動コンプライ
アンスの実部を縦軸に、振動数を横軸として、ER流体
がない時、ER流体を無電界で使用した時および3.0
kV/mmの電界強度を印加した時についての結果を示
してある。これより、3.0kV/mmの電界強度を印
加したものでは、ER流体が存在しない場合に比べて、
動コンプライアンスの最大実部が1/3程度となり、び
びり振動の抑制が可能であることが認められる。
【0031】また、図9は、この例でのテーブルの制振
性能の応答性を示すもので、横軸の「0時間」に電源を
オンしたときの振動変位量の時間的変化を求めたグラフ
である。これより、応答特性は、時定数13ms、立ち
上がり時間30ms以下であることが確認された。
【0032】図10は、この例の制振装置で使用された
ER流体の分散媒であるシリコーンオイル自体の粘度に
よる振動減衰性能に与える影響を検討した結果を示すグ
ラフである。この結果から、シリコーンオイルとして粘
度の高いものを用いれば、それ自体で無電界でも高い摩
擦減衰力が得られるが、ER効果による共振点でのコン
プライアンス低下量は減少し、ER効果による動特性制
御域は狭くなる。また、分散媒の粘度が上がると、テー
ブル14の高速送り時(非加工時)の駆動負荷が増加す
る問題も生じる。よって、ER流体を構成する分散媒の
粘度は、かかる制振装置においては10〜50センチス
トークスの範囲が好ましい。
【0033】以上のように、図1および図2に示した構
造の制振装置によれば、良好な振動減衰性能が得られ、
びびり振動などの加工に有害な振動を効果的に抑制する
ことができる。また、電界印加の有無、その強度によっ
て制振性能を任意に発生させることができるので、その
制御が容易である。
【0034】次に、この発明の制振装置のその他の例を
説明する。これらの例は、主にその電極の形状について
の種々の変形例を示すものである。図11は、第2の例
を示すもので、第1の例のものと同一の構成部分には同
一符号を付してその説明を省略する。この例のもので
は、テーブル14を往復移動させるための駆動手段とし
てのボールねじ18がベースプレート11上に、テーブ
ル14の下面側の中心位置において設けられており、こ
のボールねじ18を中心になるように、第1電極15と
第2電極17とからなる電極対19,19が2個移動方
向に沿って平行に設けられている。また、第1電極15
はその断面形状がT字状となっており、テーブル14の
下面側に取り付けられている。さらに、転がり案内が2
基平行に、かつ対称にテーブル14の両側に取り付けら
れている。このものでは、当然電極面の有効面積を大き
くすることが可能となり、得られるER効果も大きくな
って制振効果が高いものとなる。
【0035】図12は、第3の例を示すもので、前述の
第2の例において、第1電極15,15の電極板を中ぐ
りして長手方向に延びてこれを貫通する溝15c,15
cを形成したものである。このものでは、電極面の有効
面積は、第2の例と同じであるが、電場を加えない時の
テーブル14の移動の際の抵抗が少なくなり、ボールね
じ18の駆動負荷を軽減できる特徴がある。
【0036】図13は、第4の例を示すものである。こ
の例は、第2の例において、第1電極15の電極板を3
枚とし、これのそれぞれを第2電極17に形成した3個
の凹部17a…に挿入したものである。この例ではさら
に電極面の有効面積が大きくなり、大きなER効果によ
る高い振動減衰性能が達成できる。また、電極板を2枚
あるいは4枚以上としてもよいことは勿論である。
【0037】図14は、第5の例を示すものである。こ
の例では、第1電極15の形状が十字状となっており、
これに対応して第2電極17の凹部17aも同様の十字
状となっている。このものにあっては、テーブル14の
垂直方向と水平方向とでそれぞれER効果が発生する。
第1電極15の電極面のうち、垂直面の部分は座標系で
はX−Z平面であり、水平面の部分はX−Y平面とな
る。このため、垂直面の部分では、X方向およびZ方向
での高い制振性が得られ、水平面の部分ではX方向およ
びY方向での高い制振性が得られ、結果的にX,Y,Z
方向の三方向ともに十分に高い振動減衰性能が得られる
ことになる。この例では、第1電極15のいずれの電極
面も互いに他の電極面と直角に交わっているが、この交
差角度は必ずしも90度とされることはなく、10〜1
70度、好ましくは45〜135度、さらに好ましくは
60〜120度の範囲とすることができる。勿論、この
角度を90度とすることが実用上最も好ましいことは言
うまでもない。
【0038】図15は、第6の例を示すもので、この例
では第1電極15が中空の円筒状となっており、第2電
極17の凹部17aもこれに対応した丸溝状となってい
る。このものでは、その外周面が電極面を形成するた
め、先の例と同様に三方向に高い制振性が得られること
になる。また、中空となっているので、第3の例と同様
に無電界時のテーブル14の移動抵抗が小さいものとな
る。さらに、円筒形状は一般に加工が容易で、加工精度
も高くすることができるので、実際上電極間間隔を十分
に狭くすることができ、高いER効果を得ることができ
る。また、中空部分の空間に、第1電極15および第2
電極17にそれぞれ接続された板状の第1副電極および
第2副電極を互いに対抗するように設けることもでき
る。また、この例の変形例として、第1の電極15の形
状を中実の円柱状としたものを採用できる。
【0039】図16は、第7の例を示すものである。こ
の例では、第1電極15の断面形状をエ字状にし、水平
方向での電極面積を大きくとるようにして十分な制振効
果を確保しつつ、電極の垂直方向の長さを短縮し、かつ
第1電極15のテーブル14への取付部分をテーブル1
4内に埋め込んだ形状としている。このような構造で
は、テーブル全体の垂直方向の高さを小さくすることが
可能となる。したがって、このテーブルシステムを2段
にX方向とY方向とに直交するように重ねて使用し、テ
ーブルの移動方向をX方向およびY方向の二方向とする
場合に、その全体の厚が薄い、コンパクトなものにでき
る。
【0040】図17および図18は、第8の例を示すも
ので、この例では第1電極15は、テーブル14の下面
側から垂下する棒部の脚部15dと、この脚部15dの
下端に取り付けられた円板状の電極部15eとから構成
されている。一方、第2電極17は、その凹部17aが
図18にあるようにテーブル14のX方向に沿う細長い
主溝17dと、これに直交するY方向の複数の副溝17
e…とから形成され、その底部では破線で示すような全
面に拡る空隙17fが形成されたものとなっている。こ
のような構造では、第1電極15は、若干限定はされる
もののX方向とY方向との二方向に動くことが可能とな
り、テーブル14自体を適宜の案内手段で支持、案内す
ることにより、テーブル14をX方向およびY方向の二
方向に移動させることができるとともにER効果による
高い制振効果を得ることができる。
【0041】また、本発明の制振装置はテーブルに限ら
れず、例えばラジアルボール盤などの工具取付移動ヘッ
ドにも適用することができる。ラジアルボール盤では、
その直立したコラムにこれを中心として旋回可能な水平
アームが取り付けられ、この水平アームに工具(ドリ
ル)を取り付けた主軸ヘッドが水平アームに対して水平
移動可能に取り付けられている。この主軸ヘッドに例え
ば図11に示した構造の第1電極を取り付け、水平アー
ムに第2電極を取り付ける構造を採用することにより、
主軸ヘッドの加工中の振動を効果的に抑制することがで
きる。
【0042】
【発明の効果】以上説明したように、この発明の工作機
械用制振装置によれば、工作機械の振動テーブル、工具
取付移動ヘッドの加工時のびびり振動などの振動を効果
的に抑制することができる。また、電極の形状を選択す
れば、三方向の振動に対しても同時に制振することがで
きる。さらに、応答性が良好であり、印加電界強度によ
り振動減衰性能を容易に調節することもできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明の制振装置の第1の例を示す概略断
面図である。
【図2】 この発明の制振装置の第1の例を示す平面図
である。
【図3】 この発明の第1の例のX方向の動特性を示す
グラフである。
【図4】 この発明の第1の例のY方向の動特性を示す
グラフである。
【図5】 この発明の第1の例のZ方向の動特性を示す
グラフである。
【図6】 この発明の第1の例の減衰比と印加電界強度
との関係を示すグラフである。
【図7】 この発明の第1の例での電極間間隙の影響を
示すグラフである。
【図8】 この発明の第1の例でのびびり振動の制振性
を示すグラフである。
【図9】 この発明の第1の例の応答性を示すグラフで
ある。
【図10】 この発明の第1の例でのER流体を構成す
る分散媒の粘度が動特性に与える影響を示すグラフであ
る。
【図11】 この発明の第2の例を示す概略断面図であ
る。
【図12】 この発明の第3の例を示す概略断面図であ
る。
【図13】 この発明の第4の例を示す概略断面図であ
る。
【図14】 この発明の第5の例を示す概略断面図であ
る。
【図15】 この発明の第6の例を示す概略断面図であ
る。
【図16】 この発明の第7の例を示す概略断面図であ
る。
【図17】 この発明の第8の例を示す概略断面図であ
る。
【図18】 この発明の第8の例の第2電極の凹部を示
す説明図である。
【図19】 従来の制御装置の例を示す概略断面図であ
る。
【符号の説明】
14…テーブル、15…第1電極、15a,15b…電
極面、15c…溝、17…第2電極、17a…凹部、1
7b,17c…電極面

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 移動テーブルに取り付けられる第1の電
    極と、テーブル基台に取り付けられる第2の電極を有
    し、 第1の電極は、1以上の電極面を有し、 第2の電極は、第1の電極の電極面に対して微小な間隙
    を介して対向する1以上の電極面を有し、 第1の電極の電極面と第2の電極の電極面との間隙に電
    気レオロジー流体が充填された工作機械用制振装置。
  2. 【請求項2】 工具取付移動ヘッドに取り付けられる第
    1の電極と、上記工具取付移動ヘッドを支持する支持体
    に取り付けられる第2の電極を有し、 第1の電極は、1以上の電極面を有し、 第2の電極は、第1の電極の電極面に対して微小な間隙
    を介して対向する1以上の電極面を有し、 第1の電極の電極面と第2の電極の電極面との間隙に電
    気レオロジー流体が充填された工作機械用制振装置。
  3. 【請求項3】 請求項1または2において、第1の電極
    または第2の電極のいずれか一方が平板状であって、こ
    の平板状電極の表面および裏面が電極面である工作機械
    用制振装置。
  4. 【請求項4】 請求項3において、上記平板状電極が中
    ぐりされた溝を有している工作機械用制振装置。
  5. 【請求項5】 請求項1または2において、上記第1の
    電極の電極面または第2の電極の電極面が平面状であ
    り、この平面状の電極面が2以上あり、これらの電極面
    が互いに10〜170度の角度で交わっている工作機械
    用制振装置。
  6. 【請求項6】 請求項1または2において、第1の電極
    または第2の電極のいずれか一方が円筒状であって、そ
    の外周面が電極面である工作機械用制振装置。
  7. 【請求項7】 請求項1または2において、第1の電極
    または第2の電極のいずれか一方が円柱状であって、そ
    の外周面が電極面である工作機械用制振装置。
  8. 【請求項8】 請求項1または2において、上記電気レ
    オロジー流体が、有機高分子化合物からなる芯体と無機
    イオン交換体からなる表層とによって形成される無機・
    有機複合粒子を電気絶縁性媒体中に分散させたものであ
    る工作機械用制振装置。
  9. 【請求項9】 請求項8において、無機イオン交換体が
    多価金属の水酸化物、ハイドロタルサイト類、多価金属
    の酸性塩、ヒドロキシアパタイト、ナシコン型化合物、
    粘土鉱物、チタン酸カリウム類、ヘテロポリ酸塩または
    不溶性フェロシアン化物から選ばれた少なくとも1種で
    ある工作機械用制振装置。
  10. 【請求項10】 請求項1または2において、上記電気
    レオロジー流体が、有機高分子化合物からなる芯体と電
    気レオロジー効果を有する無機物からなる表層とによっ
    て形成される無機・有機複合粒子を電気絶縁性媒体中に
    分散させてなり、かつ該無機・有機複合粒子が該粒子表
    面を研磨してなるものである工作機械用制振装置。
  11. 【請求項11】 請求項10において、電気レオロジー
    効果を有する無機物が多価金属の水酸化物、ハイドロタ
    ルサイト類、多価金属の酸性塩、ヒドロキシアパタイ
    ト、ナシコン型化合物、粘土鉱物、チタン酸カリウム
    類、ヘテロポリ酸塩または不溶性フェロシアン化物から
    なる無機イオン交換体及びシリカゲルから選ばれた少な
    くとも1種である工作機械用制振装置。
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