JPH08151544A - インキジェット記録方式用インキ - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【構成】 グァ−ガム、キサンタンガム、親水性モノマ
−と親油性モノマ−の共重合体を含有するインキジェッ
トプリンタ用水性顔料インキ。 【効果】 インキの飛び散りやノズルの目詰まりを防止
し、安定した印字を得ることができる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、インキジェット記録方
式用のインキに関し、更には、飛び散りの少ないインキ
ジェット記録方式用インキに関する。

【０００２】

【従来の技術】インキジェット記録方式は、様々な方式
が提案されており、例えば、インキに記録信号と対応し
た熱エネルギ−を与え、該エネルギ−によりノズルより
インキ滴を被筆記面に対して飛翔させて記録を行う方式
や、記録ヘッド室内の体積を記録信号に対応して急激に
減少させ、ノズルよりインキ滴を被筆記面に対して飛翔
させて記録を行う方式が知られている。

【０００３】上述のような、インキジェット方式で記録
する場合、熱エネルギ−あるいは機械的エネルギ−によ
り加圧されたインキが、ノズルよりインキ滴となって飛
翔して記録を行うため、ノズルよりインキが吐出する際
にインキが加圧された状態から一気に開放されるため、
インキ滴の飛翔する方向がが乱れ易いという固有の問題
があった。インキ滴の飛翔する方向に乱れが生じると、
目的とする記録点以外にインキ滴が付いてしまい、所謂
インキの飛び散りが発生し、明瞭な印字を得ることがで
きないという問題があった。

【０００４】インキの飛び散りを防止する方法として
は、インキ中に水溶性高分子を添加することが知られて
おり、特に、グァ−豆の胚乳区分より得られる天然多糖
類のグァ−ガムと、微生物発酵法により作られる高分子
多糖類のキサンタンガムは、顔料を着色剤として使用し
たインキにおいて、顔料を凝集させることなく添加でき
る水溶性高分子であることが知られている。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】しかし、上述のよう
な、グァ−ガムやキサンタンガムを添加した顔料インキ
では、グァ−ガムやキサンタンガムをインキ中に溶解さ
せた後、経時的に一部が析出してグァ−ガムやキサンタ
ンガムの凝集体を生じる。この凝集体がノズルを詰まら
せてしまい、印字不能や印字文字や図形に一部欠けた部
分が発生するなどの印字不良が発生するという問題があ
った。

【０００６】本発明の目的は、インキジェットで記録し
ても、インキの飛び散りが少なく、経時的にノズル詰ま
りを生じないインキジェット記録方式用顔料インキを提
供することにある。

【０００７】

【課題を解決するための手段】本発明は、記録ヘッド室
内のインキに記録信号に対応したエネルギ−を与え、該
エネルギ−によりインキ滴を飛翔させて記録を行うイン
キジェット記録方式用インキにおいて、少なくても顔料
と；水と；グァ−ガム、キサンタンガム及びこれらの誘
導体から選ばれる１種もしくは２種以上の混合物；親水
性モノマ−と親油性モノマ−の共重合体を含有すること
を特徴としたインキジェット記録方式用インキを要旨と
する。

【０００８】次に、本発明を更に詳しく説明する。顔料
はインキの色材として使用するもので、一例を挙げる
と、ファ−ネストブラック、コンタクトブラック、サ−
マルブラック、アセチレンブラック等のカ−ボンブラッ
ク、黒色酸化鉄、黄色酸化鉄、赤色酸化鉄、群青、紺
青、コバルトブル−、チタンイエロ−、タ−コイズ、モ
リブデ−トオレンジ等の無機顔料、Ｃ．Ｉ．ＰＩＧＭＥ
ＮＴ ＲＥＤ ２、同３、同５、同１７、同２２、同３
８、同４１、同４８：２、同４８：３、同４９、同５
０：１、同５３：１、同５７：１、同５８：２、同６
０、同６３：１、同６３：２、同６４：１、同８８、同
１１２、同１２２、同１２３、同１４４、同１４６、同
１４９、同１６６、同１６８、同１７０、同１７６、同
１７８、同１７９、同１８０、同１８５、同２４５、同
１４６、同１７０、同１７６、同１７７、同１８５、同
１９０、同１９４、同２０６、同２０７、同２０９、同
２１６、同２４５、Ｃ．Ｉ．ＰＩＧＭＥＮＴ ＯＲＡＮ
ＧＥ ５、同１０、同１３、同１６、同３６、同４０、
同４３、Ｃ．Ｉ．ＰＩＧＭＥＮＴ ＶＩＯＬＥＴ １
９、同２３、同３１、同３３、同３６、同３８、同５
０、Ｃ．Ｉ．ＰＩＧＭＥＮＴ ＢＬＵＥ ２、同１５、
同１５：１、同１５：２、同１５：３、同１５：４、同
１５：５、同１６、同１７、同２２、同２５、同６０、
同６６、Ｃ．Ｉ．ＰＩＧＭＥＮＴ ＢＲＯＷＮ ２５、
同２６、Ｃ．Ｉ．ＰＩＧＭＥＮＴ ＹＥＬＬＯＷ １、
同３、同１２、同１３、同２４、同８１、同９３、同９
４、同９５、同９７、同９９、同１０８、同１０９、同
１１０、同１１７、同１２０、同１３９、同１５３、同
１６６、同１６７、同１７３、Ｃ．Ｉ．ＰＩＧＭＥＮＴ
ＧＲＥＥＮ ７、同１０、同３６などの有機顔料、
９．１０−ジアニリノアントラセン、蛍光染料を合成樹
脂に溶解したもの、合成樹脂を蛍光染料で着色したもの
等の蛍光顔料まどが挙げられ、これらは一種もしくは二
種以上混合して用いることができる。

【０００９】溶剤は、水を必須とし、これに加えて各種
有機溶媒を用いることができる。有機溶剤としては具体
的には、エタノ−ル、メタノ−ル、１−プロパノ−ル、
２−プロパノ−ル、１，３−プロパンジオ−ル、２−メ
チル−２，４−ペンタンジオ−ル、２−メトキシエタノ
−ル、２−エトシキエタノ−ル、２−ブトキシエタノ−
ル、２−フェノキシエタノ−ル、２−ベンジルオキシエ
タノ−ル、２−（２−メトキシエトシキ）エタノ−ル、
２−（２−エトキシエトシキ）エタノ−ル、２−（２−
ブトキシエトシキ）エタノ−ル、グリセリン、エチレン
グリコ−ル、プロピレングリコ−ル、ジエチレングリコ
−ル、ポリエチレングリコ−ルなどの水溶性有機溶剤が
挙げられる。

【００１０】グァ−ガム、キサンタンガム、これらの誘
導体から選ばれる１種もしくは２種以上の混合物は、イ
ンキの飛び散りを防止するために添加するもので、親水
性に変性したヒドロキシプロピル化グァ−ガム、カルボ
キシメチル・ヒドロキシプロピル化グァ−ガムも使用で
き、これらの１種もしくは２種以上併用することができ
る。

【００１１】親水性モノマ−と親油性モノマ−の共重合
体は、グァ−ガム、キサンタンガム、これらの誘導体か
ら選ばれる１種もしくは２種以上の混合物を安定に溶解
させるために添加するものあり、具体的には親水性モノ
マ−として、スチレン、メチルスチレン、アクリロニト
リルが、親油性モノマ−として、アクリル酸、メタクリ
ル酸が挙げられ、これらを任意の組合せで共重合したも
のが使用できる。これらの共重合体は塩としても使用可
能であり、アンモニウム塩、各種アミン塩、アルカリ金
属塩等が使用できる。これらは１種、もしくは２種以上
混合して用いることができる。

【００１２】さらに、顔料を安定に分散させるために各
種公知の界面活性剤を添加することができる。黴の発生
により、ヘッドのノズルが詰まりインキの吐出を阻害す
ることを抑制するために、デヒドロ酢酸ナトリウム、
１，２−ベンゾチアゾリン−３−オン、安息香酸ナトリ
ウムなどの防腐防黴剤を適宜加えることもできる。ま
た、インキ組成物と接触する部分に金属を使用している
場合、金属の腐食防止のためにベンゾトリアゾ−ル、エ
チレンジアミン四酢酸塩等の防蝕剤も適宜添加すること
ができる。

【００１３】顔料の分散安定性はインキのｐＨに少なか
らず影響されるが、各種公知のｐＨ調整剤を添加して、
インキのｐＨを好適な範囲に調整することも可能であ
る。本発明のインキは、必須成分である顔料と、水と、
グァ−ガム、キサンタンガム及びこれらの誘導体から選
ばれる１種もしくは２種以上の混合物と、親水性モノマ
−と親油性モノマ−との共重合体等を、撹拌して得るこ
とができる。更に必要に応じてサンドミル、３本ロ−ル
ミル、ボ−ルミル等の各種公知の分散機にかけてもよ
く、濾過や遠心分離により顔料の分級を行っても良い。

【００１４】

【作用】グァ−豆の胚乳区分より得られる天然多糖類の
グァ−ガム及びその変性物や、微生物発酵法により作ら
れる高分子多糖類のキサンタンガムは、水溶性であって
も、水中で一部は完全に単分子鎖にならないで、糸毬状
態のまま膨潤してインキ中に存在していると考えられ
る。そのため、膨潤したままのグァ−ガムやキサンタン
ガムは、経時的に他の膨潤したグァ−ガムやキサンタン
ガムと結合し、大きな凝集体に成長してノズル詰まりを
発生する。

【００１５】膨潤状態のグァ−ガムやキサンタンガムが
含まれたインキ中に、親水性モノマ−と親油性モノマ−
との共重合体が入ると、糸毬状態の分子鎖それぞれに、
親油性基が吸着し、親水性基が表面に並び、その電気的
反発力で単分子鎖にはなれ、安定に可溶化する。そのた
め、経時的に凝集することが抑制され、ノズル詰まりの
抑制されたインキを得ることができる。

【００１６】また、親水性モノマ−と親油性モノマ−の
共重合体は高分子であるため、同じ高分子のグァ−ガ
ム、キサンタンガムと吸着点が多い。このため、両者は
強固に吸着してグァ−ガム、キサンタンガムなどの可溶
化力を高めているものと思われる。

【００１７】

【実施例】以下、本発明を実施例により詳細に説明する
が、実施例、比較例の中で「部」とあるのは「重量部」
を示す。

【００１８】実施例１ ＭＡ１００（カ−ボンブラック、三菱化成工業（株）製） ７．０部 精製水 ８９．８８部 ＧＵＡＲ ＰＡＫ Ｔ−８０（グァ−ガム、大日本製薬（株）） ０．０２部 ジョンクリル ６７８（スチレン−アクリル酸共重合体、ジョンソン（株）製） ０．５部 エマルゲン９３１（ポリオキシエチレンノニルフェニルエ−テル、花王（株）製 、顔料分散剤） ２．５ 部 水酸化ナトリウム ０．１部 上記各成分をボ−ルミルに入れ１０時間混合した後、
０．３μｍ孔のフィルタ−を通してインキジェット記録
方式用黒色顔料インキを得た。

【００１９】実施例２ Ｃ．Ｉ．ＰＩＧＭＥＮＴ ＶＩＯＬＥＴ １９（赤紫色顔料） ６．０部 精製水 ８０．２７部 グリセリン １０．０部 ＫＥＬＺＡＮ（キサンタンガム、三晶（株） ０．０３部 ジョンクリル ６１ｊ（スチレン−アクリル酸共重合体アンモニウム塩３０％溶 液、ジョンソン（株）製） １．０部 エマルゲン９３１ ２．５部 デヒドロ酢酸ナトリウム ０．２部 上記各成分を３本ロ−ルミルにて５回通しを行い、２０
時間混合した後、０．３μｍ孔のフィルタ−を通してイ
ンキジェット記録方式用赤紫色顔料インキを得た。

【００２０】実施例３ Ｃ．Ｉ．ＰＩＧＭＥＮＴ ＢＬＵＥ １５−３（青色顔料） ６．０部 精製水 ７８．４部 エチレングリコ−ル １２．０部 ＪＡＧＵＡＲ ＣＭＨＰ（カルボキシメチル・ヒドロキシプロピル化グァ−ガム 、三晶（株）） ０．０５ 部 ＳＭＡ １４４０（スチレン−マレイン酸共重合体、米国、ＡＲＣＯ社製） １．０部 エマルゲン９３１ ２．５部 １，２−ベンゾチアゾリン−３−オン ０．０５部 上記各成分をボ−ルミルに入れ２０時間混合した後、
０．３μｍ孔のフィルタ−を通してインキジェット記録
方式用青色顔料インキを得た。

【００２１】比較例１ ＭＡ１００ ７．０部 精製水 ９０．４８部 ＧＵＡＲ ＰＡＫ Ｔ−８０（グァ−ガム、大日本製薬（株）製） ０．０２部 エマルゲン９３１ ２．５部 上記各成分をボ−ルミルに入れ１０時間混合した後、
０．３μｍ孔のフィルタ−を通してインキジェット記録
方式用黒色顔料インキを得た。

【００２２】比較例２ Ｃ．Ｉ．ＰＩＧＭＥＮＴ ＶＩＯＬＥＴ １９（赤紫色顔料） ６．０部 精製水 ８０．３部 グリセリン １０．０部 ジョンクリル ６１ｊ（スチレン−アクリル酸共重合体アンモニウム塩３０％溶 液、ジョンソン（株）製） １．０部 エマルゲン９３１ ２．５部 デヒドロ酢酸ナトリウム ０．２部 上記各成分を３本ロ−ルミルにて５回通しを行い、２０
時間混合した後、０．３μｍ孔のフィルタ−を通してイ
ンキジェット記録方式用赤紫色顔料インキを得た。

【００２３】比較例３ Ｃ．Ｉ．ＰＩＧＭＥＮＴ ＢＬＵＥ １５−３（青色顔料） ６．０部 精製水 ７９．４５部 エチレングリコ−ル １２．０部 エマルゲン９３１ ２．５部 １，２−ベンゾチアゾリン−３−オン ０．０５部 上記各成分をボ−ルミルに入れ２０時間混合した後、
０．３μｍ孔のフィルタ−を通してインキジェット記録
方式用青色顔料インキを得た。

【００２４】

【発明の効果】

試験（１） 実施例１〜３及び比較例１〜３のインキを、ヒュ−レッ
ドパッカ−ド社製インキジェットプリンタ−用インキカ
−トリッジＨＰ５１６２６Ａ（カ−トリッジ内にインキ
を加熱する発熱素子を有する記録ヘッドを内臓）に充填
し、ヒュ−レッドパッカ−ド社製インキジェットプリン
タ−、ＤＥＳＫ ＪＥＴ ５０５Ｊ（記録信号に応じて
記録ヘッド内の発熱素子を加熱し、発熱素子に接するイ
ンキを沸騰・発泡させ、解放ノズルからインキの液滴を
被筆記面に対して飛翔させ記録する方式を用いたインキ
ジェットプリンタ）で記録し、インキの飛び散り状態を
光学顕微鏡で目視確認した。

【００２５】試験（２） 実施例１〜３及び比較例１〜３のインキをガラス瓶にい
れて密封し、２５℃下に２ヶ月静置した後、撹拌して、
試験（１）と同様に記録して、ノズル詰まりの様子を目
視確認した。

【００２６】

【表１】 ＊ ノズルにグァ−ガムの不溶解物が詰まっていた

【００２７】このように、本発明のインキは、インキジ
ェットで記録しても、インキの飛び散りが生じず、飛び
散りを防止しても経時的にノズル詰まりを発生しない、
インキジェット記録方式用顔料インキである。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 記録ヘッド室内のインキに記録信号に対
   応したエネルギ−を与え、該エネルギ−によりインキ滴
   を飛翔させて記録を行うインキジェット記録方式用イン
   キにおいて、少なくても顔料と；水と；グァ−ガム、キ
   サンタンガム及びこれらの誘導体から選ばれる１種もし
   くは２種以上の混合物；親水性モノマ−と親油性モノマ
   −の共重合体を含有することを特徴としたインキジェッ
   ト記録方式用インキ。