JPH08151440A - 減容化可能な生分解性ポリマー成形物及び減容化方法 - Google Patents

減容化可能な生分解性ポリマー成形物及び減容化方法

Info

Publication number
JPH08151440A
JPH08151440A JP6296668A JP29666894A JPH08151440A JP H08151440 A JPH08151440 A JP H08151440A JP 6296668 A JP6296668 A JP 6296668A JP 29666894 A JP29666894 A JP 29666894A JP H08151440 A JPH08151440 A JP H08151440A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
volume
lactic acid
temperature
biodegradable polymer
transition temperature
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP6296668A
Other languages
English (en)
Inventor
Satoru Oya
哲 大屋
Junji Nanbu
順治 南部
Kosuke Arai
宏介 新居
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
DIC Corp
Original Assignee
Dainippon Ink and Chemicals Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Dainippon Ink and Chemicals Co Ltd filed Critical Dainippon Ink and Chemicals Co Ltd
Priority to JP6296668A priority Critical patent/JPH08151440A/ja
Publication of JPH08151440A publication Critical patent/JPH08151440A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Processing Of Solid Wastes (AREA)
  • Polyesters Or Polycarbonates (AREA)
  • Biological Depolymerization Polymers (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【構成】 動的粘弾性の温度依存性に関する試験(JI
S−K−7198A法)での貯蔵弾性率(E’)の転移
温度が45〜90℃である、重量平均分子量が50,0
00〜700,000の乳酸系ポリマーから成る、減容
化可能な生分解性ポリマー成形物、及び貯蔵弾性率
(E’)の転移温度以上の温度で熱処理することによる
減容化方法。 【効果】 本発明は、一般家庭、外食産業等での日々の
ゴミ処理に要する負担を軽減し、また埋め立て地の延命
化、廃棄物の効率輸送等に貢献すると共に、散乱ゴミと
なって自然環境中に放置されたとしても自然の循環サイ
クルに組み込まれ、環境への負荷を軽減することができ
る、減容化可能な生分解性ポリマー成形物及びその減容
化方法を提供できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、地球環境の保全、廃棄
物処理等に有用な、容易に減容化可能で、かつ生分解性
に優れたポリマー成形物及びその減容化方法に関するも
のである。
【0002】
【従来の技術】プラスチックはその優れた物理的、化学
的性能から人類の社会生活に多大の利便性をもたらし恩
恵を与えているが、その反面、使用後発生する膨大な廃
棄物は、その強靱性の故に、景観阻害、海洋生物への脅
威、環境汚染等の地球的環境問題を引き起こし、近年、
とみにその弊害が問題となっている。
【0003】プラスチックの処分方法として、埋立、焼
却、リサイクル等が行われているが、埋立では埋め立て
地の不足の問題が、焼却では燃焼熱による炉の損傷或い
は有害ガスの発生等の問題が、またリサイクルでは分別
方法或いは回収コスト等の問題が解決されていない。
【0004】これらを解決する一つの方法として、自然
環境中で加水分解或いは微生物分解を受け最終的に無害
な炭酸ガスと水になる、生分解性ポリマーの研究が各国
で盛んに行われ、これまでにスターチ変成物、バイオセ
ルロース、ポリヒドロキシアルカノエート、ポリ乳酸等
の各種の所謂、生分解性ポリマーが開発されている。
【0005】一方、各種プラスチックからなるトレー、
ボトル等の成形品は、成形物であるが故に嵩高となり、
家庭ではゴミ袋に収納できる一回あたりの廃棄物量を減
少せざるを得ず、ゴミ処理に要する一般家庭の主婦のみ
ならず、回収業者、行政処理者の負担を増加させる結果
をもたらしている。
【0006】同様に外食産業の厨房やファーストフード
店等から出る大量の使用済み使い捨て容器も大きな社会
問題となっている。またこのプラスチック成形品の嵩高
さは、埋め立て地不足解消の点からも、効率的な廃棄物
輸送の点からも問題となっており、その生分解性のみな
らず、その減容化技術が社会的に嘱望されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】従って本発明が解決し
ようとする課題は、一般家庭、外食産業等での日々のゴ
ミ処理に要する負担を軽減し、また埋め立て地の延命
化、廃棄物の効率輸送等に貢献すると共に、散乱ゴミと
なって自然環境中に放置されたとしても自然の循環サイ
クルに組み込まれ、環境への負荷を軽減することができ
る、減容化可能な生分解性ポリマー成形物及びその減容
化方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の課
題を解決するために鋭意検討した結果、動的粘弾性の温
度依存性に関する試験(JIS−K−7198A法)で
の熱変形温度が45〜90℃である乳酸系ポリマーを選
択し、少なくとも一軸方向に1.5倍以上延伸するか、
絞り比0.1〜3で成形ことにより作られたシ−ト、フ
ィルム、容器、ボトル等の成形物をその乳酸系ポリマー
のガラス転移温度(Tg)以上、融点以下の液体または
気体に暴露することにより、これらを減容化率50%以
上で収縮、減容化させることができることを見い出し本
発明を完成した。
【0009】即ち、本発明は、動的粘弾性の温度依存性
に関する試験(JIS−K−7198A法)での貯蔵弾
性率(E’)の転移温度が45〜90℃である、重量平
均分子量が50,000〜700,000の乳酸系ポリ
マーから成る、減容化可能な生分解性ポリマー成形物で
ある。
【0010】また本発明は、動的粘弾性の温度依存性に
関する試験(JIS−K−7198A法)での貯蔵弾性
率(E’)の転移温度が45〜90℃である、重量平均
分子量が50,000〜700,000の乳酸系ポリマ
ーをガラス転移温度(Tg)以上、融点以下の温度で、
絞り比0.1〜3で成形した、減容化可能な生分解性ポ
リマー熱成形容器を含む。
【0011】また本発明は、該乳酸系ポリマーが、特に
乳酸成分と、ジカルボン酸成分とジオール成分から構成
されるポリエステルから成る乳酸系共重合ポリエステル
であることを特徴とする減容化可能な生分解性ポリマー
成形物である。
【0012】また本発明は、動的粘弾性の温度依存性に
関する試験(JIS−K−7198A法)での貯蔵弾性
率(E’)の転移温度が45〜90℃である、重量平均
分子量が50,000〜700,000の乳酸系ポリマ
ーを、ガラス転移温度(Tg)以上、融点以下の温度
で、延伸倍率を1.5〜5倍で成形した、減容化可能な
生分解性ポリマーから成るボトルを含む。
【0013】また本発明は、詳しくは、該乳酸系ポリマ
ーが、特に乳酸成分と、ジカルボン酸成分とジオール成
分から構成されるポリエステルから成る乳酸系共重合ポ
リエステルであることを特徴とする減容化可能な生分解
性ポリマーから成るボトルを含む。
【0014】また本発明は、動的粘弾性の温度依存性に
関する試験(JIS−K−7198A法)での貯蔵弾性
率(E’)の転移温度が45〜90℃である生分解性ポ
リマー成形物を、貯蔵弾性率転移温度を超える温度に加
熱した液体または気体に暴露して減容化することを特徴
とする生分解性ポリマーの減容化方法である。
【0015】更に本発明は、生分解性ポリマー成形物
が、特に乳酸系ポリマーであることを特徴とする上述の
生分解性ポリマー成形物の減容化方法、更に乳酸系ポリ
マーが特に、乳酸成分と、ジカルボン酸成分とジオール
成分から構成されるポリエステルから成る乳酸系共重合
ポリエステルであることを特徴とする減容化方法を含む
ものである。
【0016】更に、本発明は、生分解性ポリマー成形物
が、ガラス転移温度(Tg)以上、融点以下の温度で絞
り比0.1〜3で成形した減容化可能な生分解性ポリマ
ー熱成形容器、またはガラス転移温度(Tg)以上、融
点以下の温度で延伸倍率を1.5〜5で成形した減容化
可能な生分解性ポリマーから成るボトルを、貯蔵弾性率
転移温度を超える温度に加熱した液体または気体に暴露
して減容化することを特徴とする減容化方法である。
【0017】本発明で言う動的粘弾性の温度依存性に関
する試験法は、JIS−K−7198、A法であり、そ
の試験の際の昇温速度は2℃/min、貯蔵弾性率
(E’)の測定範囲は0〜100℃である。また本発明
で言うガラス転移温度(Tg)及び融点はJIS−K−
7121に規定されるTig、Tpmであり、昇温速度は1
0℃/minを使用した。
【0018】本発明に用いられる生分解性のポリマー
は、ポリ乳酸、もしくはポリ乳酸を主成分とした乳酸系
ポリマーやその共重合体、特に乳酸成分と、ジカルボン
酸成分とジオール成分から構成されるポリエステルから
成る乳酸系共重合ポリエステルや、ポリ乳酸と脂肪族ポ
リエステルの混合物の様なものが用いられる。
【0019】ポリ乳酸の製造法としては、乳酸から環状
二量体であるラクタイドを合成し、開環重合により高分
子量のポリ乳酸を得る方法が多く使用されているが、乳
酸から直接脱水縮合によりポリ乳酸を合成する方法も用
いられる。また共重合体は、ポリ乳酸重合時もしくはポ
リ乳酸重合直後に脂肪族ポリエステル、芳香族ポリエス
テル、カプロラクトン、酢酸ビニル、エチレンテレフタ
レート重合体、エチレンビニルアルコール等の一種以上
を加え共重合させることにより得られる。
【0020】原料に使用する乳酸は、砂糖、スターチ等
の再生可能な資源を発酵する事により得られる。また、
石油化学原料からも合成可能である。使用する乳酸は、
光学異性体であるD体、L体、メソ体、ラセミ体の何れ
であっても良く、またこれらの混合物であっても良い。
その際のL体、D体の比(L/D)は100/0〜0/
100まで全ての組成で使用出来る。
【0021】用いる生分解性ポリマーの重合度は、通常
重量平均分子量50,000〜700,000の範囲で
あり、中でも強度が高く成形加工性に優れる点から7
0,000〜300,000が好ましい。また、本発明
の成形品は乳酸系ポリマーの他に必要に応じて第二、三
成分として他のポリマーや可塑剤、安定剤、酸化防止
剤、ブロッキング防止剤、防曇剤、着色剤等の添加剤を
含んでも良い。
【0022】本発明の減容化可能な生分解性ポリマー成
形物の生分解性及び減容化可能性を阻害しない範囲で、
含んでいても良い他のポリマーとしては、脂肪族ポリエ
ステル、ポリビニルアルコール、ポリヒドロキシブチレ
ート−ヒドロキシバリレート、スターチ系ポリマー等が
挙げられる。
【0023】また添加剤として、1,3ブタンジオール
とアジピン酸等のポリエステル系可塑剤やフタル酸ジオ
クチル、ポリエチレングリコールアジピン酸等の可塑
剤、エポキシ化大豆油、カルボジイミドの様な安定剤、
2,6−ジ−第三−ブチル−4−メチルフェノール(B
HT)、ブチル・ヒドロキシアニソール(BHA)の様
な酸化防止剤、シリカ、タルクの様なブロッキング防止
剤、グリセリン脂肪酸エステル、クエン酸モノステアリ
ルの様な防曇剤、酸化チタン、カーボンブラック、群青
等の着色剤等を含んでいてもかまわない。
【0024】本発明で用いられる生分解性ポリマー成形
物、特に乳酸系ポリマー、中でも乳酸系共重合ポリエス
テルは、良い生分解性を持ち、海中に投棄された場合で
も、加水分解、微生物等による分解を受ける。海水中で
の分解も数カ月の間に樹脂としての強度が劣化し、外形
を保たないまでに分解可能である。
【0025】本発明の減容化可能な生分解性ポリマー成
形物としては、種々の成形方法で成形されるシ−ト、フ
ィルム、熱成形容器、ボトル等の各種の成形物が含まれ
る。まず減容化可能な生分解性ポリマーから成るシ−ト
の製造方法としては、Tダイキャスト法による押出成形
により成形加工を行うが、乳酸系ポリマーは一般的に吸
湿性が高く、加水分解性も高いため、水分管理が必要で
あり、一般的な一軸押出機を用いて押出成形するには、
真空乾燥器等により除湿乾燥後、成膜する必要がある。
【0026】また、ベント式二軸押出機による成膜は、
脱水効果が高いため効率的な成膜が可能である。また、
複数押出機による多層化を行うことも可能である。この
場合中心層に物性の劣る回収品を入れ、両外層に強度の
優れたバージン層を使用することにより強度の補強をす
ることが可能である。
【0027】また、中心層のみに着色剤を入れることに
より食品等に直接着色剤成分を触れさせなくすることも
でき、更に両外層のみに機能性添加剤を含ませることに
より、少量の添加で有効な効果を得ることが可能とな
る。乳酸系ポリマーをシーティングする際の溶融温度
は、特に制限されないが、通常融点より10〜50℃高
い温度である。
【0028】溶融押出されたシ−トは通常所定の厚みに
なるようにキャスティングされ、必要により冷却され
る。その際シ−ト厚みが厚い場合はタッチロール、エア
ーナイフ、薄い場合には静電ピンニングを使い分けるこ
とにより均一なシ−トとする。溶融押出を行うリップの
間隔は、0.2〜3.0mmとするが、成膜性を考える
ならば0.2〜1.5mmが好ましい。
【0029】延伸配向は、乳酸系ポリマーを溶融押出し
てシ−ト状にし、縦延伸処理を施すか或いはこれを省略
した後、同時二軸延伸時、逐次二軸延伸時のうちの横延
伸時、或いは横一軸延伸で行う。その加熱温度はガラス
転移温度(Tg)からガラス転移温度(Tg)より50
℃高い温度までの範囲で行われるが、シ−トの面状態や
透明性の点からガラス転移温度(Tg)より10〜40
℃高い温度範囲が特に好ましい。
【0030】延伸倍率は少なくとも一軸方向に1.5倍
以上となるように、一軸延伸もしくは二軸延伸処理で行
う、その後直ちにガラス転移温度(Tg)以下に冷却す
ることにより延伸配向シ−トが得られる。
【0031】シ−ト厚みについては、圧空成形に用いる
場合では成形品の剛性の点及び型再現性の点から50〜
1000μの範囲が好ましいが、特に実用性の点から1
00〜500μが最も好ましい。深絞り成形の可能な真
空成形に用いる場合でも同様に、50〜2000μの範
囲が好ましく、実用上の点から100〜1000μが特
に好ましい。
【0032】延伸シートの配向戻り応力は、特に規定し
ないが、耐衝撃性と成形時の収縮の発生がないように、
厚み換算で5〜40kg/cm2のシ−トを用いること
が好ましい。なお配向戻り応力とはASTMD−150
4に準拠して測定されるもので、延伸されて得られた成
形用シ−トを加熱した時に、シ−トが延伸前の状態に復
元しようとして示す力のことであり、その最大の応力を
シ−トの断面積で割った値として求められ、延伸された
シ−トの分子配向程度を示す指標となる。
【0033】次に成形品の製造方法について説明する。
本発明の減容化可能な生分解性ポリマー成形物は、成形
用シ−トを未延伸のものは金型を用いた真空成形、真空
圧空成形で、延伸シ−トは加熱金型を用いた圧空成形、
真空圧空成形により成形することにより所定の形状の成
形品を得ることが出来る。
【0034】成形条件は特に制限されるものではない
が、真空成型機を使う場合の条件としては遠赤外線ヒー
ター温度で300〜500℃、間接加熱時間5〜30
秒、金型温度30℃以下、金型による冷却時間5〜60
秒が良い。熱板圧空成形機を行う場合の条件としては、
熱板温度65〜100℃、熱板による加熱時間0.5〜
6秒、金型温度30℃以下、金型による冷却時間1〜2
0秒、成形圧力1〜10kg/cm2が良い。
【0035】この場合、型再現性の不良もレインドロッ
プの発生も無く、優れた成形品が得られる。作られる成
形品は減容化性、成形性の点から絞り比0.1〜3のも
のが好ましいが、実用的には0.1〜1.5程度のもの
が特に好ましい。ボトル形成の条件としては、特に制限
されないが、押出時の樹脂温度は通常融点より10〜5
0℃高い温度であり、延伸温度はガラス転移温度(T
g)からガラス転移温度(Tg)より50℃高い温度ま
での範囲が好ましい。
【0036】延伸倍率としては減容化性、成形性の点か
らプリホームの1.5倍以上、通常1.5〜5倍程度で
あるが、実用的には2〜4倍が最も好ましい。その際の
金型温度は30℃以下程度がよい。
【0037】本発明の減容化は、貯蔵弾性率(E’)の
転移温度が45〜90℃である生分解性ポリマー成形物
を、貯蔵弾性率(E’)の転移温度以上、即ち、熱変形
温度を超える温度に加熱した液体または気体に暴露して
行う。貯蔵弾性率(E’)の転移温度が45〜90℃で
ある生分解性ポリマー成形物を、貯蔵弾性率転移温度を
超える温度で処理して減容化を行なうには、該生分解性
ポリマー成形物の熱変形温度、貯蔵弾性率(E’)の転
移温度よりも、通常5〜10℃高い温度で加熱処理する
ことが好ましい。
【0038】減容化の加熱温度は、一般家庭等での比較
的低温の湯による変形しやすさの点から、90℃以下、
特に50〜70℃であることが好ましい。減容化に用い
る気体としては、特に限定はしないが一般的に業務用や
家庭用のドライヤーや、オーブン等から得られる熱風、
液体としては湯沸かし器、やかん等により沸かされた温
水等である。
【0039】熱風としては、熱変形温度より10℃高い
温度であれば何度でも減容化は行えるが、エネルギーコ
ストや火傷、火災等の危険性、更に熱量の小さい家庭用
ドライヤーで容易に得られる点から50〜100℃が好
ましい。温水の場合も熱変形温度より10℃高い温度で
あれば何度でも減容化は行え、効率よく減容化させるた
め50〜100℃の温水を使用することが好ましい。し
かし火傷等の危険性や湯沸かし器、魔法瓶の残り湯等で
容易に得られることから50〜80℃が最も好ましい。
【0040】本発明の生分解性ポリマー成形物は、乳酸
系ポリマーの特徴である自然界での生分解性と共に、低
い燃焼カロリーと燃焼時に有害ガスを発生しない特性を
有し、更に熱変形温度以上に加熱した液体または気体に
暴露すると、50%以上の減容化率で収縮・減容化可能
であり、食品及び一般包装用例えば冷凍食品容器、サラ
ダ容器、食品トレー、ブリスター容器等に広く用いるこ
とができる。
【0041】
【実施例】本発明を実施例により詳細に説明するが、も
とより本発明はこれらに限定されるものではない。
【0042】(実施例1〜4)脂肪族系ポリエステル
(セバシン酸50モル%、プロピレングリコール50モ
ル%)5重量部にL−ラクタイド85重量部とD−ラク
タイド5重量部とを加えて、不活性ガスで雰囲気を置換
し、165℃で1時間混合させ、エステル化触媒として
オクタン酸錫を0.02部加えて8時間反応を行った。
【0043】得られた乳酸系ポリマーは無色透明な樹脂
で、重量平均分子量はGPCの結果から20,100
0、ガラス転移温度は48℃、融点は156℃であっ
た。以下この樹脂をP1と称する。
【0044】この乳酸系ポリマーを絶乾状態にし、押出
温度180℃の条件で、L/D24、押出スクリュー径
50mmの押出機(田辺プラスチック社製)により押し
出し、真空成型用に厚み250μmのシート及び延伸用
の厚み1000μmのシ−トを得た。250μmのシ−
トの押出条件はスクリュー回転数24rpm、吐出量は
16kg/hr、背圧は91kg/cm2、引取速度は
3.6m/minであった。
【0045】1000μmシ−トの押出条件はスクリュ
ー回転数45rpm、吐出量は25kg/hr、背圧は
155kg/cm2、引取速度は1.2m/minであ
った。 また得られたシ−トの分子量、ガラス転移温度
(Tg)、融点(Tm)、熱変形温度測定を行った。熱
変形温度は、JIS−K−7198のA法に基づき周波
数1Hzで0〜100℃の範囲を測定し求めた。
【0046】次に単発2軸延伸機(岩本製作所社製)に
より延伸温度65℃、予熱時間5分、延伸速度100%
/min、延伸倍率2×2(縦×横)の条件で1000
μmシ−トより圧空成形用延伸シ−トを作製した。次に
延伸シ−トの圧空成形、未延伸シ−トの真空成形を行っ
た。金型は縦×横×深さが11×11×3cm、及び
7.3×6.3×3cmの容器仕様金型2つと、直径×
深さが11.9×4.6及び6.1×0.4の蓋型金型
で行った。
【0047】成形品の延伸度合いの目安となる絞り比
は、各々0.48、0.39、0.27、0.07で行
った。尚、この絞り比が大きいほど延伸度合いは大きく
なる。減容化試験は各成形品に所定温度40℃、50
℃、90℃に加熱した湯を注ぐこと(液体加熱)及び所
定温度に加熱されたオーブン中に2分放置すること(気
体加熱)によって行った。
【0048】減容化率は成形品の容積を水を充填して測
定し、元の容積を100としたときの容積変化率として
求めた。即ち、成形品の場合、元の容積が15となった
場合に、その減容化率は85%である。その結果、該圧
空成形容器、真空成形容器はいずれも50℃で80〜9
0%まで減容化した。このことから日常一般に簡単に手
に入る50℃の温水で容易に減容化可能なことがわかっ
た。
【0049】(実施例5)脂肪族系ポリエステル(セバ
シン酸50モル%、プロピレングリコール50モル%)
30重量部にL−ラクタイド85重量部とD−ラクタイ
ド5重量部とを加えて、不活性ガスで雰囲気を置換し、
165℃で1時間混合させ、エステル化触媒としてオク
タン酸錫を0.02部加えて8時間反応を行った。
【0050】得られた乳酸系ポリマーは無色透明な樹脂
で、重量平均分子量はGPCの結果から15,100
0、ガラス転移温度は48℃、融点は158℃であっ
た。以下この樹脂をP2と称する。
【0051】この乳酸系ポリマーを絶乾状態にし、押出
温度175℃の条件で、L/D24、押出スクリュー径
50mmの押出機(田辺プラスチック社製)により押し
出し、厚み250μmのシ−トを得た。250μmシ−
トの押出条件はスクリュー回転数21rpm、吐出量は
15kg/hr、背圧は45kg/cm2、引取速度は
1.6m/minであった。
【0052】また得られたシ−トの分子量、ガラス転移
温度(Tg)、融点(Tm)、熱変形温度測定を行っ
た。上記シ−トの真空成形を実施例3と同様の金型で行
い同様の減容化試験を行った。その結果、50℃で減容
化度80%であった。
【0053】(実施例6)芳香族カルボン酸および脂肪
族ジカルボン酸を含むポリエステル(テレフタル酸16
モル%、イソフタル酸14モル%、アジピン酸20モル
%、エチレングリコール23モル%、ネオペンチルグリ
コール27モル%、数平均分子量23,800(ポリス
チレン換算))10部にL−ラクタイド90部を加え
て、不活性ガスで雰囲気を置換し、165℃で1時間、
両者を溶融・混合させ、エステル化触媒としてオクタン
酸錫を0.02部加え6時間反応を行った。
【0054】反応終了後、重量平均分子量18,500
0の乳酸系共重合ポリエステルを得た。以下、この樹脂
をP3と称する。この原料を絶乾状態にし、押出温度1
80℃の条件で、実施例1と同様の押出機により押し出
しを行ったところ、重量平均分子量12,1000、厚
み250μmのシ−トを得た。厚み250μmシ−トの
押出条件はスクリュー回転数24rpm、吐出量は17
kg/hr、背圧は90kg/cm2、引取速度は3.
4m/minであった。
【0055】得られたシ−トの分子量、ガラス転移温度
(Tg)、融点(Tm)、熱変形温度測定を行った。上
記シ−トの真空成形を実施例3と同様の金型で行い同様
の減容化試験を行った。その結果、50℃で減容化度6
8%であった。
【0056】(実施例7)脂肪族系ポリエステル(コハ
ク酸50モル%、エチレングリコール50モル%、ガラ
ス転移点−3.5℃、融点105.0℃)5重量部にL
−ラクタイド85重量部とMESO−ラクタイド10重
量部とを加えて、不活性ガスで雰囲気を置換し、165
℃で1時間混合させ、エステル化触媒としてオクタン酸
錫を0.02部加えて8時間反応を行った。
【0057】得られた乳酸系ポリマーは褐色を帯びた透
明な樹脂で、重量平均分子量はGPCの結果から16,
2000であった。以下、この樹脂をP4と称する。こ
の乳酸系ポリマーを絶乾状態にし、成形温度190℃の
条件でL/D25、スクリュー径40mmのブロー成形
機(日本製鋼所社製)により延伸倍率3倍の条件で20
0ccのボトルを作製した。得られたボトルを実施例1
と同様の方法で減容化の評価を行った。その結果、延伸
ブローボトルでも50℃で減容化度60%まで減容化す
ることがわかった。
【0058】これらP1〜P4の乳酸系共重合体のペレ
ットをホットプレスを用い、厚さ10cm×10cm、
100μmのシートを作成した。プレス条件は、165
℃、200kg/cm2 、2分間であった。このシート
を土中に埋設し生分解試験を試みたところ、1ヶ月で分
子量の低下を生じ、3ヶ月で白化とともに極めて脆くな
り、生分解性が確認された。
【0059】(比較例1)絞り比0.07の蓋型容器を
用いて真空成形を行った。その結果、液体及び気体加熱
により蓋の形状はとどめていないが、絞り比が小さいた
め、元々の容積とシ−ト変形による凹凸由来の容積との
差が小さく、大きな減容化率が得られなかった。
【0060】(比較例2、3)実施例3と同様の金型を
用い市販されているOPSシ−ト(大日本インキ化学工
業株式会社製)の圧空成形品、PVCシ−ト(信越ポリ
マー株式会社製)の真空成形品作製を行い、実施例1と
同様な方法で減容化試験を行った。その結果、90℃で
もOPSシート、PVCシートとも減容化度が50%を
超えず、十分な減容化のためには100℃を越える高温
での加熱が必用なことがわかった。
【0061】(比較例4、5)実施例7の樹脂を用いて
延伸倍率1.1倍の60ccボトル、及び実施例7と同
様の型から作られたAPETボトルで減容化試験を行っ
た。その結果延伸倍率1.1倍のボトルは大きな減容化
が出来ず、またPET性のボトルは90℃でも減容化度
が50%を超えず、十分な減容化のためには100℃を
越える高温での加熱が必用なことがわかった。
【0062】
【表1】
【0063】
【表2】
【0064】
【表3】
【0065】
【表4】
【0066】
【発明の効果】本発明は、一般家庭、外食産業等での日
々のゴミ処理に要する負担を軽減し、また埋め立て地の
延命化、廃棄物の効率輸送等に貢献すると共に、散乱ゴ
ミとなって自然環境中に放置されたとしても自然の循環
サイクルに組み込まれ、環境への負荷を軽減することが
できる、減容化可能な生分解性ポリマー成形物及びその
減容化方法を提供できる。

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 動的粘弾性の温度依存性に関する試験
    (JIS−K−7198A法)での貯蔵弾性率(E’)
    の転移温度が45〜90℃である、重量平均分子量が5
    0,000〜700,000の乳酸系ポリマーから成
    る、減容化可能な生分解性ポリマー成形物。
  2. 【請求項2】 動的粘弾性の温度依存性に関する試験
    (JIS−K−7198A法)での貯蔵弾性率(E’)
    の転移温度が45〜90℃である、重量平均分子量が5
    0,000〜700,000の乳酸系ポリマーを、ガラ
    ス転移温度(Tg)以上、融点以下の温度で、絞り比
    0.1〜3で成形した、減容化可能な生分解性ポリマー
    熱成形容器。
  3. 【請求項3】 乳酸系ポリマーが、乳酸成分と、ジカル
    ボン酸成分とジオール成分から構成されるポリエステル
    から成る乳酸系共重合ポリエステルであることを特徴と
    する請求項1または2記載の減容化可能な生分解性ポリ
    マー成形物。
  4. 【請求項4】 動的粘弾性の温度依存性に関する試験
    (JIS−K−7198A法)での貯蔵弾性率(E’)
    の転移温度が45〜90℃である、重量平均分子量が5
    0,000〜700,000の乳酸系ポリマーを、ガラ
    ス転移温度(Tg)以上、融点以下の温度で、延伸倍率
    を1.5〜5倍で成形した、減容化可能な生分解性ポリ
    マーから成るボトル。
  5. 【請求項5】 乳酸系ポリマーが、乳酸成分と、ジカル
    ボン酸成分とジオール成分から構成されるポリエステル
    から成る乳酸系共重合ポリエステルであることを特徴と
    する請求項4記載の減容化可能な生分解性ポリマーから
    成るボトル。
  6. 【請求項6】 動的粘弾性の温度依存性に関する試験
    (JIS−K−7198A法)での貯蔵弾性率(E’)
    の転移温度が45〜90℃である生分解性ポリマー成形
    物を、貯蔵弾性率転移温度を超える温度に加熱した液体
    または気体に暴露して減容化することを特徴とする生分
    解性ポリマーの減容化方法。
  7. 【請求項7】 生分解性ポリマー成形物が、乳酸系ポリ
    マーであることを特徴とする請求項6記載の生分解性ポ
    リマー成形物の減容化方法。
  8. 【請求項8】 乳酸系ポリマーが、乳酸成分と、ジカル
    ボン酸成分とジオール成分から構成されるポリエステル
    から成る乳酸系共重合ポリエステルであることを特徴と
    する請求項7記載の減容化方法。
  9. 【請求項9】 生分解性ポリマー成形物が、ガラス転移
    温度(Tg)以上、融点以下の温度で絞り比0.1〜3
    で成形した減容化可能な生分解性ポリマー熱成形容器、
    またはガラス転移温度(Tg)以上、融点以下の温度で
    延伸倍率1.5〜5で成形した減容化可能な生分解性ポ
    リマーから成るボトルであることを特徴とする請求項6
    〜8のいずれか一つに記載の生分解性ポリマー成形物の
    減容化方法。
JP6296668A 1994-11-30 1994-11-30 減容化可能な生分解性ポリマー成形物及び減容化方法 Pending JPH08151440A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP6296668A JPH08151440A (ja) 1994-11-30 1994-11-30 減容化可能な生分解性ポリマー成形物及び減容化方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP6296668A JPH08151440A (ja) 1994-11-30 1994-11-30 減容化可能な生分解性ポリマー成形物及び減容化方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH08151440A true JPH08151440A (ja) 1996-06-11

Family

ID=17836537

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP6296668A Pending JPH08151440A (ja) 1994-11-30 1994-11-30 減容化可能な生分解性ポリマー成形物及び減容化方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH08151440A (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH1143537A (ja) * 1997-05-28 1999-02-16 Shimadzu Corp 眼鏡成形体構成用の生分解性樹脂及び眼鏡成形体

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH1143537A (ja) * 1997-05-28 1999-02-16 Shimadzu Corp 眼鏡成形体構成用の生分解性樹脂及び眼鏡成形体

Similar Documents

Publication Publication Date Title
Swetha et al. A comprehensive review on polylactic acid (PLA)–Synthesis, processing and application in food packaging
JP3473714B2 (ja) 乳酸系ポリマーから成る耐熱性シート及び成形品の製造方法
CN100381499C (zh) 用于热成型的聚乳酸聚合物组合物,用于热成型的聚乳酸聚合物片材,和由其获得的热成型制品
JP4807544B2 (ja) ポリエステル組成物
US20050244606A1 (en) Biodegradable sheet, molded object obtained from the sheet, and process for producing the molded object
Piergiovanni et al. Plastic packaging materials
WO2004007197A1 (ja) 生分解性積層シート、及びこの生分解性積層シートを用いた成形体
JPH09111107A (ja) 生分解性フィルムあるいはシート、および、生分解性プラスチック成形品
JP2005329557A (ja) 多層フィルム
JP4180606B2 (ja) 生分解性シート及びこのシートを用いた成形体とその成形方法
JP3797868B2 (ja) 生分解性熱成形用シート状物および容器
JP2003094585A (ja) ヒートシールフィルム
JP4245306B2 (ja) 生分解性ポリエステル延伸成形体
JPH08151440A (ja) 減容化可能な生分解性ポリマー成形物及び減容化方法
JP2009062532A (ja) ポリ(ヒドロキシアルカン酸)とポリオキシメチレンを含む熱成形された物品および組成物
US8182734B1 (en) Thermoformed articles and compositions of poly(hydroxyalkanoic acid) and polyoxymethylene
JP4383748B2 (ja) 耐熱性を有する生分解性樹脂容器
JP3674594B2 (ja) 乳酸系共重合ポリエステルからなる包装材料
JP2003245971A (ja) 乳酸系ポリマーから成る耐熱性シート及び成形品の製造方法
JPH10249925A (ja) 乳酸系ポリマー容器及びその製造方法
JP3482743B2 (ja) 乳酸系ポリマーから成るシュリンクフィルム
JP4245300B2 (ja) 生分解性ポリエステル延伸成形体の製造方法
JP4452293B2 (ja) 熱成形用ポリ乳酸系多層シートおよびその成形物
JP4669890B2 (ja) 熱成形体の製造方法
JP3482742B2 (ja) 乳酸系ポリマーからなる冷食品用成形物