JPH08150829A - 自動車用空気調和装置 - Google Patents

自動車用空気調和装置

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JPH08150829A
JPH08150829A JP29311394A JP29311394A JPH08150829A JP H08150829 A JPH08150829 A JP H08150829A JP 29311394 A JP29311394 A JP 29311394A JP 29311394 A JP29311394 A JP 29311394A JP H08150829 A JPH08150829 A JP H08150829A
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JP
Japan
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compressor
evaporator
oil
valve
air conditioner
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JP29311394A
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English (en)
Inventor
Yoshitoshi Noda
圭俊 野田
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Marelli Corp
Original Assignee
Calsonic Corp
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 コンプレッサがオイルを必要とする場合に、
最もオイルの溜まりやすいエバポレータからコンプレッ
サにオイルを戻し、コンプレッサの保護を図り、しかも
冷力の低下を防止するようにした「自動車用空気調和装
置」を提供すること。 【構成】 コンプレッサ1の起動時、高速回転あるいは
低速回転している場合に生じるオイル不足に関しては、
起動検知手段30、回転数検知手段40によりコンプレ
ッサ1の回転Aを検知して潤滑不足を防止し、また、高
負荷状態の場合には外気温度検知手段50、外気温度検
知手段50、ブロア電圧検知手段60、ドア状態検知手
段70によりオイル戻しを行なわないようにしているの
で、コンプレッサ1の保護と、自動車用空気調和装置の
冷力低下も防止できることになる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、自動車用空気調和装
置、特に、エバポレータ内に溜まったオイルをコンプレ
ッサに戻すようにしたものに関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、自動車用空気調和装置の冷房サ
イクルは、コンプレッサから吐出された冷媒をコンデン
サ、エバポレータ等を介して循環した後にコンプレッサ
に戻す閉回路を構成しているが、このコンプレッサ内に
は、摺動部分を潤滑しているオイルが貯溜されているの
で、コンプレッサが冷媒を吐出する場合にオイルも一緒
に吐出されることになる。このオイルの一部は、回路中
に溜まり、コンプレッサに全量戻らないことがあり、コ
ンプレッサが潤滑を必要とするときにオイル不足を生じ
ることがある。このオイル不足は、コンプレッサに焼き
付き等を起こす虞れがあり、極力回避されるべきもので
ある。
【0003】オイルが冷媒とミックスされる、いわゆる
相溶性の点に関し、冷媒が液状であれば相溶性があるも
のの、ミスト状の場合には相互に分離しオイルのみが回
路中に溜るという事態を生じる。
【0004】したがって、冷房サイクル中において、冷
媒がミスト状又はガス状となるエバポレータにおいてオ
イルが最も溜まりやすい。このエバポレータ内に一旦溜
まったオイルは、冷房サイクル運転中であってもコンプ
レッサには戻りにくく、確実に取り出すには回路内を洗
浄しなければならない。
【0005】このため、最近では、エバポレータとコン
プレッサとを連通しているメインの回路をバイパスする
バイパス通路を設け、このバイパス通路にエバポレータ
側がコンプレッサ側の圧力よりも高い時に開弁する差圧
弁を介装し、この圧力差によりエバポレータ内のオイル
をコンプレッサに戻すようにしたものが提案されている
(特開平3−168,565号公報参照)。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかし、コンプレッサ
が潤滑を必要とするときは、エバポレータ側の圧力やコ
ンプレッサ側の圧力により決定されるものではなく、コ
ンプレッサ自体の作動状態によるものであり、前述した
従来技術のものでは、コンプレッサ保護の完全性に欠け
るものとなっている。
【0007】本発明は、このような従来技術の課題に鑑
みてなされたものであり、コンプレッサがオイルを必要
とする場合に、最もオイルの溜まりやすいエバポレータ
から、冷力の低下を防止しつつコンプレッサにオイルを
戻し、コンプレッサの保護を図るようにした自動車用空
気調和装置を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
の請求項1に記載の本発明は、冷房サイクルの一部を構
成しているエバポレータとコンプレッサを連通するメイ
ンの回路をバイパスするように設けれたバイパス通路に
開閉弁を設け、この開閉弁を制御することによりエバポ
レータ内のオイルをコンプレッサに戻すようにした自動
車用空気調和装置において、前記開閉弁を制御する制御
部に、エンジンの始動を検知する起動検知手段と、コン
プレッサの回転数を検知する回転数検知手段とを接続
し、前記起動検知手段がエンジンの起動を検知したと
き、または回転数検知手段が所定の高速回転以上又は所
定の低速回転以下を検知したとき、前記制御部から前記
開閉弁の作動部に当該開閉弁を「開」状態とする信号を
出力するようにしたことを特徴とする。
【0009】請求項2に記載の本発明は、前記制御部
が、車室外の温度を検知する温度検知手段からの信号、
自動車用空気調和装置のファンを回転させるブロアモー
タに印加される電圧を検知するブロア電圧検知手段から
の信号、内外気を切換えて車室内に導入するためのイン
テークドアの状態を検知するドア状態検知手段からの信
号の内少なくとも1つを入力するように構成し、この信
号が入力された時、前記制御部から前記開閉弁の作動部
に当該開閉弁を「閉」状態とする信号を出力するように
したことを特徴とする。
【0010】請求項3に記載の本発明は、前記エバポレ
ータを、内部に扁平な冷媒通路が形成されるように最中
合わせされた一対の矩形皿状のプレートからなる液管を
コルゲートフィン等の伝熱フィンを介して多数積層する
ことにより構成した蒸発部と、前記液管の下端開口部が
連通されたタンク部Tとを有する積層型エバポレータに
より構成したことを特徴とする。
【0011】
【作用】このように構成した請求項1に記載の発明によ
れば、起動検知手段がイグニッションコイルに電流が流
れたことを検知したとき、開閉弁を開くようにしている
ので、コンプレッサの始動時にエバポレータのタンク部
内に溜まったオイルがバイパス通路を通ってコンプレッ
サ内に戻され、コンプレッサの始動時におけるオイル不
足が解消される。
【0012】そして、コンプレッサが回転している間
に、所定値以上の高速回転となると、コンプレッサ内か
ら流出するオイル量が増大し、コンプレッサ内のオイル
が不足気味となることから、また、所定値以下の低回転
時になると、冷媒循環量が少なくなるので、コンプレッ
サに戻ってくるオイルが不足気味になることから、この
ような高速又は低速回転状態となると、制御部から開閉
弁の作動部に「開」信号が出力され、エバポレータのタ
ンク内に溜まったオイルをコンプレッサに戻し、コンプ
レッサを保護する。
【0013】請求項2に記載の本発明によれば、コンプ
レッサがどのような回転域で回転していても、熱負荷が
大きために、外気温度検知手段が所定温度以上を検知し
たり、ブロア電圧検知手段が所定電圧以上を検知した
り、ドア状態検知手段がインテークドアが外気導入状態
を検知すると、冷媒がバイパス通路を通ってコンプレッ
サに戻され、冷力不足となる事態を防止し、所望の冷力
が確保されるように制御部から開閉弁の作動部に「閉」
信号が出力され、バイパス通路を遮断する。
【0014】請求項3に記載の本発明によれば、積層型
エバポレータの下部にタンク部分を有するように構成し
ているので、エバポレータ内で冷媒とオイルが分離状態
となっても、オイルは、確実にエバポレータのタンク内
に溜まり、これをコンプレッサに戻しやすくなる。
【0015】
【実施例】以下、本発明の実施例を図面を参照して説明
する。図1は、本発明の一実施例に係る自動車用空気調
和装置の冷房サイクルを示す概略説明図、図2は、同実
施例の全体を略示する概略説明図、図3は、同実施例の
オイル戻し装置部分を示す概略斜視図、図4は、同エバ
ポレータの内部を流れる冷媒の状態を示す概略説明図、
図5は、オイル戻し装置部分の変形例を示す概略斜視
図、図6は、同実施例の制御部を示すブロック図、図7
は、同制御部の作動状態を示すフローチャートである。
【0016】図1に示す本実施例の自動車用空気調和装
置は、コンプレッサ1、コンデンサ2、リキッドタンク
3、膨脹弁4及びエバポレータ5を導管Pにより連通す
ることによりメインの冷房回路を構成しているが、コン
プレッサ1とエバポレータ5との間には前記導管Pをバ
イパスするバイパス通路Pb を有するオイル戻し装置1
0が設けられている。
【0017】図2は、エバポレータの部分のみを平面的
に略示しているが、このオイル戻し装置10は、前記エ
バポレータ5に連通されているバイパス通路Pb に電磁
開閉弁11が設けられ、この電磁開閉弁11は、ソレノ
イド等の作動部12により開閉作動されるようになって
いる。この作動部12は、制御部6により制御され、エ
バポレータ側とコンプレッサ側の圧力差によりエバポレ
ータ5内に溜まったオイルをコンプレッサ1に戻すよう
にしている。
【0018】まず、エバポレータ5としては、図3に示
すような積層型エバポレータを使用することが好まし
い。この積層型エバポレータは、内部に扁平な冷媒通路
が形成されるように最中合わせされた一対の矩形皿状の
プレートからなる液管13をコルゲートフィン等の伝熱
フィン14を介して多数積層することにより構成した蒸
発部Eと、前記液管13の下位の開放端部が開口部Oに
連通されたタンク部Tとから構成されている。なお、図
中、符号「15」は冷媒入口管、「16」は冷媒出口管
である。
【0019】この積層型エバポレータは、熱交換される
空気の流れ方向を矢印A方向とすると、前記液管13を
部分的に押し潰すことにより形成された仕切部17によ
りその蒸発部Eが空気の流れ方向に沿って前後に区画さ
れ、また、後方タンク部Tbは内部に設けられた仕切板
18により左右の室に分離されている。冷媒入口管15
から流入した冷媒は、仕切部17と仕切板18とにより
内部で複数回Uターンして冷媒出口管16より流出する
ようになっている。つまり、図4に示すように、冷媒入
口管15から後方タンク部Tb の左半部に流入した冷媒
は、タンク孔O1 を経て後方左蒸発部Ebl内に入り、液
管の上部でUターンして前方左蒸発部Eflと流れ、タン
ク孔O2 より前方タンク部Tf 内に入る。そして、前方
タンク部Tf 内を通ってタンク孔O3 より流出し、前方
右蒸発部Efr内に入り、液管13の上部でUターンして
後方右蒸発部Ebrと流れ、タンク孔O4 より後方タンク
部Tb の右半部を経て冷媒出口管16より流出し、コン
プレッサ1に向かうようになっている。このようにすれ
ば、エバポレータによって冷却された空気がエバポレー
タから吹き出される時、左右方向での温度差が生じるこ
とが少なく、均一温度の冷却空気が得られるという利点
がある。
【0020】一般に、自動車用空気調和装置のエバポレ
ータは、ガス状冷媒と空気とを熱交換し、低温高圧のガ
ス状冷媒が比較的高温で低圧のガス状冷媒に状態変化さ
せる部分であり、この熱交換により低温になった空気は
車室内に吹き出され、車室内を冷房する。このエバポレ
ータから流出される冷媒は、ガス状態のままコンプレッ
サに戻されるように、つまり、所定のスーパーヒート量
をもってコンプレッサに帰還されるように、膨脹弁4に
より流入冷媒量が調節されるが、熱負荷、例えば、エバ
ポレータを通過する空気の温度が高く、その空気量も多
い場合には、冷媒の蒸発が進み、エバポレータから流出
する前にエバポレータ内部でガス状にななり、この結
果、冷媒とオイルが分離し、冷媒によるオイル搬送能力
が低下し、オイルがエバポレータのタンク内に溜まるこ
とになる。特に、前述した積層型エバポレータ5のよう
にタンク部Tを下部に有するものにおいては、この傾向
が顕著となる。
【0021】本実施例では、かかる積層型エバポレータ
5の特徴を利用し、エバポレータ5のタンク部Tに溜ま
ったオイルをバイパス通路Pb を通ってコンプレッサ1
に戻すようにしている。このバイパス通路Pb は、具体
的には、直径4mm程度の細い管であるキャピラリチュ
ーブを使用することが好ましい。このような細い管を使
用すれば、ガス状の冷媒は通りにくく、液状のオイルの
みが通りやすいという利点があり、オイル戻しを行なう
には好都合となる。
【0022】このバイパス通路Pb の一端は、図3に示
すように、エバポレータ5の前方タンク部Tf と後方タ
ンク部Tr の冷媒流出側を連通管19により連通し、比
較的オイルが溜まりやすい部分からオイルを取り出すよ
うにすることが好ましい。
【0023】ただし、場合によっては、図2,5に示す
ように、前方タンク部Tf と後方タンク部Tr とをそれ
ぞれキャピラリチューブよりなる連通管19,19によ
り連通し、この連通管19を電磁開閉弁11を介してさ
らにキャピラリチューブからなる流出管20と連通する
ようにしても良い。このようにすれば、タンクTの複数
箇所からオイルを取り出すことになるので、比較的多量
オイルを取り出すことができるようになる。
【0024】この電磁開閉弁11は、ソレノイド等から
なる作動部12により開閉作動されるが、この電磁開閉
弁11の開閉は、制御部6からの信号により行なわれ
る。ここに、制御部6とは、車両本体に取り付けられて
いるコンピュータあるいは自動車用空気調和装置を制御
するオートアンプが使用される。
【0025】この制御部6に入力される信号は、図2,
6に示すように、自動車のエンジン21(図2参照)が
始動されたことを検知する起動検知手段30と、コンプ
レッサ1の回転数を検知する回転数検知手段40と、車
室外の温度を検知する外気温度検知手段50と、自動車
用空気調和装置のブロアに印加される電圧を検知するブ
ロア電圧検知手段60と、自動車用空気調和装置のイン
テークドアの状態を検知するドア状態検知手段70から
の信号である。
【0026】つまり、コンプレッサ1は、始動時にオイ
ルが十分戻されていなければ、前述した焼き付き等の不
具合を起こす虞れがある。したがって、起動検知手段3
0によりコンプレッサ始動時を検知し、始動時のオイル
不足を防止している。ここにおいて、コンプレッサ1
は、自動車のエンジン21により電磁クラッチ22を介
して駆動されるので、自動車のエンジン21の始動を検
出すると、コンプレッサ1の始動も予想して検出するこ
とができる。このため、自動車のエンジン始動時を、例
えば、イグニッションコイル電流検出計31により検知
し、コンプレッサ1の始動を検知するようにしている。
【0027】また、コンプレッサ1は、回転状態によっ
てもオイル不足を生じる。コンプレッサ1が高速回転し
ている場合には、コンプレッサ1内部の摺動部分が激し
く作動するので、潤滑のために多量のオイルが必要とな
るが、この高速回転時には、吐出される多量の冷媒とと
もにオイルもコンプレッサ1から流出し、潤滑が必要な
場合であるにも拘らず、オイル不足を生じる虞れがあ
る。一方、コンプレッサ1が低速回転している場合に
は、コンプレッサ1から吐出される冷媒量が少ないこと
からコンプレッサ1に戻る冷媒量が減少し、コンプレッ
サ1へのオイルの戻り量が減少する。この場合も潤滑不
足を生じる。つまり、コンプレッサは、高速回転時と低
速回転時に保護が不十分になりやすい。
【0028】したがって、本実施例では、コンプレッサ
1のシャフトに直接回転センサー41を取り付けるかあ
るいはエンジン21の回転数を直接検知する回転センサ
ーにより回転数検知手段40を構成し、この回転数検知
手段40が4500rpm以上を検知したとき、あるい
は800rpm以下を検知したときに、制御部6から電
磁開閉弁11の作動部12に電磁開閉弁11を「開」状
態とする信号を出力し、エバポレータ1のタンクT内に
溜まったオイルをコンプレッサ1に戻すようにしてい
る。
【0029】しかし、コンプレッサが、例えば、低速回
転している場合に、バイパス通路Pb を開放すると、エ
バポレータ5を通ることなく冷媒がコンプレッサに戻さ
れるので、エバポレータの冷却能力(冷力)は低下する
ことになるが、このような状況下で、熱負荷が大きくな
ると、冷力を優先することが望ましいため、前記オイル
戻し装置10を閉鎖し、エバポレータとコンプレッサが
バイパス通路Pb を介して連通しないようにしている。
【0030】例えば、夏期の高速道路で渋滞中に冷房運
転を行なう場合のように、高熱負荷時の低速回転状態と
か、あるいは夏期に多数人が乗車し高速走行している時
に冷房運転を行なう場合のように、高熱負荷低中速回転
時には、エバポレータにおいて熱交換作用が著しく、冷
媒もガス状になりやすいが、多量の冷媒がエバポレータ
内を流通するため、コンプレッサの潤滑は影響されな
い。
【0031】したがって、このような高熱負荷時には、
コンプレッサ保護よりも冷力を優先して、電磁開閉弁1
1を「閉」にし、エバポレータ1のタンクT内とコンプ
レッサ1との連通をシャットしている。
【0032】本実施例では、高熱負荷運転状態を検知す
るために、図6に示すように、外気温度検知手段50、
ブロア電圧検知手段60、ドア状態検知手段70を設
け、これらからの信号も前記制御部6に入力し、この制
御部6により電磁開閉弁11を「閉」状態に制御し、バ
イパス通路Pb を通って冷媒がコンプレッサ1に戻らな
いようにしている。
【0033】ここにおいて、外気温度検知手段50は、
自動車の車室外に設けられた外気センサー51により構
成され、直接外気の温度を検知することにより高熱負荷
時を判断する。ブロア電圧検知手段60は、ブロアモー
タに印加される高電圧を検知するモータ電圧検出計61
により構成され、高熱負荷時に多量の空気をエバポレー
タ5を通じて車室内に吐出するためにブロアを高回転さ
せるので、この時のブロアモータに印加される高電圧を
検知し、高熱負荷時を判断する。ドア状態検知手段70
は、具体的には、車室内空気と車室外空気とを切換えて
導入するインテークドアの状態を検知するスイッチ71
であり、車室外空気を導入するとエバポレータに高熱負
荷がかかることから、このインテークドアの状態を検知
し、高熱負荷時を判断する。
【0034】ただし、これら手段50,60,70は、
いずれか1つが作動した場合には高負荷状態であると判
断できるので、これら手段50,60,70の1つから
の信号が制御部6に入力されると、制御部6により電磁
開閉弁11を「閉」状態となるように制御すれば良い。
【0035】なお、本実施例では、通常の自動車用空気
調和装置と同様に、内気センサー52、温度設定器5
3、エバポレータの吹込口温度検知センサー54なども
前記制御部6に接続されている。
【0036】次に、本実施例の作用を説明する。エンジ
ン始動時には、キーを回すことによりイグニッションコ
イルに電流を流すとともに他の電機器具も作動可能な状
態となるようにメインスイッチがオンされる(ステップ
1)。
【0037】イグニッションコイルに電流が流れると、
直ちにソレノイドがオンされるとともにタイマーにより
所定時間(約30秒)は作動部12が動作し(ステップ
2,3)、エバポレータ5のタンク部T内に溜まったオ
イルは、エバポレータ5内の圧力に押されて一部の冷媒
とともにバイパス通路Pb を通って低圧状態のコンプレ
ッサ1のクランクケース内に戻される。
【0038】そして、タイマーがさらに所定時間経過し
たことを検知すると(ステップ4)、ソレノイドがオフ
され、電磁開閉弁11が「閉」状態となる(ステップ
5)。なお、起動検知手段30がイグニッションコイル
に流れる電流を検知しない場合には、待機する。
【0039】また、コンプレッサ1は、回転状態あるい
は熱負荷によってもオイル不足を生じるので、コンプレ
ッサの回転数Aを回転数検知手段40により検知し、外
気温度検知手段50により車室外の温度Bを検知し、ブ
ロア電圧検知手段60によりブロアモータに印加される
高電圧Cを検知し、ドア状態検知手段70によりインテ
ークドアの状態Dをそれぞれ検知し、これら各種のデー
タを制御部6に入力する(ステップ6)。
【0040】回転数検知手段40が、高速回転であるA
≧4500rpmを検知し(ステップ7)、外気温度検
知手段50がB≧35℃であることを検知し(ステップ
8)、ブロア電圧検知手段60がC≧12Vであること
を検知し(ステップ9)、ドア状態検知手段70がイン
テークドアの外気導入状態でないことを検知したとき
(ステップ10)、つまり、コンプレッサが高速回転
し、高熱負荷の場合には、制御部6から開閉弁11の作
動部12に弁開状態とする信号を出力し(ステップ1
1)、エバポレータ5のタンク部T内に溜まったオイル
を冷媒とともにバイパス通路Pb を通ってコンプレッサ
1に戻す。
【0041】しかし、この状態が続く限りバイパス通路
を開け続けると、冷房能力に影響が出るため、タイマー
により時間を設定し電磁弁をオンする。例えば、20秒
間オンした後に3分間オフするという制御を繰り返すよ
うにすることが好ましい(ステップ12,13,1
4)。
【0042】前記回転数検知手段40が、例えば800
rpm程度のアイドリング回転相当を検知し(ステップ
15)、外気温度検知手段50がB≧45℃であること
を検知し(ステップ16)、ブロア電圧検知手段60が
C≧12Vであることを検知し(ステップ17)、ドア
状態検知手段70がインテークドアが外気導入状態であ
ることを検知したとき(ステップ18)、つまり、コン
プレッサは低速回転しているが、高熱負荷の場合には、
制御部6から電磁開閉弁11の作動部12に開閉弁11
を「開」状態とする信号を出力し(ステップ19)、エ
バポレータ5のタンクT内に溜まったオイルをコンプレ
ッサに戻す。
【0043】しかし、この状態が続く限りバイパス通路
を開け続けると、冷房能力に影響が出るため、タイマー
により時間を設定し電磁弁をオンする。例えば、20秒
間オンした後に3分間オフするという制御を繰り返すよ
うにすることが好ましい(ステップ20,21,22) このように本実施例では、コンプレッサ1の起動時に起
動検知手段30がコンプレッサの起動を検知し、また、
コンプレッサが高速回転あるいは低速回転している場合
には回転数検知手段40がコンプレッサの回転を検知
し、さらに高熱負荷時は、外気温度検知手段50、ブロ
ア電圧検知手段60、ドア状態検知手段70によりこれ
を検知しているので、これらコンプレッサに潤滑不足を
生じる虞れのある条件の場合には、エバポレータからコ
ンプレッサにオイルを戻すことができ、これによりコン
プレッサを保護し、また、高熱負荷時には、冷力の低下
を防止することができることになる。
【0044】なお、上述した実施例は、自動車用空気調
和装置へのオイル戻し装置であるが、本発明はこれのみ
に限定されるものではなく、種々の変形使用が可能であ
る。例えば、前記オイル戻し装置10のバイパス通路P
b をキャピラリチューブではなく、直径6mm程度の比
較的太い管を使用すると、エバポレータ5に流入する冷
媒をバイパスさせることができ、エバポレータ5の凍結
を防止することができる。つまり、エバポレータ5の温
度を検知し、所定値(例えば、3℃)以下となった場合
には、電磁弁を開け、エバポレータに流入した冷媒の一
部を比較的太い管のバイパス通路Pb を通ってアキュム
レータ等の減圧部に導き、ここで減圧した後にコンプレ
ッサに戻せば、エバポレータ5に冷媒を全量流入させず
にコンプレッサ1に戻すことができるので、エバポレー
タ5がフロストしている場合には、凍結を防止すること
ができる。
【0045】また、このようにすれば、簡単にデフロス
ト状態を形成することができるので、コンプレッサ1と
エンジン21とを電磁クラッチ22を用いて断続させる
ように連結する必要もなく、常時回転式のコンプレッ
サ、いわゆるクラッチレスコンプレッサとすることもで
きる。この結果、高価でしかも重量のあるクラッチを廃
止できるので、コスト的に有利となり、省エネルギーに
もなる。
【0046】さらに、図8に示すように、前記オイル戻
し装置10のバイパス通路Pb からコンプレッサ1に戻
す冷媒をサブエバポレータ80を通した後にコンプレッ
サ1に戻すと、このサブエバポレータ80が補助冷却器
として機能することになり、このサブエバポレータ80
を密閉状のボックス内に収納すれば、このボックスをい
わゆるクールボックスとして使用することができ、自動
車用空気調和装置使用時の利便性が向上する。
【0047】
【発明の効果】以上述べたように本発明によれば、コン
プレッサの起動時、高速回転あるいは低速回転している
場合に生じるオイル不足に関しては、回転数検知手段に
よりコンプレッサの回転を検知して潤滑不足を防止し、
また、高負荷状態の場合には外気温度検知手段、内気温
度検知手段、ブロア電圧検知手段、ドア状態検知手段に
よりオイル戻しを行なわないようにしているので、コン
プレッサの保護と、自動車用空気調和装置の冷力低下も
防止できることになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施例の冷房サイクルを示す概略
説明図である。
【図2】 同実施例のオイル戻し装置部分を示す概略斜
視図である。
【図3】 同実施例の全体を略示する概略説明図であ
る。
【図4】 同エバポレータ内を流れる冷媒の状態を示す
概略説明図である。
【図5】 オイル戻し装置部分の変形例を示す概略斜視
図である。
【図6】 同実施例の制御部を示すブロック図である。
【図7】 同制御部の作動状態を示すフローチャートで
ある。
【図8】 本発明の変形例を示す概略説明図である。
【符号の説明】
1…コンプレッサ、5…エバポレータ、6…制御部、1
1…電磁開閉弁、12…作動部、13…液管、14…伝
熱フィン、21…エンジン、30…起動検知手段、40
…回転数検知手段、50…外気温度検知手段、60…ブ
ロア電圧検知手段、70…ドア状態検知手段、A…コン
プレッサの回転数、B…車室外温度、C…ブロア電圧、
E…蒸発部、Pb …バイパス通路、 T…タンク
部。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 冷房サイクルの一部を構成しているエバ
    ポレータ(5) とコンプレッサ(1) を連通するメインの回
    路をバイパスするように設けれたバイパス通路(Pb)に開
    閉弁(11)を設け、この開閉弁(11)を制御することにより
    エバポレータ(5) 内のオイルをコンプレッサ(1) に戻す
    ようにした自動車用空気調和装置において、 前記開閉弁(11)を制御する制御部(6) に、エンジン(21)
    の始動を検知する起動検知手段(30)と、コンプレッサ
    (1) の回転数(A) を検知する回転数検知手段(40)とを接
    続し、前記起動検知手段(30)がエンジン(21)の起動を検
    知したとき、または回転数検知手段(40)が所定の高速回
    転以上又は所定の低速回転以下を検知したとき、前記制
    御部(6) から前記開閉弁(11)の作動部(12)に当該開閉弁
    (11)を「開」状態とする信号を出力するようにしたこと
    を特徴とする自動車用空気調和装置。
  2. 【請求項2】 前記制御部(6) は、車室外の温度を検知
    する外気温度検知手段(50)からの信号、自動車用空気調
    和装置のファンを回転させるブロアモータに印加される
    電圧を検知するブロア電圧検知手段(60)からの信号、内
    外気を切換えて車室内に導入するためのインテークドア
    の状態を検知するドア状態検知手段(70)からの信号の内
    少なくとも1つを入力するように構成し、この信号が入
    力された時、前記制御部(6) から前記開閉弁(11)の作動
    部(12)に当該開閉弁(11)を「閉」状態とする信号を出力
    するようにしたことを特徴とする請求項1に記載の自動
    車用空気調和装置。
  3. 【請求項3】 前記エバポレータ(5) は、内部に扁平な
    冷媒通路が形成されるように最中合わせされた一対の矩
    形皿状のプレートからなる液管(13)をコルゲートフィン
    等の伝熱フィン(14)を介して多数積層することにより構
    成した蒸発部(E) と、前記液管(13)の下端開口部が連通
    されたタンク部(T) とを有する積層型エバポレータによ
    り構成したことを特徴とする請求項1又は2に記載の自
    動車用空気調和装置。
JP29311394A 1994-11-28 1994-11-28 自動車用空気調和装置 Pending JPH08150829A (ja)

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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US10464395B2 (en) 2016-08-26 2019-11-05 Hyundai Motor Company Method for controlling air conditioner compressor

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