JP4436082B2 - 車両用空気調和装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動車等の車両に搭載される車両用空調装置に係り、特に、補助暖房運転に用いて好適な技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、低温低圧のガス冷媒を圧縮して高温高圧のガス冷媒(ホットガス)を送出する圧縮機と、高温高圧のガス冷媒を凝縮させて高温高圧の液冷媒とする熱交換器(コンデンサ)と、高温高圧の液冷媒を減圧・膨張させて低温低圧の液冷媒(霧状)とする絞り機構と、低温低圧の液冷媒を気化させて低温低圧のガス冷媒とする熱交換器(エバポレータ)とを冷媒流路で接続して形成される冷凍サイクルを用いた車両用空気調和装置が知られている。この冷凍サイクルは、通常の車両用空調装置において、冷房及び除湿を行うための冷却装置として使用されている。また、暖房装置としては、車両走行用エンジン(内燃機関)の廃熱を利用した熱交換器(ヒータコア)が一般的に使用されている。この場合の廃熱は、エンジンを冷却することで加熱され、温水となったエンジン冷却水の熱を利用するものであり、温水ヒータとも呼ばれている。
【0003】
このような車両用空気調和装置では、冷房及び除湿を行う冷却能力を備えたエバポレータと、暖房を行う加熱能力を備えたヒータコアとが空調空気の流路内、たとえばHVAC(Heating, Ventilation, and Air-Conditioning)ユニット内に直列に配置されており、ダンパ等により空調する空気の流路を切り換えて、冷房運転、暖房運転及び除湿暖房運転等を実施することができる。また、内燃機関の廃熱を利用した暖房装置では、近年におけるエンジンの高効率化に伴い廃熱量が減る傾向にあるため、十分な暖房能力が得にくかったり、あるいは、運転開始直後にはエンジン冷却水の温度が低く、ある程度温度上昇するまでは暖房運転を実施できないという問題がある。
【0004】
上述した問題を解決するため、主暖房装置として温水ヒータ等を用いている従来の車両用空気調和装置においては、主暖房装置の暖房能力を補う補助暖房装置として、電気ヒータ、燃焼ヒータ及びヒートポンプ等を利用するものが公知である。また、このような補助暖房装置の公知技術に代えて、たとえば特開平5−223357号公報に示されるように、冷凍サイクル中のホットガス、すなわち冷媒圧縮機から送出されるガス冷媒をエバポレータに導いて利用するものがある。この従来技術では、図8示すように、冷媒圧縮機81とコンデンサ82とを接続する冷媒流路83に開閉弁84を設け、該開閉弁84の上流側(冷媒圧縮機側)から一端部85aを分岐させ、コンデンサ82を迂回してエバポレータ86の上流側へ他端部85bが合流するようにしたホットガスバイパス管85を設けてある。
【0005】
このホットガスバイパス管85には開閉弁87や減圧装置(絞り機構)88が設けられ、コンデンサ82へホットガスを導く冷房運転時には、冷媒流路83に設けた開閉弁84を開とし、さらに、ホットガスバイパス管85に設けた開閉弁87を閉とする。また、エバポレータ86へホットガスを導く補助暖房運転時には、反対に冷媒流路83に設けた開閉弁84を閉とし、さらに、ホットガスバイパス管85に設けた開閉弁87を開とする。なお、図中の符号89は、補助暖房運転時にホットガスがコンデンサ82側へ逆流するのを防止した逆止弁である。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述した従来技術は、ホットガスバイパス管85を設けて冷媒流路を切り換えるものであるため、高温高圧のガス冷媒をコンデンサ82に導く冷房運転と、同冷媒をエバポレータ86に導く補助暖房運転とを切り換えるためには、ホットガスバイパス管85に加えて、開閉弁84、87や逆止弁89が必要となる。このため、冷凍サイクルの冷媒回路を構成する部品の数が多くなり、回路構成が複雑になるという問題がある。そこで、よりシンプルで安価な回路構成にして、冷媒圧縮機から吐出される冷凍サイクルのホットガスを補助暖房として有効利用できるようにし、暖房能力を向上させることができる車両用空気調和装置が望まれる。また、エバポレータで補助暖房する空調空気の温度条件が広範囲にわたる場合であっても、シンプルかつ安価な装置構成で適切に補助暖房を実施できるようにすることが望まれる。
【0007】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、温水ヒータ等の主暖房装置に加えて、冷凍サイクル中のホットガスを用いて補助暖房運転を行うことができるシンプルかつ安価な回路構成の車両用空気調和装置を提供し、暖房運転時における空調フィーリングを向上させることにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記課題を解決するため、以下の手段を採用した。請求項1に記載の車両用空気調和装置は、冷媒系に接続されたエバポレータと主暖房装置とを空調空気の流路中に備え、前記冷媒系が、冷媒圧縮機と、該冷媒圧縮機の吐出側に接続されるコンデンサと、前記冷媒圧縮機の吸入側に接続されるエバポレータと、前記コンデンサと前記エバポレータとの間に設けられる絞り機構とを具備してなる車両用空気調和装置であって、前記冷媒系に、各接続口を前記冷媒圧縮機の吐出側、前記コンデンサの冷媒入口、前記コンデンサの冷媒出口、及び前記エバポレータの冷媒入口に接続した四方弁を設け、該四方弁により、前記圧縮機を出た冷媒を前記コンデンサに導く冷房運転モードと、前記圧縮機を出た冷媒を前記エバポレータに導く補助暖房運転モードとを切換操作することを特徴とするものである。
また、請求項2に記載の車両用空気調和装置は、前記四方弁と前記エバポレータの冷媒入口との間に、補助暖房運転モード時にホットガス冷媒の圧力を減圧する絞り機構を配置したことを特徴とするものである。
【0009】
このような車両用空気調和装置によれば、四方弁を用いて冷房運転モードまたは補助暖房運転モードに切り換える冷媒回路の構成としたので、通常の冷房運転モードと、ホットガスをエバポレータに導いて補助暖房用の加熱装置として利用する補助暖房運転モードとの運転切換えを四方弁の操作のみで実施することができる。また、従来必要であったホットガスバイパス管及びこれに付随する開閉弁や逆止弁が不要になり、四方弁のみというきわめてシンプルな回路構成となる。この場合、前記四方弁と前記エバポレータの冷媒入口との間に、補助暖房運転モード時にホットガス冷媒の圧力を減圧する絞り機構を設けてホットガス冷媒を減圧するようにしているため、補助暖房運転時にホットガスが供給されるエバポレータの耐圧設計を従来通りの低い値に設定することができる。
【0010】
請求項3に記載の車両用空気調和装置は、前記主暖房装置が、車両走行用エンジンの冷却水を導入するヒータコアであり、前記空調空気流路中において前記ヒータコアの空気流れ方向上流側に前記エバポレータが配置されていることを特徴とするものである。
このような車両用空気調和装置によれば、車両走行用エンジンの冷却水を導入するヒータコアを備えた主暖房装置により十分な暖房能力が得られなかったり、あるいは暖房運転ができない場合において、エバポレータにホットガスを導入する補助暖房を有効利用することによって、暖房能力を向上させることができる。
【0011】
請求項4に記載の車両用空気調和装置は、前記冷媒圧縮機が、車両用走行エンジンを駆動源とし、該エンジンからベルトを介して駆動されることを特徴とするものである。
また、請求項5に記載の車両用空気調和装置は、前記冷媒圧縮機が、電動機を駆動源とする電動圧縮機からなることを特徴とするものである。
これらの車両用空気調和装置によれば、冷媒圧縮機が、車両用走行エンジンを駆動源とするもの、あるいは電動機を駆動源とするもののいずれの車両用空気調和装置にも適用することができる。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る車両用空気調和装置の一実施形態を、図面に基づいて説明する。図1に示す第1の実施形態において、図中の符号1は冷媒圧縮機、2はコンデンサ、3はエバポレータ、4はアキュムレータ、5は四方弁、6は第1膨張弁、7は第2膨張弁であり、これらの各機器を冷媒配管8で接続することにより、冷媒が状態変化して循環する冷凍サイクルの冷媒回路10を形成している。また、この実施形態では、冷媒圧縮機1の駆動源として車両走行用のエンジンEが使用され、主暖房装置として、エンジンEの廃熱を利用した温水ヒータ(ヒータコア)21が採用されている。
【0013】
冷媒圧縮機1は、低温低圧のガス冷媒を圧縮して高温高圧のガス冷媒(ホットガス)を送出するもので、エンジンEの出力軸とベルト11及び電磁クラッチ12を介して連結されている。冷媒圧縮機1の吐出側は、冷媒配管8により四方弁5の第1ポート5aと接続されている。四方弁5の第2ポート5b及び第3ポート5cは、冷媒配管8によりそれぞれコンデンサ2の冷媒入口2a及び冷媒出口2bと接続されている。このコンデンサ2は、冷媒圧縮機1より供給される高温高圧のガス冷媒を空気との熱交換により凝縮させ、高温高圧の液冷媒として送出する機能を有している。なお、図中の符号9はコンデンサファンを示している。
【0014】
また、四方弁5の第4ポート5dは、冷媒配管8によりエバポレータ3の冷媒入口3aと接続されている。このエバポレータ3は、通常の冷房運転時においてコンデンサ2、絞り機構として設けた第1膨張弁6及び第2膨張弁7を通過した低温低圧の液冷媒の供給を受け、この液冷媒を空調空気との熱交換により気化させ、低温低圧のガス冷媒として送出する機能を有している。この結果、エバポレータ3を通過する空調空気は気化熱を奪われて冷却されるため、空調空気の冷房・除湿効果がえられる。なお、エバポレータ3の冷媒出口3bは、冷媒配管8により冷媒圧縮機1の吸入側に接続され、同冷媒配管8の途中にはアキュムレータ4を設置して冷媒量の調整及び気液の分離を行っている。
【0015】
このように構成された冷媒回路10は、四方弁5を切換操作することにより、通常の冷房運転モード(破線表示)と補助暖房運転モード(実線表示)との切り換えが可能である。冷房運転モードでは、四方弁5を通過する冷媒の流路は、破線で表示したように、第1ポート5aと第2ポート5bとの間及び第3ポート5cと第4ポート5dとの間がそれぞれ接続されているため、冷媒圧縮機1から送出された高温高圧のガス冷媒はコンデンサ2へ導かれる。これに対して、補助暖房運転モードでは、四方弁5を通過する冷媒の流路は、実線で表示したように、第1ポート5aと第4ポート5dとの間及び第2ポート5b及び第3ポート5cとの間がそれぞれ接続された状態へと変化する。このため、冷媒圧縮機1から送出された高温高圧のガス冷媒は、コンデンサ2を通過することなくエバポレータ3へ向けて導かれる。エバポレータ3へ導入された高温高圧のガス冷媒(ホットガス)は、空調空気と熱交換して加熱するので、この場合のエバポレータ3は補助暖房装置として機能する。
【0016】
ところで、図示の実施形態においては、コンデンサ2の冷媒出口2bと四方弁5の第3ポート5cとの間を接続する冷媒配管8に第1の絞り機構として第1膨張弁6が設けられ、さらに、四方弁5の第4ポート5dとエバポレータ3の冷媒入口3aとの間を接続する冷媒配管8に第2の絞り機構として第2膨張弁7が設けられている。第1膨張弁6には可変絞りもしくは固定絞りが使用されており、第2膨張弁7には固定絞りが使用されている。一方の第1膨張弁6は、冷房運転モードにおいてコンデンサ2より送出された高温高圧の液冷媒が通過するものである。従って、この第1膨張弁6には、高温高圧の液冷媒を減圧膨張させ、低温低圧の液冷媒(霧状)として送出するよう設定された絞り開度のものが使用される。なお、冷房運転モードにおける第1膨張弁6は、後述する第2膨張弁7と直列に配置された状態にあるため、両者が協働して所望の機能を発揮するように設定すればよい。また、第2膨張弁7は、主として補助暖房運転モードにおいて冷媒圧縮機1より送出された高温高圧のガス冷媒(ホットガス)を減圧する目的で設けられたものである。従って、この第2膨張弁7には、ホットガスを所定の圧力まで減圧するよう設定された絞り開度のものが用いられる。すなわち、通常の冷房運転では低温低圧の液冷媒が供給されるため、高い耐圧設計がなされていないエバポレータ3に作用する冷媒圧力を制限して保護する機能を有している。
【0017】
上述したエバポレータ3は、HVACユニット20内において、空調空気の流れ方向上流側に温水ヒータ21と直列に配置されている。このHVACユニット20は、エバポレータ3、温水ヒータ21及び送風装置22の他にも、図示省略の内外気切換ダンパ、エアミックスダンパ、各種の吹出モードに応じて空調空気の吹出口を選択切換するダンパ類などを備えている。温水ヒータ21は、エンジンEのエンジン冷却水系と温水配管23をもって接続され、該温水配管23の適所には開閉弁24が設けられている。この開閉弁24は、暖房運転等加熱を必要とする場合に開とされ、エンジンEを冷却することで高温となったエンジン冷却水を分流させて温水ヒータ21に導入するようになっている。こうして温水ヒータ21に導かれたエンジン冷却水は、温水ヒータ21を通過する空調空気と熱交換して加熱した後、再度エンジン冷却水系に戻される。
【0018】
上述した構成の車両用空気調和装置によれば、ホットガスをコンデンサ2に導く通常の冷房運転モードと、ホットガスをエバポレータに導いて補助暖房用の加熱装置として利用する補助暖房モードとの運転切換が四方弁5の操作のみで実施できる。また、このような構成ではホットガスバイパス管が不要となるので、冷媒回路10の構成がシンプルなものとなる。しかも、ホットガスバイパス管が不要となったことで、該ホットガスバイパス管との流路切換に必要な開閉弁、そしてコンデンサ2の冷媒出口2bへの冷媒逆流を防止する逆止弁も不要となり、シンプルな回路構成に加えて部品点数の削減も可能になる。
【0019】
続いて、本発明の第2の実施形態を図2に示して説明する。この実施形態が上述した第1の実施形態と異なるのは、電動機13を駆動源とする電動の冷媒圧縮機1Aを採用したこと、そして、絞り機構として電子膨張弁14を採用したことである。なお、他の基本構成については実質的に同じであるため、ここでは図1と同じ符号を付して示し、その詳細な説明は省略する。図示の例では、冷媒圧縮機1Aとして、車両走行用のエンジンEを駆動源とするものではなく、ケーシング内に電動機13を内蔵した密閉型と呼ばれるものを採用している。この電動機13は、制御部15及びインバータ制御部16によりインバータ制御されて回転速度が可変であり、従って、これを駆動源とする冷媒圧縮機1Aの運転(回転)速度及びこれに関連する圧縮機容量も可変である。
【0020】
また、電子膨張弁14は、四方弁5の第4ポート5dとエバポレータ3の冷媒入口3aとを接続する冷媒配管8に設置される。この電子膨張弁14は、制御部15から入力されるパルス信号に応じて絞り開度を可変制御でき、高温高圧の液冷媒から高温高圧のガス冷媒まで広範囲にわたる冷媒に使用可能な絞り機構である。このため、冷房運転モード及び補助暖房運転モードのいずれにおいてもひとつの電子膨張弁14で対応できるようになり、従って、第1の実施形態でコンデンサ2の冷媒出口2aと四方弁5の第3ポート5cとの間に設置した第1膨張弁6を廃止してなくすことができる。
【0021】
このように、インバータ制御の電動機13を駆動源とする冷媒圧縮機1Aや電子膨張弁14を採用しても、シンプルで部品点数の少ない冷媒回路10Aの構成となり、ホットガスをコンデンサ2に導く通常の冷房運転モードと、ホットガスをエバポレータに導いて補助暖房用の加熱装置として利用する補助暖房モードとの運転切換が四方弁5の操作のみで実施できる。また、インバータ制御の冷媒圧縮機1Aを使用したことで、同圧縮機より吐出される冷媒容量そのものをきめ細かく制御でき、また、電子膨張弁14を四方弁5の第4ポート5dとエバポレータ3の冷媒入口3aとの間に配置したので、補助暖房運転時においてホットガスを減圧してからエバポレータ3に供給できるようになり、従って、エバポレータ3の耐圧設計を従来通りの低い値に設定することができる。
【0022】
なお、上記の電子膨張弁14については、第1の実施形態に適用してエンジンEを駆動源とする冷媒圧縮機1と組み合わせる構成も可能であり、また、第2の実施形態においても、電子膨張弁14に代えて、固定絞りの第1膨張弁6及び第2膨張弁7を適用することも可能である。なおまた、第2の実施形態の電動機13は必ずしもインバータ制御される必要はなく、さらに、冷媒圧縮機1Aは電動機13をケーシング内に内蔵した密閉型に限定されず、たとえば横型の圧縮機を別体の電動機で駆動するようにしてもよい。
【0023】
ところで、上述した第1の実施形態のように第2膨張弁7が固定絞りの場合、暖房運転モードにおいて次のような問題が生じることがある。すなわち、エバポレータ3で熱交換して空調される空気の入口温度(流入空気温度T)が高くなると、冷媒圧縮機1より吐出される冷媒ガスの吐出圧力及び吐出温度が高くなり、結果として冷媒圧縮機1の使用範囲を外れることがある。また、反対にエバポレータ3の入口における流入空気温度Tが低くなると、冷媒圧縮機1の吐出圧力、吐出温度及び圧縮機動力が低くなり、結果として補助暖房能力が低下することがある。
【0024】
そこで、図3に示す本発明の第3の実施形態では、固定絞りの第2膨張弁7に代えて、同じ位置に可変絞り機構70を採用して設置する。図示の可変絞り機構70は、第1固定絞り71及び第2固定絞り72を並列に配置し、第2固定絞り72の上流側に流路選択用の開閉弁73を設けてある。この開閉弁73は制御部15から出力される信号で開閉し、開閉弁73が閉じて固定絞り71のみを冷媒が通過する場合と、開閉弁73が開いて固定絞り71及び固定絞り72の両方を冷媒が通過する場合との2種類から冷媒流路を選択して切り換えることができる。すなわち、開閉弁73の開閉操作により、予め設定した2種類の絞り開度を選択切換できるようになる。
【0025】
このような開閉弁73の開閉制御は、エバポレータ3の入口に運転状況検出手段として設けた温度センサ17の検出値が入力される制御部15において、図4に基づき以下に説明するようにして行われる。温度センサ17で検出した流入空気温度Tが所定の温度T1より高い場合、開閉弁73を閉じておき、第1固定絞り71のみの絞り開度を選択する。この結果、可変絞り機構70は絞り開度が小さい状態にあり、これを通過するホットガスが受ける減圧は大きなものとなる。このようにして、冷媒圧縮機1の吸入圧力等を低下させ、室内熱交換器の入口出口間のエンタルピ差を大きくとることにより、補助暖房能力を確保して適切に補助暖房運転を実施することができる。そして、流入空気温度Tが低下し、吸入圧力が使用制限外となる心配がない温度T1になった時点で開閉弁73を開き、第1固定絞り71及び第2固定絞り72の両方にホットガスを流す絞り開度が大きい状態に切り換える。
【0026】
また、温度センサ17で検出した流入空気温度Tが所定の温度T2以下と低い場合は、開閉弁73を開いて絞り開度が大きい状態を選択しておく。この結果、これを通過するホットガスが受ける減圧は小さいため、冷媒圧縮機回転数を増加もしくは容量制御することで冷媒循環量を増やすことができ、吸入圧力を上昇させることができるので、冷媒圧縮機1の使用範囲から外れるのを防止して適切に補助暖房運転を実施することができる。そして、流入空気温度Tが所定の温度T2まで上昇した時点で開閉弁73を開き、ホットガスを流す絞り開度が小さい状態に切り換える。ここで、流入空気温度Tが低下する場合の切換温度T1と上昇する場合の切換温度T2とに温度差を設けてあるのは、頻繁な開閉操作が繰り返し行われるのを防止するためである。
【0027】
上述したように、本発明の第3の実施形態では並列に配置した二つの固定絞り71,72を用いて2段階の絞り開度を選択切換できるようにしていたが、並列に配置する固定絞り及び開閉弁の数を増やして、さらに多段の絞り開度を選択できるようにして、より一層きめ細かい制御を実施できるようにしてもよい。また、絞り開度の異なる第1固定絞り71及び第2固定絞り72の両方に開閉弁73を設けて、いずれか一方を開とするかあるいは両方を開とするように開閉制御すれば、3段階の絞り開度から最適のものを選択することができる。
【0028】
ところで、上述した可変絞り機構70Aには、図5に示すような第1変形例が可能である。この第1変形例では、図5(a)に示すように、第1固定絞り71と第2固定絞り72とが直列に配置されている。そして、一方の第2固定絞り72と並列にこれをバイパスするよう接続されたバイパス流路74が設けられ、該バイパス流路74には開閉弁73が設けられている。このような構成の可変絞り機構70Aでは、開閉弁73を閉じてバイパス流路74にホットガスを流さない状態と、開閉弁73を開いてバイパス流路74にホットガスを流す状態とで冷媒の減圧膨張が異なるので、開閉弁73の開閉操作により絞り開度の選択切換を実施したのと同様の作用効果が得られる。
【0029】
そして、この第1変形例においても、温度センサ17で検出した流入空気温度Tに応じて開閉弁73の開閉操作を実施する。しかし、この場合の開閉操作は、図5(b)に示すように上述した並列配置の場合とは逆になる。すなわち、所定の温度T4まで温度上昇した時点で開閉弁73を開から閉に切換操作して可変絞り機構70Aの絞り開度を小さくし、所定の温度T3まで温度が下がった時点で開閉弁73を閉から開に切換操作して可変絞り機構70Aの絞り開度を大きくする。なお、この第1変形例についても、直列に配置する固定絞り、バイパス流路及び開閉弁の数を増やしたり、直列に配置した固定絞りの全てに開閉弁を備えたバイパス流路を設けることで、多段階の絞り開度を選択できるようになる。
【0030】
さらに、上述した可変絞り機構70の第2変形例として、図2に示したような電子膨張弁14の使用も可能である。この場合も、温度センサ17で検出した流入空気温度Tに応じて、制御部15よりパルス信号を出力し、電子膨張弁14の絞り開度を最適値に調整すればよい。なお、インバータ制御された電動機13を駆動源とする冷媒圧縮機1Aを採用すれば、絞り開度の調整に加えて、圧縮機側の容量制御により微調整を行うことができる。
【0031】
また、これまで説明した第3の実施形態においては、運転状態検出手段がエバポレータ3の入口空気温度(流入空気温度T)を検出する温度センサ17としていたが、この運転状態検出手段の他の実施例としては、たとえば図6に示すように、エバポレータ3に供給される冷媒の温度(冷媒入口温度)を検出する温度センサ18を採用することができる。なお、この他の運転状態検出手段としては、エバポレータ3に供給される冷媒圧力もしくは冷媒圧縮機吐出圧力を検出する圧力センサを設け、この検出値を採用することも可能である。
【0032】
さて、上述したエバポレータ3については、冷房運転によりフィン表面に付着する水滴を原因として錆やかびなどが発生する恐れがあるため、これを防止するのに適した表面処理が一般的に施されている。しかし、この表面処理は熱に弱い傾向があるため、エバポレータ3を補助暖房装置として使用する場合は、表面処理の劣化を防ぐためホットガスによりエバポレータ3の温度が高くなりすぎないよう注意する必要がある。すなわち、補助暖房運転時において、コンデンサファン9により送風される風量やエバポレータ3の流入空気温度Tによっては、エバポレータ3の入口でホットガスの温度が高くなりすぎて、フィンの表面処理が劣化することがある。このような表面処理の劣化は、冷房運転時におけるドレン処理不良やにおい発生の原因となるため、対策が望まれる。
【0033】
このため、図6に示す第4の実施形態では、インバータ制御された電動機13を駆動源とする冷媒圧縮機1Aを用いると共に、エバポレータ3の冷媒入口温度TRを検出する温度検出手段として温度センサ18を設けて、冷媒入口温度TRが設定値になるよう冷媒圧縮機1Aの容量をフィードバック制御する。具体的には、図7に示すように、温度範囲(T5〜T6)を定めて、この温度範囲内に入るよう電動機13の回転数を制御して冷媒圧縮機1の冷媒容量を調整する。すなわち、温度センサ18で検出した冷媒入口温度TRが上記温度範囲内に入るよう1サンプリング毎に電動機13の回転数を変化させて冷媒容量を増減するもので、冷媒入口温度TRが低い場合はT6に上昇するまでは回転数を上げて圧縮機容量を増し、冷媒入口温度TRがT6より高い場合はT5に低下するまで回転数を下げて圧縮機容量を低減させる。なお、温度センサ18で検出した冷媒入口温度TRがT6より高い上限設定温度以上になったら、電動機13を最低回転数まで低下させて圧縮機容量を最小にする保護制御を設けておくのが好ましい。
【0034】
このような制御を行うことで、高温によってフィンの表面処理を劣化させることなくエバポレータ3を補助暖房装置として利用できるので、劣化防止と暖房フィーリングとを両立させた補助暖房運転が可能になる。また、フィンの表面処理が劣化するのを防止されたことで、冷房運転時におけるドレン処理不良やにおい発生などの問題も解決される。
【0035】
なお、以上の実施形態では主暖房装置が温水ヒータ21であったが、上述した本発明は、電気ヒータや燃焼ヒータなど、他の暖房装置を主暖房装置として用いた車両用空気調和装置への適用が可能であり、また、主暖房装置とエバポレータ3とが水平方向に並ぶ構成のHVACユニット20だけでなく、上下方向に配置された構成のものにも適用可能なことはいうまでもない。
【0036】
【発明の効果】
上述した本発明の車両用空気調和装置によれば、四方弁による冷媒流路の切換操作で通常の冷房運転モードと補助暖房運転モードとを選択的に切り換えることができるため、シンプルな回路構成により冷媒回路のホットガスを補助暖房に有効に利用して暖房能力を向上させることができ、しかも、部品点数を低減することもできる。従って、運転開始時に短時間で暖房能力を得られる補助暖房装置を安価に得ることができ、暖房能力の向上と共に、暖房フィーリングの面でも優れた車両用空気調和装置を提供できるといった効果を奏する。
また、四方弁と前記エバポレータの冷媒入口との間に、補助暖房運転モード時にホットガス冷媒の圧力を減圧する絞り機構を設けてホットガス冷媒を減圧するようにしているため、補助暖房運転時にホットガスが供給されるエバポレータの耐圧設計を従来通りの低い値に設定することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る車両用空気調和装置の一実施形態を示す図で、第1の実施形態を示す系統図である。
【図2】 本発明に係る車両用空気調和装置の一実施形態を示す図で、第2の実施形態を示す系統図である。
【図3】 本発明に係る車両用空気調和装置の一実施形態を示す図で、第3の実施形態を示す系統図である。
【図4】 図3の可変絞り機構において、流入空気温度Tに基づく開閉弁の開閉制御を示す図である。
【図5】 図3に示した可変絞り機構の第1変形例を示しており、(a)は可変絞り機構の要部構成図、(b)は流入空気温度Tに基づく開閉弁の開閉制御を示す図である。
【図6】 本発明に係る車両用空気調和装置の一実施形態を示す図で、第4の実施形態を示す系統図である。
【図7】 図6に示した第4の実施形態において、冷媒温度TRに基づく圧縮機容量の制御を示す図である。
【図8】 車両用空気調和装置における従来の構成例を示す系統図である。
【符号の説明】
1,1A 冷媒圧縮機
2 コンデンサ
3 エバポレータ
4 アキュムレータ
5 四方弁
6 第1膨張弁(第1の絞り機構)
7 第2膨張弁(第2の絞り機構)
8 冷媒配管
10,10A 冷媒回路
13 電動機
14 電子膨張弁(絞り機構,可変絞り機構)
15 制御部
16 インバータ制御部
17 温度センサ(運転状況検出手段)
18 温度センサ(温度検出手段)
20 HVACユニット
21 温水ヒータ(主暖房装置)
70,70A 可変絞り機構
71 第1固定絞り
72 第2固定絞り
73 開閉弁
74 バイパス流路
E エンジン
Claims (5)
- 冷媒系に接続されたエバポレータと主暖房装置とを空調空気の流路中に備え、前記冷媒系が、冷媒圧縮機と、該冷媒圧縮機の吐出側に接続されるコンデンサと、前記冷媒圧縮機の吸入側に接続されるエバポレータと、前記コンデンサと前記エバポレータとの間に設けられる絞り機構とを具備してなる車両用空気調和装置であって、
前記冷媒系に、各接続口を前記冷媒圧縮機の吐出側、前記コンデンサの冷媒入口、前記コンデンサの冷媒出口、及び前記エバポレータの冷媒入口に接続した四方弁を設け、該四方弁により、前記圧縮機を出た冷媒を前記コンデンサに導く冷房運転モードと、前記圧縮機を出た冷媒を前記エバポレータに導く補助暖房運転モードとを切換操作することを特徴とする車両用空気調和装置。 - 前記四方弁と前記エバポレータの冷媒入口との間に、補助暖房運転モード時にホットガス冷媒の圧力を減圧する絞り機構を配置したことを特徴とする請求項1記載の車両用空気調和装置。
- 前記主暖房装置が、車両走行用エンジンの冷却水を導入するヒータコアであり、前記空調空気流路中において前記ヒータコアの空気流れ方向上流側に前記エバポレータが配置されていることを特徴とする請求項1または2に記載の車両用空気調和装置。
- 前記冷媒圧縮機が、車両用走行エンジンを駆動源とし、該エンジンからベルトを介して駆動されることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の車両用空気調和装置。
- 前記冷媒圧縮機が、電動機を駆動源とする電動圧縮機からなることを特徴とする請求項1または2に記載の車両用空気調和装置。
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