JP3704814B2 - 車両用空気調和装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、例えばエンジン冷却水を有しない電気自動車や空冷式内燃機関搭載車等の車室内の空調に利用される車両用空気調和装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、例えばエンジン冷却水を有しない電気自動車用空気調和装置300として、図38に示した技術(特開平5−319077号公報の記載の技術:第1従来例)が提案されている。この電気自動車用空気調和装置300は、ダクト301、送風機302および冷凍サイクル303等から構成されている。そして、冷凍サイクル303は、暖房運転、冷房運転および除湿暖房運転に応じて冷媒の流れ方向が変更される。
【0003】
暖房運転時には、電動モータ(図示せず)で駆動される冷媒圧縮機311→四方弁312→第1室内熱交換器313→第1減圧器314→逆止弁315→室外熱交換器316→電磁弁317→気液分離器318→冷媒圧縮機311のように冷媒が流れる(図38において冷媒の流れ方向を矢印Hで示す)。また、冷房運転時には、冷媒圧縮機311→四方弁312→逆止弁319→室外熱交換器316→第2減圧器320→第2室内熱交換器321→気液分離器318→冷媒圧縮機311のように冷媒が流れる(図38において冷媒の流れ方向を矢印Cで示す)。
【0004】
そして、除湿暖房運転時に、室外熱交換器316を凝縮器として運転する場合には、冷媒圧縮機311→四方弁312→第1室内熱交換器313→電磁弁322→逆止弁315→室外熱交換器316→第2減圧器320→第2室内熱交換器321→気液分離器318→冷媒圧縮機311のように冷媒が流れる(図38において冷媒の流れ方向を矢印Dで示す)。また、室外熱交換器316を蒸発器として運転する場合には、冷媒圧縮機311→四方弁312→第1室内熱交換器313→第1減圧器314→逆止弁315→室外熱交換器316→電磁弁323→第2室内熱交換器321→気液分離器318→冷媒圧縮機311のように冷媒が流れる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、第1従来例の電気自動車用空気調和装置300においては、除湿暖房運転時に、車室内の除湿を行うことができるが、外気温度が2℃程度であると、あまり冷媒圧縮機311の回転速度を増速させると、室外熱交換器316や第2室内熱交換器321が着霜するという問題点が生じている。
【0006】
そこで、図39に示したように、冷凍サイクル303内の冷媒の循環量を電動式の第1膨張弁324、第2膨張弁325および冷媒圧縮機311の回転速度の変更により制御するようにして、除湿暖房運転時の車室内に吹き出す空気の吹出温度制御を行う技術(第2従来例)も提案されている。ところが、この第2従来例の車両用空気調和装置300では、電動式の第1膨張弁324、第2膨張弁325を使用しているので、製品コストが上昇し、且つ第1膨張弁324、第2膨張弁325の開度制御が非常に複雑となるという問題点が生じている。
【0007】
また、特開平6−147690号公報においては、除湿暖房運転中に、第1室内熱交換器を凝縮器として運転し、室外熱交換器を蒸発器として運転することによって車室内を常時暖房しながら、必要に応じて電磁弁を開いて蒸発器として運転される第2室内熱交換器の冷媒を流して、第2室内熱交換器で冷却除湿した空気を前記第1室内熱交換器で再加熱することによって車室内の除湿を行うようにした車両用空気調和装置(第3従来例)も提案されている。
【0008】
ところが、第3従来例の車両用空気調和装置においては、除湿暖房運転中の暖房能力は冷媒圧縮機の回転速度制御により行われ、除湿能力はそのときの冷媒圧縮機の回転速度で決定されるのであるが、除湿暖房運転時に暖房能力があまり必要ではない場合には、暖房能力を低下させるために冷媒圧縮機の回転速度を減速または停止させるようにすると、十分に除湿を行うことができないという問題点が生じている。
【0009】
また、除湿暖房運転時に暖房能力が十分に必要な場合には、第1従来例と同様にして、室外熱交換器や第2室内熱交換器が着霜する可能性があるので、あまり冷媒圧縮機の回転速度を増速させることができない。これにより、冷媒圧縮機311の回転速度を微妙に変化させて車室内へ吹き出す空気の吹出温度制御を行うことができないという問題点も生じている。
【0010】
〔請求項1の目的〕
請求項1に記載の発明の目的は、車室内を除湿暖房する時に、暖房能力があまり必要ではない場合でも十分な除湿能力を得ることができ、且つ暖房能力が十分に必要な場合に室内熱交換器の着霜による暖房能力の低下を防止することのできる車両用空気調和装置を提供することにある。
【0011】
〔請求項および請求項の目的〕
請求項および請求項に記載の発明の目的は、電動式の膨張弁を使用しないので、製品コストを低減することのできる車両用空気調和装置を提供することにある。
【0012】
〔請求項の目的〕
請求項に記載の発明の目的は、車室内を除湿暖房する時に、第1開閉手段が閉じ、第2開閉手段が開いている場合に、第2減圧器の圧力抵抗により室外熱交換器の方へ冷媒が滞留することを防止することのできる車両用空気調和装置を提供することにある。
【0013】
〔請求項の目的〕
請求項に記載の発明の目的は、車室内を除湿暖房する時に、暖房能力があまり必要ではない場合でも十分な除湿能力を得ることができ、且つ暖房能力が十分に必要な場合に室内熱交換器の着霜による暖房能力の低下を防止することのできる車両用空気調和装置を提供することにある。
【0014】
〔請求項の目的〕
請求項に記載の発明の目的は、冷媒圧縮機の回転速度を熱媒体温度に基づいて制御することにより、細やかな吹出温度制御を行うことのできる車両用空気調和装置を提供することにある。
【0015】
〔請求項の目的〕
請求項に記載の発明の目的は、車室内を除湿暖房する時に、暖房能力があまり必要ではない場合でも、最低限の除湿能力を得ることのできる車両用空気調和装置を提供することにある。
【0016】
〔請求項および請求項の目的〕
請求項および請求項に記載の発明の目的は、乗員の顔のほてりを防ぎながら窓ガラスの曇りを取り除くことのできる車両用空気調和装置を提供することにある。
【0017】
〔請求項の目的〕
請求項に記載の発明の目的は、ダクトより吹き出される空気の吹出温度が大きくハンチングすることを防止することのできる車両用空気調和装置を提供することにある。
【0023】
【課題を解決するための手段】
〔請求項1の作用および効果〕
請求項1に記載の発明によれば、除湿運転時に、暖房能力があまり必要ではない場合でも室内熱交換手段に冷媒を流すことにより十分な除湿能力を得ることができる。そして、暖房能力が十分に必要な場合でも、室内熱交換手段に冷媒を間欠的に流すことにより、室内熱交換手段の着霜による暖房能力の低下を防止することができる。そして、第1開閉手段および第2開閉手段は第1冷媒流路および第2冷媒流路を単に開閉するだけのものであるため、第1開閉手段および第2開閉手段の制御を簡素化することができる。
【0024】
そして、除湿運転時には、除湿運転制御手段により第1開閉手段および第2開閉手段がそれぞれ独立して開閉される。すなわち、第1開閉手段および第2開閉手段が共に第1冷媒流路および第2冷媒流路を開いている場合には、冷媒圧縮機より吐出された冷媒が、冷媒熱媒体熱交換器に流入して熱媒体に熱を与えた後に減圧手段を通って室外熱交換器および室内熱交換器の両方に流入する。一方、冷媒熱媒体熱交換器で加熱された熱媒体は、熱媒体循環手段によって室内加熱器に流入する。これにより、送風機によって車室内へ向けて送られる空気が室内熱交換器で冷却除湿された後に室内加熱器で再加熱されて車室内に吹き出されることにより車室内が除湿暖房される。
【0025】
また、除湿運転時に暖房能力があまり必要でなく、且つ除湿能力が必要な場合には、第1開閉手段により第1冷媒流路を閉じ、第2開閉手段により第2冷媒流路を開く。すると、冷媒熱媒体熱交換器より流出した冷媒が減圧手段を通って室内熱交換器のみに流入する。これにより、送風機によって車室内へ向けて送られる空気が室内熱交換器でより冷却除湿された後に室内加熱器で再加熱されて車室内に吹き出されることにより車室内が除湿される。
【0026】
さらに、除湿運転時に暖房能力が必要で、且つ除湿能力が必要な場合には、第1開閉手段により第1冷媒流路を開き、第2開閉手段により第2冷媒流路を開閉する。すると、冷媒熱媒体熱交換器より流出した冷媒が減圧手段を通って室外熱交換器のみ、あるいは室外熱交換器および室内熱交換器の両方に流入する。これにより、送風機によって車室内へ向けて送られる空気が室内熱交換器でより冷却除湿された後に室内加熱器で再加熱されて車室内に吹き出されることにより車室内が除湿暖房される。このとき、室内熱交換器には、冷媒が流れたり流れなかったりするので、仮に冷媒圧縮機の回転速度を増速して冷凍サイクル内を循環する冷媒循環量を増加しても室内熱交換器が着霜することが回避される。
【0027】
また、請求項1に記載の発明は、除湿運転時に、暖房能力があまり必要ではない場合でも室内熱交換器に冷媒を流すことにより十分な除湿能力を得ることができる。そして、暖房能力が十分に必要な場合でも、室内熱交換器に冷媒を間欠的に流すことにより、室内熱交換器の着霜による暖房能力の低下を防止することができる。また、高価な2個の電動式膨張弁を使用せずに、安価な第1開閉手段および第2開閉手段を使用して細やかな吹出温度制御を行うことができるので、製品コストを低減できる。そして、第1開閉手段および第2開閉手段は第1冷媒流路および第2冷媒流路を単に開閉するだけのものであるため、第1開閉手段および第2開閉手段の制御を簡素化することができる。
また、第1開閉手段および第2開閉手段が共に第1冷媒流路および第2冷媒流路を開いている場合には、冷媒熱媒体熱交換器より流出した冷媒が第1減圧器を通過した後に分岐部で分岐されて、一方は室外熱交換器に流入し、他方は第2減圧器を迂回して室内熱交換器に流入する。これにより、車室内が除湿暖房される。
また、第1開閉手段が第1冷媒流路を閉じ、第2開閉手段が第2冷媒流路を開いている場合には、冷媒熱媒体熱交換器より流出した冷媒が第1減圧器、分岐部を通過した後に第2減圧器を迂回して室内熱交換器に流入する。これにより、車室内が冷房気味に除湿暖房される。このとき、第2冷媒流路により第2減圧器を冷媒が迂回する経路が形成されることにより、第2減圧器の圧力抵抗が大きくても、分岐部から室外熱交換器の方へ冷媒が流れ込み滞留してしまうことを防止できる。
なお、第1減圧器または第2減圧器として安価で故障の少ないキャピラリチューブを用いることが望ましい。
【0028】
〔請求項の作用および効果〕
請求項に記載の発明によれば、第1開閉手段および第2開閉手段が共に第1冷媒流路および第2冷媒流路を開いている場合には、冷媒熱媒体熱交換器より流出した冷媒が分岐部で分岐されて、一方は第1減圧器を経て室外熱交換器に流入し、他方は第2減圧器を経て室内熱交換器に流入する。これにより、車室内が除湿暖房される。
なお、第1減圧器または第2減圧器として安価で故障の少ないキャピラリチューブを用いることが望ましい。
【0031】
〔請求項の作用および効果〕
請求項に記載の発明によれば、第2開閉手段を開いて室内熱交換器を蒸発器として運転する除湿運転時に、下流側温度検出手段で検出した検出温度が所定温度以上に大きい場合には、除湿能力が低下していると判断して、第1開閉手段により第1冷媒流路を閉じることにより、冷媒熱媒体熱交換器より流出した冷媒を第1減圧器または第2減圧器等の減圧手段を通して室内熱交換器のみに流入させる。これにより、室内熱交換器内に流入する冷媒量が増加するので、ダクト内の空気の除湿能力が高まる。
【0032】
また、除湿運転時に、下流側温度検出手段で検出した検出温度が所定温度より小さい場合には、室内熱交換器が着霜し易い状態に近づいていると判断して、第1開閉手段により第1冷媒流路を開くことにより、冷媒熱媒体熱交換器より流出した冷媒を第1減圧器等の減圧手段を通して室外熱交換器および室内熱交換器の両方に流入させる。これにより、室外熱交換器で冷媒がダクト外の空気より吸熱することになるので、冷媒熱媒体熱交換器で冷媒と熱媒体との熱交換量が高くなり、室内加熱器の放熱量が増加し、車室内の暖房能力が向上する。そして、室内熱交換器に流入する冷媒が少なくなるので、室内熱交換器自身の温度が上昇し室内熱交換器が着霜しなくなる。
【0033】
〔請求項の作用および効果〕
請求項に記載の発明によれば、乗員が吹出温度設定手段を操作することにより車室内へ吹き出す空気の吹出温度が設定される。次に、目標吹出温度決定手段によって、吹出温度設定手段で設定された設定吹出温度に基づいて目標吹出温度が決定される。次に、目標熱媒体温度決定手段によって、その目標吹出温度に基づいて目標熱媒体温度が決定される。次に、目標回転速度決定手段によって、その目標熱媒体温度と熱媒体温度検出手段で検出した熱媒体温度との温度偏差に基づいて冷媒圧縮機の目標回転速度が決定される。
【0034】
そして、その目標回転速度に基づいて冷媒圧縮機の回転速度が制御されることにより、冷媒熱媒体熱交換器での冷媒と熱媒体との熱交換性能、および室内熱交換器での冷媒とダクト内の空気との熱交換性能が制御される。これにより、室内加熱器に流入する熱媒体の加熱量が調整され、室内熱交換器で冷却除湿された空気が室内加熱器で再加熱されることにより、除湿運転時の車室内に吹き出す空気の吹出温度が、吹出温度設定手段で設定した乗員の希望に合った温度に近似することになると共に、再ミストも防止することができる。
【0035】
〔請求項の作用および効果〕
請求項に記載の発明によれば、除湿運転時に、目標回転速度決定手段で決定した目標回転速度と最低回転速度決定手段で決定した最低回転速度とのうち高い方の回転速度に基づいて冷媒圧縮機の回転速度が制御されることにより、暖房能力があまり必要ではない場合でも、最低限の除湿能力を得ることができ、再ミストを防止することができる。
【0036】
〔請求項の作用および効果〕
請求項に記載の発明によれば、室内加熱器に空気量調節手段を設け、冷媒熱媒体熱交換器と室外熱交換器を直列の冷媒凝縮器となるようにして、ダクトより吹き出される空気の吹出温度が高過ぎる時には、空気量調節手段の開度を小さくすることによって、室内加熱器および冷媒熱媒体熱交換器で放熱する量を減らし、凝縮熱はその減少分だけ室外熱交換器で放熱する量を自然に増やして、ダクトより吹き出される空気の吹出温度を下げて乗員の顔のほてりを防ぎながら窓ガラスの曇りを取り除くことができる。
【0037】
〔請求項の作用および効果〕
請求項に記載の発明によれば、空気量調節手段の開度可変制御を手動操作スイッチを作用させたときに行うことにより、空気量調節手段を駆動するために必要なエネルギーの消費を低減できる。
【0038】
〔請求項の作用および効果〕
請求項に記載の発明によれば、吹出温度センサで検出した吹出温度に基づいて空気量調節手段の開度可変制御を行うことにより、ダクトより吹き出される空気の吹出温度を最適な温度に調整することができるが、この制御方法では、吹出温度センサ自身の応答性の悪さから、吹出温度が大きくハンチングする可能性がある。このため、応答性の悪い吹出温度センサを使用しないで、記憶手段に記憶した特性図に基づいて空気量調節手段の開度可変制御を行うことにより、ダクトより吹き出される空気の吹出温度が大きくハンチングすることはない。
【0055】
【発明の実施の形態】
〔第1実施例の構成〕
図1ないし図15はこの発明の車両用空気調和装置を電気自動車用空気調和装置に適用した第1実施例を示したもので、図1はその電気自動車用空気調和装置を示した図である。
【0056】
電気自動車用空気調和装置1は、所謂マニュアルエアコンまたはオートエアコンとして利用されるものである。電気自動車用空気調和装置1は、車室内へ空気を送るためのダクト2、このダクト2内において空気流を発生させる遠心式送風機3、冷媒が循環する冷凍サイクル4、ブラインが循環するブラインサイクル5、および車載電源(バッテリ)6の電力を受けて作動し各空調機器の作動をコントロールする電子制御装置(以下ECUと呼ぶ)100等から構成されている。
【0057】
ダクト2は、電気自動車の車室内の前方側に配設されている。そのダクト2の最も上流側(風上側)は、内外気切替箱を構成する部分で、車室内の空気(以下内気と言う)を取り入れる内気吸込口7、および車室外の空気(以下外気と言う)を取り入れる外気吸込口8を有している。さらに、内気吸込口7およぶ外気吸込口8の内側には、内外気切替ダンパ(ドア)9が回転自在に支持されている。この内外気切替ダンパ9は、サーボモータ等のアクチュエータ(図示せず)により駆動されて、吸込口モードを内気循環モード、外気導入モード、内外気導入モードに切り替える。
【0058】
なお、内気循環モードは内気吸込口8を全開し外気吸込口9を全閉する吸込口モードで、外気導入モードは内気吸込口8を全閉し外気吸込口9を全開する吸込口モードで、内外気導入モードは内気吸込口8を半開し外気吸込口9を半開する吸込口モードである。また、内外気切替ダンパ9は、内外気切替箱と共に内外気切替手段を構成する。
【0059】
また、ダクト2の下流側(風下側)は、吹出口切替箱を構成する部分で、電気自動車のフロント窓ガラスの内面に向かって主に温風を吹き出すデフロスタ吹出口11、乗員の上半身に向かって主に冷風を吹き出すフェイス吹出口12、および乗員の足元に向かって主に温風を吹き出すフット吹出口13を有している。さらに、各吹出口の内側にはモード切替ダンパ(ドア)14〜16が回転自在に支持されている。モード切替ダンパ14〜16は、サーボモータ等のアクチュエータ(図示せず)により駆動されて、吹出口モードをフェイスモード、バイレベルモード、フットモード、フットデフモードまたはデフロスタモードに切り替える。
【0060】
フェイスモードはフェイス吹出口12のみを開口させる吹出口モードで、バイレベルモードはフェイス吹出口12とフット吹出口13を開口させる吹出口モードで、フットモードはフット吹出口13のみを開口させる吹出口モードである。また、フットデフモードはデフロスタ吹出口11とフット吹出口13を開口させる吹出口モードで、デフロスタモードはデフロスタ吹出口11のみを開口させる吹出口モードである。
【0061】
遠心式送風機3は、ダクト2と一体的に構成されたスクロールケースに回転自在に収容された遠心式ファン17、およびこの遠心式ファン17を駆動するブロワモータ18を有し、ブロワ駆動回路(図示せず)を介して印加されるブロワモータ端子電圧(ブロワ電圧)に基づいて風量(ブロワモータ18の回転速度)が制御される。
【0062】
冷凍サイクル4は、ヒートポンプサイクルでもあり、冷媒圧縮機20、ブライン冷媒熱交換器21、第1減圧器22、室外熱交換器23、第2減圧器24、室内熱交換器25、アキュームレータ26、後記する冷媒経路切替手段、およびこれらを環状に接続する冷媒配管等から構成されて、空調モードに基づいて冷媒の流れ方向が変わる。なお、この実施例の空調モードとしては、冷房運転を行う冷房モード(冷房サイクル)、暖房運転を行う暖房モード(暖房サイクル)、除湿運転を行う除湿モード(除湿サイクル)、暖房運転時において室外熱交換器23の着霜が後記する除霜センサにより検出された時に除霜運転を行う除霜モード(除霜サイクル)等が設定されている。
【0063】
冷媒圧縮機20は、電動式の冷媒圧縮機であって、吸入口より内部に吸入したガス冷媒を圧縮して高温、高圧のガス冷媒を吐出口より吐出する圧縮部(コンプレッサ)と、この圧縮部を駆動する駆動部としての電動モータ(図示せず)とからなる。この冷媒圧縮機20は、ECU100の出力信号に基づいて冷媒圧縮機20の回転速度を制御する回転速度制御手段としてのエアコン用インバータ30を備えている。
【0064】
そして、電動モータは、エアコン用インバータ30によって車載電源6から印加される電力が連続的あるいは段階的に可変制御される。したがって、冷媒圧縮機20は、印加電力の変化による電動モータの回転速度の変化によって、冷媒吐出容量を変化させて冷凍サイクル4内を循環する冷媒の流量を調節することによりブライン冷媒熱交換器21の加熱能力や室内熱交換器25の冷房能力を制御する。
【0065】
ブライン冷媒熱交換器21は、本発明の冷媒熱媒体熱交換器であって、アルミニウム合金等の熱伝導性に優れる金属パイプよりなる二重管構造を成し、内周側に温水通路27、外周側に冷媒通路28が形成されている。ブライン冷媒熱交換器21は、車室外に設置され、温水通路27内を流れる低温の温水(ブライン:熱媒体)と冷媒通路28内を流れる高温高圧のガス冷媒とを熱交換させることにより、温水を加熱する温水加熱器(ブライン加熱器、熱媒体加熱器)として働くと共に、冷媒を凝縮液化させる冷媒凝縮器として働く。
【0066】
第1減圧器22は、本発明の減圧手段であって、暖房モード時および除霜暖房モード時にブライン冷媒熱交換器21より流入した冷媒を減圧するキャピラリチューブである。なお、第1減圧器22として、温度自動膨張弁、電動式の膨張弁、オリフィス等の減圧手段を用いても良いが、安価で、故障のないキャピラリチューブやオリフィス等の固定絞りを用いることが望ましい。
【0067】
室外熱交換器23は、本発明の室外熱交換手段であって、車室外(例えば走行風を受け易い場所)に設置されて、内部を流れる冷媒と電動ファン29により送風される外気とを熱交換する。なお、室外熱交換器23は、暖房モード時および除湿モード時には、第1減圧器22で減圧された低温低圧の冷媒を外気との熱交換により蒸発気化させる冷媒蒸発器として働き、冷房モード時には、ブライン冷媒熱交換器21より流入した冷媒を外気との熱交換により凝縮液化させる冷媒凝縮器として働く。
【0068】
第2減圧器24は、本発明の減圧手段であって、冷房モード時に室外熱交換器23より流入した冷媒を減圧するキャピラリチューブである。なお、第2減圧器24として、温度自動膨張弁、電動式の膨張弁、オリフィス等の減圧手段を用いても良いが、安価で、故障のないキャピラリチューブやオリフィス等の固定絞りを用いることが望ましい。
【0069】
室内熱交換器25は、本発明の室内熱交換手段、室内蒸発器であって、ダクト2内に設置され、冷房モード時および除湿モード時に第2減圧器24および第1減圧器22で減圧された低温低圧の冷媒をダクト2内の空気との熱交換により蒸発気化させる冷媒蒸発器として働く。これにより、室内熱交換器25の内部を流れる冷媒が室内熱交換器25を通過する空気から蒸発潜熱を奪って(吸熱して)蒸発することで、室内熱交換器25を通過する空気が冷却除湿される。
【0070】
アキュームレータ26は、内部に流入した冷媒を液冷媒とガス冷媒とに気液分離して液冷媒を貯溜し、ガス冷媒のみを冷媒圧縮機20へ供給する気液分離器として働く。なお、気液分離器として、レシーバ(受液器)を使用しても良い。このレシーバの接続箇所は、ブライン冷媒熱交換器21と第1減圧器22との間に接続するか、あるいは室外熱交換器23と第2減圧器24との間に接続する。
【0071】
冷媒経路切替手段は、冷凍サイクル4を循環する冷媒の流れ方向を冷房運転経路(図1において矢印Cの経路)、暖房運転経路(図1において矢印Hの経路)、除湿運転経路(図1において矢印Dの経路)、除湿暖房運転経路(図1において矢印H・Dの経路)および除霜運転経路等のいずれかに切り替えるもので、通電(オン)されると開弁し、通電が停止(オフ)されると閉弁する3個の第1〜第3電磁式開閉弁(以下電磁弁と呼ぶ)31〜33から構成されている。
【0072】
第1電磁弁31は、本発明の第1開閉手段であって、暖房モード時および除湿モード時にブライン冷媒熱交換器21より流出した冷媒を第1減圧器22→室外熱交換器23→アキュームレータ26に順に流す第1冷媒流路Aの開閉を行う開閉弁(バルブ)である。具体的には、第1電磁弁31は、室外熱交換器23の下流側の分岐部とアキュームレータ26の上流側の合流部とを結ぶ暖房用冷媒流路41に設置されている。
【0073】
第2電磁弁32は、本発明の第2開閉手段であって、除湿モード時にブライン冷媒熱交換器21を流出した冷媒を第1減圧器22→室内熱交換器25→アキュームレータ26に順に流す第2冷媒流路Bの開閉を行う(バルブ)である。具体的には、第2電磁弁32は、第2減圧器24の上流側の分岐部と第2減圧器24の下流側の合流部とを第2減圧器24を迂回して結ぶ除湿用冷媒流路(バイパス路)42に設置されている。
第3電磁弁33は、冷房モード時にブライン冷媒熱交換器21の下流側と室外熱交換器23の上流側とを第1減圧器22を迂回して結ぶ冷房用冷媒流路(バイパス路)43の開閉を行う(バルブ)である。
【0074】
ここで、第1冷媒流路Aは、除湿モード時に、第1減圧器22の下流側の分岐部45とアキュームレータ26の上流側の合流部46とを結び、室外熱交換器23に冷媒を流す流路である。また、第2冷媒流路Bは、実施例においては、除湿モード時に、第1減圧器22の下流側の分岐部45とアキュームレータ26の上流側の合流部46とを結び、第2減圧器24を迂回して室内熱交換器25に冷媒を流す流路である。
【0075】
ブラインサイクル5は、本発明の室内暖房手段、熱媒体サイクルであって、前述のブライン冷媒熱交換器21、温水式ヒータ51、燃焼式ヒータ52、ブラインポンプ53、およびこれらを環状に接続する温水配管(ブライン配管)等から構成されている。なお、この実施例では、ブラインサイクル5内を循環する温水(熱媒体、ブライン)として不凍液(例えばエチレングリコール水溶液)やLLC(ロングライフクーラント)を使用している。
【0076】
温水式ヒータ51は、本発明の室内加熱器であって、ダクト2内において室内熱交換器25よりも上流側(風上側)に設置されて、内部を流れる温水との熱交換によって通過する空気を加熱する室内空気加熱器である。温水式ヒータ51の空気の入口部および出口部には、温水式ヒータ51を通過する空気量(温風量)と温水式ヒータ51を迂回する空気量(冷風量)とを調節して車室内へ吹き出す空気の吹出温度を調整する空気量調節手段としての2個のエアミックスダンパ(ドア)54、55が回転自在に支持されている。これらのエアミックスダンパ54、55は、ステッピングモータやサーボモータ等のアクチュエータ(図示せず)により駆動される。
【0077】
燃焼式ヒータ52は、図示しない燃料ポンプから圧送された燃料を燃焼用空気と混合して燃焼し、その燃焼時に生成される燃焼ガスとの熱交換によって温水を加熱する。温水との熱交換を終えた燃焼ガスは、大気に排出される。但し、この燃焼式ヒータ52は、外気温度が低い時(例えば0℃)に、ブライン冷媒熱交換器21だけでは十分に温水を加熱できない時に補助加熱装置として使用される。なお、燃焼式ヒータ52は、燃料ポンプから圧送される燃料供給量および燃焼用空気量を調節することにより、燃焼量(発熱量)の高い「Hi」、燃焼量の低い「Lo」の2段階に切り替えて使用することができる。
【0078】
ブラインポンプ53は、本発明の熱媒体循環手段であって、通電を受けて起動することによりブラインサイクル5内に温水の循環流を発生するウォータポンプである。なお、ブラインサイクル5に、ラジエータ等の放熱装置、電動器具の排熱を回収する排気回収器や電気ヒータ等の補助加熱装置、流路切替弁等の付属装置を追加しても良い。
【0079】
図2は電気自動車用空気調和装置のECU等の制御系を示した図である。ECU100は、本発明の除湿運転制御手段、吹出温度制御手段であって、中央演算処理装置(以下CPUと言う)101、ROM102、RAM103、A/D変換器104、インターフェイス105、106等を持ち、それ自体は周知のものである。また、ECU100は、走行用モータMの回転速度を制御する走行用インバータIにも接続するジャンクションボックスJを介して車載電源6より電力が供給されて作動する。
【0080】
ECU100は、内気温センサ111、外気温センサ112、日射センサ113、冷媒圧力センサ114、エバ後温度センサ115、水温センサ116、除霜センサ117、水温センサ118および操作パネル200より入力される入力信号と予めインプットされた制御プログラムに基づいて、各空調機器を制御する。すなわち、ECU100は、各センサの検出値(検出信号)および操作パネル200の操作値(操作信号)などの入力信号と予めインプットされた制御プログラムに基づいて、内外気切替ダンパ9、モード切替ダンパ14〜16、遠心式送風機3のブロワモータ18、冷媒圧縮機20のエアコン用インバータ30、電動ファン29、第1〜第3電磁弁31〜33、燃焼式ヒータ52、ブラインポンプ53およびエアミックスダンパ54、55等の運転状態を制御する。
【0081】
内気温センサ111は、例えばサーミスタ等の感温素子よりなり、車室内の温度(内気温)を検出し、この検出値を内気温信号としてECU100へ出力する内気温度検出手段である。外気温センサ112は、例えばサーミスタ等の感温素子よりなり、車室外の温度(外気温)を検出し、この検出値を外気温信号としてECU100へ出力する外気温度検出手段である。
【0082】
日射センサ113は、車室内への日射量を検出し、この検出値を日射量信号としてECU100へ出力する日射量検出手段である。冷媒圧力センサ114は、冷媒圧縮機20の吐出圧力である冷凍サイクル4の高圧圧力(凝縮圧力)を検出し、この検出値を冷媒圧力信号(高圧信号)としてECU100へ出力する冷媒圧力検出手段、高圧圧力検出手段である。エバ後温度センサ115は、例えばサーミスタ等の感温素子よりなり、室内熱交換器25の空気出口温度を検出し、この検出値をエバ後温度信号としてECU100へ出力するエバ後温度検出手段、温水式ヒータ51の吸込温度検出手段である。
【0083】
水温センサ116は、例えばサーミスタ等の感温素子よりなり、温水式ヒータ51の入口に設置され、温水式ヒータ51の入口水温(以下温水温度TWと言う)を検出し、この検出値を温水温度信号としてECU100へ出力する温水温度検出手段、熱媒体温度検出手段である。除霜センサ117は、例えばサーミスタ等の感温素子よりなり、暖房モード時および除湿モード時に室外熱交換器23の入口部の冷媒温度を検出し、この検出値を冷媒温度信号としてECU100へ出力する冷媒温度検出手段である。水温センサ118は、例えばサーミスタ等の感温素子よりなり、燃焼式ヒータ52の出口に設置され、燃焼式ヒータ52の出口水温を検出し、この検出値を温水温度信号としてECU100へ出力する温水温度検出手段、熱媒体温度検出手段である。
【0084】
図3は操作パネルの一例を示した図である。操作パネル200には、吹出方向を切り替える吹出口モード切替スイッチ群201、電気自動車の車室内へ吹き出す空気の吹出温度を調整する温度調整レバー202、吸込口モードを切り替える吸込口モード切替スイッチ203、吹出風量を手動により切り替える風量スイッチ204、吹出風量を自動的に切り替える風量オートスイッチ205および空調モードを切り替える空調モード切替スイッチ群206が配置されている。
【0085】
吹出口モード切替スイッチ群201は、モード切替ダンパ14〜16を開閉制御することによって、吹出口モードを以下の各モードに設定するように指令する吹出口モード切替指令手段である。吹出口モード切替スイッチ群201は、乗員の頭胸部に送風するためのフェイスモードを設定するフェイススイッチ211、乗員の頭胸部と足元の双方に送風するためのバイレベルモードを設定するバイレベルスイッチ212、乗員の足元に送風するためのフットモードを設定するフットスイッチ213、乗員の足元と窓ガラスの双方に送風するためのフットデフモードを設定するフットデフスイッチ214、および窓ガラスに送風するためのデフロスタモードに設定するデフロスタスイッチ215等から構成されている。
【0086】
温度調整レバー202は、設定位置に応じて各空調モードにおける冷媒圧縮機20の回転速度の設定、またはエアミックスダンパ54、55の開度設定を行う吹出温度設定手段である。温度調整レバー202は、ストローク量に応じた複数の設定ゾーンに分割され、選択された空調モードと設定ゾーンに応じて冷媒圧縮機20を駆動するエアコン用インバータ30の周波数を設定し回転速度制御が行われる。
【0087】
吸込口モード切替スイッチ203は、内外気切替ダンパ9を開閉制御することによって内気吸込口7から内気を導入する内気循環モード、外気吸込口8から外気を導入する外気導入モードに切り替えるものである。空調モード切替スイッチ群206は、電気自動車用空気調和装置(マニュアルエアコンの場合)1の運転停止、冷房モード、ヒートポンプのみの暖房モード、燃焼式ヒータ52も使用する暖房モードおよび除湿モードに切り替えるものであり、停止スイッチ261、冷房スイッチ262、ヒートポンプ暖房スイッチ263、燃焼ヒータ暖房スイッチ264、除湿暖房スイッチ265から構成されている。
【0088】
図4は操作パネルの他の例を示した図である。この操作パネル200は、オートエアコンの操作パネルであって、温度調整レバー207や各センサからの入力信号に基づいて冷房モード、暖房モードおよび除湿モードを自動的に切り替える。208は電気自動車用空気調和装置(オートエアコンの場合)1の運転停止スイッチである。
【0089】
〔第1実施例の吹出温度制御〕
次に、この実施例のECU100の吹出温度制御を図1ないし図10に基づいて簡単に説明する。ここで、図5はECU100の吹出温度制御の一例を示したフローチャートである。
【0090】
先ず、操作パネル200に設けられた温度調整レバー202、207の操作位置から設定吹出温度Tsetを読み込む(吹出温度設定手段)。さらに、各種センサから検出値を読み込む(ステップS11)。ここでは、エバ後温度センサ115で検出したエバ後温度TE、水温センサ116で検出した温水温度TWなど、後で演算に必要な検出値(物理量)を読み込む。
【0091】
次に、目標吹出温度TAOを周知の方法で決定する(目標吹出温度決定手段:ステップS12)。目標吹出温度TAOは、マニュアルエアコンでは温度調整レバー202の操作位置によって求めることができ、オートエアコンでは温度調整レバー207の操作位置、内気温センサ111で検出した内気温および外気温センサ112で検出した外気温を使って演算により求めることができる。
【0092】
次に、温水式ヒータ51を通過する空気の風量V(m3 /h)から温度効率φを決定する(温度効率決定手段:ステップS13)。ここでは、遠心式送風機3の運転状態によって求めた遠心式送風機3の風量Vと温度効率φとの特性図(図8参照)に基づいて温度効率φを算出する。
【0093】
次に、目標温水温度TWOを後述の方法で決定する(目標熱媒体温度決定手段、目標温水温度決定手段:ステップS14)。すなわち、エバ後温度センサ115で検出したエバ後温度TE、S12で決定した目標吹出温度TAO、およびS13で決定した温度効率φから目標温水温度TWOを下記の数1の式に基づいて算出する。
【数1】
TWO=(TAO−TE)/φ+TE
【0094】
次に、電気自動車用空気調和装置1の各空調機器、特に冷凍サイクル4の各冷凍機器のトラブルを未然に防ぐようにするため、以下のサブルーチン(図6のフローチャート)に基づいて空調機器の保護制御を行う(ステップS15)。この空調機器の保護制御は、空調機器、特に冷凍サイクル4の各冷凍機器を保護するため、例えば冷凍サイクル4の高圧圧力の異常上昇による冷凍機器のトラブルを防止するために保護冷媒圧力が予め決定され(保護圧力決定手段)、この予め決定された保護冷媒圧力に基づいて実行される。
【0095】
空調機器の保護制御は、図6のフローチャートに示したように、冷媒圧力センサ114で検出した冷凍サイクル4の高圧圧力SPを検出する(ステップS21)。次に、冷凍サイクル4の高圧圧力SPが予め決定された保護冷媒圧力(例えば20kg/cm2 G)SPH以上に上昇しているか否かを判断する(ステップS22)。このステップS22の判断結果がNoの場合には、ステップS15の制御を抜ける。
【0096】
また、ステップS22の判断結果がYesの場合には、冷媒圧縮機20の運転を停止する(ステップS23)。その後に、ステップS15の制御を抜ける。これにより、冷凍サイクル4の高圧圧力が異常上昇することを防止できるので、電気自動車用空気調和装置1の各空調機器、特に冷凍サイクル4の各冷凍機器のトラブルを未然に防止することができる。
【0097】
次に、以下のサブルーチン(図7のフローチャート)に基づいて冷媒圧縮機20の回転速度制御を行う(ステップS16)。この回転速度制御では、先ず所定の制御周期(制御タイミング:例えば4秒間)τが経過しているか否かを判断する(ステップS31)。このステップS31の判断結果がNoの場合には、ステップS37の制御を行う。
また、ステップS31の判断結果がYesの場合には、図5のステップS14で決定した目標温水温度TWO、水温センサ116で検出した温水温度TWとの温度偏差En を下記の数2の式に基づいて算出する(温度偏差決定手段:ステップS32)。
【数2】
En =TWO−TW
【0098】
次に、下記の数3の式に基づいて偏差変化率Edot を算出する(温度変化率決定手段:ステップS33)。
【数3】
Edot =En −En-1
【0099】
ここで、En は例えば4秒毎に更新されるため、En-1はEn に対して4秒前の値となる。
次に、ROMに記憶された図9に示すメンバーシップ関数からCF1、CF2を求める(ステップS34)。
【0100】
次に、En およびEdot を用いて、ROMに記憶された図9に示すメンバーシップ関数と、ROMに記憶された表1に示すルール表とを用いたファジー推論に基づいて、4秒前の冷媒圧縮機20の回転速度fn-1(rpm)に対して増減する回転速度Δf(rpm/4sec)を求める。
【表1】
Figure 0003704814
【0101】
具体的には、図9(a)で求まるCF1と図9(b)で求まるCF2とから、下記数4の式に基づいて入力適合度CFを求め、さらにこの入力適合度CFと表1のルール値とから、下記数5の式に基づいてΔfを算出する(ステップS35)。
【数4】
CF=CF1×CF2
【数5】
Δf=Σ(CF×ルール値)/ΣCF
【0102】
例えば、En =5の場合には、図9(a)から、CF1はNB=0、NS=0、ZO≒0.29、PS≒0.71、PB=0となる。また、Edot =−0.2の場合には、図9(b)から、CF2はNB=0、NS≒0.33、ZO≒0.67、PS=0、PB=0となる。
【0103】
したがって、上記数5の式の分母であるΣCFは、0.29×0.33+0.29×0.67+0.71×0.33+0.71×0.67=1となる。また、上記数5の分子であるΣ(CF×ルール値)は、0.29×0.33×(−75)+0.29×0.67×0+0.71×0.33×(−45)+0.71×0.67×112≒35.56となる。よって、ΔfはΔf=35.56/1=35.56となる。
【0104】
このように、En およびEdot に基づいてΔfを決定したら、目標回転速度fn を下記数6の式に基づいて算出する(目標温水温度決定手段、目標回転速度決定手段:ステップS36)。
【数6】
fn =(fn-1)+Δf
【0105】
次に、冷媒圧縮機20の実際の回転速度が目標回転速度fn となるようにエアコン用インバータ30を通電制御する(温水加熱量制御手段、回転速度制御手段:ステップS37)。
【0106】
以上説明した冷媒圧縮機20の回転速度制御(図5のステップS16)を行うことによって、冷媒圧縮機20の挙動は、図10(b)に示したようになり、その結果、水温センサ116で検出した温水温度(温水式ヒータ51の入口温度)TWの挙動は、図10(a)に示したようになる。なお、図10は、目標温水温度TWOが例えば70℃に決定された場合についてのものであり、電気自動車用空気調和装置1(冷凍サイクル4)を起動した時をt=0としている。
【0107】
すなわち、図10(a)に示したように、t=0の時には、図5のステップS14で決定した目標温水温度TWO、水温センサ116で検出した温水温度TWとの温度偏差En が大きいため、Δfは大きな値として算出され、これにより、図10(b)に示したように、冷媒圧縮機20の回転速度は急激に上昇する。その結果、図10(a)に示したように、温水温度TWが目標温水温度TWOに急激に近づこうとする。
【0108】
そして、温水温度TWが目標温水温度TWOに近づいてくると、温度偏差En が小さくなるため、Δfは小さな値として算出され、冷媒圧縮機20の回転速度の上昇率は徐々に小さくなり、そのうち回転速度は下降するようになる。その結果、温水温度TWは、目標温水温度TWOをオーバーシュートすることなく、電気自動車用空気調和装置1(冷凍サイクル4)を起動してから直ちに目標温水温度TWOに飽和する。水温センサ116で検出した温水温度TWを、目標温水温度TWOとなるように制御する理由は以下に述べる通りである。すなわち、温水温度TWは、温水式ヒータ51を通過する空気温度と相関関係がある。
【0109】
したがって、図5のステップS14で決定される目標温水温度TWOを、例えばダクト2のフット吹出口13より車室内へ吹き出す空気の吹出温度と関連させておけば、温度調整レバー202、207等により乗員が希望する吹出温度を設定するのみで、電気自動車用空気調和装置1(冷凍サイクル4)の起動直後に車室内へ吹き出す空気の吹出温度が乗員の希望に合った温度に到達することになる。なお、乗員による吹出温度の設定は、操作パネル200に設けられた温度調整レバー202、207にて設定吹出温度Tset(=設定温度、操作位置に対応)を設定することによりなされる。
【0110】
〔第1実施例の除湿モード時の吹出温度制御〕
次に、この実施例のECU100の除湿モード時の吹出温度制御を図1ないし図14に基づいて簡単に説明する。ここで、図11はECU100の除湿モード時の吹出温度制御の一例を示したフローチャートである。
【0111】
マニュアルエアコンにおいては除湿暖房スイッチ265が投入された時、オートエアコンにおいては外気温センサ112で検出した外気温Tamが0℃〜20℃の時には、冷凍サイクル4が除湿モードに切り替えられて車室内が除湿暖房される。なお、オートエアコンにおいては外気温センサ112で検出した外気温Tamが0℃以下に低下した時は外気導入モードによる暖房モード、20℃以上の時は冷房モードとなる。
【0112】
除湿モードが開始されると、先ず第2電磁弁32を開弁状態に設定する(ステップS41)。次に、除湿モード初期時であるか否かを判断する。例えばエバ後温度センサ115で検出したエバ後温度(センサ値)TEが予め設定された外気温Tamに応じたエバ後温度TE(図12の特性図参照)に到達していないか否かを判断する(ステップS42)。
【0113】
このステップS42の判断結果がYesの場合には、室内熱交換器25の温度を下げて車室内の除湿性能を高めるために、第1電磁弁31を閉弁状態に設定する(ステップS43)。次に、外気温センサ112で検出した外気温に応じて決定される冷媒圧縮機20の回転速度(図13の特性図参照)となるようにエアコン用インバータ30を通電制御する(温水加熱量制御手段、回転速度制御手段:ステップS44)。
【0114】
また、ステップS42の判断結果がNoの場合には、エバ後温度センサ115で検出したエバ後温度(センサ値)TEが着霜温度(例えば2℃)より高いか否かを判断する(ステップS45)。このステップS45の判断結果がYesの場合には、第1電磁弁31を閉弁状態に設定し、車室内を除湿し(ステップS46)、ステップS45の判断結果がNoの場合には、第1電磁弁31を開弁状態に設定し、車室内を除湿暖房する(ステップS47)。
【0115】
次に、図7のフローチャートに基づいて暖房ファジー制御を行い、冷媒圧縮機20の目標回転速度fn (図7のステップS36参照)を決定する(目標回転速度決定手段:ステップS48)。なお、内気温センサ111で検出した内気温TRが設定吹出温度Tset以上に上昇した場合、暖房ファジー制御で冷媒圧縮機20の目標回転速度を決定すると、冷媒圧縮機20が低回転あるいは停止して室内熱交換器25の温度を下げることができない。このため、外気温センサ112で外気温を検出し(外気温度検出手段)、その外気温センサ112で検出した外気温に応じて決定される冷媒圧縮機20の最低回転速度(図14の特性図参照)を決定し(最低回転速度決定手段)、その最低回転速度以下に目標回転速度がならないようにする(回転速度比較手段:ステップS49)。そして、図7のフローチャートのステップS37に示したように、冷媒圧縮機20の回転速度が目標回転速度fn または最低回転速度となるようにエアコン用インバータ30を通電制御する。
【0116】
以上の制御を行うことで、任意の設定吹出温度Tsetに対しても除湿暖房を行うことができ、且つエバ後温度センサ115で検出したエバ後温度(センサ値)TEが着霜温度(例えば2℃)に近似させるように制御することで除湿効果も得られる。
【0117】
〔第1実施例の作用〕
次に、この実施例の電気自動車用空気調和装置1の作用を図1および図2に基づいて簡単に説明する。
【0118】
(冷房モード)
冷房モード時には、冷凍サイクル4では、第3電磁弁33が開弁し、第1、第2電磁弁31、32が閉弁する。したがって、冷媒圧縮機20の吐出口より吐出された冷媒は、冷房運転経路(矢印C方向)を流れる。すなわち、冷媒圧縮機20→ブライン冷媒熱交換器21の冷媒通路28→冷房用冷媒流路43(第3電磁弁33)→室外熱交換器23→第2減圧器24→室内熱交換器25→アキュームレータ26を通って冷媒圧縮機20の吸入口に吸入される。そして、室内熱交換器25にて冷媒の蒸発熱により冷却された空気は、主にフェイス吹出口12より車室内へ吹き出されることにより車室内が冷房される。
【0119】
(暖房モード)
ヒートポンプのみによる暖房モード時には、冷凍サイクル4では、第1電磁弁31が開弁し、第2、第3電磁弁32、33が開弁する。したがって、冷媒圧縮機20の吐出口より吐出された冷媒は、暖房運転経路(矢印H方向)を流れる。すなわち、冷媒圧縮機20→ブライン冷媒熱交換器21の冷媒通路28→第1減圧器22→室外熱交換器23→暖房用冷媒流路41(第1電磁弁31)→アキュームレータ26を通って冷媒圧縮機20の吸入口に吸入される。
【0120】
一方、温水サイクル5では、ブラインポンプ53を運転することにより、ブライン冷媒熱交換器21の温水通路27内に流入した温水は、冷媒通路28内を流れる冷媒の凝縮熱により加熱される。この加熱された温水は、ダクト2内の温水式ヒータ51内に流入して遠心式送風機3の作用により吹き付けられる空気と熱交換して空気が温風となる。この温風は、主にフット吹出口13より車室内へ吹き出されることにより車室内が暖房される。
【0121】
仕向地により外気温が非常に低く(例えば−10℃〜−30℃以下の寒冷地)ブライン冷媒熱交換器21では充分な熱量が得られない場合がある。このような場合には、冷媒圧縮機20を駆動せず、燃焼式ヒータ52により暖房に必要な熱量を温水に与えるようにする。
【0122】
(除湿モード)
除湿モード時には、除湿運転経路(矢印D方向)、あるいは除湿暖房経路(矢印H・D方向)のいずれかに冷媒が流れる。
【0123】
1)除湿運転経路
この除湿モード時に除湿運転経路を冷媒が流れる場合には、第2電磁弁32が開弁され、第1、第3電磁弁31、33が閉弁される。したがって、冷媒圧縮機20の吐出口より吐出された冷媒は、ブライン冷媒熱交換器21の冷媒通路28→第1減圧器22→分岐部45→除湿用冷媒流路42(第2電磁弁32)→室内熱交換器25→合流部46→アキュームレータ26を通って冷媒圧縮機20の吸入口に吸入される。これにより、遠心式送風機3の作用により室内熱交換器25に吹き付けられた空気は冷却される。そして、空気中の水分が凝縮され室内熱交換器25のフィン等に付着することにより空気が除湿される。
【0124】
一方、温水サイクル5では、ブラインポンプ53を運転することにより、ブライン冷媒熱交換器21の温水通路27内に流入した温水は、冷媒通路28内を流れる冷媒の凝縮熱により加熱される。この加熱された温水は、ダクト2内の温水式ヒータ51内に流入する。ここで、室内熱交換器25で冷却除湿された低湿度の空気は、主にデフロスタ吹出口11より車室内へ吹き出されることにより車室内が除湿される。なお、除湿された空気を再加熱したい場合は、エアミックスダンパ54、55を作動させてその空気の一部または全部を温水式ヒータ51に導き、温水と熱交換させれば良い。
【0125】
2)除湿暖房経路
この除湿モード時に除湿暖房経路を冷媒が流れる場合には、第1、第2電磁弁31、32が開弁され、第3電磁弁33が閉弁される。したがって、冷媒圧縮機20の吐出口より吐出された冷媒は、ブライン冷媒熱交換器21の冷媒通路28→第1減圧器22→分岐部45→{室外熱交換器23→暖房用冷媒流路41(第1電磁弁31)}および{除湿用冷媒流路42(第2電磁弁32)→室内熱交換器25}→合流部46→アキュームレータ26を通って冷媒圧縮機20の吸入口に吸入される。
【0126】
一方、温水サイクル5では、ブラインポンプ53を運転することにより、ブライン冷媒熱交換器21の温水通路27内に流入した温水は、冷媒通路28内を流れる冷媒の凝縮熱により加熱される。このときの温水と冷媒との熱交換量は、除湿弱暖房モード(第1電磁弁31を閉弁、第2電磁弁32を開弁)の場合と比べて室外熱交換器23で冷媒が外気より吸熱する分だけ高くなる。すなわち、除湿弱暖房モードよりも更に加熱された温水は、ダクト2内の温水式ヒータ51内に流入する。そして、室内熱交換器25で冷却除湿された低湿度の空気が温水式ヒータ51を通過する際に再加熱されて主にデフロスタ吹出口11より車室内へ吹き出されることにより車室内が除湿暖房される。
【0127】
〔第1実施例の効果〕
図15はこの実施例の実験データを示したタイムチャートである。この実験は、外気温Tamが10℃、設定吹出温度Tsetが25℃の時の作動例である。作動としては、第2電磁弁32を常時開弁し、除湿モード初期時には第1電磁弁31を閉弁し、冷媒を室内熱交換器25に流して空気を除湿する。このときの冷媒圧縮機20の回転速度は外気温に応じて設定された値(例えば5600rpm)となっている。また、エバ後温度センサ115で検出したエバ後温度(センサ値)TEが外気温Tamに応じて設定された値(例えば−5℃)に到達したら除湿モード定常時に移行している。
【0128】
除湿モード定常時では、エバ後温度センサ115で検出したエバ後温度(センサ値)TEで着霜温度(例えば2℃:室内熱交換器25の着霜防止のため)になるように第1電磁弁31を開閉制御している。このときの冷媒圧縮機20の回転速度は暖房ファジー制御により決定されている。
【0129】
運転開始してから60分経過時の安定状態では、デフロスタ吹出口11よりフロント窓ガラスの内面に吹き出される空気の吹出温度は37℃〜39℃、エバ後温度TEは1℃〜3℃、内気温は25℃〜26℃であり、車室内の空気を除湿しながら内気温TRが設定吹出温度Tsetになるように吹出温度制御されている様子が分かる。なお、フロント窓ガラスの曇りは除湿モード初期時でほぼ100%晴れ、また常にエバ後温度TEが1℃〜3℃に維持されているので再ミストも生じない。
【0130】
したがって、除湿モード時に、暖房能力があまり必要ではない場合は、第1、第3電磁弁31、33を閉弁し第2電磁弁32を開弁することで室内熱交換器25にのみ冷媒を流すことにより温水式ヒータ51の放熱量を抑えながらも十分な除湿能力を得ることができる。そして、暖房能力が十分に必要な場合は、第1電磁弁31を開閉制御し、第2電磁弁32を開弁し、第3電磁弁33を閉弁することで室内熱交換器25に流入する冷媒量を増減し、且つ冷媒圧縮機20の回転速度制御を行うことにより、室内熱交換器25の温度を着霜温度の近似させながら除湿効果を得ながら、室内熱交換器25の着霜による暖房能力の低下を防止することができる。
【0131】
また、高価な2個の電動式膨張弁を使用せずに、安価な第1、第2電磁弁31、32を使用して細やかな暖房能力制御および除湿能力制御を行うことができるので、製品コストを低減できる。そして、第1、第2電磁弁31、32は第1、第2冷媒流路A、Bを単に開閉するだけのものであるため、第1、第2電磁弁31、32の開閉制御は簡単である。
【0132】
ここで、除湿モード時の除湿運転経路の場合に、第2電磁弁32を閉弁して第2減圧器24を通す冷媒回路としても冷媒は少量は室内熱交換器25に流れるが、第2減圧器24の圧力抵抗が大きく、室外熱交換器23の方へ流れて冷媒が滞留し易い。このため、この実施例のように、除湿運転経路の場合に、第2電磁弁32を開弁して第2減圧器24を迂回する第2冷媒流路Bに冷媒を流すようにした方が良い。
【0133】
また、電気自動車用空気調和装置1は、冷房モード時は第3電磁弁33→室外熱交換器23→分岐部45の順に冷媒が流れ、暖房モード時および除湿モード時は分岐部45→室外熱交換器23→第1電磁弁31のように冷媒が流れるように冷媒配管を接続している。これにより、室外熱交換器23のガス側は常に第1、第3電磁弁31、33側となり、室外熱交換器23の液側は常に分岐部45側となる。すなわち、室外熱交換器23を冷媒凝縮器として運転する冷房モード時と冷媒蒸発器として運転する暖房モードおよび除湿モード時とで冷媒の流れ方向を逆向きにすることができる。したがって、ガス側から液側へ行くにしたがって室外熱交換器23の冷媒通路の通路断面積を大から小にすることができるので、冷媒の流れの圧力損失と室外熱交換器23の熱交換性能とを矛盾なく設計することができる。
【0134】
〔第1参考例の構成〕
図16および図17はこの発明の車両用空気調和装置を電気自動車用空気調和装置に適用した第1参考例を示したもので、図16はその電気自動車用空気調和装置を示した図である。
【0135】
この参考例の冷凍サイクル4は、冷媒圧縮機20、第1室内熱交換器(室内凝縮器)61、第1減圧器22、室外熱交換器23、第2減圧器24、第2室内熱交換器(室内蒸発器)62、アキュームレータ26、後記する冷媒経路切替手段、およびこれらを環状に接続する冷媒配管等から構成されている。
【0136】
第1室内熱交換器61は、室内暖房手段であって、常に冷媒凝縮器として運転される。第2室内熱交換器62は、室内熱交換手段であって、常に冷媒蒸発器として運転される。室外熱交換器23は、室外熱交換手段であって、冷房モード時に冷媒凝縮器として運転され、暖房モード時および除湿モード時に冷媒蒸発器として運転される。なお、ダクト2の上流側には遠心式送風機3が取り付けられ、ダクト2内には上流側から下流側へ向かって第2室内熱交換器62、第1室内熱交換器61が設置されている。
【0137】
冷媒経路切替手段は、各空調モードに応じて冷凍サイクル4を循環する冷媒の流れ方向を冷房モード、暖房モード、除湿モード(除湿運転経路、除湿暖房運転経路)に切り替えるもので、第1、第2電磁弁31、32、四方弁35および逆止弁36、37等から構成されている。
【0138】
第1電磁弁31は、第1減圧器22を有する暖房用冷媒流路41に設置され、暖房モード時および除湿モード時に第1室内熱交換器61より流出した冷媒を逆止弁36→第1減圧器22→室外熱交換器23の順に流す第1冷媒流路Aの開閉を行う。ここで、第1冷媒流路Aは、この参考例においては、除湿モード時に、第1減圧器22の上流側の分岐部45とアキュームレータ26の上流側の合流部46とを結ぶ流路である。
【0139】
第2電磁弁32は、第2減圧器24を有する冷房除湿用冷媒流路44に設置され、除湿モード時に第1室内熱交換器61を流出した冷媒を逆止弁36→第2減圧器24→第2室内熱交換器62→アキュームレータ26に順に流す第2冷媒流路Bの開閉を行う。ここで、第2冷媒流路Bは、この参考例においては、除湿モード時に、第2減圧器24の上流側の分岐部45とアキュームレータ26の上流側の合流部46とを結ぶ流路である。
【0140】
四方弁35は、冷房モード時に図示実線位置に設定され、暖房モードおよび除湿モード時に図示破線位置に設定される。逆止弁36は、第1室内熱交換器61の下流側と分岐部46の上流側の合流部とを結ぶ暖房除湿用冷媒流路47に設けられ、冷媒の逆流を阻止する。逆止弁37は、室外熱交換器23と分岐部45とを結び、第1減圧器22および第1電磁弁31を迂回する冷房用冷媒流路43に設けられ、冷媒の逆流を阻止する。
【0141】
〔第1参考例の作用〕
次に、この参考例の電気自動車用空気調和装置1の作用を図16ないし図17に基づいて簡単に説明する。
【0142】
(冷房モード)
冷房モード時には、第1電磁弁31が閉弁し、第2電磁弁32が開弁し、四方弁35が図示実線位置に設定される。したがって、冷媒圧縮機20の吐出口より吐出された冷媒は、四方弁35→室外熱交換器23→冷房用冷媒流路43(逆止弁37)→冷房除湿用冷媒流路44(第2電磁弁32→第2減圧器24)→第2室内熱交換器62→アキュームレータ26を通って冷媒圧縮機20の吸入口に吸入される。そして、第2室内熱交換器62にて冷媒の蒸発熱により冷却された空気は、主にフェイス吹出口12より車室内へ吹き出されることにより車室内が冷房される。このとき、冷媒圧縮機20の回転速度を制御して、第2室内熱交換器62に流入する冷媒の流量を可変することにより、車室内の温度が設定吹出温度となるように調節される。
【0143】
(暖房モード)
暖房モード時には、第1電磁弁31が開弁し、第2電磁弁32が閉弁し、四方弁35が図示破線位置に設定される。したがって、冷媒圧縮機20の吐出口より吐出された冷媒は、四方弁35→第1室内熱交換器61→暖房除湿用冷媒流路47(逆止弁36)→暖房用冷媒流路41(第1電磁弁31→第1減圧器22)→室外熱交換器23→四方弁35→アキュームレータ26を通って冷媒圧縮機20の吸入口に吸入される。そして、第1室内熱交換器61にて冷媒の凝縮熱により加熱された空気は、主にフット吹出口13より車室内へ吹き出されることにより車室内が暖房される。このとき、冷房モードと同様にして、冷媒圧縮機20の回転速度を制御して、第1室内熱交換器61に流入する冷媒の流量を可変することにより、車室内の温度が設定吹出温度となるように調節される。
【0144】
(除湿モード)
除湿モード時には、第1、第2電磁弁31、32がそれぞれ独立して開閉制御され、四方弁35が図示破線位置に設定される。したがって、冷媒圧縮機20の吐出口より吐出された冷媒は、四方弁35→第1室内熱交換器61→暖房除湿用冷媒流路47(逆止弁36)→分岐部45→暖房用冷媒流路41(第1電磁弁31→第1減圧器22)→室外熱交換器23→四方弁35→合流部46、および冷房除湿用冷媒流路44(第2電磁弁32→第2減圧器24)→第2室内熱交換器62→合流部46の両方を流れアキュームレータ26を通って冷媒圧縮機20の吸入口に吸入される。
【0145】
要するに、冷媒凝縮器として運転される第1室内熱交換器61を流出した冷媒は、室外熱交換器23および第2室内熱交換器62の両方に流れ込む。そして、そして、第2室内熱交換器62にて冷媒の蒸発熱により冷却除湿された空気は、第1室内熱交換器61にて冷媒の凝縮熱により再加熱され、主にデフロスタ吹出口11より車室内へ吹き出されることにより車室内が除湿暖房される。このとき、冷房モードと同様にして、冷媒圧縮機20の回転速度を制御して、第2室内熱交換器62に流入する冷媒の流量を可変することにより、車室内の温度が設定吹出温度となるように調節される。
【0146】
この除湿モード時の第1、第2電磁弁31、32の開閉制御を図17に基づいて説明する。外気温が10℃〜20℃を考えると、第1電磁弁31を閉弁し、第2電磁弁32を開弁すると、第1室内熱交換器61より流出した冷媒が全て第2室内熱交換器62に流入する。このとき、冷媒蒸発器として働く第2室内熱交換器62の蒸発温度は−5℃〜−10℃になり、この状態を連続して継続すると、第2室内熱交換器62が着霜するので、第2室内熱交換器62の温度が0℃〜4℃となるように制御する必要がある。
【0147】
また、第1電磁弁31を閉弁し、第2電磁弁32を開弁すると、冷媒蒸発器として働く室外熱交換器23が第2室内熱交換器62と比べて吸熱能力が大きいので、室外熱交換器23の蒸発温度は外気温より約4℃〜7℃低い値となる。
さらに、第1電磁弁31を開弁した状態で第2電磁弁32を開閉制御することにより、室外熱交換器23で外気より吸熱して第1室内熱交換器61より放熱する除湿暖房を行うことができる。
【0148】
ここで、暖房能力が更に必要で、車室内へ吹き出す空気の吹出温度を高くしたい時は、冷媒圧縮機20の回転速度を増速し、且つ第2室内熱交換器62の温度を0℃〜4℃に維持するように第1、第2電磁弁31、32を開閉制御することにより、高い吹出温度が得られる。
【0149】
〔第1参考例の効果〕
この参考例では、車室内を除湿暖房する時に、冷媒蒸発器として運転される室外熱交換器23と第2室内熱交換器62を並列接続し、冷媒の流れを室外熱交換器23と第2室内熱交換器62の両方に分岐させ、それぞれに流れる冷媒の流量を第1、第2電磁弁31、32を用いて独立して制御することにより、車室内へ吹き出す空気の吹出温度を可変可能な除湿暖房を実現することができる。
【0150】
また、高価な2個の電動式膨張弁を使用せずに、安価な第1、第2電磁弁31、32を使用して細やかな暖房能力制御および除湿能力制御を行うことができるので、安価な制御システムを提供することができる。そして、第1、第2電磁弁31、32は第1、第2冷媒流路A、Bを単に開閉するだけのものであるため、第1、第2電磁弁31、32の開閉制御が非常にシンプルとなる。
【0151】
〔第2参考例〕
図18はこの発明の車両用空気調和装置を電気自動車用空気調和装置に適用した第2参考例を示したもので、電気自動車用空気調和装置を示した図である。
【0152】
この参考例の第1電磁弁31は、暖房用冷媒流路41に設置され、暖房モード時および除湿モード時に第1室内熱交換器61より流出した冷媒を暖房除湿用冷媒流路47(逆止弁36→第1減圧器22)→分岐部45→暖房用冷媒流路41→室外熱交換器23→四方弁35→合流部46→アキュームレータ26に順に流す第1冷媒流路Aの開閉を行う。
【0153】
また、第2電磁弁32は、除湿用冷媒流路42に設置され、除湿モード時に第1室内熱交換器61を流出した冷媒を暖房除湿用冷媒流路47(逆止弁36→第1減圧器22)→分岐部45→除湿用冷媒流路42→第2室内熱交換器62→合流部46→アキュームレータ26に順に流し、第2減圧器24を迂回する第2冷媒流路Bの開閉を行う。なお、第1減圧器22および逆止弁36は暖房除湿用冷媒流路47に設置され、逆止弁37は冷房用冷媒流路43に設置されている。
【0154】
〔第3参考例〕
図19はこの発明の車両用空気調和装置を電気自動車用空気調和装置に適用した第3参考例を示したもので、電気自動車用空気調和装置を示した図である。
【0155】
この参考例の冷媒経路切替手段は、第1〜第4電磁弁31〜34および逆止弁36等から構成されている。すなわち、この参考例では、第1、第2参考例の四方弁35の代わりに、冷房モードと暖房モードおよび除湿モードとを切り替える第3、第4電磁弁33、34を冷凍サイクル4に設置している。
【0156】
第1電磁弁31は、暖房用冷媒流路41に設置され、暖房モード時および除湿モード時に第1室内熱交換器61より流出した冷媒を暖房除湿用冷媒流路47(逆止弁36→第1減圧器22)→分岐部45→室外熱交換器23→暖房用冷媒流路41→合流部46→アキュームレータ26に順に流す第1冷媒流路Aの開閉を行う。
【0157】
また、第2電磁弁32は、除湿用冷媒流路42に設置され、除湿モード時に第1室内熱交換器61を流出した冷媒を暖房除湿用冷媒流路47(逆止弁36→第1減圧器22)→分岐部45→除湿用冷媒流路42→第2室内熱交換器62→合流部46→アキュームレータ26に順に流し、第2減圧器24を迂回する第2冷媒流路Bの開閉を行う。そして、第3電磁弁33は、冷房用冷媒流路43に設置され、冷房モード時に冷房用冷媒流路43を開く。さらに、第4電磁弁34は、暖房除湿用冷媒流路48に設置され、暖房モード時および除湿モード時に暖房除湿用冷媒流路48を開く。
【0158】
〔第4参考例〕
図20はこの発明の車両用空気調和装置を電気自動車用空気調和装置に適用した第4参考例を示したもので、電気自動車用空気調和装置を示した図である。
【0159】
この参考例では、四方弁35を使用しないで、第1室内熱交換器61の放熱を防ぐために、第1室内熱交換器61の空気入口部にエアミックスダンパ63を回動自在に取り付けている。これらのエアミックスダンパ63は、冷房モード時に第1室内熱交換器61を閉じ、暖房モード時および除湿モード時に第1室内熱交換器61を開いて冷媒凝縮器として第1室内熱交換器61を働かせる。
【0160】
なお、第1電磁弁31は暖房用冷媒流路41に設置され、第2電磁弁32は除湿用冷媒流路42に設置され、第3電磁弁33は冷房用冷媒流路43に設置され、それぞれの冷媒流路を開閉する。また、暖房除湿用冷媒流路47には第1減圧器22のみ設置されている。
【0161】
そして、第1冷媒流路Aは、第1減圧器22の下流側の分岐部45とアキュームレータ26の上流側の合流部46とを結び、室外熱交換器23および暖房用冷媒流路41に冷媒を流す。また、第2冷媒流路Bは、第1減圧器22の下流側の分岐部45とアキュームレータ26の上流側の合流部46とを結び、除湿用冷媒流路42および第2室内熱交換器62に冷媒を流す。
【0162】
〔第5参考例〕
図21はこの発明の車両用空気調和装置を電気自動車用空気調和装置に適用した第5参考例を示したもので、電気自動車用空気調和装置を示した図である。
【0163】
この参考例では、第1室内熱交換器61を迂回するように冷房用冷媒流路43を冷媒圧縮機20の吐出側と室外熱交換器23の上流側とを直接接続することにより、冷房モード時に第1室内熱交換器61に冷媒が流入することを回避している。
【0164】
〔第6参考例の構成〕
図22ないし図27はこの発明の車両用空気調和装置を電気自動車用空気調和装置に適用した第6参考例を示したもので、図22は電気自動車用空気調和装置を示した図で、図23は電自動車用空気調和装置のECU等の制御系を示した図である。
【0165】
この参考例の冷凍サイクル4は、冷媒圧縮機20、第1室内熱交換器(室内凝縮器)61、第1減圧器22、室外熱交換器23、第2減圧器24、第2室内熱交換器(室内蒸発器)62、アキュームレータ26、後記する冷媒経路切替手段、およびこれらを環状に接続する冷媒配管等から構成されている。
【0166】
第1室内熱交換器61は常に冷媒凝縮器として運転され、第2室内熱交換器62は常に冷媒蒸発器として運転される。室外熱交換器23は、冷房モード時および冷房気味除湿モード時に冷媒凝縮器として運転され、暖房モードおよび暖房気味除湿モード(除湿運転経路、除湿暖房運転経路)時に冷媒蒸発器として運転される。
【0167】
この参考例では、四方弁を使用しないで、第1室内熱交換器61の放熱を防ぐために、第1室内熱交換器61の空気入口部および空気出口部にエアミックスダンパ63、64を回動自在に取り付けている。これらのエアミックスダンパ63、64は、空気量調節手段であって、冷房モード時に第1室内熱交換器61を閉じ、暖房モード時および除湿モード時に第1室内熱交換器61を開いて冷媒凝縮器として第1室内熱交換器61を働かせる。
【0168】
冷媒経路切替手段は、冷凍サイクル4を循環する冷媒の流れ方向を冷房運転経路(図22において矢印Cの経路)、暖房運転経路(図22において矢印Hの経路)、除湿運転経路(図22において矢印Dの経路)、除湿暖房運転経路(図22において矢印H・Dの経路)、除湿冷房運転経路(図22において矢印Cの経路)および除霜運転経路等のいずれかに切り替えるもので、通電(オン)されると開弁し、通電が停止(オフ)されると閉弁する3個の第1〜第3電磁式開閉弁(以下電磁弁と呼ぶ)31〜33から構成されている。
【0169】
第1電磁弁31は、第1開閉手段であって、暖房モード時および暖房気味除湿モード時に第1室内熱交換器61より流出した冷媒を第1減圧器22→室外熱交換器23→アキュームレータ26に順に流す第1冷媒流路Xの開閉を行う開閉弁(バルブ)である。具体的には、第1電磁弁31は、室外熱交換器23の下流側の分岐部とアキュームレータ26の上流側の合流部とを結ぶ暖房用冷媒流路41に設置されている。
【0170】
第2電磁弁32は、第2開閉手段であって、暖房気味除湿モード時に第1室内熱交換器61を流出した冷媒を第1減圧器22→第2室内熱交換器62→アキュームレータ26に順に流す第2冷媒流路Yの開閉を行う(バルブ)である。具体的には、第2電磁弁32は、第2減圧器24の上流側の分岐部と第2減圧器24の下流側の合流部とを第2減圧器24を迂回して結ぶ除湿暖房用冷媒流路(バイパス路)42に設置されている。
【0171】
第3電磁弁33は、第3開閉手段であって、冷房モードおよび冷房気味除湿モード時に第1室内熱交換器61を流出した冷媒を室外熱交換器23→第2減圧器24→第2室内熱交換器62→アキュームレータ26に順に流す第3冷媒流路Zの開閉を行う(バルブ)である。具体的には、第3電磁弁33は、第1室内熱交換器61の下流側と室外熱交換器23の上流側とを第1減圧器22を迂回して結ぶ冷房用冷媒流路(バイパス路)43に設置されている。
【0172】
ここで、第1冷媒流路Xは、暖房気味除湿モード時に、第1減圧器22の下流側の分岐部45とアキュームレータ26の上流側の合流部46とを結び、冷媒蒸発器として働く室外熱交換器23に冷媒を流す流路である。また、第2冷媒流路Yは、暖房気味除湿モード時に、第1減圧器22の下流側の分岐部45とアキュームレータ26の上流側の合流部46とを結び、第2減圧器24を迂回して冷媒蒸発器として働く第2室内熱交換器62に冷媒を流す流路である。さらに、第3冷媒流路Zは、冷房モードおよび冷房気味除湿モード時に、第1減圧器22を迂回して冷媒凝縮器として働く室外熱交換器23に冷媒を流し、第2減圧器24を介して冷媒蒸発器として働く室外熱交換器23に冷媒を流す流路である。
【0173】
また、この参考例では、ダクト2の最も風下側に吹出温度センサ119を設置している。この吹出温度センサ119は、例えばサーミスタ等の感温素子よりなり、第1室内熱交換器(暖房用熱交換器)61より吹き出す空気の吹出温度(ダクト2より車室内へ吹き出す空気の吹出温度)を検出し、この検出値を吹出温度信号としてECU100へ出力する吹出温度検出手段である。そして、この実施例のROM102は図26および図27に示した特性図を記憶する記憶手段である。さらに、吹出口モードをデフロスタモードに設定するデフロスタスイッチ215(図3および図4参照)は、冷房気味除湿モードを実行するように指令する手動操作スイッチである。
【0174】
〔第6参考例の吹出温度制御〕
次に、この参考例のECU100の暖房気味除湿モード時の吹出温度制御を図22ないし図27に基づいて簡単に説明する。ここで、図24はECU100の吹出温度制御の一例を示したフローチャートである。
【0175】
先ず、操作パネル200から操作信号を読み込む。さらに、各種センサから検出値を読み込む(ステップS51)。ここでは、例えば吹出口モード切替スイッチ群201等から吹出口モードを読み込む。また、内気温センサ111で検出した内気温TR、外気温センサ112で検出した外気温Tam、エバ後温度センサ115で検出したエバ後温度TE、冷媒圧力センサ114で検出した冷凍サイクル4の高圧圧力SPなど、後で演算処理に必要な検出値(物理量)を読み込む。
【0176】
次に、手動操作スイッチとしての吹出口モードがデフロスタモードであるか否かを判断する(ステップS52)。このステップS52の判断結果がNoの場合には、リターンする。
また、ステップS52の判断結果がYesの場合には、空調モードとして冷房気味除湿モードが選択されているか否かを判断する(ステップS53)。ここでは、外気温センサ112で検出した外気温Tamが0℃以下の時は外気導入モードによる暖房モード、25℃以上の時は内気循環モードによる冷房モードを設定する。また、外気温センサ112で検出した外気温Tamが0℃より高く20℃より低い時は暖房気味除湿モード、20℃以上25℃より低い時は冷房気味除湿モードを設定する。
【0177】
このステップS53の判断結果がNoの場合には、第1実施例に示したような暖房気味除湿モードによる吹出温度制御を行う(ステップS54)。その後にリターンする。
また、ステップS53の判断結果がYesの場合には、冷房気味除湿モードによる吹出温度制御を行う(ステップS55)。その後にリターンする。
【0178】
図25はECU100の冷房気味除湿モードによる吹出温度制御の一例を示したフローチャートである。先ず、冷媒圧縮機20を運転し、第1電磁弁31および第2電磁弁32を閉弁し、第3電磁弁33を開弁することにより、冷房気味除湿モードを設定する(ステップS61)。これにより、第1減圧器22を冷媒が迂回し、第2減圧器24を冷媒が流れることによって、第1室内熱交換器61および室外熱交換器23が冷媒凝縮器として運転され、第2室内熱交換器62が冷媒蒸発器として運転される。
【0179】
次に、第2室内熱交換器62より吹き出す空気の吹出温度(=第1室内熱交換器61の入口空気温度)、すなわち、エバ後温度センサ115で検出したエバ後温度TEが所定の温度TES(例えば3℃)となるように冷媒圧縮機20の回転速度を増減する(回転速度制御手段:ステップS62)。次に、目標吹出温度TAOを周知の方法で決定する(目標吹出温度決定手段:ステップS63)。目標吹出温度TAOは、マニュアルエアコンでは温度調整レバー202の操作位置によって求めることができ、オートエアコンでは温度調整レバー207の操作位置、内気温センサ111で検出した内気温および外気温センサ112で検出した外気温を使って演算により求めることができる。
【0180】
次に、第1室内熱交換器61を通過する空気の風量V(m3 /h)を求め、この第1室内熱交換器61を通過する空気の風量V(m3 /h)から温度効率φを決定する(温度効率決定手段:ステップS64)。ここでは、遠心式送風機3のブロワモータ18に印加しているブロワモータ端子電圧Vと遠心式ファン17の風量Vと温度効率φとの特性図(図26参照)に基づいて遠心式ファン17の風量Vを求め、さらに遠心式ファン17の風量Vと温度効率φとの特性図(図26参照)に基づいて温度効率φを算出する。
【0181】
次に、第1室内熱交換器61での高圧冷媒の凝縮圧力、つまり冷媒圧力センサ114で検出した高圧圧力SPを読み込み、温度割合θを後述の方法で決定する(温度割合決定手段:ステップS65)。すなわち、ステップS63で決定した目標吹出温度TAO、エバ後温度センサ115で検出したエバ後温度TE、ステップS64で決定した温度効率φ、冷媒圧力センサ114で検出した高圧圧力SP、を下記の数7の式に基づいて算出する。
【数7】
θ=(TAO−TE)/φ(SP−TE)
【0182】
次に、温度割合θとエアミックスダンパ開度αとの特性図(図27参照)に基づいてエアミックスダンパ開度αを算出する(ステップS66)。次に、エアミックスダンパ開度αとなるようにエアミックスダンパ63、64を駆動して最適な吹出温度を得る(ステップS67)。その後にリターンする。
【0183】
〔第6参考例の効果〕
一般に、図22のような冷凍サイクル4を備える電気自動車用空気調和装置1は、ダクト2内に吸い込む空気の吸込温度(外気温、内気温またはそれらの混合温度)が22℃〜28℃、且つ湿度が70%〜100%と高い時、第1室内熱交換器61と室外熱交換器23を直列の冷媒凝縮器となるようにして除湿運転を行うと、室外熱交換器23でも放熱をするものの、第2室内熱交換器62での吸熱量が多いため、第2室内熱交換器62で冷却除湿された空気が第1室内熱交換器61で再加熱する熱量が多い。
【0184】
このため、第1室内熱交換器61より車室内へ吹き出される空気の吹出温度は30℃〜50℃と高くなってしまう。上記のように吸込温度が22℃〜28℃の温度条件では、吹出温度は25℃〜30℃が適当である。ここで、フロント窓ガラスの曇りを取り除くために、上記の除湿運転を使用すると、ダクト2のデフロスタ吹出口11から吹き出す空気の吹出温度が高過ぎて乗員の顔がほてり不快となるという問題が生じている。なお、以上のことは通常の水冷式ガソリン搭載車では冷凍サイクルと暖房用の温水サイクルが独立して搭載されているため、エアミックスダンパを利用して再加熱量を調整することにより上記の問題を防止できた。
【0185】
そこで、この参考例では、第1室内熱交換器61の空気入口と空気出口にエアミックスダンパ63、64を設け、空調モードがデフロスタモードで、且つ外気温が20℃〜25℃の時に、第1室内熱交換器61と室外熱交換器23を直列の冷媒凝縮器となるようにして冷房気味除湿モードを行うようにした。
【0186】
すなわち、デフロスタ吹出口11より吹き出される空気の吹出温度が高過ぎる時には、エアミックスダンパ63、64を閉じる(エアミックスダンパ開度αを小さくする)ことによって、第1室内熱交換器61での放熱を抑え、凝縮熱はその減少分だけ室外熱交換器23で放熱する量を自然に増やして、吹出温度を下げて乗員の顔のほてりを防ぎながらフロント窓ガラスの曇りを取り除くようにする。
【0187】
なお、図22および図23に示した吹出温度センサ119で検出した吹出温度に基づいてエアミックスダンパ開度αを調整することにより、デフロスタ吹出口11より吹き出される空気の吹出温度を最適な温度に調整することもできる。しかし、この制御方法では、吹出温度センサ119自身の応答性の悪さから、吹出温度が大きくハンチングする可能性があるため、上記の図24、図25のフローチャートで示した参考例の制御方法のように、吹出温度センサ119で検出した吹出温度を使用しないでエアミックスダンパ開度αを調整することが望ましい。
【0188】
〔第実施例〕
図28ないし図30はこの発明の車両用空気調和装置を電気自動車用空気調和装置に適用した第実施例を示したもので、図28は電気自動車用空気調和装置を示した図で、図29は電気自動車用空気調和装置のECU等の制御系を示した図である。
【0189】
この実施例では、前記した第6参考例の吹出温度制御(エアミックスダンパ開度αの制御)を利用する場合には、温度割合θを求める式に、冷媒圧力センサ114で検出した高圧圧力SPの代わりに、水温センサ116で検出した温水温度TWを導入する。すなわち、図25のフローチャートのステップS65の数7の式が下記の数8の式のようになる(図30のフローチャート参照)。
【数8】
θ=(TAO−TE)/φ(TW−TE)
【0190】
〔第7参考例の構成〕
図31ないし図36はこの発明の車両用空気調和装置を電気自動車用空気調和装置に適用した第7参考例を示したもので、図31は電気自動車用空気調和装置を示した図で、図32は電気自動車用空気調和装置のECU等の制御系を示した図である。
【0191】
この参考例のダクト2の内部には、仕切り壁70により仕切られた第1、第2通風路71、72が形成されている。また、ダクト2の最も上流側には、第1通風路71に連通する内気吸込口10と、第2通風路72に連通する内気吸込口7および外気吸込口8とが形成されている。また、ダクト2の内部には、第1室内熱交換器61の前後にエアミックスダンパ63、64が取り付けられている。
また、この参考例の遠心式送風機3は、2個の遠心式ファン17、およびこれらの遠心式ファン17を駆動する両軸のブロワモータ18を有している。
【0192】
この参考例の冷凍サイクル4は、冷媒圧縮機20、第1室内熱交換器(室内暖房手段)61、電気式膨張弁(減圧手段、第1減圧手段)73、気液分離器(気液分離手段)74、温度作動式膨張弁(減圧手段、第2減圧手段)75、室外熱交換器(室外熱交換手段)23、第2室内熱交換器(室内熱交換手段)62、ガスインジェクション用冷媒配管(冷媒流路)65、後記する冷媒経路切替手段、およびこれらを環状に接続する冷媒配管等から構成されている。
【0193】
冷媒圧縮機20は、冷凍サイクル4の低圧側の冷媒を吸入する吸入ポート76、冷凍サイクル4の中間圧力のガス冷媒を導入するガスインジェクションポート77、および圧縮された冷媒を吐出する吐出ポート78を有している。そして、冷媒圧縮機20を駆動する電動モータは、エアコン用インバータ30によって車載電源6から印加される電力が連続的あるいは段階的に可変制御されることにより回転速度制御される。
【0194】
冷媒経路切替手段は、冷凍サイクル4を循環する冷媒の流れ方向を冷房運転経路(図31において矢印Cの経路)、暖房運転経路(図31において矢印Hの経路)、除湿運転経路(図31において矢印Dの経路)等のいずれかに切り替えるもので、第1、第2電磁弁31、32、四方弁35および逆止弁39a〜39e等から構成されている。下記の表2に第1、第2電磁弁31、32、四方弁35の各空調モードにおける作動状態(開閉状態)を表す。
【表2】
Figure 0003704814
【0195】
第1電磁弁31は、暖房モード時および除湿モード時に第1室内熱交換器61より流出した冷媒を逆止弁39c→電気式膨張弁73→気液分離器74→温度作動式膨張弁75→逆止弁39a→室外熱交換器(室外熱交換手段)23の順に流す第1冷媒流路Aの開閉を行う。
第2電磁弁32は、冷房モード時および除湿モード時に第1室内熱交換器61より流出した冷媒を逆止弁39c→電気式膨張弁73→気液分離器74→温度作動式膨張弁75→第2室内熱交換器62の順に流す第2冷媒流路Bの開閉を行う。
四方弁35は、暖房モードおよび除湿モード時に図示実線位置(暖房側)に設定され、冷房モード時に図示破線位置(冷房側)に設定される。
【0196】
そして、この参考例のECU(除湿運転制御手段)100には、操作パネル200、外気温を検出する外気温センサ112、電気式膨張弁73の入口冷媒圧力(冷凍サイクル4の高圧圧力)を検出する冷媒圧力センサ(物理量検出手段、高圧圧力検出手段)114、第2室内熱交換器62より吹き出される空気の吹出温度、第1室内熱交換器61に吸い込まれる空気の吸込温度を検出するエバ後温度センサ(除湿量検出手段)115が接続されている。
【0197】
また、ECU100には、第2室内熱交換器62に吸い込まれる空気の吸込温度を検出する吸込温度センサ121、第1室内熱交換器61の出口より流出する冷媒温度を検出する出口冷媒温度センサ122、室外熱交換器23の出口より流出する冷媒温度を検出する出口冷媒温度センサ123が接続されている。さらに、ECU100には、冷媒圧縮機20より吐出される冷媒の吐出温度を検出する吐出温度センサ124、エアコン用インバータ30の線電流を検出する線電流センサ125が接続されている。この他に、内気温センサ、日射センサ、除霜センサ等のセンサ部品を接続しても良い。
【0198】
また、操作パネル200には、図33に示したように、車室内の温度を所望の温度に設定する吹出温度設定手段としての温度設定レバー221、電気自動車用空気調和装置1の起動および停止を司るエアコンスイッチ222、遠心式送風機3の吹出風量を設定する風量設定手段としてのブロワスイッチ223、吹出口モードを切り替える吹出口切替レバー224、吸込口モードを切り替える切替レバー225が設けられている。
【0199】
〔第7参考例の除湿モード時の吹出温度制御〕
次に、この参考例のECU100の除湿モード時の吹出温度制御を図31ないし図36に基づいて簡単に説明する。ここで、図34はECU100の除湿モード時の吹出温度制御の一例を示したフローチャートである。
【0200】
温度設定レバー221の位置の読み込みを行う(ステップS70)。
次に、温度設定レバー221の位置と図35の特性図との関係から冷房モード、除湿モードまたは暖房モードのいずれかの空調モードの選択が成される。そして、空調モードとして除湿モードが選択されているか否かを判断する(ステップS71)。このステップS71の判断結果がNoの場合には、リターンする。
【0201】
また、ステップS71の判断結果がYesの場合には、すなわち、温度設定レバー221の位置と特性図との関係から除湿モードが選択された場合には、例えば外気温センサ112で検出した外気温TAM、冷媒圧力センサ114で検出した高圧圧力PH、エバ後温度センサ115で検出したエバ後温度TE等の各種センサ値の読み込みを行う(ステップS72)。
【0202】
次に、温度設定レバー221の位置と図36の特性図との関係から目標高圧圧力POの算出を行う(ステップS73)。
次に、除湿能力目標値である目標エバ後温度TEOを下記の数9の式に基づいて算出する(ステップS74)。
【数9】
TEO=TAM−5℃
但し、TEOは目標エバ後温度で、TAMは外気温である。
次に、実際のエバ後温度TEが数9の式から算出した目標エバ後温度TEOとなるように冷媒圧縮機20の回転速度を制御する(ステップS75)。
【0203】
次に、実際の高圧圧力PHが図36の特性図から算出した目標高圧圧力POより低いか高いかを判断する(ステップS76)。このステップS76の判断結果が低い(ON)場合には、すなわち、室外熱交換器23からの吸熱量が不足している場合には、第1電磁弁31をON(開弁)する(ステップS77)。その後にリターンする。
また、ステップS76の判断結果が高い(OFF)場合には、すなわち、室外熱交換器23からの吸熱量が多過ぎる場合には、第1電磁弁31をOFF(閉弁)する(ステップS78)。その後にリターンする。
【0204】
〔第7参考例の作用〕
次に、この参考例の電気自動車用空気調和装置1の作用を図31ないし図36に基づいて簡単に説明する。
【0205】
(冷房モード)
冷房モード時には、冷凍サイクル4では、上記の表2に示したように、第1電磁弁31が閉弁し、第2電磁弁32が開弁し、四方弁35が冷房側に設定されることにより、冷凍サイクル4の運転経路が冷房運転経路(矢印C方向)に切り替えられる。すなわち、冷媒圧縮機20の吐出ポート78より吐出された高温、高圧のガス冷媒は、四方弁35を通って逆止弁39bを介して室外熱交換器23に流入し外気と熱交換を行い凝縮液化する。
【0206】
室外熱交換器23を流出した冷媒は、第1電磁弁31が閉弁しているため、逆止弁39dを介して電気式膨張弁73に流入し電気式膨張弁73で冷凍サイクル4の中間圧力まで減圧され、気液二相状態で気液分離器74内に流入する。気液分離器74にて二相の冷媒はガス冷媒と液冷媒とに分離され、ガス冷媒は気液分離器74の上部に設けられた流出口よりガスインジェクション用冷媒配管65(逆止弁39e)を介してガスインジェクションポート77より冷媒圧縮機20に吸入される。
【0207】
一方、液冷媒は、気液分離器74の下部に設けられた流出口より流出して温度作動式膨張弁75で冷凍サイクル4の低圧圧力まで減圧され、第2電磁弁32を通り第2室内熱交換器(室内蒸発器)62内に流入し、第2室内熱交換器62内でダクト2の通風路71、72中を流れる空気と熱交換を行う。そして、冷媒は、スーパーヒート(過熱度)を制御する温度作動式膨張弁75により適切なスーパーヒートまで蒸発気化し吸入ポート76より冷媒圧縮機20に吸入される。そして、第2室内熱交換器62で冷媒の蒸発熱により冷却された空気は、主にフェイス吹出口12より車室内に吹き出されることにより車室内が冷房される。
【0208】
(暖房モード)
暖房モード時には、冷凍サイクル4では、上記の表2に示したように、第1電磁弁31が開弁し、第2電磁弁32が閉弁し、四方弁35が暖房側に設定されることにより、冷凍サイクル4の運転経路が暖房運転経路(矢印H方向)に切り替えられる。すなわち、冷媒圧縮機20の吐出ポート78より吐出された高温、高圧のガス冷媒は、四方弁35を通って第1室内熱交換器61内に流入し、第1室内熱交換器61内でダクト2の通風路71、72中を流れる空気と熱交換を行う。そして、空気は、加熱されて主にフット吹出口13より車室内へ吹き出されることにより車室内が暖房される。
【0209】
一方、冷媒は、凝縮液化し逆止弁39cを介して電気式膨張弁73に流入し電気式膨張弁73で冷凍サイクル4の中間圧力まで減圧され、気液二相状態で気液分離器74内に流入する。気液分離器74にて分離したガス冷媒は、冷房モードと同様にガスインジェクションポート77より冷媒圧縮機20に吸入される。一方、液冷媒は、温度作動式膨張弁75に流入して冷凍サイクル4の低圧圧力まで減圧され、第2電磁弁32が閉弁しているため、逆止弁39aを介して室外熱交換器23内に流入し、外気と熱交換を行い蒸発気化する。蒸発したガス冷媒は第1電磁弁31を通り吸入ポート76より冷媒圧縮機20に吸入される。
【0210】
(除湿モード)
除湿モード時には、冷凍サイクル4では、上記の表2に示したように、第1電磁弁31が開弁または閉弁し、第2電磁弁32が開弁し、四方弁35が暖房側に設定されることにより、冷凍サイクル4の運転経路が除湿運転経路(矢印D方向)または除湿暖房経路(矢印H方向)に切り替えられる。すなわち、冷媒圧縮機20の吐出ポート78より吐出された高温、高圧のガス冷媒は、四方弁35を通って第1室内熱交換器61内に流入し、第1室内熱交換器61内でダクト2の通風路71、72中を流れる空気と熱交換を行う。このとき、空気は加熱される。
【0211】
冷媒は、凝縮液化し逆止弁39cを介して電気式膨張弁73に流入し電気式膨張弁73で冷凍サイクル4の中間圧力まで減圧され、気液二相状態で気液分離器74内に流入する。気液分離器74にて分離したガス冷媒は、冷房モードと同様にガスインジェクションポート77より冷媒圧縮機20に吸入される。一方、液冷媒は、温度作動式膨張弁75に流入して冷凍サイクル4の低圧圧力まで減圧され、第2電磁弁32が開弁しているため、第2電磁弁32を通り第2室内熱交換器(室内蒸発器)62内に流入し、第2室内熱交換器62内でダクト2の通風路71、72中を流れる空気と熱交換を行い、吸入ポート76より冷媒圧縮機20に吸入される。
【0212】
また、第1電磁弁31が開弁している時には、減圧された冷媒は第2室内熱交換器62とパラレルに室外熱交換器23にも流入し室外熱交換器(室外蒸発器)23で外気より吸熱を行い第1電磁弁31を通り吸入ポート76より冷媒圧縮機20に吸入される。したがって、ダクト2の通風路71、72中を流れる空気は、第2室内熱交換器(室内蒸発器)62を通過する際に除湿冷却された後に、第1室内熱交換器(室内凝縮器)61を通過する際に再加熱され、主にデフロスタ吹出口11またはフット吹出口13より車室内に吹き出されて車室内が除湿暖房される。
【0213】
〔第7参考例の効果〕
以上のように、この参考例の電気自動車用空気調和装置1は、除湿モード時に、冷媒圧力センサ114で検出した冷凍サイクル4の高圧圧力(電気式膨張弁73の入口冷媒圧力)PHと目標高圧圧力POとを比較して、現在の高圧圧力PHが目標高圧圧力POよりも低い場合には、室外熱交換器23の吸熱量が不足しており車室内に吹き出す空気の吹出温度が設定吹出温度よりも低下していると判断して、第1電磁弁31を開弁して第2室内熱交換器62とパラレルに室外熱交換器23にも冷媒を流し外気より吸熱を行うようにしている。
【0214】
また、現在の高圧圧力PHが目標高圧圧力POよりも高い場合には、室外熱交換器23の吸熱量が多過ぎて車室内に吹き出す空気の吹出温度が設定吹出温度よりも上昇していると判断して、第1電磁弁31を閉弁して室外熱交換器23で外気からの吸熱を行わないようにしている。これにより、除湿モード時に、第2室内熱交換器62での空気の除湿量を一定にした場合でも、第1電磁弁31を開弁および閉弁して室外熱交換器23からの吸熱量を可変することで冷凍サイクル4の高圧圧力を目標高圧圧力とすることができるので、車室内に吹き出す空気の吹出温度制御を行うことが可能となる。
【0215】
〔第8参考例〕
図37はこの発明の車両用空気調和装置を電気自動車用空気調和装置に適用した第8参考例を示したもので、ECUの吹出温度制御の一例を示したフローチャートである。
【0216】
この参考例の電気自動車用空気調和装置の構成および冷凍サイクルの作動は前述した第7参考例と同じである。
また、吹出温度制御のうちステップS70からステップS74までは第7参考例と同じ演算、処理または判断を行う。
【0217】
そして、実際の高圧圧力PHが目標高圧圧力POとなるように冷媒圧縮機20の回転速度を制御する(ステップS79)。次に、実際のエバ後温度TEが上記の数9の式から算出した目標エバ後温度TEOより低いか高いかを判断する(ステップS80)。このステップS80の判断結果が低い(ON)場合には、ステップS77に進んで、第1電磁弁31をON(開弁)する。
また、ステップS80の判断結果が高い(OFF)場合には、ステップS78に進んで、第1電磁弁31をOFF(閉弁)する。
【0218】
上記の吹出温度制御によって、第2室内熱交換器(室内蒸発器)62での吸熱量が少ない場合には、冷媒圧縮機20の回転速度が増速し、実際のエバ後温度TEが目標エバ後温度TEOよりも低くなる。そのときは、第1電磁弁31を開弁して室外熱交換器23にも冷媒を流し吸熱を行う。よって、それ以上回転速度を増速する必要がなく、エバ後温度TEは目標エバ後温度TEOに保たれる。
【0219】
また、第2室内熱交換器(室内蒸発器)62での吸熱量が多い場合には、冷媒圧縮機20の回転速度が減速し、実際のエバ後温度TEが目標エバ後温度TEOよりも高くなる。そのときは、第1電磁弁31を閉弁して室外熱交換器23で吸熱を行わないようにしている。これにより、除湿モード時に、第2室内熱交換器62での空気の除湿量を一定にした場合でも、第1電磁弁31を開弁および閉弁して室外熱交換器23からの吸熱量を可変することで冷凍サイクル4の高圧圧力を目標高圧圧力とすることができるので、車室内に吹き出す空気の吹出温度制御を行うことが可能となる。
【0220】
〔変形例〕
上記の第1、第2実施例では、本発明を電気自動車用空気調和装置に適用したが、本発明を空冷式エンジンや水冷式エンジンを搭載した車両用空気調和装置に適用しても良い。なお、ブラインとしては純水や、各種金属の防食のための防食添加剤を添加した水溶液、ロングライフクーラント等を利用しても良い。
【0221】
第1、第実施例では、温水温度TWとして水温センサ116で検出した温水式ヒータ51の入口水温を用いたが、温水温度TWとして水温センサ118で検出した燃焼式ヒータ52の入口水温を用いても良い。また、温水温度TWとして水温センサで検出した温水式ヒータ51の出口水温を用いても良い。その他に、温水式ヒータ51を通過する空気の温度、つまり温水式ヒータ51より吹き出す空気の温度(=温水温度TW)と相関関係のある検出値(例えば温水配管内を流れる温水の温度、高圧冷媒の冷媒温度、高圧冷媒の冷媒圧力)であればどの検出値を利用しても良い。
【0222】
第2実施例では、吹出温度センサ119で検出した吹出温度を用いることなく、エアミックス制御を実行したが、吹出温度センサ119で検出した吹出温度を用いて、エアミックス制御を実行しても良い。その他に、車室内へ吹き出す空気の吹出温度と相関関係のある検出値(例えば内気温、高圧冷媒の冷媒温度、高圧冷媒の冷媒圧力)であればどの検出値を利用しても良い。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の電気自動車用空気調和装置を示した全体模式図である(第1実施例)。
【図2】この発明のECU等の制御系を示したブロック図である(第1実施例)。
【図3】この発明の操作パネルの一例を示した正面図である(第1実施例)。
【図4】この発明の操作パネルの他の例を示した正面図である(第1実施例)。
【図5】この発明のECUの吹出温度制御の一例を示したフローチャートである(第1実施例)。
【図6】この発明のECUの空調機器の保護制御を示したフローチャートである(第1実施例)。
【図7】この発明のECUの冷媒圧縮機の回転速度制御を示したフローチャートである(第1実施例)。
【図8】この発明の遠心式送風機の風量と温度効率との関係を示した特性図である(第1実施例)。
【図9】(a)、(b)はこの発明のメンバーシップ関数を示した図である(第1実施例)。
【図10】(a)はこの発明の温水温度と経過時間との関係を示したグラフで、(b)はこの発明の冷媒圧縮機の回転速度と経過時間との関係を示したグラフである(第1実施例)。
【図11】この発明のECUの除湿モード時の吹出温度制御を示したフローチャートである(第1実施例)。
【図12】この発明の除湿モード初期制御解除条件を示したグラフである(第1実施例)。
【図13】この発明の除湿モード初期時の冷媒圧縮機の回転速度を示したグラフである(第1実施例)。
【図14】この発明の除湿モード定常時の冷媒圧縮機の最低回転速度を示したグラフである(第1実施例)。
【図15】この発明の除湿モード時の目標吹出温度、デフロスタ吹出温度、内気温、冷媒圧縮機の回転速度およびエバ後温度を示したタイムチャートである(第1実施例)。
【図16】 気自動車用空気調和装置を示した全体模式図である(第1参考例)。
【図17】 湿モード時の冷媒圧縮機の回転速度、コンデンサ後温度、エバ後温度および第1電磁弁の状態を示したタイムチャートである(第1参考例)。
【図18】 気自動車用空気調和装置を示した全体模式図である(第2参考例)。
【図19】 気自動車用空気調和装置を示した全体模式図である(第3参考例)。
【図20】 気自動車用空気調和装置を示した全体模式図である(第4参考例)。
【図21】 気自動車用空気調和装置を示した全体模式図である(第5参考例)。
【図22】 気自動車用空気調和装置を示した全体模式図である(第6参考例)。
【図23】 CU等の制御系を示したブロック図である(第6参考例)。
【図24】 CUの吹出温度制御の一例を示したフローチャートである(第6参考例)。
【図25】 CUの冷房気味除湿モードによる吹出温度制御の一例を示したフローチャートである(第6参考例)。
【図26】温度効率、ブロワモータ端子電圧に対する送風量の変化を示したグラフである。
【図27】温度割合に対するエアミックスダンパの開度を示したグラフである。
【図28】 この発明の電気自動車用空気調和装置を示した全体模式図である(第実施例)。
【図29】 この発明のECU等の制御系を示したブロック図である(第実施例)。
【図30】 この発明のECUの冷房気味除湿モードによる吹出温度制御の一例を示したフローチャートである(第実施例)。
【図31】 気自動車用空気調和装置を示した全体模式図である(第7参考例)。
【図32】 CU等の制御系を示した電気回路図である(第7参考例)。
【図33】 作パネルの一例を示した正面図である(第7参考例)。
【図34】 度設定レバーの位置と空調モードとの関係を示した特性図である(第7参考例)。
【図35】 度設定レバーの位置と目標高圧圧力の関係を示したグラフである(第7参考例)。
【図36】 CUの吹出温度制御の一例を示したフローチャートである(第7参考例)。
【図37】 CUの吹出温度制御の一例を示したフローチャートである(第8参考例)。
【図38】従来の電気自動車用空気調和装置を示した全体模式図である(第1従来例)。
【図39】従来の電気自動車用空気調和装置を示した全体模式図である(第2従来例)。
【符号の説明】
A 第1冷媒流路
B 第2冷媒流路
I 走行用インバータ
M 走行用モータ
1 電気自動車用空気調和装置
2 ダクト
3 遠心式送風機
4 冷凍サイクル
5 ブラインサイクル(室内暖房手段、熱媒体サイクル)
6 車載電源
11 デフロスタ吹出口
12 フェイス吹出口
13 フット吹出口
20 冷媒圧縮機
21 ブライン冷媒熱交換器(冷媒熱媒体熱交換器)
22 第1減圧器(減圧手段)
23 室外熱交換器(室外熱交換手段)
24 第2減圧器(減圧手段)
25 室内熱交換器(室内熱交換手段)
30 エアコン用インバータ(回転速度制御手段)
31 第1電磁弁(第1開閉手段)
32 第2電磁弁(第2開閉手段)
35 四方弁
45 分岐部
51 温水式ヒータ(室内加熱器)
52 燃焼式ヒータ
53 ブラインポンプ(熱媒体循環手段)
61 第1室内熱交換器(室内暖房手段)
62 第2室内熱交換器(室内熱交換手段)
63 エアミックスダンパ(空気量調節手段)
64 エアミックスダンパ(空気量調節手段)
65 ガスインジェクション用冷媒配管(ガスインジェクション用冷媒通路)
73 電気式膨張弁(減圧手段、第1減圧手段)
74 気液分離器(気液分離手段)
75 温度作動式膨張弁(減圧手段、第2減圧手段)
100 ECU(除湿運転制御手段、吹出温度制御手段)
102 ROM(記憶手段)
112 外気温センサ(外気温度検出手段)
114 冷媒圧力センサ(物理量検出手段、高圧圧力検出手段)
115 エバ後温度センサ(下流側温度検出手段、除湿量検出手段)
116 水温センサ(熱媒体温度検出手段)
202 温度調整レバー(吹出温度設定手段)
207 温度調整レバー(吹出温度設定手段)

Claims (8)

  1. (a)車室内へ向かって空気を送るためのダクトと、
    (b)このダクト内において車室内へ送風する送風機と、
    (c)冷媒を圧縮して吐出する冷媒圧縮機、
    この冷媒圧縮機より吐出された冷媒の凝縮熱により前記ダクト内の空気を加熱する室内暖房手段、
    この室内暖房手段より流入した冷媒を減圧させる減圧手段、
    前記減圧手段より流入した冷媒と前記ダクト外の空気とを熱交換させる室外熱交換手段、
    前記減圧手段より流入した冷媒と前記ダクト内の空気とを熱交換させる室内熱交換手段、
    前記減圧手段より流出した冷媒を前記室外熱交換手段に流す第1冷媒流路、
    前記減圧手段より流出した冷媒を前記室内熱交換手段に流す第2冷媒流路、
    前記第1冷媒流路を開閉する第1開閉手段、
    および前記第2冷媒流路を開閉する第2開閉手段
    を有する冷凍サイクルと、
    (d)少なくとも前記室内熱交換手段を蒸発器として運転する除湿運転時に、前記第1開閉手段の開閉制御および前記第2開閉手段の開閉制御をそれぞれ独立して行う除湿運転制御手段と
    を備えた車両用空気調和装置において、
    前記室外熱交換手段は、前記ダクト外に配設され、前記減圧手段より流入した冷媒を蒸発させる蒸発器として運転される室外熱交換器であって、
    前記室内熱交換手段は、前記ダクト内に配設され、前記減圧手段より流入した冷媒を蒸発させる蒸発器として運転される室内熱交換器であって、
    前記室内暖房手段は、前記ダクト外に配設され、前記冷媒圧縮機より吐出された冷媒と熱媒体とを熱交換させて冷媒を凝縮させる凝縮器として運転される冷媒熱媒体熱交換器、前記ダクト内において前記室内熱交換器よりも下流側に配設され、前記冷媒熱媒体熱交換器より流入する熱媒体により前記ダクト内の空気を加熱する室内加熱器、および前記冷媒熱媒体熱交換器と前記室内加熱器との間で熱媒体を循環させる熱媒体循環手段を有する熱媒体サイクルであって、
    前記減圧手段は、前記冷媒熱媒体熱交換器の下流側に直列接続された第1減圧器、およびこの第1減圧器と前記室内熱交換器との間に接続された第2減圧器よりなり、
    前記冷凍サイクルは、前記冷媒熱媒体熱交換器より流出して前記第1減圧器を通った冷媒を前記室外熱交換器と前記室内熱交換器とに分岐させる分岐部を有し、
    前記第1冷媒流路は、前記第1減圧器より流出した冷媒を前記分岐部を経て前記室外熱交換器に流し、
    前記第2冷媒流路は、前記第1減圧器より流出した冷媒を前記分岐部を経て前記第2減圧器を迂回して前記室内熱交換器に流すことを特徴とする車両用空気調和装置。
  2. 請求項に記載の車両用空気調和装置において、
    前記減圧手段は、前記冷媒熱媒体熱交換器と前記室外熱交換器との間に接続された第1減圧器、および前記冷媒熱媒体熱交換器と前記室内熱交換器との間に接続された第2減圧器よりなり、
    前記冷凍サイクルは、前記冷媒熱媒体熱交換器より流出した冷媒を前記第1減圧器と前記第2減圧器とに分岐させる分岐部を有し、
    前記第1冷媒流路は、前記分岐部より流出した冷媒を前記第1減圧器を経て前記室外熱交換器に流し、
    前記第2冷媒流路は、前記分岐部より流出した冷媒を前記第2減圧器を経て前記室内熱交換器に流すことを特徴とする車両用空気調和装置。
  3. 請求項1または請求項2に記載の車両用空気調和装置において、
    前記除湿運転制御手段は、前記室内熱交換器の下流側温度を検出する下流側温度検出手段を有し、
    前記第2開閉手段を開いて前記室内熱交換器を蒸発器として運転する除湿運転時に、前記下流側温度検出手段で検出した検出温度が所定温度以上に大きい場合に前記第1開閉手段を閉じ、前記下流側温度検出手段で検出した検出温度が所定温度より小さい場合に前記第1開閉手段を開くことを特徴とする車両用空気調和装置。
  4. 請求項ないし請求項のいずれかに記載の車両用空気調和装置において、
    前記車両用空気調和装置は、少なくとも除湿運転時に、車室内に吹き出す空気の吹出温度を制御する吹出温度制御手段を備え、
    前記吹出温度制御手段は、車室内に吹き出す空気の吹出温度を所望の温度に設定する吹出温度設定手段、
    この吹出温度設定手段で設定された設定吹出温度に基づいて、目標吹出温度を決定する目標吹出温度決定手段、
    前記目標吹出温度決定手段で決定した目標吹出温度に基づいて、目標熱媒体温度を決定する目標熱媒体温度決定手段、
    前記熱媒体サイクル内を循環する熱媒体温度を検出する熱媒体温度検出手段、
    および前記目標熱媒体温度決定手段で決定した目標熱媒体温度と前記熱媒体温度検出手段で検出した熱媒体温度との温度偏差に基づいて、前記冷媒圧縮機の目標回転速度を決定する目標回転速度決定手段
    を具備し、
    前記目標回転速度決定手段で決定した目標回転速度に基づいて、前記冷媒圧縮機の回転速度を制御することを特徴とする車両用空気調和装置。
  5. 請求項に記載の車両用空気調和装置において、
    前記吹出温度制御手段は、外気温度を検出する外気温度検出手段、
    および前記外気温度検出手段で検出した外気温度に基づいて、前記冷媒圧縮機の最低回転速度を決定する最低回転速度決定手段
    を有し、
    前記目標回転速度決定手段で決定した目標回転速度と前記最低回転速度決定手段で決定した最低回転速度とのうち高い方の回転速度に基づいて、前記冷媒圧縮機の回転速度を制御することを特徴とする車両用空気調和装置。
  6. 請求項に記載の車両用空気調和装置において、
    前記車両用空気調和装置は、前記室内加熱器を通過する空気量と前記室内加熱器を迂回する空気量とを調節する空気量調節手段を備え、
    前記除湿運転制御手段は、前記冷媒熱媒体熱交換器と前記室外熱交換器を直列の冷媒凝縮器となるように前記第1開閉手段および前記第2開閉手段を制御すると共に、前記空気量調節手段の開度を可変制御することにより前記ダクトより車室内へ吹き出す空気の吹出温度を調整することを特徴とする車両用空気調和装置。
  7. 請求項に記載の車両用空気調和装置において、
    前記除湿運転制御手段は、前記空気量調節手段の開度可変制御を手動操作スイッチを作用させたときに行うことを特徴とする車両用空気調和装置。
  8. 請求項または請求項に記載の車両用空気調和装置において、
    前記除湿運転制御手段は、予め求められている開度と吹出温度との関係を示した特性図を記憶する記憶手段を有し、この記憶手段に記憶した特性図に基づいて前記空気量調節手段の開度可変制御を行うことを特徴とする車両用空気調和装置。
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