JPH08150566A - 研削用砥石 - Google Patents

研削用砥石

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JPH08150566A
JPH08150566A JP6293330A JP29333094A JPH08150566A JP H08150566 A JPH08150566 A JP H08150566A JP 6293330 A JP6293330 A JP 6293330A JP 29333094 A JP29333094 A JP 29333094A JP H08150566 A JPH08150566 A JP H08150566A
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JP
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grindstone
adhesive
abrasive grain
layer
grinding
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JP6293330A
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English (en)
Inventor
Masami Masuko
正美 益子
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Nikon Corp
Original Assignee
Nikon Corp
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 低コスト且つ高性能な研削用の砥石を提供す
ることを目的とする。 【構成】 砥粒層4と、基体2とを、中間層8で接合し
た構造とする。該構造の砥石は、砥粒層4は、別途用意
した母型の表面上に電着によって形成する。これを、中
間層8によって基体2に接合するとともに、母型から剥
がすことで製造される。 【効果】 この種の砥石は、基体と砥粒層との接合方法
に問題がありほとんど実用化されていなかった。本発明
によれば、容易且つ低コストに両者の接合を実現でき
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、各種の研削に使用され
る研削用砥石に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、研削用の砥石としては、ダイヤモ
ンド等の砥粒を結合剤(バインダー)を用いて結合させ
て砥粒層を形成したレジンボンド砥石やメタルボンド砥
石がある。
【0003】レジンボンド砥石やメタルボンド砥石は、
結合剤の硬度が低いため研削時の砥粒層の磨耗が速く寿
命が短いという問題があった。また、レンズの研削用の
砥石は、速度の大きい砥石周辺部ほど摩耗が早い。その
ため、研削を続けているうちに砥粒層の表面形状に狂い
が生じ、これに伴って被研削物の仕上がり形状にも狂い
が生じてしまうという問題があった。砥石の取り付け角
度を調整すればこの問題はある程度解消することはでき
るものの、このような取付け角度の調整は、被加工物の
種類や研削量などの種種の条件によって微妙な調整が必
要であるため作業の標準化が難しく、作業者の熟練を要
していた。さらに、単なる取付け角度の調整のみでは対
処し切れないほど狂いが大きくなった砥石は、表面形状
を修正しなければならない。しかし、修正皿と砂とを用
いて行う該修正作業も熟練を要するものであった。ま
た、取付け角度の調整、砥石の修正を行うには、研削装
置を停止させる必要があり、作業効率低下の一因となっ
ていた。なお、修正皿とは、砥石と相対した形状を有す
るものであって、鋳鉄等でできている。
【0004】レジンボンド砥石やメタルボンド砥石に比
べて曲率の変化しにくい砥石として、電着砥石がある。
電着砥石とは、被加工レンズの加工予定曲率に仕上げた
台皿表面に、電着によって砥粒を固定させたものであ
る。電着層を厚くすると、表面形状に狂いが生じやすい
ため、通常は、砥粒を1層だけに留められている。しか
し、このように砥粒を1層だけに留めた場合であってす
ら、電着層を均一に形成することは困難であった。例え
ば、図6に示した半球の凹面を有する砥石の場合には、
凹面の最外周部の皮膜厚さが中心部に比べて2倍以上に
も達しているのが通常である。電着層の厚さが不均一に
なるのは、被電着物の形状に応じて部分ごとに電流密度
が異なるからである。つまり、凹んだ部分よりも最外周
部のような角張った部分に、より電流が集中しやすいか
らである。
【0005】従って、電着砥石は、使用前に、修正皿と
砂とを用いて、所定の表面形状に修正するための作業を
行う必要があった。しかし、電着皮膜は硬質であるた
め、該修正作業には長時間を要していた。さらに、修正
皿そのものも磨耗するため作業は容易ではない。さら
に、電着砥石は、砥粒層を一層分しか備えていないた
め、その固さを十分には活かしきれてはなかった。つま
り、砥石としての加工能力が少ないという問題があっ
た。1つの電着砥石で研削可能な面数は、多くても30
00面程度であり、加工能力だけで比較すればレジンボ
ンド砥石やメタルボンド砥石よりも劣ることが多かっ
た。
【0006】以上のような各種砥石の有する様々な問題
点を一挙に解消したものとして、電鋳砥石がある。電鋳
砥石とは、目的とする面形状を備えた母型の表面上に砥
粒を電着させ、該電着層を剥離し支持部材に取り付けた
ものである。電鋳砥石は、電着砥石(の砥粒層)と同等
の固さを備えた砥粒層を、表面形状の精度を損なうこと
なく複数設けることができる。そのため、実用化された
場合には、研削コストを飛躍的に低減させるものとして
大きな期待が寄せられている。しかし、現状では、電鋳
砥石の製造方法(特に、電着層の支持部材への取付け
方)および製造コストが問題となり、その実用化が進ん
でいない。該電着層(砥粒層)の支持部材への取付け技
術としては、例えば、特公昭57ー41558号公報に
提案されているものがある。この取付け技術では、支持
部材として超塑性合金を用いている。そして、該支持部
材への取付けは、母型の表面上に形成された電着層を、
プレス機によって支持部材へ押圧し、超塑性合金中に電
着層を圧入することで行っている。この後は、母型と電
着層とを分離すれば、母型の表面形状を転写された電着
層を備え、超塑性合金を支持部材とした砥石が完成す
る。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】特公昭57ー4155
8号公報に記載されている技術では、プレス機、超塑性
合金を加熱するためのヒーター、超塑性合金を効率よく
冷却するための冷却器等が必要であるため、砥石製造装
置が大型化してしまう。そして、これは、最終的には電
鋳砥石の製造コストの上昇につながるものである。
【0008】また、製造しようとする砥石のサイズや形
状に応じて、各種の製造条件(加熱温度、圧力及び加圧
速度)を設定しなければならない。そして、そのための
最適条件の決定には、多くの時間と費用を要するもので
あった。プレス機による圧入は、非常な高温度、高圧の
下で行う必要があるため、作業には危険が多い。特に、
最適条件を設定する際には様々な条件で実験を行う必要
があるが、その際には、母型、支持部材等が破壊されて
しまうこともあった。
【0009】さらには、製造条件が決まった後の実際の
製造工程においてもその製造効率が非常に悪いという問
題があった。例えば、圧入に際して1回ごとに、砥粒層
が固着した母型、超塑性合金、それを収容するためのコ
ンテナを、プレス機へ取り付けなければならない。ま
た、製造時における昇温/冷却には長時間を要する。プ
レス機1台当たり1回の圧入で1個の砥石しか製造でき
ない。このような製造効率の悪さは、当然、製造コスト
の上昇につながるものである。
【0010】以上述べたように電鋳砥石は、その製造方
法およびコストの点での問題が実用化を阻む最大の問題
となっていた。
【0011】また、砥石には、削りカスを砥石と被研削
面との間から外部へ排出するための溝が設けられてい
る。該溝は、基体上に砥粒層を形成した後、該砥粒層を
溝状に削り出すことで形成していた。しかし、一旦形成
した砥粒層を再び除去することは時間のみならず、砥粒
(しばしば、高価なダイヤモンドが使用される)の無駄
である。従って、このような無駄を排除しより低コスト
の研削砥石が望まれていた。
【0012】本発明はこのような従来の問題点に鑑みて
なされたもので、加工能力が大きく、コストの安い研削
用砥石を提供することを目的とする。
【0013】本発明は、製造が確実で、且つ、低コスト
の砥石及びその製造方法を提供することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】本発明は上記目的を達成
するためになされたものでその第1の態様としては、砥
粒と金属と含んで構成された砥粒層と、基体と、上記砥
粒層と上記基体との間に配置された中間層とを備え、上
記中間層は、上記砥粒層と上記基体とを接着する接着剤
を含むことを特徴とする砥石が提供される。
【0015】上記接着剤は、エポキシ系接着剤であって
もよい。
【0016】本発明の第2の態様としては、予め用意さ
れた母型上に、電解による金属めっき法で、金属及び砥
粒を含んで構成される皮膜を形成し、該皮膜を、別途用
意した基体に接着剤を用いて接合し、その後、上記皮膜
を上記母型から剥がすことを特徴とする砥石の製造方法
が提供される。
【0017】本発明の第3の態様としては、切削屑排出
用溝を備えた砥石の製造方法において、予め用意された
母型上の上記切削屑排出用溝に対応する位置に非導電性
物質を塗布し、上記母型上に、電解による金属めっき法
で、金属及び砥粒を含んで構成される皮膜を形成し、該
皮膜を、別途用意した基体に接着剤を用いて接合し、そ
の後、上記皮膜を上記母型から剥がすこと、を特徴とす
る切削屑排出用溝を備えた砥石の製造方法が提供され
る。
【0018】上記非導電性物質は、シリコンシーリング
剤であってもよい。
【0019】
【作用】予め用意された母型上の切削屑排出用溝に対応
する位置に非導電性物質(例えば、シリコンシーリング
剤)を塗布する。そして、この母型上に、電解による金
属めっき法で、金属及び砥粒を含んで構成される皮膜を
形成する。つづいて、該皮膜を、別途用意した基体に接
着剤(例えば、エポキシ系接着剤)を用いて接合する。
その後、皮膜を上記母型から剥がす。これにより、接着
剤を中間層とする砥石が得られる。
【0020】砥粒層と基体との接着に高価な装置や治工
具及び材料を用意する必要は無く一般の接着剤を用いて
行えるので、砥粒層が多層状で被研削物と相対した表面
形状を有する砥石を、安価に効率良く製造することが出
来る。
【0021】
【実施例】本発明の第1の実施例を図面を用いて説明す
る。
【0022】本実施例の砥石1は、凸レンズを研削する
ためのいわゆる凹皿と呼ばれるものである。
【0023】砥石1は、基体2と、砥石層4と、中間層
8とから構成されている。
【0024】基体2はその一面に、砥石層4および中間
層8を収容するに十分な大きさ・形状の凹部を備えてい
る。また、それと反対側の面には、該砥石1を研削装置
に取り付けるための取付け部3が設けられている。基体
2の材質は、銅合金やステンレス合金等の金属のみなら
ず接着剤(あるいは、充填材)による接着が可能であれ
ば樹脂やセラミックも使用可能である。ただし、基体と
しての加工性が容易で再使用が出来ることや材料費が安
価であることなどを考慮すると銅合金が特に適してい
る。
【0025】砥粒層4は、ニッケルと、砥粒5(本実施
例では、ダイヤモンド)とから構成された複合層であ
る。該砥粒層4には、砥粒5が複数層含まれている。砥
粒層4の厚さは含有される砥粒5の粒径によって異なる
が、おおむね0.01mmから1.00mmの範囲とし
ている。砥粒5の粒径は、特に限定されるものではな
く、研削の用途に応じて選定することができる。また、
砥粒の種類もダイヤモンドに限らず、用途に応じてCB
N(Cubic Boron Nitride)等を使
用可能である。砥粒層に含まれる金属も、ニッケルに限
定されない。該研削の際に被研削物に直接接触する砥粒
層表面6は、加工すべきレンズの仕上がり形状に対応し
た曲面とされている。該砥粒層4には、研削加工中に生
じるレンズ粉や脱落した砥粒を加工外部に放出するため
の溝7が米印状に形成されている。なお、図1には図を
簡単にするため一部の溝7のみを描いている。
【0026】中間層8は、砥粒層4を基体2に固定する
とともに、砥粒層4の全体形状を保つためものである。
本実施例では、中間層8を接着剤(あるいは充填剤)を
用いて構成している。本実施例では、エポキシ系接着剤
(充填剤)を使用している。しかし、接着剤(充填剤)
の種類はこれに限定されるものではない。砥粒層4お
よび基体2と強固に接合すること、研削に使用する薬
品等と反応しないこと、研削時に加わる圧力で変形し
ない程度の固さを有すること、の3つの条件を満たすも
のであればどのようなものでも、中間層8を構成する材
料として使用可能である。
【0027】図3のごとく、該凹部をほぼ砥粒層4の裏
面側に対応した曲面形状とした場合には、基体2と砥粒
層4とのすきまは小さいため、砥粒層4の全体形状を保
つ役割は、基体2が果たすことができる。従って、この
場合には、中間層8を構成する材料は、充填剤としての
機能よりも、接着剤としての機能の方が重要となる。但
し、電着により形成される砥粒層4の裏面には微小な凹
凸があることを考慮すると、ある程度粘度が高く間隙の
比較的広い部分にも充填可能な充填剤としての機能をも
備えている接着剤がより好ましい。
【0028】特許請求の範囲において言う”中間層”と
は、本実施例における中間層8に相当するものである。
特許請求の範囲において言う”接着剤”とは、該中間層
8を構成することになる、接着剤および充填剤を含めた
概念である。
【0029】次に、該砥石1の製造方法を図2を用いて
説明する。
【0030】[工程 I]材料を加工して、母型表面1
1を備えた母型10を製作する(図2(a)参照)。母
型表面11は、ここで製造しようとしている砥石1を用
いて、加工することになるレンズの仕上がり形状と同じ
面形状の部分である。母型10の材料は、銅合金・軽合
金・ステンレス合金などの金属を使用可能である。母型
10の繰り返し利用を考慮するとステンレス合金がもっ
とも好ましい。
【0031】[工程 II](図2(b)参照) 母型10を洗浄した後、母型表面11の溝7に対応した
位置にマスキング剤13を塗布する。該溝7に対応した
位置へのマスキング剤13の塗布には、注射機等を用い
るのが便利である。該マスキング剤13として、本実施
例では、シリコンシーリング剤を使用している。マスキ
ング剤13として使用可能な具体的材料は、これに限定
されるものではない。後述する電着工程において、母型
表面11の表面部分を通じての電気伝導を遮断できるも
のであれば何でも良い。但し、砥石の製造途中、溝7に
対応した塗布形状が保持されることが必要であり、さら
には、塗布及び乾燥に時間を要しないものであることが
好ましい。このような観点からは、ゲル状あるいは速乾
性の材料であることがより好ましい。
【0032】マスキング後は、電着前処理洗浄を行なっ
た後、電着後の電着複合皮膜20と母型10の分離を容
易にするための処理を行うことが好ましい。該分離を容
易とするための処理としては、例えば、酸化処理があ
る。
【0033】特許請求の範囲において言う”非導電性物
質”とは、ここで言うマスキング剤13に相当するもの
である。
【0034】[工程 III](図2(c)参照) 母型10の全体を電解液に浸して電着処理を行う。該電
着処理によって母型表面11に電着複合皮膜20を形成
することができる。本実施例では、電解液として、ニッ
ケルを含んだ液にダイヤモンド粒子が分散されているも
のを使用している。電着処理中は、電解液を十分に撹拌
する。この場合の接続は、母型10を直流電源のマイナ
ス極に、電解液中の陽極をプラス極に接続する。電着中
は、適宜、母型10の方向を変えることで、母型10の
表面にめっきされたニッケル相中に一様にダイヤモンド
が取り込まれた電着複合皮膜20を形成することが出来
る。電着複合皮膜20の厚さは、電着処理量(通電した
電気量,処理時間)によって調整可能である。この電着
複合皮膜20が、最終的には図1における砥粒層4とな
るものである。なお、上述のマスキング剤13を塗布し
た表面部分には、電気がながれないため、電着複合皮膜
20は形成されない。母型10全体を電解液に浸して電
着処理を行う場合には、電着の不要な部分のすべてに上
述のマスキング剤13を塗布するようにする。特許請求
の範囲において言う”皮膜”とは、本実施例において
は、該電着複合皮膜20に相当するものである。
【0035】[工程 IV]基体2の凹部に、別途、接
着剤(あるいは、充填剤)8’を満たしておく。工程
I〜工程 IIIによって製造した電着複合皮膜20の全体
を、基体2に満たされた接着剤8’に埋め込む。そし
て、そのままの状態で接着剤8’が硬化するのを待つ
(図2(d)参照)。該接着剤8’は硬化することで、
図1における中間層8を形成する。該接着剤8’が硬化
した状態では、基体2と中間層8とが、また、中間層8
と電着複合皮膜20とが接合した状態となる。
【0036】[工程 V]母型10を図2における上方
に引き上げるようにして引っ張る。既に述べたとおり、
工程IIにおいて、母型表面11には分離を容易とする
ための処理が施されている。そのため、電着複合皮膜2
0は、その面形状を保ったままで母型表面11から剥離
し、中間層8の上に残る。該剥離した電着複合皮膜20
が、図1における砥粒層4として機能することになる。
また、溝7に対応する位置にはマスキング13が塗布さ
れているため電着皮膜20が形成されていない。すなわ
ち、該部分は、溝7となっている。
【0037】このようにして形成された砥粒層4の砥粒
層表面6の曲面形状は、母型10の母型表面11の形状
を転写したものとなっている。従って、砥粒層4を厚く
しても、砥粒層表面6の曲面形状は正確である。
【0038】最後に、母型表面11の形状を転写した砥
粒層表面6をドレッシングしてダイヤモンドの切れ刃を
そろえることで、図1に示した研削用砥石1が完成す
る。
【0039】次に、第2の実施例として、凹レンズ等を
研削するための砥石に付いて説明する。
【0040】本実施例の砥石1’の基本構造は、図4に
示すとおり、実施例1と同様に、砥粒層4と、基体2と
の間に配置された中間層8によって両者を連結(接合)
したものである。図4には、基体2を専用化した場合の
構造(図3参照)を示した。しかし、図1のごとく、基
体2の接合部面22の形状を小さくすることで、基体2
の汎用性を高めることも可能である。
【0041】該砥石1’の製造方法も基本的には、実施
例1と同様である。但し、基体2の接合部面22の面形
状と砥粒層4の裏面(図5における上側の面)の面形状
とが大きく異なる場合には、上述の工程 IVにおい
て、実施例1とは逆に、接着剤(充填剤)8’を母型1
0の母型表面11上に形成された電着複合皮膜20の上
に満たすようにすればよい(図5参照)。そして、この
接着剤8’の中に、基体2の接合部面22を浸し、該接
着剤8’が硬化するのを待つ。なお、図5の例では、基
体2の接合部面22の面形状と、砥粒層4の裏面(図5
における上側の面)の面形状とが、比較的近似している
ため、接合部面22の側に接着剤(充填剤)を塗布する
ようにしてもよい。
【0042】最後に、本発明による砥石の研削性能を、
レジンボンド砥石(従来技術)と比較して述べる。ここ
での比較は、粗研削工程での試験結果に基づいて行う。
試験条件は以下のとおりである。
【0043】・本発明の砥石 砥粒:粒径12乃至25μmのダイヤモンド 砥粒層の厚さ:0.5mm(但し、砥粒層の中心付近の
厚さ) ・レジンボンド砥石(従来技術) 砥粒:800番のメッシュサイズのダイヤモンド 砥粒層の厚さ:3mm ・被研削物:ガラス製凹レンズ 仕上がり球R:113.72mm、直径:28mm ガラス種:LAC10 ・研削装置:春近研削機2軸型 ・研削液 :水溶性タイプのものを水20に対し1の割
合で希釈して使用 以上の条件にて被研削レンズを研削したときの、平均加
工速度、砥粒層が磨滅するまでの加工総数、研削中の砥
石の取り付け角度の調整回数及び、砥粒層の磨耗に伴う
形状修正実施回数と、併せて、砥石使用前に行う面出し
に要した時間を求めた。試験の結果を表1に示す。
【0044】
【表1】
【0045】表1からわかるように、本発明の砥石は、
平均加工速度については、従来の砥石と同等である。
【0046】加工総数については、本発明の砥石は砥粒
層の厚さが従来砥石よりも薄いにもかかわらず、従来砥
石の5倍以上にも達しており、非常に優れている。
【0047】研削途中に行う砥石の取り付け角度調整
は、従来砥石では、およそ50面研削ごとに1回行わな
くてはならなかった。これに対し、本発明砥石では全く
不要であった。
【0048】砥石の表面形状が許容範囲を超えた際に行
う形状修正の実施回数も、従来砥石では、およそ120
0面ごとに1回行わなくてはならなかった。これに対
し、本発明砥石では、加工総数53400面にも及ぶ研
削試験中、全く不要であった。
【0049】砥石を使用する前に行う砥石表面の形状修
正所要時間は、従来砥石では、15分程度が必要であっ
た。これに対し、本発明の砥石では全く不要か、あるい
は、数分程度で十分であった。
【0050】以上説明したとおり、本実施例の砥石は、
容易且つ低コストに、砥粒層4を基体2へ取付けること
ができる。
【0051】しかも、本実施例の砥石1は砥粒層表面6
の曲面形状が、当初から正確である。そのため、電着砥
石とは異なり、砥石を研削に使用する前の面出し作業が
最小限で良い。
【0052】砥粒層4は電着によって形成されているの
で、研削による磨耗はメタルボンド砥石やレジンボンド
砥石に比べて少なくしかも均一に磨耗していくためこれ
らの砥石に生ずるような曲率変化はない。従って、砥石
の形状(例えば、曲率)を修正する作業の回数を減らす
ことができる。砥粒5を複数層設けることができるため
(図1の例では、2層分だけ設けている)、一般的な電
着砥石に比べても飛躍的に寿命を長くすることができ
る。この2つの効果が相乗的に作用することで、多数個
のレンズの連続研削が可能となった。これは、砥粒層の
摩耗速度自体が小さい上に、砥粒が磨耗しても次の切れ
刃(砥粒)が自生してくるため、砥石表面の形状はほと
んど変化しないからである。これは、加工時間の一定化
にもつながり、研削中、砥石の状態に応じて加工時間を
変更する必要はない。以上のように、本実施例の砥石
は、電鋳砥石としての性能をなんら犠牲にしていない。
これらの特徴は、砥石の低コスト化のみならず、最終的
にはレンズの生産性向上に寄与するものである。
【0053】さらに、本実施例の製造方法によれば、母
型10の種類ごとに、すなわち、レンズの種類ごとに、
基体2を用意する必要はない。従って、基体2の保守、
管理に要する費用も最小限で良い。このような効果は、
多品種少量生産の場合には特に大きい。逆に、少品種大
量生産の場合には、図3のごとく、基体2をレンズの種
類毎に専用化することも考えられる。この場合には、中
間層8を構成することになる接着剤8’は、砥粒層4
と、基体2とのいずれに塗布しても構わない。このよう
に基体2を専用化すれば、図1の例に比べて、接着剤
(あるいは、充填剤)の使用量を最小限に抑えることが
できる。これは接着剤(充填剤)の材料コストの低減の
みならず、接着剤(充填剤)の硬化(乾燥)時間の短縮
にもつながる。硬化(乾燥)時間の短縮は、最終的に
は、砥石の生産コストの低減につながる。このような専
用化を図った基体2であっても、他の種類の砥石につい
ても上述の砥粒層4が当該凹部に収まりさえすれば、当
該基体2を用いて製造することができる。従って、最も
需要の多い砥石に合わせて基体2を設計しておくこと
で、基体の共用化を図った場合の効果と、基体の専用化
を図った場合の効果との両方を得ることができる。
【0054】本実施例の砥石は寿命が尽きた後、中間層
8及び砥粒層4の残渣を取り除けば、基体2を再利用す
ることができる。従って、単に製造コストの低減という
観点を超えて、資源の有効活用という面からみても優れ
る。
【0055】さらに、基体には、高温、高圧、特別な薬
品等が作用することはない。従って、基体として使用可
能な材料は、非常に広範囲に及ぶ(従来技術では、超塑
性合金を使う必要があった)。従って、コスト、切削性
等の面を重視して、最適なものを選択して使用できる。
これにより基体の材料、加工等に要するコストも低減さ
れる。また、研削装置の砥石取り付け部の種々の形状に
対応することが出来る。
【0056】基体2の中間層8および砥粒層4が配置さ
れる部分は、必ずしも”凹部”である必要はない。上述
の工程 IVにおいて、硬化前に接着剤(あるいは充填
剤)8’が流れ出てしまうのを防ぐことができさえすれ
ばよい。例えば、別途用意した枠体を基体2の平坦な面
に載せて、該枠体によって、硬化するまでの間、接着剤
(充填剤)8’を保持するようにしても良い。
【0057】上記実施例では、凸レンズ研削用の凹皿砥
石と、凹レンズ研削用の凸皿砥石とについてのみ説明し
たが、本発明はこれに限定されるものではなく、平面研
削用の平面砥石にも適用可能である。
【0058】実際に使用可能な接着剤としては、(株)
昭和高分子製の2液型接着剤(商品名”エポダイト23
2D”)、(株)東都レジン化工製の2液型接着剤(商
品名”エポキシレジンK11”)、(株)東レ製の2液
型接着剤(商品名”ハイソールEH5275”)、
(株)セメダイン製の2液型接着剤(商品名”セメダイ
ン1565”)等が挙げられる。
【0059】
【発明の効果】以上説明したとおり本発明の砥石は、低
コスト、長寿命、高い研削性能といった特徴を備えてい
る。さらに、砥石を使用する際にも面だし作業の簡略
化、修正作業の省略化等を図ることができるため、本発
明の砥石を使用すればレンズの生産性を向上させること
ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例である凸レンズ研削用の砥石
の構造を示す模式図である。
【図2】本発明の砥石の製造工程を示す図である。
【図3】本発明の一実施例である凸レンズ研削用の砥石
の変形例の構造を示す模式図である。
【図4】本発明の一実施例である凹レンズ研削用の砥石
の構造を示す模式図である。
【図5】本発明の一実施例である凹レンズ研削用の砥石
の製造工程の一部を示す模式図である。
【図6】従来の電着砥石の一例を示す縦断面図である。
【符号の説明】
1…研削用砥石、 2…基体、 3…取付け部、 4…
砥粒層、 5…砥粒、6…砥粒層表面、 7…溝、 8
…中間層、 8’…接着剤(充填材)、 10…母型、
11…母型表面、 12…支持体、 13…マスキン
グ剤、 20:電着複合皮膜、 22:接合部面、 1
02…基体、 103…取付け部、 104…砥粒層

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】砥粒と金属とを含んで構成された砥粒層
    と、 基体と、 上記砥粒層と上記基体との間に配置された中間層とを備
    え、 上記中間層は、上記砥粒層と上記基体とを接着する接着
    剤を含むこと、 を特徴とする砥石。
  2. 【請求項2】上記接着剤は、エポキシ系接着剤であるこ
    と、 を特徴とする請求項1記載の砥石。
  3. 【請求項3】予め用意された母型上に、電解による金属
    めっき法で、金属及び砥粒を含んで構成される皮膜を形
    成し、 該皮膜を、別途用意した基体に接着剤を用いて接合し、 その後、上記皮膜を上記母型から剥がすこと、 を特徴とする砥石の製造方法。
  4. 【請求項4】切削屑排出用溝を備えた砥石の製造方法に
    おいて、 予め用意された母型上の上記切削屑排出用溝に対応する
    位置に非導電性物質を塗布し、 上記母型上に、電解による金属めっき法で、金属及び砥
    粒を含んで構成される皮膜を形成し、 該皮膜を、接着剤を用いて、別途用意した基体に接合
    し、 その後、上記皮膜を上記母型から剥がすこと、 を特徴とする切削屑排出用溝を備えた砥石の製造方法。
  5. 【請求項5】請求項4記載の切削屑排出用溝を備えた砥
    石の製造方法において、 上記非導電性物質は、シリコンシーリング剤であるこ
    と、 を特徴とする切削屑排出用溝を備えた砥石の製造方法。
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