JP2010089189A - 内歯車型電着工具の製造方法および内歯車型電着工具 - Google Patents
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Abstract
【課題】内歯車型電着工具を製造するのに際して、反転法を用いることにより時間や労力の削減を図りつつ、高精度の歯車研削が可能な内歯車型電着工具を製造する。
【解決手段】円環状をなす工具本体7の内周に形成された歯形の表面に砥粒層4が形成されている内歯車型電着工具の製造方法であって、基準軸線Oを中心とした円板の外周に歯形2が形成されたマスタギア1の歯形2表面に砥粒層4を形成し、このマスタギア1の外周側に間隔をあけて円筒状をなす外枠5を基準軸線Oと同軸に配置して、これら外枠5とマスタギア1との間に充填材6を充填して砥粒層4と接合するとともに工具本体7を形成し、しかる後にこの工具本体7側に砥粒層4を残したままマスタギア1を取り去る。
【選択図】図5
【解決手段】円環状をなす工具本体7の内周に形成された歯形の表面に砥粒層4が形成されている内歯車型電着工具の製造方法であって、基準軸線Oを中心とした円板の外周に歯形2が形成されたマスタギア1の歯形2表面に砥粒層4を形成し、このマスタギア1の外周側に間隔をあけて円筒状をなす外枠5を基準軸線Oと同軸に配置して、これら外枠5とマスタギア1との間に充填材6を充填して砥粒層4と接合するとともに工具本体7を形成し、しかる後にこの工具本体7側に砥粒層4を残したままマスタギア1を取り去る。
【選択図】図5
Description
本発明は、円環状をなす工具本体の内周に形成された歯形の表面に砥粒層が形成されてワークとなる歯車外周の歯面を研削する内歯車型電着工具の製造方法、および該製造方法により製造される内歯車型電着工具に関するものである。
この種の内歯車型電着工具としては、例えば特許文献1に、内歯を形成する概略環状のアルミ合金からなる台金の内歯面にCBN等を含む硬質砥粒を電着したものが記載されている。通常、このような内歯車型電着工具は、素材のアルミ合金よりなる丸棒から円板を切り出して旋削加工を施すことにより円環状の台金を形成し、その内周に歯切り加工を施して内歯の歯形を形成した後、焼き入れ、端面研削、外周研削、台金がなす円環の中心軸線を基準とした振れ基準面の研削、および歯形の研削を経て、この歯形の表面に上記砥粒を電着することにより製造される。
一方、このような歯車型電着工具でも、円環状の工具本体の外周に形成された歯形表面に砥粒層を有する外歯車型電着工具の製造方法として、いわゆる反転法を用いたものが例えば特許文献2等に記載されている。このような反転法では、上記工具本体と同形同大のマスタギアの外周に母型材を充填、固化した後にマスタギアを型抜きして母型を形成し、マスタギア外周の歯形が反転して転写されたこの母型内周の歯形の表面に砥粒を電着して砥粒層を形成し、次いでこの母型の内周に円筒状の内枠を挿入した上で上記砥粒層との間に充填材を充填して工具本体を形成した後に母型を除去し、さらに内枠の内径研削を施してから砥粒の目立てやツルーイングを行うことにより、上述のような外歯車型電着工具が製造される。
特開平8−118145号公報
特開平5−301162号公報
ところが、このうち上述した内歯車型電着工具の製造方法では、円環状に形成された台金の内周にいちいち歯切り加工によって歯形を形成し、さらにこの歯形に研削を施した後に砥粒を電着して砥粒層を形成しなければならず、特に大径で歯数の多い内歯車型電着工具を多数製造する場合には、歯形の形成や研削に多くの時間と労力とが必要とされることになる。
この点、特許文献2に記載された反転法では、一旦マスタギアを製作しておけば、このマスタギア外周の歯形を母材に反転転写して工具本体外周に歯形を形成することができるため、大径で歯数の多い歯車型電着工具を製造する場合でも時間や労力を削減することができる。しかしながら、このような外歯車型電着工具の反転法をそのまま内歯車型電着工具の製造に適用して、この電着工具の工具本体と同じ円環の内周に歯形が形成されたマスタギアを用い、その内周に母型材を充填してからマスタギアを型抜きして母型を形成したとすると、その後の工程ではこのマスタギアの基準軸線に基づいて加工を行うことができなくなって端面研削や外周研削、振れ基準面の研削の精度が損なわれてしまうため、こうして製造された内歯車型電着工具により研削されるワークとしての歯車の精度も損なわれる結果となる。
本発明は、このような背景の下になされたもので、円環状をなす工具本体内周に形成された歯形の表面に砥粒層を有する内歯車型電着工具を製造するのに際して、反転法を用いることにより時間や労力の削減を図りつつ、高精度の歯車研削が可能な内歯車型電着工具を製造することが可能な内歯車型電着工具の製造方法を提供し、またこのような製造方法によってかかる歯車研削が可能な寸法、形状精度の高い内歯車型電着工具を提供することを目的としている。
上記課題を解決して、このような目的を達成するために、本発明の内歯車型電着工具の製造方法は、円環状をなす工具本体の内周に形成された歯形の表面に、砥粒を電着した砥粒層が形成されている内歯車型電着工具の製造方法であって、基準軸線を中心とした円板の外周に歯形が形成されたマスタギアの該歯形の表面に砥粒を電着して上記砥粒層を形成し、次いでこのマスタギアの外周側に間隔をあけて円筒状をなす外枠を上記基準軸線と同軸に配置して、これら外枠とマスタギアとの間に充填材を充填して上記砥粒層と接合するとともに上記工具本体を形成し、しかる後にこの工具本体側に上記砥粒層を残したまま上記マスタギアを取り去ることを特徴とする。
従って、このような製造方法によれば、まずマスタギア外周の歯形表面に形成した砥粒層が、外枠との間に充填された充填材と接合されてマスタギアの歯形ごと、円環状に形成される工具本体の内周に反転転写されるので、大径の工具本体に多数の歯形が形成された内歯車型電着工具を製造する場合でも、歯形の数に合わせて時間や労力が増大することはない。そして、このマスタギアは製造の最終工程で工具本体側に砥粒層を残したまま取り去られるので、それまでの間にこのマスタギアの基準軸線に基づいて工具本体の端面研削や外周研削、振れ基準面の研削を行うことができるので、寸法、形状精度に優れた内歯車型電着工具を製造することが可能となる。
ここで、このように製造の最終工程で取り去られるマスタギアを、上記工具本体から型抜きすることにより取り去るようにすれば、同じ寸法、形状の内歯車型電着工具を複数製造する場合に、この型抜きされたマスタギアを再利用することができ、経済的かつ効率的である。
また、本発明の内歯車型電着工具は、このような製造方法により製造される内歯車型電着工具であって、基準軸線を中心とした円筒状をなす外枠の内周に充填材が配設された円環状をなす工具本体を有し、この工具本体の内周の上記充填材に形成された歯形の表面に、砥粒を電着した砥粒層が形成されていることを特徴とする。従って、上記製造方法により製造されたこのような内歯車型電着工具では、マスタギアの基準軸線に基づいて歯形や工具本体の端面精度、外周精度、振れ基準面の精度を設定することができるので、寸法、形状精度の向上を図ることができる。しかも、円板状のマスタギアの外周に形成された砥粒層が工具本体の内周に転写されるので、砥粒層に均一に砥粒を分散させることができ、さらに個々の砥粒の突き出し量も均一とすることができる。
ここで、上記充填材を樹脂とすることにより、従来のアルミニウム合金等の金属製の台金内周に砥粒層が電着された内歯車型電着工具と比べても、その重量の大幅な軽量化を図ることができる。その一方で、上記外枠は金属によって形成することにより、当該内歯車型電着工具を工作機械に取り付ける際の取付強度や取付精度等は確実に確保することが可能となる。
以上説明したように、本発明の製造方法によれば、反転法を用いて内歯車型電着工具を製造することにより時間や労力の削減を図りつつ、マスタギアの基準軸線に基づいて高い形状、寸法精度の内歯車型電着工具を製造することが可能となる。従って、こうして製造された本発明の内歯車型電着工具によれば、ワークとなる歯車を高精度で研削加工することが可能となる。
図1ないし図6は、本発明の内歯車型電着工具の製造方法の一実施形態を示すものである。本実施形態においては、まず図1に示すように、製造される内歯車型電着工具の工具本体内周に形成される空間の形状を反転させた円板状のマスタギア1を製作する。ここで、本実施形態では、このマスタギア1はステンレス等の金属、またはカーボンなど導電性を有する材質により形成され、その外周には内歯車型電着工具の内周に転写される歯形2が形成されるとともに、内周には円板状の当該マスタギア1の中心線となる基準軸線Oを中心とした断面円形の基準孔3が貫通させられている。
次に、図2に示すように、このマスタギア1の上記歯形2部分に砥粒を電着して砥粒層4を形成する。砥粒は、例えばダイヤモンド砥粒やcBN砥粒のような超砥粒であり、砥粒層4を形成しないマスタギア1の内周面や端面等をマスキングした後、必要に応じて下地メッキ層を電気メッキにより形成してから、かかる砥粒を分散したメッキ液中にマスタギア1を浸漬し、化学メッキにより砥粒を固着しつつメッキ層を析出させて砥粒層4を形成する。
こうして砥粒層4が形成されたマスタギア1をメッキ液から引き上げて洗浄、乾燥した後、図3に示すように上記歯形2との間に適当な間隔をあけるようにして、その外周側に円筒状の外枠5を配置する。この外枠5は、例えば鋼材等の機械加工可能で剛性の高い金属製とされ、該外枠5がなす円筒の中心線をマスタギア1の上記基準孔3を基準として基準軸線Oと一致させて、マスタギア1外周を囲繞するように配設される。なお、この外枠5は上記基準軸線O方向の長さがマスタギア1よりも僅かに大きくされている。また、外枠5の内周面は、粗面とされていたり、あるいは細かい凹凸が形成されていたりしてもよい。
次に、こうして配置された外枠5の内周とマスタギア1の外周との間の環状の空間に、図4に示すように充填材6を充填して砥粒層4および外枠5と接合し、この充填材6と外枠5とにより工具本体7を形成する。ここで、この充填材6は、例えばエポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂であり、研削時の負荷や熱にも十分耐え得るように砥粒層4および外枠5と強固に接合される。
こうして充填材6が充填されて外枠5とともに工具本体7が形成されたなら、マスタギア1をその内周に残して取り付けたまま、このマスタギア1の上記基準孔3を用いて基準軸線Oを基準に、工具本体7の上記外枠5部分に外周研削、端面研削を施して所定の外形寸法、形状に成形するとともに、例えば充填材6から突出した外枠5の内周面を上記基準軸線Oを中心とした円筒面状に研削して、振れ基準面8を形成する。
次いで、このように所定の寸法、形状に成形された工具本体7の内周から、砥粒層4を工具本体7側に残したまま、マスタギア1を取り去る。このとき、マスタギア1は、破壊されて取り去られてもよいが、本実施形態では図5に示すようにマスタギア1を工具本体1に対して基準軸線O方向に相対的に抜き出すようにして、型抜きすることにより取り外す。なお、この型抜きの際にはマスタギア1を冷却して収縮させることにより、容易に抜き出しが可能となる。
従って、こうしてマスタギア1が取り去られた工具本体7には、図6に示すようにその充填材6部分の内周にマスタギア1外周の歯形2が転写された内歯車型の歯形9が形成されるとともに、この歯形9の表面(内周面)には、砥粒層4が残されて被覆されており、この砥粒層4表面のメッキ層を適度に除去することにより砥粒の目立てが行われて、本発明の一実施形態としての内歯車型電着工具が製造される。さらに、こうして製造された内歯車型電着工具は、検査、包装等がなされて出荷される。
このように、上記構成の内歯車型電着工具の製造方法によれば、マスタギア1外周の歯形2が工具本体7内周の充填材6に転写されて内歯車型の歯形9が形成されるとともに、マスタギア1を取り去ることでこの内周に砥粒層4が露出させられるので、時間や労力を要する歯形形成はマスタギア1の製作の時だけでよく、しかもマスタギア1の外周に歯形2を形成するだけでよいので、製造工程の簡略化を図ることができる。
特に、本実施形態のようにマスタギア1を型抜きして取り去るようにすれば、取り去ったマスタギア1を用いて同寸法、同形状の複数の内歯車型電着工具を製造することができ、経済的かつ効率的である。また、このマスタギア1を本実施形態のように金属やカーボンにより形成して冷却、収縮させることにより、砥粒層4を確実に工具本体7側に残して剥離し、容易にマスタギア1を型抜きすることが可能となる。
そして、さらに上記製造方法によれば、このマスタギア1が取り去られるのは、その外周側に外枠5および充填材6による工具本体7が形成された後であって、マスタギア1を取り去る前にその基準軸線Oに基づいて工具本体7の外周研削、端面研削、および振れ基準面8の研削を行うことができる。このため、高い寸法、形状精度の内歯車型電着工具を製造することができ、従ってこのように製造された本発明の一実施形態としての内歯車型電着工具によれば、ワークとしての歯車も高い寸法、形状精度で研削することが可能となる。
また、このように反転法によって製造された内歯車型電着工具では、その砥粒層4表面の砥粒が、マスタギア1の歯形2表面に倣った位置に配設されるので、例えばツルーイング等を施さなくても砥粒の突き出し量を均一として高精度の歯車研削を可能とすることができる。また、マスタギア1の歯形2は外周に形成されているので、従来のように台金の内周に形成された歯形に砥粒を電着して砥粒層を形成するのに比べ、砥粒が均一に分散した砥粒層4を形成し易いという利点も得られる。
さらに、本実施形態の内歯車型電着工具では、工具本体7を形成する外枠5が鋼材等の金属であり、工作機械に保持されることになるこの工具本体7の外周部に必要な機械加工を施し易く、また高い剛性を確保することができるとともに、研削した外周、端面、および振れ基準面8にも高い精度を長期に渡って維持することができる。
その一方で、これに対して充填材6は樹脂製であるので、たとえ当該工具本体7が大径であってもその軽量化を図ることができ、取り扱い性の向上を図るとともに工作機械における動力等の軽減を促すことも可能となる。
1 マスタギア
2 マスタギア1の歯形
3 基準孔
4 砥粒層
5 外枠
6 充填材
7 工具本体
8 振れ基準面
9 内歯車型電着工具の歯形
O 基準軸線
2 マスタギア1の歯形
3 基準孔
4 砥粒層
5 外枠
6 充填材
7 工具本体
8 振れ基準面
9 内歯車型電着工具の歯形
O 基準軸線
Claims (5)
- 円環状をなす工具本体の内周に形成された歯形の表面に、砥粒を電着した砥粒層が形成されている内歯車型電着工具の製造方法であって、
基準軸線を中心とした円板の外周に歯形が形成されたマスタギアの該歯形の表面に砥粒を電着して上記砥粒層を形成し、次いでこのマスタギアの外周側に間隔をあけて円筒状をなす外枠を上記基準軸線と同軸に配置して、これら外枠とマスタギアとの間に充填材を充填して上記砥粒層と接合するとともに上記工具本体を形成し、しかる後にこの工具本体側に上記砥粒層を残したまま上記マスタギアを取り去ることを特徴とする内歯車型電着工具の製造方法。 - 上記マスタギアを、上記工具本体から型抜きすることにより取り去ることを特徴とする請求項1に記載の内歯車型電着工具の製造方法。
- 請求項1または請求項2に記載の内歯車型電着工具の製造方法により製造される内歯車型電着工具であって、基準軸線を中心とした円筒状をなす外枠の内周に充填材が配設された円環状をなす工具本体を有し、この工具本体の内周の上記充填材に形成された歯形の表面に、砥粒を電着した砥粒層が形成されていることを特徴とする内歯車型電着工具。
- 上記充填材が樹脂であることを特徴とする請求項3に記載の内歯車型電着工具。
- 上記外枠が金属であることを特徴とする請求項3または請求項4に記載の内歯車型電着工具。
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2008259685A JP2010089189A (ja) | 2008-10-06 | 2008-10-06 | 内歯車型電着工具の製造方法および内歯車型電着工具 |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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AT522706A1 (de) * | 2019-07-03 | 2021-01-15 | Tyrolit Gmbh & Co Kg | Honring zur Oberflächenbearbeitung verzahnter Werkstücke |
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-
2008
- 2008-10-06 JP JP2008259685A patent/JP2010089189A/ja active Pending
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