JPH08148318A - 希土類磁石の製造方法 - Google Patents

希土類磁石の製造方法

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JPH08148318A
JPH08148318A JP6314186A JP31418694A JPH08148318A JP H08148318 A JPH08148318 A JP H08148318A JP 6314186 A JP6314186 A JP 6314186A JP 31418694 A JP31418694 A JP 31418694A JP H08148318 A JPH08148318 A JP H08148318A
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【目的】 Nd系磁石用合金をジェットミルにて微粉砕
を行なう際に、粉砕能力が悪いために微粉砕工程の生産
効率が著しく低下し高い生産効率が得られないという問
題点の解決。 【構成】 式 Rx(Fe1-aCoa)yBzTb(式中RはYを含む希
土類元素のうちの少なくとも一種、Tは遷移金属を表
し、重量百分率でxは11〜16%、yは70〜85%、zは4
〜9%、bは0〜4%であり、aは0≦a≦0.2 であ
る)からなる希土類磁石の製造方法において、溶解後の
合金中の結晶粒子内部に直径1μm以下の微細な希土類
元素酸化物が含まれていることを特徴とする希土類磁石
の製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は希土類永久磁石、特には
Nd系焼結磁石の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】希土類焼結磁石はその高い磁気特性の為
に、フェライト等に比べて非常に高価であるにも関わら
ず近年高い需要を示している。その中でも特にNd系磁
石はSm系磁石に比べて磁気特性が高く、価格も安いこ
とから希土類磁石の主流となりつつある。
【0003】Nd系焼結磁石は粉末冶金法を用いて製造
され、以下のような工程を経る。すなわち、所定の組成
となるよう溶解して合金を作成し、その合金を粉砕して
1〜20μmの微粉末を得、微粉を磁場中にて成形し、焼
結及び熱処理を施すことによって磁石となる。
【0004】微粉末を得るために用いられる手法として
は、ボールミル、アトライターミル、振動ミル、ジェッ
トミルなどがあるが、ボールミル、アトライターミル、
振動ミルは希土類磁石合金との反応性がないか、又は反
応性が少ない有機溶剤を用いてスラリー状にして粉砕す
るのが通常である。そのため、作業工程が煩雑となる、
着火や金属との反応による有機溶剤の変質による爆発の
危険を伴う等のデメリットが多く、希土類磁石用合金の
微粉砕方法としてはあまり適した方法であるとは言えな
い。
【0005】それに対して、超音速のガス気流を用いて
粉砕を行うジェットミルは、使用するガスを不活性ガス
に変更することにより、希土類磁石を製造する上で問題
となる微粉末の酸化についてもそれを最小限に抑えるこ
とができるために希土類磁石用合金の微粉砕方法として
適した方法であり、希土類磁石、特にSm系磁石の製造
に積極的に使用されてきた。
【0006】ところが、ジェットミルをNd系磁石の製
造に適用して微粉砕を行った場合、Sm系磁石に比べて
単位時間当たりの粉砕量すなわち粉砕能力が悪いために
生産効率が著しく低下するという問題があった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】Nd系磁石用合金をジ
ェットミルにて微粉砕を行う際に、粉砕能力が悪いため
に微粉砕工程の生産効率が著しく低下し、結果として全
工程にわたり高い生産効率を得られないという問題があ
った。本発明では、Nd系焼結磁石の製造に関わる問題
点を鑑み、新規な製造方法を確立することにより効率良
く、実用上十分な保磁力を有し高い残留磁化を有する高
性能Nd系磁石を提供しようとするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、かかる課
題を解決するために、Sm系磁石とNd系磁石の粉砕能
力に差があることを鑑み、溶解工程を経て製造されたN
d系磁石用合金の金属組織が後工程である粉砕工程に影
響を及ぼすのではないかと考え溶解工程及び溶解後の金
属組織に着目して鋭意検討を行なった結果、溶解後の合
金中の結晶粒子内部に直径1μm以下の微細な希土類元
素酸化物が分散して析出している合金を用いてジェット
ミルにて微粉砕を行なった場合粉砕能力が向上し、Nd
系磁石を高い生産効率のもとで製造することが可能にな
り本発明を完成させた。
【0009】本発明の要旨は、式 Rx(Fe1-aCoa)yBzT
b(式中RはYを含む希土類元素のうちの少なくとも一
種、Tは遷移金属を表し、重量百分率でxは11〜16%、
yは70〜85%、zは4〜9%、bは0〜4%であり、a
は0≦a≦0.2 である)からなる希土類磁石の製造方法
において、溶解後の合金中の結晶粒子内部に直径1μm
以下の微細な希土類元素酸化物が含まれていることを特
徴とする希土類磁石の製造方法にある。
【0010】以下、本発明を詳細に説明する。本発明が
適用される希土類永久磁石合金の組成式は Rx(Fe1-aC
oa)yBzTbで表され、ここにRはYを含むLa、Ce、P
r、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、E
r、Tm、Yb及びLuから選択される1種または2種
以上の希土類元素であり、TはAl、Si、Ti、V、
Cr、Mn、Ni、Cu、Zn、Ga、Zr、Nb、M
o、Sn、Hf、Ta、Wのうちから選択される。
【0011】重量百分率xは11〜16%、yは70〜85%、
zは4〜9%、bは0〜4%であり、又、aは0≦a≦
0.2 である。この組成においてRの量xが11%未満では
α−Feの析出があり保磁力が著しく減少するために好
ましくなく、16%を越えると残留磁化が低くなるために
好ましくない。
【0012】Bの量zは4%未満では Nd2Fe17相の析出
により保磁力が著しく減少するので好ましくなく、9%
を越えると非磁性相である NdFe4B4相の量が増え残留磁
化が減少するために好ましくない。
【0013】aはFeとCoの比を表すものであり、F
eをCoで置換することによって残留磁化を上昇させる
ことができるがaの量が 0.2を越えると保磁力が著しく
減少するために好ましくない。又、yが70%未満では残
留磁化が低くなり、85%を越えると保磁力が減少するの
で好ましくない。
【0014】添加元素Tは保磁力を上昇させるために用
いられるが、bが4%を越えると保磁力を上昇させる効
果が弱まり、残留磁化の減少が著しいので好ましくな
い。
【0015】次に本発明の製造方法を述べる。Nd系磁
石は通常溶解、粗粉砕、微粉砕、成形、焼結、時効の工
程を経て製造され、溶解工程では溶湯とアルミナ等で出
来た坩堝との反応を防ぐために溶湯の温度をその合金の
融点より〜50℃高い温度で溶解を行ない鋳型に鋳込ん
で合金を作成するのが一般的であったが、溶湯の温度を
その合金の融点よりも50℃〜 200℃程度高くして溶湯と
アルミナ等で出来た坩堝との反応を促進させ溶湯中に酸
素を導入させて鋳込んだ場合、図1に示すように合金中
の結晶粒子の内部に直径1μm以下の微細な希土類元素
酸化物が分散して析出した合金組織を持ち、当該合金を
用いてジェットミルにて微粉砕を行なった場合には、粉
砕能力が著しく向上し、結果として高い生産効率のもと
でNd系磁石の製造が可能となることを見いだした。な
お、この微粒子は、エネルギー分散型X線分析装置のつ
いた高解像度電子顕微鏡によって分析した結果、希土類
元素酸化物であることが確認された。
【0016】ここで、溶湯の温度が50℃未満の場合には
合金中の結晶粒子の内部に直径 1μm以下の微細な希土
類酸化物が分散して析出した合金組織がほとんど形成さ
れないために粉砕能力が向上しないので好ましくなく、
200℃を超える場合には溶湯が高温のために蒸発現象が
激しく最終的に得られる合金の組成が秤量時の組成と著
しく異なってしまい組成制御が困難となるため好ましく
ないので、50〜 200℃、好ましくは 100℃〜 150℃の範
囲である。上記のようにNd系磁石を製造することによ
り、微粉砕時における粉砕能力が著しく向上し、結果と
してNd系磁石の生産性の向上に著しい効果があり非常
に有効であった。
【0017】先ず、上記組成となるように原料金属を秤
量する。次にアルミナ等の酸化物で出来た坩堝を用いて
真空中或は不活性雰囲気中にて高周波溶解炉にてその組
成の溶融温度よりも50℃〜 200℃高い温度となるように
溶湯の温度を制御し溶解を行いその後鋳造して、合金中
の結晶粒子の内部に直径 1μm以下の微細な希土類元素
酸化物が分散して析出した合金組織を持つ合金を作成す
る。
【0018】次に作成した合金をジョウクラッシャー、
ブラウンミル等で粗粉砕を行った後、ジェットミルで微
粉砕を行う。このようにして得られた平均粒径 1〜20μ
mの微粉末を約15kOe の磁場中にて0.2 〜2Ton/cm2の圧
力にて成形し、密度が3〜5g/ccの成形体を得る。以上
のようにして得られた成形体は、1000℃〜1150℃の真空
中或は大気圧以下の不活性ガス中にて0.1 〜10時間焼結
を行い、冷却した後 400℃〜1000℃で0.1 〜10時間時効
処理を行いNd系磁石とする。
【0019】
【作用】本発明が解決しようとする課題は、Nd系磁石
の微粉砕能力の向上それに伴う生産性の向上である。微
粉砕能力と、溶解工程を経て製造されたNd系磁石用合
金の金属微細組織に着目して検討を行った結果、溶解工
程における諸条件を最適化し溶解後の合金がその結晶粒
子の内部に直径1μm以下の微細な希土類酸化物が分散
して析出している場合に粉砕能力が著しく向上すること
を発見したもので、このように結晶粒子の内部に直径 1
μm以下の微細な希土類酸化物が分散して析出している
場合には、微細な酸化物は粉砕時に粉砕エネルギーが合
金に加わった時に応力集中部位となるであろうことが予
測され、応力が集中した部分は容易にクラック発生のサ
イトとなると考えられる。そのため、粉砕に要するエネ
ルギーは微細な酸化物が分散して析出していない合金に
較べて少なくてすみ、結果として同一の粉砕エネルギー
を加えられた場合に粉砕能力が向上したものと考えられ
る。
【0020】
【実施例】以下、本発明の実施例、比較例を挙げて説明
するが、本発明はこれらに限定されるものではない。 実施例1 組成式 Nd13.7Dy0.9Fe76.9Co2B6Al0.5となる合金を、純
度99.9wt%以上の原料各金属を誘導加熱高周波溶解炉
にてAr雰囲気中で溶湯の温度を溶融温度よりも100 ℃
高い1340℃の温度となるように制御し溶解を行いその後
鋳造して上記組成の合金を作成した。この合金をAr雰
囲気中で、ジョウクラッシャー、ブラウンミルを用いて
粗粉砕し、窒素ガスを用いたジェットミルにて、平均粒
径 5μmの微粉末となるよう粗粉末の供給条件を調整し
て微粉砕を行った。この微粉末を方位をそろえるために
約15kOe の磁場中で、磁場に対して垂直な方向に約0.9
Ton/cm2 の圧力にて加圧成形して成形体を得た。この成
形体を真空中にて1060℃で90分焼結を行いその後冷却し
て焼結体を得た。このようにして得られた焼結体を、引
き続き不活性ガス雰囲気中で 600℃で 120分熱処理を施
し実施例1とした。
【0021】比較例1、比較例2 実施例1において、溶湯の温度を溶融温度よりも40℃高
い1280℃の温度となるように制御した以外は実施例1と
同じ方法で作製して得られた試料を比較例1とした。又
溶湯の温度を溶融温度よりも230 ℃高い1470℃の温度と
なるように制御した以外は実施例1と同じ方法で作製し
て得られた試料を比較例2とした。
【0022】実施例2、比較例3 組成式Nd12.4Pr1.2Dyo0.4Fe73.2Co6B6Al0.4Ti0.4となる
合金を溶湯温度を溶融温度より100 ℃高い1360℃とした
以外は実施例1と同じ方法で作製して得られた試料を実
施例2とし、又、溶湯温度を溶融温度より40℃高い1300
℃とした以外は実施例1と同じ方法で作製して得られた
試料を比較例3とした。
【0023】図1の写真は溶解後の実施例1の合金の電
子顕微鏡による観察した結果である。比較例1の合金を
同様に観察した結果を図2の写真に示す。図1の写真に
は、1μm以下のの微細な希土類元素酸化物の析出が見
られるが、図2の写真には析出物が認められないことが
これらの写真からわかる。
【0024】各試料の残留磁束密度(Br),保持力(H
c)及び最大エネルギー積(BHmax)を求めたところ表1
に示すとおりである。
【0025】
【表1】
【0026】表1から明らかなように本発明の方法によ
れば、1μm以下の微細な希土類元素酸化物の析出が合
金中に存在する場合粉砕能力が向上し、且つ良好な磁気
特性を有するNd系磁石の製造が可能となった。
【0027】
【発明の効果】本発明の製造方法により高い生産性のも
とで高性能の希土類焼結磁石を提供することができ、産
業上その効果は極めて高い。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の方法による合金の結晶構造を示す電子
顕微鏡写真(倍率10000 倍)。
【図2】従来の方法による合金の結晶構造を示す電子顕
微鏡写真(倍率10000 倍)。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 H01F 41/02 G

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 式 Rx(Fe1-aCoa)yBzTb(式中RはYを含
    む希土類元素のうちの少なくとも一種、Tは遷移金属を
    表し、重量百分率でxは11〜16%、yは70〜85%、zは
    4〜9%、bは0〜4%であり、aは0≦a≦0.2 であ
    る)からなる希土類磁石の製造方法において、溶解後の
    合金中の結晶粒子内部に直径1μm以下の微細な希土類
    元素酸化物が含まれていることを特徴とする希土類磁石
    の製造方法。
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