JPH08146307A - 保護カバー付き内視鏡 - Google Patents

保護カバー付き内視鏡

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JPH08146307A
JPH08146307A JP6285315A JP28531594A JPH08146307A JP H08146307 A JPH08146307 A JP H08146307A JP 6285315 A JP6285315 A JP 6285315A JP 28531594 A JP28531594 A JP 28531594A JP H08146307 A JPH08146307 A JP H08146307A
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Azusa Noguchi
あずさ 野口
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 製造コストの低い単純な構成で、内視鏡の外
径が大きくなることもなく、観察視野内にゴースト,フ
レアの発生しない保護カバー付き内視鏡を提供するこ
と。 【構成】 本発明による保護カバー付き内視鏡では、観
察光学系2と照明光学系3とが隣接配置された内視鏡本
体1の先端部に保護カバー4が取り付けられている。
又、保護カバー4の内視鏡本体1の先端面1aと対面す
る位置には透明部材5が設けられている。更に、保護カ
バー4の透明部材5の内側面6及び外側面7には夫々ゴ
ーストの発生原因となる照明光の反射を防止するための
コーティングが施されている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、内視鏡本体の挿入部,
先端部が被覆されている保護カバー付き内視鏡に関す
る。
【0002】
【従来の技術】従来の内視鏡では、その挿入部及び先端
部を被覆する保護カバーを取り付けることにより、例え
ば、医療用のものであれば洗浄,消毒の手間を省いた
り、工業用であれば放射線等に汚染された被観察物を観
察する際でも内視鏡本体が汚染されるのを防止できるよ
うになっている。ところで、このように内視鏡に保護カ
バーを取り付ける場合、内視鏡本体の先端部には観察光
学系と照明光学系とが隣接して配置されているため、照
明光が保護カバーの透明部材の表面で反射してフレア,
ゴーストを発生し易くなる。特に大きな問題となるゴー
ストは、図20及び図21に示すような二つの経路によ
り発生している。
【0003】まず、第一の経路は、図20に示すよう
に、内視鏡本体50の照明光学系31より出射した照明
光32が保護カバー33の透明部材34の外側面34a
で反射し、その反射光が内視鏡本体50の観察光学系3
5に入射し、視野内にゴーストとして現れるものであ
る。以下このような経路を反射経路αと呼ぶことにす
る。尚、内視鏡の視野範囲,照明範囲,観察光学系35
と照明光学系31の距離,保護カバー33の透明部材3
4の厚み等により、反射経路αによる反射は、1回のみ
生じる場合と、保護カバー33の透明部材34の外側面
34aと内側面34bとの間で複数回繰り返される場合
とがある。
【0004】もう一方の経路は、図21に示すように、
内視鏡本体50の照明光学系31より出射した照明光3
2が保護カバー33の透明部材34の内側面34bで反
射し、内視鏡本体50の観察光学系35に入射するもの
である。以下このような経路を反射経路βと呼ぶことに
する。この場合にも、保護カバー33の透明部材34の
内側面34bで1回目の反射により生じたゴーストが内
視鏡本体50の観察光学系35に直接入射する場合と、
保護カバー33の透明部材34の内側面34aと内視鏡
本体50の先端面50aとの間で複数回反射が繰り返さ
れ最終的に内視鏡本体30の観察光学系35に入射する
場合とがある。
【0005】従来は、保護カバーの透明部材表面での照
明光の反射によるゴーストの発生を防止するために、以
下のような方法がとられていた。保護カバー付き内視鏡
において、ゴーストの発生を防止するための第一の方法
は、図22に示すように、保護カバーの観察用透明部材
36と照明用透明部材37とを別個に構成することであ
る。このように構成すれば、反射経路αを辿る照明光は
内視鏡本体50の観察光学系35まで到達せず、ゴース
トの問題が生じることはない。又、第二の方法は、図2
3に示す特開平3−264036号公報に開示されてい
るように、保護カバーの透明部材38の照明光学系31
と観察光学系35との間に位置する表面に、光を散乱或
いは吸収する減光部39を設けることである。このよう
な構成により、反射経路α,β夫々を辿る反射光により
発生するゴーストが減光部39で散乱或いは吸収され、
ゴーストを低減させている。
【0006】保護カバー付き内視鏡において、ゴースト
の発生を防止する第三の方法は、図24に示す特開平2
−132409号公報に開示されてい内視鏡のように、
内視鏡本体の照明光学系31と観察光学系35との間の
部分で、保護カバーの透明部材40の肉厚が漸次変化す
るように構成する方法である。このように、照明光学系
31側から観察光学系35側にかけて保護カバーの透明
部材40の肉厚が漸次厚くなるように構成されている場
合には、保護カバーの透明部材40内での照明光の反射
角が次第に大きくなり、その照明光が観察光学系35に
達したときに視野角より大きくなるように構成すればゴ
ーストが発生することはない。一方、反対に観察光学系
35側から照明光学系31側にかけて保護カバーの透明
部材40の肉厚が漸次厚くなるように構成されている場
合には、保護カバーの透明部材40内での照明光反射回
数が増加することによりその照明光は減衰し、視野内で
の反射経路αを辿る照明光により発生するゴーストは目
立ちにくくなる。これらの方法以外にも、保護カバーの
透明部材内での照明光の反射回数を増加させその照明光
の強度を減衰させる方法としては、保護カバーの透明部
材の厚みを薄くする方法や、観察光学系と照明光学系と
の距離を大きくとる方法等がある。
【0007】更に、保護カバー付き内視鏡において、特
に反射経路βを辿る照明光によって発生するゴーストを
除去するための第四の方法としては、図25に示す実公
昭63−33209号公報に開示さている内視鏡のよう
に、内視鏡本体の観察窓41と照明窓42との間に遮光
突起43を形成する方法がある。この方法によれば、保
護カバーと内視鏡本体の先端部との間に、照明光の保護
カバー内側面による照明光の反射光を遮光する遮光部が
あるため、反射経路βを辿る照明光により発生するゴー
ストを除去することができる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前述の
ようなゴーストの発生を防止する方法には以下のような
欠点がある。まず、上記第一の方法、即ち保護カバーの
観察用透明部材と照明用透明部材とを別体に構成する方
法では、観察光学系の視野範囲及び照明光学系の照明範
囲を確保するために、観察用透明部材及び照明用透明部
材の外径を夫々内視鏡本体の観察光学系及び照明光学系
の外径より大きくする必要がある。又、内視鏡保護カバ
ーの観察用透明部材と照明用透明部材との間に、夫々の
部材を保護カバーに固定し水密性を維持するための部材
を挿入配置することが必要になる。このような要因によ
り、観察光学系と照明光学系とをある程度離して配置せ
ざるをえず、保護カバー付き内視鏡の先端部が大きくな
ってしまう。又、かかる内視鏡先端部の部品点数も増
え、製造工程における作業時間が増加し、コストアップ
につながることにもなる。
【0009】上記第二の方法、即ち観察光学系と照明光
学系との間の保護カバーの透明部材の表面に光を散乱或
いは吸収する減光部を設ける方法では、その減光部を黒
塗り或いはその表面を祖面に形成することで対処してい
るため、視野,照明範囲内にそれらの減光部が進入する
と、視野ケラレ,照明ケラレを生じてしまう。特に、内
視鏡本体の先端部から保護カバーの内側面までの距離が
大きい場合や、内視鏡本体の光学系の光軸に対し保護カ
バーが垂直方向にずれてしまった場合には、前記ケラレ
の問題がより顕著になる。
【0010】更に、上記第三の方法によれば、反射経路
αを辿る反射光により発生するゴーストの観察光学系へ
の入射を防止するか、或いは、かかる照明光の強度を減
衰させ発生するゴーストの強度を抑制することはできる
が、反射経路βを辿る照明光によるゴーストは発生して
しまう。特に、内視鏡本体の先端部と保護カバー透明部
材の内側面とが密着していれば反射経路βを辿る照明光
の反射回数も多くなり、発生するゴーストも減衰する。
しかし、一般に内視鏡を被観察部に挿入する際に首振り
を行ったり、ねじったりする場合があり、このような動
きに対応して内視鏡の本体と保護カバーとを内視鏡の先
端部分で密着させ続けることは困難である。よって、内
視鏡の使用時に反射経路βを辿る反射光により発生する
ゴーストが視野内に進入するのを防止しきれないことに
なる。又、保護カバーの透明部材の肉厚を薄くすると、
その部分の強度が落ちるため、内視鏡本体と衝突した場
合等の破損する虞が生じるし、観察光学系と照明光学系
との距離を大きくすると、結果的に保護カバー付き内視
鏡の外径が大きくなってしまう。
【0011】又、上記第四の方法によれば、反射経路β
を辿る照明光により発生するゴーストを防止することは
可能になるが、反射経路α辿る照明光により発生するゴ
ーストは防止しきれない。この方法では、上記第一の方
法と同様に、内視鏡本体の観察光学系と照明光学系との
間に遮光部を形成しているため、内視鏡本体の先端部自
体が大きくなってしまい、ひいては保護カバー付き内視
鏡の外径も大きくなってしまう。更に、内視鏡本体表面
と保護カバー内側面との間隔が広がってしまう場合に
は、反射経路βを辿る照明光によるゴーストも発生して
しまうことになる。
【0012】そこで、本発明は、上記のような従来技術
が有する問題点に鑑み、製造コストの低い単純な構成
で、内視鏡の外径が大きくなることもなく、観察視野内
にゴースト,フレアの発生しない保護カバー付き内視鏡
を提供することを目的とする。又、本発明の保護カバー
付き内視鏡では、視野ケラレ,照明ケラレを生じること
はなく、内視鏡本体と保護カバーとにズレが生じた場合
にも問題なく前記効果が得られるように配慮している。
【0013】
【課題を解決するための手段及び作用】上記目的を達成
するために、本発明による保護カバー付き内視鏡は、先
端部に観察光学系と照明光学系とが隣接配置されている
内視鏡本体と、この内視鏡本体の少なくとも一部を被覆
し、前記内視鏡本体の観察光学系と照明光学系とに対面
する部分が透明部材により構成された内視鏡保護カバー
と組み合わせて構成された保護カバー付き内視鏡におい
て、前記内視鏡保護カバーの透明部材の少なくとも一面
にコーティングを施し、このコーティングに照明光の反
射防止作用が備えられていればよい。
【0014】又、前記内視鏡保護カバーの透明部材の少
なくとも一面に施したコーティングが特定波長領域にお
いて特に反射率の低い反射防止コートであり、内視鏡本
体から出射する照明光が内視鏡保護カバーの透明部材の
少なくとも一面を含む一つ以上の面で反射することによ
りゴーストを生じる場合には、前記照明光の反射面の特
に反射率の低い波長領域とその照明光の強度の強い波長
領域とをほぼ等しくするようにコーティングを施せば、
ゴーストの発生を抑制することができる。
【0015】又、内視鏡本体から出射する照明光が内視
鏡保護カバーの透明部材の少なくとも二面で反射するこ
とによりゴーストを発生する場合には、前記保護カバー
の透明部材の前記照明光の反射面二面に夫々反射率の波
長特性が異なる反射防止コートとしてのコーティングを
施し、夫々の反射防止コートが有する波長特性が二面以
上の反射面を組み合わせることにより互いに相殺され、
前記照明光の強度をほぼ全波長領域で弱くできるように
構成すればよい。
【0016】又、前記保護カバーの透明部材の少なくと
も一面と前記内視鏡本体の先端面との間の照明光の反射
によりゴーストを生じる場合には、前記保護カバーの前
記照明光の反射面に前記内視鏡本体の先端面での反射光
の波長特性を相殺する波長特性を有する反射防止コート
を施すことにより対処可能になる。更に、前記保護カバ
ーの透明部材の少なくとも一面と前記内視鏡本体の先端
面にある観察窓面との反射によりゴーストを生じる場合
には、前記保護カバーの透明部材の照明光の反射面と前
記内視鏡本体の観察窓面とに互いの波長特性を相殺し合
うコーティングを施すことにより、ほぼ全波長領域にお
いてゴーストの発生を抑制することができる。
【0017】更に、本発明では、前記保護カバーの透明
部材の少なくとも一面に施されたコーティングが、前記
内視鏡照明光の波長特性,CCD感度の波長特性及び対
物系内の光学部品の全ての透過率の波長特性を積算し
て、そのCCDに入射する前記照明光の強度が強くなる
波長領域での反射率が特に低くなるようにしたことによ
り、最も効果的にゴーストの発生を抑制することができ
るようになっている。
【0018】一方、本発明の保護カバー付き内視鏡で
は、その保護カバーの透明部材の少なくとも一面に照明
光の特定入射角に対する反射率が低くなる反射防止コー
トとしてのコーティングを施したことによっても、ゴー
ストの発生を効果的に防止することができるようになっ
ている。
【0019】このとき、前記保護カバーの透明部材の外
側面に施された反射防止コートの反射率は、以下の式に
より表される角度θn1又はωの何れか小さい方から角度
θn2までの範囲内で特に低くなるように設定すると、反
射経路αを辿る照明光により発生するゴーストを効果的
に抑制することができる。 但し、L:内視鏡本体の観察光学系の光軸と照明光学系
の光軸との距離 r:照明光学系の半径 t:内視鏡本体の観察光学系の観察窓面から前記保護カ
バーの透明部材の内側面までの距離 d:前記保護カバーの透明部材の厚さ(空気換算長) e:内視鏡本体の観察光学系の観察窓面から入射瞳位置
までの距離 n:照明光の前記保護カバーの透明部材外側面上での反
射回数 2ω:観察光学系の視野範囲 である。
【0020】一方、前記保護カバーの透明部材の外側面
に施された反射防止コートの反射率を、以下の式により
表される角度θ’n1又はωの何れか小さい方から角度
θ’n2までの範囲内で特に低くなるように設定しても、
本発明の目的を達成することができる。 但し、L:内視鏡本体の観察光学系の光軸と照明光学系
の光軸との距離 r:照明光学系の半径 t:内視鏡本体の観察光学系の観察窓面から前記保護カ
バーの透明部材の内側面までの距離 e:内視鏡本体の観察光学系の観察窓面から入射瞳位置
までの距離 n:照明光の前記保護カバーの透明部材外側面上での反
射回数 2ω:観察光学系の視野範囲 である。
【0021】以下、本発明の作用について説明する。
【0022】図1は本発明の保護カバー付き内視鏡の先
端部の構成を示す断面図である。図のように、本発明の
保護カバー付き内視鏡では、観察光学系2と照明光学系
3とが隣接配置された内視鏡本体1の先端部に保護カバ
ー4が取り付けられている。又、保護カバー4の内視鏡
本体1の先端面1aと対面する位置に透明部材5が設け
られている。
【0023】まず、反射経路αを辿る照明光により発生
するゴーストについて説明する。内視鏡本体1の照明光
学系3から出射した照明光3aは保護カバー4の透明部
材5の内側面6でその一部が反射し、残りは透過する。
透明部材5の内側面6がコーティングがされていない状
態でその反射率RがR<1であるとき、図2に示すよう
に、内視鏡本体からの照明光の出射光量を1とすると、
反射光の光量はR,透過光の光量は1−Rとなる。透明
部材5の内側面6を透過した照明光の一部は、透明部材
5の外側面7で反射し、残りは透過する。このとき、保
護カバーの透明部材5の外側面7がコーティングがされ
ていない状態であれば、透明部材5の内側面6を透過し
た照明光の1−Rの光量のうち、R(1−R)分が透明
部材5の外側面7で反射し、(1−R)2 分が透過する
ことになる。同様に、透明部材5の外側面7で反射した
R(1−R)の光量のうち、R2 (1−R)分が透明部
材5の内側面6で反射し、R(1−R)2 分が透過する
(図中のP1 ,P2 ,・・・,Pn は外側面7上におけ
る照明光の反射点を示している)。この繰り返しによ
り、保護カバーの透明部材5の外側面7でn回(nは自
然数)反射した光が最終的に図1に示した内視鏡本体1
の観察光学系2に入射してゴーストとなるとすると、観
察光学系2内で発生するゴーストの強度は、 R2n-1(1−R)2 ・・・・(7) となる。
【0024】一方、図2において、保護カバーの透明部
材5の外側面7に反射率kR(k<1)の反射防止のた
めのコーティングを施すと、発生するゴーストの強度
は、 kn 2n-1(1−R)2 ・・・・(8) となり、この場合、k<1であるためゴーストは大幅に
弱くなり、目立たなくなる。例えば、保護カバーの透明
部材5がBSL7により形成されている場合には、コー
ティングがされていない状態ならば透明部材5の表面の
反射率RはR=0.04であるが、その表面にマルチコ
ートを施すと反射率はkR=0.003となる。透明部
材5の外側面7での反射回数nがn=1である場合に
は、無コーティング状態ならば光の強度は照明射出光量
の3.6%、透明部材5の外側面7にマルチコートを施
した場合には、それが0.28%となる。このように、
保護カバーの透明部材5の外側面7にマルチコートを施
せば、発生するゴーストの強度は10分の1以下となる
ため、ゴーストは殆ど目立たない状態になる。更に、保
護カバーの透明部材5の内側面6にもかかるコーティン
グを施せば、発生するゴーストの強度は、 k2n-12n-1(1−R)2 ・・・・(9) となり、一層目立たないものとなる。
【0025】同様に、反射経路βを辿る照明光により生
じるゴーストについて考える。図3において、内視鏡本
体1の照明光学系3から出射した照明光3aは反射経路
αを辿る場合と同様に、保護カバー4の透明部材5の内
側面6でその一部が反射し残りは透過する。そして、そ
の反射光は、透明部材5の内側面6と内視鏡本体1の先
端面1aとの間の反射を繰り返し、観察光学系2へ入射
しゴーストとなる。このとき、図4に示すように、照明
光学系3からの照明光の射出光量を1とし、保護カバー
の透明部材5の内側面6の反射率をRとすれば、透明部
材5の内側面6による反射光の光量はRとなる。次に、
透明部材5の内側面6での反射光が反射率Sを有する内
視鏡本体1の先端面1aで反射したとすると、この反射
光の強度はRSとなる(図中のQ1 ,Q2 ,・・・,Q
n は内側面6上における照明光の反射点を示してい
る)。
【0026】よって、保護カバーの透明部材5の内側面
6上でn回(nは自然数)反射した光が観察光学系2に
入射してゴーストを生じるとすると、このときのゴース
トの強度は、 Rn n-1 (1−S) ・・・・(10) となる。ここで、保護カバーの透明部材5の内側面6に
照明光の反射を防止するためのコーティングを施し、か
かる面における反射率がk’R(k’<1)になった場
合、このときの反射経路βを辿る照明光により発生する
ゴーストの強度は、 k’n n n-1 (1−S) ・・・・(11) となる。この場合、k’<1であるため、発生するゴー
ストの強度を大幅に弱くすることができる。例えば、こ
のとき、保護カバーの透明部材5をBSL7により形成
し、反射防止コートをマルチコート、透明部材5の内側
表面6での反射回数nをn=1とした場合、コーティン
グを施すことによって発生するゴーストの強度はコーテ
ィングがされていない状態の場合の僅か7.5%とな
り、明らかに発生するゴーストは目立ちにくくなってい
る。
【0027】ところで、内視鏡本体から出射される照明
光にはその波長による強度の差が生じるため、発生する
ゴーストもその波長により異なった強度を示す。図5は
発生するゴーストの波長特性を示しているが、このゴー
ストの波長特性が図中の曲線Cのように可視波長域内で
強度が変動しているとき、前記保護カバーの透明部材の
表面上に施すコーティングの波長特性がAであるような
場合、ゴーストの波長特性はA’(=A×C)となり、
特定波長領域内で強い強度を保ったまま残存することか
ら、色のついたゴーストが見えてしまう。そこで、反射
率特性が図中の曲線Bで示されるように、ゴースト光の
強度が強い波長において分光反射率が小さくなるような
分光反射率を有するコーティングを施せば、ゴーストの
波長特性はB’(=B×C)に示すようになり、ほぼ全
ての波長領域に亘って前記照明光の強度が衰退して、ゴ
ーストが見えるようなことはなくなる。
【0028】又、照明光の波長による強度の差が殆ど生
じない場合であっても、反射経路αを辿る照明光により
ゴーストが発生する場合には、図3に示した保護カバー
4の透明部材5の外側面7において相対的に高い反射率
を生じる波長領域の反射率を、透明部材5の内側面6に
施した反射防止コートにより相対的に低くなるように設
定し、一方、透明部材5の内側面6において相対的に高
い反射率を生じる波長領域の反射率を、透明部材5の外
側面7に施した反射防止コートにより相対的に低くなる
ように設定することが好ましい。このように構成するこ
とによって、両面に施された反射防止コートの有する波
長特性を合成することができ、両面間において反射され
る照明光の強度をほぼ全波長領域において弱くすること
ができる。例えば、図6に示す曲線D及びEの反射率を
有する反射防止コートを夫々ゴーストの原因面に施せ
ば、合成される反射率は図中の曲線Fのようになり広波
長領域での反射率を低く設定することができる。このよ
うに、ゴーストの原因となる二面以上の反射面に夫々波
長特性の異なる反射防止コートを施し、一方の面の反射
率が他方の面の反射率に比べて相対的に高くなるように
設定すれば、夫々の面が有する波長特性が合成されるこ
とにより、発生するゴーストの強度を全波長領域に亘っ
て低く抑制することができる。このようにすることを
「波長特性が互いに相殺される」と表現することにす
る。
【0029】又、反射経路βを辿る反射光によるゴース
トが発生する場合にも、上記と同様に、内視鏡本体の先
端面において高い反射率を生じる波長領域内での反射率
を特に低くすることができる反射防止コートを図3に示
した保護カバー4の透明部材5の内側面6に施せば、照
明光の反射光の強度はほぼ全波長領域で低くなり、発生
するゴーストは目立たなくなる。即ち、このとき、図7
に示すように、内視鏡本体1の観察光学系2の観察窓面
9にもコーティングを施し、前記と同様に保護カバー4
の透明部材5の内側面6の反射率波長特性と観察光学系
2の観察窓面9の反射率波長特性とが互いに相殺される
ようにすれば、発生するゴーストを目立ちにくくするこ
とができるのである。
【0030】前述のように、保護カバー付き内視鏡にお
いて発生するゴーストは、図7に示すように、内視鏡本
体1から出射する照明光の保護カバー4の透明部材5の
内側面6及び外側面7による反射光が観察光学系2に入
射し、図示しないCCD撮像面まで到達することが原因
である。よって、最終的にCCD撮像面に照明光の透明
部材5による反射光がある程度の強度以上で到達しなけ
ればゴーストは見えないことになる。そこで、保護カバ
ー4の透明部材5の内側面6或いは外側面7にコーティ
ングを施すとき、内視鏡本体1から出射される照明光が
有する波長特性、CCD感度の波長特性、観察光学系内
に設けられている色補正フィルタ等の光学部材による波
長特性の全てを合成し、CCDにに到達するゴーストの
強度が強い波長領域の反射率を相対的に低くし得るコー
ティングを施せば、保護カバー付き内視鏡においてゴー
ストの生じない視野を確保することができ、観察に支障
を来すようなことはなくなる。
【0031】ところで、一般的な反射防止コートは、垂
直方向に入射する光に対して最も反射率が低くなるよう
に設計されている。この場合、図8に示すように、入射
角度が大きくなるにつれて反射率も高くなる。一方、図
9及び10に示すように、保護カバー付き内視鏡では、
保護カバー4の透明部材5の内側面6及び外側面7での
反射角がθである反射光によりゴーストが発生してい
る。そこで、保護カバー4の透明部材5の内側面6及び
外側面7に夫々施す反射防止コートを入射角θに対する
反射率が低くなるように設定することにより、より一層
のゴースト防止効果を得ることができる。
【0032】まず、このときの反射経路αを辿る照明光
により発生するゴーストを防止するための条件を図9に
基づき説明する。図9において、内視鏡本体1には観察
光学系2と照明光学系3とが夫々光軸間の距離Lで隣接
配置されている。ここで、観察光学系2の観察窓面9か
ら入射瞳位置までの距離をe、照明光学系3の半径をr
とする。又、観察光学系2の光軸10と照明光学系3の
光軸11とを結んだ直線と照明光学系3の外径との交点
のうち、観察光学系2から遠い側の点をM、近い側の点
をNとする。一方、保護カバーには空気換算長での厚さ
がdである透明部材5が設けられており、透明部材5の
内側面6と内視鏡本体1の観察光学系2の観察窓面9と
の距離をtとする。
【0033】このとき、点Mから出射した照明光が透明
部材5の外側面7で1回反射したときの反射光の観察光
学系2への入射角度θ11は以下の式により表される。 同様に、点Nから出射した照明光が透明部材5の外側面
7で1回反射したときの反射光の観察光学系2への入射
角度θ12は以下の式により表される。
【0034】以上により、観察光学系2の観察窓面上に
達する照明光の反射光の観察光学系2内への入射角の大
きさはθ11からθ12の範囲となる。ところで、観察光学
系2の視野角が2ωであるとすると、θ12≧ωであれ
ば、前記照明光は観察光学系2の視野内へ入ることはな
い。又、θ11>ωであれば、観察光学系2に入射する照
明光の入射角の大きさの範囲はθ12からωまでとなる。
よって、透明部材5の外側面7に施す反射防止コートに
おいては、入射角がθ 11又はωの何れか小さい方からθ
12までの範囲の観察光学系2へ入射する照明光の反射率
を特に低く設定できるような構成であれば、ゴーストの
発生を防止する上で非常に効果的である。
【0035】次に、透明部材5の外側面7での反射回数
がn回の場合について考える。点M,Nより出射する照
明光の透明部材5の外側面7による反射光の入射角の大
きさを夫々θn1,θn2とすると、θn1,θn2は以下の式
によって示される。 ここで、(n−1)回反射した照明光はωよりも大きな
入射角を有するが、n回反射した照明光はωよりも入射
角が小さくなる。従って、θ(n-1)2>ω≧θn2(n=
1,2,・・・・)であれば、透明部材5の外側面7で
n回目の反射をした照明光が始めて視野内に入ることに
なり、入射角がθn2である場合の反射光により発生する
ゴーストが最も強く見えることになる。
【0036】従って、θ(n-1)2>ω≧θn2(n=1,
2,・・・・)のときに、照明光の入射角の大きさの範
囲はθn1又はω何れかの小さいほうからθn2であるた
め、この範囲内で反射率が特に低くなるような反射防止
コートを透明部材5の外側面7に施せば、ゴーストの発
生を非常に効果的に防止することができる。尚、更に反
射回数の多い照明光(例えば(n+1)回反射した照明
光)は、より観察光学系2への入射角が小さくなり、当
然観察光学系2の有効像面に到達することになる。しか
し、反射光は反射回数が大きくなる程その強度が衰退す
るため、本発明のように、反射光のうち最強のゴースト
原因となるものについて対処できるようにしておけば、
ゴーストの発生が問題となるようなことはない。
【0037】同様にして、図10を用いて反射経路βを
辿る反射光により発生するゴーストについて説明する。
保護カバー4の透明部材5の内側面6での照明光の反射
回数がn回の場合の反射角度θ’n1とθ’n2とを考える
と、θ’n1及びθ’n2は以下に示す式によって表され
る。 ここでも、前記と同様に、θ(n-1)2>ω≧θn2(n=
1,2,・・・・)のときに、入射角がθn1又はωの何
れか小さいほうからθn2までの範囲内において反射率が
特に低くなる反射防止コートを透明部材5の外側面7に
施せば、ゴースト発生の防止に大きな効果が得られる。
尚、上記説明において、反射回数n=1の場合は条件式
θ(n-1)2>ω≧θn2の上限がθ02となるが、反射回数ゼ
ロの反射光というのは存在しないため、角度θ 02も存在
しない。従って、n=1の場合には、前記条件式はω≧
θ12という関係式に置き換えられる。
【0038】
【実施例】以下、図示した実施例に基づき本発明を詳細
に説明する。第一実施例 図11及び図12に基づき、本実施例にかかる保護カバ
ー付き内視鏡について説明する。図11は内視鏡先端部
の構成を示す断面図であり、観察光学系22の光軸24
と照明光学系23の光軸25とを含む面の断面を示して
いる。図中、二点鎖線は観察光学系22の視野範囲を示
している。内視鏡本体21の先端部には視野角2ω=1
00°の観察光学系22と照明光学系23とが隣接して
配置されている。尚、観察光学系22の光軸24と照明
光学系23の光軸25との距離Lは4mmである。又、
内視鏡本体21の先端部に取り付けられた保護カバー2
6の内視鏡の観察光学系22及び照明光学系23に対面
する部分には、材質がBSL7(屈折率nd =1.51
63、厚さd=0.6mm)の平行平板27が設けられ
ており、内視鏡本体21の先端面28と平行平板27の
内側面29との距離は0.3mmとなっている。ここ
で、保護カバー26に設けられている平行平板27の内
側面29及び外側面30には、反射率が0.3%のマル
チコートが施されている。尚、BSL7にコーティング
が施されていない状態での反射率は4.21%である。
【0039】まず、反射経路αでは、図11において点
線で示された照明光の平行平板27の外側面30での反
射回数nが2回の場合、反射角θ=57°>ωとなるの
で照明光が観察光学系22に入射してゴーストとなるよ
うなことはない。そこで、平行平板27の外側面30で
の反射回数nが3回である場合について考える。照明光
学系23から出射される照明光の出射光量を1としたと
き、上記条件式(9)に基づき観察光学系22に入射す
る照明光の強度を計算すると、以下のようになる。 内側面29及び外側面30にマルチコートを施した場
合:2.28×10-13 内側面29及び外側面30にコーティングがされてい
ない状態の場合:1.213 ×10-7 このように、反射面にマルチコートを施した場合の反射
光の強度は、無コーティング状態の場合のそれと比較し
て10-6倍となる。
【0040】次に、反射経路βでは、図12に示すよう
に、平行平板27の内側面29での反射回数nがn≦4
の場合、反射角の大きさは観察光学系22の視野角より
大きくなり、ゴーストが視野内に現れて観察に支障をき
たすことはない。そこで、反射回数nが5以上の場合
に、観察光学系22に入射する反射光の強度を上記条件
式(11)に基づき計算すると、内側面29が無コーテ
ィング状態である場合と比較して、マルチコートが施さ
れている場合には10-6倍となる。又、反射経路αでn
>4の場合及び反射経路βでn>6の場合には、夫々上
記説明の場合よりも、反射回数は多くなるため反射光は
弱くなり、発生するゴーストが目立ちにくくなる。
【0041】以上のように、平行平板27の内側面29
及び外側面30にマルチコートを施すことにより、反射
経路α,βを辿る反射光を原因とするゴーストは双方と
も強度が衰退し、ゴーストが視野内に入り込むことはな
くなる。このとき、反射経路βにおいては、内視鏡本体
21の先端面28のうち、観察光学系22の観察窓面で
も照明光の反射が起きているため、観察光学系22の観
察窓面にも反射防止コートを施すことよりゴーストの発
生を抑制することができる。特に、かかる反射防止コー
トとして施されるマルチコートの反射率を、相対的に高
い反射率を生じる波長領域で低くなるよう構成すれば、
非常に効果的にゴーストの発生を防止することができ
る。
【0042】第二実施例 次に、図11及び図13に基づいて本実施例にかかる保
護カバー付き内視鏡を説明する。本実施例の保護カバー
付き内視鏡は、図11に示した第一実施例の内視鏡と同
様の構成を有しているが、保護カバー26の平行平板2
7がPMMA(プラスチック)により構成されている点
が異なっている。そして、平行平板27の外側面30に
は反射コートa(二層コート)が、内側面29には反射
コートb(PMMA用多層コート)が施されている。図
13には、このときの反射コートa及びbの反射率特性
が示されている。尚、同図において、a×bの表記は反
射コートaと反射コートbとの合成波長特性を示してい
る。
【0043】二層コートは多層コートと比較して安価で
あるが、特定波長(反射コートaでは440〜540n
m)領域内での反射率は低いものの、この他の波長領域
における反射率は相対的に若干高くなる。よって、二層
コートを平行平板27の外側面30及び内側面29の双
方に施すと、反射経路αを辿る照明光により発生するゴ
ーストは、前記二面に施された反射防止コートの波長特
性を合成することにより前記特定波長領域内での反射率
は更に低くなるものの、それ以外の波長領域では反射率
が相対的に高くなるため、発生するゴーストを完全に除
去することは不可能になる。一方、多層コートを用いる
と、広波長領域に亘って反射率を低く抑えることがで
き、ゴーストの発生を完全に抑えることが可能になる
が、高価なものになってしまうという問題がある。
【0044】そこで、本実施例では、二層コートを平行
平板27の外側面30に施し、その内側面29にはマル
チコートを施したことにより、照明光の反射率は図13
に示したa×bのように広波長領域でほぼ平坦になる。
更に、製造コストも、両面をマルチコートで覆った場合
と比較して格段に安価になっている。
【0045】第三実施例 図14において、曲線fは照明光の波長特性を、曲線g
は観察光学系を構成する光学系部品の光の透過率とCC
Dの感度とを合成した内視鏡感度の波長特性を示してい
る。又、曲線hは前記曲線fとgとを合成した値を示し
ている。この前提の下で、本実施例にかかる保護カバー
付き内視鏡では、保護カバーの透明部材の内側面及び外
側面に、図15において曲線iとして示された波長特性
を有する単層コートを施している。その他の構成は第一
実施例に示したものと同様である。
【0046】内視鏡本体から出射する照明光が保護カバ
ーの透明部材の表面で反射し、内視鏡本体の観察光学系
に入射してゴーストを発生するような場合、このゴース
トの波長特性は図14に示す曲線hのようになり、波長
領域480〜580nmでの強度が特に強いことが分か
る。そこで、波長領域480〜580nmにおける照明
光の反射率が特に低くなるような反射防止コート(曲線
iに示す波長特性を有する)をかかる保護カバーの照明
光の反射面に施せば、反射光の強度は図15に示す曲線
jのようになり、前記波長領域内での反射光は特に弱く
なる。又、前記以外の波長領域においては、保護カバー
の透明部材の表面における照明光の反射率は相対的に高
くなるが、元来発生するゴーストのなかでもこれらの領
域での波長の強度は強くなく、波長領域480〜580
nmにおける反射光の強度に比べても、極端に強くなる
ようなことはない。よって、ほぼ全波長域において発生
するゴーストは弱くなり、視野内にゴーストが入り込ん
で障害を発生するようなことはなくなる。
【0047】第四実施例 図16及び17は本実施例にかかる保護カバー付き内視
鏡の内視鏡先端部の構成を示す断面図であり、観察光学
系22の光軸24と照明光学系23の光軸25とに沿う
断面を示している。この図のように、内視鏡本体21の
先端部には視野角2ω=100°を有する観察光学系2
2と照明光学系23とが隣接して配置されている。尚、
観察光学系22の光軸24と照明光学系23の光軸25
との距離Lは4mmである。観察光学系22の観察窓面
22aから平行平板27の内側面29までの距離e=
0.34mm,照明光学系23の半径r=1mmであ
る。又、内視鏡本体21の先端部に取り付けられた保護
カバーの観察光学系22及び照明光学系23に対面する
部分には、材質がPMMA(屈折率nd =1.492、
厚さd=0.5mm)である平行平板27が設けられて
おり、内視鏡本体21の先端面28と平行平板27の内
側面29との距離は0.3mmとなっている。尚、図1
6では、前記保護カバーの平行平板27の厚さを空気換
算長として示している。
【0048】まず、図16に基づき、反射経路αを辿る
照明光により発生するゴーストについて考える。上記式
(1),(2),(3)によりn=1のとき、θ12=6
1.78°、n=2のとき、θ22=52.7°となるた
め、平行平板27の外側面30での反射回数nが2回の
ときに最も強いゴーストが見えることになる。このと
き、θ21=65.49°であるので、ゴーストの発生原
因となる照明光の観察光学系23への入射角の大きさは
52.7〜60°の範囲となる。同様にして、図17に
基づき、反射経路βを辿る照明光により発生するゴース
トについて考える。n=2のとき、θ’22=62.83
°、n=3のとき、θ’ 32=54.5°となるので、平
行平板27の内側面29での反射回数nが3回であると
きに最も強いゴーストが見えることになる。このとき、
θ’31=66.8°であるため、ゴーストの発生原因と
なる照明光の観察光学系23への入射角の大きさは5
4.5〜60°の範囲となる。
【0049】ここで、平行平板27の内側面29及び外
側面30には、図18に示す反射特性を有するPMMA
用マルチコートを施す。同図において、曲線w,x,
y,zは、夫々マルチコート面に入射する照明光の入射
角の大きさが0°,30°,50°,60°である場合
に対する反射率が示されている。又、図19はPMMA
用二層コートが有する反射特性を示したものであり、図
中の曲線w’,x’,y’,z’は夫々二層コート面に
入射する照明光の入射角の大きさが0°,30°,50
°,60°である場合に対する反射率が示されている。
ここで、図18と図19とを比較すれば、マルチコート
は二層コートに比べ、入射角50°及び60°に対する
反射率が低いことが分かる。よって、図18に示された
波長特性を有するマルチコートを平行平板27の外側面
30及び内側面29に施すことにより、効果的にゴース
トの発生を防止することができるようになる。
【0050】以上説明したように、本発明による保護カ
バー付き内視鏡は、特許請求の範囲に記載の特徴の他
に、以下に示すような特徴も有している。
【0051】(1)前記内視鏡保護カバーの透明部材の
少なくとも一面に施された前記反射防止コートは、特定
波長領域において特に反射率が低い反射防止コートであ
ることを特徴とする請求項2に記載の保護カバー付き内
視鏡。
【0052】(2)少なくとも二面以上の前記照明光の
反射面に施された前記反射防止コートが有する波長特性
は、前記反射面を組み合わせることにより互いに相殺さ
れるようになっていることを特徴とする請求項4に記載
の保護カバー付き内視鏡。
【0053】(3)前記保護カバーの透明部材の少なく
とも一面と前記内視鏡本体の先端面との間における前記
照明光の反射により生じるゴーストを除去するために、
前記保護カバーの反射面に前記内視鏡本体の先端面での
反射光の波長特性を相殺する波長特性を有する照明光の
反射防止のためのコーティングを施したことを特徴とす
る請求項3に記載の保護カバー付き内視鏡。
【0054】(4)前記保護カバーの透明部材の少なく
とも一面と前記内視鏡本体先端部の観察光学系の観察窓
面との間における照明光の反射により生じるゴーストを
除去するために、前記保護カバーの透明部材の反射面と
前記観察光学系の観察窓面とに互いの波長特性を相殺し
合うコーティングを施したことを特徴とする上記(3)
に記載の保護カバー付き内視鏡。
【0055】(5)前記保護カバーの透明部材の少なく
とも一面に施された反射防止コートの反射率を、前記内
視鏡照明光の波長特性,CCD感度の波長特性及び対物
系内の光学部品の全ての透過率の波長特性を合成したC
CDに入射するゴーストの強度が強い波長領域内で特に
低くなるようにしたことを特徴とする請求項3に記載の
保護カバー付き内視鏡。
【0056】(6)前記保護カバーの透明部材の外側面
に施された反射防止コートの反射率を、以下の式により
表される角度θ’n1又はωの何れか小さい方から角度
θ’n2までの範囲内で特に低くなるようにしたことを特
徴とする請求項6に記載の保護カバー付き内視鏡。 但し、L:内視鏡本体の観察光学系の光軸と照明光学系
の光軸との距離 r:照明光学系の半径 t:内視鏡本体の観察光学系の観察窓面から前記保護カ
バーの透明部材の内側面までの距離 e:内視鏡本体の観察光学系の観察窓面から入射瞳位置
までの距離 n:照明光の前記保護カバーの透明部材外側面上での反
射回数 2ω:観察光学系の視野範囲 である。
【0057】
【発明の効果】上述のように、本発明によれは、コスト
的に優れた単純な構成で、内視鏡の外径が大きくなるこ
ともなく、視野ケラレ,照明ケラレを生ぜず内視鏡本体
と保護カバーとのズレにも対応し得る、観察視野内にゴ
ースト,フレアを生じない保護カバー付き内視鏡を提供
することができる。又、本発明の保護カバー付き内視鏡
は、保護カバーの透明部材の表面に反射防止コートを施
すことにより、照明光学系の出射光量の前記透明部材表
面での反射による光量のロスを抑制し、同時に観察光学
系に入射する際の光量ロスも減少させることができるた
め、内視鏡の観察視野が明るくなるという利点も有す
る。更に、本発明の保護カバー付き内視鏡では、保護カ
バーの透明部材に施したコーティングにより、前記透明
部材の耐久性も向上し、傷等を生じにくくなっている。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による保護カバー付き内視鏡の先端部の
構成を示す断面図である。
【図2】本発明による保護カバー付き内視鏡の先端部に
おける照明光の反射経路を説明するための図である。
【図3】本発明による保護カバー付き内視鏡の先端部の
構成を示す断面図である。
【図4】本発明による保護カバー付き内視鏡の先端部に
おける照明光の反射経路を説明するための図である。
【図5】発生するゴーストの波長特性を示す図である。
【図6】照明光の反射面にコーティングを施した効果を
説明するための図である。
【図7】本発明による保護カバー付き内視鏡の先端部の
構成を示す断面図である。
【図8】照明光が観察光学系の観察窓に入射するときの
入射角の大きさと反射率の大きさとの関係を示す図であ
る。
【図9】反射経路αを辿る照明光により発生するゴース
トの防止方法を説明するための図である。
【図10】反射経路βを辿る照明光により発生するゴー
ストの防止方法を説明するための図である。
【図11】本発明の第一実施例にかかるカバー付き内視
鏡の構成を示す光軸に沿う断面図である。
【図12】本発明の第一実施例にかかるカバー付き内視
鏡の構成を示す光軸に沿う断面図である。
【図13】本発明の第二実施例にかかるカバー付き内視
鏡により得られる効果を説明するための図である。
【図14】本発明の第三実施例にかかるカバー付き内視
鏡を説明するための図である。
【図15】本発明の第三実施例にかかるカバー付き内視
鏡により得られる効果を説明するための図である。
【図16】本発明の第四実施例にかかるカバー付き内視
鏡の構成を示す光軸に沿う断面図である。
【図17】本発明の第四実施例にかかるカバー付き内視
鏡の構成を示す光軸に沿う断面図である。
【図18】本発明の第四実施例にかかるカバー付き内視
鏡による得られる効果を説明するための図である。
【図19】本発明の第四実施例にかかるカバー付き内視
鏡による得られる効果を説明するための図である。
【図20】従来の保護カバー付き内視鏡において発生す
るゴーストの原因を説明するための図である。
【図21】従来の保護カバー付き内視鏡において発生す
るゴーストの原因を説明するための図である。
【図22】従来の保護カバー付き内視鏡においてゴース
トの発生を防止するための方法を説明するための図であ
る。
【図23】従来の保護カバー付き内視鏡においてゴース
トの発生を防止するための方法を説明するための図であ
る。
【図24】従来の保護カバー付き内視鏡においてゴース
トの発生を防止するための方法を説明するための図であ
る。
【図25】従来の保護カバー付き内視鏡においてゴース
トの発生を防止するための方法を説明するための図であ
る。
【符号の説明】
1,21 内視鏡本体 1a,28 内視鏡本体の先端面 2,22 観察光学系 3,23 照明光学系 3a 照明光 4,26 内視鏡保護カバー 5 透明部材 6,29 内側面 7,30 外側面 9 観察窓面 10,11,24,25 光軸 27 平行平板 L 光軸24と光軸25との距離 M,N 光軸10と光軸11とを結んだ直線と観察
光学系3の外径との交点 d 透明部材5(平行平板27)の厚さ e 観察光学系2の観察窓面8から入射瞳位置
までの距離 r 照明光学系3の半径 t 内側面6と観察光学系2の観察窓面9まで
の距離

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 先端部に観察光学系と照明光学系とが隣
    接配置されている内視鏡本体と、該内視鏡本体の少なく
    とも一部を被覆し、前記内視鏡本体の観察光学系と照明
    光学系とに対面する部分が透明部材により構成された内
    視鏡保護カバーと組み合わせて構成された保護カバー付
    き内視鏡において、 前記内視鏡保護カバーの透明部材の少なくとも一面にコ
    ーティングを施したことを特徴とする保護カバー付き内
    視鏡。
  2. 【請求項2】 前記内視鏡保護カバーの透明部材の少な
    くとも一面に施されたコーティングは反射防止コートで
    あることを特徴とする請求項1に記載の保護カバー付き
    内視鏡。
  3. 【請求項3】 内視鏡本体から出射する照明光が内視鏡
    保護カバーの透明部材の少なくとも一面を含む一つ以上
    の面で反射することによりゴーストを生じる保護カバー
    付き内視鏡において、 前記反射面に前記照明光の反射防止コートとしてのコー
    ティングを施し、該反射防止コートの有する特に反射率
    の低い波長領域と前記反射面に入射する前記照明光の強
    度が強い波長領域とをほぼ等しくなるようにしたことを
    特徴とする保護カバー付き内視鏡。
  4. 【請求項4】 内視鏡本体から出射する照明光が内視鏡
    保護カバーの透明部材の少なくとも二面で反射すること
    によりゴーストを生じる保護カバー付き内視鏡におい
    て、 前記保護カバーの透明部材の前記照明光反射面に夫々反
    射率の波長特性が異なる反射防止コートとしてのコーテ
    ィングが施されていることを特徴とする保護カバー付き
    内視鏡。
  5. 【請求項5】 前記保護カバーの透明部材の少なくとも
    一面に特定入射角に対する反射率が低くなる前記照明光
    の反射防止コートとしてのコーティングが施されている
    ことを特徴とする請求項2に記載の保護カバー付き内視
    鏡。
  6. 【請求項6】 前記保護カバーの透明部材の外側面に施
    された前記反射防止コートの反射率を、以下の式により
    表される角度θn1又はωの何れか小さい方から角度θn2
    までの範囲内で特に低くなるようにしたことを特徴とす
    る請求項5に記載の保護カバー付き内視鏡。 但し、L:内視鏡本体の観察光学系の光軸と照明光学系
    の光軸との距離 r:照明光学系の半径 t:内視鏡本体の観察光学系の観察窓面から前記保護カ
    バーの透明部材の内側面までの距離 d:前記保護カバーの透明部材の厚さ(空気換算長) e:内視鏡本体の観察光学系の観察窓面から入射瞳位置
    までの距離 n:照明光の前記保護カバーの透明部材外側面上での反
    射回数 2ω:観察光学系の視野範囲 である。
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