JPH08145985A - 固体中のダイオキシン類の溶剤抽出方法 - Google Patents

固体中のダイオキシン類の溶剤抽出方法

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JPH08145985A
JPH08145985A JP29119794A JP29119794A JPH08145985A JP H08145985 A JPH08145985 A JP H08145985A JP 29119794 A JP29119794 A JP 29119794A JP 29119794 A JP29119794 A JP 29119794A JP H08145985 A JPH08145985 A JP H08145985A
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extraction
solvent
dioxins
solid
ultrasonic vibration
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JP29119794A
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Kunio Miyazawa
邦夫 宮澤
Hiroaki Mamezuka
廣章 豆塚
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JFE Engineering Corp
Original Assignee
NKK Corp
Nippon Kokan Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 本発明は、ごみ焼却炉から排出される飛灰な
どの固体中から、短時間で、しかも高精度の分析が可能
な程度にダイオキシン類を溶剤抽出する方法を提供す
る。 【構成】 固体中からダイオキシン類を抽出する際に、
アルコール類を1〜10重量%含む芳香族炭化水素系溶
剤を用い、かつ超音波振動を加えることを特徴とする固
体中のダイオキシン類の溶剤抽出方法など。 【効果】 抽出時間を従来法の1/3程度に短縮でき、
かつ分析精度が向上した。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ごみ焼却炉などから排
出される飛灰などの固体中に含まれる極微量のポリ塩化
ジベンゾーpーダイオキシン(PCDDs)やポリ塩化
ジベンゾフラン(PCDFs)などのダイオキシン類を
溶剤抽出する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、一般のごみや産業廃棄物などの焼
却過程で発生するPCDDsやPCDFsなどのダイオ
キシン類が環境汚染物質として社会問題になっている。
特にこれらの化合物には、2、3、7、8ー位に置換塩
素を有する異性体である2、3、7、8ー四塩化ダイオ
キシン(T4 CDD)や2、3、7、8ー四塩化ジベン
ゾフラン(T4 CDF)などの極めて毒性の強い物質が
含まれているため、焼却過程で発生するダイオキシン類
の分析は迅速かつ高精度に行われる必要ある。
【0003】ごみ焼却炉から排出される飛灰中などに含
まれるPCDDsやPCDFsの分析法には、多くの報
告があるが、一般的には島津科学ジャーナル(第4巻、
1992年)に記載されている方法で行われている。す
なわちソックスレー抽出器を用いベンゼンやトルエンな
どの芳香族炭化水素系溶剤で24時間程度の溶剤抽出を
行った後、クリーンアップ、濃縮処理を経て検液を作成
し高性能ガスクロマトグラフィーで分析する。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながらこの方法
では、24時間程度の長時間抽出を行っているため還流
循環して使用している溶剤の揮発ロスは避けられず、多
量の溶剤補充が必要となる。例えば溶剤としてベンゼン
を用いた場合などは、最初に用いた量と同程度の量を補
充しなければならない場合もある。そのため抽出液中に
は溶剤由来の外来性夾雑物が多量に混入する。さらに抽
出容器などの使用機器からの外来性夾雑物の混入もあ
る。このような外来性夾雑物はクリーンアップ処理であ
る程度除去できるが、その量が多くなると検液中に残
り、ガスクロマトグラフィー分析における分解能の低下
や感度変動などを引き起こし、極微量のダイオキシン類
の分析に対しては大きな障害となって、その分析精度を
低下させる。そのため抽出時間をできるだけ短時間にす
ることが望ましいが、ただ単に時間を短くしても不十分
な抽出となり高精度の分析はできない。
【0005】短時間で、しかも高精度の分析が可能な程
度に固体中からダイオキシン類を溶剤抽出する一つの方
法として、固体中のダイオキシン類の抽出には言及され
てないが、実開昭58ー67501号公報に提案されて
いる超音波振動を付加して溶剤抽出速度を早める方法が
考えられる。しかし、上記島津科学ジャーナルに記載さ
れた方法に超音波振動を付加しても、ごみ焼却炉から排
出される飛灰などの固体中に含まれるダイオキシン類に
対しては抽出時間短縮の効果が十分に得られず、分析精
度の向上も図れなかった。
【0006】本発明はこのような問題を解決するために
なされたもので、ごみ焼却炉から排出される飛灰などの
固体中から、短時間で、しかも高精度の分析が可能な程
度にPCDDsやPCDFsなどのダイオキシン類を溶
剤抽出する方法を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記課題は、ごみ焼却炉
から排出される飛灰などの固体中からダイオキシン類を
抽出する際に、アルコール類を1〜10重量%含む芳香
族炭化水素系溶剤を用い、かつ超音波振動を加えること
を特徴とする固体中のダイオキシン類の溶剤抽出方法に
より解決される。また上記溶剤抽出を密閉容器中で行う
ことにより、より外来性夾雑物の混入の少ない、すなわ
ち高精度の分析が可能なダイオキシン類の溶剤抽出が可
能となる。
【0008】ここでアルコール類とは、メタノール、エ
タノール、プロパノール、ブタノール、ヘキサノールな
どの脂肪族系化合物およびフェノール、メチルフェノー
ル、キシレノール(ジメチルフェノール)、ナフトール
などの芳香族系化合物をいう。また芳香族炭化水素系溶
剤とは、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼ
ン、メチルエチルベンゼン、プロピルベンゼン、メチル
ナフタレン、ジメチルナフタレン、テトラリンなどの沸
点のあまり高くない芳香族炭化水素化合物をいう。
【0009】
【作用】ごみ焼却炉から排出される飛灰などの固体試料
中には、水酸基(−OH)などの極性を有する化合物が
多量に含有されている場合が多い。そしてこのような極
性化合物とPCDDsやPCDFsなどのダイオキシン
類の塩素原子あるいは酸素原子に基づく極性を有する部
位との水素結合のような強い相互作用により、ダイオキ
シン類は固体試料に吸着されていると考えられる。
【0010】このように固体試料に強固に吸着したダイ
オキシン類を抽出するにあたり、アルコール類を1〜1
0重量%含む芳香族炭化水素系溶剤中で超音波振動を付
加しながら抽出を行うと、その抽出速度を速めることが
できる。その原因は必ずしも明確ではないが、以下のご
とく考えられる。すなわちアルコール類は分子内に水酸
基を有しているため、すでに吸着しているPCDDsや
PCDFsなどのダイオキシン類を押し出して固体試料
中の極性化合物に配位し、ダイオキシン類の抽出を容易
にする。またこのとき超音波振動を付加すると、上記置
換反応は促進される。そのため抽出時間を著しく短縮で
きるため溶剤や機器からの外来性夾雑物の混入を低減で
き、高精度な分析が可能なダイオキシン類の溶剤抽出を
可能にする。含有させるアルコール類の量は1%未満で
は、その効果が十分に発揮されず、また10%を越える
と芳香族炭化水素系溶剤の溶解力の低下を招く。
【0011】なお上記抽出を密閉容器中で行うと、溶剤
補充の必要が全くなく、また抽出容器自体も簡素化、コ
ンパクト化できるので外来性夾雑物の混入をさらに低減
でき、より高い精度の分析を可能にする。
【0012】
【実施例】
(実施例1)図2に本試験で用いたソックスレー抽出器
を示す。図で、1は抽出容器、2は固体試料、3は抽出
溶剤、4は超音波振動付加装置、5は超音波伝達媒体
(水)、6は試料ホルダー、7は還流冷却器、8は断熱
容器、9はヒーター、10は熱媒(オイル)、11は熱
電対、12は温度制御器である。この抽出器に都市ごみ
の焼却炉から採取した固体試料2である飛灰とメタノー
ルを1重量%含むトルエンの抽出溶剤3を容量比1:5
の割合で仕込み、熱媒(オイル)10で70℃に加熱し
て8時間の抽出を行った。抽出中、オイルバス8〜12
の外壁に設けた超音波振動付加装置4で固体試料2に振
動を与えた。なお抽出中溶剤の一部は飛散するので、適
宜その補充を行った。抽出終了後、抽出液を回収し、多
層シリカゲルカラム、アルミナカラム、活性炭カラムに
通し、クリーンアップ、濃縮処理を行って検液を得た。
この検液を高性能ガスクロマトグラフィーで分析し、極
めて毒性の強いダイオキシン類であるT4 CDDとT4
CDFを定量した。
【0013】(実施例2)抽出溶剤としてプロパノール
を5重量%含むキシレンを用いた以外は、実施例1と同
一の条件で試験を行った。
【0014】(実施例3)実施例1に記載した飛灰とフ
ェノールを10重量%含むベンゼンの溶剤を容量比で
1:2の割合でガラス製抽出容器に入れ、この容器を熔
封した後、図1に示すような方法で溶剤抽出を行った。
図中の番号は図2の番号と同じものを表す。抽出は温度
70℃で8時間、超音波振動を加えながら行った。なお
密閉容器中の抽出のため溶剤補充は行ってない。そして
抽出後は実施例1と同様なクリーンアップ、濃縮処理を
行い、実施例1で用いたガスクロマトグラフィーでT4
CDDとT4 CDFを定量分析した。
【0015】(比較例1)抽出溶剤としてアルコール類
を加えずトルエンのみを用い、かつ抽出時間を24時間
とした以外は、実施例1と同一の条件で試験を行った。
【0016】(比較例2)抽出条件として超音波振動を
加えずに、実施例3と同一の条件で試験を行った。
【0017】(従来例1)抽出溶剤としてアルコール類
を加えずトルエンのみを用い、しかも超音波振動を加え
ずに24時間の抽出を行った以外は、実施例1と同一の
条件、すなわち従来一般的に行われている方法で試験を
行った。
【0018】結果を表1に示す。本発明である抽出方法
を用いた実施例1、2、3のT4 CDDとT4 CDFの
分析値は、その抽出時間を8時間と従来例1に比べ1/
3に短縮しても、従来例1より高い値を示した。このこ
とはアルコール類を含む芳香族炭化水素系溶剤を用い、
かつ超音波振動を加えると、固体中に含まれる極微量の
ダイオキシン類を著しく効率良く抽出できるため外来性
夾雑物の混入を低減でき、分析精度が向上したことを示
している。また、抽出容器に密閉容器を用いた実施例3
では、ソックスレー抽出器を用いた実施例1、2よりも
さらに高いT4 CDDとT4 CDFの分析値が得られた
が、これは溶剤補充をせず、しかも簡素でコンパクトな
密閉容器を用いているため、溶剤や機器からの外来性夾
雑物の混入をより一層低減できたためと考えられる。
【0019】比較例1は、従来例1に超音波振動を付加
した場合であるが、前記したようにその効果は非常に小
さいことがわかる。また比較例2は実施例3で超音波振
動を付加しない場合であるが、T4 CDDとT4 CDF
の分析値が著しく低い。これはダイオキシン類の抽出が
十分でなく定量的な分析ができなかったためと考えられ
る。このことから、単に超音波振動を付加したり、ある
いは抽出溶剤にアルコール類を添加するだけでは、十分
な効果は得られず、両方の手段を併用することが非常に
有効であることが理解できる。
【0020】
【表1】
【0021】抽出容器に仕込む溶剤/試料の容量比は、
ソックスレー抽出器を用いる場合は5〜10に、また密
閉容器を用いる場合は1〜5にするのが望ましい。これ
らの値の下限をきると抽出が不十分となり、また上限を
越えると溶剤由来の外来性夾雑物の混入が増える恐れが
あるためである。
【0022】密閉容器は、密閉が可能であり、100℃
前後の温度に耐えられるものであれば、金属製でもプラ
スチック製でも、あるいはそれらを組み合わせたものな
どでもかまわない。
【0023】加熱装置は、用いる溶剤の沸点が90℃以
下の場合では、ウォーターバスを用いてもよい。また加
熱にはマントルヒーターを用いてもとくに問題はない。
【0024】抽出温度は高いほど抽出時間が短縮される
が、溶剤の沸点を大きく越える場合は、密閉タイプのプ
ラスチック製やガラス製容器は、耐圧性能の問題があり
使用できない。
【0025】超音波振動を加える方法としては、超音波
振動子を直接抽出容器本体につけて行ってもよく、また
ウォーターバスやオイルバスであればその外壁などにつ
けて熱媒を介して行ってもよい。超音波振動を加える時
期は、抽出中全体にわたって加えるのが望ましいが、抽
出の初期のみに加えても効果が認められる場合もある。
【0026】
【発明の効果】本発明は以上説明したように構成されて
いるので、ごみ焼却炉から排出される飛灰などの固体中
から、従来の1/3程度の抽出時間で、しかも高精度の
分析が可能な程度にPCDDsやPCDFsなどのダイ
オキシン類を溶剤抽出する方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例である密閉容器中で行う抽出
方法を表す図である。
【図2】本試験で用いた超音波振動付加装置の付いたソ
ックスレー抽出器を表す図である。
【符号の説明】
1 抽出容器 2 固体試料 3 抽出溶剤 4 超音波振動付加装置

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 固体中からダイオキシン類を抽出する際
    に、アルコール類を1〜10重量%含む芳香族炭化水素
    系溶剤を用い、かつ超音波振動を加えることを特徴とす
    る固体中のダイオキシン類の溶剤抽出方法。
  2. 【請求項2】 密閉容器中で行うことを特徴とする請求
    項1に記載の固体中のダイオキシン類の溶剤抽出方法。
JP29119794A 1994-11-25 1994-11-25 固体中のダイオキシン類の溶剤抽出方法 Withdrawn JPH08145985A (ja)

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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006234631A (ja) * 2005-02-25 2006-09-07 Showa Shell Sekiyu Kk 土壌中の油分を精度よく分析する方法

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006234631A (ja) * 2005-02-25 2006-09-07 Showa Shell Sekiyu Kk 土壌中の油分を精度よく分析する方法
JP4700372B2 (ja) * 2005-02-25 2011-06-15 昭和シェル石油株式会社 土壌中の油分を精度よく分析する方法

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