JPH08143818A - 半導体絶縁膜用及び平坦化膜用組成物並びにその膜の形成方法 - Google Patents

半導体絶縁膜用及び平坦化膜用組成物並びにその膜の形成方法

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JPH08143818A
JPH08143818A JP31569194A JP31569194A JPH08143818A JP H08143818 A JPH08143818 A JP H08143818A JP 31569194 A JP31569194 A JP 31569194A JP 31569194 A JP31569194 A JP 31569194A JP H08143818 A JPH08143818 A JP H08143818A
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洋一 南波
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二三雄 松井
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正己 松岡
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 数平均分子量500〜10,000のポリメチルシ
ルセスキオキサン、ポリメチルシルセスキオキサンを溶
解する有機溶媒及び水酸化テトラC〜Cアルキルア
ンモニウムを(A):(B)=2:98〜50:50
(重量比)、((A)+(B)):(C)=1:3×1
-5〜1:1×10-8(重量比)の割合で含有する半導
体絶縁膜用または平坦化膜用組成物、及び前記組成物を
半導体基板上にコーティングした後、100〜200℃
で有機溶媒を蒸発させ、次に200〜500℃で加熱硬
化させる工程を含む半導体絶縁膜または平坦化膜の形成
方法。 【効果】 本発明の組成物を使用する本発明の半導体の
絶縁膜及び/または平坦化膜成方法によれば、塗膜硬化
収縮率を最低限に抑えることができ、1〜2回のコーテ
ィングを行なうだけで完全平坦化レベルの膜を形成する
ことができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、高度集積化半導体素子
上に絶縁膜及び/または平坦化膜を形成するための組成
物、及びこの組成物を用いて半導体素子上に絶縁膜及び
/または平坦化膜を形成する方法に関する。
【0002】
【従来技術】半導体素子の高集積化の要求にともない、
配線の微細化と多層化が不可避の課題となっており、層
間絶縁膜及び平坦化膜(以下、併せて「層間絶縁膜等」
という。)の重要性が増大している。すなわち、回路の
信頼性を維持しつつ配線の多層化を進めるためには層間
の絶縁性をより確実なものとする必要がある。また、多
層化あるいは配線の微細化を進めるために配線幅やパタ
ーン間の溝(スペース幅)をより狭く、したがって、配
線幅と配線高さの比率(アスペクト比)をより大きくす
る結果、基板表面に段差が生じるが、かかる段差により
エッチングの進行に乱れが生じ配線形成の解像度を低下
させる。このため、基板表面の段差を埋めて表面を平坦
化する平坦化膜形成技術は、配線の多層化及び微細化と
ともに益々重要となってきている。
【0003】従来、層間絶縁膜等の形成方法としては、
(i) 気相法(CVD法)により緻密な二酸化珪素(Si
)膜を堆積させる工程を含む方法と(ii)アルキルト
リヒドキシシランなどの有機系のポリシロキサン被覆膜
(有機SOG膜)を塗布法で形成しこれを硬化させた
後、溝部以外の硬化膜を除去するエッチバック法が採用
されてきた。上記(i) の方法としては、テトラヒドロキ
シシランに代表される無機系のポリシロキサン被覆膜
(無機SOG膜)をCVD法によりSiO膜で挟む構
成が代表的であるが、かかる方法では処理プロセスが長
くなるという問題がある。
【0004】また、上記(ii)のアルキルトリヒドキシシ
ランを使用するエッチバック法では、複数回の塗布によ
っても「局所的平坦化」といわれる平坦化レベルまでし
か実現できなかった。このため、素子の微細化、集積化
とともに高まっている平坦性への要求に応えて「完全平
坦化」といわれる水準を達成するため、本出願人はリフ
ロー特性(再流動性)を有するポリメチルシルセスキオ
キサンオリゴマーを利用する方法を提案している(特願
平5-81471号)
【0005】上記方法よれば、ポリメチルシルセスキオ
キサンオリゴマーを利用することにより、膜形成組成物
を1〜2回塗布するだけでも微細配線部分の平坦性(平
坦化レベル)の向上及び配線部とスペース部の絶対段差
の低減が図られるという。しかし、一般に、有機SOG
膜形成用組成物を基板上に塗布した場合、直ちに高温加
熱により硬化を行なうと脱ガスによって配線が損傷する
危険があるため、塗布後にまず100〜200℃の温度
に加熱して溶剤を実質的に揮散させる必要がある。溶剤
揮散処理はエッチバック時のエッチング速度の安定化を
図るためにも必要である。しかるに、従来のポリメチル
シルセスキオキサンオリゴマー含有組成物では、溶剤揮
散時のオリゴマー構造安定性が十分とはいえず、硬化の
際の収縮率が大きい。この結果、微細配線、特に大きな
アスペクト比を有するスペース溝部では塗膜硬化後の溝
埋め形状が悪くなる。具体的には、1μm以下の微細配
線では塗布を1〜2回行なう程度では溝の埋め込みが不
十分となり、また、配線部とスペース部の絶対段差の低
減化が困難であって、最終的に得られるデバイスが所定
の性能に達しない等の問題を生じる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上述した問
題点を解決する層間絶縁膜等形成用液状組成物及び層間
絶縁膜等形成方法、すなわち、SOG膜の加熱硬化時に
おける膜収縮率が低く「完全平坦化」に限りなく近いレ
ベルの平坦化膜を1〜2回の塗布で実現することが可能
な層間絶縁膜等形成用液状組成物、及び高温加熱時の脱
ガスによる配線の損傷がなくエッチング時のエッチング
速度の安定化が可能であるとともに従来より短かい工程
で実施できる層間絶縁膜等の形成方法を提供することを
課題とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、ポリメチ
ルシルセスキオキサンの有機溶媒溶液に微少量の水酸化
テトラC1 〜C4 アルキルアンモニウムを含有させるこ
とにより、加熱硬化時の塗膜収縮性の低い組成物が得ら
れ、この組成物を用いて所定条件下でコーティングと加
熱処理を行なうことにより上記課題が解決できることを
見出し、本発明を完成させるに至った。
【0008】すなわち、本発明は 1)(A)数平均分子量500〜10,000のポリメチルシ
ルセスキオキサン、(B)前記ポリメチルシルセスキオ
キサンを溶解する有機溶媒及び(C)水酸化テトラC
〜Cアルキルアンモニウムを(A):(B)=2:9
8〜50:50(重量比)、((A)+(B)):
(C)=1:3×10-5〜1:1×10-8(重量比)の
割合で含有することを特徴とする半導体絶縁膜用または
平坦化膜用組成物、 2)水酸化テトラC〜Cアルキルアンモニウムが水
酸化テトラメチルアンモニウムである前記1に記載の半
導体絶縁膜用または平坦化膜用組成物、及び
【0009】3)(A)数平均分子量500〜10,000の
ポリメチルシルセスキオキサン、(B)前記ポリメチル
シルセスキオキサンを溶解する有機溶媒及び(C)水酸
化テトラC〜Cアルキルアンモニウムを(A):
(B)=2:98〜50:50(重量比)、((A)+
(B)):(C)=1:3×10-5〜1:1×10
-8(重量比)の割合で含有する組成物を半導体基板上に
コーティングした後、100〜200℃の温度で有機溶
媒を蒸発させ、次に200〜500℃の温度で加熱硬化
させる工程を含むことを特徴とする半導体絶縁膜または
平坦化膜の形成方法を提供する。
【0010】以下、本発明を構成する各要素についてよ
り詳細に説明する。本発明で用いるポリメチルシルセス
キオキサン(成分(A))は、いわゆる「はしご状ポリ
マー」の一種であり、本明細書においては実質的に以下
の一般式(I)
【0011】
【化1】 で表わすことができる分子及びその混合物を指す。
【0012】式(I)中、nは分子量に対応する正の整
数である。式(I)の繰返し単位中の側鎖基Rはその
80%以上がメチル基であることが必要であり、メチル
基以外の有機基を20%未満含有してもよい。メチル基
の割合が80%より少ないと耐熱性(例えば、400℃
以上の熱処理時における脱ガス性)が不十分となる傾向
がある。Rは90%以上がメチル基であることが好ま
しい。メチル基以外の有機基としては、エチル、n−プ
ロピル、フェニル基等が挙げられる。これらメチル基以
外の基は分子全体を通して同一の基であってもよいし、
ランダムにまたは一定の部分ごとに異なる複数の基であ
ってもよい。
【0013】式(I)の末端基Rは、水酸基及び炭素
数1〜4の低級アルコキシ基から選択される。アルコキ
シ基としては、例えば、メトキシ、エトキシ、ブトキシ
基が挙げられる。OH:ORのモル比は、好ましくは
1:0.2 〜1:2.0 、より好ましくは1:0.5 〜1:1.
5 の範囲である。この範囲よりもアルコキシ基の割合が
少ない場合も多い場合も脱水と脱アルコールの硬化反応
が不十分となり、高温加熱時の脱ガスを抑えることがで
きなくなる傾向がある。
【0014】なお、末端水酸基の含有量はポリメチルシ
ルセスキオキサンの0.3 〜6.0 重量%であることが好ま
しい。水酸基の含有量が6.0 重量%を超えると、加熱硬
化後に水酸基が残留するため、硬化膜の吸湿性が高くな
るだけでなく、半導体素子製造の後工程で基板を高温加
熱する際の脱ガス量の増大を招くことがある。一方、水
酸基の含有量が0.3 重量%未満であると塗膜と基板との
接着性や平坦化特性が不満足となり、硬化膜の硬度も充
分なレベルに達しない。
【0015】同様に、末端アルコキシ基の含有量はポリ
メチルシルセスキオキサンの0.9 〜16重量%であるこ
とが好ましい。アルコキシ基の含有量が16重量%を超
えると、加熱硬化後にアルコキシ基が残留するため、硬
化膜の高温加熱時に脱ガス量が増大する。一方、アルコ
キシ基の含有量が0.9 重量%未満であると塗膜と基板と
の接着性や平坦化特性が不満足となり、硬化膜の硬度も
充分なレベルに達しない。
【0016】本発明におけるポリメチルシルセスキオキ
サンオリゴマーは、その数平均分子量がポリスチレン標
準試料を用いたGPC(ゲル・パーミュレーション・ク
ロマトグラフィー)法による測定値で、500〜10,000
の範囲のものが好ましい。数平均分子量が500より小
さいと高温加熱時及び硬化時の塗膜の収縮率が大きくな
り、結果として微細配線、特にアスペクト比の大きい溝
部や微細穴における被膜にクラックが発生しやすくな
る。また、数平均分子量が10,000より大きいと有機溶剤
に対する溶解性が不充分となるのみならず、塗布後の粘
度が高くなり前述の微細配線に対する埋込み性が不充分
となる。さらに硬化過程での再流動化特性も阻害され、
平坦化特性が不満足となる。
【0017】本発明でポリメチルシルセスキオキサン
(成分(A))の溶剤として用いる有機溶媒(成分
(B))としては、沸点が100〜200℃の範囲のも
のが好ましい。沸点が100℃未満では、溶剤の揮散処
理時に蒸発速度が大きすぎて塗布膜厚の均一性が得られ
にくい。一方、溶剤の沸点が200℃より高いと、ポリ
メチルシルセスキオキサン(成分(A))の硬化反応の
開始温度が200℃であるため形成された塗膜中に溶剤
が残存し、良好な膜厚が得られにくくなる。溶媒の具体
例としては、1価ないし多価のアルコール類(及びこれ
から誘導されるエーテルその他の誘導体を含む。)、エ
ステル類、ケトン類、芳香族炭化水素などが挙げられ
る。
【0018】1価のアルコール類としては、メタノー
ル、エタノール、プロパノール、ブタノール、アミルア
ルコール等;多価のアルコール類としては、エチレング
リコールモノアルキルエーテル、エチレングリコールモ
ノアルキルエーテルアセテート、プロピレングリコール
モノアルキルエーテル、プロピレングリコールモノアル
キルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノア
ルキルエーテル等;エステル類としては、酢酸アルキル
エステル、3−メトキシプロピオン酸アルキルエステル
等;ケトン類としては、アセトン、メチルエチルケト
ン、シクロヘキサノン、メチルイソブチルケトトン等;
芳香族炭化水素としては、ベンゼン、トルエン、キシレ
ン、ジエチルベンゼン等が挙げられる。
【0019】これらの溶媒は目的に応じて1種または2
種以上を組み合わせて使用することができる。例えば、
ポリメチルシルセスキオキサンを少量の溶解性の優れた
溶媒で溶解し沸点が100〜200℃の範囲となるよう
な溶媒で希釈してもよい。特に3−メトキシプロピオン
酸アルキルエステルなどの3−アルコキシプロピオン酸
アルキルエステル単独またはこれを含有する溶媒系が好
ましい。また、本発明で使用する溶剤はその溶剤中に含
まれるNa、K、Fe、Cu、Pb等の金属不純物含有
量が各々0.1 ppm以下であり、Clの含有量は1pp
m以下であることが好ましい。すなわち、電子工業用試
薬の規格値を満足する純度の溶媒を使用することが好ま
しい。
【0020】有機溶媒中のポリメチルシルセスキオキサ
ンの含有量(固形分濃度)は、コーティング方法にもよ
るが、通常は、2〜50重量%、好ましくは10〜25
重量%である。ポリメチルシルセスキオキサン濃度が2
重量%未満では溶剤の揮散にエネルギー及び時間がかか
り効率的でない。ポリメチルシルセスキオキサン濃度が
50重量%を超えると、溶解性が悪くなったり粘度が高
くなるなどによりコーティング時に平坦な広がりが得ら
れない場合がある。
【0021】本発明ではポリメチルシルセスキオキサン
の有機溶媒溶液に微少量の水酸化第4級アンモニウム化
合物(成分(C))を含有させることが必須である。ポ
リオルガノシルセスキオキサンオリゴマー100重量部
に数重量部のギ酸とともに0.1 重量部程度の水酸化テト
ラメチルアンモニウム化合物を添加した有機溶媒組成物
をプラスチック基材上に塗布し、90℃、2時間程度の
条件で硬化させる方法は公知である。この方法は、プラ
スチックのような熱に弱い基材上にも硬化塗膜を形成す
ることができるという特長を有するものであるが、硬化
温度を低げる目的でギ酸と水酸化テトラメチルアンモニ
ウム化合物を触媒として併用するものであり、その使用
量は本発明に比較するとかなり多い。これに対して、本
発明では水酸化第4級アンモニウム化合物を単独でポリ
メチルシルセスキオキサンの有機溶媒溶液に対し、10
-5〜10-8(重量比)という微少量添加するのみで、組
成物の硬化時収縮率が著しく低減するのである。このよ
うな硬化時収縮率の低減化効果は公知技術からは予測す
ることのできないものである。
【0022】本発明において、ポリメチルシルセスキオ
キサンの有機溶媒溶液に添加する水酸化第4級アンモニ
ウム化合物は下記一般式(II)
【0023】
【化2】 で示される。
【0024】式(II)中、R、R、R及びR
同一でも異なってよく、各々炭素原子数1〜4のアルキ
ル基を表わす。このような水酸化第4級アンモニウム化
合物の具体例としては、水酸化テトラメチルアンモニウ
ム、水酸化テトラエチルアンモニウム、水酸化テトラプ
ロピルアンモニウム、水酸化テトラブチルアンモニウ
ム、及び水酸化トリメチルモノエチルアンモニウム、水
酸化トリエチルモノブチルアンモニウム、水酸化ジメチ
ルジエチルアンモニウム、水酸化ジエチルジブチルアン
モニウム等を挙げることができる。これらの中でも好ま
しい化合物は、水酸化テトラメチルアンモニウム、水酸
化テトラエチルアンモニウムである。
【0025】これらは1種を単独で使用してもよいし、
または2種以上から選択した混合系として使用してもよ
い。水酸化第4級アンモニウム化合物の添加量は、ポリ
メチルシルセスキオキサン溶液1重量部に対し、3×1
-5〜1×10-8重量部の範囲が好ましい。3×10-5
重量部を超えると溶液の粘度が増加し目標膜厚より厚く
なってしまうと同時に、液の保存安定性が劣化するなど
の問題も生じる。また、1×10-8重量部未満では、1
00〜200℃で溶剤揮散のために加熱したときのポリ
メチルシルセスキオキサンオリゴマーの構造安定性が不
十分となり、その後の加熱硬化時における収縮率が大き
くなって、微細配線、特にアスペクト比が大きい溝部に
おける硬化塗膜の溝埋め形状が悪くなるなどの問題を生
じる。
【0026】本発明の組成物は、上記の水酸化第4級ア
ンモニウム化合物をそのままあるいは上述の有機溶剤で
希釈してポリメチルシルセスキオキサン溶液に添加する
ことにより調製することができる。一般に水酸化第4級
アンモニウム化合物は水溶液やメタノールなどのアルコ
ール溶液として市販されていることが多いため、これを
そのままあるいは上述の有機溶剤に添加してからポリメ
チルシルセスキオキサン溶液に添加してもよい。但し、
このとき添加する水酸化第4級アンモニウム化合物ある
いはその化合物を溶解したり希釈するの使用する水、ア
ルコール類及び有機溶剤は、前述の成分(A)の溶媒の
場合と同様に、その中に含まれるNa、K、Fe、C
u、Pb等の金属不純物含有量が各々0.1 ppm以下、
Clの含有量が1ppm以下の、電子工業用試薬の規格
値を満足する純度のものを使用することが好ましい。
【0027】なお、このようにして調製される本発明の
層間絶縁膜等形成用組成物溶液には、必要に応じてレベ
リング剤、カップリング剤、増粘剤、充填剤その他の添
加剤を加えてもよい。本発明の組成物を基板上にコーテ
ィングするに際しては、配線上にあらかじめ気相法によ
ってSiO膜を形成しておくのが一般的である。本発
明の組成物をコーティングする方法としては通常はスピ
ンコーティング法が用いられる。必要に応じて、ディッ
プコーティング、スプレーコーティングその他の方法で
コーティングしてもよい。
【0028】本発明による半導体絶縁膜及び/または平
坦化膜の形成方法で形成されるポリオルガノシルセスキ
オキサン塗膜の膜厚は、0.01〜2.0 μmの範囲で自由に
選択することができる。特に、膜厚が1μm以上になっ
てもクラックを生じないので、アスペクト比(配線高さ
/配線スペース幅)が1以上の狭く深い溝状の配線間凹
部を埋めて平坦化することが可能である。本発明の方法
によれば、これらの膜厚を実現するのに多数回の塗布は
必要なく、1〜2回のコーティングでよい。本発明の組
成物溶液をコーティングした後、塗膜を硬化させるため
に100〜200℃、好ましくは160〜200℃の温
度に1〜30分間保持し、溶剤を実質的に完全に蒸発さ
せ、次に200〜500℃、好ましくは350〜450
℃の温度で10〜120分間加熱することによって行な
う。
【0029】これらの加熱硬化条件は配合している有機
溶剤の種類やコーティング及びベーキングを行なう装置
の種類により異なる。すなわち、硬化に先立ち予め充分
な予備加熱を行ない、使用する有機溶剤を乾燥除去した
後、ポリメチルシルセスキオキサンの特徴である180
〜220℃での軟化による再流動化を起こすように硬化
条件を設定する。硬化の温度は、硬化後の塗膜の膜質
(脱ガス性等)及び硬化プロセルの所用時間を短縮する
上から、半導体基板構成材料の耐熱性から許容される範
囲でなるべく高温にすることが望ましい。本発明で用い
るポリメチルシルセスキオキサンでは350〜450
℃、30〜60分の温度条件でほぼ完全に重合硬化させ
ることが可能であり、したがって一般にこの条件の範囲
内で硬化温度を選択することが経済性の観点から好まし
い。
【0030】
【実施例】以下、実施例、比較例及び参考例を挙げて本
発明をさらに詳細に説明するが、これらの例は本発明を
限定するものではない。なお、実施例、比較例等の各物
性値は、ベアシリコンウエハまたはパターンウエハに下
記のスピンコート法によりコーティングを施したものに
ついて下記の方法にしたがって測定した。
【0031】(1)スピンコート法 スピナー1H360型(共栄セミコンダクター製)を使
用し、SOG溶液を数mlウエハ基板上に滴下し、60
0rpm5秒、次いで4000rpm15秒間回転しコーテ
ィング膜を得た。
【0032】(2)数平均分子量の測定 昭和電工(株)製のShodexカラムを使用しGPC(ゲル
・パーミュレーション・クロマトグラフィー)法により
測定し、ポリスチレン標準試料の検量線に基づく換算値
で表わした。
【0033】(3)膜厚の測定 エリプソメーター(偏向解析装置)L-2w-15c-830(ガー
ドナー社製)にてシリコンウエハ基板上の膜厚を測定し
た。
【0034】(4)硬化収縮率の測定 絶縁膜形成用組成物をウエハ基板にスピンコートし、こ
れをホットプレート上に載せ、180℃で3分熱処理し
た後、硬化前の膜厚をエリプソメーターにて測定した。
次にこれをクリンオーブンDT42R(ヤマト科学
(株)製)にて350℃で加熱して硬化せしめた後、同
様にエリプソメーターにて硬化後の膜厚を測定し、両者
の比である残膜率から硬化前後の収縮率を求めた。
【0035】(5)塗膜加熱時の構造安定性の測定 ポリメチルシルセスキオキサン組成物をスピンコートし
たウエハ基板をホットプレート上に載せ、180℃で
3、4、5、6分熱処理した後の硬化前の膜厚をエリプ
ソメーターにて測定し、加熱時間による膜厚変化の有無
から塗膜の構造安定製を判定した。判定基準としては、
加熱時の膜厚減少が20オングストローム/分未満のも
のを構造安定性良(○と記す。)、20オングストロー
ム/分以上のものを構造安定性不良(×と記す。)とし
た。
【0036】(6)平坦化特性 配線幅がサブミクロンから数μm、スペース幅がサブミ
クロンから数十μmにわたる様々なパターンを含むテス
トパターンウエハ上にポリメチルシルセスキオキサン組
成物をコートし成膜したときの断面を走査型電子顕微鏡
(SEM)写真により観察し平坦化特性を判定した。判
定基準としては、配線段差部のステップカバレッジ角が
10°未満である形状を平坦性良(○と記す。)、10
°以上のものを平坦性不良(×と記す。)とした。
【0037】(7)組成物溶液の貯蔵安定性 ポリメチルシルセスキオキサン組成物を冷蔵庫で5℃に
て3か月保管した後、ウエハ基板上にスピンコートし上
記(4)と同様に硬化させた。得られた硬化膜の膜厚と
貯蔵前に同一条件で測定した膜厚とを比較し、貯蔵後の
膜厚が貯蔵前の値の 0.7〜1.3 倍以内であるときを安定
性良(○と記す。)、その数値範囲を外れる場合を安定
性不良(×と記す。)と判断した。
【0038】実施例1 前記一般式 (I)においてRがメチル基である数平均分
子量Mnが3000のポリメチルシルセスキオキサン16重
量部と、エタノール、ブタノール、3−メトキシプロピ
ン酸メチル(MMP)からなる溶媒(混合比55:1
8:27)84重量部と水酸化テトラメチルアンモニウ
ム(TMAH)1×10-4重量部とを混合して、本発明
の塗膜形成用組成物を調製した。上記液状組成物をベア
シリコンウエハ上で3500オングストロームとなるように
パターンウエハ上にスピンコートし、ホットプレートに
て180℃で3分間保持して溶媒を揮散させ、次いで3
50℃で30分間クリンオーブン内に保持して塗膜を硬
化させた。硬化収縮率等の諸物性及びホットプレート上
での塗膜安定性を表1にまとめて示す。
【0039】実施例2 実施例1で用いたのと同じポリメチルシルセスキオキサ
ン17重量部と、エタノール、ブタノール及びプロピレ
ングリコールメチルエーテルアセテート(PGMA)か
らなる溶媒(混合比55:25:20)83重量部と、
水酸化テトラメチルアンモニウム(TMAH)5×10
-4重量部を混合して、本発明の塗膜形成用組成物を調製
した。上記液状組成物をベアシリコンウエハ上で4000オ
ングストロームとなるようにパターンウエハ上にスピン
コートし、ホットプレートにて180℃で3分間保持し
て溶媒を揮散させ、次いで350℃で30分間クリンオ
ーブン内に保持して塗膜を硬化させた。硬化収縮率等の
諸物性及びホットプレート上での塗膜安定性を表1にま
とめて示す。
【0040】実施例3 実施例1で用いたのと同じポリメチルシルセスキオキサ
ン16重量部と、エタノール、ブタノール及び乳酸エチ
ルからなる溶媒(混合比55:25:20)84重量部
と、水酸化テトラエチルアンモニウム(TEAH)7×
10-5重量部とを混合して、本発明の塗膜形成用組成物
を調製した。上記液状組成物をベアシリコンウエハ上で
4000オングストロームとなるようにパターンウエハ上に
スピンコートし、ホットプレートにて180℃で3分間
保持して溶媒を揮散させ、次いで350℃で30分間ク
リンオーブン内に保持して塗膜を硬化させた。硬化収縮
率等の諸物性及びホットプレート上での塗膜安定性を表
1にまとめて示す。
【0041】比較例1 実施例1で用いたのと同じポリメチルシルセスキオキサ
ン17重量部と、エタノール、ブタノール及び3−メト
キシプロピン酸メチル(MMP)からなる溶媒(混合比
55:18:27)83重量部と、水酸化テトラメチル
アンモニウム(TMAH)5×10-2重量部とを混合し
て比較用組成物を調製した。上記液状組成物をベアシリ
コンウエハ上で4000オングストロームとなるようにパタ
ーンウエハ上にスピンコートし、ホットプレートにて1
80℃で3分間保持して溶媒を揮散させ、次いで350
℃で30分間クリンオーブン内に保持して塗膜を硬化さ
せた。硬化収縮率等の諸物性及びホットプレート上での
塗膜安定性を表1にまとめて示す。
【0042】比較例2 実施例1で用いたのと同じポリメチルシルセスキオキサ
ン17重量部と、エタノール、ブタノール及び3−メト
キシプロピン酸メチル(MMP)からなる溶媒(混合比
55:18:27)83重量部と、水酸化テトラメチル
アンモニウム(TMAH)1×10-7重量部とを混合し
て比較用組成物を調製した。上記液状組成物をベアシリ
コンウエハ上で4000オングストロームとなるようにパタ
ーンウエハ上にスピンコートし、ホットプレートにて1
80℃で3分間保持して溶媒を揮散させ、次いで350
℃で30分間クリンオーブン内に保持して塗膜を硬化さ
せた。硬化収縮率等の諸物性及びホットプレート上での
塗膜安定性を表1にまとめて示す。
【0043】比較例3 実施例1で用いたのと同じポリメチルシルセスキオキサ
ン17重量部と、エタノール、ブタノール及び3−メト
キシプロピン酸メチル(MMP)からなる溶媒(混合比
55:18:27)83重量部と、第1級アミンである
n−ブチルアミン(n−BA)(沸点78℃)5×10
-2重量部とを混合して比較用組成物を調製した。上記液
状組成物をベアシリコンウエハ上で4000オングストロー
ムとなるようにパターンウエハ上にスピンコートし、ホ
ットプレートにて180℃で3分間保持して溶媒を揮散
させ、次いで350℃で30分間クリンオーブン内に保
持して塗膜を硬化させた。硬化収縮率等の諸物性及びホ
ットプレート上での塗膜安定性を表1にまとめて示す。
【0044】参考例1 実施例1で用いたのと同じポリメチルシルセスキオキサ
ン17重量部と、エタノール、ブタノール及び3−メト
キシプロピン酸メチル(MMP)からなる溶媒(混合比
18:55:27)83重量部と、水酸化テトラメチル
アンモニウム(TMAH)5×10-4重量部とを混合し
て比較用組成物を調製した。上記液状組成物をベアシリ
コンウエハ上で4000オングストロームとなるようにパタ
ーンウエハ上にスピンコートし、ホットプレートにて8
0℃で3分間保持して溶媒を揮散させ、次いで350℃
で30分間クリンオーブン内に保持して塗膜を硬化させ
た。硬化収縮率等の諸物性及びホットプレート上での塗
膜安定性を表1にまとめて示す。
【0045】参考例2 実施例1で用いたのと同じポリメチルシルセスキオキサ
ン17重量部と、エタノール、ブタノール及び3−メト
キシプロピン酸メチル(MMP)からなる溶媒(混合比
18:55:27)83重量部と、水酸化テトラメチル
アンモニウム(TMAH)5×10-4重量部と混合して
比較用組成物を調製した。上記液状組成物をベアシリコ
ンウエハ上で4000オングストロームとなるようにパター
ンウエハ上にスピンコートし、ホットプレートにて28
0℃で3分間保持して溶媒を揮散させ、次いで350℃
で30分間クリンオーブン内に保持して塗膜を硬化させ
た。硬化収縮率等の諸物性及びホットプレート上での塗
膜安定性を表1にまとめて示す。
【0046】
【表1】
【0047】表1から、ポリメチルシルセスキオキサン
を16〜17重量%含有する有機溶媒溶液に対して水酸
化テトラメチルアンモニウムを5×10-6〜7×10-7
(重量比)の割合で添加した組成物を塗布し180℃で
加熱硬化させた場合には(実施例1〜3)収縮率が低く
抑えられ、かつ塗膜加熱時の構造が安定であることが分
かる。水酸化テトラメチルンモニウムの添加量が本発明
の上限を超えると(比較例1)、収縮率が低減化の効果
は認められるが、組成物の安定性に問題がある。水酸化
テトラメチルアンモニウムの添加量が本発明の下限未満
の場合(比較例2)及び第4級のアンモニウムを使用し
ない場合(比較例3)には、組成物の安定性に問題があ
り、収縮率低減化の効果が認めらず、塗膜加熱時の構造
安定性、平坦化特性とも不良である。組成物塗布後の熱
処理温度が100℃以下の場合には平坦化特性が不良で
あり(参考例1)、また熱処理温度が200℃を超える
と、加熱収縮率が増大し平坦化特性が悪化する(参考例
2)。
【0048】
【発明の効果】本発明の半導体絶縁膜用及び/または平
坦化膜用組成物は、塗膜形成用のポリメチルシルセスキ
オキサン溶液に微少量の水酸化第4級アルキルアンモニ
ウムを含有さたものであり、この組成物を半導体基板上
にコーティングし、有機溶媒を蒸発さた後加熱硬化させ
る工程からなる本発明の膜形成方法によれば、塗膜硬化
収縮率を最低限に抑えることができる。このため、1μ
m程度の線幅の半導体基板であっても1〜2回のコーテ
ィングを行なうだけで「完全平坦化」レベルの平坦化が
可能となり、配線形成の際の高解像度を実現することが
できる。また、本発明の層間絶縁膜等の形成方法では、
上記組成物を用い溶媒揮散処理を経て塗膜の硬化を行な
うため、塗膜の硬化やその後の処理における高温加熱の
際、脱ガスの発生が極めて低水準である、このため、配
線の損傷やエッチバック時のエッチング速度の安定化が
可能となった。したがって、本発明の組成物及び塗膜形
成方法を用いることによりデバイスの信頼性が向上し歩
留まりも改善され、将来の高集積化(ファインピッチ
化)、多層配線化に伴なう質の高い平坦性の要求をも達
成し得る実用性の高い半導体用絶縁膜及び平坦化膜が形
成できる。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (A)数平均分子量500〜10,000のポ
    リメチルシルセスキオキサン、(B)前記ポリメチルシ
    ルセスキオキサンを溶解する有機溶媒及び(C)水酸化
    テトラC〜Cアルキルアンモニウムを(A):
    (B)=2:98〜50:50(重量比)、((A)+
    (B)):(C)=1:3×10-5〜1:1×10
    -8(重量比)の割合で含有することを特徴とする半導体
    絶縁膜用または平坦化膜用組成物。
  2. 【請求項2】 水酸化テトラC〜Cアルキルアンモ
    ニウムが水酸化テトラメチルアンモニウムである請求項
    1に記載の半導体絶縁膜用または平坦化膜用組成物。
  3. 【請求項3】 (A)数平均分子量500〜10,000のポ
    リメチルシルセスキオキサン、(B)前記ポリメチルシ
    ルセスキオキサンを溶解する有機溶媒及び(C)水酸化
    テトラC〜Cアルキルアンモニウムを(A):
    (B)=2:98〜50:50(重量比)、((A)+
    (B)):(C)=1:3×10-5〜1:1×10
    -8(重量比)の割合で含有する組成物を半導体基板上に
    コーティングした後、100〜200℃の温度で有機溶
    媒を蒸発させ、次に200〜500℃の温度で加熱硬化
    させる工程を含むことを特徴とする半導体絶縁膜または
    平坦化膜の形成方法。
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