JPH08143594A - クラミジア・ニューモニエの抗原ポリペプチド、それをコードするdna、そのdnaを含む組換えベクター、その組換えベクターを含む形質転換体、及び抗クラミジア・ニューモニエ抗体の製造方法 - Google Patents
クラミジア・ニューモニエの抗原ポリペプチド、それをコードするdna、そのdnaを含む組換えベクター、その組換えベクターを含む形質転換体、及び抗クラミジア・ニューモニエ抗体の製造方法Info
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- JPH08143594A JPH08143594A JP7106013A JP10601395A JPH08143594A JP H08143594 A JPH08143594 A JP H08143594A JP 7106013 A JP7106013 A JP 7106013A JP 10601395 A JP10601395 A JP 10601395A JP H08143594 A JPH08143594 A JP H08143594A
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Abstract
ッタシ等のクラミジア・ニューモニエ以外のクラミジア
属細菌に対する抗体に反応せず、クラミジア・ニューモ
ニエ特異的抗体とのみ反応し、これを検出するための抗
原ポリペプチドを提供し、クラミジア・ニューモニエ、
クラミジア・トラコマチス、クラミジア・シッタシ等の
クラミジア属細菌に共通に反応する抗体を検出するため
の抗原ポリペプチドを提供する。 【構成】 配列番号1のポリペプチドの中の連続した少
なくとも5個のアミノ酸配列を含むポリペプチドCから
なる、クラミジア・ニューモニエの抗原ポリペプチド、
この抗原ポリペプチドをコードするDNA若しくはそれ
に相補的なDNA、このDNAを含む組換えベクター、
この組換えベクターを含む形質転換体及び前記抗原ポリ
ペプチドを抗原として用いることを特徴とする、抗クラ
ミジア・ニューモニエ抗体の製造方法。
Description
ニエ感染症の診断に有用なクラミジア・ニューモニエの
抗原ポリペプチド、それをコードするDNA、そのDN
Aを含む組換えベクター、その組換えベクターを含む形
質転換体、及び抗クラミジア・ニューモニエ抗体の製造
方法に関する。本発明は医薬品工業、特にクラミジア・
ニューモニエ感染症の診断薬の製造において有効に利用
される。
ラコマチス、クラミジア・シッタシ、クラミジア・ニュ
ーモニエ等の種(Species)が知られている。クラミジ
ア・トラコマチスは、トラコーマ、性病性リンパ肉芽
腫、泌尿生殖器感染症、封入体結膜炎、新生児肺炎等を
引き起こす原因菌であり、クラミジア・シッタシは、オ
ウム病等の原因菌であり、またクラミジア・ニューモニ
エは、呼吸器感染症、異形肺炎等の原因菌である。
吸器感染症の症状は、マイコプラズマ・ニューモニエや
インフルエンザウイルスが原因で起こる感染症の症状と
類似しているので、しばしば誤診されやすい。そのた
め、クラミジア・ニューモニエの簡便な診断方法の開発
が望まれていた。
る原因菌の存在の検出か、血清・その他の体液中におけ
る(原因菌に対する)抗体の存在の検出により確定的に
なされる。前者は抗原検査、後者は抗体検査と呼ばれ、
いずれも臨床で重要な意義があり、クラミジア・ニュー
モニエの抗体検査としては、クラミジア・ニューモニエ
の基本小体を用いて抗体の存在を検出する方法が知られ
ている。
ニューモニエの基本小体は、クラミジア・ニューモニエ
以外のクラミジア属細菌、すなわち、クラミジア・トラ
コマチス又はクラミジア・シッタシにも共通に存在する
抗原を含むため、この基本小体を用いる方法ではクラミ
ジア・ニューモニエに対する抗体だけでなく、他の種の
クラミジアに対する抗体とも反応し、特異性に欠ける難
点があった。本発明は、クラミジア・トラコマチスやク
ラミジア・シッタシ等のクラミジア・ニューモニエ以外
のクラミジア属細菌に対する抗体に反応せず、クラミジ
ア・ニューモニエ特異的抗体とのみ反応し、これを検出
するための抗原ポリペプチドを提供することを目的とす
る。更には、本発明はクラミジア・ニューモニエ、クラ
ミジア・トラコマチス、クラミジア・シッタシ等のクラ
ミジア属細菌に共通に反応する抗体を検出するための抗
原ポリペプチドを提供することも目的とする。
ア・ニューモニエ特異的抗原ポリペプチド又はクラミジ
ア属細菌特異的(すなわち、クラミジア・ニューモニ
エ、クラミジア・トラコマチス、クラミジア・シッタシ
等のクラミジア属細菌共通の抗原ポリペプチド)を純粋
に、かつアミノ酸配列が解明された形で取得するため、
先ず、クラミジア・ニューモニエを宿主細胞中に培養
し、そのクラミジア・ニューモニエからゲノムDNAを
抽出し、制限酵素で部分分解し、これをλgt11DNA
に挿入してゲノムDNAライブラリーを作成し、これを
大腸菌Y1090r−株に感染させ、クラミジア・ニュ
ーモニエ特異的モノクローナル抗体又はクラミジア属細
菌特異的モノクローナル抗体を用いてクラミジア・ニュ
ーモニエの抗原ポリペプチドを発現する感染大腸菌のコ
ロニーをスクリーニングし、陽性の感染大腸菌からλフ
ァージを抽出し、この操作を繰り返してλファージを精
製し、これを大腸菌Y1090r−株に感染させて増幅
させた後そのDNAの塩基配列を分析し、これをポリペ
プチドに翻訳して、抗原ポリペプチドのアミノ酸配列を
決定し、本発明を完成した。
ものである。 (1)配列番号1のポリペプチドの中の連続した少なく
とも5個のアミノ酸配列を含むポリペプチドCからな
る、クラミジア・ニューモニエの抗原ポリペプチド。 (2)ポリペプチドCが配列番号1のポリペプチドから
アミノ酸1〜250個が欠落しているポリペプチドであ
る、上記(1)記載の抗原ポリペプチド。 (3)ポリペプチドCが、配列番号1のポリペプチドの
中のアミノ酸1〜100個が他のアミノ酸で置換されて
いるポリペプチドである、上記(1)記載の抗原ポリペ
プチド。 (4)ポリペプチドCが、配列番号1のポリペプチドの
中の連続した少なくとも5個のアミノ酸配列にアミノ酸
若しくは2〜1000個のアミノ酸配列が結合したポリ
ペプチドである、上記(1)記載の抗原ポリペプチド。 (5)ポリペプチドCが配列番号1のアミノ酸配列から
なるポリペプチドである、上記(1)記載の抗原ポリペ
プチド。 (6)上記(1)〜(5)のいずれかに記載の抗原ポリ
ペプチドをコードするDNA若しくはそれに相補的なD
NA。 (7)塩基配列が配列番号2の塩基配列である、上記
(6)記載のDNA。 (8)上記(6)又は上記(7)記載のDNAを含む組
換えベクター。 (9)上記(8)記載の組換えベクターを含む形質転換
体。 (10)上記(1)〜(5)のいずれかに記載の抗原ポ
リペプチドを抗原として用いることを特徴とする、抗ク
ラミジア・ニューモニエ抗体の製造方法。
に関するものでもある。 (11)(a) 配列番号3のポリペプチド; (b) 配列番号3のポリペプチド中のアミノ酸の1又は2
以上に欠落のあるポリペプチド; (c) 配列番号3のポリペプチド中のアミノ酸の1又は2
以上が他のアミノ酸で置換されたポリペプチド;及び (d) 上記(a)〜(c)のいずれかのポリペプチドに他のアミ
ノ酸もしくはペプチドが結合してなる融合ポリペプチ
ド、 からなる群から選ばれるクラミジア・ニューモニエの抗
原ポリペプチド。
以上に欠落のあるポリペプチド; (c) 配列番号1のポリペプチド中のアミノ酸の1又は2
以上が他のアミノ酸で置換されたポリペプチド;及び (d) 上記(a)〜(c)のいずれかのポリペプチドに他のアミ
ノ酸もしくはペプチドが結合してなる融合ポリペプチ
ド、 からなる群から選ばれるクラミジア・ニューモニエの抗
原ポリペプチド。
ードするDNA、又はそれに相補的なDNA。 (14)上記(12)のポリペプチドをコードするDN
A、又はそれに相補的なDNA。 (15)上記(11)のポリペプチドをコードするDN
Aが配列番号4である、上記(13)のDNA。 (16)上記(12)のポリペプチドをコードするDN
Aが配列番号2である、上記(14)のDNA。 (17)上記(13)〜(16)のいずれかのDNAを
含む、組換えベクター。
デオキシヌクレオチドはモノデオキシヌクレオチドとい
い、塩基の数が2以上のデオキシヌクレオチドは、特に
断らない限り、DNAと総称した。
作製、2.抗原ポリペプチドの製造方法、3.得られた
抗原ポリペプチド、4.抗原ポリペプチドをコードする
DNA、及び、5.抗原ポリペプチドを抗原として用い
る抗クラミジア・ニューモニエ抗体の製造方法、の順に
説明する。
除去した後にクラミジア・ニューモニエの浮遊液を添加
してこれを培養し、遠心分離してクラミジア・ニューモ
ニエ感染HL細胞を取得する。クラミジア・ニューモニ
エとしては、例えばクラミジア・ニューモニエYK41
株(金本ら:ミクロバイオロジカル・イムノロジー、37
巻、495-498頁、1993年(Y.Kanamoto et al., Microbio
l. Immunol., Vol.37, p.495-498, 1993))が使用でき
る。 1.2 クラミジア・ニューモニエの基本小体の精製 クラミジア・ニューモニエ感染HL細胞を破砕し、遠心
分離し、上清を回収する。ウログラフィン(シェーリン
グ社製)を用いた連続密度勾配液にこの上清を添加して
遠心分離し、クラミジア・ニューモニエの基本小体に相
当するバンドを回収する。
ムDNAの調製 クラミジア・ニューモニエの基本小体を、1mM ED
TAを含む10mMトリス−塩酸緩衝液(pH8.0)
(以下、TE緩衝液という)に懸濁し、1%ドデシル硫
酸ナトリウム(SDS)水溶液及び1mg/mlプロテイナ
ーゼK水溶液を加えて保温し、基本小体を溶解させる。
0.1Mトリス−塩酸緩衝液(pH8.0)飽和フェノー
ルを加えて撹拌し、遠心分離し、水層を回収する。さら
にRNA分解酵素(RNase)処理をし、フェノール
/クロロホルム/イソアミルアルコール処理とエタノー
ル沈殿処理をし、クラミジア・ニューモニエのゲノムD
NAを取得する。
作製 ゲノムDNAを制限酵素AccI、HaeIII及びAl
uIで消化し、フェノール/クロロホルム/イソアミル
アルコール処理とエタノール沈殿処理をし、部分消化D
NAを取得する。この部分消化DNAにリンカー、アデ
ノシン−5′−三リン酸(adenosine 5′-triphosphat
e、以下、ATPと略す)及びT4リガーゼを添加し
て、部分消化DNAにリンカーを付加させる。これを、
0.1M NaCl及び1mM EDTA含有10mM
トリス−塩酸緩衝液を移動相とするクロマ・スピン60
00(Chroma spin 6000)カラムにかけ、溶出液を分取
し、1kbpから7kbpのDNA断片を含む分画を回
収する。得られた分画にATP及びT4ポリヌクレオチ
ドキナーゼを加えて反応させ、DNA断片の5′端をリ
ン酸化する。反応液をフェノール/クロロホルム/イソ
アミルアルコール処理及びエタノール沈殿処理し、5′
端がリン酸化されたDNA断片を取得する。このDNA
断片に、予め制限酵素EcoRIで切断しておいたλgt
11DNA、ATP及びT4リガーゼを加えて反応さ
せ、市販のパッケージングキットを用い、得られた組換
えλgt11DNAをパッケージングし、ゲノムDNA発
現ライブラリーを作製する。
NAのクローニング 大腸菌Y1090r−株の培養液に上記ゲノムDNA発
現ライブラリーを感染させ、寒天培地上で培養し、イソ
プロピルチオ−β−D−ガラクトシド(IPTG)水溶
液に浸漬したニトロセルロースフィルターを利用して、
挿入DNAの発現により菌体内に産生されたタンパク質
をニトロセルロースフィルターに付着させる。このフィ
ルターを牛血清アルブミンを用いてブロッキング反応さ
せ、洗浄し、次いでフィルターをクラミジア・ニューモ
ニエ特異的モノクローナル抗体と反応させる。クラミジ
ア・ニューモニエ特異的モノクローナル抗体としては、
例えば、70、AY6E2E8及びSCP53を使用す
ることができる。70及びSCP53をは本発明者の一
人の松本等がクラミジア・ニューモニエKKpn−1株
を抗原としてマウスを免疫し、その脾臓細胞をミエロー
マ細胞と融合させて得られたハイブリドーマ70及びハ
イブリドーマSCP53が分泌する抗体である。SCP
53を産生するハイブリドーマについてはジャーナル・
オブ・クリニカル・ミクロバイオロジー、132巻、583-5
88頁(1994)(J. Clin. Microbiol.,Vol.132, p.583-58
8, 1994)に記載されている。また、AY6E2E8は
本発明者の一人の井筒等が、クラミジア・ニューモニエ
YK−41株の基本小体を抗原として、マウスを免疫
し、その脾臓細胞をミエローマと細胞融合させて得られ
たハイブリドーマAY6E2E8が分泌する抗体AY6
E2E8であり、AY6E2E8を産生するハイブリド
ーマは工業技術院生命工学工業技術研究所に受託番号F
ERM P−13688として寄託されている。また、
反応後、フィルターを洗浄し、パーオキシダーゼ等の酵
素で標識された抗マウスIgG抗体を反応させる。反応
後、フィルターを洗浄し、発色基質液を添加して反応さ
せる。発色基質液としては、例えば、過酸化水素水溶液
及び4−クロロ−1−ナフトールのメタノール溶液を含
む液を利用することができる。反応後、フィルターを洗
浄し、風乾させる。
培地上のプラークを同定し、プラークに含まれるλファ
ージを取得する。プラークが全て上記モノクローナル抗
体と反応するようになるまで前記操作を繰り返し、抗原
ポリペプチドをコードするDNAをクローン化し、クラ
ミジア・ニューモニエ特異的モノクローナル抗体反応性
のクラミジア・ニューモニエ特異的抗原ポリペプチドを
発現するλファージを取得する。
リペプチドをコードするDNAの取得 取得したλファージを大腸菌Y1090r−株に感染さ
せ、培養し、λファージを大量に生産する。市販のキッ
トを用いてλファージからDNAを取得・精製する。こ
のDNAにプライマー、タックポリメラーゼ(Taq Poly
merase)及びデオキシヌクレオチド類を添加し、加熱、
冷却、保温の工程を繰り返し、λgt11に挿入されたD
NAを増幅させる。プライマーとしては、例えば、λgt
11・フォワード・プライマー(λgt11 forward pri
mer)及びλgt11・リバース・プライマー(λgt11
reverse primer)(いずれも宝酒造株式会社製)があ
り、タックポリメラーゼとしては、例えば、アンプリタ
ック・DNA・ポリメラーゼ(AmpliTaq DN
A Polymerase)がある。このDNA増幅方
法の一般的手法はPCR法として知られており、詳細は
「サムブロック他編集、モレキュラー・クローニング
第2版(コールド・スプリング・ハーバー・ラボラトリ
ー)(1989年)」(J.Samblook et al., Molecular Cloni
ng 2nd ed., Cold Spring Harbor Laboratory Press
(1989)、以下、本文献を文献″モレキュラー・クロー
ニング″という)に記載されている。
定・解析する。DNAの取得には市販のキットを使用す
ることができ、例えばウイザード・PCR・プレップキ
ット(Wizard PCR Prep kit)(プロメガ(Promega)社製品)
を使用することができる。また、塩基配列を決定はタッ
クポリメラーゼを用いた蛍光標識ターミネータサイクル
シークエンス法で行うことができ、この方法を用いるに
は、パーキン・エルマー・ジャパン社から販売されてい
るキットを使用することができる。また、分析にあたっ
ては市販の機械、例えば373A型DNAシークエンサ
(アプライドバイオシステムズ社)を利用することがで
きる。
列を遺伝子配列分析ソフトで解析し、編集、連結、アミ
ノ酸翻訳領域の推定を行なう。遺伝子配列分析ソフトと
しては、「DNASIS」(日立ソフトウェアエンジニ
アリング社)を用いることができる。解析の結果、完全
長の遺伝子が取得できていない場合は、既に取得されて
いるDNAの前後のDNAをゲノムウォーキングによっ
て取得する。ゲノムウォーキングを行うには、宝酒造
(株)から販売されているキットを使用することができ
る。
NAを含む組換えベクターの作製、及びそれを含む形質
転換体の作製 上記1.6で取得したλファージ自体も本発明のDNA
を含む組換えベクターであるが、上記1.6で取得した
クラミジア・ニューモニエ抗原ポリペプチドをコードす
るDNAを常法で既存のプラスミドベクターやファージ
ベクター等に挿入して、新たに組換えベクターを作製す
ることもできる。その際、必要に応じ、リンカーを使用
する。既存のプラスミドベクターとしては、例えばpB
R322、pUC18、pUC19等を使用することが
でき、これらのプラスミドベクターは市販されている。
また、ファージベクターとしてはλgt11ファージ、λ
gt10ファージ等が利用できる。いずれも、用いた親ベ
クターに対応する組換えベクターが得られる。本発明の
DNAを含む組換えベクターとしては、後述するように
53−3Sλファージ、70−2Sλファージ等があ
る。
質転換体を作製する。大腸菌由来のプラスミドやλファ
ージを使用する場合は宿主としては大腸菌を使用するこ
とができ、例えば大腸菌HB101株を使用することが
できる。この宿主をコンピテントセルとなるように処理
をする。大腸菌HB101株を処理して得たコンピテン
トセルは宝酒造から販売されている。上記連結の反応物
を宿主に入れ、形質転換体を作製する方法は文献″モレ
キュラー・クローニング″に記載されている。得られた
形質転換体を培養してコロニーを形成させ、各コロニー
からプラスミドDNAを取得し、適切な制限酵素で切断
し、アガロースゲル電気泳動で分析し、所望の組換えプ
ラスミドをもつ形質転換体を選択する。
体の培養、形質転換体の破砕、ストレプトマイシン処
理、硫安沈殿、液体クロマトグラフィー、の各工程を行
う。形質転換体の培養は、その形質転換体が成長しうる
培地でこの抗原ポリペプチドが形質転換体内に十分蓄積
されるまで適温で培養器を振とうする。形質転換体とし
て、プラスミドベクターpBR322に本発明のDNA
を挿入した組換えベクターを入れた大腸菌HB101株
を使用する場合は、アンピシリンを含むLB培地で37
℃で一晩振とう培養し、その後、この培養液をアンピシ
リンを含むTB培地等に接種してさらに37℃で一晩振
とう培養する。TB培地の調製方法は、文献″モレキュ
ラー・クローニング″に記載されている。培養した形質
転換体を破砕するには、遠心分離で形質転換体を集め、
緩衝液に懸濁し、これに超音波を照射する。形質転換体
が大腸菌の場合は、上記懸濁液にリゾチームを加え、S
DSを含む緩衝液を加えることよって菌体を溶菌させて
もよい。
渣を除去し、上清を取得する。この上清にストレプトマ
イシン硫酸塩を添加し、しばらく撹拌し、遠心分離する
ことによって、核酸を沈殿物として除去し、上清を取得
する。この上清を液体クロマトグラフィーによって分画
し、各画分に含まれる蛋白質について、前述のクラミジ
ア・ニューモニエ特異的モノクローナル抗体を用い、ウ
ェスタン・ブロット法行い、抗原ポリペプチドを含む画
分を取得する。細胞膜等の残渣の除去、ストレプトマイ
シン硫酸塩を添加するDNAの除去、硫酸アンモニウム
を添加する蛋白質の取得、及びウェスタン・ブロット法
の具体的方法は、文献″モレキュラー・クローニング″
に記載されている。
ドの中の連続した少なくとも5個のアミノ酸配列を含む
ポリペプチドCからなるものである。配列番号1のポリ
ペプチドの中の連続した少なくとも5個のアミノ酸配列
を含むポリペプチドCは、望ましくは20個以上、より
望ましくは100個以上、さらに望ましくは250個以
上のアミノ酸からなるものがよい。ポリペプチドCとし
ては、例えば配列番号1のポリペプチドを使用すること
ができるし、配列番号1のポリペプチドからアミノ酸1
〜250個が欠落しているポリペプチドや配列番号1の
ポリペプチドの中のアミノ酸1〜100個が他のアミノ
酸で置換されているポリペプチドを使用することもでき
る。また、ポリペプチドCとして、配列番号1のポリペ
プチドの中の連続した少なくとも5個のアミノ酸配列に
アミノ酸若しくは2〜1000個のアミノ酸配列が結合
したポリペプチドも使用することもできる。
〜250個が欠落しているポリペプチドとしては、例え
ば、配列番号1のポリペプチドの1〜321番目のアミ
ノ酸配列からなるポリペプチドがある。配列番号1のポ
リペプチドの中のアミノ酸1〜100個が他のアミノ酸
で置換されているポリペプチドとしては、配列番号1の
ポリペプチドの中の任意の箇所のアミノ酸を類似の性質
をもつ他のアミノ酸に置換したポリペプチドがあり、例
えば、配列番号1のポリペプチドの571番目のアミノ
酸であるグリシンがアラニンに置換されたポリペプチド
がある。配列番号1のポリペプチドの中の連続した少な
くとも5個のアミノ酸配列に結合するアミノ酸若しくは
2〜1000個のアミノ酸配列としては、例えば、ロイ
シン、ロイシン−メチオニン、ジヒドロ葉酸還元酵素
(DHFR)、β−ガラクトシダーゼ等がある。ポリペ
プチドCの具体例としては、例えば配列番号1のポリペ
プチド、配列番号1のポリペプチドの1〜321番目の
アミノ酸配列からなるポリペプチドがある。
列表に示すとおり、571個のアミノ酸残基から成る抗
原ポリペプチドである。本発明の配列番号3のポリペプ
チドは、配列表に示すとおり、259個のアミノ酸残基
から成る抗原ポリペプチドである。ポリペプチドCの中
では、クラミジア・ニューモニエの73KDaの抗原ポ
リペプチドのアミノ酸配列そのものを含む配列番号1の
ポリペプチドが望ましい。
るDNAとは、配列番号1のポリペプチドをトリプレッ
ト暗号表(それぞれのアミノ酸に対して、1〜6通りの
ヌクレオチド配列が割り当てられている。)に従ってア
ミノ酸をヌクレオチド配列に読み替えたときのDNA群
(この中には、配列番号2のDNAも含まれる。)から
選ばれるDNAのことである。同様に、本発明におい
て、配列番号3のポリペプチドをコードするDNAと
は、配列番号3のポリペプチドをトリプレット暗号表
(それぞれのアミノ酸に対して、1〜6通りのヌクレオ
チド配列が割り当てられている。)に従ってアミノ酸を
ヌクレオチド配列に読み替えたときのDNA群(この中
には、配列番号4のDNAも含まれる。)から選ばれる
DNAのことである。
抗クラミジア・ニューモニエ抗体の製造方法 抗クラミジア・ニューモニエ抗体を製造するには、本発
明の抗原ポリペプチドを抗原としてマウスを免疫し、そ
のひ臓細胞を骨髄腫細胞株と融合させてハイブリドーマ
を作製し、その中からクラミジア・ニューモニエの抗原
ポリペプチドを認識するハイブリドーマを選択し、これ
を培養することによって得ることができる。骨髄腫細胞
株としては、例えばP3X63Ag8.653(ATC
C CRL−1580)やP3/NSI/1−Ag4−
1(ATCC TIB−18)を使用することができ
る。抗原として本発明の抗原ポリペプチドを使用するこ
と以外は、マウスを免疫して抗体を得る公知の一般的手
法に従い、抗クラミジア・ニューモニエ抗体を製造す
る。
が、本発明はこれにより何ら制限されるものではない。
ナル抗体は、表1に示されるように、モノクローナル抗
体のSCP53及びAY6E2E8は C.ニューモニエ
に特異的であり、モノクローナル抗体の70はクラミジ
ア属細菌に特異的である。
ら、クラミジア・ニューモニエの抗原ポリペプチドの遺
伝子DNA配列/アミノ酸配列の決定まで、順を追って
説明する。
3K抗原ポリペプチドをコードするDNAの作製 (A)宿主細胞(HL細胞)の培養 予め、プラスチック製培養フラスコ(75cm2)の底面
いっぱいに増殖させたHL細胞をリン酸緩衝化生理食塩
液(以下、PBSという)マグネシウム不含(−)液5
mlで洗浄し、0.1%(w/v)トリプシンを含むPB
Sを5ml加えて細胞表面全体に行き渡らせ、その液を捨
てた後、37℃で10分間保温し、10%(v/v)牛
胎児血清を含むダルベッコMEM培地5mlを加え、ピペ
ッテイングによりHL細胞を剥離して、細胞浮遊液を調
製した。
培養するときは、培養フラスコに上記細胞浮遊液1ml及
び10%(v/v)牛胎児血清含有ダルベッコMEM培
地15〜20mlを加え、また、6ウェルプラスチック製
培養容器で培養するときは、上記細胞浮遊液8mlと10
%牛胎児血清含有ダルベッコMEM培地292mlとの混
合液4mlずつを各ウェルに加え、5%(v/v)炭酸ガ
ス雰囲気下で培養した。
1の培養 6ウェルプラスチック製培養容器(底面上)に増殖した
HL細胞の培養上清をピペットで取り除き、これに前述
のクラミジア・ニューモニエYK41株の浮遊液〔クラ
ミジア・ニューモニエYK41保存液を、1リットルあ
たり庶糖75g、リン酸一カリウム0.52g、リン酸
二カリウム1.22g及びグルタミン酸0.72gを含
む水溶液(以下、SPGという)で12ないし24倍に
希釈し、超音波で1分間処理し、2,000rpmで3分
間遠心分離した上清〕を1ウェルあたり2ml加えて、
2,000rpmで1時間遠心吸着を行った。遠心吸着
後、クラミジア・ニューモニエ浮遊液を除き、1μg/ml
シクロヘキシミド及び10%(v/v)牛胎児血清を含
むダルベッコMEM培地をウェルあたり4ml加え、5%
(v/v)炭酸ガス雰囲気下、36℃で3日間培養し
た。培養後、滅菌したシリコン片で細胞を剥離し、細胞
を回収した。これを8,000rpmで30分間遠心分離
して、沈殿をSPGに再懸濁し、−70℃で保存した
(以下、これをクラミジア・ニューモニエYK41保存
液という)。
の基本小体の精製 −70℃に保存しておいたクラミジア・ニューモニエY
K41感染凍結HL細胞浮遊液を融解し、テフロンホモ
ジナイザーでホモジナイズした。2,500rpmで10
分間遠心分離し、上清を回収した。沈殿は再びSPGに
懸濁し、同様の操作を行い、上清を回収した。同様の操
作を更に2回行い、得られた上清は集めて合わせた。
む0.03Mトリス−塩酸緩衝液(pH7.4)、次い
で、ウログラフィン76%(シェーリング社製)3容量
と0.03Mトリス−塩酸緩衝液(pH7.4)7容量と
の混合液を重層し、この上に先に回収した上清を注意深
く重層し、8,000rpmで1時間遠心分離した。50
%(w/v)庶糖を含む0.03Mトリス−塩酸緩衝液
(pH7.4)層及び沈殿を回収し、この回収液に同容量
のSPGを加え、10,000rpmで30分間遠心分離
した。上清を捨て、沈殿をSPGに懸濁した。遠心分離
管に、ウログラフィン76%(シェーリング社製)と
0.03Mトリス−塩酸緩衝液(pH7.4)の35%か
ら50%(総量に対する前者の容量比)までの連続密度
勾配液を作製し、この上に懸濁液を重層し、8000rp
mで1時間遠心分離した。クラミジア・ニューモニエ Y
K41の基本小体に相当するバンドを回収し、これをS
PGで2倍に希釈し、10000rpmで30分間遠心分
離した。得られた沈殿をSPGに懸濁し、タンパク質濃
度を測定(バイオラッド社のタンパク測定キットを用
い、牛血清アルブミンを標準とした)後、−70℃で保
存した。
1株のゲノムDNAの調製 上記精製クラミジア・ニューモニエYK−41株の基本
小体の懸濁液300μl(タンパク質濃度:1.37mg
/ml)を4℃、12,000rpmで5分間遠心分離した。
沈殿に1mM EDTAを含む10mMトリス−塩酸緩
衝液pH8.0(以下、TE緩衝液という)500μlを
加えて懸濁した。同様の遠心分離を再度行い、沈殿を3
00μlのTE緩衝液に懸濁した。1%SDS水溶液3
0μl及び1mg/mlプロテイナーゼK水溶液30μlを
加え、56℃で30分間インキュベートし、基本小体を
溶解させた。0.1Mトリス−塩酸緩衝液(pH8.0)
飽和フェノール350μlを加え、ボルテックスミキサ
ーでよく混合後、4℃、12,000rpmで5分間遠心
分離し、水層を回収した(DNAの抽出)。この抽出操
作はもう一度繰り返した。10mg/mlのRNase溶液
を2μl加え、37℃で2時間インキュベートし、RN
Aを分解した。0.1Mトリス−塩酸緩衝液(pH8.
0)飽和フェノール、クロロホルム及びイソアミルアル
コールの25:24:1(容量比)の混合液(以下、P
CIという)300μlを加え、ボルテックスミキサー
でよく混合し、4℃、12,000rpmで5分間遠心分
離し、水層を回収した。この操作を合計5回繰り返し
た。
アンモニウム水溶液及び2容のエタノールを加え、5分
間放置し、DNAを析出させたのち、4℃、12,00
0rpmで5分間遠心分離した。沈殿は70%エタノール
水溶液600μlを加え、混合し、4℃、12,000
rpmで5分間遠心分離する洗浄を2回繰り返した。遠沈
管のふたを開けたまま15分間放置して沈殿を乾燥さ
せ、これにTE200μlを加えて溶かし、−20℃に
保存した。
製 ゲノムDNA溶液100μlに、制限酵素用M-buffer1
0μl、制限酵素混合液(AccI、HaeIII及び1
/50希釈のAluI各0.4μlとTE20μlを混
合)10μlを加え、37℃で20分間反応させた。な
お、上記20分の反応時間は、DNAが1kbp〜7k
bpの大きさの部分消化DNAに分解される時間で、予
め少量のゲノムDNAを用いて試験した。上記反応液に
PCIを100μl加え、ボルテックスミキサーでよく
混ぜ、4℃、12,000rpmで5分間遠心分離し、水
層を回収した。これに3M酢酸ナトリウム水溶液10μ
l及びエタノール220μlを加え、−80℃に15分
間静置し、部分消化DNAを析出させた。4℃、12,
000rpmで5分間遠心分離し、上清液を捨てたのち、
沈殿に70%エタノール水溶液500μlを加えて混
ぜ、再び、12,000rpmで5分間遠心分離した。上
清液を捨て、沈殿を減圧下に乾燥した。
に溶かし、その19μlをとり、これに下記化1で示す
リンカー(20pmole/μl)14μl、10mM AT
P4.5μl、50mM MgCl2、50mMジチオ
スレイトール及び500μg/ml牛血清アルブミン含有
0.2Mトリス−塩酸緩衝液(pH7.6、以下、10倍
濃度ライゲーション用緩衝液という)4.5μl、精製
水2μl及びT4リガーゼ1μlを加え、16℃で4時
間反応させ、リンカーを付加させた。
0.1M NaCl及び1mM EDTA含有10mMト
リス−塩酸緩衝液を移動相とするChroma spin 6000カラ
ムにかけた。溶出液2滴ずつを分取し、各分画の一部を
0.8%アガロースゲル電気泳動で分析して、1kbp
から7kbpのDNA断片を含む分画を回収した。得ら
れた分画144μlに、精製水13μl、10mM A
TP 20μl、0.1M MgCl2、50mMジチオ
スレイトール、1mMスペルミジン塩酸塩及び1mM
EDTA含有0.5Mトリス−塩酸緩衝液(pH7.6、
以下、10倍濃度リン酸化反応用緩衝液という)20μ
l、及びT4ポリヌクレオチドキナーゼ3μlを加え、
37℃で30分間反応させ、DNA断片の5′端をリン
酸化した。PCI 200μlを加えてよく振り混ぜた
後、4℃、12,000rpmで5分間遠心分離し、水層
を回収した。20mg/mlグリコーゲン水溶液1μl、3
M酢酸ナトリウム水溶液20μl及びエタノール400
μlを加えてヌクレオチドを析出させた。4℃、12,
000rpmで10分間遠心分離し、上清を捨て、沈殿に
70%エタノール200μlを加え混ぜ、再び遠心分離
し、上清を捨て、沈殿を風乾し、精製水1μlを加え溶
かした。
RIで切断したλgt11 DNA(1μg/μl、ストラタジ
ーン(Stratagene)社)1μl、10倍濃度ライゲーシ
ョン用緩衝液0.5μl、10mM ATP0.5μl、
T4リガーゼ0.4μl及び精製水2μlを加え、4℃
で一晩反応させた。次いで、ギガパック(Gigapack)II
Goldパッケージングキット(ストラタジーン社)を用
い、得られた組換えλgt11DNAをパッケージングし
た。
Aのクローニング 大腸菌Y1090r−株の一白金耳を10mM MgS
O43ml、0.2%マルトース及び50μg/mlアンピ
シリン含有のLB(水1L中にNaCl 5g、ポリペ
プトン10g及び酵母エキス5gを含む)培地に接種
し、37℃で一晩振とう培養したのち、これを2,00
0rpmで10分間遠心分離した。沈殿(大腸菌)に10
mM MgSO4水溶液9mlを加えて混ぜ、この大腸菌懸
濁液の0.35mlを採り、これにλgt11(DNAライ
ブラリー)懸濁液を0.1〜10μl加え、37℃で2
0分間インキューベートし、大腸菌にλgt11を感染さ
せた。予め47℃に保温した液状LB寒天培地2.5ml
に、上記λgt11感染大腸菌を加え、これを直ちにLB
寒天培地上に撒いた。上層寒天培地が固化した後、42
℃で3〜4時間培養し、プラークが観察された時点で1
0mM IPTG水溶液に浸漬したニトロセルロースフ
ィルター(φ82mm)を上層寒天培地に乗せ、37℃で
12時間培養した。黒インクをつけた注射針で非対称に
3ヵ所突き刺してフィルターに目印をつけた後、フィル
ターを寒天培地からとり出し、150mMNaCl及び
0.1%ツィーン20含有20mMトリス−塩酸緩衝液
(pH7.5)(以下、TTBS緩衝液という)で3回洗
浄した。寒天培地は冷蔵庫中に保存した。
0mMトリス−塩酸緩衝液(pH7.5)(以下、TBS
緩衝液という)の0.1%牛血清アルブミン含有液に浸
し、37℃で1時間振とうし、ブロッキング反応を行っ
た。次いで、フィルターをTTBS緩衝液で2回洗浄し
たのち、5〜10μg/mlのクラミジア属細菌に特異的な
モノクローナル抗体(70)のTTBS溶液に浸し、3
7℃、1時間振とうした。フィルターをTTBS緩衝液
で3回洗浄した後、パーオキシダーゼ標識の(50ng/m
l)抗マウスIgG抗体溶液(TTBS緩衝液)中、3
7℃で1時間振とうした。フィルターをTTBS緩衝液
で3回、及びTBS緩衝液で3回洗浄した後、発色基質
液(TBS緩衝液100mlに30%過酸化水素水溶液6
0μlと0.3% 4−クロロ−1−ナフトールのメタ
ノール溶液20mlを加えて調製)に浸漬し、室温で約3
0分間放置した。十分発色した時点でフィルターをとり
出し、精製水で洗浄し、風乾した。
培地上のプラークを捜して同定し、この部分の寒天をパ
スツールピペットでつき刺し、プラークを回収した。回
収したプラークはクロロホルム1滴を加えた0.1M
NaCl、8mM硫酸マグネシウム及び0.01%ゼラ
チン含有50mMトリス−塩酸緩衝液(pH7.5)(以
下、SM緩衝液という)中に採り、4℃で一晩放置しプ
ラーク中のλファージを抽出した。プラークが全て上記
モノクローナル抗体と反応するようになるまで、前記操
作を繰り返し、抗原ポリペプチドをコードするDNAを
クローン化した。このようにして、クラミジア属細菌特
異的モノクローナル抗体反応性のクラミジア・ニューモ
ニエ抗原ポリペプチドを発現するλファージが得られ、
これを70−2Sλファージと命名した。
A精製 前記(F)で述べた方法と同様にしてプラークを形成さ
せ、一つのプラークを回収し、100μlのSM緩衝液
に入れ、4℃で一晩放置しλファージを抽出した。LB
培養液で一晩培養した大腸菌Y1090r−株250μ
lに、λファージ液5〜10μlを加え、37℃で20
分間放置し、大腸菌にλファージを感染させた。予め3
7℃に温めておいた10mM硫酸マグネシウムを含むL
B培地50mlに接種し、λファージによる大腸菌の溶
菌が起こるまで37℃で5〜7時間振とう培養した。2
50μlのクロロホルムを加え、3,000rpmで10
分間遠心分離し大腸菌細胞残渣を除き、λファージ懸濁
液を得た。λファージDNAは、Wizard λ preps キッ
ト(プロメガ社)を用いて精製した。
ペプチドをコードするDNAの増幅 600μl用のマイクロチューブに、精製水61.5μ
l、10倍濃度 反応用緩衝液(500mM KCl、
15mM MgCl2、0.01%ゼラチンを含むトリ
ス−塩酸緩衝液pH8.3)10μl、20mM dN
TP 1μl、53−3SλファージDNA溶液0.1
μl、20nM λgt11 forward primer(宝酒造株
式会社)1μl、20nM λgt11 reverse primer
(宝酒造株式会社)1μl、AmpliTaq DNA Polymerase
0.5μlを入れ、ミネラルオイルを2〜3滴重層し
た。94℃ 30秒、55℃ 30秒、73℃ 2分の
サイクルのインキュベーションを30回繰返し、DNA
を増幅した。反応後、1.2%低温融解アガロースゲル
電気泳動を行い、増幅されたDNAを切り出して Wizar
d PCR Prep キット(プロメガ社)で精製した。
として、Taq DNA ポリメラーゼを用いた蛍光標識ターミ
ネータサイクルシークエンス法でシークエンス反応を行
い、373A型DNAシークエンサ(アプライドバイオ
システムズ社)で分析を行った。得られたDNA塩基配
列を遺伝子配列分析ソフト「DNASIS」(日立ソフ
トウェアエンジニアリング社)を用いて、編集、連結、
アミノ酸翻訳領域の推定を行ない、配列番号5の配列を
得た。配列番号5の配列の解析結果から、73KDa抗
原ポリペプチドについて、そのN末端からC末端に向け
て約90%のアミノ酸配列が解明されたことが分かっ
た。配列番号5の塩基配列及びアミノ酸配列の相同性検
索をGenBankデータベースで行なった結果、これ
はクラミジア・トラコマチスから単離された遺伝子塩基
配列(L.M.Sardinia et al:J. Bacteriol., Vol.171, 3
35-341(1989))と高い相同性を示すものであった。
原ポリペプチドを含むポリペプチドをコードするDNA
を含む組換えベクターの作製、及びそれを含む形質転換
体の作製 70−2SλファージDNAを制限酵素EcoRIで切
断し、このDNA断片50ngに、予め制限酵素EcoR
Iで切断してあるプラスミドpBR322のDNA10
0ngを添加し、DNAライゲーションキット(宝酒造)
を用いてこれらのDNAを連結する。この反応物を大腸
菌HB101株コンピテントセル(宝酒造)に入れ、形
質転換体を作製する。このプラスミドは、約6.4kb
pのDNAであり、73K抗原ポリペプチドの一部をコ
ードするDNAを含むものである。この73K抗原ポリ
ペプチドの一部をコードするDNAの塩基配列は配列番
号2のようになっており、この塩基配列から推定される
アミノ酸配列はを配列番号1のようになっている。プラ
スミドから73K抗原ポリペプチドの一部をコードする
DNAを切りだし、発現ベクターに入れ、これを大腸菌
等の宿主に入れてDNAを発現させると、コードされて
いるタンパク質が菌体内に蓄積される。このタンパク質
を電気泳動、ニトロセルロース膜への転写、モノクロー
ナル抗体での検出を同様に行うと上記ポリペプチドに相
当するバンドが観察され、クラミジア属の細菌に特異的
に反応するモノクローナル抗体と反応することができる
73K抗原ポリペプチドを発現していることが示され
る。
3K抗原ポリペプチドをコードするDNAの作製 モノクローナル抗体70の代わりに、モノクローナル抗
体AY6E2E8又はSCP53を使用し、実施例1と
同様の手順で操作した。クローン53−3Sλファージ
が得られ、これから配列番号6の配列が得られた。配列
番号6の配列の解析結果から、クラミジア・ニューモニ
エに特異的な53K抗原タンパク質については、そのN
末端からC末端に向けて約60%のアミノ酸配列が解明
されたことが分かった。配列番号6の塩基配列及びアミ
ノ酸配列の相同性検索をGenBankデータベースで
行なった結果、高い相同性を示す既知の配列はなかっ
た。
原ポリペプチドを抗原として用いる、抗クラミジア・ニ
ューモニエ抗体の製造 (A)骨髄腫細胞株の培養及び継代 骨髄腫細胞株はP3X63Ag8.653(ATCC
CRL−1580)を10%(v/v)牛胎児血清を含
むRPMI1640培地で培養し、継代する。細胞融合
に供する2週間前に、0.13mMの8−アザグアニ
ン、0.5μg/mlのMC−210(マイコプラズマ除去
剤、大日本製薬(株)製)及び10%(v/v)牛胎児血
清を含むRPMI1640培地で1週間培養し、その後
の1週間は通常の培地で培養する。
ドの懸濁液200μlを、12000rpmで10分間遠
心分離し、沈殿に200μlのPBSを加え、再懸濁す
る。これに200μlのフロイントコンプリートアジュ
バントを加え、エマルジョンとし、その150μlをマ
ウスの背中の皮下に注射する(この日を0日目とす
る)。14日目、34日目及び49日目に、タンパク質
の濃度が270μg/mlの上記抗原ポリペプチドの懸濁液
100μlをマウスの腹腔内に注射し、更に、69日目
にタンパク質の濃度が800μg/mlの上記抗原ポリペプ
チドの懸濁液50μl、92日目に同懸濁液100μl
をマウスの腹腔内に注射し、95日目に脾臓を取り出
し、細胞融合に供する。
胞107個を丸底ガラスチューブにとり、よく混合し、
1400rpmで5分間遠心分離し、上清を除去し、細胞
を更によく混合する。予め37℃に保温してある30%
(w/v)ポリエチレングリコールを含むRPMI16
40培地0.4mlを加え、30秒間放置する。700rp
mで6分間遠心分離した後、RPMI1640培地10
mlを加え、ポリエチレングリコールがよく混ざるよう
にガラスチューブをゆっくり回転させ、1400rpmで
5分間遠心分離し、上清を完全に除去し、沈殿に5mlの
HAT培地を加え、5分間放置する。更に10〜20ml
のHAT培地を加え、30分間放置し、骨髄腫細胞濃度
が3.3×105/mlとなるようにHAT培地を加えて細
胞を懸濁させ、パスツールピペットを用い96ウェルプ
ラスチック製培養容器のウェルに2滴ずつ分注する。5
%(v/v)炭酸ガス雰囲気下、36℃で培養し、1日
後、7日後及び14日後にウェルにHAT培地を1〜2
滴加える。
mlとなるように0.02%(w/v)アジ化ソーダ含有
0.05M重炭酸ソーダ緩衝液(pH9.6)に懸濁し、
0.02%アジ化ソーダ含有0.05M重炭酸ソーダ緩
衝液(pH9.6)に対して透析し、その後、タンパク質
濃度が1〜10μg/mlとなるように希釈した液を、塩化
ビニル製96ウェルEIA用プレートのウェルに50μ
lとり、4℃で一晩放置し、抗原を吸着させる。上澄み
を除去し、ウェルに0.02%(w/v)ツィーン20
を含むPBS150μlを加え、3分間放置し、その後
除去・洗浄する。洗浄操作を更に1回行なった後、ウェ
ルに1%(v/v)牛血清アルブミンを含むPBS10
0μlを加え、4℃で一晩以上放置し、ブロッキングを
行なう。牛血清アルブミンを含むPBSを除いた後、
0.02%(w/v)ツィーン20を含むPBSで同様
に2回洗浄後、ウェルに融合細胞の培養上清を50μl
加え、室温で2時間放置する。0.02%(w/v)ツ
ィーン20を含むPBSで同様に3回洗浄後、ウェルに
25ng/mlのペルオキシダーゼ標識化ヤギ抗マウスIg
G抗体を50μl加え、室温で2時間放置する。0.0
2%(w/v)ツィーン20を含むPBSで同様に3回
洗浄後、ウェルにABTS溶液(KPL社製)を50μ
l加え、室温で15分〜1時間放置して発色反応させ、
96ウエルEIAプレート用光度計で405nmの吸光度
を測定する。そして陽性のウエル中の細胞をそれぞれパ
スツールピペットで回収し、24ウェルプラスチック製
培養容器に移し、HAT培地1〜2mlを加え、同様に培
養する。
融合細胞の細胞濃度を測定し、細胞数が20個/mlとな
るようそれぞれをHT培地で希釈する。別にHT培地に
懸濁した4〜6週齢のマウス胸腺細胞を96ウェルプラ
スチック製培養容器に1〜2×105個/ウェルとり、こ
れに上記の融合細胞(細胞濃度が20個/ml)を50μ
l/ウェルずつ加え、5%(v/v)炭酸ガス雰囲気
下、36℃で培養し、その1日後、7日後及び14日後
にHT培地を1〜2滴/ウェル加える。細胞の増殖が見
られたウェルの培養上清を50μl回収し、上記(D)
の「抗体生産細胞のスクリーニング」と同様の方法で抗
体の生産を確認する。ウェル中に単一の細胞コロニーし
か存在せず、基本小体と反応する抗体を生産するもの
で、かつ増殖が早い細胞をウェルから回収し、引き続き
24ウェルプラスチック製培養容器で増殖させる。更
に、同様のクローニング操作を繰り返し、抗クラミジア
・ニューモニエ抗体を産生するハイブリドーマを取得す
る。これを培養し、その培養上清から抗クラミジア・ニ
ューモニエ抗体を製造する。
ラミジア・ニューモニエの抗体検査等に好適である。請
求項2記載の抗原ポリペプチドは、請求項1記載の抗原
ポリペプチドの効果を奏し、さらにアミノ酸配列の長さ
が短いため、担体等に固定化できる抗原ペプチドの数を
多くすることができ、それにより、感度の高い診断薬の
製造に利用できる。請求項3記載の抗原ポリペプチド
は、請求項1記載の抗原ポリペプチドの効果を奏し、さ
らに、タンパク質分解酵素による分解を受けにくい構造
をつくることができるので、抗原として安定性に優れ
る。請求項4記載の抗原ポリペプチドは、請求項1記載
の抗原ポリペプチドの効果を奏し、さらに、ポリペプチ
ドCが、アミノ酸若しくは2〜1000個のアミノ酸配
列を利用して担体等に固定化できるので、固定化による
抗原性の低下又は喪失が生じにくい。請求項5記載の抗
原ポリペプチドは、請求項1記載の抗原ポリペプチドの
効果を奏し、さらに、クラミジア属細菌に特異的な抗原
ポリペプチドの抗原部分を有するので、抗体検査やクラ
ミジア属細菌感染の正確な診断に極めて適切であり、ま
た、クラミジア・ニューモニエに特異的な抗原ポリペプ
チドと合わせて利用することにより、感染している種の
容易な区別に利用できる。請求項6記載のDNAは、ク
ラミジア・ニューモニエの抗体検査やクラミジア・ニュ
ーモニエ感染の診断等に好適な抗原ポリペプチドの製造
に好適である。請求項7記載のDNAは、請求項6記載
のDNAの効果を奏し、さらに、このDNAにコードさ
れている抗原ポリペプチドはクラミジア・ニューモニエ
属細菌に特異的な抗原ポリペプチドの抗原部分を有する
ので、抗体検査やクラミジア属細菌感染の正確な診断に
極めて適切な抗原ポリペプチドの製造に好適である。請
求項8記載の組換えベクターは、クラミジア・ニューモ
ニエの抗体検査やクラミジア・ニューモニエの感染症の
診断に好適な抗原ポリペプチドの製造に適していであ
る。請求項9記載の形質転換体は、クラミジア・ニュー
モニエの抗体検査等に好適な抗原ポリペプチドの製造に
適している。請求項10記載の抗クラミジア・ニューモ
ニエ抗体の製造方法は、クラミジア・ニューモニエ感染
の診断薬製造に好適である。
究所
究所
Claims (10)
- 【請求項1】 配列番号1のポリペプチドの中の連続し
た少なくとも5個のアミノ酸配列を含むポリペプチドC
からなる、クラミジア・ニューモニエの抗原ポリペプチ
ド。 - 【請求項2】 ポリペプチドCが配列番号1のポリペプ
チドからアミノ酸1〜250個が欠落しているポリペプ
チドである、請求項1記載の抗原ポリペプチド。 - 【請求項3】 ポリペプチドCが、配列番号1のポリペ
プチドの中のアミノ酸1〜100個が他のアミノ酸で置
換されているポリペプチドである、請求項1記載の抗原
ポリペプチド。 - 【請求項4】 ポリペプチドCが、配列番号1のポリペ
プチドの中の連続した少なくとも5個のアミノ酸配列に
アミノ酸若しくは2〜1000個のアミノ酸配列が結合
したポリペプチドである、請求項1記載の抗原ポリペプ
チド。 - 【請求項5】 ポリペプチドCが配列番号1のアミノ酸
配列からなるポリペプチドである、請求項1記載の抗原
ポリペプチド。 - 【請求項6】 請求項1〜5のいずれかに記載の抗原ポ
リペプチドをコードするDNA若しくはそれに相補的な
DNA。 - 【請求項7】 塩基配列が配列番号2の塩基配列であ
る、請求項6記載のDNA。 - 【請求項8】 請求項6又は請求項7記載のDNAを含
む組換えベクター。 - 【請求項9】 請求項8記載の組換えベクターを含む形
質転換体。 - 【請求項10】 請求項1〜5のいずれかに記載の抗原
ポリペプチドを抗原として用いることを特徴とする、抗
クラミジア・ニューモニエ抗体の製造方法。
Priority Applications (1)
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JP7106013A JPH08143594A (ja) | 1994-09-20 | 1995-04-28 | クラミジア・ニューモニエの抗原ポリペプチド、それをコードするdna、そのdnaを含む組換えベクター、その組換えベクターを含む形質転換体、及び抗クラミジア・ニューモニエ抗体の製造方法 |
Applications Claiming Priority (3)
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JP22471194 | 1994-09-20 | ||
JP6-224711 | 1995-04-28 | ||
JP7106013A JPH08143594A (ja) | 1994-09-20 | 1995-04-28 | クラミジア・ニューモニエの抗原ポリペプチド、それをコードするdna、そのdnaを含む組換えベクター、その組換えベクターを含む形質転換体、及び抗クラミジア・ニューモニエ抗体の製造方法 |
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Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP7106013A Pending JPH08143594A (ja) | 1994-09-20 | 1995-04-28 | クラミジア・ニューモニエの抗原ポリペプチド、それをコードするdna、そのdnaを含む組換えベクター、その組換えベクターを含む形質転換体、及び抗クラミジア・ニューモニエ抗体の製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
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JP (1) | JPH08143594A (ja) |
-
1995
- 1995-04-28 JP JP7106013A patent/JPH08143594A/ja active Pending
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