JP3578233B2 - 抗クラミジア・ニューモニエ抗体の検出・測定方法及びその試薬、並びにクラミジア・ニューモニエ感染の診断薬 - Google Patents

抗クラミジア・ニューモニエ抗体の検出・測定方法及びその試薬、並びにクラミジア・ニューモニエ感染の診断薬 Download PDF

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、抗クラミジア・ニューモニエ抗体の検出・測定方法及びその試薬、並びにクラミジア・ニューモニエ感染の診断薬に関する。本発明は医薬品工業、特にクラミジア・ニューモニエ感染症の診断薬の製造において有効に利用される。
【0002】
【従来の技術】
クラミジア属の細菌は、クラミジア・トラコマチス、クラミジア・シッタシ、クラミジア・ニューモニエ等の種(Species)が知られている。クラミジア・トラコマチスは、トラコーマ、性病性リンパ肉芽腫、泌尿生殖器感染症、封入体結膜炎、新生児肺炎等を引き起こす原因菌であり、クラミジア・シッタシは、オウム病等の原因菌であり、またクラミジア・ニューモニエは、呼吸器感染症、異形肺炎等の原因菌である。
【0003】
クラミジア・ニューモニエの引き起こす呼吸器感染症の症状は、マイコプラズマ・ニューモニエやインフルエンザウイルスが原因で起こる感染症の症状と類似しているので、しばしば誤診されやすい。そのため、クラミジア・ニューモニエの簡便な診断方法の開発が望まれていた。
【0004】
感染症の診断は、通常、感染部位等における原因菌の存在の検出か、血清・その他の体液中における(原因菌に対する)抗体の存在の検出により確定的になされる。前者は抗原検査、後者は抗体検査と呼ばれ、いずれも臨床で重要な意義があり、クラミジア・ニューモニエの抗体検査としては、クラミジア・ニューモニエの基本小体を用いて抗体の存在を検出する方法が知られている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、クラミジア・ニューモニエの基本小体は、クラミジア・ニューモニエ以外のクラミジア属細菌、すなわち、クラミジア・トラコマチス又はクラミジア・シッタシにも共通に存在する抗原を含むため、この基本小体を用いる方法ではクラミジア・ニューモニエに対する抗体だけでなく、他の種のクラミジアに対する抗体とも反応し、特異性に欠ける難点があった。本発明は、クラミジア・トラコマチスやクラミジア・シッタシ等のクラミジア・ニューモニエ以外のクラミジア属細菌に対する抗体に反応せず、クラミジア・ニューモニエ特異的抗体とのみ反応し、これを検出するための抗原ポリペプチドを提供し、また、クラミジア・ニューモニエ、クラミジア・トラコマチス、クラミジア・シッタシ等のクラミジア属細菌に共通に反応する抗体を検出するための抗原ポリペプチドを提供するものである。これにより、抗クラミジア属細菌抗体もしくは抗クラミジア・ニューモニエ抗体の簡便な検出・測定方法その試薬、並びにクラミジア属細菌感染もしくはクラミジア・ニューモニエ感染を簡便に診断する診断薬を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、クラミジア・ニューモニエ特異的抗原ポリペプチド又はクラミジア属細菌特異的(すなわち、クラミジア・ニューモニエ、クラミジア・トラコマチス、クラミジア・シッタシ等のクラミジア属細菌共通の抗原ポリペプチド)を純粋に、かつアミノ酸配列が解明された形で取得するため、先ず、クラミジア・ニューモニエを宿主細胞中に培養し、そのクラミジア・ニューモニエからゲノムDNAを抽出し、制限酵素で部分分解し、これをλgt11DNAに挿入してゲノムDNAライブラリーを作成し、これを大腸菌Y1090r−株に感染させ、クラミジア・ニューモニエ特異的モノクローナル抗体又はクラミジア属細菌特異的モノクローナル抗体を用いてクラミジア・ニューモニエの抗原ポリペプチドを発現する感染大腸菌のコロニーをスクリーニングし、陽性の感染大腸菌からλファージを抽出し、この操作を繰り返してλファージを精製し、これを大腸菌Y1090r−株に感染させて増幅させた後そのDNAの塩基配列を分析し、これをポリペプチドに翻訳して、抗原ポリペプチドのアミノ酸配列を決定し、本発明を完成した。
【0007】
本発明は下記(1)〜()に関するものである。
(1)配列番号1のポリペプチドの中の連続した少なくとも5個のアミノ酸配列を含むポリペプチドCを抗原として用いることを特徴とする、抗クラミジア属細菌抗体もしくは抗クラミジア・ニューモニエ抗体の検出・測定方法。
配列番号1のポリペプチドを抗原として用いることを特徴とする、抗クラミジア属細菌抗体もしくは抗クラミジア・ニューモニエ抗体の検出・測定方法。
)配列番号1のポリペプチドの中の連続した少なくとも5個のアミノ酸配列を含むポリペプチドCを抗原として含有してなる、抗クラミジア属細菌抗体もしくは抗クラミジア・ニューモニエ抗体の検出・測定用試薬。
配列番号1のポリペプチドを抗原として含有してなる、抗クラミジア属細菌抗体もしくは抗クラミジア・ニューモニエ抗体の検出・測定用試薬。
)配列番号1のポリペプチドの中の連続した少なくとも5個のアミノ酸配列を含むポリペプチドCを有効成分とする、クラミジア属細菌感染もしくはクラミジア・ニューモニエ感染の診断薬。
配列番号1のポリペプチドを有効成分とする、クラミジア属細菌感染もしくはクラミジア・ニューモニエ感染の診断薬。
【0008】
以下、本発明の詳細を、1.形質転換体の作製、2.抗原ポリペプチドの製造方法、3.得られた抗原ポリペプチド、4.抗原ポリペプチドをコードするDNA、、5.抗原ポリペプチドを抗原として用いる抗クラミジア・ニューモニエ抗体の検出・測定方法及び試薬、並びに抗原ポリペプチドを有効成分とするクラミジア・ニューモニエ感染の診断薬、の順に説明する。
【0009】
1.形質転換体の作製
1.1 クラミジア・ニューモニエの培養
培養したHL細胞から細胞浮遊液を調製し、培養上清を除去した後にクラミジア・ニューモニエの浮遊液を添加してこれを培養し、遠心分離してクラミジア・ニューモニエ感染HL細胞を取得する。クラミジア・ニューモニエとしては、例えばクラミジア・ニューモニエYK41株(金本ら:ミクロバイオロジカル・イムノロジー、37巻、495−498頁、1993年(Y.Kanamoto et al., Microbiol. Immunol., Vol.37, p.495−498, 1993))が使用できる。
1.2 クラミジア・ニューモニエの基本小体の精製
クラミジア・ニューモニエ感染HL細胞を破砕し、遠心分離し、上清を回収する。ウログラフィン(シェーリング社製)を用いた連続密度勾配液にこの上清を添加して遠心分離し、クラミジア・ニューモニエの基本小体に相当するバンドを回収する。
【0010】
1.3 クラミジア・ニューモニエのゲノムDNAの調製
クラミジア・ニューモニエの基本小体を、1mM EDTAを含む10mMトリス−塩酸緩衝液(pH8.0)(以下、TE緩衝液という)に懸濁し、1%ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)水溶液及び1mg/mlプロテイナーゼK水溶液を加えて保温し、基本小体を溶解させる。0.1Mトリス−塩酸緩衝液(pH8.0)飽和フェノールを加えて撹拌し、遠心分離し、水層を回収する。さらにRNA分解酵素(RNase)処理をし、フェノール/クロロホルム/イソアミルアルコール処理とエタノール沈殿処理をし、クラミジア・ニューモニエのゲノムDNAを取得する。
【0011】
1.4 ゲノムDNA発現ライブラリーの作製
ゲノムDNAを制限酵素AccI、HaeIII及びAluIで消化し、フェノール/クロロホルム/イソアミルアルコール処理とエタノール沈殿処理をし、部分消化DNAを取得する。この部分消化DNAにリンカー、アデノシン−5′−三リン酸(adenosine 5′−triphosphate、以下、ATPと略す)及びT4リガーゼを添加して、部分消化DNAにリンカーを付加させる。
これを、0.1M NaCl及び1mM EDTA含有10mMトリス−塩酸緩衝液を移動相とするクロマ・スピン6000(Chroma spin 6000)カラムにかけ、溶出液を分取し、1kbpから7kbpのDNA断片を含む分画を回収する。得られた分画にATP及びT4ポリヌクレオチドキナーゼを加えて反応させ、DNA断片の5′端をリン酸化する。反応液をフェノール/クロロホルム/イソアミルアルコール処理及びエタノール沈殿処理し、5′端がリン酸化されたDNA断片を取得する。
このDNA断片に、予め制限酵素EcoRIで切断しておいたλgt11DNA、ATP及びT4リガーゼを加えて反応させ、市販のパッケージングキットを用い、得られた組換えλgt11DNAをパッケージングし、ゲノムDNA発現ライブラリーを作製する。
【0012】
1.5 抗原ポリペプチドをコードするDNAのクローニング
大腸菌Y1090r−株の培養液に上記ゲノムDNA発現ライブラリーを感染させ、寒天培地上で培養し、イソプロピルチオ−β−D−ガラクトシド(IPTG)水溶液に浸漬したニトロセルロースフィルターを利用して、挿入DNAの発現により菌体内に産生されたタンパク質をニトロセルロースフィルターに付着させる。このフィルターを牛血清アルブミンを用いてブロッキング反応させ、洗浄し、次いでフィルターを抗クラミジア・ニューモニエモノクローナル抗体と反応させる。抗クラミジア・ニューモニエモノクローナル抗体としては、例えば、70、AY6E2E8及びSCP53を使用することができる。70及びSCP53をは本発明者の一人の松本等がクラミジア・ニューモニエKKpn−1株を抗原としてマウスを免疫し、その脾臓細胞をミエローマ細胞と融合させて得られたハイブリドーマ70及びハイブリドーマSCP53が分泌する抗体である。SCP53を産生するハイブリドーマについてはジャーナル・オブ・クリニカル・ミクロバイオロジー、132巻、583−588頁(1994)(J. Clin. Microbiol.,Vol.132, p.583−588, 1994)に記載されている。また、AY6E2E8は本発明者の一人の井筒等が、クラミジア・ニューモニエYK−41株の基本小体を抗原として、マウスを免疫し、その脾臓細胞をミエローマと細胞融合させて得られたハイブリドーマAY6E2E8が分泌する抗体AY6E2E8であり、AY6E2E8を産生するハイブリドーマは工業技術院生命工学工業技術研究所に受託番号FERMP−13688として寄託されている。反応後、フィルターを洗浄し、パーオキシダーゼ等の酵素で標識された抗マウスIgG抗体を反応させる。反応後、フィルターを洗浄し、発色基質液を添加して反応させる。発色基質液としては、例えば、過酸化水素水溶液及び4−クロロ−1−ナフトールのメタノール溶液を含む液を利用することができる。反応後、フィルターを洗浄し、風乾させる。
【0013】
フィルターの発色スポットに対応する寒天培地上のプラークを同定し、プラークに含まれるλファージを取得する。プラークが全て上記モノクローナル抗体と反応するようになるまで前記操作を繰り返し、抗原ポリペプチドをコードするDNAをクローン化し、抗クラミジア・ニューモニエモノクローナル抗体反応性のクラミジア・ニューモニエ抗原ポリペプチドを発現するλファージを取得する。
【0014】
1.6 クラミジア・ニューモニエ抗原ポリペプチドをコードするDNAの取得
取得したλファージを大腸菌Y1090r−株に感染させ、培養し、λファージを大量に生産する。市販のキットを用いてλファージからDNAを取得・精製する。このDNAにプライマー、タックポリメラーゼ(Taq Polymerase)及びデオキシヌクレオチド類を添加し、加熱、冷却、保温の工程を繰り返し、λgt11に挿入されたDNAを増幅させる。プライマーとしては、例えば、λgt11・フォワード・プライマー(λgt11 forward primer)及びλgt11・リバース・プライマー(λgt11 reverse primer)(いずれも宝酒造株式会社製)があり 、タックポリメラーゼとしては、例えば、アンプリタック・DNA・ポリメラーゼ(AmpliTaq DNA Polymerase)がある。このDNA増幅方法の一般的手法はPCR法として知られており、詳細は「サムブロック他編集、モレキュラー・クローニング 第2版(コールド・スプリング・ハーバー・ラボラトリー)(1989年)」(J.Samblook et al., Molecular Cloning 2nd ed., Cold Spring Harbor Laboratory Press (1989)、以下、本文献を文献″モレキュラー・クローニング″という)に記載されている。
【0015】
増幅されたDNAを取得し、塩基配列を決定・解析する。DNAの取得には市販のキットを使用することができ、例えばウイザード・PCR・プレップキット(Wizard PCR Prep kit)(プロメガ(Promega)社製品)を使用することができる。また、塩基配列を決定はタックポリメラーゼを用いた蛍光標識ターミネータサイクルシークエンス法で行うことができ、この方法を用いるには、パーキン・エルマー・ジャパン社から販売されているキットを使用することができる。また、分析にあたっては市販の機械、例えば373A型DNAシークエンサ(アプライドバイオシステムズ社)を利用することができる。
【0016】
塩基配列の決定後、得られたDNA塩基配列を遺伝子配列分析ソフトで解析し、編集、連結、アミノ酸翻訳領域の推定を行なう。遺伝子配列分析ソフトとしては、「DNASIS」(日立ソフトウェアエンジニアリング社)を用いることができる。
解析の結果、完全長の遺伝子が取得できていない場合は、既に取得されているDNAの前後のDNAをゲノムウォーキングによって取得する。ゲノムウォーキングを行うには、宝酒造(株)から販売されているキットを使用することができる。
【0017】
1.7 抗原ポリペプチドをコードするDNAを含む組換えベクターの作製、及びそれを含む形質転換体の作製
上記1.6で取得したλファージ自体も上記抗原ポリペプチドをコードするDNAを含む組換えベクターであるが、上記1.6で取得したクラミジア・ニューモニエ抗原ポリペプチドをコードするDNAを常法で既存のプラスミドベクターやファージベクター等に挿入して、新たに組換えベクターを作製することもできる。その際、必要に応じ、リンカーを使用する。既存のプラスミドベクターとしては、例えばpBR322、pUC18、pUC19等を使用することができ、これらは市販されている。また、ファージベクターとしてはλgt11ファージ、λgt10ファージ等が利用できる。いずれも、用いた親ベクターに対応する組換えベクターが得られる。
上記抗原ポリペプチドをコードするDNAを含む組換えベクターとしては、後述するように、53−3Sλファージ、70−2Sλファージ等がある。
【0018】
得られた組換えベクターを宿主に入れ、形質転換体を作製する。大腸菌由来のプラスミドやλファージを使用する場合は宿主としては大腸菌を使用することができ、例えば大腸菌HB101株を使用することができる。この宿主をコンピテントセルとなるように処理をする。大腸菌HB101株を処理して得たコンピテントセルは宝酒造から販売されている。上記連結の反応物を宿主に入れ、形質転換体を作製する方法は文献″モレキュラー・クローニング″に記載されている。得られた形質転換体を培養してコロニーを形成させ、各コロニーからプラスミドDNAを取得し、適切な制限酵素で切断し、アガロースゲル電気泳動で分析し、所望の組換えプラスミドをもつ形質転換体を選択する。
【0019】
2.抗原ポリペプチドの製造方法
本発明の抗原ポリペプチドを製造する場合は、形質転換体の培養、形質転換体の破砕、ストレプトマイシン処理、硫安沈殿、液体クロマトグラフィー、の各工程を行う。
形質転換体の培養は、その形質転換体が成長しうる培地でこの抗原ポリペプチドが形質転換体内に十分蓄積されるまで適温で培養器を振とうする。形質転換体として、プラスミドベクターpBR322に本発明のDNAを挿入した組換えベクターを入れた大腸菌HB101株を使用する場合は、アンピシリンを含むLB培地で37℃で一晩振とう培養し、その後、この培養液をアンピシリンを含むTB培地等に接種してさらに37℃で一晩振とう培養する。TB培地の調製方法は、文献″モレキュラー・クローニング″に記載されている。
培養した形質転換体を破砕するには、遠心分離で形質転換体を集め、緩衝液に懸濁し、これに超音波を照射する。形質転換体が大腸菌の場合は、上記懸濁液にリゾチームを加え、SDSを含む緩衝液を加えることよって菌体を溶菌させてもよい。
【0020】
形質転換体の破砕後、遠心分離して細胞残渣を除去し、上清を取得する。この上清にストレプトマイシン硫酸塩を添加し、しばらく撹拌し、遠心分離することによって、核酸を沈殿物として除去し、上清を取得する。
この上清を液体クロマトグラフィーによって分画し、各画分に含まれる蛋白質について、前述のクラミジア・ニューモニエ特異的モノクローナル抗体を用い、ウェスタン・ブロット法行い、抗原ポリペプチドを含む画分を取得する。細胞膜等の残渣の除去、ストレプトマイシン硫酸塩を添加するDNAの除去、硫酸アンモニウムを添加する蛋白質の取得、及びウェスタン・ブロット法の具体的方法は、文献″モレキュラー・クローニング″に記載されている。
【0021】
3.得られた抗原ポリペプチド
本発明に係る抗原ポリペプチドは、配列番号1のポリペプチドの中の連続した少なくとも5個のアミノ酸配列を含むポリペプチドCからなるものである。
配列番号1のポリペプチドの中の連続した少なくとも5個のアミノ酸配列を含むポリペプチドCは、望ましくは20個以上、より望ましくは100個以上、さらに望ましくは250個以上のアミノ酸からなるものがよい。
ポリペプチドCとしては、例えば配列番号1のポリペプチドを使用することができるし、配列番号1のポリペプチドからアミノ酸1〜250個が欠落しているポリペプチドや配列番号1のポリペプチドの中のアミノ酸1〜100個が他のアミノ酸で置換されているポリペプチドを使用することもできる。
また、ポリペプチドCとして、配列番号1のポリペプチドの中の連続した少なくとも5個のアミノ酸配列にアミノ酸若しくは2〜1000個のアミノ酸配列が結合したポリペプチドも使用することもできる。
【0022】
配列番号1のポリペプチドからアミノ酸1〜250個が欠落しているポリペプチドとしては、例えば、配列番号1のポリペプチドの1〜321番目のアミノ酸配列からなるポリペプチドがある。
配列番号1のポリペプチドの中のアミノ酸1〜100個が他のアミノ酸で置換されているポリペプチドとしては、配列番号1のポリペプチドの中の任意の箇所のアミノ酸を類似の性質をもつ他のアミノ酸に置換したポリペプチドがあり、例えば、配列番号1のポリペプチドの571番目のアミノ酸であるグリシンがアラニンに置換されたポリペプチドがある。
配列番号1のポリペプチドの中の連続した少なくとも5個のアミノ酸配列に結合するアミノ酸若しくは2〜1000個のアミノ酸配列としては、例えば、ロイシン、ロイシン−メチオニン、ジヒドロ葉酸還元酵素(DHFR)、β−ガラクトシダーゼ等がある。
ポリペプチドCの具体例としては、例えば配列番号1のポリペプチド、配列番号1のポリペプチドの1〜321番目のアミノ酸配列からなるポリペプチドがある。
【0023】
本発明に係る配列番号1のポリペプチドは、配列表に示すとおり、571個のアミノ酸残基から成る抗原ポリペプチドである。
本発明に係る配列番号3のポリペプチドは、配列表に示すとおり、259個のアミノ酸残基から成る抗原ポリペプチドである。
ポリペプチドCの中では、クラミジア・ニューモニエの73KDaの抗原ポリペプチドのアミノ酸配列そのものを含む配列番号1のポリペプチドが望ましい。
【0024】
4.抗原ポリペプチドをコードするDNA
本発明において、配列番号1のポリペプチドをコードするDNAとは、配列番号1のポリペプチドをトリプレット暗号表(それぞれのアミノ酸に対して、1〜6通りのヌクレオチド配列が割り当てられている)に従ってアミノ酸をヌクレオチド配列に読み替えたときのDNA群(この中には、配列番号2のDNAも含まれる。)から選ばれるDNAのことである。
同様に、本発明において、配列番号3のポリペプチドをコードするDNAとは、配列番号3のポリペプチドをトリプレット暗号表(それぞれのアミノ酸に対して、1〜6通りのヌクレオチド配列が割り当てられている)に従ってアミノ酸をヌクレオチド配列に読み替えたときのDNA群(この中には、配列番号4のDNAも含まれる)から選ばれるDNAのことである。
【0025】
5.抗原ポリペプチドを抗原として用いる抗クラミジア・ニューモニエ抗体の検出・測定方法及び試薬、並びに抗原ポリペプチドを有効成分とするクラミジア・ニューモニエ感染の診断薬
抗クラミジア・ニューモニエ抗体を検出・測定するには、例えば、上記抗原ポリペプチドを担体に固定化し、検体を添加し、洗浄し、標識化された二次抗体を添加し、洗浄し、この標識を直接的又は間接的に検出・測定する。
担体としては、例えば、ラテックスの粒子やセルロースの糸、その他プラスチック製のアッセイプレートや粒子等を利用することができる。
上記抗原ポリペプチドを担体に固定化するには、例えば共有結合や物理吸着を利用する。
検体としては、例えばヒトの血清等を使用する。なお、検体中の他の抗体等が担体に非特異的に結合するのを防止するため、検体の添加前に牛血清アルブミン等で担体の表面をブロッキングしておくことが望ましい。
洗浄は界面活性剤を含むリン酸緩衝液等を利用して行う。
【0026】
標識化された二次抗体としては、例えば標識化された抗ヒトモノクローナル抗体がある。標識としては種々のものが利用でき、例えばアルカリフォスファターゼ(Alkaline phosphatase)、ルシフェラーゼ(Luciferase)、ペルオキシダーゼ(Peroxidase)、β−ガラクトシダーゼ(β−galactosidase)等の酵素、フルオレセイン(Fluorescine)等の蛍光物質を利用することができる。また、抗体と標識物の間にビオチン(Biotin)、アビジン(Avidin)、ストレプトアビジン(Streptoavidin)、ディゴキシゲニン(Digoxigenin)等の化学物質を介在させてもよい。
標識を直接的又は間接的に検出・測定するには、例えば、その標識が酵素である場合は基質を添加し、酵素の触媒作用により発生する光や発色を検出・測定するか吸光度の変化を測定する。また、標識が蛍光物質である場合は反応系に紫外線を照射し、発生する蛍光を検出・測定する。必要に応じ、増感剤を使用する。
【0027】
上記抗原ポリペプチドを抗原として用いる抗クラミジア・ニューモニエ抗体の検出・測定用試薬としては、例えば上記抗原ポリペプチドを担体に固定化したものやさらに上記標識化された二次抗体や基質等が必要量同封されたものがある。上記抗原ポリペプチドを有効成分とするクラミジア・ニューモニエ感染の診断薬としては、例えば上記試薬をそのまま利用することができる。
【0028】
【実施例】
以下、実施例により本発明を詳細に説明するが、本発明はこれにより何ら制限されるものではない。
【0029】
以下の実施例において使用したモノクローナル抗体は、表1に示されるように、モノクローナル抗体のSCP53及びAY6E2E8は C.ニューモニエに特異的であり、モノクローナル抗体の70はクラミジア属細菌に特異的である。
【0030】
【表1】
Figure 0003578233
以下、クラミジア・ニューモニエの宿主細胞の培養から、クラミジア・ニューモニエの抗原ポリペプチドの遺伝子DNA配列/アミノ酸配列の決定まで、順を追って説明する。
【0031】
実施例1 クラミジア・ニューモニエの73K抗原ポリペプチドをコードするDNAの作製
(A)宿主細胞(HL細胞)の培養
予め、プラスチック製培養フラスコ(75cm)の底面いっぱいに増殖させたHL細胞をリン酸緩衝化生理食塩液(以下、PBSという)マグネシウム不含 (−)液5mlで洗浄し、0.1%(w/v)トリプシンを含むPBSを5ml加えて細胞表面全体に行き渡らせ、その液を捨てた後、37℃で10分間保温し、10%(v/v)牛胎児血清を含むダルベッコMEM培地5mlを加え、ピペッテイングによりHL細胞を剥離して、細胞浮遊液を調製した。
【0032】
75cmのプラスチック製培養フラスコで培養するときは、培養フラスコに上記細胞浮遊液1ml及び10%(v/v)牛胎児血清含有ダルベッコMEM培地15〜20mlを加え、また、6ウェルプラスチック製培養容器で培養するときは、上記細胞浮遊液8mlと10%牛胎児血清含有ダルベッコMEM培地292mlとの混合液4mlずつを各ウェルに加え、5%(v/v)炭酸ガス雰囲気下で培養した。
【0033】
(B)クラミジア・ニューモニエ YK41の培養
6ウェルプラスチック製培養容器(底面上)に増殖したHL細胞の培養上清をピペットで取り除き、これに前述のクラミジア・ニューモニエYK41株の浮遊液〔クラミジア・ニューモニエYK41保存液を、1リットルあたり庶糖75g、リン酸一カリウム0.52g、リン酸二カリウム1.22g及びグルタミン酸0.72gを含む水溶液(以下、SPGという)で12ないし24倍に希釈し、超音波で1分間処理し、2,000rpmで3分間遠心分離した上清〕を1ウェルあたり2ml加えて、2,000rpmで1時間遠心吸着を行った。遠心吸着後、クラミジア・ニューモニエ浮遊液を除き、1μg/mlシクロヘキシミド及び10%(v/v)牛胎児血清を含むダルベッコMEM培地をウェルあたり4ml加え、5%(v/v)炭酸ガス雰囲気下、36℃で3日間培養した。培養後、滅菌したシリコン片で細胞を剥離し、細胞を回収した。これを8,000rpmで30分間遠心分離して、沈殿をSPGに再懸濁し、−70℃で保存した(以下、これをクラミジア・ニューモニエYK41保存液という)。
【0034】
(C)クラミジア・ニューモニエYK41の基本小体の精製
−70℃に保存しておいたクラミジア・ニューモニエYK41感染凍結HL細胞浮遊液を融解し、テフロンホモジナイザーでホモジナイズした。2,500rpmで10分間遠心分離し、上清を回収した。沈殿は再びSPGに懸濁し、同様の操作を行い、上清を回収した。同様の操作を更に2回行い、得られた上清は集めて合わせた。
【0035】
別途、遠心管に50%(w/v)庶糖を含む0.03Mトリス−塩酸緩衝液 (pH7.4)、次いで、ウログラフィン76%(シェーリング社製)3容量と0.03Mトリス−塩酸緩衝液(pH7.4)7容量との混合液を重層し、この上に先に回収した上清を注意深く重層し、8,000rpmで1時間遠心分離した。50%(w/v)庶糖を含む0.03Mトリス−塩酸緩衝液(pH7.4)層及び沈殿を回収し、この回収液に同容量のSPGを加え、10,000rpmで30分間遠心分離した。上清を捨て、沈殿をSPGに懸濁した。遠心分離管に、ウログラフィン76%(シェーリング社製)と0.03Mトリス−塩酸緩衝液(pH7.4)の35%から50%(総量に対する前者の容量比)までの連続密度勾配液を作製し、この上に懸濁液を重層し、8000rpmで1時間遠心分離した。クラミジア・ニューモニエ YK41の基本小体に相当するバンドを回収し、これをSPGで2倍に希釈し、10000rpmで30分間遠心分離した。得られた沈殿をSPGに懸濁し、タンパク質濃度を測定(バイオラッド社のタンパク測定キットを用い、牛血清アルブミンを標準とした)後、−70℃で保存した。
【0036】
(D)クラミジア・ニューモニエYK−41株のゲノムDNAの調製
上記精製クラミジア・ニューモニエYK−41株の基本小体の懸濁液300μl(タンパク質濃度:1.37mg/ml)を4℃、12,000rpmで5分間遠心分離した。沈殿に1mM EDTAを含む10mMトリス−塩酸緩衝液pH8.0(以下、TE緩衝液という)500μlを加えて懸濁した。同様の遠心分離を再度行い、沈殿を300μlのTE緩衝液に懸濁した。1%SDS水溶液30μl及び1mg/mlプロテイナーゼK水溶液30μlを加え、56℃で30分間インキュベートし、基本小体を溶解させた。0.1Mトリス−塩酸緩衝液(pH8.0)飽和フェノール350μlを加え、ボルテックスミキサーでよく混合後、4℃、12,000rpmで5分間遠心分離し、水層を回収した(DNAの抽出)。この抽出操作はもう一度繰り返した。10mg/mlのRNase溶液を2μl加え、37℃で2時間インキュベートし、RNAを分解した。0.1Mトリス−塩酸緩衝液(pH8.0)飽和フェノール、クロロホルム及びイソアミルアルコールの25:24:1(容量比)の混合液(以下、PCIという)300μlを加え、ボルテックスミキサーでよく混合し、4℃、12,000rpmで5分間遠心分離し、水層を回収した。この操作を合計5回繰り返した。
【0037】
得られた液にその1/10容の10M酢酸アンモニウム水溶液及び2容のエタノールを加え、5分間放置し、DNAを析出させたのち、4℃、12,000rpmで5分間遠心分離した。沈殿は70%エタノール水溶液600μlを加え、混合し、4℃、12,000rpmで5分間遠心分離する洗浄を2回繰り返した。遠沈管のふたを開けたまま15分間放置して沈殿を乾燥させ、これにTE200μlを加えて溶かし、−20℃に保存した。
【0038】
(E)ゲノムDNA発現ライブラリーの作製
ゲノムDNA溶液100μlに、制限酵素用M−buffer10μl、制限酵素混合液(AccI、HaeIII及び1/50希釈のAluI各0.4μlとTE20μlを混合)10μlを加え、37℃で20分間反応させた。なお、上記20分の反応時間は、DNAが1kbp〜7kbpの大きさの部分消化DNAに分解される時間で、予め少量のゲノムDNAを用いて試験した。上記反応液にPCIを100μl加え、ボルテックスミキサーでよく混ぜ、4℃、12,000rpmで5分間遠心分離し、水層を回収した。これに3M酢酸ナトリウム水溶液10μl及びエタノール220μlを加え、−80℃に15分間静置し、部分消化DNAを析出させた。4℃、12,000rpmで5分間遠心分離し、上清液を捨てたのち、沈殿に70%エタノール水溶液500μlを加えて混ぜ、再び、12,000rpmで5分間遠心分離した。上清液を捨て、沈殿を減圧下に乾燥した。
【0039】
得られた部分消化DNAを精製水20μlに溶かし、その19μlをとり、これに下記化1で示すリンカー(20pmole/μl)14μl、10mM ATP4 .5μl、50mM MgCl、50mMジチオスレイトール及び500μg/ml牛血清アルブミン含有0.2Mトリス−塩酸緩衝液(pH7.6、以下、10倍濃度ライゲーション用緩衝液という)4.5μl、精製水2μl及びT4リガーゼ1μlを加え、16℃で4時間反応させ、リンカーを付加させた。
【化1】
Figure 0003578233
【0040】
リンカーを付加させた部分消化DNAを、0.1M NaCl及び1mM EDTA含有10mMトリス−塩酸緩衝液を移動相とするChroma spin 6000カラムにかけた。溶出液2滴ずつを分取し、各分画の一部を0.8%アガロースゲル電気泳動で分析して、1kbpから7kbpのDNA断片を含む分画を回収した。得られた分画144μlに、精製水13μl、10mM ATP 20μl、0.1M MgCl、50mMジチオスレイトール、1mMスペルミジン塩酸塩及び1mM EDTA含有0.5Mトリス−塩酸緩衝液(pH7.6、以下、10倍濃度リン酸化反応用緩衝液という)20μl、及びT4ポリヌクレオチドキナーゼ3μlを加え、37℃で30分間反応させ、DNA断片の5′端をリン酸化した。PCI 200μlを加えてよく振り混ぜた後、4℃、12,000rpmで5分間遠心分離し、水層を回収した。20mg/mlグリコーゲン水溶液1μl、3M酢酸ナトリウム水溶液20μl及びエタノール400μlを加えてヌクレオチドを析出させた。4℃、12,000rpmで10分間遠心分離し、上清を捨て、沈殿に70%エタノール200μlを加え混ぜ、再び遠心分離し、上清を捨て、沈殿を風乾し、精製水1μlを加え溶かした。
【0041】
この液0.6μlに、予め制限酵素EcoRIで切断したλgt11 DNA(1μg/μl、ストラタジーン(Stratagene)社)1μl、10倍濃度ライゲーション用緩衝液0.5μl、10mM ATP0.5μl、T4リガーゼ0.4μl及び精製水2μlを加え、4℃で一晩反応させた。次いで、ギガパック(Gigapack)II Goldパッケージングキット(ストラタジーン社)を用い、得られた組換えλgt11DNAをパッケージングした。
【0042】
(F)抗原ポリペプチドをコードするDNAのクローニング
大腸菌Y1090r−株の一白金耳を10mM MgSO3ml、0.2%マルトース及び50μg/mlアンピシリン含有のLB(水1L中にNaCl 5g、ポリペプトン10g及び酵母エキス5gを含む)培地に接種し、37℃で一晩振とう培養したのち、これを2,000rpmで10分間遠心分離した。沈殿(大腸菌)に10mM MgSO水溶液9mlを加えて混ぜ、この大腸菌懸濁液の0.35mlを採り、これにλgt11(DNAライブラリー)懸濁液を0.1〜10μl加え、37℃で20分間インキューベートし、大腸菌にλgt11を感染させた。予め47℃に保温した液状LB寒天培地2.5mlに、上記λgt11感染大腸菌を加え、これを直ちにLB寒天培地上に撒いた。上層寒天培地が固化した後、42℃で3〜4時間培養し、プラークが観察された時点で10mM IPTG水溶液に浸漬したニトロセルロースフィルター(φ82mm)を上層寒天培地に乗せ、37℃で12時間培養した。黒インクをつけた注射針で非対称に3ヵ所突き刺してフィルターに目印をつけた後、フィルターを寒天培地からとり出し、150mMNaCl及び0.1%ツィーン20含有20mMトリス−塩酸緩衝液(pH7.5)(以下、TTBS緩衝液という)で3回洗浄した。寒天培地は冷蔵庫中に保存した。
【0043】
フィルターを150mM NaCl含有20mMトリス−塩酸緩衝液(pH7.5)(以下、TBS緩衝液という)の0.1%牛血清アルブミン含有液に浸し、37℃で1時間振とうし、ブロッキング反応を行った。次いで、フィルターをTTBS緩衝液で2回洗浄したのち、5〜10μg/mlのクラミジア属細菌に特異的なモノクローナル抗体(70)のTTBS溶液に浸し、37℃、1時間振とうした。フィルターをTTBS緩衝液で3回洗浄した後、パーオキシダーゼ標識の(50ng/ml)抗マウスIgG抗体溶液(TTBS緩衝液)中、37℃で1時間振とうした。フィルターをTTBS緩衝液で3回、及びTBS緩衝液で3回洗浄した後、発色基質液(TBS緩衝液100mlに30%過酸化水素水溶液60μlと0.3% 4−クロロ−1−ナフトールのメタノール溶液20mlを加えて調製)に浸漬し、室温で約30分間放置した。十分発色した時点でフィルターをとり出し、精製水で洗浄し、風乾した。
【0044】
フィルターの発色スポットに対応する寒天培地上のプラークを捜して同定し、この部分の寒天をパスツールピペットでつき刺し、プラークを回収した。回収したプラークはクロロホルム1滴を加えた0.1M NaCl、8mM硫酸マグネシウム及び0.01%ゼラチン含有50mMトリス−塩酸緩衝液(pH7.5) (以下、SM緩衝液という。)中に採り、4℃で一晩放置しプラーク中のλファージを抽出した。プラークが全て上記モノクローナル抗体と反応するようになるまで、前記操作を繰り返し、抗原ポリペプチドをコードするDNAをクローン化した。
このようにして、クラミジア属細菌特異的モノクローナル抗体反応性のクラミジア・ニューモニエ抗原ポリペプチドを発現するλファージが得られ、これを70−2Sλファージと命名した。
【0045】
(G)70−2Sλファージの培養とDNA精製
前記(F)で述べた方法と同様にしてプラークを形成させ、一つのプラークを回収し、100μlのSM緩衝液に入れ、4℃で一晩放置しλファージを抽出した。LB培養液で一晩培養した大腸菌Y1090r−株250μlに、λファージ液5〜10μlを加え、37℃で20分間放置し、大腸菌にλファージを感染させた。予め37℃に温めておいた10mM硫酸マグネシウムを含むLB培地50mlに接種し、λファージによる大腸菌の溶菌が起こるまで37℃で5〜7時間振とう培養した。250μlのクロロホルムを加え、3,000rpmで10分間遠心分離し大腸菌細胞残渣を除き、λファージ懸濁液を得た。λファージDNAは、Wizard λ preps キット(プロメガ社)を用いて精製した。
【0046】
(H)クラミジア・ニューモニエ抗原ポリペプチドをコードするDNAの増幅
600μl用のマイクロチューブに、精製水61.5μl、10倍濃度 反応用緩衝液(500mM KCl、15mM MgCl、0.01%ゼラチンを含むトリス−塩酸緩衝液pH8.3)10μl、20mM dNTP 1μl、70−2SλファージDNA溶液0.1μl、20nM λgt11 forward primer(宝酒造株式会社)1μl、20nM λgt11 reverse primer(宝酒造株式会社)1μl、AmpliTaq DNA Polymerase 0.5μlを入れ、ミネラルオイルを2〜3滴重層した。94℃ 30秒、55℃ 30秒、73℃ 2分のサイクルのインキュベーションを30回繰返し、DNAを増幅した。反応後、1.2%低温融解アガロースゲル電気泳動を行い、増幅されたDNAを切り出して Wizard PCR Prep キット(プロメガ社)で精製した。
【0047】
(I)DNA塩基配列分析
DNA塩基配列分析は、PCRで増幅したDNAを鋳型として、Taq DNA ポリメラーゼを用いた蛍光標識ターミネータサイクルシークエンス法でシークエンス反応を行い、373A型DNAシークエンサ(アプライドバイオシステムズ社)で分析を行った。得られたDNA塩基配列を遺伝子配列分析ソフト「DNASIS」(日立ソフトウェアエンジニアリング社)を用いて、編集、連結、アミノ酸翻訳領域の推定を行ない、配列番号5の配列を得た。
配列番号5の配列の解析結果から、73KDa抗原ポリペプチドについて、そのN末端からC末端に向けて約90%のアミノ酸配列が解明されたことが分かった。また、コード領域の塩基配列は配列番号2の配列となっており、その推定アミノ酸配列は配列番号1の配列となっていた。
【0048】
実施例2 クラミジア・ニューモニエの抗原ポリペプチドを含むポリペプチドをコードするDNAを含む組換えベクターの作製、及びそれを含む形質転換体の作製
70−2SλファージDNAを制限酵素EcoRIで切断し、このDNA断片50ngに、予め制限酵素EcoRIで切断してあるプラスミドpBR322のDNA100ngを添加し、DNAライゲーションキット(宝酒造)を用いてこれらのDNAを連結する。この反応物を大腸菌HB101株コンピテントセル(宝酒造)に入れ、形質転換体を作製する。
このプラスミドは、73K抗原ポリペプチドの一部をコードするDNAを含むものである。この73K抗原ポリペプチドの一部をコードするDNAの塩基配列は配列番号2のようになっており、この塩基配列から推定されるアミノ酸配列はを配列番号1のようになっている。プラスミドから73K抗原ポリペプチドの一部をコードするDNAを切りだし、発現ベクターに入れ、これを大腸菌等の宿主に入れてDNAを発現させると、コードされているタンパク質が菌体内に蓄積される。このタンパク質を電気泳動、ニトロセルロース膜への転写、モノクローナル抗体での検出を同様に行うと上記ポリペプチドに相当するバンドが観察され、クラミジア属の細菌に特異的に反応するモノクローナル抗体と反応することができる73K抗原ポリペプチドを発現していることが示される。
【0049】
実施例3 クラミジア・ニューモニエの53K抗原ポリペプチドをコードするDNAの作製
モノクローナル抗体70の代わりに、モノクローナル抗体AY6E2E8又はSCP53を使用し、実施例1と同様の手順で操作した。クローン53−3Sλファージが得られ、これから配列番号6の配列が得られた。
配列番号6の配列の解析結果から、クラミジア・ニューモニエに特異的な53K抗原タンパク質については、そのN末端からC末端に向けて約60%のアミノ酸配列が解明されたことが分かった。また、コード領域の塩基配列は配列番号3の配列となっており、その推定アミノ酸配列は配列番号4の配列となっていた。
【0050】
実施例4 抗原ポリペプチドを抗原として用いる抗クラミジア・ニューモニエ抗体の検出・測定
抗原ポリペプチドとして、配列番号1のアミノ酸配列からなるポリペプチドを用い、これをマイクロタイタープレートに固定し、牛血清アルブミンを含むPBSを加え、4℃で一晩以上放置し、ブロッキングを行なう。牛血清アルブミンを含むPBSを除いた後、0.02%(w/v)ツィーン20を含むPBSで同様に2回洗浄後、ウェルに患者の血清を加え、室温で2時間放置する。0.02%(w/v)ツィーン20を含むPBSで同様に3回洗浄後、ウェルにパーオキシダーゼ標識化マウス抗ヒトIgG抗体を加え、室温で2時間放置する。0.02%(w/v)ツィーン20を含むPBSで同様に3回洗浄後、ウェルにABTS溶液(KPL社製)を加え、室温で15分〜1時間放置して発色反応させ、96ウエルEIAプレート用光度計で405nmの吸光度を測定する。
【0051】
【発明の効果】
本発明(1)の検出・測定方法は、簡便で、クラミジア・ニューモニエの抗体検査等に好適である。
本発明(2)の検出・測定方法は、上記(1)の検出・測定方法の効果を奏し、さらに、抗原として用いられるポリペプチドがクラミジア属細菌に特異的な抗原ポリペプチドの抗原部分を有するので、抗体検査やクラミジア属細菌感染の簡便な診断に極めて適切であり、また、抗原としてクラミジア・ニューモニエに特異的な抗原ポリペプチドを合わせて利用することにより、感染している種の容易な区別に利用できる。
本発明(3)の検出・測定用試薬は、クラミジア・ニューモニエの抗体検査やクラミジア・ニューモニエ感染の簡便な診断に好適である。
本発明(4)の検出・測定用試薬は、上記(3)の検出・測定用試薬の効果を奏し、さらに、抗原として用いられるポリペプチドがクラミジア属細菌に特異的な抗原ポリペプチドの抗原部分を有するので、抗体検査やクラミジア属細菌感染の簡便な診断に極めて適切であり、また、抗原としてクラミジア・ニューモニエに特異的な抗原ポリペプチドを合わせて利用することにより、感染している種の容易な区別に利用できる。
本発明(5)の診断薬は、クラミジア・ニューモニエ感染の簡便な診断に好適である。
本発明(6)の診断薬は、上記(5)の診断薬の効果を奏し、さらに、抗原として用いられるポリペプチドがクラミジア属細菌に特異的な抗原ポリペプチドの抗原部分を有するので、抗体検査やクラミジア属細菌感染の簡便な診断に極めて適切であり、また、抗原としてクラミジア・ニューモニエに特異的な抗原ポリペプチドを合わせて利用することにより、感染している種の容易な区別に利用できる。
【0052】
【配列表】
Figure 0003578233
Figure 0003578233
Figure 0003578233
【0053】
Figure 0003578233
Figure 0003578233
【0054】
Figure 0003578233
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【0055】
Figure 0003578233
【0056】
Figure 0003578233
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Figure 0003578233
【0057】
Figure 0003578233
Figure 0003578233
Figure 0003578233

Claims (6)

  1. 配列番号1のポリペプチドの中の連続した少なくとも5個のアミノ酸配列を含むポリペプチドCを抗原として用いることを特徴とする、抗クラミジア属細菌抗体もしくは抗クラミジア・ニューモニエ抗体の検出・測定方法。
  2. 配列番号1のポリペプチドを抗原として用いることを特徴とする、抗クラミジア属細菌抗体もしくは抗クラミジア・ニューモニエ抗体の検出・測定方法。
  3. 配列番号1のポリペプチドの中の連続した少なくとも5個のアミノ酸配列を含むポリペプチドCを抗原として含有してなる、抗クラミジア属細菌抗体もしくは抗クラミジア・ニューモニエ抗体の検出・測定用試薬。
  4. 配列番号1のポリペプチドを抗原として含有してなる、抗クラミジア属細菌抗体もしくは抗クラミジア・ニューモニエ抗体の検出・測定用試薬。
  5. 配列番号1のポリペプチドの中の連続した少なくとも5個のアミノ酸配列を含むポリペプチドCを有効成分とする、クラミジア属細菌感染もしくはクラミジア・ニューモニエ感染の診断薬。
  6. 配列番号1のポリペプチドを有効成分とする、クラミジア属細菌感染もしくはクラミジア・ニューモニエ感染の診断薬。
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