JP3689426B2 - Rochalimaea henselaeおよびrochalimaea quintanaの核酸ならびにrochalimaea henselaeおよびrochalimaea quintana感染を診断するための方法および組成物 - Google Patents

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Description

発明の背景
ネコ引っ掻き病(CSD)は、永年、臨床学的および微生物学的にかなり重要な問題である。毎年、米国では推定7000件のネコ引っ掻き病(cat scratch disease)が生じている。CSDを診断する困難性、および他の症候群と混同し得る臨床学的類似性のため、米国におけるネコ引っ掻き病の実際のケースの数は、1年当たり70000件近くであり得る。CSDは、側頭部をネコに引っ掻かれるか、あるいは咬み付かれることに関連する亜急性局所的リンパ節炎として記載されており、CDSは場合によっては脳膜髄炎を生じる。
CSDの診断には問題がある。なぜなら、この疾患の病因因子は、以前には同定されていないからである。未同定の桿菌が、Warthin-Starry株を用いて、CSDを患う患者からのバイオプシーにおいて視覚化されているが、単離された培養物を得る困難性のため、同定が妨害されている。CSDの病因因子は、近年では「Afipia felis」であると提案されている(7)。これらの取り組みにも関わらず、この因子を単離すること、あるいはネコ引っ掻き病を患うほとんどの人と関連づけることはこれまで不可能であった。
臨床学的に関連する疾患(細菌性血管腫症(bacillary angiomatosis)(BA))は、血管の増殖による多数の腫瘍または腫脹によって特徴付けられる状態である。BAは、免疫妥協状態(特にHIV感染)に関してしばしば見出される。未同定の桿菌が、Warthin-Starry株を用いて、血管腫症組織において視覚化されている(28)。血管腫症組織から抽出されたDNAは、Rochalimaea quintanaの16S rDNAに関連するが、これと同一ではない16S rDNA遺伝子のフラグメントを含有することが示された。このDNAは、生物の純粋な培養物からは得られなかった(28)。これらの研究者は、患者の組織から感染生物を単離し得ず、従って組織中に観察されたDNA配列と同定可能な疾患起因生物とを明確に関連づけ得なかった。これらの組織において確認され得る生物および疾患を引き起こす実際の因子のいずれもが、同定され得なかった。
従って、この疾患の集中的な調査および広範囲にわたる取り組みにもかかわらず、CSDおよびBAの両方の病因因子は、同定されていない。本発明は、本明細書中でR.henselaeと命名される、この両方の疾患を引き起こす生物の同定を記載している。
R.quintanaは、通常の個体および免疫抑制された個体の菌血症を伴う種々の臨床学的症候群(持続性の熱を含む)に関連する(18、23、30、34)。R.quintanaと疾患が関連するにもかかわらず、R.quintanaは、CSDにしっかりと結び付けられない。CSDの病因をとりまく論議、およびR.quintanaとヒト疾患との関連が与えられると、CSD患者由来のリンパ節組織における各々のこれらの生物を直接検出する方法が必要である。
本発明は、被検体のR.quintana感染を検出する核酸ベースの方法を提供することによって、その必要性を満たす。本発明の単離された核酸配列により、プライマーおよびプローブが、そのような核酸ベース検出システムのために容易に設計されることが可能となる。
R.henselaeによる患者の感染の存在を迅速に同定する必要も存在する。このような感染の迅速かつ効率的な決定は、R.henselaeによる感染に関連する以前には不明瞭であった徴候の診断の助けとなり、従って適切な処置経過の評価を促進する。
本発明は、現在あるいは以前にR.henselaeに感染した患者の血清中で循環するR.henselae抗体の存在を検出するために必要な精製抗原性ポリペプチドを提供することにより、この必要性を満たす。この同一の精製抗原性ポリペプチドは、被検体に存在するR.henselae抗原の存在を検出し、従って被検体がR.henselaeに現在感染しているか、または以前に感染したかを決定する方法にそれ自体が用いられ得る抗体を産生するために用いられ得る。
発明の要旨
本発明は、被検体内のRochalimaea henselaeまたはその免疫原性特異的決定因子(immunogenically specific determinant)の存在を検出することによる、被検体におけるネコ引っ掻き病を診断する方法および細菌性血管腫症を診断する方法に関する。さらに、本発明によって、R.henselaeの抗原性決定因子に結合する、被検体の抗体の存在を検出することによる、被検体におけるネコ引っ掻き病を診断する方法、および細菌性血管腫症を診断する方法が提供される。
本発明はまた、R.henselaeの免疫原性ポリペプチドをコードする単離された核酸を提供する。
本発明の核酸を含有するベクターも提供される。このベクターは、診断用および予防用の抗原性ポリペプチド試薬を産生する宿主発現系において用いられ得る。
本発明はさらに、被検体由来のサンプル中のRochalimaea quintanaに特異的な核酸の存在を検出することによる、被検体のRochalimaea quintana感染を診断する方法に関する。
【図面の簡単な説明】
図1は、R.henselaeに関する生物間の、共移動(comigrate)DNAフラグメント数および推定配列分岐率を示す。かっこ内の数字(対角線上)は、各々の種の分析に用いられた総フラグメント数を示す。右上領域の割合は、各対の種についての共移動DNAフラグメントの数を両方の種について存在するフラグメントの数で割った数を示す。左下の数は、推定配列分岐率に対応する。
図2は、ネコ引っ掻き病症候群であると診断された人の中でのR.henselae特異的抗体の分布を示す。
図3は、健常者中のR.henselae特異的抗体の分布を示す。
図4は、プライマーCAT1およびCAT2ならびにオリゴヌクレオチドプローブRH1およびRQ1に対応する、抗原遺伝子の3つの領域についてのヌクレオチド配列アライメントを示す。抗原遺伝子配列を、プライマーおよびプローブ配列に対応する部分のみを用い、最大限の相同性について整列した。R.henselaeについての配列および他の種について対応する塩基置換(R.henselae配列由来)が示され、そして保存部位はピリオドで示される。PCRプライマーCAT2の相補鎖が示される[CAT2(C)]。
発明の詳細な説明
精製R.henselae抗原
本発明は、R.henselaeの免疫原性特異的タンパク質または抗原性ポリペプチドフラグメントを提供する。これらの免疫原性特異的タンパク質またはポリペプチドは、R.henselaeに特異的に結合する抗体に特異的に結合するタンパク質またはポリペプチドである。R.quintanaの免疫原性特異的タンパク質またはポリペプチドフラグメントは、R.quintanaに特異的に結合する抗体に特異的に結合するタンパク質またはポリペプチドフラグメントである。特異的結合とは、特定の種以外の生物由来の抗体または抗原との交差反応がないことを示す。本明細書から意図されるように、R.henselaeおよびR.quintanaの両方について特異的な抗原または抗体は、これら両方の細菌由来の抗体または抗原に結合し得るが、他の生物由来の抗体または抗原には結合し得ない。
R.henselaeまたはR.quintanaの免疫原性特異的決定因子は、生物の化学的または機械的粉砕によって生物体から単離され得る。例えば、生物の炭水化物部分は、標準的な方法(例えば、プロテアーゼを用いて生物を消化し、タンパク質部分を除去する方法)により得られ得る。
あるいは、R.henselaeまたはR.quintanaのタンパク質部分は、イオン性界面活性剤(例えば、ドデシル硫酸ナトリウム)または非イオン性界面活性剤(例えば、Triton X-100(C34611平均)またはエチルフェニル-ポリエチレングリコール(NP-40、Shell Oil Company))を用いて生物体を処理することにより得られ得る。このようにして得られたタンパク質フラグメントは、上記のように免疫原性および特異性について試験され得る。生物の他の免疫原性特異的決定因子は、上記の標準的な方法により得られ得る。
本発明の免疫原性特異的決定因子または抗原性ポリペプチドは、R.henselaeまたはR.quintanaの免疫原性特異的決定因子をコードする核酸配列を含有するベクターを合成することにより得られ得る。R.henselaeの免疫原性決定因子をコードする核酸の例が本明細書中(特に実施例3および4)で提供される。次いで、このベクターは、免疫原性特異的決定因子が合成され得る宿主に置かれ得る。免疫原性特異的決定因子をコードする核酸配列の選択は、生物のDNAのクローンライブラリーをスクリーニングすることにより達成され得る。簡潔に言えば、1%ドデシル硫酸ナトリウムおよびプロテイナーゼKを用いる標準的な手順により、細菌を溶解し、そしてDNAを抽出する。次いで、得られたDNAを制限エンドヌクレアーゼEcoRIで消化し、サイズ分画し、そしてゲル精製し(アガロースゲル電気泳動)、そして標準的な手順(例えば、Maniatisらに記載されている手順(20))に従って、λファージベクターλZapII中にクローン化する。組換えプラークを、一次抗体(E.coli溶解物で吸収されるヒトあるいは非ヒト(例えば、ネコ)の回復期血清である)とともにELISAにより、抗原産生についてスクリーニングする。あるいは、組換えクローンにより産生される抗原は、抗原を発現させ、そしてネコ引っ掻き病と診断された患者から得られる抗体含有血清とその抗原とをインキュベートすることにより、スクリーニングされ得る。次いで、R.henselae特異的抗原を発現するこれらの組換えクローンは、通常の方法により同定され得る(14)。抗原発現クローンは、続いてサブクローン化され、配列決定される。次いで、各々の種について特異的なプローブが得られ得る。
種特異的抗原を発現するサブクローンは配列決定され、対応する合成ペプチドが、診断用抗原または免疫原として用いるために、推定アミノ酸配列から構築され得る。あるいは、適切な宿主細胞株におけるポリペプチド発現ベクターから合成される組換え抗原は、アフィニティクロマトグラフィー、ポリアクリルアミドゲル電気泳動、高速ペプチド液体クロマトグラフィー(FPLC)、高圧液体クロマトグラフィーなどにより精製され得る。
例えば、本発明は、17kDa(17キロダルトン)の適切な分子量を有する148アミノ酸の読み取り枠を有するポリペプチドをコードする、配列番号11として配列表に記載されているような、単離された核酸を提供する。実施例4に示されるように、この精製ポリペプチドは、ネコ引っ掻き病と診断された患者の血清中に存在する抗体に特異的に結合する。従って、この単離されたポリペプチドは、診断用の価値ある試薬を提供する。
同様に、本発明はまた、配列番号7として配列表に記載されているような単離された核酸を提供する。この単離された核酸によりコードされるポリペプチドは、60kDa(60キロダルトン)の適切な分子量を有する503アミノ酸の読み取り枠を有し、R.henselaeのhtrA遺伝子によりコードされる熱ショックタンパク質を表す。実施例3に示されるように、この単離された核酸は、R.henselae感染の核酸ベース検出アッセイに有効な診断試薬を提供する。
抗原のアミノ酸配列が提供されると、標準的なペプチド合成技術を用いて、抗原の免疫反応性領域に相同なペプチドフラグメントを合成し、そしてこれらのフラグメントを通常の技術を用いてそれらの抗原性について試験することもまた可能である(14)。これらの抗原性フラグメントはまた、推定配列の特定のアミノ酸残基の付加(inclusion)、欠失、または改変により改変され得る。従って、提供される抗原由来の非常に多くの数のペプチドの合成または精製が可能である。
同様に、提供される抗原性ポリペプチドのフラグメントは、インビボでのペプチド合成のために、ペプチド発現ベクター中にクローン化され得る。このようなインビボで合成されたポリペプチドは、アフィニティクロマトグラフィーのような技術を用いて、容易に精製され得る。
本発明のポリペプチドのアミノ酸配列は、いくつかのさらなる特性(例えば、可溶性)を提供するように設計された配列に結合した抗原の免疫反応性部分を含有し得る。ポリペプチドのアミノ酸配列はまた、1またはそれ以上のアミノ酸が他のアミノ酸で置換された配列を包含し得、それらは、いくつかのさらなる特性(例えば、ジスルフィド結合し得るアミノ酸を除去/付加する、その生体長寿性(bio-longevity)を上昇させる、酵素活性を変化させる、あるいは胃酸との相互作用を変化させる)を提供する。どのような場合でも、ペプチドは生物活性特性(例えば、免疫反応性、免疫原性など)を有する。
非病原性のR.henselae抗原またはR.quintana抗原は、標準的な技術を用いて、生物を改変することにより誘導され得る。例えば、全細胞抗原は、γ放射を受け、その生物を非病原性にし得る。全細胞抗原を不活性化する他の標準的な方法としては、β-プロピオラクトンまたはホルマリンでの処理が挙げられる(14)。
抗原性および特異性の測定
免疫原性フラグメント(抗原性ポリペプチド)または改変細菌体の抗原性および特異性は、通例の方法により測定され得る。簡潔に言えば、様々な濃度の推定不活性(非病原性)免疫原性特異的決定因子が調製され、そして動物に投与され、そして各々の濃度に対する動物の免疫学的応答(すなわち、抗体の産生)が測定される。投与される抗原または不活性あるいは改変生物の量は、被検体(例えば、ヒトまたはネコ)、被検体の状態、被検体の大きさなどに依存する。この後、このように非病原性抗原を接種された動物は、病原性生物に曝され、免疫原性特異的決定因子の潜在的ワクチン効果を試験され得る。推定免疫原性特異的決定因子の特異性は、接種された動物由来の血清または他の液体を他の種との交差反応性について試験することによって確かめられ得る(14)。
血清学的診断
本発明は、被検体のネコ引っ掻き病を診断する方法を提供し、その方法は被験中体のRochalimaea henselaeまたはその免疫原性特異的決定因子(以下、本明細書中ではまとめて「R.henselae抗原」という)の存在を検出する工程を包含する。被検体はヒトまたは他の動物であり得る。本明細書中で用いられるように、「免疫原性特異的決定因子」は、完全なR.henselaeまたはR.henselaeの抗原フラグメント」上にあり得る。
R.henselaeの存在が、ネコ引っ掻き病、細菌性血管腫症、脾肝性紫斑病(splenic hepatic peliosis)に関連するという本知見が与えられると、細菌を検出する多くの周知の方法が、R.henselaeを検出し、そして疾患を診断することに応用され得る。ネコ引っ掻き病を診断する方法の1つの例においては、R.henselae抗原を検出する工程が、被検体由来の液体または組織サンプルと、R.henselae抗原と特異的に結合するある量の精製リガンド(例えば、抗体または抗体フラグメント)とを接触させ、そしてリガンドとR.henselae抗原との反応を検出することにより実施される。本明細書中で意図されるように、用語「抗体」は、完全抗体、抗体フラグメント、または抗原と無作為に結合する他の試薬(リガンド)を包含する。本方法の液体サンプルは、R.henselaeを含有する任意の体液(例えば、血液、血漿、および血清)を含有し得る。体液の他の考えられ得る例としては、尿、唾液、粘液などが挙げられる。
他の実施態様では、本発明のネコ引っ掻き病を診断する方法は、R.henselaeの存在が、R.henselae抗原と特異的に結合する被検体由来の抗体の存在を検出することによって決定されるような方法であり得る。R.henselaeと特異的に結合する抗体の存在は、R.henselaeによる感染の存在を示す。本明細書中で用いられるように、用語「特異的に結合する」は、1つの特定の抗原(この場合、R.henselae抗原)以外の他の抗原とは実質的に交差反応または結合しない抗体または他のリガンドを示す。
ネコ引っ掻き病を診断する方法が、R.henselae抗原と特異的に反応する(すなわち、特異的に結合する)抗体の存在を検出することによる場合は、R.henselae抗原に特異的に反応する抗体の存在を検出する工程は、例えば、被検体由来の液体または組織サンプルと、R.henselaeと特異的に結合する抗体と結合するある量のR.henselae抗原とを接触させ、そしてR.henselae抗原と抗体との結合を検出する工程を包含する。用いられる抗原が、R.henselae感染の経過において産生されるR.henselaeに対する抗体と特異的に結合することが予期される。このような診断法を実施する1つの方法が実施例2に説明されている。
リガンドとR.henselae抗原との反応の検出は、検出可能な部分に結合されているリガンドの使用によって促進され得る。このような検出可能な部分は、沈澱または変色の視覚的検出、顕微鏡による視覚的検出、あるいは分光法または放射能測定等による自動化した検出を可能にする。検出可能な部分の例としては、フルオレセインおよびローダミン(蛍光顕微鏡用)、西洋ワサビペルオキシダーゼ(光学顕微鏡または電子顕微鏡および生化学的検出のいずれか用)、ビオチン−ストレプトアビジン(光学顕微鏡または電子顕微鏡用)、およびアルカリホスファターゼ(変色による生化学的検出用)が挙げられる。使用される検出法および検出可能部分は、上記のリストまたは他の適切な例から、このような選択に適用される標準的な基準によって選択され得る(14)。
本発明の診断方法において、リガンドとR.henselae抗原との反応の検出工程は、適切な例においては、二次抗体、または異なるエピトープに特異的に結合するかあるいはリガンドまたは結合した抗体と非特異的に結合する他のリガンドの使用によって、さらに補助され得る。
R.henselae抗原と特異的に結合する抗体の存在を検出する診断方法において、R.henselae抗原を基質に結合させ、そして血液、血漿または血清のような液体試料に接触させ得る。この試料は、患者から直接採取してもよく、あるいは部分的に精製された形態であってもよい。この様式では、R.henselae抗原に特異的な抗体(一次抗体)が、結合したR.henselae抗原に特異的に結合する。その後、検出可能な部分に結合した(あるいは検出可能な部分で標識された)二次抗体を加えて、一次抗体の検出を増強し得る。一般に、二次抗体は、一次抗体の複数の部位に結合するその能力によって選択される。従って、例えば、いくつかの二次抗体分子が一次抗体の各々に結合し得、一次抗体をより検出しやすくさせる。
免疫蛍光アッセイ(IFA)および酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)のような検出方法が、R.henselae抗原およびこれに特異的に結合する抗体の両方の検出を達成するために容易に適合され得る。IFAプロトコルの例は、実施例2で提供される。実施例2で教示される間接的な免疫細胞化学法は、ある生物に特異的な抗原または抗体を検出するために、一般的に適用できる。ヒトIgG抗体の検出に基づく、ネコ引っ掻き病の診断のために有効なELISA法は、例えば、以下の通りであり得る:(1)抗原(R.henselae抗原)を基質に結合させる;(2)結合した抗原を、R.henselae抗原と反応性の抗体を含む、被検体からの血清試料と接触させる;(3)上記のものを、検出可能な部分(例えば、西洋ワサビペルオキシダーゼ酵素またはアルカリホスファターゼ酵素)に結合した抗ヒトIgG抗体(二次抗体)と接触させる;(4)上記のものをその酵素の基質と接触させる;(5)上記のものを発色試薬(color reagent)と接触させる;(6)R.henselae抗原と特異的に結合するIgG抗体の存在下での変色を観察する。R.henselaeに対するIgG抗体についての間接的な酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)は、簡潔には以下の通りである:平底の96ウェルのポリスチレンプレートをR.henselaeまたはネガティブコントロール抗原でコートし、一晩インキュベートする。翌日、2倍連続希釈した試験血清および5つのネガティブコントロール血清、西洋ワサビペルオキシダーゼに結合したマウス抗ヒトIgG、および最後に基質ABTS(2,2'-アジノ-ジ-[3-エチルベンゾチアゾリンスルホネート])を、各ウェルに順次加える。各工程の間に、プレートを37℃で1時間インキュベートし、そして次に0.1%Tween 20を含むリン酸緩衝化生理食塩水(pH7.4)で3回洗浄する。R.henselae抗原で試験した血清標本とネガティブコントロール抗原で試験した血清標本との間の吸光度の差が、R.henselae抗原およびネガティブコントロール抗原の両方で試験した5つのネガティブコントロール血清の平均値と標準偏差の3倍との和を超えた場合に、血清の希釈物は陽性であるとする。
ヒトIgM抗体の検出に基づく、ネコ引っ掻き病および細菌性血管腫症の診断のために有効な上記ELISAの改変は、以下の通りであり得る:(1)ヒトIgM抗体と反応し得る抗ヒトIgM抗体を基質に結合させる(抗体捕獲(capture));(2)その結合した抗体を、被検体からの血清試料と接触させる;(3)上記のものをR.henselae抗原と接触させる;(4)上記のものをウサギ抗-R.henselae抗体と接触させる;(5)上記のものを検出可能な部分(例えば、西洋ワサビペルオキシダーゼ酵素)に結合した抗ウサギ抗体と接触させる;(6)上記のものをその酵素の基質に接触させる;(7)上記のものを発色試薬と接触させる;(8)R.henselae抗原と特異的に反応するIgM抗体の存在下での変色を観察する。IgM捕獲(capture)ELISAのために、平底96ウェルポリスチレンプレートをヤギ抗ヒトIgM抗体でコートし、次いで、5つのネガティブコントロールを含む、連続2倍希釈の血清、R.henselaeまたはネガティブコントロール抗原、R.henselae超免疫ウサギ抗血清、および西洋ワサビペルオキシダーゼに結合したヤギ抗ウサギ、およびその基質(ABTS)でコートした。各工程の間に、プレートを37℃で1時間インキュベートし、そして次に0.1%Tween 20を含むリン酸緩衝化生理食塩水(pH7.4)で3回洗浄する。R.henselae抗原で試験した血清標本とネガティブコントロール抗原で試験した血清標本との間の吸光度の差が、R.henselae抗原およびネガティブコントロール抗原の両方で試験した5つのネガティブコントロール血清の平均値と標準偏差の3倍との和を超えた場合に、血清の希釈物は陽性であるとする。
あるいは、免疫ブロット分析のような方法が、R.henselae抗原およびこれに特異的に結合する抗体の存在の検出を達成するために容易に適用され得る。免疫ブロット分析の例は実施例4で提供される。実施例4で教示される免疫ブロット分析は、生物全体に特異的な抗原または抗体の検出、あるいは生物全体のフラグメントのみに特異的な抗原または抗体の検出のために、適用し得る。R.henselae抗原またはR.henselaeに対して特異的な抗体の検出のために有効な免疫ブロット分析は、例えば、以下の通りであり得る:(1)R.henselaeをコードする核酸を含有する組換えベクターを、組換え核酸の発現のために適切な宿主中で増殖させる;(2)宿主を誘導して組換え核酸を発現させる;(3)宿主を可溶化して、ベクターによって発現されたポリペプチドを放出させる;(4)放出されたポリペプチドをドデシル硫酸ナトリウム−ポリアクリルアミドゲルで電気泳動する;(5)タンパク質をニトロセルロースメンブレンに移す;(6)ニトロセルロースメンブレンを、R.henselaeに感染している可能性のある患者からの血清と共にインキュベートする;および(7)フィルターを西洋ワサビペルオキシダーゼに結合したヤギ抗ヒトIgGと反応させることによって、結合した抗原または抗体を検出する。
R.henselae感染を検出するために有用であり得る別の免疫学的手法は、R.henselae抗原と特異的に結合する抗体の検出のためのモノクローナル抗体を使用する。簡潔に述べると、被検体からの血清を、基板(例えば、ELISA96ウェルプレート)に結合したR.henselae抗原と共にインキュベートする。過剰な血清を完全に洗い落とす。次に標識された(酵素結合、蛍光、放射活性など)モノクローナル抗体を、予め反応させた抗原−血清抗体複合体と共にインキュベートする。モノクローナル抗体の結合の阻害量を、コントロール(患者の血清抗体なし)と比較して測定する。モノクローナル抗体の阻害度は特定の種に対する非常に特異的な試験である。なぜなら、モノクローナル抗体の結合特異性に基づいているからである。
ミクロ凝集試験もまた、被検体中のR.henselaeの存在を検出するために使用され得る。簡潔に述べると、ラテックスビーズ(または赤血球)をR.henselae抗原でコートし、被検体からの血清と混合して、R.henselae抗原と特異的に結合する組織または体液中の抗体が抗原と架橋して凝集を起こす。凝集した抗原−抗体複合体は沈澱を形成し、肉眼で見ることができる。上記試験の改変において、R.henselae抗原と特異的に反応性結合する抗体はビーズおよび血清中の抗原と結合し得、それにより検出される。被検体の他の体液も有効に使用され得る。
さらに、典型的なサンドイッチアッセイにおけるように、抗体を基質と結合させ、そしてR.henselae抗原と共にインキュベートする。その後、二次標識抗体を、一次抗体には認識されないエピトープに結合させ、そして二次抗体を検出する。
上記の検出方法および類似の間接的免疫細胞化学法において使用される特定の試薬およびプロトコルは、当該分野で入手可能なものから標準的な基準に基づいて選択され得る(14)。
本発明はまた、被検体中のR.henselae抗原の存在を検出することによって被検体における臨床的細菌性血管腫症を診断する方法を提供する。R.henselaeの存在を検出する工程は、ネコ引っ掻き病の診断について上記に教示したのと同様のプロトコルを用いて達成され得る。
R.quintanaもまたBAに関連するので、本発明はまた、被検体中のR.quintana抗原の存在を検出することによって被検体における臨床的細菌性血管腫症を診断する方法を提供する。R.quintanaの存在を検出する工程は、ネコ引っ掻き病の診断について上記に教示したのと同様のプロトコルを用いて達成され得る。
核酸および核酸ベースの診断
本発明の診断方法において、R.henselaeの存在はまた、R.henselaeに特異的な核酸配列の存在を検出することによって決定され得る。従って、CSDは、患者試料中のR.henselaeに特異的な核酸を検出することによって診断され得る。核酸は、種特異的プライマーを用いるポリメラーゼ連鎖反応(PCR)または他のルーチンの増幅法の後の増幅産物の存在を検出することによって、検出され得る。あるいは、核酸は、実施例3に例示されているように、PCRの非特異的増幅産物を種特異的プローブによってプローブすることによって検出され得る。さらに、種特異的プローブをインサイチュハイブリダイゼーションプロトコルに用いて、この生物に特異的な核酸配列の存在を検出し得、例えば、BAまたはCSDを有していると推測される患者からのリンパ節バイオプシー組織において使用され得る
本発明はまた、本明細書に記載されているようなルーチンの方法を用いてR.quintanaに特異的な核酸配列の存在を検出することによって、被検体における現在または過去のR.quintana感染を診断する方法を提供する。R.quintanaはBAに関連するので、R.quintanaを検出することによって細菌性血管種症を診断し得る(15)。
被検体におけるネコ引っ掻き病または細菌性血管腫症を診断する、迅速な2工程法が提供される。この方法は、配列番号1、配列番号2、配列番号3および配列番号4からなるプライマー混合物を用いて被検体からのDNAを増幅する工程を包含する。増幅の後、CSDまたはBAあるいはその両方は、増幅されたDNAを配列番号5の核酸からなるプローブと接触させ、そしてプローブと増幅されたDNAとのハイブリダイゼーションを検出すること(ハイブリダイゼーションの存在は、ネコ引っ掻き病と相互関連するR.henselaeの存在を示す)によって診断され得、そして増幅されたDNAを配列番号6の核酸からなるプローブと接触させ、そしてプローブと増幅されたDNAとのハイブリダイゼーションを検出すること(ハイブリダイゼーションの存在は、細菌性血管腫症と相互関連するR.quintanaの存在を示す)によって診断され得る。この方法の一例の工程は、実施例3において詳細に述べられている。
以下、より詳細に説明するように、R.henselaeに特異的な核酸配列は、16SリボソームRNAサブユニットをコードする核酸を含み得る。あるいは、R.henselaeに特異的な核酸配列は、クエン酸シンターゼをコードする核酸を含み得る。当業者が、クエン酸シンターゼ遺伝子および16SリボソームRNA遺伝子を検出するための本明細書に記載の方法を適用して、R.henselaeに特異的な他の核酸配列を検出し得ることは明らかである。R.henselaeに特異的な他の配列の例としては、ヒートショックタンパク質、他の抗原性タンパク質、およびある種の代謝酵素および合成酵素の遺伝子が挙げられ得る。これらの配列のR.henselaeについての特異性は、コンピューターデータベースであるGenBankのカタログにある既知配列とのコンピューターによる比較を、例えば、コンピュータープログラムであるGenetics Computer GroupのGap(これはカタログにある配列を目的の遺伝子との類似性について検索する)を用いて行うことによって、決定され得る。
実施例3は、R.henselaeおよびR.quintanaに特異的な核酸の例を記載している。例えば、R.henselaeに特異的な核酸は、配列表の配列番号7として定義されているヌクレオチド配列中のヌクレオチドからなる。この遺伝子htrAは、R.henselaeの抗原性ヒートショックタンパク質をコードする。配列表の配列番号5として定義されているヌクレオチド配列中のヌクレオチドからなる核酸は、配列番号7由来であり、そしてまたR.henselaeに特異的である(配列番号8)。
配列表の配列番号6として定義されているヌクレオチド配列中のヌクレオチドを含む、R.quintanaに特異的な核酸が提供される。この核酸は、実施例3に示されているようにR.quintana感染を検出するための種特異的プローブとして有効である。R.quintanaのhtrA遺伝子についての部分ヌクレオチド配列が提供されていれば、この配列の残りは、実施例1および本明細書中の他の場所に記載されているような標準的な方法を用いて容易に得られ得る。さらに、R.henselaeのhtrA遺伝子の配列の本発明の教示があれば、対応するR.quintanaのhtrA遺伝子中の他の配列はR.quintanaに特異的であることがルーチンに決定し得るが、それは全配列を得、そして実施例3で教示されている方法で特異性についてセグメントを試験するだけでよい。
実施例4は、R.henselaeに特異的な核酸の他の例を記載しており、配列表の配列番号11として記載されているヌクレオチド配列からなる。この17kDaのポリペプチドの免疫分析は、このポリペプチドがR.henselaeの免疫優性抗原であり、従って、診断的適用および予防的適用において使用し得る、価値の高い免疫試薬であることを示唆している。この17kDaポリペプチドの核酸配列が明らかになれば、この17kDaタンパク質をコードする核酸の存在を検出する核酸検出システムにおいて用いられるプライマーおよびプローブのような核酸試薬を容易に設計し得ることが、関連分野の当業者には容易に理解され得る。
「単離された核酸」とは、その核酸が天然由来の生物の少なくともいくつかの他の成分、例えば、細胞構造成分から分離されていることを意味する。従って、核酸の単離は、細胞溶解、次にフェノールとクロロホルムによる抽出、次にエタノールによる核酸の沈澱のような手法によって達成され得る(20)。単離された核酸は、必ずしも完全に非核酸成分を含まずに純粋であることは意図されないが、単離された核酸は、臨床的手順、診断的手順、実験的手順、他の手順、例えば、ゲル電気泳動、サザンまたはドットブロットハイブリダイゼーション、またはPCRにおいて使用される程度の精製度で単離されることが意図される。核酸を他の手順に使用する前に、核酸を単離するために使用され得る数多くの手順があることが、この技術分野の当業者には容易に理解される。これらには、細胞の溶解、次いでゲル濾過またはアニオン交換クロマトグラフィー、DNAを高濃度のカオトロピック塩の存在下で、ガラスビーズ形態のシリカ、フィルターまたはケイソウ土(diatoms)に結合させること、あるいは核酸のエタノール沈澱を包含するが、これらに限定されない。
本発明の核酸は、プラス鎖およびマイナス鎖RNAならびにDNAを包含し得、そして天然由来の生物中に見いだされるゲノムおよびサブゲノム核酸を包含することを意味する。本発明において意図される核酸は、ゲノムの二本鎖および一本鎖DNA、相補的なプラス鎖cRNAおよびmRNA、および、これらから生産される相補的cDNAおよび本明細書において提供される単離された核酸に、選択的または特異的にハイブリダイズするか、あるいはこの核酸をコードする任意の核酸を包含する。
本発明は、配列表の配列番号7および配列番号11として記載されているヌクレオチド配列を含む核酸に選択的にハイブリダイズし得、そしてこの核酸の存在を検出するか、あるいはこの核酸を増幅するために使用し得る、単離された核酸を提供する。ストリンジェンシー条件は、PCRプロトコルにおいて典型的に使用されている条件であり得る。特に、高ストリンジェンシー条件下で配列番号7および配列番号11に記載される核酸にハイブリダイズ(あるいはこの核酸を増幅)し、そしてハイブリダイズされる配列番号7および配列番号11の核酸のセグメントに対して少なくとも70%の相補性を有する核酸もまた提供される。選択的にハイブリダイズする核酸は、例えば、プライマーまたはプローブがハイブリダイズする核酸を有するR.henselaeまたはその遺伝的ホモログの存在を検出するためのプローブまたはプライマーとして使用され得る。従って、本発明は、標本中のR.henselaeおよびその遺伝的ホモログを検出し、そしてそのことによって被検体における感染を検出する方法を提供する。この方法は、被検体からの標本中の選択的にハイブリダイズする核酸の存在を検出する工程を包含し、核酸の存在は、R.henselaeまたは遺伝的ホモログによる感染を示す。
高ストリンジェンシー条件下で配列番号7の核酸に選択的または特異的にハイブリダイズし、そしてそれがハイブリダイズするセグメントに対して約85%の配列相補性を有する核酸もまた提供される。実施例3において示されるように、4種の関連Rochalimaea種のhtrA遺伝子配列は、最も類似するR.quintanaに対して約85%から約92%の全配列の同一性を示す。
本発明はまた、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)条件下で、配列表の配列番号11として記載されている核酸に選択的にハイブリダイズする、少なくとも15ヌクレオチド長の核酸を提供する。PCRは当該分野で広範囲に使用されているので、PCRの条件は当該分野で広く知られており、そして当業者には容易に理解される。これらの条件は、多くの生化学試薬供給者によって提供される標準化されたPCRキット中のPCR装置に付随する指示書に記述されており、そして多くの記事および標準テキストで記述されている。
本発明はまた、配列表の配列番号11として記載されている核酸に特異的にハイブリダイズする、少なくとも15ヌクレオチド長の単離された核酸を提供する。ハイブリダイズは、60℃で5×SSC(1×SSC=容積1リットルのH2O中の8.765グラムの塩化ナトリウムおよび4.410グラムのクエン酸ナトリウム、pH7.0中)のハイブリダイゼーションのストリンジェンシー条件下で、次いで、室温で2×SSCおよび0.1%SDS(ドデシル硫酸ナトリウム)の初期洗浄のストリンジェンシー条件下、および50℃で0.5%SSCおよび0.1%SDS下のストリンジェンシー条件下での2回の最終洗浄で行われる。
従って、本発明は、配列表の配列番号7および配列番号11として記載されているポリペプチドからなるポリペプチドの精製されたホモログを提供する。このようなホモログは、そのゲノムが本発明の精製されたポリペプチドのホモログをコードする、他の細菌種から得られ得る。例えば、実施例4は、配列番号11の17kDaタンパク質のホモログが検出され得る免疫スクリーニングアッセイを提供する。細菌性のまたはその他の配列番号11のホモログをコードする核酸を単離するための方法としては、核酸ハイブリダイゼーション法によって、またはポリメラーゼ連鎖反応(PCR)手法を通じて、ホモログをコードすると考えられる種のゲノムをスクリーニングする方法が挙げられるが、これに限定されない。スクリーニングに適した材料としては、ラムダ、コスミド、酵母、哺乳類またはプラスミドクローニングベクター中にクローン化された適切な種のcDNAまたはゲノムライブラリ、単離されそしてサザンブロット分析に供されたDNA、単離されそしてノーザンブロット分析に供されたRNA、およびPCRのテンプレートとして使用される単離されたDNAまたはRNAが挙げられるが、これらに限定されない。
また本明細書で核酸を説明するために使用されているように、用語「選択的にハイブリダイズする」および「特異的にハイブリダイズする」は、ときどきランダムにハイブリダイズする核酸、ならびに他の属からのヒートショックタンパク質をコードする核酸を除外する。このハイブリダイズする核酸は、例えば、本発明のタンパク質をコードする遺伝子の存在および場所を検出するためのプローブまたはプライマーとして使用され得る。このハイブリダイズする核酸は、ポリペプチドをコードし得、そしてそのため、適切なベクターおよび宿主中に位置して、抗原、機能的に類似の抗原、または抗原性ポリペプチドフラグメントを生産し得る。
本発明の選択的にハイブリダイズする核酸は、ハイブリダイズされる配列のセグメントおよび鎖に対して、少なくとも80%、85%、90%、95%、97%、98%および99%の相同性を有し得る。この核酸は、少なくとも12から4000ヌクレオチド長であり得る。従って、この核酸配列は、抗原の代替コーディング配列であり得、または抗原をコードする核酸の存在を検出するためのプローブまたはプライマーとして使用され得る。プライマーとして使用する場合、本発明は、核酸の異なる領域に選択的にハイブリダイズする少なくとも2つの核酸を含み、所望の領域を増幅するような組成物を提供する。種特異的抗原をコードする遺伝子の存在を検出する目的のために、ハイブリダイズする核酸(プローブまたはプライマー)とハイブリダイズされる配列(試料からのDNA)との間の相補性の程度は、少なくとも、他の種の核酸または無関係のタンパク質とのランダムなハイブリダイズを除外するに十分であるべきであり、そして配列は他の種の核酸または無関係のタンパク質とのランダムなハイブリダイズを除外するに十分な長さであるべきである。図4は、相補性とプローブの長さとの間の関係を示す。
選択的にハイブリダイズする核酸はまた、Rochalimaea属またはこの属の種のサブセットに対して選択的であり得る。たとえば、プライマーCAT1およびCAT2はR.quintanaおよびR.henselaeの両方からの産物を選択的に増幅し、これは、種特異的核酸でプローブされ得る。本発明は、選択的にハイブリダイズする核酸の範囲の例を提供し、その結果、ストリンジェントな条件下で、非選択的にハイブリダイズする核酸から選択的にハイブリダイズする核酸を区別するために必要とされる相補性の程度が、各核酸について明確に決定され得る。
「高ストリンジェンシー条件」とは、ハイブリダイゼーションプロトコルで使用される洗浄条件のことをいう。一般に、洗浄条件は、温度と、変性温度が研究下でのハイブリッドのTM計算値より約5〜20℃低い温度になるように選択された塩濃度との組合せである。温度および塩濃度は、予備実験で実験的に容易に決定される。予備実験では、リファレンスDNAの試料をフィルター上に固定化し、そして目的のプローブまたはタンパク質をコードする核酸にハイブリダイズさせ、そして次に異なるストリンジェンシーの条件下で洗浄する。例えば、本発明の選択的にハイブリダイズする核酸のための高ストリンジェンシー条件を実施例3に示す。特定のストリンジェンシー条件は容易に試験され、そして変更されるパラメータは当業者には容易に明らかとなる。例えば、反応緩衝液中のMgCl2濃度は、プライマーがテンプレートに結合する特異性を増大させるために変更され得るが、この化合物がハイブリダイゼーション反応において使用される濃度範囲は狭く、従って、適切なストリンジェンシーレベルは容易に決定される。例えば、18ヌクレオチド長のオリゴヌクレオチドプローブとのハイブリダイゼーションは、6×SSPE中で見積もられたTMより5〜10℃低い温度で行われ、次いで、2×SSPE中で同じ温度で洗浄される(29)。このようなオリゴヌクレオチドのTMは、各AまたはTヌクレオチドについては2℃、そして各GまたはCについては4℃差し引いて見積もられ得る。従って50%がG+Cの18ヌクレオチドプローブは、約54℃のTMを有する。同様に、18ヌクレオチドプライマーまたはプローブの出発塩濃度は約100〜200mMである。従って、このような18ヌクレオチドプライマーまたはプローブのためのストリンジェント条件はTM約54℃および出発塩濃度約150mMであり、そして予備実験に従って改変される。Tm値もまた、市販のコンピューターソフトウェア(例えば、OLIGOTM)を使用して種々の条件について計算され得る。
さらに、本発明の核酸は、遺伝子コードの縮重を受けていない配列番号7および配列番号11のコーディング配列に対して(すなわち、コーディング配列中の非「ゆらぎ」ヌクレオチド(ゆらぎヌクレオチドは通常コドンの第3番目のヌクレオチドにある)に対して)、少なくとも80%の相同性を有する。好ましくは、この核酸は、遺伝子コードの縮重を受けていない配列番号7および配列番号11のコーディングヌクレオチドに対して、90%以上、好ましくは95%、あるいはより好ましくは99%の相同性を有する。
本発明の核酸の改変もまた、この核酸でコードされるポリペプチドの本質的な構造および機能が維持される限りは、意図される。同様に、プライマーまたはプローブとして使用されるフラグメントは、選択的増幅のために十分な相補的塩基が存在する限りは、置換され得る。
当業者は、全遺伝子ならびに短いヌクレオチドフラグメントを合成するためのルーチンの方法を用いて、本発明の核酸を容易に得ることができる。例えば、配列表で提供されているような核酸を得るための手法は、本出願中で特に提供されている。さらに、かなりの改変を伴わずに使用され得るさらなる方法が当該分野において提供される。Ferrettiら(38)およびWosnickら(39)は、既知配列の遺伝子を合成するためのルーチンの方法を示す。より詳細には、Ferrettiらは、合成オリゴヌクレオチドからの1057塩基対の合成ウシロドプシン遺伝子の合成を教示する。合成された遺伝子は、既知配列に対して正確であり(603頁、第1文)、この遺伝子合成法の信頼性を例証している。さらにWosnickらは、トウモロコシのグルタチオン-トランスフェラーゼ(GST)遺伝子を、効率のよい1工程アニーリング/連結プロトコルを用いて合成することを教示する。この手法もまた完全な合成遺伝子を100%の信頼性で生産し、このことがこのプロトコルのルーチンの性質を例証している。
本明細書に記載されているように、この核酸は発現されて本発明の抗原性ポリペプチドを提供し得る。
診断キット
本発明は、さらにネコ引っ掻き病の診断のためのキットを提供する。このようなキットは、ELISAキットであり得、そして基質、抗原、一次抗体および二次抗体(適切な場合)、ならびに他の任意の必要な試薬(例えば、上記のような検出可能な成分、酵素基質、および呈色試薬)を含有し得る。あるいは、本発明の診断キットは、R.henselae抗原に特異的な核酸配列を検出するように構成され得、核酸配列の検出のための基質および試薬(例えば、実施例1に示される基質および試薬)のような標準的なキット構成成分を含有する。あるいは、診断キットはIFAキットであり得、これは一般に、下記の実施例2に記載の構成成分および試薬を含有する。R.henselae感染は、組織および体液(例えば、血液および血清)中のR.henselaeに特異的な核酸を検出することにより診断され得るので、キットが本明細書に教示される核酸検出方法を利用して構成され得ることは、当業者に明白である。診断キットは、さらにポジティブおよびネガティブコントロール試験を含むことが意図される。
本発明の診断キットに含有される特定の試薬および他の構成成分は、キットにおいて実施される特定の診断方法に従って、当該分野で入手可能な試薬および構成成分から選択され得る。このようなキットは、被検体由来の組織および液体サンプル、ならびに被検体の組織または液体から得られた微生物の培養物において、それと共に特異的に結合するR.henselae抗原および抗体を検出するために用いられ得る。
本発明のキットはまた、細菌性血管腫症を診断する方法に用いられ得る。
ワクチン
本発明により、ワクチンもまた提供され、これは、免疫原量(immunogenic amount)の非病原性Rochalimaea henselaeまたはその免疫原性特異的決定因子(immunogenically specific determinant)および薬学的に受容可能なキャリアーを含有する。あるいは、ワクチンは、R.henselaeおよびR.quintanaの両方に特異的に結合する抗体に特異的に結合する抗原性ポリペプチド、ならびに薬学的に受容可能なキャリアーを含有し得る。
本発明の非病原性R.henselae抗原は、免疫原量のR.henselae抗原および薬学的に受容可能なキャリアーを含有するワクチンの構築に用いられ得る。このR.henselae抗原は、死滅R.henselae、改変した生存R.henselae、またはR.henselaeの免疫原性フラグメント(抗原性ポリペプチド)であり得る。あるいは、インタクトなR.henselaeおよび免疫原性フラグメントの混合物が用いられ得る。次いでワクチンは、被検体にワクチンを投与することにより、被検体においてネコ引っ掻き病を予防する方法に用いられ得る。ワクチンはまた、被検体にワクチンを投与することにより、被検体において細菌性血管腫症を予防する方法にも用いられ得る。さらに、他の疾患症候群がR.henselae感染と関係があるという事実は、このような疾患もまた、本発明のワクチンの使用により予防され得ることを意味する。予防方法は、被検体がヒトである場合、または同様に被検体がネコのような非ヒト動物である場合に役立つ。
例えば、ワクチンは、配列番号7の核酸によりコードされる抗原性タンパク質を含有し得る。このタンパク質(配列番号7および8)は、R.henselae熱ショックタンパク質である。本発明の精製熱ショックタンパク質は、死滅R.henselae全体に対して惹起したウサギ血清中の抗体に強く結合する。R.quintana由来の相同なタンパク質もまた、ワクチンの基礎であり得る。ワクチンにおける抗原の使用をさらに精密にするために、標準的な方法が以下に記載のように用いられて、免疫原性および免疫原量が決定され得る。
ワクチンはまた、配列番号11の核酸によりコードされる抗原性タンパク質を含有し得る。実施例4は、配列番号11の単離された核酸によりコードされる17kDaタンパク質が、R.henselaeの主要な免疫優性抗原であり、それ故、このタンパク質がR.henselae感染に対する保護に有効なワクチンの開発のための候補を提供する証拠を提供する。
ワクチンはまた、高ストリンジェンシー条件下で配列番号7または配列番号11の核酸と選択的にハイブリダイズする核酸によりコードされ、そしてR.henselaeに特異的である抗原性ポリペプチドフラグメントを含有し得る。R.henselaeおよびR.quintana htrA遺伝子の配列は、配列類似性が高い領域を共有するので、これらの領域によりコードされるポリペプチドは、両方の種に特異的であり得、そしてCSDおよびBAの両方に対するワクチンにおいて用いられ得る。
本発明のワクチン中の薬学的に受容可能なキャリアーは、生理食塩水または他の適切なキャリアーを含有し得る(1)。アジュバントはまた、ワクチンのキャリアーの一部であり得る。この場合、アジュバントは、用いられる特定のR.henselae抗原、投与の様式、および被検体に基づく標準的な判定基準により選択され得る(2)。投与方法は、経口法、舌下法、または注射による方法であり得、これは、用いられる特定のワクチンおよび投与される被検体に依存する。
ワクチンが予防薬または治療薬として用いられ得ることは、上記から認識され得る。従って、疾患を有する被検体は、ワクチンを利用して処置され得る。さらに、このようなワクチン接種により、動物とヒトとの間の疾患の伝播が予防され得る。例えば、ネコまたはイヌが、免疫され、それによりヒトが曝される危険性の多くを予防する。
R.henselae抗原の免疫原量は、標準的な手順を用いて決定され得る。手短には、種々の濃度の推定上不活化(非病原性)された免疫原特異的決定因子が調製され、動物に投与され、そして各濃度に対する動物の免疫学的応答(すなわち、抗体産生)が測定される。
従って、本発明は、被検体にワクチンを投与することにより、R.henselae感染および関連した疾患を予防または処置する方法を提供する。
本発明の他の組成物は、リガンド(例えば抗体)に結合した精製R.henselaeを包含する。用語「精製」は、血清、血液、または他の体液の他の成分、あるいはインビボでR.henselaeと関連する他のタンパク質を実質的に含有しない抗原、抗体、および他のリガンドを記述するために本明細書中で用いられる。
基質に結合した精製R.henselae抗原およびR.henselae抗原と特異的に結合するリガンドもまた意図される。このような、R.henselae抗原に特異的に結合する精製リガンドは、抗体であり得る。抗体は、標準的な方法により得られるモノクローナル抗体であり得る。モノクローナル抗体は、この目的のために特異的に作成されたハイブリドーマ細胞株により分泌され得る(14)。同様に、R.henselae抗原に結合するポリクローナル抗体は、本発明の範囲内にある。ポリクローナル抗体はまた、標準的な免疫および精製プロトコルにより得られ得る(14)。
抗体は、基質に結合されるか、または検出可能部分で標識されるか、あるいは結合および標識の両方が行われ得る。本発明の組成物で意図される検出可能部分は、診断方法の記載において上記で列挙した部分であり、蛍光マーカー、酵素的マーカー、および放射性マーカーを包含する。
本出願の組成物はさらに、R.henselae抗原と特異的に結合した抗体(一次抗体)の特有の部分に反応性である抗体を含有する。一次抗体に結合する抗体は、二次抗体として知られ、そしてさらに検出可能成分を含有し得る。上記のように、R.henselae抗原と特異的に結合する一次抗体への二次抗体の結合は、R.henselae抗原との一次抗体の結合の検出を容易にする。
単離されたR.henselaeの免疫原性特異的決定因子またはフラグメントもまた提供される。このような決定因子を得る方法は、ワクチンの構築に関する上記のとおりである。
以下の実施例は、説明することを意図しており、本発明を限定することを意図しない。実施例は、用いられ得るものの代表であるが、当業者に公知の他の手順も代替的に用いられ得る。
実施例1
R.henselaeの同定
以前に無症候性のHIV抗体陽性であった40歳の男性を、日々の発熱(dailyfever)、極度の疲労、食欲不振、および10Kgの減量の2ヶ月間の病歴のために入院させた。入院の5週間後、入院の1日目および8日目に採取した血液培養物は、Rochalimaea様生物について陽性であると報告された。塹壕熱との推定的診断に基づいて、患者にドキシサイクリンの21日間の過程(100mg、1日2回)を開始した;その48時間後、患者は解熱した。血液、尿、骨髄、および気管支肺胞の洗浄液の培養物は、ミコバクテリアおよび真菌類について陰性のままであった。治療の中断から6週間後、発熱、食欲不振、および倦怠感が再発した。この時点で採取した血液培養物は、再びRochalimaea様生物に関して陽性であり、そして1ヶ月間のドキシサイクリンでの処置(上記と同一用量)を、即時性の陽性応答により再開した。発熱の2度目の再発の後、患者は、2ヶ月間のドキシサイクリン(上記と同一用量)を完了した。その後の6ヶ月間に繰り返し採取した血液培養物は陰性であり、そして患者の初期感染に関連する症状は再発しなかった。単離された生物は、下記では、「Houston-1単離物」と称される。これは、R.henselaeのプロトタイプ単離物であると考えられる。この生物は、受託番号49882でAmerican Type Culture Cullection(ATCC,Beltsville,MD)に寄託されている。
A.タイプカルチャー
2つのRochalimaea単離物(2つの異なる認識種を表す)を、American Type Culture Collection(ATCC,Beltsville,MD)から得た。Rochalimaea quintana(ATCC VR-358)およびR.vinsonii(ATCC VR-152)を、5%脱線維素ヒツジ血液を補充したトリプシン大豆アガー(tryptic soy agar)上で35℃にて、5%二酸化炭素大気下で日常的に培養した。Rickettsia prowazekii、単離物Breinl(ATCC VR-142)を、Vero細胞培養物中で培養し、そしてリケッチアを含有する細胞質抽出物を、Regneryら(25)により作製した。
B.増殖特性
1.患者の血液由来の生物(Houston-1単離物)の単離および培養。
患者からの血液を、直接、Wampole Isostatチューブ(Wampole Laboratories,Cranberry,N.J.)中に採取するか、または単に、EDTAを含有するVacutainerチューブ(Becton Dickinson,Rutherford,N.J.)中に採取した;単離物を、両方の出発調製物を用いて作製した。この生物を、有意に力価を喪失することなく、凍結(-85℃)、EDTA処理血液から再単離した。初代単離を、5%ヒツジ血液(BBL,Becton Dickinson,Cockeysville,Md.)を含有する市販の脳心臓浸出液アガー(brain heart infusion agar)(BHLA)、5%ヒツジ血液(BBL)を補充したトリプシン大豆アガー(TSA)、および5%ウサギ血液(BBL)を含有する心臓浸出アガー(heart infusion agar)(HIA)上で行った。培養物を、5%二酸化炭素を含有する、加湿したインキュベーターにおいて35℃で維持した。細菌使用プレートを、日常的に検査した。他で記載されるように、Houston-1単離物を、患者の疾患発症の過程の間(抗生物質治療中断後の発熱の再発後を含む)に、種々の時間で血液から培養した。R.henselaeの単離培養物を得るための鍵となるのは、この緩徐に増殖する生物が検出可能なコロニーを形成するのに十分な期間、培養物を増殖させることである。
市販のBHIA-ヒツジ血液、TSA-ヒツジ血液、またはHIA-ウサギ血液のいずれかで培養した場合、発熱性の患者からの血液は、特徴的なコロニーを産生した。これは、9〜10日間のインキュベーション後に確認され得た。患者の血液におけるコロニー形成生物のおよその力価は、抗生物質治療の第2過程に続く発熱の再発後、1ミリリットル当たり30であった。初代コロニーは、深く陥入しており(カリフラワー様)、堅固であり、粘着性であり、そしてアガーの表面に頑強に埋め込まれていた。患者の血液から単離した全ての元の個々のコロニーは、同様の形態学的特性および増殖特性を有した。継代培養プレートの精密な検査により、播種後6日目に微小なコロニーの形成が示された(ただし、この時点では、明確なコロニー形態は、明らかではなかった)。新しいコロニーの多数の継代の後、コロニーが明視化するインキュベーション時間は、実質的に減少し、そして個々のコロニーは、3〜4日後に識別され得た。陥入したコロニーの形態は、多数の比較的速い継代の後では、顕著には見られなくなった。コロニーの増殖は、インキュベーション時間により制限されず、そしてコロニーは、数週間の期間にわたって次第により大きく増殖し続けた。
Houston-1単離物のこれらの後者の初期増殖特性のいくつかは、ATCC Rochalimaea型株について記載される特性と対照的であった。ATCC Rochalimaea型株は、代表的に、継代において遅れることなく比較的迅速に増殖し、光沢がある、平滑なコロニーを有し、そして同様にはアガーに埋め込まれなかった。同様に、ATCCから入手したRochalimaea種単離物は、培養細胞の表面で迅速に増殖したが、初期Houston-1単離物質(material)は、Vero細胞単層に播種した場合、類似した全身性の感染症を生成しなかった。従って、これは、真核細胞との共培養が、初代単離のための選択方法でないことを示唆する。固体培地上での更なる研究室継代後のHouston-1単離物(そしておそらく、より多数の継代歴に関してATCC型株により類似する)は、真核生物の単層上で迅速に増殖する能力について再試験しなかった。
チョコレートアガーまたはTSA-ヒツジ血液のいずれかへのこの生物の再播種後、22℃または44℃の大気においては増殖しなかったが、30℃および35℃では、良好に増殖した。コロニーは、35℃でCO2を添加しないで培養した場合よりも、35℃でCO2(8%)下でインキュベートした場合のほうが僅かに大きなサイズに増殖した。Slaterら、(30)により、他のRochalimaea単離物について以前に記載されたように、プレートをろうそくビン(candle jars)においてインキュベートした場合、継代培養における増殖もまた、HIA-ウサギ血液またはTSA-ヒツジ血液で達成された。Sabouraud-ブドウ糖培地において、増殖は観察されなかった。新しく単離されたHouston-1因子の増殖特性は、Rochalimaeaの十分に樹立された型の種の増殖特性と対照的であった。継代とともに、新規因子のコロニーの形態および増殖速度は、他のRochalimaea型の種のコロニーの形態および増殖速度に、より密接に類似し始めた。R.henselaeは、培養条件が面倒(fastidious)であり、そして緩徐に増殖する生物であるようであるが、標準的な実験手順により培養され得る。Houston-1単離物の比較的速い増殖(継代培養の間が4日間)を、新しいコロニーが最初に見られ得るようになったすぐ後のそれらを多数回継代することにより達成した。半自動の臨床的な細菌の単離手順(これはしばしば液体培地に基づくアッセイに依存する)は、外因性の二酸化炭素気体の非存在下では、初代Rochalimaea単離物の培養/検出に適し得ない。さらに、このような培養物は、一般に初代単離物の増殖を検出するのに十分なインキュベーション期間の間維持されない。
静止した液体培地におけるHouston-1単離物を培養する予備的な試みは、個々の生物の濁った懸濁物を産生しなかった;しかし、血液アガープレート由来の播種物質は、限定された数の大きな粘着性の凝集体の増殖中心として作用するようであった。Bactek 660 6Aまたは7Aボトル(Becton Dickinson,Cockeysville,Md)へのアガーで増殖した生物の再播種は、非感染コントロールと比較して増殖指数を変化するには増殖が十分でなかった。
2.別のRochalimaea単離物。
4つのRochalimaea様単離物(微生物の同定のために、以前にCenters for Disease Control and Prevention(CDC)に提出された)を、Houston-1単離物と比較し、そしてRochalimaea種と認識した。これらの単離物の内の2つは、オクラホマの患者から回収し、1つの単離物は、明らかにアーカンソーで疾患を獲得した患者に起源した。そして第4の単離物は、カリフォルニア州サンディエゴ郡に起源した。この最後の単離物は、現在、最初のRochalimaea単離物の1つを表す。本発明者は、この最後の単離物がHIV感染個体から報告(1986年11月)された最初の単離物の1つと同様に近年に作製されたことに気付いているからである。
C.臨床生化学分析
生化学試験は、標準的方法(16)および予め形成された酵素(Innovative Diagnostic Systems,Inc.,Atlanta,Ga.)の存在について試験するRapID ANA II Systemを用いて行った。運動性についての試験は、運動性アガーにおける増殖特性の観察および暗視野顕微鏡観察による桿菌の直接観察を含む。カタラーゼの存在は、コロニーを過酸化水素中に乳濁化し、そしてカバーガラスの下に形成される微小な泡の存在をチェックすることにより試験した。オキシダーゼの存在は、テトラメチル-p-フェニレンジアミンを使用して試験した。
ペプチダーゼの産生を除いて、Houston-1単離物は、代表的な臨床手順により試験したとき生化学的に不活性であった。特定の予め形成された酵素の検出により嫌気性生物の臨床的な同定のために主に設計されたRapID ANA IIシステムはまた、好気性生物を同定することが困難であると同定するに有用である。RapID ANA IIシステムは、Houston-1単離物の分析に使用されたとき、ロイシルグリシン、グリシン、プロリン、フェニルアラニン、アルギニン、およびセリンの切断を含み、同定番号000671を得る限られた数の酵素基質切断反応を検出した。現在、この同定番号に関連する微生物は存在していないが、Rochalimaea属のメンバーは、まだ商業的診断データベース(Rapid ID ANA II Code Compendium,Innovative Diagnostic Systems,Atlanta,Georgia,1989)の一部分ではない。陰性臨床アッセイは、カタラーゼ、ウレアーゼ、エスクリン加水分解、運動性、硝酸塩還元、およびオキシダーゼに対するこれらの試験を含めた。
D.染色および形態学的特徴
Houston-1単離物の4日間培養物を、コロニーを含む血液アガープレートにリン酸緩衝化生理食塩水(PBS)を大量に注ぎ、次いで細菌学的ループを用いてアガー表面から粘着コロニーを穏やかにかきとることによって、顕微鏡観察用に調製した。この材料の少量のアリコートを、清浄な顕微鏡用スライド上に直接載せ、加熱固定し、そしてGimenez染色で染色した。その他の材料は、グルタルアルデヒドで固定し、そして電子顕微鏡観察のために調製した。簡単に述べれば、グルタルアルデヒド固定材料を、Nucleopore filter(0.2μmポアサイズ、Nucleopore Corp.,Pleasanton,Calif.)上に濾過し、そしてSorenson緩衝液(pH5.0)で3回洗浄した。濾過材料を、1%の三酸化オスミウム中で2時間処理し、そして再びSorenson緩衝液で3回洗浄した。この標本を、徐々に変化する一連の増加する濃度のエタノール(30%〜100%)中で脱水した。脱水した標本を、ヘキサメチルジシリザン(Polysciences,Inc.,Warrington,Pa.)中に2時間浸漬し、そして次にデシケーター中で一晩乾燥させた。最後に、この標本を、スタブ上に置き、金でスパッタリングコートし、そしてPhilips(model 515)走査電子顕微鏡を用いて観察した。
数代の継代培養の後に得られた、4日間培養物からの急速に増殖する生物は、Gimenez組織学的染色により容易に染色された。そのように染色された生物は、小さな赤色桿菌として、しばしば僅かに湾曲して見えた。より長い培養ではあるが、しかしなお生存可能なコロニーから得られた生物は、Gimenez染色の取り込みに抵抗した。光学顕微鏡に首尾良く用いられた材料はまた、走査電子顕微鏡用に調製され、そして観察された。Gimenez染色材料、および種々の培養実験の間に注目された増殖性質の観察についてと同様に、走査電子顕微鏡で観察された生物は、粘着凝集体を形成して見え、遊離して存在する生物は相対的にほとんどなかった。観察された生物の平均サイズは、長さ約2μm×幅0.5〜0.6μmであった。個々の顕微鏡用調製物内で観察されたすべての生物は、おそらくは、複数世代の産物を含むが、サイズが比較的均一に見えた。
E.脂肪酸分析
全細胞脂肪酸分析を、空気中で35℃でインキュベートし、そしてチョコレートアガー上での4日間増殖後に回収されたR.henselae,sp.nov.(Houston-1)培養物について行った。脂肪酸メチルエステルを、Hewlett Packard series II 5890ガスクロマトグラフ(Miller,L.,T.Berger,"Bacterial identification by gas chromatography of whole cell fatty acids."Hewlett-Packard application note 228-41,Hewlett-Packard,Avondale,Pa.,1985)上でクロマトグラフを行い、そして標準混合物(Microbial-ID,Newark,Del.)の保持時間とサンプルの保持時間をコンピューター支援比較を用いて同定した。
Houston-1単離物の全細胞脂肪酸分析後観察された主要な脂肪酸は、オクタデセン酸(C18:1、54〜56%)、オクタデカン酸(C18:0、18〜20%)、およびヘキサデカン酸(C16:0、17%)であった。他の検出可能な脂肪酸の不在は、Brucella属のメンバーを除くほとんどすべての他の細菌の同定を排除した。この脂肪酸パターンは、R.quintanaおよび他の最近のRochalimaea様単離物(30)で観察されたパターンと似ていた。
F.16S rRNA遺伝子配列分析
1.DNA抽出、増幅およびクローニング。
ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)増幅用にDNAを、R.quintana、R.vinsonii、およびR.henselae(Houston-1単離物)の純粋培養物から、先に記載(29)のように、ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)/プロテイナーゼ溶解、次いでフェノール/クロロホルム抽出を用いて抽出した。得られる水相を、Centricon 30濃縮器(Amicon Corp.,Danvers,Mass.)を用いて濃縮し、そして2mlのTES(10mM Tris、pH8.0;1mM EDTA;10mM NaCl)を用いて3回洗浄した。
PCR増幅を、熱サイクラーおよびGeneAmp試薬(Perkin Elmer-Cetus、Norwalk、Conn.)を用いて実施した。先に研究されたすべてのユーバクテリア(eubacteria)から、2つの別のPCR産物として、16SリボソームRNA遺伝子の約92%を増幅することが知られている2対の「ユニバーサル(universal)」縮重プライマーを用いて、後にクローニングおよび配列分析のために用いられる産物のPCR合成をプライムした。各プライマーの5’末端は改変されて、独特な制限エンドヌクレアーゼ部位を含みクローニングを容易にした。各サンプルを:94℃、1分;48℃、2分;66°、1分30秒での3サイクル、次いで:88℃、1分;52℃、2分;68℃、1分30秒での27サイクルで増幅した。
得られるPCR産物を、1.0%アガロースゲルから単離し、そしてpUC19(29)中にクローン化した。クローンを、T7 DNAポリメラーゼ(SEQUENASE,U.S.Biochemicals,Cleaveland,Ohio)による二本鎖配列決定を用いて配列決定した。単離物のそれぞれを増幅し、クローン化し、そしてPCR取り込みの読み誤りを防ぐために少なくとも2回配列決定した;不一致が検出された場合、第3の独立の配列を生成した。その広範な増幅範囲のためユニバーサルプライマーを用いるPCR反応物中に汚染細菌DNAを導入しないように大きな注意を払った。各16S rRNA遺伝子配列に対するGenBank受託番号は以下の通りである:R.quintana,M73228;R.vinsonii,M73230;R.henselae(R.americanaとして提出された),M73229。
ユニバーサルプライマーは、2つの別のPCR産物として約1400ヌクレオチドのrRNA遺伝子配列の増幅を可能にした。プライマーEC11およびEC12(Wilsonら(26)により用いられたPOmodおよびPC3modプライマーの改変版)を用いて生成された、16S rRNA遺伝子の5'側半分に相当する、767塩基対(bp)産物は、Houston-1単離物、R.quintanaおよびR.vinsoniiが増幅された場合に観察された。これらのプライマーを用いてDNAテンプレートを含まないネガティブコントロールを増幅した場合、産物は観察されなかった。同様に、プライマーEC9およびEC10(Wilsonら(40)により用いられたプライマーP3modおよびPC5の改変版)を用いて生成された、16S rRNA遺伝子の3'側半分に相当する、737bp産物は、Houston-1単離物、R.quintanaおよびR.vinsoniiを用いた場合に観察された。DNAのないコントロールではPCR産物は見られなかった。これらのPCR産物をクローン化および配列決定した。
2.DNA配列決定
比較および整列のために用いられた16S rRNA遺伝子配列は、クローン化PCR産物のそれぞれについて3つの独立配列の共通部分(consensus)をとることにより得られた。Houston-1単離物について得られた第1および第2の配列は、一致しない3つのヌクレオチドを有し、そしてR.vinsoniiに対する第1および第2の配列は、2つの両義性を有していた。両方の場合において、第3の配列は、これらの両義性な位置において、2つの先の配列の1つと一致し、そしてこれを共通部分としてとった。配列間の時折の不一致は、ポリメラーゼ-ヌクレオチド取り込みエラーの結果であると推定された。完全配列を、Genetics Computer GroupのGapプログラムを用いる整列のために用いた。Houston-1単離物の配列を、GenBankのフィルム上の16S rRNA遺伝子配列と比較し、そしてこの配列はR.quintanaと最も大きい相同性(98.7%)を、そして関連がより遠い生物からの16S rRNA遺伝子配列とより小さい相同性(表1)を示した。
本発明者らの実験室で、本発明者らは、R.quintana(Fuller株)からの16S rRNA遺伝子を配列決定し、そしてそれが、Weisbergら(35)により先に報告され、そしてGenBankから得た配列と僅かに異なっていることを見出した。本発明者らのデータを用いて、本発明者らは、Houston-1単離物からの16S rRNA遺伝子配列が、R.quintanaに98.7%関連し、そしてR.vinsoniiに99.3%関連していることを見出した。このR.quintanaおよびR.vinsonii配列は、98.9%関連していることが見出された。Houston-1単離物とR.vinsoniiとの間に見られる0.7%の16S rRNA遺伝子配列相違は、Rickettsia prowazekiiおよびRickettsia typhiについて報告されている0.5%の相違より大きい。これらの2つのRickettsiaの種は、Rochalimaeaが属するRickettsiales目の中の明らかに異なる種である。
BAの推定の病因因子に対してRelmanら(28)により決定された16S rRNA遺伝子部分配列(GenBank Acc.#M59459)は、R.henselae,sp.nov.のHouston-1単離物から得られた16S rRNA遺伝子配列の相当する部分と同一であることが見出された(表1)。Oklahoma単離物の1つから得られた16S rRNA遺伝子部分配列は、Houston-1単離物から得られた16S rRNA遺伝子配列と同一である。これらの完全に相同な配列は、原因因子が1つであり、そして同じ種類であることを示す。Houston-1単離物とRochalimaeaの他のタイプの種との間で注目された16S rRNA遺伝子配列間の変動(表1)は、Houston-1単離物がRochalimaea属内の新しい種であることを示す。
さらに、R.henselae 16S rRNA遺伝子配列は、多年に渡りこの疾患の診断に用いられているCSD皮膚試験抗原中に存在する。
従って、16S rRNAサブユニットをコードする核酸は、R.henselaeに特異的であり、そして他の生物の16S rRNA DNA配列または試験サンプル中の16S rRNA DNA配列に対して比較されて、R.henselaeの存在を検出し得る。
Figure 0003689426
G.クエン酸シンターゼ遺伝子PCR/RFLP分析
制限エンドヌクレアーゼ長多形性(RFLP)分析をPCR増幅DNAに適用した。このDNAは、rickettsiaのクエン酸シンターゼ遺伝子の部分から、約381ヌクレオチド長のPCR産物の合成を開始することが先に示されている非縮重オリゴヌクレオチド(25)を用いてプライムされた。Rickettsia prowazekiiからの染色体DNAを、PCR合成および消化のボジティブコントロールとして用いた;DNAテンプレートを含まないコントロールを常にPCR増幅に含めた。
1.DNA消化および電気泳動。
PCR技法により増幅された特定遺伝子のRFLP分析は、rickettsiaの遺伝子型および種を同定するために有用である。ほとんどすべてのrickettsia種、およびR.quintana由来のクエン酸シンターゼ遺伝子の部分のPCR増幅をプライムするために適切であることが先に示されたオリゴヌクレオチドを、Houston-1単離物およびR.vinsoniiから精製されたDNAからのDNA増幅をプライム(prime)するそれらの能力について試験した。PCR産物は、先に報告された条件に匹敵する条件を用いることにより容易に生成された。簡単に述べれば、PCR増幅を、GeneAmp DNA増幅試薬キット(Perkin-Elmer Cetus,Norwalk,Connecticut)とともに提供されるプロトコールを用いて、100μl容量で実施した。代表的には、1μlの非希釈細胞質抽出DNAをPCRテンプレートとして用いた。DNA増幅を、Perkin-Elmer Cetus DNAサーマルサイクラー中で、変性(95℃で20秒間)、アニーリング(48℃で30秒間)、および伸長(60℃で2分間)の35サイクルを用いて行った。
DNAのPCR増幅を、少量のPCR産物の迅速アガロース電気泳動により確認した。制限およびエンドヌクレアーゼ消化を、標準的技法(29)に続いて、20μlのPCR反応混合物を用いて行い、そしてインキュベーションは37℃であった。制限エンドヌクレアーゼはすべてNew England BioLabs,Beverly,Massachusettsから得た。dye-Ficollロード混合液(29)を添加した後、消化した反応物を、標準的手順(29)により作成された1.5mm厚の8%ポリアクリルアミド垂直ゲル(Bio-Rad Laboratories,Richmond,California)上に載せた。ゲルを、簡単な垂直電気泳動チャンバー(Bethesda Research Laboratories,Life Technologies,Inc.,Gaithersburg,Maryland)中、80ボルトで4時間泳動した。次いでゲルを、UV光源(365nm;Spectronic Corp.,Westbury,New York)で照射する前に、エチジウムブロマイドで染色し、そしてPolaroid type 655 P/Nフィルム(Polaroid Corp.,Cambridge,Massachusetts)で写真撮影した。
消化したDNAフラグメントを分離し、そしてRegneryら(25)により先に記載された標準的な電気泳動プロトコールおよび方法を用いて分析した。2つまたはそれ以上の単離物の相同PCR/RFLP消化物間で観察された同時に移動するDNAフラグメントの数を計数した。同時に移動するDNAフラグメントの数由来のデータを用いて、Upholt(32)により記載されそして次に関連細菌間の配列の相違を推定するために他の者により用いられた方法により、配列関連性の推定を引き出した。
3つのすべての非切断Rochalimaeaクエン酸シンターゼPCR産物は、Rickettsia属のメンバーに対して生成されたもの(約381bp)より僅かに大きかった(約400bp)。異なるRichalimaea単離物から得られたPCR増幅クエン酸シンターゼ産物のサイズ間の変動が注目された。PCR増幅産物を、7つの制限エンドヌクレアーゼで消化し、そしてポリアクリルアミドゲル電気泳動にかけた。明らかな違いが、種々の単離物由来のPCR増幅クエン酸シンターゼ配列の消化バターンの多くで見られた;PCR/RFLP分析は、その他の単離物遺伝子型の迅速鑑別を可能にした。
PCR増幅されたクエン酸シンターゼ特異的DNAを7つの制限エンドヌクレアーゼで消化することにより生成されたDNAフラグメントの数を、同時に移動するフラグメントの数とともに図1に表とする。同時移動するフラグメントの百分率の数値解析に由来する配列相違の推定値は、検査された単離物のすべてが、認識されたrickettsia種間でのクエン酸シンターゼ配列の相違に対する同様な推定値(例えば2〜6%)に等しいかまたはそれを超える、実質的に推論されるクエン酸シンターゼ配列の相違(6〜11%)を有することを示す。
PCR/RFLP分析は、R.henselae,sp.nov.,遺伝子型を、R.quintanaまたはR.vinsoniiのいずれかの遺伝子型から明瞭に鑑別した。Oklahoma(2つの単離物)、Arkansas(1つの単離物)、およびSouthern California(1つの単離物)からの他のRochalimaea様単離物由来のクエン酸シンターゼ特異的PCR産物の複数制限エンドヌクレアーゼ消化物は、本明細書で適用されたPCR/RFLP法に従って、検査された単離物のすべてが互いに、そしてR.henselae(Houston-1単離物)に同じであることを示した。
ネコ引っ掻き病および細菌性血管腫症に加えて、この生物の疾患スペクトルは変化し得、そして熱病および菌血症および細菌性肝臓紫斑病の症候群を含み得る。従って、本明細書で記載される核酸法を用いて、これらの疾患症候群に関連するR.henselaeの存在を検出し得る。
実施例2
血清学的方法
感染の分布と流行の評価を始めるため、そしてまたR.henselaeで誘発される疾患の完全なスペクトルの規定を補助するために、R.henselae抗原と特異的に反応する抗体を検出する免疫蛍光アッセイ(IFA)試験を開発した。感染性生物は、γ線照射による不活化により非病原性とした。
A.R.henselae抗原決定因子の調製
赤血球濃縮アガー培地上で培養され、そして次に溶液で維持されたR.henselae桿菌は、先に記載のように自己凝集する傾向がある;この凝集は、十分に分散したIFA抗原の生成を妨げる。自己凝集の阻害は、個々のRochalimaea生物がどん欲に粘着するVero細胞とのR.henselaeの同時培養により達成された。簡単に述べれば、R.henselae細胞をVero細胞と4日間液体培地で培養する。液体培地の大部分をデカンテトした後、ガラスビーズを培養フラスコに加え、そして残りの培地中で穏やかに撹拌する。ビーズを用いたこの撹拌はVero細胞およびそれらに粘着するR.henselae細胞をフラスコ壁から解放する。Vero細胞と複合体化したR.henselae細胞を、次いでγ線照射により不活化する(非病原性にする)。抗原および抗血清を、標準的技法により、IFA試験のために調製した。
B.抗血清(抗体)の調製
簡単に述べれば、単離されたR.henselae培養物から得られ、そしてPBS中に懸濁されたR.henselae抗原をウサギに接種し、ウサギにこの抗原と特異的に反応する抗体を生成させる。この動物から血液サンプルを採取し、そして赤血球細胞を除去し抗血清を得る。次いで、R.henselae抗体を含む血清に、硫酸アンモニウムを添加し、抗血清からγグロブリン(IgG)を沈殿させる。
C.IFA
この実施例のIFAは、簡単に述べれば以下のように実施する:上記で調製されたVero細胞に結合したR.henselae抗原決定因子を、12ウェルの顕微鏡スライドのウェル中にスポットし、そしてR.quintana(Fuller単離物)の第2のスポットもまたウェル中に置く。これらのスポットを風乾し、そして次に10分間アセトン固定する。試験される抗血清の連続希釈物(例えば1/32、1/64など、希釈終点)を、抗原とともに対のウェルに置く。次いでスライドを37℃で30分間湿潤チャンバー内でインキュベートし、そしてその後PBSで3回洗浄し、蒸留水ですすぎ、そして風乾する。次いでフルオレセイン標識ヤギ抗ヒトIgGを、各ウェルにスポットし、そしてスライドを上記のようにインキュベートし、洗浄し、すすぎそして風乾する。緩衝化グリセロールを、光学的増強のためにウェルに添加し、そして次にスライドを蛍光顕微鏡観察により分析し、R.henselae抗原と特異的に反応する抗体の存在を検出する。
別の方法では、上記で精製されたR.henselae特異的抗体を、フルオレセインのような検出可能な部分で直接標識し得る(14)。
すべてのIFA測定において、R.henselaeまたはR.quintana感染を培養確認されたヒト由来の抗血清をポジティブコントロールとして用いた。
ネコ引っ掻き病と疑われる40人の患者からの血清を、IFAにより、R.henselae抗原との反応性について評価した。35人(87.5%)の患者が、1/64血清終点希釈物に等しいかまたはそれを超えたR.henselaeに対する抗体力価を有していた(図2)。多くの患者が1/1024を超える力価の血清を有していた。病気の急性および回復相の間に収集された血清が、幾人の患者から入手できた。異なる力価を有しそして1/64に等しいかそれを超える力価を有する少なくとも1つの標本を含む5セットの対の血清のうち、3つが抗体力価において4倍の上昇または低下を示した。3つのさらなる血清の対のセットは、力価の変化について評価できなかった。なぜなら、両方の血清が、1/1024(アッセイされる最大力価)またはそれを超える力価の、R.henselae抗原と特異的に反応する抗体を有していたからである。1/64、またはそれを超える力価を有する8つの血清はまた、1/32を超えないR.quintanaに対する低い抗体力価を有していた。これらの血清のそれぞれでは、R.henselaeと特異的に反応する抗体の力価は、R.quintanaに対する力価に対して、少なくとも4倍勝っていた。
自分自身が健康な個体であると同定したヒトから集めた107の血清を、契約提供者(Worldwide Biologics,Cincinnati,OH)から得た。これらの血清をIFAによりR.henselaeおよびR.quintanaと反応する抗体について試験した場合、101(94%)が1/64より少ない力価を有していた(図3)。1/64に等しいか、またはそれより大きいR.henselae抗原に対する抗体力価を有していた6つの血清のうち、3つがかなり上昇した抗体力価(即ち、1/512および1/1024)を有していた。これらの血清提供者の間では、1/16を超えるR.quintanaに対する抗体力価は検出されなかった。
種々の疾患を有するヒトからの血清を、R.henselaeと特異的に反応する潜在的な抗体の存在について評価した。1/64に等しいかまたはそれより小さい力価がブルセラ症を有する10人のうち2人で検出されたが、この2つの低いレベルの陽性血清学的応答は、微小凝集により検出されるBrucella abortusに対する抗体の増加する力価と相関しなかった。Lyme病の患者からの3つの血清のうちの1つは、R.henselaeに対して1/64の力価を有していた。ツラレミアの患者からの血清およびYersinia entercolitica感染の患者からの血清は、1/64に等しいかまたはそれより大きいR.henselaeに対する抗体力価を示さなかった。診断キット中の試薬として用いた多くの他の参照ヒト抗体を、R.henselae IFA試験で評価した。これらの血清はいずれも1/64またはそれ以上でR.henselaeに対する抗体の力価を示さなかった。参照血清は、以下に対するヒト抗血清を含んでいた:Mycoplasma pneumoniae、Treponema pallidum、Coxiella burnetii、Ehrlichia chaffeensis、chlamydia群、斑点熱病群rickettsiae、チフス群rickettsiae、水痘、帯状疱疹、A型インフルエンザ、アデノウイルス、2型デング熱ウルルス、単純ヘルペス、A群コクサッキーウイルス、2型ポリオウイルス、サイトメガロウイルス、風疹、I型ヒト免疫不全ウイルス、ならびにαフェトプロテインおよびリウマチ様因子。
R.henselaeと特異的に反応する高力価ヒト抗体およびR.quintanaに対する抗体を含む血清は、IFA試験で「A.felis」抗原と反応しなかった。「A.felis」抗原に対して惹起された超免疫ウサギ抗血清およびモノクローナル抗体は、R.henselae全細胞抗原と反応しなかった。
R.quintana(Fuller単離物)に感染したヒトボランティアから得た高力価R.quintana抗体(1/1024希釈終点)は、R.henselae抗原と識別可能な反応を生じなかった(<1/16希釈終点)。同様に、最小(<1/32希釈終点)R.quintana抗体力価は、培養陽性R.henselae感染患者からの高い力価の(例えば>1/1024希釈終点)血清を、用いたときに注目された。
従って、IFA試験でアッセイしたとき、R.henselaeおよびR.quintana(Fuller単離物)抗原に対するヒト血清学的応答は種特異的であることが理解され、そしてR.henselae抗原で観察される抗体反応が、R.henselae以外の任意の種による抗原刺激に起因したことはありそうにない。
見かけ上健康な血清提供者の間で見出されたR.henselaeと特異的に反応する抗体の有意に上昇したレベルが低い羅患率で存在したことは、R.henselae感染が比較的に一般的であり得ることを示す。
ネコ引っ掻き病と臨床的に診断された40人の患者のうち、35人(87.5%)が、1/64に等しいかまたはそれを超えるR.henselae抗原に対する血清抗体力価を有しており、そして血清のいくつかの対のセットが4倍変化した力価を示した。R.henselae抗原またはそれと特異的に反応する抗体を検出するこの方法は、ネコ引っ掻き病の患者を同定するための有用な診断ツールを提供し、そしてそれによって、臨床診断のみに頼ること、薬学的に認可されていないCSD皮膚試験抗原調製物の使用、および外科的生検の必要性を減少させる。
本明細書で例示されたネコ引っ掻き病を診断する方法は、細菌性血管腫症の診断に同様に効果的に適用され得る。なぜなら両疾病の病因因子は、R.henselaeであるからである。また、R.henselae感染は、熱病および菌血症の症候群および細菌性肝臓紫斑病のような他の症候群と関連するので、上記の血清学的、免疫細胞化学的、細胞学的および核酸検出方法が、これら疾病の診断に有効に使用され得る。
実施例 3
PCRによる、R.henselaeおよびR.quintanaの検出
A.細菌株
PCRおよびハイブリダイゼーションアッセイの特異性を評価するために使用した全ての細菌の株を、表2に挙げる。Rochalimaea spp.を、5%脱フィブリン化ウサギ血液を補充した心臓浸出液アガープレート(heart infusion agar plate)(HIA-RB)(BBL,Rockville,Md)上で、5%CO2の存在下、34℃で3〜5日間、インキュベートして増殖させた。Bartonella bacilliformisを、28℃で6〜8日間、HIA-RB上で、CO2を補充せずに培養した。A.felisを、チャコール酵母抽出アガープレート(Carr-Scarborough Microbiologicals,Decatur,Ga.)上で、2〜3日間32℃で、CO2を伴わずに増殖させた。
Figure 0003689426
B.臨床サンプル
CSDで臨床的に診断した患者からの25個のサンプルを、PCRアッセイのさらなる例を評価するために使用した(表3)。全てのCSD症例は、医師により臨床的に診断され、そして他の明らかな診断の非存在下で、局所的リンパ節症およびネコとの接触があった。サンプルを使用した全ての患者は、患者#6(表3)を除いて、この定義に適合した。この患者はネコ接触の既知の履歴を有さなかった。サンプルのうち16個は新鮮なリンパ節バイオプシー標本であり、9個はリンパ節吸引液であった。さらに、他の生物が単離された非CSD患者由来の5個のリンパ節吸引液をネガティブコントロールとして包含した。同様に、非CSD患者由来の3個のリンパ節バイオプシーをさらなるネガティブコントロールとして使用した。実施例2に示した間接的蛍光抗体試験によって、数人の患者に対して血清学を行った(血清が利用可能な場合)。
リンパ節バイオプシー標本およびリンパ節吸引液の両方に由来する新鮮な凍結組織が、適切なサンプルであった。
Figure 0003689426
C.DNA抽出
DNAを、以前に記載された手順(4)の改変を用いて、細菌細胞、リンパ節、組織、またはリンパ節吸引液から抽出した。簡略に述べると、標準的なサイズ(85mm)のHIA-RBプレートの約1/8から採取された細菌増殖を、300μlのPCR希釈液(10mM Tris,10mM NaCl,1mM EDTA,pH8.0)に再懸濁した。リンパ節組織について、サンプル(約100mg)を、最少の必須培地(0.5ml)中でディスポーザブルのホモジナイザーを用いて分散させた。この50〜100μlのホモジネートをPCR希釈液で300μlに希釈した。リンパ節吸引液(50〜100μl)を再懸濁し、PCR希釈液で300μlに希釈した。次いで、サンプルに1.0%ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)およびプロテインキナーゼKを添加し、100ng/μlの最終濃度にした。そしてサンプルを2時間55℃でインキュベートした。インキュベーション後、溶解物を、フェノール飽和緩衝液とクロロホルム/イソアミルアルコール(24:1)との50:50混合物で、3〜4回抽出した。得られた水性上清をPCR希釈液で2.0mlに希釈し、Centricon 30フィルター(Amicon,Danver Mass.)により濾過し、そしてPCR希釈液の2.0mlのアリコートで2回以上洗浄した。得られるフィルター保持物質(retentate)(40μlの平均容量)を回収し、PCRのテンプレートとして使用した。DNA抽出を行う毎に、上記のように厳密に試薬ブランクをプロセスし、全ての抽出緩衝液および試薬がRochalimaea DNAを混入していないことを確実にした。
D.PCRプライマーおよびハイブリダイゼーションプローブの設計
R.henselae DNAのライブラリーをベクターλZapII(5)中に構築した。ライブラリーを、8つのモノクローナル抗体のプールまたはウサギ超免疫血清のいずれかで、抗原タンパク質の発現についてスクリーニングした。ウサギ抗R.henselae血清に反応性の60キロダルトン抗原を発現するクローンを単離し、そして遺伝子を配列決定した(6)(GenBank Accession L20127)。推定アミノ酸配列は、Escherichia coliに由来するhtrA座(17)と37%の配列相同性(配列全体にわたって)を有することが示された。以下のプライマー対をPCR増殖に使用した:CAT1 5' GATTCAATTGGTTTGAA(GおよびA)GAGGCT3'(配列番号1および2)およびCAT2 5' TCACATCACCAGG(AおよびG)CGTATTC 3'(配列番号3および4)(図4)、これらはR.henselaeおよびR.quintana由来の414塩基対(bp)フラグメントの両方を規定する。20塩基対オリゴヌクレオチドプローブRH1(配列番号5)およびRQ1(配列番号6)(図4)を種特異的ハイブリダイゼーションプローブとして使用した。
Rochalimaeaの他の3種由来の同じ遺伝子の部分的なヌクレオチド配列(150〜200ヌクレオチド)を、保存されたPCRプライマーを使用して得た。プライマー対htr5(5' AATCTAGATTGCTTTCGCTATTCCGGC 3'(配列番号8))およびhtr6(5' AAGGATCCATTTGTTCGCACTTGTAGAAG 3'(配列番号9))を用いたPCRにより、4つのRochalimaea種のそれぞれから650塩基対産物の増幅を得た。これらの増幅産物から得られた他の3つの種の150〜200塩基対配列が、R.henselae配列と85〜92%保存されていることが見出された。htrA遺伝子が存在する証拠は、B.bacilliformis(Rochalimaea spp.に系統発生的に密接に関連する生物(21、27))において見出されなかった。B.bacilliformisが、上昇した温度では増殖しない(ある程度、機能的なhtrA遺伝子産物の欠損のためであリ得る特徴)ので、この観察は興味深い。
E.PCRアッセイ
細菌、新鮮なリンパ節組織、またはリンパ節吸引液から調製したDNAを、PCRアッセイのテンプレートとして使用した。臨床サンプルから抽出した(非希釈のおよび1:10に希釈した)テンプレートDNAの5μl部分を、各PCRアッセイに使用した。細菌単離物から抽出されたDNAの適切な濃度を、標準DNAの既知量と並べたアガロースゲル電気泳動により決定した。希釈した細菌DNA(約1ng)をプライマー特異性の最初の決定のために使用した。続いての臨床サンプルにおけるPCRのために、R.henselaeまたはR.quintanaのいずれかから抽出した10pg(10μl中)のDNAをポジティブコントロールとして使用し、そしてDNA抽出ブランクおよび水(それぞれ10μl)をネガティブコントロールとして使用した。GeneAmp試薬(Perkin-Elmer Cetus,Norwalk,Conn.)キットを全てのPCRアッセイに使用した。縮重プライマーCAT1およびCAT2を重合反応をプライムする(prime)ために使用した。プライマー混合物は、ほぼ等量のR.quintana(配列番号2および4)およびR.henselae(配列番号1および3)プライマー配列を含んでいた。増幅を、9600型サーマルサイクラー(Perkin-Elmer)で、94℃で5分間、予め変性し、続いて94℃で30秒間;50℃で60秒間;および70℃で45秒間を35サイクル行うことにより達成した。各PCRアッセイ由来の10μlを1.2%アガロースゲルにより電気泳動し、エチジウムブロミドで染色し、写真を撮った。414bpバンドの存在を陽性と見なした。臨床標本から抽出されたDNAの各サンプルもまた、プライマー対GHPCR1およびGHPCR2(36)を用いて増幅した。このプライマー対は、ヒト成長ホルモン遺伝子の保存領域から422pbフラグメントを増幅し、増幅可能なDNAの好結果の抽出物についてのポジティブコントロールとして使用した。プライマー対GHPCR1およびGHPCR2を用いて増幅できない臨床サンプル由来のDNA抽出物は、さらなる研究から除外した。
F.PCRアッセイの特異性
上記の条件下、そして精製テンプレートDNAを用いて、12個の全てのR.henselae単離物および4個の全てのR.quintana単離物が、予測される414bpフラグメントの増幅DNAを生じた(表2)。R.vinsonii、B.bacilliformis、およびA.felisについては、増幅産物は見られなかった。R.elizabethaeはこのプライマー対を用いて増幅されたが、産物は、R.henselaeおよびR.quintanaについて予測される414bpよりもはるかに大きかった(約1300bp)。したがって、414bpPCR産物は、R.henselaeおよびR.quintanaに特異的であるようである。約50〜60bpのPCR産物が、時々、DNAを有さないコントロールにおいて観察され、おそらくプライマーダイマーに対応する。
縮重プライマーCAT1およびCAT2はR.henselaeおよびR.quintanaの単離物内で十分に保存されているようである。
バイオプシー(12/16、75%陽性)よりも吸引液(9/9、100%陽性)を用いて、よい成功が得られた。これはおそらく変動する節(したがって、吸引され得る)と変動しない節との間での本来の相違のためである。リンパ節または吸引液のいずれかから抽出されたDNA量を標準化するにおいて困難に遭遇する。発明者らは総溶解手順(total lysates procedure)を利用したので、RNAおよびDNAの両方が得られた。溶解物の吸光度の測定は、十分なDNA濃度の指標にはならない。したがって、発明者らは、非希釈テンプレートおよび1:10希釈でのテンプレートのサンプルの両方を増幅に使用した。
G.ドット-ブロットハイブリダイゼーション
PCR産物の同一性を確認するために、およびR.henselaeおよびR.quintanaテンプレートから増幅された産物の区別を可能にするために、ドットブロットハイブリダイゼーションアッセイを表2に挙げた細菌から増幅されたPCR産物に対して行った。オリゴヌクレオチドプローブRH1およびRQ1をこの目的のために使用した。Genius5標識キット(Boehringer Mannheim,Indianapolis,Ind.)を用いて、ターミナルトランスフェラーゼにより、ジゴキシゲニン-ddUTPヌクレオチドを各オリゴヌクレオチドの3’末端に移すことによって、RH1およびRQ1を非放射性標識した。ドットブロットハイブリダイゼーションアッセイのために、5μlの各PCR産物を、100mMエチレンジアミン四酢酸を含有する0.5μlの4M NaOHの添加により、10分間変性させた。1μlアリコートを2枚のナイロンメンブレン(Boehringer Mannheim)にそれぞれにスポットし、そしてDNAをUV照射(Stratalinker,Stratagene,La Jolla,Calif.)によってナイロンに架橋させた。次いで、ナイロンメンブレンを、Genius7、発光検出キット(Boehringer Mannheim)の標準的なプレハイブリダイゼーション溶液を用いて、1時間、62℃でブロックした。標準的なハイブリダイゼーション溶液は、0.1%N-ラウリルサルコシン、0.02%SDS、および1.0%ブロッキング試薬(Boehringer Mannheim)を含有する5×SSC(1×SSC=0.15M NaClおよび0.015Mクエン酸ナトリウム)であった。次いで、ハイブリダイゼーションを、62℃(両方のプローブに対して、TM−8℃)、1時間、2pmol/mlの濃度でRH1またはRQ1のいずれかを含有する新鮮なプレハイブリダイゼーション溶液中で行った。次いで、ハイブリダイズさせたメンブレンを、0.1%SDSを含有する2×SSC中、それぞれ、15分間、室温で2回洗浄した。その後、0.1%SDSを有する0.5×SSC中、52℃で、それぞれ15分間、2回洗浄した。次いで、ハイブリダイズしたフィルターをブロックし、アルカリホスファターゼ結合抗体と反応させ、洗浄し、そして製造業者の指示(Genius7キット、Boehringer Mannheim)に従ってLumigen PPD化学発光基質中に浸した。得られたフィルターを、5〜20分間、X線フィルムに感光させ、そしてフィルムを現像した。
H.ドット-ブロットハイブリダイゼーションアッセイの特異性
プローブRH1でハイブリダイズしたR.henselaeの12個の単離物全てからPCR産物を増幅した。R.quintanaの4個の単離物全てからのPCR産物を、プローブRQ1でのみハイブリダイズした。プローブRH1もRQ1もいずれも、R.elizabethae、R.vinsonii、B.bacilliformis、またはA.felisからのPCR産物と、ハイブリダイズしなかった。したがって、ドット-ブロットハイブリダイゼーションアッセイは、R.henselaeおよびR.quintanaから増幅されたPCR産物間の区別を可能にした。
オリゴヌクレオチドプローブ(RH1およびRQ1)は、種特異的ではあるが、種間で十分に保存されているようである。
I.臨床サンプルに対するPCRおよびドット-ブロットアッセイ
臨床サンプルにおけるR.henselaeおよびR.quintanaの検出についてのPCRおよびドットブロットアッセイを評価するために、CSD症例由来の16サンプルの新鮮なリンパ節組織および9サンプルの吸引液に、これらの技術を適応した。25サンプルのうち21(84%)が、R.henselaeまたはR.quintanaの特徴である414bp産物を生成した(表3)。CSDの疑いのある患者のリンパ節バイオプシーサンプルおよびリンパ節吸引液から得られた代表的なPCR産物を、電気泳動した。2つのサンプルが、テンプレートDNAを増幅前に1:10に希釈した場合にのみ、特徴的な414bpバンドを生成した。これらのサンプルの代表は#9である。#9の増幅は大量の白血球DNAにより阻害されるようである。テンプレートDNAを含有するサンプルを、増幅前に1:10希釈した場合、414bpバンドが明瞭に生成された。特徴的な414bpフラグメントは、非CSD症例由来の8つのいずれのリンパ節組織サンプルからも、DNA抽出ブランクからも増幅されなかった。
臨床サンプルから増幅されたPCR産物の同一性を確認するために、およびR.quintanaにより引き起こされる感染と、R.henselaeにより引き起こされるそれらの感染とを区別するために、種特異的プローブRH1およびRQ1を用いてドット-ブロットハイブリダイゼーションを行った。特徴的な414bpフラグメントを生成するために増幅した21サンプル全てからのPCR産物は、R.henselae特異的プローブRH1とハイブリダイズした。逆に、これらのサンプルのいずれもR.quintana-特異的プローブRQ1とハイブリダイズしなかった。したがって、本研究の全てのPCR陽性サンプル(11の異なる状態において、CSDの疑いのある患者由来(表3))は、R.henselaeに関連するが、R.quintanaとは関連しないようであった。アガロースゲル電気泳動により決定されたように414bpフラグメントを増幅できなかったサンプルは、いずれのプローブにもハイブリダイズしなかった。
本結果は、AIDS患者の間に見られるBAおよび他の日和見性感染(ある場合は、R.henselaeにより引き起こされ、そして他の場合はR.quintanaにより引き起こされ得る)とは異なり、CSDが、主として(または、おそらく独占的に)、R.henselaeにより引き起こされるようであることを示す。
本明細書で記載したPCRアッセイについて、CSDの疑いのある症例由来の84%陽性サンプルは、CSDの疑いのある患者由来のサンプルの2つの異なる群に対する血清学的手段により観察された84%および88%陽性と事実上同一である(24、37)。PCRにより本明細書で試験したCSD症例由来の22のサンプルもまた、血清学により試験した(表3)。これらのうち21(95%)が、1:64以上のIFA力価を有した。したがって、血清陽性個体から回収されたこれらの3つのサンプルは、PCRアッセイにより陰性であった。これらの明らかな不一致は、一部、CSDの後期段階における患者由来のリンパ節中に、完全な生物がないためであり得る。実際、Gerberらは、長引いた(lingering)細胞仲介性免疫応答、および得られる細菌侵入ではなく肉芽腫性反応が、CSDの主な発病機構であり得ることを仮定している(13)。あるいは、リンパ節組織に存在するPCRのインヒビターが存在し得、これは達成されるアッセイの最適な感受性を妨げる。
PCRアッセイは、初期診断に利点を与える。なぜなら、検出可能な体液性免疫応答を有している患者に依存しないからである。さらにPCRアッセイは、R.henselae感染をR.quintana感染と区別する。CSDについての迅速で特異的な試験は、診断の実験室確認のための培養および血清学の代替法を臨床医に与える。それゆえ、臨床医はリンパ腫のような悪性腫瘍を除外し、そして抗生物質療法を考慮に入れることが可能になる。CSDを処置することにおける抗生物質の有効性は明らかではないが、4つの抗生物質(リファンピン、シプロフロキサシン、トリメトプリム-スルファメトキサゾール、および硫酸ゲンタマイシン)での処置の成功が報告されており(19)、そしてインビトロで、R.henselaeは、多くの一般的な抗生物質に感受性である。(9)。
実施例4
R.henselaeの抗原性フラグメントの同定
Rochalimaea henselae DNAのライブラリーを、ネコ引っ掻き病(CSD)と診断され、そして間接蛍光抗体(IFA)アッセイによって決定されたRochalimaeaに対する抗体を有する患者由来の血清のプールを使用して、クローニングベクターλZapII中に構築し、そして抗原性タンパク質の発現についてスクリーニングした。10個の免疫反応性ファージを、インビボ切除によって組換えプラスミドとしてサブクローン化した。10個の組換え体は全て、ヒト血清のプールを使用して免疫ブロット分析によって検査された場合、約17キロダルトン(kDa)のタンパク質を発現した。10個の組換えプラスミドのそれぞれの制限エンドヌクレアーゼ消化は、7つの異なるプロファイルを示し、このことは、クローニングの偏り(cloning bias)が17kDaの抗原を発現するクローンを繰り返し単離する理由ではないことを示唆した。17kDaの抗原をコードする遺伝子を配列決定し、そしてこれが148アミノ酸のオープンリーディングフレームと16,893ダルトンの予測分子量とをコードすることを示した。推論されるアミノ酸配列のアミノ末端は性質が疎水性であり、サイズおよび組成がグラム陰性細菌に見られるシグナルペプチドと同様であった。推論されるアミノ酸配列の残りの部分はより親水性であり、表面に露出するエピトープを表し得る。発現ベクターPinPoint Xa-2中に、17kDaの抗原をビオチン化融合タンパク質としてさらにサブクローン化することにより、CSD患者由来の個々の血清サンプルと免疫ブロットにおいて高度に反応する30kDaのタンパク質が得られた。免疫ブロット分析における30kDaの融合タンパク質との反応性とIFAアッセイによって得られた結果との間の一致は、IFA陽性では92%(n=13)、そしてIFA陰性では88%(n=9)であった。組換え体が発現した17kDaのタンパク質は、CSDおよびRochalimaea感染の血清学的診断のための抗原としての価値を有すべきであり、ネコにおけるRochalimaeaによる長期感染およびこの生物がヒトへさらに広がる可能性を防止するためのサブユニットワクチンの開発を試みるさらなる研究を保証する。
A.Rochalimaeaの培養
Rochalimaea株を、5%のウサギ脱繊維素血液(BBL,Cockeysville,Md)を補ったハートインフュージョンアガー上で増殖させた。本実施例で述べられている全ての実験では、R.henselaeのHouston-1株およびR.quintanaのFuller株を使用した。培養物を、34℃にて5%CO2の存在下でインキュベートした。十分な増殖(3〜4日)後、細菌細胞を、滅菌されたアプリケータで回収し、TE緩衝液(10mM Tris pH8.0,1mM DETA)中に懸濁した。細菌を、必要に応じて遠心分離により濃縮した。次いで、細菌細胞を、以後の免疫ブロット分析のために凍結し、そして保存するか、または以下にその概要が示されるようにそのDNAを抽出した。
B.R.henselae DNAライブラリーの構築
λZAPIIベクター(Stratagene,Torrey Pines,Calif.)を使用し、A-Tリッチな生物のDNAライブラリーを構築するために特に開発された新規の方法(5)を使用して、R.henselae DNAのλファージライブラリーを調製した。プロティナーゼK(100ng/μl)の存在下で1.0%SDSを用いて、55℃にて90分間、細菌細胞を溶解することによって、総(染色体および染色体外)DNAを、R.henselaeのHouston-1株から単離した。得られた溶解物を、フェノールとクロロホルムとの50:50混合物を用いて4回抽出した。0.3Mまで酢酸ナトリウムを、および2.5容量の無水エタノールを加えることによって、核酸を水性相から沈澱させた。沈澱物を遠心分離によって回収し、10ng/μlのリボヌクレアーゼAを含むTE緩衝液中に再懸濁した。抽出されたDNAを、酵素活性(スター活性)を促進する条件下で、制限エンドヌクレアーゼEcoRIを用いて消化した。このスター活性は特異性が低く、従って通常条件下でのEcoRIを用いた切断よりもさらにランダムである。EcoRIスター活性により生成されたDNAフラグメントは、EcoRI切断ベクター中へ効率的にクローン化される(5)。得られたDNAを、0.7%アガロースゲルによる電気泳動およびglass milk(GeneClean、Bio101、Vista、Calif.)への吸着による精製によって、長さが3〜8キロベースペアのフラグメントについてサイズ選択した。精製された同じサイズのDNAを、EcoRI切断しアルカリホスファターゼ処理されたλZAPIIベクターに連結した。次いで、組換えファージコンカテマーを、Gigapack packaging extract(Stratagene、Torrey Pines、Calif.)を使用して、λ粒子中へパッケージした。パッケージした後、ライブラリーのアリコートを、NZYアガープレート上にEscherichia coli XL1株(Stratagene、Torrey Pines、Calif.)をプレートすることによって、組換え体の割合について滴定およびアッセイした。ライブラリーを、パッケージされた全連結反応物をプレートすることによって増幅し、そしてファージ希釈緩衝液(10mM Tris pH8.0、10mM MgCl2、0.1%ゼラチン)中に組換え体を一晩拡散させることによって回収した。
C.組換えクローンの免疫スクリーニング
ヒト血清との免疫反応性について組換えファージをスクリーニングするために、NZYアガーの150mmプレート当たり約30,000の密度でλファージクローンをプレートした。42℃で3〜4時間(プラークがかろうじて見えるまで)のインキュベーションの後、プレートに、1mMのイソプロピルβ−D−チオグラクトピラノシド(IPTG)を浸潤させたニトロセルロースフィルターを重ね、そしてインキュベーションを37℃でさらに3時間続けた。次いで、フィルターを、0.1%Tween 20を含むTris緩衝化生理食塩水(pH8.0)(TBST)中で2回洗浄し、そして5.0%の脱水スキムミルク(Difco、Detroito、Mich.)を含むTBSTで1時間室温にてブロックした。次いで、フィルターを、CSDと臨床的に診断された患者由来の血清サンプル(5%スキムミルクを含むTBST中に1:300に希釈)のプールと、2時間反応させた。この血清サンプルのプールは、CSDと診断された患者に由来し、そして上記(42)のように行われたRochalimaeaについての間接蛍光抗体(IFA)アッセイによって決定された1:1024またはそれ以上の力価を有することが示された、10個体の血清からなった。次いで、フィルターを、TBSTを用いて4回洗浄し、そして西洋ワサビペルオキシダーゼを結合させたヤギ抗ヒトIgG(5%スキムミルクを含むTBST中に1:3000に希釈)とこのフィルターとを1時間室温にて反応させることによって、結合した抗体を検出した。フィルターをTBST中で4回洗浄し、そしてTMBメンブレン基質(Kirkegaard and Perry、Gaithersburg、Md)を使用して発色させた。
D.組換えファージミドのレスキューと分析
免疫反応性組換えファージを数ラウンドのプラーク精製した後、単離されたファージプラークを、製造者(Stratagene、Torrey Pines、Calif.)の指示に従って、λファージ組換え体からpBluescript由来プラスミド中へサブクローン化した。簡単に述べると、λ組換え体に感染したE.coli XL1 MRF'細胞をR408ヘルパーファージで重複感染させることによって、挿入されたRochalimaea DNAを含むλZAPIIベクターのpBluescript部分をレスキューした。次いで、これらの組換えファージミドを使用して、XL1 MRF'細胞を感染させた。この細胞中で、これらの組換えファージミドは、アンピシリンでの選択時にプラスミドとして複製する。この手順により、Rochalimaea DNA挿入物を有するpBluescript由来組換えプラスミドを収容するコロニーが得られる。これらの組換えプラスミドを、DNAのさらなる分析および配列決定のため、ならびにE.coli中で発現される、プラスミドにコードされたRochalimaeaタンパク質の免疫ブロット分析のために使用した。
E.免疫ブロット分析
個々の抗原に対するヒト抗体の応答を分析するために、RochalimaeaおよびE.coli組換え体の全細胞溶解物を、SDS-PAGEおよびび免疫ブロット分析にかけた。Rochalimaeaを上記のように増殖した。E.coli組換え体を、100μg/mlのアンピシリンを含むLBブロス中37℃にて、振盪しながら、対数増殖中期まで増殖させ、そして1mMのIPTGを加えた。インキュベーションを、37℃にてさらに2時間、振盪しながら続け、そして遠心分離によって細胞を回収した。得られた細胞ペレットを、SDS-PAGE用サンプル緩衝液(2%SDS、50mM Tris pH8.0)中で、5分間100℃にて可溶化した。
可溶化したRochalimaeaおよびE.coli組換え細胞タンパク質を、8〜16%勾配のSDS-PAGE mini gel(Novex、San Diego、Calif.)により電気泳動した。得られた細胞タンパク質を、クーマシーブリリアントブルーを用いて直接染色するか、またはmini-transfer装置(Bio-Rad、Richmond、Calif.)を使用してニトロセルロースに移した。タンパク質をニトロセルロースに電気的に移した後、得られたフィルターを抗血清と反応させ、そして本実施例の「組換えファージクローンの免疫スクリーニング」の章に記載されるように処理した。
F.ファージミドDNAの配列決定
組換え体由来のプラスミドDNAを、アルカリ溶解によってミニプレップ(mini-prep)から調製した。得られたプラスミドDNAを、制限エンドヌクレアーゼ消化のために、および直接、ジデオキシチェーンターミネーション法による二本鎖プラスミド配列決定のために、使用した。Zhang(44)の方法によるアルカリ変性、およびそれに続く35S dATPを使用するT7 DNAポリメラーゼ(Sequenase、US Biochemical)を用いる鎖伸張および終止を使用してプラスミドを配列決定した。配列決定したDNAを、変性6%アクリルアミド−尿素ゲルにより電気泳動し、得られたゲルを10%酢酸および5%メタノールで固定した。真空乾燥の後、ゲルを約12〜24時間、X線フィルムに曝し、そして現像した。プラスミドを、M13の正方向または逆方向プライマーを用いて、または配列決定が進行するに従って、R.henselae挿入物から合成されたプライマーを使用して、配列決定した。さらに17kDaの抗原遺伝子の位置を決定するため、そしてさらなる配列決定のために、制限フラグメントを標準的方法(20)によってpUC19中にサブクローン化し、免疫ブロット分析によって発現について検査した。
G.融合タンパク質の構築
推測の17kDa抗原遺伝子の正体(identity)を確認し、そしてE.coli中での最適な発現を可能にするために、遺伝子融合技術を使用した。5'末端プライマー(5' AAAAGCTTGAAAAAATATAGCTTAGTCAC 3'、配列番号13)上にHindIII部位(下線部)を、そして3'末端プライマー(5' AAGGATCCAGAAATGCTCTCAAAC 3'、配列番号14)上にBamHI部位(下線部)を含む、推定の17kDa抗原遺伝子配列由来のPCRプライマーを設計した。これらの独特な制限部位は、方向的およびインフレームのクローニングを容易にする。R.henselaeのHouston-1株由来のDNAを、GeneAmp試薬およびTaqポリメラーゼおよび熱サイクラー(Perkin Elmer、Norwalk、Conn.)を使用して、94℃で1分間、48℃で2分間、および68℃で1.5分間の35サイクルにより増幅した。得られたPCR産物を、HindIIIおよびびBamHIを用いて切断し、ゲル精製し、そして発現ベクターPinPoint Xa-2に連結して、ベクター(Promega、Madison、Wisc.)の13kDaビオチン化タグ配列と抗原との融合物を生成した。このタグ配列は、生産者によって操作されており、他のE.coli細胞タンパク質からビオチン化融合タンパク質を迅速に精製することを可能にする。タグ配列からのタンパク質の切断を可能にするエンドプロテアーゼ切断部位もまた存在する。E.coli XL-1 MRF'株(Stratagene、Torrey Pines、Calif.)を形質転換するために、連結混合物を使用した。制限エンドヌクレアーゼ分析によって潜在的クローンを検査して、正確なサイズの挿入物の存在を確認した。正確なサイズの挿入物を含むクローンを、LBブロス中で対数増殖初期まで増殖させ、そして1mM IPTGを用いて誘導し、そして増殖をさらに2時間続けた。E.coli細胞を遠心分離によって回収し、そして西洋ワサビペルオキシダーゼに結合したストレプトアビジンを使用する免疫ブロット分析によってビオチン化融合タンパク質の発現について検査した。ビオチン化融合タンパク質を発現するクローンを、CSD患者由来の血清プール、ならびにCSD患者およびコントロール由来の個々の血清サンプルとの反応性について検査した。これらの血清は、終点力価(endopoint titer)を決定するために、先にIFAにかけられていた。
H.免疫反応性クローンの同定および特徴付け
約1.2×106個の組換えファージクローンを得た。得られたライブラリーの質をマーカー遺伝子のクローニング効率についてアッセイすることによって予め調べた(3)。この報告の目的のために、16S rRNA遺伝子を選択し、そしてこれがクローンの0.125%とハイブリダイズすることを示した。これらの結果は、ランダムクローニングについて予測されたものに近く、そしてすべてのDNAフラグメントが、R.henselaeライブラリーに現れていることを示唆する。CSDであると診断された患者由来の血清のプールを用いてスクリーニングされた、300,000個のR.henselae組換えファージの約0.2〜0.3%が、免疫反応性であった。これらの免疫反応性組換え体のうち10個を、さらなる研究のために選択し、そして3または4ラウンドのプラーク精製により単離した。10個すべてを、pBluescriptをベースとしたファージミドとしてサブクローン化し、そしてE.coli SOLR株(Stratagene、Torrey Pines、Calif.)に感染させるために使用した。10個のサブクローンのそれぞれは、CSD患者由来の血清のプールと免疫ブロットで高度に反応する同じ17kDa抗原の合成を支配するようである。プラスミドベクターpBluescript SKのみを収容するE.coli XL-1のコントロール株は、同じ免疫反応性17kDa抗原を発現しなかった。Vero細胞と同時培養されたR.henselaeによるこの抗原の発現は、認識可能ではないが、R.henselae生物は、血液アガー上で増殖する場合、わずかに17kDa抗原を発現するようであった。R.quintanaもまた、CSD患者由来のプールされた血清と反応する17kDa抗原を発現した。このことは、この抗原(またはその部分)がR.henselaeとR.quintanaとの間で共有され得ることを示唆した。R.henselaeおよびE.coliクローンによって発現された17kDa抗原は、CSDの病歴のない患者由来のコントロールヒト血清プールと反応しなかった。この血清プールからの抗体応答は、多様な異なるR.henselae抗原に方向付けられているようではなかった。14kDa、68kDaおよび84kDaのおよその分子量を有する主要な免疫反応性抗原が、17kDa、32kDaおよび48kDaに認められる主要でないバンド(minor band)に加えて、R.henselaeで見られる。E.coli中で発現した17kDa抗原は、R.henselae中で発現するようなタンパク質よりずっと強くこの血清プールと反応するようである。これらの結果は、17kDa抗原が高度に免疫反応性であるが、R.henselaeにおいて高レベルで発現しないということを意味する。
I.17-kDa抗原をコードする遺伝子の分析
クローニングの偏りは、17-kDa抗原を発現するクローンがこのような頻度で単離される理由の説明になるかどうかを決定するため、制限エンドヌクレアーゼ分析を行った。EcoRIによる17-kDa抗原を発現する全部で10個の組換え体由来のプラスミドの消化は、7つの異なるプロファイルを示した。従って、17-kDa抗原発現クローンが、単離された最初の10個のクローンを表すにもかかわらず、少なくとも7つの異なるDNAフラグメントは全遺伝子を含む。これらの結果は、クローニングの偏りが、ライブラリー中のDNAの特定のフラグメントの過剰発現量によって同じ抗原発現クローンを単離するのに役割を果たさないことを示す。従って、これらの結果は、R.henselaeに関して免疫反応性のバンドをほとんど示さないという結果とともに、17-kDa抗原がCSD患者により認識される少ない免疫優性抗体の1つであり得ることを示唆する。
CSD患者からの血清のプールと反応する17-kDa抗原の遺伝子を、2.2キロベースのEcoRIフラグメント内で位置決定し、そして全フラグメントを配列決定した。17-kDa抗原をコードする遺伝子を、CSD患者からの血清プールを用いたサブクローニングおよび免疫ブロット分析により、単一のオープンリーディングフレームに位置決定した。この遺伝子は、lacZαペプチドの方向でpUC19内にサブクローン化するとき、E.coliにおける17-kDa抗原の合成のみを指示した。従って、R.henselaeプロモーターは、この遺伝子の上流に存在しないか、またはE.coliでは機能しないかのいずれかである。同定された2つの推定の開始メチオニンのいずれかに依存する160または148のアミノ酸のいずれかでなるオープンリーディングフレームは、機能的である。第1の潜在的な開始メチオニンは、E.coli中のコンセンサスリボゾーム結合部位に類似するポリプリン豊富な配列により先行される(40)。第2の潜在的な開始メチオニンは、コンセンサスE.coliリボゾーム結合部位と同一の配列により8塩基先行される。仮に第2の潜在的な開始メチオニンが翻訳の開始のために使用されるならば、148のアミノ酸および16,893ダルトンの予想分子量を有する推定のタンパク質が得られる。第1の潜在的な開始メチオニンが使用される場合、これは、予想される分子サイズ(18,245ダルトン)より免疫ブロット上で観察される17-kDaの見かけの分子サイズに近い。17-kDa抗原遺伝子の推定のアミノ酸配列は、GenBankデータベース中の任意の他の細菌タンパク質とは有意なホモロジーを共有していない。仮に第2の潜在的な開始メチオニンを使用すると、推定アミノ酸配列は細菌膜会合タンパク質といくつかの類似性を共有する。最初の18のアミノ酸は本来疎水性であり、そして直接のアミノ末端に2つのリシン残基(2および3残基)を含有する。このタイプのモチーフは、リシン残基が膜のリン脂質、および膜貫通配列または膜アンカー配列由来の以下の疎水性残基と相互作用する代表的な細菌外表面タンパク質である(43)。E.coliコンセンサスシグナルペプチダーゼ切断部位(A-X-A)と同一のアミノ酸配列は、第2の推定のイニシエーターコドン以後の18-20残基に存在する。この部位をR.henselaeシグナルペプチダーゼにより切断して、17-kDa抗原の成熟な形態を生じるかどうかは知られていない。17-kDa抗原遺伝子配列から推定された残りの130のアミノ酸残基は、主として親水性または中性であり、長い疎水性ドメインを有しない。
この2つの潜在的な開始メチオニンのいずれかが翻訳の開始のために使用されるにも関わらず、別の長いオープンリーディングフレームとの短い重複が存在する。17-kDa抗原遺伝子の上流を示すリーディングフレームは、少なくとも示される別の380のヌクレオチド上流に続く。このオープンリーディングフレームの全配列はまだ得られていない。17-kDa抗原遺伝子は、この未同定オープンリーディングフレームのプロモーター上流から転写されるオペロンの一部であるようである。同様に、第2の未同定のオープンリーディングフレームは、17-kDa抗原遺伝子の3'末端に重複し、そして少なくとも別の700のヌクレオチドに続く。細菌の転写ターミネーターの特徴である、安定なループおよびステム型の二次構造を形成し得る配列は、17-kDa抗原遺伝子のすぐ下流には見られない。この第3のオープンリーディングフレームは、17-kDa抗原遺伝子とその上流の潜在的な遺伝子とを伴う単一のプロモーターから同時転写される遺伝子であり得る。E.coliコンセンサス-35(TTGACA)および-10(TATAAT)プロモーター配列に対して正確な間隔およびホモロジーを有する17-kDa抗原遺伝子の上流の領域は存在しない(41)。しかし、Rochalimaeaプロモーター配列はE.coliのそれと異なり得る。潜在的なプロモーター配列の欠失およびベクターlacZプロモーターの方向にクローン化されるときのみの17-kDa抗原の発現は、この遺伝子が上流の遺伝子と同時に転写されるというさらなるデータを提供する。
J.遺伝子融合構築
高度に発現されたハイブリッド融合タンパク質を作成するために、2〜148のアミノ酸残基をコードする遺伝子の一部を、配列表に配列番号12および配列番号13として記載されているプライマーを用いるPCR増幅により合成した。この遺伝子のメチオニン残基を欠いた全タンパク質の、発現ベクターPinPoint Xa-2の13-kDaビオチン化タグ配列へのイン-フレーム融合(第2のメチオニンが翻訳の開始であると推定する)を可能にするPCRプライマーを選択した。この結果、ベクターpXa-2のlacZプロモーターの制御下で抗原(カルボキシ末端部分)に融合したタグ配列(アミノ末端部分)からなる融合タンパク質が得られる。この30-kDa融合タンパク質は、西洋ワサビペルオキシダーゼに結合したステレプトアビジンを用いる免疫ブロット分析により測定されるように、E.coliで効率的に発現される。E.coli株XL-1 MRF'中のpXa-2ベクターに融合した非関連遺伝子の8-kDa部分からなるコントロールは、約21-kDaのビオチン化されたタンパク質を発現する。約26-kDaの見かけの分子量を有する天然に存在するビオチン化タンパク質は、3つクローンの全てに発見される。この天然に存在するビオチン化タンパク質は、ベクター製造業者(Promega Corp.,Madison,Wisc.)による、組換えDNA目的のためのE.coliのK-12株全てに観察されている。
K.融合タンパク質の免疫反応性
CSD患者からの個々の血清サンプルおよびコントロールとの30-kDaの融合タンパク質の反応性を測定するために、免疫ブロット分析を行った。個々の血清サンプルを融合タンパク質を含有するクローンにより発現されたタンパク質と反応させたとき、IFAアッセイによりRochalimaeaに対する抗体について陽性である13個の血清サンプルのうち12個も、30-kDa組換え融合タンパク質と反応した。同様に、IFAにより陰性である9個の血清サンプルのうち8個は、免疫ブロットにより30-kDaの融合タンパク質とは反応しなかった。免疫ブロットストリップを30-kDaの融合タンパク質の反応性についてのみ測定する場合、CSDの臨床的診断とIFA力価とに良好な相関がある。これらの結果はまた、CSD患者由来の血清により認識される17-kDa抗原の優性なエピトープが融合タンパク質内に保持されることを示す。
本出願を通じて、種々の刊行物を括弧内の番号によって参照している。これらの刊行物の引用の全ては以下の通りである。これらの刊行物の開示は、本発明の関連する先行技術をより充分に記載するために、全体で本明細書中に参考として援用されている。
Figure 0003689426
Figure 0003689426
Figure 0003689426
Figure 0003689426
Figure 0003689426
配列表
(1)一般的情報:
(i)出願人:アンダーソン,バート イー.
レグナリー,ラッセル エル
(ii)発明の名称:ROCHALIMAEA HENSELAEおよびROCHALIMAEA HENSELAEの核酸ならびにROCHALIMAEA QUINTANA感染を診断するための方法および組成物
(iii)配列数:14
(iv)連絡住所:
(A)名称:ニードル アンド ローセンバーグ,ピー.シー.
(B)番地:ピーチツリー ストリート 127,エヌ.イー.,スイート 1200
(C)市:アトランタ
(D)州:ジョージア
(E)国:アメリカ合衆国
(F)郵便番号:30303
(v)コンピューター読み出し形態:
(A)媒体型:フロッピーディスク
(B)コンピューター:IBM PC 互換用
(C)OS:PC-DOS/MS-DOS
(D)ソフトウェア:パテントイン リリース #1.0,バージョン #1.25
(vi)現在の出願データ:
(A)出願番号:
(B)出願日:
(C)分類:
(viii)代理人/事務所情報:
(A)氏名:スプラット,グエンドリン ディー.
(B)登録番号:36,016
(C)照会/記録番号:1414.624
(ix)電話回線情報:
(A)電話:(404)688-0770
(B)テレファックス:(404)688-9880
(2)配列番号1の情報:
(i)配列の特色:
(A)長さ:24塩基対
(B)型:核酸
(C)鎖の数:一本鎖
(D)トポロジー:直鎖状
(ii)配列の種類:DNA(genomic)
(xi)配列:配列番号1:
Figure 0003689426
(2)配列番号2の情報:
(i)配列の特色:
(A)長さ:24塩基対
(B)型:核酸
(C)鎖の数:一本鎖
(D)トポロジー:直鎖状
(ii)配列の種類:DNA(genomic)
(xi)配列:配列番号2:
Figure 0003689426
(2)配列番号3の情報:
(i)配列の特色:
(A)長さ:21塩基対
(B)型:核酸
(C)鎖の数:一本鎖
(D)トポロジー:直鎖状
(ii)配列の種類:DNA(genomic)
(xi)配列:配列番号3:
Figure 0003689426
(2)配列番号4の情報:
(i)配列の特色:
(A)長さ:21塩基対
(B)型:核酸
(C)鎖の数:一本鎖
(D)トポロジー:直鎖状
(ii)配列の種類:DNA(genomic)
(xi)配列:配列番号4:
Figure 0003689426
(2)配列番号5の情報:
(i)配列の特色:
(A)長さ:20塩基対
(B)型:核酸
(C)鎖の数:一本鎖
(D)トポロジー:直鎖状
(ii)配列の種類:DNA(genomic)
(xi)配列:配列番号5:
Figure 0003689426
(2)配列番号6の情報:
(i)配列の特色:
(A)長さ:20塩基対
(B)型:核酸
(C)鎖の数:一本鎖
(D)トポロジー:直鎖状
(ii)配列の種類:DNA(genomic)
(xi)配列:配列番号6:
Figure 0003689426
(2)配列番号7の情報:
(i)配列の特色:
(A)長さ:1791塩基対
(B)型:核酸
(C)鎖の数:二本鎖
(D)トポロジー:直鎖状
(ii)配列の種類:DNA(genomic)
(ix)配列の特徴:
(A)配列を表す記号:CDS
(B)存在位置:141..1652
(xi)配列:配列番号7:
Figure 0003689426
Figure 0003689426
Figure 0003689426
(2)配列番号8の情報:
(i)配列の特色:
(A)長さ:503アミノ酸
(B)型:アミノ酸
(D)トポロジー:直鎖状
(ii)配列の種類:タンパク質
(xi)配列:配列番号8:
Figure 0003689426
Figure 0003689426
(2)配列番号9の情報:
(i)配列の特色:
(A)長さ:27塩基対
(B)型:核酸
(C)鎖の数:一本鎖
(D)トポロジー:直鎖状
(ii)配列の種類:DNA(genomic)
(xi)配列:配列番号9:
Figure 0003689426
(2)配列番号10の情報:
(i)配列の特色:
(A)長さ:29塩基対
(B)型:核酸
(C)鎖の数:一本鎖
(D)トポロジー:直鎖状
(ii)配列の種類:DNA(genomic)
(xi)配列:配列番号10:
Figure 0003689426
(2)配列番号11の情報:
(i)配列の特色:
(A)長さ:660塩基対
(B)型:核酸
(C)鎖の数:二本鎖
(D)トポロジー:直鎖状
(ii)配列の種類:DNA(genomic)
(ix)配列の特徴
(A)特徴を表す記号:CDS
(B)存在位置:123..605
(xi)配列:配列番号11:
Figure 0003689426
Figure 0003689426
(2)配列番号12の情報:
(i)配列の特色:
(A)長さ:160アミノ酸
(B)型:アミノ酸
(D)トポロジー:直鎖状
(ii)配列の種類:タンパク質
(xi)配列:配列番号12:
Figure 0003689426
(2)配列番号13の情報:
(i)配列の特色:
(A)長さ:29塩基対
(B)型:核酸
(C)鎖の数:一本鎖
(D)トポロジー:直鎖状
(ii)配列の種類:DNA(genomic)
(xi)配列:配列番号13:
Figure 0003689426
(2)配列番号14の情報:
(i)配列の特色:
(A)長さ:24塩基対
(B)型:核酸
(C)鎖の数:一本鎖
(D)トポロジー:直鎖状
(ii)配列の種類:DNA(genomic)
(xi)配列:配列番号14:
Figure 0003689426

Claims (12)

  1. 配列表に配列番号12として示されるアミノ酸配列をコードする、単離された核酸。
  2. 請求項1に記載の単離された核酸を含む、ベクター。
  3. 前記核酸が発現するに適切な宿主中の請求項2に記載のベクター。
  4. 請求項1に記載の核酸の単離されたフラグメントであって、該フラグメントは、配列番号11として配列表に記載される核酸の少なくとも15個の連続するヌクレオチドの長さの単離されたフラグメント
  5. 請求項に記載の単離された核酸によってコードされる、精製された抗原性ポリペプチド。
  6. 配列表に配列番号12として示されるアミノ酸配列を有する、精製された抗原性ポリペプチド。
  7. 被検体における現在および以前のネコ引っ掻き病(cat scratch disease)を診断するためのキットであって、該キットは、配列表に配列番号12として示されるアミノ酸配列を含むポリペプチドと特異的に結合する、検出可能量の精製された抗体、および該キットの使用説明書を含む、キット。
  8. R.henselaeと特異的に結合する抗体の存在を検出することによって、被検体において現在および以前のネコ引っ掻き病を診断するためのキットであって、ここで、該キットが、配列表に配列番号12として示されるアミノ酸配列を含む、所定量の精製されたポリペプチド、および該キットの使用説明書を含む、キット。
  9. 被検体における現在および以前のネコ引っ掻き病を診断するためのキットであって、ここで、該キットは、配列表に配列番号11として示される核酸配列の少なくとも15ヌクレオチドの長さの単離された核酸、および該キットの使用説明書を含む、キット。
  10. 前記核酸が、核酸増幅技術を利用して検出される、請求項に記載のキット。
  11. 前記被検体がヒトである、請求項に記載のキット。
  12. 被検体における細菌性血管腫症を診断するためのキットであって、請求項1または4に記載の核酸、および該キットの説明書を含む、キット。
JP52987895A 1994-05-18 1995-05-18 Rochalimaea henselaeおよびrochalimaea quintanaの核酸ならびにrochalimaea henselaeおよびrochalimaea quintana感染を診断するための方法および組成物 Expired - Lifetime JP3689426B2 (ja)

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