JPH08143384A - 炭素部材およびその製造方法 - Google Patents

炭素部材およびその製造方法

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JPH08143384A
JPH08143384A JP30712894A JP30712894A JPH08143384A JP H08143384 A JPH08143384 A JP H08143384A JP 30712894 A JP30712894 A JP 30712894A JP 30712894 A JP30712894 A JP 30712894A JP H08143384 A JPH08143384 A JP H08143384A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 皮膜の接合力や耐高温酸化性などに優れた反
応金属クロムの層を含む複合皮膜を有する炭素部材を有
利に製造する技術を提案すること。 【構成】 炭素基材上を覆う表面処理皮膜の構成成分と
基材の炭素とが強い化学的親和力と略等しい線膨張係数
を有する金属クロムに着目し、さらに各種の炭素製品が
焼結製品であることに起因し、その表面に微細な無数の
開気孔が存在していることにも着目し、この開気孔の中
に、当該炭素基材と反応ガスとの気相反応によって生成
する微粒子状の反応金属クロムを充填してアンカー効果
を付与し、さらに基材の表面にもこの金属クロムを全面
にわたって被覆する下地処理を施すことにしたもの。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、表面に金属クロムの皮
膜の他、金属めっき皮膜, アルミニウム拡散処理皮膜,
硼化物皮膜あるいは炭化物皮膜等からなる複合皮膜を形
成してなる炭素部材とその製造方法に関するものであ
る。上記の炭素部材とは、焼結炭素製の各種ロール類,
金属およびガラス質溶解坩堝, 各種電池および電解用電
極類, 飛翔体構造部材, 発熱体, 通電体, 機械構造部
材, ラケット, ゴルフ, 釣竿などのスポーツ・レジャー
用品などの炭素製品として用いられる、基質の主成分が
炭素質で、炭素が繊維状となったり、SiC, TiC, CrC, W
C などの炭化物を含む製品をいう。
【0002】
【従来の技術】炭素質の製品は、軽量であるうえ、化学
的・熱的安定性に優れ、非金属でありながら熱や電気伝
導性がよいなどの特徴を有し、とくに繊維状に加工した
炭素は、高温環境下において鋼鉄にも勝る機械的強度を
示すことから、化学, 繊維, 高分子, 金属精錬, 窯業,
航空宇宙などの先端工業分野で広く採用されている。し
かし、その一方で、こうした炭素製品は耐摩耗性に乏し
く、かつ金属との接合力が低いという欠点があるため、
他の材料との複合化による欠点の克服が重要な課題とな
っている。
【0003】従来、炭素質製品の耐摩耗性、金属との接
合力向上、炭素製品部材の機械的性質の向上、溶融金属
や溶融ガラスの内部侵入の防止対策として、各種の表面
処理技術が研究されている。例えば、炭素質製品の表面
に、金属やセラミックス等を溶射被覆するのもその一つ
である。この溶射法は、製品の大きさによる制限が少な
いうえ、任意の金属を自由にしかも他の金属被覆法に比
較すると厚く成膜することができ、さらには金属被覆の
上部に酸化物, 硼化物などのセラミックス類の成形も容
易なことから、これまでにも多数の溶射技術による被覆
法が提案されている。すなわち、炭素(含黒鉛)基材の
表面に対し、溶射法を適用する場合、 (1) 炭素基材表面に直接、酸化物(Al2O3 , MgO , ZrO2
など)を被覆するものとして、特開昭50−55540 号公
報, 特開昭56−37279 号公報, 特開昭57−135771号公
報, 特開昭58−37171 号公報, 特開昭58−64287 号公
報, 特開平1−145386号公報などがある。 (2) 炭素基材表面に直接金属を溶射する方法およびその
上に酸化物系セラミックスを成形する技術として、特開
昭58−125679号公報, 特開昭60−224771号公報,特開昭6
0−221591号公報, 特開昭61−30657 号公報, 特開昭62
−113782号公報,特開平4−59978 号公報, 特開平4−1
39084号公報, 特開平5−70268 号公報などがそれぞれ
提案されている。
【0004】しかしながら、上掲の各方法によって形成
した溶射皮膜は、その成膜原理からも理解できるよう
に、溶融状態の金属もしくはセラミックス粒子の集合,
積層体であるとともに、炭素基材とは直接冶金的に結合
せず、もっぱら溶射粒子が基材上で冷却, 凝固する過程
で生ずる収縮現象によって基材と物理的に結合している
に過ぎない。このため、溶射皮膜と炭素基材との接合力
は、金属基材に溶射したときの皮膜接合力に比べると小
さく、溶射被覆そのものの特性が如何に優れていたとし
ても、その特性を十分に発揮できないという欠点があ
る。
【0005】本発明者らは、これらの欠点を改善するた
め、溶射金属と炭素基材との熱膨張係数の比を0.73〜1.
44とするとともに、炭素と化学的親和力のある金属を選
定することによって、溶射被覆の密着力を大幅に改善す
る技術を、特開平5−70268号公報として以前に提案し
た。ところが、最近では、炭素基材上に形成する溶射被
覆に対する要求性能はますます高くなり、これにともな
って本発明者らの先行提案技術を超えるような高い密着
力を有する溶射被覆の出現が望まれるようになってき
た。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】上述したように、炭素
基材は一般に、空気, 水分, NOx ,SOx ,COx
どの酸化性成分を含む高温雰囲気中では、耐高温酸化性
や耐熱性が悪く、一方、その解決のために炭素基材表面
に金属などを溶射被覆したものでは皮膜の密着性が悪
く、そのために溶射被覆の特性が十分に発揮できないと
いう欠点があった。とくに、炭素基材表面に形成した溶
射被覆というのは、その接合力が甚だしく低いことか
ら、単にその溶射材料のみを改善しても、炭素基材との
接合力の方も改善しない限り、その特性が十分に発揮で
きないのである。
【0007】本発明の目的は、炭素基材の表面に形成す
る表面処理皮膜の接合力の向上を図ることにある。ま
た、本発明の他の目的は、耐高温酸化性などに優れた反
応金属クロムの層を含む複合皮膜を有する炭素部材を有
利に製造する技術を提案することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明では、炭素基材上
に形成する溶射被覆の密着性を向上させるため、溶射に
先立ち、次のような化学反応を伴う熱処理を行う点に特
徴がある。すなわち、本発明は、炭素基材上を覆う表面
処理皮膜の構成成分と基材の炭素とが強い化学的親和力
と略等しい線膨張係数を有する金属クロムに着目し、さ
らに各種の炭素製品が焼結製品であることに起因し、そ
の表面に微細な無数の開気孔が存在していることにも着
目し、この開気孔の中に、当該炭素基材と反応ガスとの
気相反応によって生成する微粒子状の反応金属クロムを
充填してアンカー効果を付与し、さらに基材の表面にも
この金属クロムを全面にわたって被覆する下地処理を施
すことにしたものである。その後、前記反応金属クロム
下地層の上に、金属めっき, アルミニウム拡散処理皮
膜, 炭化物皮膜等を重ねて形成してなる複合皮膜を形成
する技術である。このような方法の採用によって、炭素
基材はとくに、気相反応によって生成した金属クロム微
粒子がその表面に残存する開気孔中に深く侵入すること
によって接合力を高め、さらにこの気相反応を 600℃以
上の高温で行うことにより、反応金属クロムと炭素基材
とが冶金的に反応しCr23C6型炭化クロムを析出して結合
し、両者の密着力を著しく高めることとなるのである。
さらにその後、めっき処理, 硼化処理, 珪化処理, 窒化
処理もしくはアルミニウム拡散処理を施して、耐摩耗性
被覆, 耐熱性被覆を形成したものである。
【0009】すなわち、本発明の要旨構成は下記のとお
りである。 (1) 炭素基材の表面層に、この炭素基材を水素ガスを含
むハロゲン化クロムガス中で熱処理することによって気
相析出させた微粒子状反応金属クロムの層を形成したこ
とを特徴とする炭素部材。 (2) 上記反応金属クロムの層は、炭素基材の表面を覆う
皮膜と、該炭素基材の表面に開気孔を介して含浸させた
金属クロムによって構成されていることを特徴とする。 (3) 上記反応金属クロムの層では、炭素基材と反応金属
クロム微粒子との境界において、Cr23C6型炭化クロムを
反応生成していることを特徴とする。 (4) 上記反応金属クロムの層上には、金属めっきを施し
て複合皮膜としたことが特徴である。 (5) 炭素基材上に形成した反応金属クロムまたはその上
に形成した金属めっきの皮膜は、アルミニウム拡散処理
がなされていることを特徴とする。 (6) 炭素基材上に形成した反応金属クロムの層は、硼化
物化, 珪素化物化もしくは窒化物化したものであること
を特徴とする。 (7) 炭素部材上に形成したCr23C6型炭化クロムの層上
に、SiC, VC, TiC,NbC, ZrCおよびHfCのいずれ
か1種以上からなる炭化物層を形成したことを特徴とす
る。 (8) 上記炭素基材は、平均気孔半径が 0.1〜2.5 μm、
開気孔の気孔率が5〜30%の範囲にあるものを用いるこ
とを特徴とする。 (9) 上述した炭素部材は、炭素基材を、まず水素ガスを
含むハロゲン化クロムガス中で 600〜1200℃, 1〜20時
間の条件で熱処理することにより、該炭素基材表面に微
粒子状の反応金属クロムを析出させると同時に、この反
応金属クロムを基材中に, 開気孔を介して含浸させかつ
基材表面にも被覆して該炭素基材の表面に反応金属クロ
ムの層を形成することによって製造される。 (10) 本発明製造方法においては、炭素基材上に形成し
た反応金属クロムの層をさらに、真空中, 不活性ガス中
もしくは還元性雰囲気中において 600〜1200℃, 1〜20
時間の熱処理を施して、前記反応金属クロムの層をCr23
C6型炭化クロムの層に変化させることを特徴とする。 (11) 本発明製造方法においては、炭素部材上に形成し
た反応金属クロムの層上に、電気めっき法もしくは無電
解めっき法によって、金属めっき皮膜を施して複合皮膜
を形成することを特徴とする。 (12) 本発明製造方法においては、炭素基材上に形成し
た反応金属クロムの層、もしくはさらにその上に形成し
た金属めっき皮膜、またはこの金属めっき皮膜に代えて
形成する溶射皮膜に対し、アルミニウム拡散処理を施す
ことを特徴とする。 (13) 本発明製造方法においては、炭素基材上に形成し
た反応金属クロムの層を、硼化物化処理, 珪素化物化処
理もしくは窒化物化処理することを特徴とする。 (14) 本発明製造方法においては、炭素部材上に形成し
たCr23C6型炭化クロムの層上に、SiC, VC, TiC, Nb
C, ZrCおよびHfCのいずれか1種以上からなる炭化物
にて改質処理することを特徴とする。 (15) 本発明製造方法においては、上記炭素基材は、平
均気孔半径が 0.1〜2.5 μm、開気孔の気孔率が5〜30
%の範囲のものを用いることを特徴とする。
【0010】
【作用】以下に、本発明の構成の詳細について、炭素基
材の表面に溶射皮膜を形成するまでの工程順に従って説
明する。 (1) 気相反応を伴う熱処理工程(下地皮膜の形成) 被処理材となる炭素基材を、水素ガスを含むハロゲン化
クロムガス中に保持して熱処理を行う。この熱処理によ
り、雰囲気中では次のような水素還元反応を起し、極め
て微細な反応金属クロムの粒子(0.1μm以下) が析出す
ると同時に、この反応金属クロム微粒子は、炭素基材の
表面に存在する気孔中に侵入してこれを充填する。 CrX2 +H2 → Cr+2HX …(1) なお、Xは塩素, 弗素, 沃素, 臭素などのハロゲン元素
である。ここで、析出した上記反応金属クロム微粒子
は、炭素基材の開気孔中に侵入してこれを充填するのみ
ならず、この気相中で生成した反応金属クロムが炭素基
材の表面に付着するため、炭素基材全体がこの反応金属
クロム微粒子で被覆されることとなる。しかし、この反
応金属クロムからなる皮膜は、通常の溶射皮膜とは異な
り、その皮膜下面が炭素基材の開気孔中に深く侵入して
いるため、該反応金属クロムの皮膜と炭素部材とは硬く
結合することとなる。しかも、上記(1) 式の反応は、 6
00〜1200℃の高温下で行うため、炭素基材と接触する反
応金属クロムの微粒子は、炭素と反応してCr23C6型炭化
クロムを生成するので、両者の接合は冶金反応的とな
り、非常に強固なものとなる。 23Cr + 6C → Cr23C6 …(2) また、この熱処理は水素ガスを含んでいるため、炭素基
材を高温状態にしても、大気中のような酸化消耗を伴う
ことはない。
【0011】本発明の水素ガスを含むハロゲン化クロム
ガス中での熱処理は、例えば図1に示すような装置によ
って行うことができる。図1において、1はNi基合金製
の処理容器、2はハロゲン化クロムガス導入管、3はア
ルゴンガス導入管、4は水素ガス導入管、5はガス排出
管であり、それぞれの配設管にはガスの供給あるいは排
出調整が可能なバルブ6, 7, 8を備えている。また、
処理容器全体は電気炉中に置かれ、外部から加熱される
ようになっている。9は処理容器内の温度計測用の管で
ある。10は被処理体であり、多孔質なアルミナ焼結板11
の上に設置できるようになっている。熱処理の操作は、
先ずアルゴンガスを導入しつつ、処理容器を所定の温度
に上昇した後、水素ガスとハロゲン化クロムを導入する
方法によって行う。
【0012】また、上記熱処理は、図2に示すような装
置によっても行うことができる。図2において、21はNi
基合金製処理容器、22は水素ガス導入管、23はガス排出
管、24は処理容器内の温度計測管、25は被処理体、26は
ハロゲン化クロムを発生させるための浸透剤で、例えば
ハロゲン化合物として塩素(Cl)を用いる場合の組成は、
金属クロム粉末70wt%, Al2O3 粉末29wt%, 塩化アンモ
ン(NH4Cl) 1.0 wt%である。
【0013】これらの容器全体は電気炉中に設置され、
外部から加熱されるが、水素ガスを流しつつ加熱して、
330℃に達すると次のように塩化アンモンが分解してHC
l ガスが発生する。 NH4Cl → NH3 + HCl …(3) ここで発生したHCl は、浸透剤中の金属クロム粉末と反
応して、塩化クロムガス(CrCl2) を生成する。 Cr +2HCl → CrCl2 +H2 …(4) そして、(4) 式で発生したCrCl2 は、処理容器外から導
入される水素ガスによって前記(1) 式の反応によって微
細な反応金属クロムが気相析出し、これが被処理体の炭
素基材の気孔中に侵入したり、その表面に析出付着す
る。
【0014】図3は、以上の熱処理によって形成された
市販の等方性黒鉛材上の金属クロム被覆層の断面ミクロ
組織を示したものである。反応金属クロムの層が均等に
形成され、かつ黒鉛基材の開気孔中にもこの反応金属ク
ロム微粒子が深く侵入して強固に密着していることがわ
かる。
【0015】なお、上記熱処理は、600 〜1200℃の温度
で行うのがよく、特に 800〜1100℃の温度が実用的であ
る。600 ℃より低いと、前記(1) 式および(4) 式の反応
が遅く、また、1200℃以上では反応は速くなるものの、
処理容器の損耗が甚だしく、加熱エネルギーの損失とと
もに経済的でない。また加熱時間は、1時間〜20時間が
よく、1 時間より少ないとクロムの析出,付着量が少な
く、20時間以上では経済的な損失を招き得策でない。本
発明に使用するハロゲン化クロムとしては、塩化クロム
( CrCl2), 弗化クロム(CrF2), 沃化クロム(CrI2), 臭化
クロム(CrBr2) などが使用できるが、人体に与える影
響, 環境汚染の点から塩化クロムの使用が好ましい。
【0016】また、本発明にかかる上記の熱処理におい
て、炭素基材との密着性に優れた反応金属クロムの層を
形成するには、炭素基材はミクロ的に多孔質で、外部に
開放された開気孔を有することが必要である。この点、
発明者らが各種の実験を行った結果、600 〜1200℃, 1
〜20時間の熱処理条件によって良好な反応金属クロムの
層を得るには、炭素基材の平均気孔半径は 0.1〜2.5 μ
mがよく、特に 0.5〜2.0 μmの範囲にあることが好ま
しい。0.1 μm未満では反応金属クロムの内部侵入が難
しく、また、2.5 μmより大きければ反応金属クロム微
粒子による開気孔中への充填に長時間を要するうえ、こ
の反応金属クロムの層の表面が凹凸状となる欠点があ
る。一方、外部に開放された気孔率は、5〜30%の範囲
にあるのがよく、さらに好ましくは10〜20%の範囲にあ
れば優れた反応金属クロムの被覆を形成させることがで
きる。気孔率が5%未満では投錨効果に乏しく、また30
%以上では炭素基材そのものの機械的強度が低く、構造
材料としての有用性が低くなる。
【0017】(2) 熱処理後の反応金属クロムの層の表面
処理 2-1 反応金属クロムの層の炭化物化処理 上述の化学反応を伴う熱処理によって反応金属クロムの
層を形成した炭素焼結材を、真空中(13 〜13×10-3Pa)
, 不活性ガス中, 水素やCO,Cm Hn などを含む還
元性雰囲気中あるいは浸炭性ガス雰囲気中で、 600〜12
00℃, 1〜20時間加熱することによって、炭素焼結材中
の炭素と反応金属クロム微粒子とを次のように反応させ
て硬質の炭化クロムを得る。 23Cr + 6C → Cr23C6 ここで生成するCr23C6型炭化クロムは、非常に硬く耐摩
耗性に優れた被覆となる。
【0018】この点、一般的なクロム炭化物溶射材料
は、Cr3C2 型炭化物(斜方晶)、もしくはこれとCr7C3
型炭化物(三方晶または斜方晶)との混合物であるが、
これは本発明における上記Cr23C6型炭化クロム(立方
晶)とは特性の上で大きな違いがある。即ち、従来の結
晶型(Cr3C2, Cr7C3)の炭化クロムは、Crがそれぞれ8
6.8%,91.0%である。これに対し、Cr23C6型の炭化クロ
ムは94.3%と、Crが占める割合が大きく、密度ならびに
硬度が高い。特に、水素ガスとハロゲン化クロムとの反
応によって析出した金属クロムが遊離炭素と接触する
と、一旦は Cr3C2, Cr7C3が生成しても、やがてはこの
熱処理雰囲気(500〜1200℃) の中および冷却過程でCr23
C6を主成分とする炭化物に移行することになる。本発明
は、このCr23C6型炭化クロムにて炭素基材の表面部を改
質した点に特徴を有する。
【0019】2-2 上記炭化クロム層の高硬質化処理 2-1の熱処理によって反応金属クロムの層を炭化物層化
しても非常に硬い層を得るが、これをさらにバナジウム
化合物 (例えば V2O5)と金属アルミニウム粒子を含む 8
50〜1050℃の硼砂(Na2B4O7) 中に、1〜10時間浸漬する
と、炭化物化したクロム層の表面に、バナジウムが析出
するとともに、炭化物中の炭素と反応して極めて高硬度
なVCを生成させることができる。そして、この硼砂中
にSiO2, Nb2O5 , TiO2, ZrO2, HfO2などを添加すると、
金属アルミニウムの還元作用によってそれぞれの金属が
析出するとともに、これらが直に炭化物を形成すること
となる。このようにして生成する炭化物の硬さは、SiC
3000, NbC 2400, TiC 3200, ZrC 2700, HfC 2800 (それ
ぞれビッカース硬さ) を示し、Cr23C6型炭化クロムの 1
000 〜1500に比較してはるかに硬質である。
【0020】2-3 反応金属クロムの層の硼化物層化処
理 化学反応を伴う熱処理によって反応金属クロムの層を形
成した炭素焼結材および上記2-1 の熱処理によって反応
金属クロムを炭化物化した炭素焼結材を用いて次のよう
に処理すると、それぞれ硼化クロム被覆を生成させるこ
とができる。 硼砂(Na2B4O7) に10〜30wt% B4Cを添加し、これを
800〜1000℃に加熱して溶融状態にしたものの中に浸漬
し、30分〜10時間保持する。( 溶融塩法) 硼弗化ボロン(KBF4)と炭化硼素(B4C) , 炭化珪素(
SiC ) の混合粉末に塩化アンモン(NH4Cl) を 0.5〜1.0
wt%添加したものの中に試料を埋没させ、 700〜1000℃
でアルゴンガスを流しつつ 0.5〜10時間保持する。 (粉
末法)
【0021】2-4 反応金属クロムの層のアルミニウム
および珪素拡散処理 化学反応を伴う熱処理によって反応金属クロムの層を形
成した炭素焼結材は、無処理の炭素焼結材に比較する
と、その耐熱, 耐高温酸化性は著しく向上するが、さら
に耐熱性を向上させるため、次のような熱処理を行う
と、金属アルミニウムが金属クロム被覆層中に拡散浸透
してくる。この結果、高温中で加熱した際、Al2O3 の緻
密な薄膜を形成して、その耐熱, 耐酸化性を一層向上さ
せることとなる。アルミニウム粉末15wt%, アルミナ(A
l2O3) 84wt%, 塩化アンモン(NH4Cl) 1wt%の混合粉末
中に試料を埋没し、アルゴンガスを流しつつ 600〜1200
℃, 30分〜10時間保持する。アルミニウム粉末の代わり
にSi粉末, フェロシリコンさらにこの中にSiC 粉末を混
合したものを用いると、Siを拡散浸透させることができ
る。
【0022】2-5 反応金属クロムの層を下地とする金
属めっき層の形成処理 化学反応を伴う熱処理によって反応金属クロムの層を形
成した炭素焼結材をそのまま電気めっき法や無電解めっ
き法によって、銅, ニッケル, クロムなどの金属を容易
に形成することが可能である。銅をめっきした場合に
は、炭素焼結材への通電のための接合が極めて容易とな
る。
【0023】2-6 金属クロム被覆層への物理的蒸着(PV
D) 法による高硬質化処理 化学反応を伴う熱処理によって反応金属クロムの層を形
成した炭素焼結材を試料として、イオンプレーティン
グ, スパッタリングなどのPVD 処理( 物理的蒸着法) を
行うことによって、黄金色を有しかつ非常に硬いTiN ,
硬質のTiC を容易に形成することができる。すなわち、
試料を陰極とし、Ti金属を陽極として両者に2〜5KVの
電圧を負荷し、13〜13×10-2Pa程度の窒素ガス雰囲気中
でTi金属を蒸発させると、蒸気じたのTi微粒子は雰囲気
を構成している窒素原子と反応してTiC の微粒子とな
り、これが試料表面に衝突してTiN 被覆層を形成する。
この場合、雰囲気ガスを炭化水素とするとTiは、TiC と
なって試料表面に付着する。この方法で形成されるTiN
の硬さは2000、TiC は3200を有し、ともにCr23C6より硬
く耐摩耗性に優れた被覆層である。
【0024】
【実施例】
実施例1 この実施例では、炭素焼結材をハロゲン化クロムガス中
において熱処理することによって、反応金属クロムを気
相析出させる条件について検討した。 (1) 供試炭素焼結材 市販の炭素焼結材( 冷間等方圧加圧成形を経た緻密
質等方性黒鉛;嵩比重1.85, 平均気孔半径 1.5μm,
気孔率13%) を巾50mm×長さ 100mm×厚さ10mmに切り出
して用いた。 (2) 熱処理方法および条件 図1の装置を用い、ハロゲン化クロムとして取扱いが容
易な塩化クロムガス(CrCl2)を使用して、CrCl2 ガス
のみ、および水素ガスを含むCrCl2 ガス中でそれぞれ
1000℃×10時間の熱処理を行い、等方性黒鉛材上への金
属クロムの生成状況を観察した。なお、1000℃における
CrCl2 の飽和蒸気圧は約11mmHg(1.47 ×10-3MPa)であ
り、水素ガスを添加する場合はこれと同分圧の水素を容
器外から導入させた。
【0025】表1は、熱処理後の等方性黒鉛材の観察結
果を示したものである。水素ガスを含まないCrCl2 ガス
中での熱処理では、薄い金属クロムの生成が点在してい
るのが見られるが、焼結材の表面を完全に被覆しておら
ず、不完全であった。この金属クロムの生成は、おそら
く雰囲気中に僅かに存在していた H2O, O2などが高温下
で等方性黒鉛材と反応してCOガスを生成し、これによっ
てCrCl2 の一部が還元されたものと推定される。これに
対し、水素ガスを含むCrCl2 ガス中では、水素ガスによ
るCrCl2 の還元が効率的に行われ、雰囲気中に反応金属
クロムの微粒子が析出し、これが等方性黒鉛材上に全面
にわたって付着している。なお、熱処理後の本発明の等
方性黒鉛材を用いて、大気中で 650℃×30分の加熱を行
った後、これを25℃の水中へ投入しても、前記反応金属
クロム皮膜は剥離せず、優れた密着性が確認された。
【0026】
【表1】
【0027】実施例2 市販の炭素焼結材(実施例1と同じ緻密質等方性黒鉛;
寸法:巾50mm×長さ100 mm×厚さ10mm) を図2の装置に
よって、1000℃×10時間の処理を行った後、次のような
雰囲気中で熱処理を行い、等方性黒鉛材表面に形成され
ている金属クロムの層の変化を調査した。 1.本発明の熱処理条件 (1) 水素ガス雰囲気中で 800℃×10時間加熱 (2) アルゴンガス中で 850℃×10時間加熱 (3) 真空中で 850℃×10時間加熱 (4) H2 50vol%−CO 50vol%中で 800℃×10時間加熱 2.比較例の熱処理条件 (5) 空気中で 800℃×10時間加熱 (6) 水蒸気中で 850℃×10時間加熱 (7) 水蒸気 50vol%−CO2 50 vol%中で 800℃×10時間
加熱 上記各熱処理を施した試験片について、金属クロム層の
X線回折試験を行った。表2は、この結果を要約したも
ので、比較例の熱処理を施した試験片(No.5,6, 7) で
はすべてCr2O3 の酸化物が生成し、しかもこの酸化物は
淡緑色を呈するとともに、比較的剥離 (粉末状となっ
て)しやすい傾向が認められた。また、その表面硬さも
ビッカース硬さで 250〜400 の範囲であった。これに対
し、本発明に適合する熱処理では、雰囲気中に金属クロ
ムの層を酸化させるガス成分が含まれていないため、す
べてCr23C6型炭化クロムが生成し、また、その硬さはビ
ッカースで1000以上に達し、極めて硬質化していること
が判明した。この(1), (2), (3) の処理によるCr23C6
炭化クロムの生成は、高温環境下において等方性黒鉛材
から炭素成分が金属クロム層中に拡散した結果であり、
(4)の処理では、外部からの浸炭反応が加味されたもの
である。
【0028】
【表2】
【0029】実施例3 この実施例では、ハロゲン化クロムガス中で熱処理した
市販の等方性黒鉛材を用いてアルミニウム拡散処理を行
ったものの高温酸化特性について調査した。 (1) 供試炭素焼結材 実施例1と同じ等方性黒鉛材を使用した。 (2) 熱処理方法および条件 図2の装置を用い、水素ガスを1分間当たり 100ml流し
つつ、 950℃×10時間の熱処理を行った。その後、この
試料を次のようなプロセスにより最終的にアルミニウム
拡散処理を行ったものを作製した。 金属クロムの層を直接前述の2-4 の方法によってア
ルミニウム拡散処理を行う。 金属クロムの層上に電気ニッケルめっきを10μm厚
に形成した後、アルミニウム拡散処理を行う。 金属クロムの層上にMCaAlY合金( 32wt%Ni−38.5wt
%Co−21wt%Cr−8wt%Al− 0.5wt%Y) を 100μmプ
ラズマ溶射した後、アルミニウム拡散処理を行う。 なお、比較例として、無処理の等方性黒鉛材を用い、大
気中で 550℃×24時間、 700℃×2.5 時間、1200
℃×1時間の酸化試験を行い、重量変化量からその耐酸
化性を評価した。表3は、この結果を示したものであ
る。比較例の等方性黒鉛材(No.4) だけでは高温雰囲気
中では酸素と結合して熱処理する傾向が強く、550 ℃で
3.8 %、700 ℃で10.7%、1200℃では21.5%の重量減少
が認められた。これに対し、金属クロム被覆層で等方性
黒鉛材の表面を完全に被覆した後、耐酸化性に優れたア
ルミニウムを拡散処理したものは、金属クロム被覆層を
直接アルミニウム拡散したもの( No.1) はもとより、そ
の上に電気Niめっきしたもの(No.2)、さらにMCrAlY合金
を溶射後アルミニウム拡散処理を施したもの(No.3)は、
すべて優れた耐酸化性能を示し、等方性黒鉛材を酸化性
の高温環境下において利用できる可能性が十分うかがえ
る。
【0030】
【表3】
【0031】実施例4 この実施例では、金属クロムの層を有する市販の冷間等
方圧加圧成形を経た炭素焼結材を用いて各種の硬化処理
を行って、その表面硬さを測定するとともに、JIS H850
3 めっきの耐摩耗性試験の方法によって耐摩耗性を調査
した。 (1) 供試炭素焼結材 市販の冷間等方圧加圧成形を経た炭素繊維を10wt%含む
無定形炭素焼結材(寸法:幅50mm×長さ100 mm×厚さ10m
m, 平均気孔半径 2.0μm , 気孔率15%) を使用した。 (2) 熱処理方法および条件 図2の装置を用い、水素ガスを1分間当たり100ml 流し
つつ 950℃×10時間の熱処理を行って、炭素焼結材の表
面を金属クロム被覆した後、次のような硬化処理を施し
た。 (3) 本発明の硬化処理 前述の本発明の作用機構の項で述べた、2-2 の方法
によって金属クロムの層の表面に2μm厚のVCを形成
させた。 同じく 2-3項の粉末法を用いて金属クロムの層の表
面に10μm厚の硼化物層(CrB) を形成させた。 金属クロムの層の表面に電気めっき法によって10μ
mのCrめっき層を形成させた。( めっき液の組成:CrO3
250 g/l, H2SO4 2.5 g/l 、電流密度 15A/dm2、温度52
℃) 金属クロムの層の表面に無電解めっき法によって10
μm厚のNi−P合金めっき層を形成させた。(めっき液
の組成:NiCl2 30g/l, NaP2O2 10g/l, NH4Cl 50g/l, 液
温92〜95℃) その後 600℃で5時間の加熱処理を施し、Ni−P合金層
を硬化させた。 金属クロムの層の表面に 2-6項の方
法によって3μm厚のTiN およびTiCを形成させた。
【0032】(4) 比較例 無処理の炭素焼結材 炭素鋼 (SS 400) 13%Cr鋼(SUS 430) 上に83wt%WC−17wt%Coを高速
フレーム溶射法によって膜厚120 μmの皮膜を形成し
た。 13%Cr鋼(SUS 430) 上にJIS H 8303規定のMSFCo1を
500 μm溶射後、これを大気中で1070℃でフュージング
処理(MSFCo1 の化学成分は、 Ni 12wt%、Cr 18 wt%、
B 2.1wt%、C 1.1 wt%、Fe 3.2wt%、Mo 6.1wt%、W
8.3 wt%、 Co 残り) (5) 硬化被覆層の評価方法 被覆層の硬さは、マイクロビッカース硬さ計を用い
て荷重 300g で表面硬さを10点測定した。 耐摩耗性の評価は、JIS H 8503めっきの耐摩耗性試
験方法に規定されている往復運動摩耗試験を用い、次に
示す条件で摩耗試験を行い、試験前後における硬化被覆
層の重量変化量によって耐摩耗性を評価した。使用した
研磨紙 JIS R 6252 研磨紙規定のSiC 粒子 #320 を摩擦
輪に巻き付けた。摩擦輪は、直径50mm、巾12mmの寸法を
有し、これを試料面に1.5 kgf/mm2(14.7N) の荷重を押
し付け、毎分60回転させ 400回転まで試験を継続した。
【0033】表4は、供試した被覆層の微小硬さと摩耗
試験結果を取りまとめたものである。この結果から明ら
かなように、比較例の無処理の炭素焼結材(No.7)は、1
分間の摩耗試験(摩擦輪60回転) で大量の損耗が認めら
れたので、試験はその時点で中止した。また、炭素鋼(
No.8) では、硬さが低いこともあって耐摩耗性に乏し
く、44.2mgの重量減少が認められた。これに対し、WC−
Coサーメット被覆層( No.9) およびCo基合金系の自溶合
金よひ溶射被覆(No.10) では、被覆の硬さが比較的高い
ため、重量減少はそれぞれ7.8mg , 12.5mgを示したに過
ぎなかった。これに対し、本発明の硬化処理を施した被
覆は、無電解Ni−P合金めっき後熱処理を施したもの(N
o.4)を除き、全て非常に硬いうえ、優れた耐摩耗性を示
し、炭素焼結材の硬化処理被覆として十分実用できるこ
とがうかがえる。なお、無電解Ni−P合金めっきは金属
光沢を有し、炭素鋼に比較すればはるかに硬く耐摩耗性
を有しているので、使用条件を考慮すれば、炭素焼結材
の軽量を利用した機械部材としての用途が期待できる。
【0034】
【表4】
【0035】
【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、炭
素焼結材を水素ガスを含むハロゲン化クロムガス中で熱
処理することにより、炭素焼結材中に存在する開気孔中
に反応金属クロムの微粒子を含浸させると共に、その表
面全体にも反応金属クロムの層を形成することができ
る。この金属クロムの層を出発被覆とし、これを非酸
化性の雰囲気中で再熱処理すると、金属クロムと炭素が
反応して硬質の炭化クロム被覆に変化する。さらに炭
化クロム被覆層は、V, Nb, Ta, Hfなどの化合物を含む
溶融塩中で熱処理することによって、さらに硬質のV,
Nb, Ta, Hf炭化物層を形成できる。金属クロム被覆層
を硼化処理したり、電気めっき, 無電解めっきすること
が可能であり、さらに、PVD処理によるTiN, TiC被
覆の形成が可能、Al拡散処理による耐酸化性向上など
の各種の表面処理が行えるので、炭素焼結材が保有する
軽量,化学的安定性を利用するとともに、最大の欠点で
ある耐摩耗性および耐酸化性の欠如を補うことができ、
その用途を飛躍的に拡大することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】水素ガスを含むハロゲン化クロムガス中で炭素
焼結材を熱処理する装置の概要を示したものである。
【図2】ハロゲン化クロムを発生させる浸透剤を用い
て、炭素焼結材を熱処理する装置の概要を示したもので
ある。
【図3】水素ガスを含むハロゲン化クロムガス中で熱処
理した等方性黒鉛材の断面ミクロ組織の写真である。
【符号の説明】
1 Ni基合金製処理容器 2 ハロゲン化クロムガス導入管 3 アルゴンガス導入管 4 水素ガス導入管 5 ガス排出管 6 ハロゲン化クロムガス導入管のバルブ 7 アルゴンガス導入管のバルブ 8 水素ガス導入管のバルブ 9 処理容器内の温度計測用管 10 被処理体 (炭素焼結材) 21 Ni基合金製処理容器 22 水素ガス導入管 23 ガス排出管 24 処理容器内の温度計測用管 25 被処理体 (炭素焼結材) 26 ハロゲン化クロムガスを発生させる浸透剤
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成7年3月7日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】図3
【補正方法】変更
【補正内容】
【図3】水素ガスを含むハロゲン化クロムガス中で熱処
理した等方性黒鉛材と金属クロムとの接合界面組織の顕
微鏡写真である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 東城 哲朗 香川県三豊郡大野原町大字中姫2181の2 東洋炭素株式会社内 (72)発明者 佐々木 清秀 香川県三豊郡大野原町大字中姫2181の2 東洋炭素株式会社内

Claims (15)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 炭素基材の表面層に、この炭素基材を水
    素ガスを含むハロゲン化クロムガス中で熱処理すること
    によって気相析出させた微粒子状反応金属クロムの層を
    形成したことを特徴とする炭素部材。
  2. 【請求項2】 上記反応金属クロムの層は、炭素基材の
    表面を覆う皮膜と、該炭素基材の表面に開気孔を介して
    含浸させた金属クロムによって構成されていることを特
    徴とする請求項1に記載の炭素部材。
  3. 【請求項3】 上記反応金属クロムの層では、炭素基材
    と反応金属クロム微粉との境界において、Cr23C6型炭化
    クロムを反応生成していることを特徴とする請求項1に
    記載の炭素部材。
  4. 【請求項4】 上記反応金属クロムの層上に、金属めっ
    きを施して複合皮膜としたことを特徴とする請求項1〜
    3のいずれか1項に記載の炭素部材。
  5. 【請求項5】 炭素基材上に形成した反応金属クロム,
    またはその上に形成した金属めっきの皮膜がアルミニウ
    ム拡散処理されていることを特徴とする請求項1〜4の
    いずれか1項に記載の炭素部材。
  6. 【請求項6】 炭素基材上に形成した反応金属クロムの
    層が、硼化物化, 珪素化物化もしくは窒化物化したもの
    であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に
    記載の炭素部材。
  7. 【請求項7】 炭素部材上に形成したCr23C6型炭化クロ
    ムの層上に、SiC,VC, TiC, NbC, ZrCおよびHfC
    のいずれか1種以上からなる炭化物層を形成したことを
    特徴とする請求項3に記載の炭素部材。
  8. 【請求項8】 上記炭素基材は、平均気孔半径が 0.1〜
    2.5 μm、開気孔の気孔率が5〜30%の範囲にあること
    を特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の炭素
    部材。
  9. 【請求項9】 炭素基材を、まず水素ガスを含むハロゲ
    ン化クロムガス中で600〜1200℃, 1〜20時間の条件で
    熱処理することにより、該炭素基材表面に微粒子状の反
    応金属クロムを析出させて、この反応金属クロムを基材
    中に, 開気孔を介して含浸させかつ基材表面にも被覆し
    て該炭素基材の表面に反応金属クロムの層を形成するこ
    とを特徴とする炭素部材の製造方法。
  10. 【請求項10】 炭素基材上に形成した反応金属クロム
    の層をさらに、真空中, 不活性ガス中, 還元性雰囲気中
    もしくは浸炭性雰囲気中において 600〜1200℃, 1〜20
    時間の熱処理を施して、前記反応金属クロムの層をCr23
    C6型炭化クロムの層に変化させることを特徴とする請求
    項9に記載の炭素部材の製造方法。
  11. 【請求項11】 炭素部材上に形成した反応金属クロム
    の層上に、電気めっき法もしくは無電解めっき法によっ
    て、金属めっきを施して複合皮膜を形成することを特徴
    とする請求項9または10に記載の炭素部材の製造方法。
  12. 【請求項12】 炭素基材上に形成した反応金属クロム
    の層、もしくはさらにその上に形成した金属めっきの皮
    膜、またはこの金属めっき皮膜に代えて形成する溶射皮
    膜に対し、アルミニウム拡散処理を施すことを特徴とす
    る請求項9〜11のいずれか1項に記載の炭素部材の製造
    方法。
  13. 【請求項13】 炭素基材上に形成した反応金属クロム
    の層を、硼化物化処理, 珪素化物化処理もしくは窒化物
    化処理することを特徴とする請求項9〜11のいずれか1
    項に記載の炭素部材の製造方法。
  14. 【請求項14】 炭素部材上に形成したCr23C6型炭化ク
    ロムの層上に、SiC, VC, TiC, NbC, ZrCおよびHf
    Cのいずれか1種以上からなる炭化物にて改質処理する
    ことを特徴とする請求項10に記載の炭素部材の製造方
    法。
  15. 【請求項15】 上記炭素基材は、平均気孔半径が 0.1
    〜2.5 μm、開気孔の気孔率が5〜30%の範囲にあるも
    のを用いることを特徴とする請求項9〜14のいずれか1
    項に記載の炭素部材の製造方法。
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