JP2986715B2 - 炭化物系複合皮膜の形成方法および複合皮膜 - Google Patents

炭化物系複合皮膜の形成方法および複合皮膜

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、炭化物系複合皮膜の形
成方法、とくに炭化物溶射皮膜もしくは炭化物サーメッ
ト溶射皮膜の表面にCr23C6型炭化クロムを被覆するか、
その内部に侵入させることによって、Cr23C6型炭化物が
含浸した改質層を形成する方法に関するものである。上
記複合皮膜は、化学的および機械的損傷を受けやすいボ
イラ、水蒸気タービン、ガスタービン、ブロワー、ポン
プ、石炭・鉱石などの粉砕機、搬送機などの基材、ある
いは炭化物を主成分とする焼結体基材の表面に形成した
炭化物系溶射皮膜を改質することによって得られるもの
である。
【0002】
【従来の技術】一般に、溶射皮膜は、金属、セラミック
スあるいはサーメットなどの粉末材料を、プラズマや可
燃性ガスの燃焼炎によって溶融あるいは軟化させ、次い
でこれらの粒子を前記基材(被処理体)表面に吹き付け
て得られるものであり、次に示すような特徴がある。
【0003】(1) 金属や合金の粒子を大気中で溶射する
と、この粒子の表面は酸化膜で覆われるので、粒子間の
接合は酸化膜を介して行われる。従って、粒子間結合力
が弱く、しかも、粒子間に気孔を伴って溶射されるので
緻密性も悪く、さらに被処理体との密着性にも乏しいも
のになる。 (2) 酸化物、硼化物、炭化物、窒化物などのセラミック
ス類の溶射材料は、金属とは異なり、溶射熱源中で完全
には溶融しにくく、しかも脆性材料であることから、粒
子同士の接合が不十分になる。従って、吹き付けられた
ときの衝突エネルギーによって粒子が破壊されやすい。
また、炭化物や窒化物の皮膜は、高温の溶射熱源中では
酸化したり分解したりして変質するため、その金属系皮
膜以上に気孔が多くまた密着性が乏しい。 (3) こうした欠陥を補うために従来、炭化物にCo, Ni,
Crなどの金属を添加して、これをバインダーとして溶射
皮膜の性質を改善するサーメット溶射が開発され、特に
炭化物の大部分は、このサーメット溶射皮膜で実用化さ
れている。しかし、サーメット溶射材料を用いて成膜し
ても、上述した気孔の発生と密着力低下を防ぐまでには
至っていない。
【0004】さらに、従来溶射皮膜の欠点を補う方法と
して、とくに上記サーメット溶射皮膜については、JI
S H0803 規定の自治合金溶射皮膜の場合のように、溶射
皮膜をその融点近傍にまで加熱し、該溶射皮膜を溶融ま
たは半溶融状態にするとともに、被処理基材と冶金的に
結合させる方法がある。しかし、この方法は、使用可能
な合金成分が限定されると共に、炭化物溶射皮膜には適
用できないという問題があった。
【0005】その他、基材表面にNi−Cr合金を溶射した
後、この溶射皮膜表面およびその気孔中に化学気相めっ
き法によってAl, Crを被覆または侵入させる方法(特開
昭55−104471号公報参照)、Cr, Ni, AlおよびCoのうち
の少なくとも1種を含む金属材料に希土類元素の少なく
とも1種を添加した合金の溶射皮膜をCrまたはAl拡散浸
透処理を施す方法(特開昭56−51567 号公報参照)、さ
らにはNi−Cr合金からなる耐熱合金材料を溶射した後、
Al−Si粉末、またはAl粉末を有機溶剤中に懸濁させたス
ラリ液を塗布し、その後これを熱処理することによっ
て、Al−Si粉末やAlを溶射皮膜の気孔部へ拡散浸透させ
る方法(特開昭57−54282 号公報参照)などがそれぞれ
提案されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】上述したように溶射皮
膜を改質する方法としては従来、例えば金属溶射皮膜に
ついては、加熱溶融する方法、他の金属成分を溶射皮膜
中に拡散浸透させる方法などが検討されている。しか
し、これらの方法はいずれも、金属溶射皮膜の改質には
有効であっても、炭化物系溶射皮膜には適用できないこ
とが多く、この炭化物系溶射皮膜の改質については、も
っぱら溶射法や溶射条件の改善による気孔発生率の減
少、密着性のよりよい向上などに重点が置かれていた。
【0007】しかしながら、このような改善努力だけで
は、溶射皮膜中への気孔の生成を完全に阻止することは
できなかった。これに対しては、その残存気孔を無くす
ために、炭化物系溶射皮膜の表面に有機高分子材料を溶
剤で溶かした塗料やシール剤などを塗布して、気孔を塞
ぐ方法などが対策として採られているが、炭化物系溶射
皮膜そのものの改質ではないことから、完全な解決には
到っていない。
【0008】本発明の主たる目的は、炭化物系溶射皮膜
単層膜のもつ欠陥を除くことにある。本発明の他の目的
は、炭化物溶射皮膜もしくは炭化物サーメット溶射皮膜
(以下、これらを単に「炭化物系溶射皮膜」という)の
気孔を消滅させ、かつ表面を硬質のクロム化合物にて改
質すると共に、溶射皮膜の基材との密着力を向上させる
ことにある。本発明のさらに他の目的は、炭化物系溶射
皮膜中の表面ならびにその内部にCr 23C6型炭化クロムを
被覆, 浸透させて、該皮膜の微小硬さならびに密度を向
上させることにある。本発明のさらに他の目的は、炭化
物系溶射皮膜の耐食性、耐摩耗性および耐エロージョン
性を向上させることにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】上掲の目的を実現する有
効な手段として開発した本発明は、遊離炭素もしくはCr
よりも炭素親和力の弱い金属の炭化物を含む炭化物系溶
射皮膜を、水素を含むハロゲン化クロム含有雰囲気中に
おいて熱処理することにより、この熱処理時の水素還元
反応によって生成する活性化した微細な金属Crの微粒子
を溶射皮膜上に付着ならびに浸透させ、かつこの活性化
金属クロムと皮膜成分(遊離炭素など)との反応によっ
て Cr23C6 型炭化物を生成させることにより、複合皮膜
化する方法である。
【0010】すなわち、この方法によれば、前記炭化物
系溶射皮膜上に析出し化学的に活性な金属Crの微粒子
は、溶射皮膜を覆うと共にその内部, とくに気孔内部に
も侵入し、該炭化物系溶射皮膜中に含まれている遊離炭
素(Crよりも炭素親和力の弱い金属炭化物から供給され
るものも含む)と反応して新しくCr23C6型炭化物を生成
することにより、主として皮膜の微小硬さと密度を向上
させる。このような考え方の下に開発した本発明は、次
のような要旨構成を有するものである。
【0011】(1) 即ち、本発明は、基材表面に炭化物系
溶射皮膜を形成し、次いでこの溶射皮膜を水素ガスを含
むハロゲン化クロム含有雰囲気中で熱処理することによ
り、炭化物系溶射皮膜と、この皮膜表面もしくはその内
部にCr23C6型炭化物を被覆しかつ浸透させた改質層とか
らなる複合皮膜を形成することを特徴とする炭化物系複
合皮膜の形成方法である。
【0012】(2) また、本発明は、基材表面に炭化物系
溶射皮膜を形成し、次いでこの溶射皮膜を水素ガスを含
むハロゲン化クロム含有雰囲気中で熱処理することによ
り、該皮膜上に化学的に活性な金属クロム微粒子を析出
させると同時に、この金属クロム微粒子を上記溶射皮膜
表面ならびにその内部に被覆しかつ浸透させ、該皮膜成
分との反応によってCr23C6型炭化クロムを生成させ、こ
のことにより、炭化物系溶射皮膜の表面と内部とを改質
してなる複合皮膜を形成することを特徴とする炭化物系
複合皮膜の形成方法である。
【0013】(3) 本発明において、上記炭化物系溶射皮
膜中には、皮膜成分として、少なくとも0.01〜5wt%の
遊離炭素もしくはクロムよりも炭素親和力の弱い金属の
炭化物を 0.1〜100 wt%含有させる。 (4) 本発明において、炭化物系溶射皮膜に含まれる炭化
物は、NbC, TaC, HfC, VC, ZrC, MnC, FeC, NiC, CoC,
SiC, WC, MoC, TiC, BC のなかから選ばれる1種または
2種以上のそれらの混合物からなるものを用いる。 (5) 本発明において、上記炭化物溶射皮膜は、炭化物ま
たはこの炭化物にNi, CrおよびCoのなかから選ばれる少
なくとも1種以上の金属を混合してなる炭化物サーメッ
トを溶射したものを用いる。 (6) 本発明において、炭化物もしくは炭化物サーメット
溶射皮膜は、電気エネルギーもしくは可燃性ガスの爆発
または燃焼炎を熱源とする溶射法によって形成する。 (7) 本発明において、水素ガスを含むハロゲン化クロム
含有雰囲気中での熱処理は、ハロゲン化クロムとして塩
化クロム、臭化クロム、弗化クロムおよび沃化クロムの
いずれか少なくとも一種を用い、500 〜1200℃に加熱し
た雰囲気中で水素ガスとの還元反応によって微細な金属
クロムを析出させる方法によって行う。 (8) 本発明において、水素ガスを含むハロゲン化クロム
含有雰囲気中での熱処理は、ハロゲン化クロムとして塩
化クロム、臭化クロム、弗化クロムおよび沃化クロムの
いずれか少なくとも一種のガス中に設置するか、このガ
スを生成する粉末中に埋設し、水素ガスとハロゲン化ク
ロムガスのモル比が 1/4〜4/1 の割合になるように調整
した 500〜1200℃に加熱した雰囲気中で、水素ガスとの
還元反応によって化学的に活性な微細金属クロムを析出
させる方法によって行う。 (9) 本発明において、上記Cr23C6型炭化クロム改質層の
厚さは、1〜30μmの範囲とする。
【0014】そして、上記の方法の適用によって本発明
では、次のような炭化物系複合溶射皮膜を形成すること
ができる。 (8) 基材表面に形成された、NbC, TaC, HfC, VC, ZrC,
MnC, FeC, NiC, CoC, SiC, WC, MoC, TiC およびBCのう
ちから選ばれる少なくとも1種以上の炭化物、またはそ
の炭化物と、Ni, CrおよびCoのうちから選ばれる少なく
とも1種以上の金属とからなる炭化物サーメットの溶射
皮膜と、この皮膜表面およびその内部に、水素とハロゲ
ン化クロムとの加熱雰囲気中で析出する金属クロムと前
記皮膜中の炭素ならびにクロム成分との反応によって生
ずるCr23C6型炭化物を生成させた改質層とからなる複合
皮膜。なお、上記の改質層は1〜30μmの厚さとする。
【0015】
【作用】本発明の特徴を要約して述べると、炭化物系溶
射皮膜の表面およびその内部、とくに気孔内部に、活性
化した金属Crと皮膜中の遊離炭素などとの反応によって
Cr23C6型炭化物を生成させて、該皮膜表面を被覆すると
共に該皮膜内部にも浸透させることによって皮膜の複合
化を図り、もって皮膜の改質を行うことにある。この
点、一般的に用いられているクロム炭化物溶射材料は、
Cr3C2 型炭化物(斜方晶)、もしくはこれとCr7C3 型炭
化物(三方晶または斜方晶)との混合物である。これは
本発明において改質のために用いるCr23C6型炭化クロム
(立方晶)とは特性の上で大きな違いがある。即ち、従
来の結晶型 (Cr3C2, Cr7C3) の炭化クロムは、Cr量がそ
れぞれ86.8%, 91.0%である。これに対し、Cr23C6型の
炭化クロムは94.3%と、Crが占める割合が大きく、密度
ならびに硬度が高い。特に、水素ガスとハロゲン化クロ
ムとの反応によって析出した金属クロムが遊離炭素と接
触すると、一旦は Cr3C2, Cr7C 3 が生成しても、やがて
はこの熱処理雰囲気(500〜1200℃) の中でCr23C6に移行
することになる。本発明は、正に、このCr23C6型炭化ク
ロムにて炭化物系溶射皮膜を改質する複合化技術に特徴
を有するのである。
【0016】本発明において用いられる炭化物系溶射材
料としては、NbC, TaC, HfC, VC, ZrC, MnC, FeC, NiC,
CoC, SiC, WC, MoC, TiC および BC のなかから選ばれ
るいずれか1種または2種以上の混合物粉末(3〜60μ
m)を用いる。また、本発明溶射材料としては、これら
の炭化物に、Co, Ni, Crなどの金属元素を、それぞれ単
独あるいは2種以上を合金として添加し、炭化物サーメ
ットとしたものであってもよい。この炭化物サーメット
を使う理由は、炭化物単体では溶射皮膜の形成が困難で
あり、たとえ成膜できたとしても、皮膜の密着性が弱い
とともに多孔質であるために、炭化物系溶射皮膜として
の本来の機能が発揮できないからである。この点、炭化
物に金属元素を添加して用いると、溶射熱源中で金属成
分が完全に溶融して、バインダーとして作用し、皮膜の
緻密化と密着性を向上させるからである。
【0017】しかしながら、このようにサーメット溶射
材料を用いて成膜したとしても、皮膜中にはなお 0.5〜
5.0 %程度の気孔が存在するし、そのために密着性と耐
摩耗性の改善が阻害されるので、本発明の複合化による
皮膜の改質が有効となるのである。
【0018】本発明において、上記炭化物系溶射材料中
には、少なくとも遊離炭素を含有させることが必要であ
る。一般にこの遊離炭素は、各種の金属炭化物の製造に
際し、金属と炭素あるいは炭素化合物(CO, CmHnなど)
とを加熱するときに、過剰の炭素を添加することによっ
て得ることができる。
【0019】本発明の特徴の1つは、この遊離炭素を使
うことがある。すなわち、この遊離炭素と金属成分とを
微粒子の状態で、高温の前記溶射皮膜上で接触反応させ
ると、金属成分は直ちに炭化物となって該溶射皮膜成分
と強固に接合するとともに、この溶射皮膜はこの反応に
よって生成した新しい結晶型の炭化物, 即ち、Cr23C6
炭化物によって覆われ、またその内部や気孔中にも侵入
して、溶射皮膜を構成している炭化物粒子と相互に結合
し合い、皮膜の性質を著しく改質するように働くことに
なる。
【0020】そこで、かかる溶射皮膜改質のプロセスに
つき、以下に説明する。その改質のプロセスは大きく分
けて、次の, から構成されている。 先ず、被処理基材の表面に、プラズマまたは可燃性ガ
スの燃焼炎を用いて、炭化クロム系溶射皮膜を形成す
る。 次に、上記溶射皮膜を、水素とハロゲン化クロムを含
む、500 〜1200℃の雰囲気下で、溶射皮膜改質のための
熱処理を行う。
【0021】上記の熱処理を行うと、水素とハロゲン
化クロムの蒸気が反応して0.1 μm以下の微細な活性化
した金属Crを発生する。 CrX2+ H2 → Cr +2HX (1) ここで;Xは、ハロゲン元素(例えばCl, F, Br, I) で
ある。上記(1) 式で発生した活性化金属Crの微粒子が溶
射皮膜上に析出する。その結果、析出金属Crが溶射皮膜
を覆うと共に、この皮膜内にも、主としてこの皮膜中に
生成している気孔を通じて侵入し、この気孔内に充填さ
れた状態となる。さらに、この気孔が皮膜を貫通してい
る場合には、被処理基材表面にも達して、この金属基材
と冶金的に結合して合金化し密着性を高める。
【0022】そして、この反応時に発生した金属Crは高
温雰囲気下で炭化クロム系溶射皮膜中に含まれている前
記遊離炭素と反応し、熱力学的に最も安定しているCr23
C6型炭化クロムを生成する。
【0023】その結果として、前記炭化クロム系溶射皮
膜は、このCr23C6型炭化物によって覆われると同時に、
皮膜表面層に浸透して改質層を形成すると共に、さらに
は皮膜の気孔内部にも侵入してCr23C6型炭化物を生成し
て充填された状態となり該気孔を消失させる。そのため
に、被処理基材と溶射皮膜の密着性が向上し、さらに新
しいCr23C6型炭化物の生成によって硬度が上昇し、炭化
クロム系溶射皮膜は複合化して改質され、その性質が著
しく向上することになる。
【0024】上記改質処理は、実質的にこのような雰囲
気になる他の方法、例えばクロム粉末と塩化アンモンと
の混合物中に埋設して熱処理する方法であってもよい。
【0025】このような浸透剤を使う改質処理を行う
と、次のような化学反応が浸透剤中で発生する。すなわ
ち、浸透剤中の塩化アンモンは、分解して塩化水素ガス
を発生する。NH Cl → NH+HCl (2) 次いで、HCl が浸透剤中のCr粉末と反応してCrCl
生成する。 2HCl +Cr → CrCl+H (3) CrClは処理容器外から、別に導入するHガスによ
って還元され、微粒子の金属クロムを雰囲気内に析出す
る。 CrCl+H →Cr+2HCl (4) Crの析出は(3) 式の逆反応によっても発生するが、外部
から供給されるHガスを多くすると、(4) 式の反応が
優先して起こり、雰囲気が還元性に保持されるため、
(4) 式で析出するCrは非常に活性を帯びることとなる。
このため、(4) 式で析出したCrの微粒子が遊離炭素を含
む炭化クロム溶射皮膜の表面に付着すると、下記(5) 式
により遊離炭素と直ちに反応して、Cr23Cを生成す
る。 23Cr+6C → Cr23C (5)
【0026】また、本発明においては、炭化物溶射皮膜
中に遊離炭素が含まれていなくても、この遊離炭素の代
わりに、あるいはこの遊離炭素とともに“Crより炭素親
和力の弱い金属の炭化物”(反応によって遊離炭素を供
給することになる炭化物)を、該溶射皮膜中に含有させ
ることによって、炭化物系溶射皮膜の複合化による改質
を行ってもよい。かかるCrより炭素親和力の弱い金属の
炭化物としては、MnC,FeC, NiC, CoC, SiC, WC, CeC, S
mC, CaC, SrC, MoC, MgC, BC を用いることができる。
所謂、このような炭化物が溶射皮膜中に含まれている
と、上記(1) 式の反応によって生成した微細な金属Cr微
粒子と下記(6) 式の如く反応して、上述したと同様にし
てCr23C6型炭化クロムを生成させることができる。 6MC +23Cr → Cr23C6+6M (6) ここで、MCは、Crより炭素親和力の弱い金属の炭化物を
示す。
【0027】従って、もしCrよりも炭素親和力の強い金
属(V,Be, U,Nb, Ta, Ti, Hf,Zr)の炭化物を溶射
材料として用いる場合には、これらの炭素親和力の強い
金属の炭化物とCr微粒子とは、直接的には反応しないの
で、これらの炭化物については、遊離炭素の添加や上述
したCrよりも炭素親和力の弱い金属の炭化物との併用が
不可欠となる。
【0028】本発明において、上記の熱処理に際して
は、水素との反応温度として500 〜1200℃の範囲で行う
ことが実用的であり、より好ましくは600 〜1000℃の範
囲が適している。それは、500 ℃未満では、(1) 式の反
応が遅く、一方1200℃を超えると溶射皮膜の基体となる
金属材料の機械的劣化が甚だしくなるためである。
【0029】炭化物溶射皮膜中に含まれている遊離炭素
量は0.01〜5wt%の範囲ならば本発明の目的を達成する
ことができる。0.01wt%より少ない遊離炭素ではCr23C6
の生成量が少なく、また5wt%以上では炭化物溶射皮膜
の施工が困難であるばかりか膜質も悪くなるなどの欠点
が現われる。
【0030】また、Crより炭素親和力の弱い金属の炭化
物含有量としては、0.1 〜100 wt%の範囲について本発
明の適用が可能であり、この範囲内であれば、上記遊離
炭素の有無にかかわらず本発明に適用することができ
る。
【0031】本発明において、上述した炭化物もしくは
炭化物サーメットを基材表面に溶射する方法としては、
プラズマもしくは可燃性ガスの燃焼炎の何れの熱源の溶
射法でもよく、さらには爆発溶射法、物理的蒸着法、化
学的蒸着法なども適用が可能である。
【0032】本発明において、基材表面に溶射被覆する
溶射皮膜の膜厚としては、10〜2000μm がよく、特に30
〜500 μm が好適である。10μm より薄いと改質の効果
に乏しく2000μm より厚いと生産コストが上昇して経済
的に不利である。
【0033】また、本発明において、Cr23C6型炭化クロ
ム改質層の厚さは、1〜30μmの範囲が実用的である。
この範囲は、1 μmより薄い場合、改質層の効果に乏し
く、一方、30μmより厚くしても改質層の効果に大差が
ないうえ、熱処理に長時間を要し経済的でないので、こ
の厚みに限定される。
【0034】また、Cr23C6型炭化クロム改質層を形成す
るための熱処理雰囲気は、ハロゲン化クロム蒸気と水素
ガスの混合割合が、モル比で50:50(1:1)が最適で
あるが、80:20(4:1)〜20:80(1:4)のモル比
の範囲であれば、工業的に利用できる。それは、80:20
(4:1)〜20:80(1:4)よりモル比が大きくて
も、また小さくなっても、雰囲気中に水素還元反応によ
って析出するCr量が非常に少なくなるため、これに伴っ
てCr23C6型炭化クロム改質層の生成が少なくなるので、
好ましくないからである。
【0035】
【実施例】
実施例1 この実施例では、各種の炭化物溶射皮膜をCr23C6型炭化
物に改質するための雰囲気ガス組成を調査するため図1
に示す装置を用いて実験した。図1において、1はNi基
合金製の処理容器、2はハロゲン化クロム蒸気導入管、
3はアルゴンガス導入管、4は水素ガス導入管、5はガ
ス排出管であり、それぞれの配設管にはガスの供給ある
いは排出調整が可能なバルブ2v, 3v, 4vを備えている。
また、処理容器1全体は電気炉中に置かれ、外部から加
熱されるようになっており、6は、処理容器内の温度計
測用の管である。7は被処理体であり、多孔質なアルミ
ナ焼結板8の上に設置できるようになっている。この実
験に用いた各種炭化物溶射皮膜の種類および処理ガスの
種類と処理温度、処理時間は次の通りである。
【0036】(1) 供試溶射皮膜 SUS 304 鋼 50mm ×100mm ×5mmt の試験片に、プラズ
マ溶射法によって、下記〜の炭化物系溶射材料を、
膜厚 150μmとなるように施工した。 98wt% NbC−2wt%C (Crより炭素親和力の強い金属
の炭化物) 69.7wt%TiC −20wt%Cr− 9.7wt%Ni− 0.3wt%C (
Crより炭素親和力の強い金属の炭化物) 88wt%WC−12wt%Co(Crより炭素親和力の弱い金属の
炭化物) (2) 処理ガスの種類 塩化クロム蒸気のみ(CrCl2 蒸気圧 47mmHg ≒6.266
×103 Pa) 塩化クロム蒸気に水素ガスを当量添加した混合ガス (3) 処理温度・時間 1100℃×5hrs (4) 評価方法 処理前および処理後の溶射皮膜の表面について、X線回
折およびマイクロビッカーズ硬度計により微小硬さを測
定し、改質効果を比較した。
【0037】(5) 試験結果の考察 表1はこの試験結果を示したものである。この表に示す
結果から明らかなように、水素を含まないCrCl2 蒸気の
みの雰囲気中で処理した比較例(試験片No. 4,5,
6)の供試炭化物溶射皮膜は、溶射熱源中でNbC, WC, W
2Cの他 Cr2O3, Niを生成し、X線回折試験では試験前・
後で成分変化はほとんど認められない。また、たとえ遊
離炭素を含んでいても(試験片No. 4)、水素ガスを含
まないので成分的変化(NbC)が見られない。なお、溶射
皮膜の微小硬さは760 〜900mHvの範囲に分布しており、
処理の前・後においてほとんど変化していない。
【0038】これに対し、CrCl2 蒸気中にH2ガスが含有
させた本発明適合例(試験片No. 1,2,3)について
は、溶射皮膜の表面のクロム成分の大部分がCr23C6に変
化し、微小硬さも1000〜1290mHv へと高く(硬化)なっ
ており、化学的および機械的性質が変化していることが
認められる。この原因は、CrCl2 とH2が次のような反応
によって、微小なCrが雰囲気中に析出し、これが溶射皮
膜表面に付着し、次いでCrが溶射皮膜中の遊離炭素ある
いはCrより炭素親和力の弱いWC炭化物と反応して何れも
Cr23C6型炭化物を形成したものである。なお、試験片N
o. 2に認められた金属Crの存在は未反応の状態にある
ものと考えられる。
【0039】
【表1】
【0040】実施例2 本実施例では炭化チタン溶射皮膜中に含まれている遊離
炭素量とCr23C6への変化について、実施例1の装置を用
いて調査した。
【0041】(1) 供試溶射皮膜(実施例1と同じ寸法の
試験片にプラズマ溶射法によって150μm 厚に施工し
た) 73wt% TiC−20wt%Cr−7wt%Ni 72.99 wt% TiC−20wt%Cr−7wt%Ni−0.01wt%C 72.5wt% TiC−19wt%Cr−8wt%Ni−0.5 wt%C 67wt% TiC−21wt%Cr−7wt%Ni−5wt%C (2) 処理ガスの種類 塩化クロム蒸気に水素ガスを当量添加 (3) 処理温度・時間 1100℃×5hr (4) 評価方法 実施例1と同じ
【0042】(5) 試験結果の考察 表2は以上の試験結果を示したものである。この結果か
ら明らかなように遊離炭素を含まない炭化クロム溶射皮
膜(試験片No. 1)では、処理前に認められていたTiO2
は消失し、これに代わって金属Crのピークが明瞭に認め
られた。すなわち、溶射皮膜表面にはCrが付着している
にも拘らず遊離炭素が含まれていないため、炭化物を形
成できず、そのままの状態を維持していることがうかが
える。また微小硬さも低下し400 〜510mHvを示すに過ぎ
なかった。この測定値は金属Crの硬さを示したものと考
えられる。これに対し、遊離炭素を0.01wt%含む溶射皮
膜(試験片No. 2)では、明瞭なCr23C6のピークが認め
られるとともに微小硬さも1000mHv を超え完全に皮膜が
改質されていることが認められた。遊離炭素を5wt%含
む溶射皮膜(No. 4)でもCr23C6のピークと微小硬さ10
50〜1289mHv が認められるので、溶射皮膜中の遊離炭素
量は0.01〜5wt%の範囲で本発明の改質皮膜となること
が判明した。
【0043】
【表2】
【0044】実施例3 本実施例では、炭化チタン溶射皮膜に対して他の炭化物
が混在したり、Crより炭化親和力の強い金属炭化物に対
する影響について調査した。試験片寸法および溶射皮膜
の厚さはそれぞれ実施例1と同じである。
【0045】(1) 供試溶射皮膜 69.5wt% TiC−20wt%Cr−10wt%Ni−0.5 wt%C 60wt% TiC−10wt% Fe3C −20wt%Cr−10wt%Ni 91wt% TiC−9wt%SiC 83wt% TiC−8wt%BC−9wt%Co−10wt%Cr 70wt% NbC−10wt%Fe3C−15wt%Cr−5wt%Ni 92wt% WC −8wt% Co 30wt% TiC−20wt%MoC −10wt%TaC −20wt% ZrC−
5wt% HfC−13wt%Co−2wt%C 90wt% NbC−8wt% Cr−2wt%Ni(遊離炭素なし)
【0046】以上の供試溶射皮膜のうち〜は本発明
に係る溶射皮膜、は比較例のCrより炭素親和力の強い
金属炭化物皮膜で遊離炭素は含まれていない。この実施
例では図2に示す装置を用い1000℃×6hrs の条件で、
水素ガスを1分間当り100ml流通しつつ処理を行い、処
理前後の溶射皮膜のX線回折および微小硬さ測定を行っ
た。なお、図2において、21はNi基合金製処理容器、22
は水素ガス導入管、23はガス排出管、24は処理容器内の
温度計測管、25は被処理体(溶射皮膜試験片)、26は浸
透剤でクロム粉末70wt%、アルミナ29wt%、塩化アンチ
モン1.0 wt%組成のものである。
【0047】表3は、調査結果2をまとめたものであ
る。比較例は、遊離炭素がなく、しかもCrより炭素親和
力の強い金属炭化物を含む溶射皮膜(No. 8)に処理に
よってCrが付着してもCr23C6型クロム炭化物の生成は認
められなく、硬さの上昇も僅かである。
【0048】なお、図3は、このようにして得られた本
発明にかかる改質された炭化物系溶射皮膜の断面構造を
示すものである。図中の(A)は、鉄鋼あるいは超合金
などの金属質基材31の上に、溶射法によって各種炭化物
サーメット皮膜32を形成した状態を示す。図中の(B)
は、(A)の皮膜を高温の水素ガスを含むハロゲン化ク
ロムの蒸気と接触させた後の断面構造である。ハロゲン
化クロムガス雰囲気中に析出した微小な金属クロム33
が、上記溶射皮膜32の気孔34部を通って内部へ侵入し、
基材31と反応して合金層35を生成して冶金的に結合す
る。一方、溶射皮膜32の表面では、微小な金属Crが付着
する一方、炭化クロム成分もしくはこの中に含まれてい
る遊離炭素と反応してCr23C6型炭化物層36を生成する。
【0049】これに対し、本発明の皮膜は(No.1〜7)
は処理によってすべての皮膜にCr23C6型炭化クロム生成
が認められ、硬さの上昇も顕著に認められた。NbC にFe
3Cが含まれている皮膜(No. 5)、WC−Co(No. 6)あ
るいはTiC −Fe3C−Cr−Ni(No. 2)のようにCrより炭
素親和力の弱い金属炭化物を含む皮膜およびCrより炭化
親和力の強い金属炭化物でも遊離炭素が含まれていると
(No.1およびNo.7) 、Cr23C6型炭化クロムの生成と大き
な硬度上昇が明瞭に認められ、本発明がCrより炭素親和
力の弱い金属炭化物皮膜はもとより強い金属炭化物に対
しても炭素親和力の弱い金属炭化物を含ませておくと有
効であることがわかる。
【0050】
【表3】
【0051】実施例4 この実施例では、塩化クロム蒸気と水素ガスのモル比を
変化させた場合に生成するCr23C6型炭化クロム改質層の
厚さの変化を調査した。 (1) 供試溶射皮膜は、下記組成のもの(実施例1と同じ
寸法の試験片にプラズマ溶射法によって 150μm厚に施
工した) を用いた。 72.7wt%TiC−19wt%Cr−8wt%Ni−0.5 wt%C (2) 改質処理の条件 塩化クロム蒸気と水素ガスのモル比を、5/95〜95/5の範
囲内で変化させ、図2の装置を用いて1100℃×16hrs 、
図3の装置を用いて 500℃×16hrs の条件で、それぞれ
改質処理を行った。なお、図2の装置では、塩化クロム
蒸気と水素ガスのモル比50/50で1200℃×16hrs の条件
で追加処理した。 (3) 評価方法 溶射皮膜の表面から内部へ拡散浸透した微細な金属クロ
ムによって改質, 生成したCr23C6層の厚さをX線回折に
よって確認して測定した。
【0052】(4) 評価結果 図4は、以上の実験結果を示したものである。この結果
から明らかなように、1100℃×16hrs の処理では比較的
厚い改質層が得られるが、500 ℃では極めて薄く、1〜
2μm厚であることがわかる。さらにその内容を詳細に
検討したところ、何れの処理温度でも CrCl2/H2のモル
比が50/50 (1/1)の場合の改質層の厚さが最大であ
り、モル比が CrCl2<H2, CrCl2>H2の何れの方向に移
行しても改質層の厚さが小さくなる傾向がある。この原
因は、CrCl2 とH2のモル比の変化によって気相中に析出
するCr量が変化するためである。本発明の改質層の厚さ
は、最低1μm必要としているので、500 ℃の処理条件
において1μm厚を確保するための CrCl2/H2モル比
は、80/20(4/1)〜20/80(1/4)の範囲にある
ことが確かめられた。なお、 CrCl2/H2モル比50/50,
1200℃×16hrs で実施した炭化物溶射皮膜の改質層の厚
さは最大で30μmであった。
【0053】
【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、遊
離炭素を含むCrよりも炭素親和力の強い金属の炭化物系
溶射皮膜、もしくはCrより炭素親和力の弱い金属の炭化
物を含む炭化物系溶射皮膜を、水素ガスを含むハロゲン
化クロム含有雰囲気中で熱処理することによって、活性
化された金属Crの微粒子を析出させることができるの
で、これを溶射皮膜に作用させることで、その表面と気
孔中にCr23C6型炭化物を生成させて複合化することがで
きるので、炭化物溶射皮膜の改質を行うことができる。
しかも、その改質溶射皮膜は、気孔の消滅による耐食性
の向上、Cr23C6の生成による皮膜の微小硬さの増加によ
る耐摩耗性の向上、ならびに耐エロージョン性の改善に
大きく寄与する。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1および実施例2で用いた装置の概略
図。
【図2】実施例3で用いた装置の概略図。
【図3】(A),(B)は改質処理前・後の溶射皮膜の
断面図。
【図4】CrCl2 ガスとH2ガスのモル比とCr23C6型炭化物
に改質された層の厚さとの関係を示す線図。
【符号の説明】
31 基材 32 炭化物系溶射皮膜 33 活性化金属クロム微粒子 34 皮膜気孔 35 母材金属との合金層 36 Cr23C6型炭化物層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 河崎 正道 東京都大田区羽田旭町11番1号 株式会 社荏原製作所内 (72)発明者 原田 良夫 兵庫県神戸市東灘区深江北町4丁目13番 4号 トーカロ株式会社内 (72)発明者 竹内 純一 兵庫県神戸市東灘区深江北町4丁目13番 4号 トーカロ株式会社内 (56)参考文献 特開 平4−263058(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C23C 4/10 C23C 4/18

Claims (8)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基材表面に炭化物系溶射皮膜を形成し、
    次いでこの溶射皮膜を水素ガスを含むハロゲン化クロム
    含有雰囲気中で熱処理することにより、炭化物系溶射皮
    膜と、この皮膜表面もしくはその内部にCr23C6型炭化物
    を被覆しかつ浸透させた改質層とからなる複合皮膜を形
    成することを特徴とする炭化物系複合皮膜の形成方法。
  2. 【請求項2】 基材表面に炭化物系溶射皮膜を形成し、
    次いでこの溶射皮膜を水素ガスを含むハロゲン化クロム
    含有雰囲気中で熱処理することにより、該皮膜上に化学
    的に活性な金属クロム微粒子を析出させると同時に、こ
    の金属クロム微粒子を上記溶射皮膜表面ならびにその内
    部に被覆しかつ浸透させ、該皮膜成分との反応によって
    Cr23C6型炭化クロムを生成させ、このことにより、炭化
    物系溶射皮膜の表面と内部とを改質してなる複合皮膜を
    形成することを特徴とする炭化物系複合皮膜の形成方
    法。
  3. 【請求項3】 上記炭化物系溶射皮膜中には、皮膜成分
    として少なくとも、0.01〜5wt%の遊離炭素もしくはク
    ロムよりも炭素親和力の弱い金属の炭化物を0.1 〜100
    wt%含む、請求項1または2に記載の形成方法。
  4. 【請求項4】 上記改質層の厚さは1〜30μmである、
    請求項1または2に記載の形成方法。
  5. 【請求項5】 水素ガスを含むハロゲン化クロム含有雰
    囲気中での熱処理は、ハロゲン化クロムとして塩化クロ
    ム、臭化クロム、弗化クロムおよび沃化クロムのいずれ
    か少なくとも一種のガス中に設置するか、このガスを生
    成する粉末中に埋設し、500 〜1200℃に加熱した雰囲気
    中で水素ガスとの還元反応によって化学的に活性な微細
    金属クロムを析出させる方法によって行うものである、
    請求項1または2に記載の形成方法。
  6. 【請求項6】 水素ガスを含むハロゲン化クロム含有雰
    囲気中での熱処理は、ハロゲン化クロムとして塩化クロ
    ム、臭化クロム、弗化クロムおよび沃化クロムのいずれ
    か少なくとも一種のガス中に設置するか、このガスを生
    成する粉末中に埋設し、水素ガスとハロゲン化クロムガ
    スのモル比が 1/4〜4/1 の割合になるように調整した 5
    00〜1200℃に加熱した雰囲気中で、水素ガスとの還元反
    応によって化学的に活性な微細金属クロムを析出させる
    方法、によって行うものである、請求項1または2に記
    載の形成方法。
  7. 【請求項7】 基材表面に形成された、NbC, TaC, HfC,
    VC, ZrC, MnC, FeC, NiC, CoC, SiC, WC, MoC, TiC お
    よびBCのうちから選ばれる少なくとも1種以上の炭化
    物、またはその炭化物とNi, CrおよびCoのうちから選ば
    れる少なくとも1種以上の金属とからなる炭化物サーメ
    ットの溶射皮膜と、この皮膜表面およびその内部に、水
    素とハロゲン化クロムとの加熱雰囲気中で析出する金属
    クロム微粒子と前記皮膜中の炭素ならびにクロム成分と
    の反応によって生ずるCr23C6型炭化物を生成させた改質
    層とからなる複合皮膜。
  8. 【請求項8】 上記改質層の厚さは1〜30μmである請
    求項7に記載の複合皮膜。
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