JP2981152B2 - 炭化クロム溶射被覆部材 - Google Patents

炭化クロム溶射被覆部材

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JP2981152B2
JP2981152B2 JP7157989A JP15798995A JP2981152B2 JP 2981152 B2 JP2981152 B2 JP 2981152B2 JP 7157989 A JP7157989 A JP 7157989A JP 15798995 A JP15798995 A JP 15798995A JP 2981152 B2 JP2981152 B2 JP 2981152B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、炭化クロム溶射被覆部
材に関し、とくに基材表面に形成した、炭化クロム溶射
皮膜もしくは炭化クロムサーメット溶射皮膜のさらにそ
の表面に、Cr 23C6型炭化クロムを被覆するか、その内部
に侵入させることによって、Cr23C6型炭化物が含浸した
改質層を形成して複合化させた部材に関するものであ
る。このような部材は、化学的および機械的損傷を受け
やすいボイラ、水蒸気タービン、ガスタービン、ブロワ
ー、ポンプ、石炭・鉱石などの粉砕機、搬送機などの分
野で用いられるものである。
【0002】
【従来の技術】一般に、溶射皮膜は、金属、セラミック
スあるいはサーメットなどの粉末材料を、プラズマや可
燃性ガスの燃焼炎によって溶融あるいは軟化させ、次い
でこれらの粒子を前記基材(被処理体)表面に吹き付け
て得られるものであり、次に示すような特徴がある。
【0003】(1) 金属や合金の粒子を大気中で溶射する
と、この粒子の表面は酸化膜で覆われるので、粒子間の
接合は酸化膜を介して行われる。従って、粒子間結合力
が弱く、しかも粒子間に気孔を伴って溶射されるので緻
密性も悪く、さらに被処理体との密着性にも乏しいもの
になる。 (2) 酸化物、硼化物、炭化物、窒化物などのセラミック
ス類の溶射材料は、金属とは異なり、溶射熱源中で完全
には溶融しにくく、しかも脆性材料であることから、粒
子同士の接合が不十分になる。従って、吹き付けられた
ときの衝突エネルギーによって粒子が破壊されやすい。
また、炭化物や窒化物の皮膜は、高温の溶射熱源中では
酸化したり分解したりして変質するため、その金属系皮
膜以上に気孔が多くまた密着性が乏しい。 (3) こうした欠陥を補うために従来、炭化物にCo, Ni,
Crなどの金属を添加して、これをバインダーとして溶射
皮膜の性質を改善するサーメット溶射が開発され、特に
炭化物の大部分は、このサーメット溶射皮膜で実用化さ
れている。しかし、サーメット溶射材料を用いて成膜し
ても、上述した気孔の発生と密着力低下を防ぐまでには
至っていない。
【0004】さらに、従来溶射皮膜の欠点を補う方法と
して、とくに上記サーメット溶射皮膜については、JI
S H0803 規定の自治合金溶射皮膜の場合のように、溶射
皮膜をその融点近傍にまで加熱し、該溶射皮膜を溶融ま
たは半溶融状態にするとともに、被処理基材と冶金的に
結合させる方法がある。しかし、この方法は、使用可能
な合金成分が限定されると共に、炭化物溶射皮膜には適
用できないという問題があった。
【0005】その他、基材表面にNi−Cr合金を溶射した
後、この溶射皮膜表面およびその気孔中に化学気相めっ
き法によってAl, Crを被覆または侵入させる方法(特開
昭55−104471号公報参照)、Cr, Ni, AlおよびCoのうち
の少なくとも1種を含む金属材料に希土類元素の少なく
とも1種を添加した合金の溶射皮膜をCrまたはAl拡散浸
透処理を施す方法(特開昭56−51567 号公報参照)、さ
らにはNi−Cr合金からなる耐熱合金材料を溶射した後、
Al−Si粉末、またはAl粉末を有機溶剤中に懸濁させたス
ラリ液を塗布し、その後これを熱処理することによっ
て、Al−Si粉末やAlを溶射皮膜の気孔部へ拡散浸透させ
る方法(特開昭57−54282 号公報参照)などがそれぞれ
提案されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】上述したように溶射皮
膜を改質する方法としては従来、例えば金属溶射皮膜に
ついては、加熱溶融する方法、他の金属成分を溶射皮膜
中に拡散浸透させる方法などが検討されている。しか
し、これらの方法はいずれも、金属溶射皮膜の改質には
有効であっても、炭化物系溶射皮膜には適用できないこ
とが多く、この炭化物系溶射皮膜の改質については、も
っぱら溶射法や溶射条件の改善による気孔発生率の減
少、密着性のよりよい向上などに開発の重点が置かれて
いた。
【0007】しかしながら、このような改善努力だけで
は、溶射皮膜中への気孔の生成を完全に阻止することは
できなかった。これに対しては、その残存気孔を無くす
ために、炭化物系溶射皮膜の表面に有機高分子材料を溶
剤で溶かした塗料やシール剤などを塗布して、気孔を塞
ぐ方法などが対策として採られているが、炭化物系溶射
皮膜そのものの改質ではないことから、完全な解決には
到っていない。
【0008】本発明の主たる目的は、部材表面に形成し
た従来の炭化物系溶射皮膜のもつ欠陥を除くことにあ
る。本発明の他の目的は、部材表面に形成した炭化クロ
ム溶射皮膜もしくは炭化クロムサーメット溶射皮膜(以
下、これらを単に「炭化クロム溶射皮膜」という)の気
孔を消滅させ、かつ表面を硬質の活性化クロム化合物に
て改質すると共に、溶射皮膜の基材との密着力を向上さ
せることにある。本発明のさらに他の目的は、Cr3C2
Cr7C3 を主成分とする炭化クロム系溶射皮膜中の表面
を、Cr23C6型炭化クロムで被覆すると共に、内部にまで
浸透させて皮膜を改質することにより、該皮膜の微小硬
さならびに密度を向上させることにある。本発明のさら
に他の目的は、部材表面に形成した炭化クロム溶射皮膜
の耐食性、耐摩耗性および耐エロージョン性を向上させ
ることにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】上掲の目的を実現する有
効な手段として開発した本発明は、Cr3C2, Cr7C3炭化ク
ロムもしくは遊離炭素やCrよりも炭素親和力の弱い金属
の炭化物を含むCr3C2とCr7C3 を主成分とする炭化クロ
ム溶射皮膜を、水素を含むハロゲン化クロム含有雰囲気
中において熱処理することにより、この熱処理時の水素
還元反応によって生成する化学的に活性な微細金属Crの
微粒子を上記溶射皮膜表面に付着させると同時に内部に
も気孔などを通じて浸透させ、かつこの活性化金属クロ
ムと皮膜成分(遊離炭素など)との反応によって、Cr23
C6型炭化物を生成させることにより、皮膜を改質したも
のである。
【0010】すなわち、この方法によれば、前記炭化ク
ロム溶射皮膜上に析出し化学的に活性な金属Crの微粒子
は、溶射皮膜を覆うと共にその内部, とくに気孔内部に
も侵入し、該炭化物系溶射皮膜もしくはその中に含まれ
ている遊離炭素(Crよりも炭素親和力の弱い金属炭化物
から供給されるものも含む)と反応して新しくCr23C6
炭化物を生成することにより、主として皮膜の微小硬さ
と密度を向上させる。このような考え方の下に開発した
本発明は、次のような要旨構成を有するものである。
【0011】(1) 基材と、その表面に形成した炭化クロ
ム溶射皮膜とからなり、その炭化クロム溶射皮膜は、少
なくともその表面層がCr23C6型炭化クロムを付着、含浸
させた改質層によって形成されていることを特徴とする
炭化クロム溶射被覆部材。
【0012】(2) 基材表面に形成した上記炭化クロム溶
射皮膜を構成する炭化物が、Cr3C2 またはCr3C2 とCr7C
3 との混合物を含有するものであることを特徴とするも
のである。
【0013】(3) 上記炭化クロム溶射皮膜中には、皮膜
成分として、遊離炭素を含まないCr3C 2 , Cr7C3 炭化物
またはこれらに少なくとも0.01〜5wt%の遊離炭素もし
くはクロムよりも炭素親和力の弱い金属の炭化物を 0.1
〜100 wt%含有させる。 (4) 上記炭化物溶射皮膜は、炭化物またはこの炭化物に
Ni, CrおよびCoのなかから選ばれる少なくとも1種以上
の金属を混合してなる炭化物サーメットを溶射したもの
を用いる。 (5) 炭化物もしくは炭化物サーメット溶射皮膜は、電気
エネルギーもしくは可燃性ガスの爆発または燃焼炎を熱
源とする溶射法によって形成する。 (6) 水素ガスを含むハロゲン化クロム含有雰囲気中での
熱処理は、ハロゲン化クロムとして塩化クロム、臭化ク
ロム、弗化クロムおよび沃化クロムのいずれか少なくと
も一種のガス中に設置するかこのガスを生成する粉末中
に埋設し、500 〜1200℃に加熱した雰囲気中で水素ガス
との還元反応によって化学的に活性な微細な金属クロム
を析出させる方法によって行う。 (7) 上記Cr23C6型炭化クロムによる改質層は、炭化クロ
ム溶射皮膜を反応槽中で水素ガスとハロゲン化ガスの混
合モル比が 1/4〜4/1 の割合になるように調節しつつ、
500 〜1200℃の加熱雰囲気中で熱処理することによって
化学的に活性な微細金属クロムを析出させ、これを溶射
皮膜表面に付着, 含浸させて、その拡散浸透厚さが1〜
30μmの範囲となるようにする。
【0014】
【作用】本発明の特徴を要約して述べると、炭化物系溶
射皮膜の表面およびその内部、とくに気孔内部に、活性
化した金属クロムと皮膜中の遊離炭素などとの反応によ
って生成するCr23C6型炭化物を、該皮膜表面に被覆する
と共に該皮膜内部にも浸透させることによって溶射皮膜
の複合化を図り、もって皮膜の改質を行うことにある。
この点、一般的に用いられているクロム炭化物溶射材料
は、Cr3C2 型炭化物(斜方晶)、もしくはこれとCr7C3
型炭化物(三方晶または斜方晶)との混合物である。こ
れは本発明において改質のために用いるCr23C6型炭化ク
ロム(立方晶)とは特性の上で大きな違いがある。即
ち、従来の結晶型 (Cr3C2, Cr7C3) の炭化クロムは、Cr
量がそれぞれ86.8%, 91.0%である。これに対し、Cr23
C6型の炭化クロムは94.3%と、Crが占める割合が大き
く、密度ならびに硬度が高い。特に、水素ガスとハロゲ
ン化クロムとの反応によって析出した金属クロムが遊離
炭素と接触すると、一旦は Cr3C2, Cr7C 3 が生成して
も、やがてはこの熱処理雰囲気(500〜1200℃) の中で化
学量論的に安定なCr23C6に移行することになる。本発明
は、正に、このCr23C6型炭化クロムにて一般的な炭化ク
ロム溶射皮膜の特性を改質したものである。
【0015】本発明において用いられる炭化クロム溶射
材料としては、Cr3C2 もしくはCr3C 2 とCr7C3 の混合物
粉末(3〜60μm)を用いる。また、本発明で用いる溶
射材料としては、これらの炭化物に、Ni, Cr, Coなどの
金属元素を、それぞれ単独あるいは2種以上の合金とし
て添加し、炭化クロムサーメットとしたものであっても
よい。この炭化クロムサーメットを使う理由は、炭化ク
ロム単体では溶射皮膜の形成が困難であり、たとえ成膜
できたとしても、皮膜の密着性が弱いとともに多孔質で
あるために、炭化クロム溶射皮膜としての本来の機能が
発揮できないからである。この点、炭化クロムに金属元
素を添加して用いると、溶射熱源中で金属成分が完全に
溶融して、バインダーとして作用し、皮膜の緻密化と密
着性を向上させるからである。
【0016】しかしながら、このようにサーメット溶射
材料を用いて成膜したとしても、皮膜中にはなお 0.5〜
5.0 %程度の気孔が存在するし、そのために密着性と耐
摩耗性の改善が阻害されるので、本発明の複合化による
皮膜の改質が有効となるのである。
【0017】本発明において、上記炭化クロム溶射材料
中には、遊離炭素を含有させることが好ましい。なおこ
の遊離炭素は、各種の金属炭化物の製造に際し、金属と
炭素あるいは炭素化合物(CO, CmHnなど)とを加熱する
ときに、過剰の炭素を添加することによって得ることが
できる。
【0018】本発明においては、溶射材料中に遊離炭素
を含有させることが好ましい理由を以下に説明する。す
なわち、この遊離炭素と金属成分とを微粒子の状態で、
高温の前記炭化クロム (Cr3C2, Cr7C3) 溶射皮膜上で接
触反応させると、金属成分は直ちに炭化物となって該溶
射皮膜成分と強固に接合するとともに、この溶射皮膜は
この反応によって生成した新しい結晶型の炭化クロム、
即ち、Cr23C6型炭化物によって覆われ、またその内部や
気孔中にも侵入して、溶射皮膜を構成している炭化クロ
ム粒子 (Cr3C2, Cr7C3) と相互に結合し合ってCr23C6
の結晶形に変化し、このことによって皮膜の性質を著し
く改質するように働くことになる。
【0019】そこで、部材表面に形成する溶射皮膜の改
質の方法につき、さらに詳しく説明する。その改質のプ
ロセスは大きく分けて、次の, から構成されてい
る。 先ず、被処理基材(部材)の表面に、プラズマまたは
可燃性ガスの燃焼炎を用いて、炭化クロム系溶射皮膜を
形成する。 次に、上記炭化クロム溶射皮膜を、水素とハロゲン化
クロムを含む、500 〜1200℃のガス雰囲気下で、溶射皮
膜改質のための熱処理を行う。
【0020】上記の熱処理を行うと、水素とハロゲン
化クロムの蒸気が反応して0.1 μm以下の微細な活性化
した金属Crを発生する。 CrX2+ H2 → Cr +2HX …(1) ここで;Xは、ハロゲン元素(例えばCl, F, Br, I) で
ある。上記(1) 式で発生した活性化金属Crの微粒子が溶
射皮膜上に析出する。その結果、析出した活性化金属Cr
が溶射皮膜を覆うと共に、この皮膜内部にも、主として
この皮膜中に生成している気孔を通じて侵入し、この気
孔内に充填された状態となる。さらに、この気孔が皮膜
を貫通している場合には、被処理基材表面にも達して、
この金属基材と冶金的に結合して合金化し密着性を高め
る。
【0021】そして、この反応時に発生した金属Crは高
温雰囲気下で炭化クロム系溶射皮膜もしくはその中に含
まれている前記遊離炭素と反応し、熱力学的に最も安定
しているCr23C6型炭化クロムを生成する。
【0022】その結果として、前記炭化クロム系溶射皮
膜は、このCr23C6型炭化物によって覆われると同時に、
皮膜表面層の部分にも浸透して改質層を形成すると共
に、さらには皮膜の気孔内部にも侵入してCr23C6型炭化
物を生成して充填された状態となり該気孔を消失させ
る。そのために、被処理基材と溶射皮膜の密着性が向上
し、さらに新しいCr23C6型炭化物の生成によって硬度が
上昇し、炭化クロム系溶射皮膜は複合化して改質され、
その性質が著しく向上することになる。
【0023】図1は、本発明にかかる部材の断面構造を
示すものである。図中の(A) は鉄鋼あるいは超合金など
の金属質基材1の上に、溶射法によって炭化クロムサー
メット皮膜2を形成した状態を示す。図中の(B) は(A)
の皮膜や高温の水素ガスを含むハロゲン化クロムの蒸気
と接触させた後の断面構造である。ハロゲン化クロムガ
ス雰囲気中に析出した微小な金属クロム3が、上記溶射
皮膜2の気孔4部を通って内部へ侵入し、基材1と反応
して合金層5を生成して冶金的に結合する。一方、溶射
皮膜2の表面では、微小な金属Crが付着する一方、炭化
クロム成分もしくはこの中に含まれている遊離炭素と反
応してCr23C6型炭化クロム6を生成する。
【0024】上記改質処理は、実質的にこのような雰囲
気になる他の方法、例えばクロム粉末と塩化アンモンと
の混合物からなる浸透剤中に埋設して熱処理する方法で
あってもよい。このような浸透剤を使う改質処理を行う
と、次のような化学反応が浸透剤中で発生する。すなわ
ち、浸透剤中の塩化アンモンは、分解して塩化水素ガス
を発生する。 NH4Cl → NH3+HCl …(2) 次いで、HCl が浸透剤中のCr粉末と反応してCrCl2 を生
成する。 2HCl +Cr → CrCl2 +H2 …(3) さらに、このCrCl2 は処理容器外から、別に導入するH2
ガスによって還元され、微粒子の金属クロムを雰囲気内
に析出する。 CrCl2 +H2 →Cr+2HCl …(4) もっとも、Crの析出は(3) 式の逆反応によっても発生す
るが、外部から供給されるH2ガスを多くすると、(4) 式
の反応が優先して起こり、雰囲気が還元性に保持される
ため、(4) 式で析出するCrは非常に活性を帯びることと
なる。このため、(4) 式で析出したCrの微粒子が遊離炭
素を含む炭化クロム溶射皮膜の表面に付着すると、下記
(5) 式により遊離炭素と直ちに反応して、Cr23C6を生成
する。 23Cr+6C → Cr23C6 …(5)
【0025】また、本発明においては、炭化クロム溶射
皮膜中に遊離炭素が含まれていなくても、この遊離炭素
の代わりに、あるいはこの遊離炭素とともに“Crより炭
素親和力の弱い金属の炭化物”(反応によって遊離炭素
を供給することになる炭化物)を、該溶射皮膜中に含有
させることによって、炭化物系溶射皮膜の複合化による
改質を行ってもよい。かかるCrより炭素親和力の弱い金
属の炭化物としては、MnC, FeC, NiC, CoC, SiC, WC, C
eC, SmC, CaC, SrC, MoC, MgC, BC を用いることができ
る。いわゆる、このような炭化物が溶射皮膜中に含まれ
ていると、上記(1) 式の反応によって生成した微細な金
属Cr微粒子と下記(6) 式の如く反応して、上述したと同
様にしてCr23C6型炭化クロムを生成させることができ
る。 6MC +23Cr → Cr23C6+6M …(6) ここで、MCは、Crより炭素親和力の弱い金属の炭化物を
示す。
【0026】次に、上記の熱処理に際しては、水素と
の反応温度として500 〜1200℃の範囲で行うことが実用
的であり、より好ましくは600 〜1000℃の範囲が好適で
ある。それは、500 ℃未満では、(1) 式の反応が遅く、
一方1200℃を超えると溶射皮膜の基体となる金属材料の
機械的劣化が甚だしくなるためである。
【0027】炭化クロム溶射皮膜中に含有させる遊離炭
素量は、0.01〜5wt%が好ましい。その理由は、0.01wt
%より少ない遊離炭素ではCr23C6の生成量が少なく、ま
た5wt%以上では炭化クロム溶射皮膜の施工が困難であ
るばかりか膜質も悪くなるからである。
【0028】また、Crより炭素親和力の弱い金属の炭化
物含有量としては、0.1 〜100 wt%の範囲が好ましく、
この範囲内であれば、上記遊離炭素の有無にかかわらず
本発明に適用することができる。
【0029】上述した炭化クロムもしくは炭化クロムサ
ーメットを基材表面に溶射する方法としては、プラズマ
もしくは可燃性ガスの燃焼炎のいずれの熱源の溶射法で
もよく、さらには爆発溶射法、物理的蒸着法、化学的蒸
着法なども適用が可能である。
【0030】また、基材表面に炭化クロム溶射被覆する
溶射皮膜の膜厚としては、10〜2000μm がよく、特に30
〜500 μm が好適である。10μm より薄いと改質の効果
に乏しく2000μm より厚いと生産コストが上昇して経済
的に不利である。
【0031】また、本発明において、Cr23C6型炭化クロ
ム改質層の厚さは、1〜30μmの範囲が実用的である。
この範囲は、1 μmより薄い場合、改質層の効果に乏し
く、一方、30μmより厚くしても改質層の効果に大差が
ないうえ、熱処理に長時間を要し経済的でないので、限
定される。
【0032】また、Cr23C6型炭化クロム改質層を形成す
るための熱処理雰囲気は、ハロゲン化クロム蒸気と水素
ガスの混合割合が、モル比で50:50(1:1)が最適で
あるが、80:20(4:1)〜20:80(1:4)のモル比
の範囲であれば、工業的に利用できる。80:20(4:
1)〜20:80(1:4)よりモル比が大きくても、また
小さくなっても、雰囲気中に水素還元反応によって析出
するCr量が非常に少なくなるため、これに伴ってCr23C6
型炭化クロム改質層の生成が少なくなるので、不適であ
る。
【0033】
【実施例】
実施例1 この実施例では、Cr3C2 を主成分とする炭化クロム溶射
皮膜の一部(表面層)をCr23C6型炭化物に改質するため
の雰囲気ガス組成を調査するため、図2に示す装置を用
いて実験した。図2において、21はNi基合金製の処理容
器、22はハロゲン化クロム蒸気導入管、23はアルゴンガ
ス導入管、24は水素ガス導入管、25はガス排出管であ
り、それぞれの配設管にはガスの供給あるいは排出調整
が可能なバルブ2v, 3v, 4vを備えている。また、処理容
器1全体は電気炉中に置かれ、外部から加熱されるよう
になっており、26は、処理容器内の温度計測用の管であ
る。27は被処理体であり、多孔質なアルミナ焼結板28の
上に設置できるようになっている。この実験に用いた炭
化クロム溶射皮膜の試験片および処理ガスの種類と処理
温度、処理時間は次の通りである。
【0034】(1) 供試溶射皮膜 SUS 304 鋼 (50mm×100mm ×5mmt)の試験片に、プラズ
マ溶射法によって、下記〜の炭化クロム溶射材料
を、膜厚 150μmとなるように施工した。 72.7wt% Cr3C2−20wt%Cr−7wt%Ni− 0.3wt%C 69.8wt% Cr3C2−30wt%Cr− 0.2wt%C 92.8wt% Cr3C2− 7wt%Cr7C3 − 0.2wt%C (2) 処理ガスの種類 塩化クロム蒸気のみ(CrCl2 蒸気圧 47mmHg ≒6.266
×103 Pa) 塩化クロム蒸気に水素ガスを当量添加した混合ガス (3) 処理温度・時間 1100℃×5hr (4) 評価方法 処理前および処理後の溶射皮膜の表面について、X線回
折およびマイクロビッカーズ硬度計により微小硬さを測
定し、改質効果を比較した。
【0035】(5) 試験結果の考察 表1はこの試験結果を示したものである。この表に示す
結果から明らかなように、供試した炭化クロム溶射皮膜
は、熱処理前にあっては、高温の溶射熱源中で酸化生成
したCr2O3 を含め溶射粉末材料の主成分が、ほとんどそ
のままの状態で存在している。ただし、72.7wt%Cr3C2
−20wt%Cr−7wt%Ni−0.3 wt%C および69.8wt% Cr3
C2−30wt%Cr− 0.2wt%C 溶射材料を用いて成膜したも
のには、(試験片No.1, 2, 4, 5)、高温の熱源中でCr3C
2 の一部が変質したと思われるCr 2O3 が新しく生成して
いるのが認められる。また、これらの炭化クロム溶射皮
膜を水素を含まないCrCl2 蒸気のみの中で処理した場合
(試験片No.4, 5, 6)は、処理前のX線回折成分がその
ままの状態で確認された。そして、微小硬さは、760 〜
890mHvの範囲に分布しているものの、処理の前後でほと
んど変化は認められない。すなわち、水素を含まないCr
Cl2 蒸気のみでは、Cr析出がなく、したがって炭化クロ
ム溶射皮膜はほとんど変化(改質)していないことがわ
かる。
【0036】これに対し、CrCl2 蒸気中にH2ガスが含ま
れていると(試験片No.1, 2, 3)、溶射皮膜の表面は、
ほとんどがCr23C6に変質するとともに、微小硬さも1020
〜1280mHv に硬化しており、結晶学的および機械的性質
が向上していることが明らかとなった。この原因は、含
水素ガス塩化クロム蒸気中では(7) 式の化学反応によっ
て、微小な活性な金属Crが気相中に析出し、これが溶射
皮膜表面に付着し、次いで付着したこの活性金属Crが溶
射皮膜中に含まれている遊離炭素と反応してCr23C6型の
炭化クロムを生成したことによるものである。 CrCl2 +H2→Cr+2HCl …(7)
【0037】
【表1】
【0038】実施例2 この実施例では、炭化クロム溶射皮膜中に含まれている
遊離炭素量とCr23C6への変化について、図3に示す装置
を用いて調査した。なお、図3において、31はNi基合金
製処理容器、32は水素ガス導入管、33はガス排出管、34
は処理容器内の温度計測管、35は被処理体(溶射皮膜試
験片)、36は浸透剤でクロム粉末70wt%、アルミナ29wt
%、塩化アンモン1.0 wt%組成のものが充填してある。
【0039】2-1 供試溶射皮膜(実施例1と同じ寸法の
試験片にプラズマ溶射法によって150μm 厚に施工し
た) 73wt%Cr3C2 −20wt%Cr− 7wt%Ni 72.99 wt%Cr3C2 −20wt%Cr− 7wt%Ni− 0.01 wt%
C 72.5wt%Cr3C2 −19wt%Cr− 8wt%Ni− 0.5wt%C 67wt%Cr3C2 −21wt%Cr− 7wt%Ni− 5wt%C 2-2 改質処理の方法 A:塩化クロム蒸気に水素ガスを当量添加したガス雰囲
気中に設置(図2)、11000 ℃×5hr B:クロム粉末(70wt%) +アルミナ粉末(20wt%)+
塩化アンモン(10wt%)からなる浸透剤中に埋設(図
3)、1100℃×10hr 2-3 評価方法 実施例1と同じ 表2は以上の試験結果を示したものである。この結果か
ら明らかなように遊離炭素を含まない炭化クロム溶射皮
膜(試験片No. 1)では処理前に認められていたCr2O3
(溶射熱源中で生成)は消失する一方、Cr3C2 とともに
少量のCrとCr23C6の生成が認められ、遊離炭素(0.01wt
%以下) を含んでいなくてもCr3C2 からCr23C6への変化
が行われていることがうかがえる。ただし、Cr23C6の生
成量が少ないため、処理後の溶射皮膜の硬さの上昇は比
較的少なくなるが溶射皮膜の緻密化、密着性の向上は十
分期待できるものと考えられる。
【0040】一方、遊離炭素を0.01wt%含む溶射皮膜
(試験片No. 2)では、明瞭なCr23C6のピークが認めら
れるとともに、微小硬さも1000mHv を超え完全に皮膜が
改質されているのが認められた。また、遊離炭素を5wt
%含む溶射皮膜(No. 4)でもCr23C6のピークと微小硬
さ1050〜1280mHv が認められるので、溶射皮膜中の遊離
炭素量は0.01〜5wt%の範囲で本発明の改質皮膜となる
ことが認められた。なお、遊離炭素を含まない溶射皮膜
に当初認められたCr2O3 (溶射熱源中でCr 3O2 の一部が
酸化されて生成したもの)が、処理後消失したのは、水
素によってCrに還元されたものと考えられる。
【0041】
【表2】
【0042】実施例3(溶射皮膜の気孔の消滅による耐
食性の向上) 大気中で溶射して得られる溶射皮膜中には必らず気孔を
含んでおり、これが耐食性低下の原因となっていること
はよく知られている。本発明で用いられる改質溶射皮膜
の製造プロセスと機構を考えると、この溶射皮膜中の気
孔を消滅させる作用がある。このことを確かめるため
に、次のような実験を行って封孔機能の存在を確認する
こととした。
【0043】すなわち、この実施例では、軟鋼製(SS 4
00) の試験片 (50×100 ×5mmt)の片面にプラズマ溶射
法および高速フレーム溶射法によって炭化物サーメット
溶射皮膜を150 μm 厚に施工した後、これを図3の装置
を用いて930 ℃×10hrs の熱処理を行って本発明で用い
られる改質溶射皮膜を製造した。その後、こうして製造
した改質後の溶射皮膜を、JIS Z 2371 (1988) 規定の塩
水噴霧試験を行って皮膜の気孔部から発生する赤さびの
生成状況から封孔の効果を判定した。 (1) 供試溶射皮膜 73wt%Cr3C2 −20wt%Cr− 7wt%Ni 62wt%Cr3C2 −11wt%Cr7C3 −18wt%Cr− 9wt%Ni なお、改質処理前の溶射皮膜は試験に先立ってその断面
を光学顕微鏡および走査型電子顕微鏡によって観察し、
視野に占める気孔面積から気孔率を算出した。
【0044】表3は、塩水噴霧試験開始後24時間後およ
び96時間後に観察した皮膜の外観観察結果を示したもの
である。この試験結果から明らかなように、比較例の皮
膜(No. 7,8)では、24時間後すでに赤さびが点々と
発生し、96時間後では、皮膜面積の8〜15%が赤さびで
覆われていた。すなわち、皮膜の気孔を通って塩水が内
部へ流入し、母材の軟鋼を腐食させ、この腐食生成物が
赤さびとなって皮膜の表面に噴出したものであり、赤さ
びの発生程度は気孔率の大きいプラズマ溶射皮膜(No.
7)の方がより顕著であった。
【0045】これに対し本発明で用いられる改質溶射皮
膜は(No. 1〜6)、96時間後も全く赤さびの発生は認
められず健全な状態を維持していることが認められた。
これは水素ガスを含むハロゲン化クロムガス中で熱処理
を行うことによって、雰囲気中に析出した金属Crの微粒
子が、皮膜の気孔を充填し、塩水の内部浸入を防止した
ものと考えられる。以上の結果から、本発明で用いられ
る改質溶射皮膜は、皮膜の気孔を消滅させており、しか
も金属Cr粒子によって行われているため、従来の有機質
封孔剤に比較し、はるかに高い温度での使用が可能であ
ることがうかがえる。
【0046】
【表3】
【0047】実施例4(溶射皮膜の密着性改善による熱
衝撃抵抗の増強) SUS304鋼製試験片 (50×100 ×5mmt) の片面に、プラズ
マ溶射法によって炭化クロムサーメット皮膜を150 μm
厚に施工した後、これを図3の装置を用いて、930 ℃×
10hrs の熱処理を行って、本発明にかかる改質溶射被覆
部材を製造した。その後、この溶射被覆部材を1000℃に
保持した電気炉中に15分間静置した後25℃の水中へ投入
する熱衝撃操作を繰返し、皮膜の剥離状況を観察した。
なお、比較のため上記熱処理を行わない炭化物サーメッ
ト溶射皮膜を同じ条件で熱衝撃試験を行った。 (1) 供試溶射皮膜 73wt%Cr3C2 −20wt%Cr− 7wt%Ni 62wt%Cr3C2 −11wt%Cr7C3 −18wt%Cr− 9wt%Ni
【0048】表4は、以上の熱衝撃試験結果を示したも
のである。熱処理を施さない比較例の溶射皮膜は(No.
3,4)、12回〜14回の繰返しによって、皮膜の一部が
剥離しはじめ、15回で皮膜の40〜50%が脱落した。これ
に対し本発明で用いられる改質溶射皮膜(No. 1,2)
は皮膜表面が緑色に変化するものの20回の繰返しにも皮
膜は剥離せず、健全な状態を維持し、熱衝撃に対しても
強い抵抗を有していることが確認された。
【0049】
【表4】
【0050】実施例5 この実施例では、塩化クロム蒸気と水素ガスのモル比を
変化させた場合に生成するCr23C6型炭化クロム改質層の
厚さの変化を調査した。 (1) 供試溶射皮膜は、下記組成のもの(実施例1と同じ
寸法の試験片にプラズマ溶射法によって 150μm厚に施
工した) を用いた。 72.7wt%TiC−19wt%Cr−8wt%Ni−0.5 wt%C (2) 改質処理の条件 塩化クロム蒸気と水素ガスのモル比を、5/95〜95/5の範
囲内で変化させ、図2の装置を用いて1100℃×16hrs 、
図3の装置を用いて 500℃×16hrs の条件で、それぞれ
改質処理を行った。なお、図2の装置では塩化クロム蒸
気と水素ガスのモル比50/50で1200℃×16hrs の条件で
追加処理した。 (3) 評価方法 溶射皮膜の表面から内部へ拡散浸透した微細な金属クロ
ムによって改質, 生成したCr23C6層の厚さをX線回折に
よって確認して測定した。
【0051】(4) 評価結果 図4は、以上の実験結果を示したものである。この結果
から明らかなように、1100℃×16hrs の処理では比較的
厚い改質層が得られるが、500 ℃では極めて薄く、1〜
2μm厚であることがわかる。さらにその内容を詳細に
検討したところ、何れの処理温度でも CrCl2/H2のモル
比が50/50 (1/1)の場合の改質層の厚さが最大であ
り、モル比が CrCl2<H2, CrCl2>H2の何れの方向に移
行しても改質層の厚さが小さくなる傾向がある。この原
因は、CrCl2 とH2のモル比の変化によって気相中に析出
するCr量が変化するためである。本発明の改質層の厚さ
は、最低1μm必要としているので、500 ℃の処理条件
において1μm厚を確保するための CrCl2/H2モル比
は、80/20(4/1)〜20/80(1/4)の範囲にある
ことが確かめられた。なお、 CrCl2/H2モル比50/50,
1200℃×16hrs で実施した炭化物溶射皮膜の改質層の厚
さは最大で30μmであった。
【0052】
【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、
Cr3C2, Cr7C3型炭化クロムを含む溶射皮膜、もしくは、
Crより炭素親和力の弱い金属の炭化物を含む炭化クロ
ム溶射皮膜を、水素ガスを含むハロゲン化クロム生成雰
囲気中で熱処理することによって、活性化された金属Cr
の微粒子を析出させることができるので、これを溶射皮
膜の少なくとも表面に作用させることで、その表面と気
孔中にCr23C6型炭化物を生成させて複合化することがで
きるので、炭化クロム溶射皮膜表面層の改質を行うこと
ができる。しかも、この改質溶射皮膜は、気孔の消滅に
よる耐食性の向上、Cr23C6の生成による皮膜の微小硬さ
の増加による耐摩耗性の向上、ならびに耐エロージョン
性の改善に大きく寄与するものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】(A),(B)は改質処理前・後の溶射皮膜の
断面図。
【図2】実施例1で用いた改質処理装置の概略図。
【図3】実施例2で用いた改質処理装置の概略図。
【図4】CrCl2 ガスとH2ガスのモル比とCr23C6型炭化物
に改質された層の厚さとの関係を示す線図。
【符号の説明】
1 基材 2 炭化クロムサーメット溶射皮膜 3 活性化金属クロム微粒子 4 皮膜気孔 5 母材金属との合金層 6 Cr23C6型炭化クロム層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 河崎 正道 東京都大田区羽田旭町11番1号 株式会 社荏原製作所内 (72)発明者 原田 良夫 兵庫県神戸市東灘区深江北町4丁目13番 4号 トーカロ株式会社内 (72)発明者 竹内 純一 兵庫県神戸市東灘区深江北町4丁目13番 4号 トーカロ株式会社内 (56)参考文献 特開 平4−263058(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C23C 4/10 C23C 4/18

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基材と、その表面に形成した炭化クロム
    溶射皮膜とからなり、その炭化クロム溶射皮膜は、少な
    くともその表面層がCr23C6型炭化クロムを付着、含浸さ
    せた改質層によって形成されていることを特徴とする炭
    化クロム溶射被覆部材。
  2. 【請求項2】 基材表面に形成した上記炭化クロム溶射
    皮膜を構成する炭化物が、Cr3C2 またはCr3C2 とCr7C3
    との混合物を含有するものであることを特徴とする請求
    項1記載の炭化クロム溶射被覆部材。
  3. 【請求項3】 上記炭化物系溶射皮膜中には、皮膜成分
    として、遊離炭素を含まないCr3C2 , Cr7C3 炭化物また
    はその中に少なくとも、0.01〜5wt%の遊離炭素もしく
    はクロムよりも炭素親和力の弱い金属の炭化物を0.1 〜
    100 wt%含むことを特徴とする、請求項1または2に記
    載の炭化クロム溶射被覆部材。
  4. 【請求項4】 上記Cr23C6型炭化クロムによる改質層
    は、炭化クロム溶射皮膜を水素ガスを含むハロゲン化ク
    ロム含有雰囲気中で500 〜1200℃にて熱処理することに
    よって化学的に活性な微細金属クロムを析出させ、これ
    を溶射皮膜表面に付着、含浸させることによって形成さ
    れたものである、請求項1記載の炭化クロム溶射被覆部
    材。
  5. 【請求項5】 上記Cr23C6型炭化クロムによる改質層
    は、炭化クロム溶射皮膜を反応槽中で水素ガスとハロゲ
    ン化クロムガスの混合モル比が 1/4〜4/1 の割合になる
    ように調節しつつ、500 〜1200℃の加熱雰囲気中で熱処
    理することによって化学的に活性な微細金属クロムを析
    出させ、これを溶射皮膜表面に付着, 含浸させて、その
    拡散浸透厚さが1〜30μmの範囲となるように形成され
    たものである請求項1記載の炭化クロム溶射被覆部材。
  6. 【請求項6】 基材表面に形成された、炭化クロム溶射
    皮膜は、Cr3C2 または Cr3C2とCr7C3 との混合物からな
    る炭化物と、Ni, CrおよびCoのうちから選ばれる少なく
    とも1種以上の金属とからなる炭化物サーメットを溶射
    して形成したことを特徴とする、請求項1記載の炭化ク
    ロム溶射被覆部材。
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