JPH0814182A - 密閉型スクロール圧縮機 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 圧縮機組立時の作業性を向上するとともに、
油が吐出管から密閉容器外に吐出することをなくし、圧
縮機および冷凍サイクル全体の性能および信頼性を向上
させる。 【構成】 圧縮機構部２の電動機３側に圧縮機構部２を
潤滑した後の油を排出する油排出口２１と、この油排出
口２１を覆うカバー２２と、カバー２２内部の油を排出
する油排出管２６を形成するとともに、この油排出管２
６の先は電気絶縁特性を有する部材で構成された油導入
管２７を介して油還流路５に連絡するものである。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、密閉型スクロール圧縮
機に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】従来のこの種の密閉型スクロール圧縮機
について、図面とともに説明する。

【０００３】図４において、密閉容器１内部は、圧縮機
構部２と電動機３により吐出室１ａ、圧縮機構側電動機
室１ｂ、反圧縮機構側電動機室１ｃに仕切られており、
吐出室１ａと圧縮機構側電動機室１ｂは冷媒ガス通路
４、４ａによって、また圧縮機構側電動機室１ｂと反圧
縮機構側電動機室１ｃは油還流路５によって連通してい
る。さらに、反圧縮機構側電動機室１ｃの底部には、油
溜６が設けられている。

【０００４】圧縮機構部２は、固定スクロール７、旋回
スクロール８、フレーム９と回転軸１０で構成されてい
る。固定スクロール７は、円盤状の固定鏡板７ａと、固
定鏡板７ａに直立しインボリュート曲線、またはインボ
リュート曲線に近似した曲線のいずれかの形状に形成さ
れたラップ７ｂとからなり、その外周部には吸入口１１
と、中心部には吐出口１２を有している。また旋回スク
ロール８は、円盤状の旋回鏡板８ａと、旋回鏡板８ａに
直立しインボリュート曲線、またはインボリュート曲線
に近似した曲線のいずれかの形状に形成されたラップ８
ｂと、鏡面８ａ上でかつ反ラップ面上に駆動軸８ｃとを
有している。この固定スクロール７と旋回スクロール８
を互いに噛み合わせて、圧縮室１３を形成している。フ
レーム９は、中央部に軸受部１４を設けており、軸受部
１４にて偏心軸受１５を介し、回転軸１０を受けてい
る。また回転軸１０は、下部に電動機３の回転子３ａ
を、端部にはオイルポンプ１６を有している。オイルポ
ンプ１６は、密閉容器１底部の油溜６に没入されてい
る。

【０００５】フレーム９と固定スクロール７は、複数本
のボルト１７によって固定されている。また回転軸１０
は、偏心軸受１５を介して駆動軸８ｃに旋回運動を与
え、旋回スクロール８は、オルダムリングとオルダムキ
ーからなるオルダム機構１８を介してフレーム９に支持
されることにより、自転することなく固定スクロール７
に対して旋回運動を行なう。

【０００６】吸入管１９は、密閉容器１を貫通して固定
スクロール７の吸入口１１に接続され、吐出管２０は、
冷媒ガスを吐出するのに最適な位置に密閉容器１を貫通
して圧縮機構側電動機室１ｂに接続されている。

【０００７】以上のように構成された密閉型スクロール
圧縮機について、油の流れについて説明する。

【０００８】油溜６にある油は、オイルポンプ１６によ
り汲み上げられ、回転軸１０の軸心部に設けられた油流
路１０ａを通って圧縮機構部２の各摺動部に達する。各
摺動部を潤滑した後、油は油排出口２１よりカバー２２
内に排出される。カバー２２内に溜った油は、回転軸１
０に設けられたバランスウェイト部１０ｂにより、回転
軸１０が回転するごとに、カバー２２に設けられた油戻
し孔２３から圧縮機構側電動機室１ｂに押し出される。
排出された油は、油還流路５を通って油溜６に戻され
る。このときカバー２２は、油排出口２１から排出され
た油が回転軸１０に付着し、その遠心力により密閉容器
１内に飛散され、吐出管２０から油が流出することを防
止していた。

【０００９】また図５に示したように、カバー２２内に
排出された油を確実に油還流路５に導くために排油チュ
ーブ２４を設けるというものもあった。

【００１０】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら上記のよ
うな構成では、油排出口２１から排出された油が、直接
回転軸１０に付着し、その遠心力により密閉容器１内に
飛散されることはカバー２２で防止できるが、油戻し孔
２３から排出された油は、一部が、油戻し孔２３の直下
にあるコイルエンド２５に直接付着したり、あるいは、
一度回転軸１０の下部の回転子３ａに付着して、その遠
心力により飛散され、コイルエンド２５に付着すること
があった。そして、圧縮機構側電動機室１ｂにあるコイ
ルエンド２５に付着した油は、そのまま落下して、反圧
縮機構側電動機室１ｃの底部にある油溜６に戻るものも
あったが、吐出口１２より吐出され、冷媒ガス通路４、
４ａおよび油還流路５を通って、油溜６を経由して吐出
管２０へ向かう冷媒ガスによって再び吹き上げられ、圧
縮機構側電動機室１ｂに充満するものもあった。この圧
縮機構側電動機室１ｂに充満した油が、吐出管２０から
冷媒ガスとともに、密閉容器１外に吐出するため、密閉
容器１内の油が不足し、吐出した油が熱交換器（図示せ
ず）などに蓄積されるので、圧縮機の性能および信頼性
はもとより、冷凍サイクル全体としての性能および信頼
性が低下するという課題を有していた。

【００１１】また図５のような構成では、密閉容器１径
方向の油還流路５の幅が狭いため、カバー２２に排出さ
れた油を確実に油還流路５に導入することはできるが、
排油チューブ２４を油還流路５に挿入するという作業が
困難であるという課題があった。

【００１２】本発明は上記従来例の課題を解決するもの
で、圧縮機組立時の作業性を向上するとともに、油が吐
出管２０から密閉容器１外に吐出することをなくし、圧
縮機および冷凍サイクル全体の性能および信頼性の低下
を防止することを目的とするものである。

【００１３】

【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に本発明は、圧縮機構部の電動機側に圧縮機構部を潤滑
した後の油を排出する油排出口と、この油排出口を覆う
カバーと、カバー内部の油を排出する油排出管を形成す
るとともに、この油排出管の先は電気絶縁特性を有する
部材で構成された油導入管を介して油還流路に連絡する
ものである。

【００１４】また本発明は、油排出管の表面に電気絶縁
材を被覆したものである。さらに本発明は、油排出管を
電気絶縁特性を有する部材にて構成したものである。

【００１５】

【作用】本発明は、圧縮機構部の電動機側に圧縮機構部
を潤滑した後の油を排出する油排出口と、この油排出口
を覆うカバーと、カバー内部の油を排出する油排出管を
形成するとともに、この油排出管の先は電気絶縁特性を
有する部材で構成された油導入管を介して油還流路に連
絡することにより、圧縮機を容易に組み立てることがで
きるとともに、油を確実に油還流路に導くことができ
る。

【００１６】また本発明は、油排出管の表面に電気絶縁
材を被覆することにより、油排出管およびカバーとコイ
ルエンドとの絶縁状態を確保できる。

【００１７】さらに本発明は、油排出管を電気絶縁特性
を有する部材にて構成することにより、油排出管および
カバーとコイルエンドとの絶縁状態を確保できる。

【００１８】

【実施例】以下本発明の一実施例における密閉型スクロ
ール圧縮機について図面とともに説明する。

【００１９】図１、２において、図４に示す従来例の密
閉型スクロール圧縮機と同様の構成については、便宜上
同一の番号を付し説明を省略する。

【００２０】図１に示すように、カバー２２より油排出
管２６が導出され、その先端は、ポリエステルなどの電
気絶縁材から作られた油導入管２７に接続されている。
上記油導入管２７はコイルエンド２５の外側に近接され
ていて、油還流路５に連なっている。油排出管２６と油
導入管２７の接続は、直接的であってもよいし、また間
接的でもよく、要は、油が油排出管２６から油導入管２
７へ導かれればよい。

【００２１】この結果、圧縮機組立時の作業性のよい、
圧縮機および冷凍サイクル全体の性能および信頼性が向
上した圧縮機を提供することができる。

【００２２】また図２に示すように、例えばコイルエン
ド２５に電気絶縁特性を有する部材、例えばポリエステ
ルで作成された油導入管２７を編み込み、この油導入管
２７の下端を油還流路５上端に位置させるとともに上端
を開放し、この開放部に、カバー２２に設けられた油排
出管２６の開口部を延設しても、同様の効果を得ること
ができる。

【００２３】また、図３に示すように油導入管２７を周
方向に所定幅広げた断面略楕円形に構成すれば、油排出
管２６の位置に寸法的なバラツキがあっても油導入管２
７の周方向幅の範囲で吸収でき、確実に油排出管２６か
ら排出された油を油溜６に戻すことができる。

【００２４】また、油排出管２６の形状は特に問わない
が、図１、２に見られるように、油排出管２６をカバー
２２の側面側底部に設けることにより、カバー２２内に
残る油の量を減らすことができる。

【００２５】さらに、図１、２において油排出管２６の
表面に例えば、ポリテトラフルオロエチレン（以下ＰＴ
ＦＥ）等の電気絶縁材を被覆したり、油排出管２６を電
気絶縁特性を有する部材、例えばＰＴＦＥ等で構成すれ
ば、油排出管２６およびカバー２２とコイルエンド２５
の絶縁状態はより一層良好に確保できる。

【００２６】なお、本発明において電気絶縁材にポリエ
チレンテレフタレート、ポリフェニレンサルファイド等
を使用しても同等の効果が得ることができる。

【００２７】また、油排出管２６と油導入管２７を複数
本用いれば、回転軸１０が一回転する間に排出できる油
の量が増えるため、油を迅速に排出することができ、油
溜６の油量の変動が少なく、圧縮機を安定して運転でき
る。

【００２８】

【発明の効果】本発明は上記説明から明らかなように、
圧縮機構部の電動機側に圧縮機構部を潤滑した後の油を
排出する油排出口と、この油排出口を覆うカバーと、カ
バー内部の油を排出する油排出管を形成するとともに、
この油排出管の先は電気絶縁特性を有する部材で構成さ
れた油導入管を介して油還流路に連絡することにより、
圧縮機を容易に組み立てることができるので、作業性が
向上するとともに、油を確実に油還流路に導くことがで
きるので、油が吐出管から密閉容器外に吐出することを
なくし、圧縮機および冷凍サイクル全体の性能および信
頼性を向上することができる。

【００２９】また本発明は、油排出管の表面に電気絶縁
材を被覆することにより、油排出管およびカバーとコイ
ルエンドの絶縁状態を確保できる。

【００３０】さらに本発明は、油排出管を電気絶縁特性
を有する部材にて構成することにより、油排出管および
カバーとコイルエンドの絶縁状態を確保できる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施例における密閉型スクロール圧
縮機の断面図

【図２】本発明の一実施例における密閉型スクロール圧
縮機の断面図

【図３】図１におけるＩ−Ｉ矢視断面図

【図４】従来の密閉型スクロール圧縮機の断面図

【図５】従来の密閉型スクロール圧縮機の断面図

【符号の説明】

１ 密閉容器 ２ 圧縮機構部 ３ 電動機 ３ａ 回転子 ３ｂ 固定子 ５ 油還流路 ６ 油溜 ２１ 油排出口 ２２ カバー ２６ 油排出管 ２７ 油導入管

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 饗場 靖 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器 産業株式会社内 (72)発明者 野洲 敏治 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器 産業株式会社内 (72)発明者 岡 秀人 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器 産業株式会社内

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 密閉容器の内部に圧縮機構部と、回転子
   と固定子からなる電動機と、前記密閉容器の底部に設け
   られた油溜と、前記固定子と前記密閉容器内壁の間に設
   けられ前記電動機の両側を繋ぐ油還流路とを備え、前記
   圧縮機構部の前記電動機側に前記圧縮機構部を潤滑した
   後の油を排出する油排出口と、この油排出口を覆うカバ
   ーと、カバー内部の油を排出する油排出管を形成すると
   ともに、この油排出管の先は電気絶縁特性を有する部材
   で構成された油導入管を介して前記油還流路に連絡した
   密閉型スクロール圧縮機。
2. 【請求項２】 油排出管の表面に電気絶縁材を被覆した
   請求項１記載の密閉型スクロール圧縮機。
3. 【請求項３】 油排出管を電気絶縁特性を有する部材に
   て構成した請求項１記載の密閉型スクロール圧縮機。