JP2006242164A - 密閉型圧縮機および冷凍サイクル装置 - Google Patents

密閉型圧縮機および冷凍サイクル装置 Download PDF

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Hisataka Katou
久尊 加藤
Akira Morishima
明 森嶋
Kazu Takashima
和 高島
Izumi Onoda
泉 小野田
Hatsuaki Sone
初昭 曽根
Toshihiko Futami
俊彦 二見
Takeshi Chinen
武士 知念
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Abstract

【課題】本発明は、アウターロータ型の電動機部を備え、密閉ケースからの潤滑油の吐油を規制し、かつ潤滑油の飛散を防止する密閉型圧縮機と、冷凍効率の増大化と信頼性の向上を得られる冷凍サイクル装置を提供する。
【課題手段】密閉ケース1内に回転軸4を介して電動機部3と圧縮機構部2A,2Bとを連結してなる電動圧縮機本体5が収容され、ケース内底部に潤滑油の油溜り部15が備えられ、上記電動機部は、固定子16と、この固定子の外周面と所定の間隙を存し回転軸に取付けられる回転子17とからなるアウターロータ型に構成され、回転子と隙間を介して対向配置され電動機部の作動にともなう密閉ケースからの吐油規制および油溜り部での油飛散防止用のカバー部材20が、密閉ケース、圧縮機構部もしくは固定子のいずれかに取付け固定される。
【選択図】 図1

Description

本発明は、アウターロータ型電動機部を備えた密閉型圧縮機に係り、特に密閉ケースからの潤滑油の吐油規制と飛散防止の改良に関するとともに、この密閉型圧縮機を備えて冷凍サイクルを構成する冷凍サイクル装置に関する。
冷凍装置の冷凍サイクルを構成する一つの機器しての密閉型圧縮機は種々の形態があるが、一般的には密閉ケース内に回転軸を介して圧縮機構部と電動機部とを連結してなる電動圧縮機本体を収容している。近時、上記圧縮機構部は2つのシリンダを備えた2シリンダタイプが多用されるとともに、電動機部として、いわゆるアウターロータ型のものが、たとえば[特許文献1]あるいは[特許文献2]において提案されている。
[特許文献1]は、縦長の密閉ケース内に回転軸の軸方向を垂直に向け、この回転軸の上部にアウターロータ型の電動機部を設け、下部に2つのシリンダを備えた圧縮機構部が設けられる。これに対して[特許文献2]は、横長の密閉ケース内に回転軸の軸方向を水平に向け、この回転軸の一側部にアウターロータ型の電動機部を設け、他側部に圧縮機構部が設けられる構成である。
いずれのアウターロータ型の電動機部も、固定子と回転子とから構成されるが、上記固定子は回転軸を軸支する主軸受と副軸受のうちの主軸受に取付けられ、回転子は回転軸に取付けられる。そして回転子は、端部が固定子外周端より外側へ延出されて固定子外径面と並行に折曲される傘状支持部材(ロータキャンとも呼ばれる)と、この傘状支持部材の固定子外径面と平行な部位に設けられる回転子部とからなる。
特開2001−268832号公報 特開2002− 21733号公報
ところで、密閉ケースの内底部には潤滑油を集溜する油溜り部が設けられていて、電動機部が作動し回転軸が回転駆動されると、回転軸に設けられる給油通路を介して油溜り部の潤滑油が吸上げられる。そして、潤滑油は回転軸と圧縮機構部との摺動部位および圧縮機構部を構成する部品間の摺動部位に給油され、潤滑性が確保される。
同時に、気液分離器で気液分離された低圧の冷媒ガスが圧縮機構部に吸込まれて圧縮され、高温高圧化して一旦、密閉ケース内へ導出される。密閉ケース内に充満する冷媒ガスは、順次、密閉ケースに接続される冷媒管から冷凍サイクル構成機器へ吐出される。摺動部位に給油された潤滑油は微粒子状(ミスト状)の油滴となって冷媒ガスに混合した状態で密閉ケース内を浮遊する。
ところがアウターロータ型の電動機部では、固定子の外周面と間隙を存して回転子を構成する回転子部があり、回転子の回転半径が大きいため、冷媒ガスと油滴との混合流体が回転子の回転駆動にともなう影響を受けて撹乱され、そのまま冷媒管から吐出される傾向にある。油溜り部から各摺動部位に給油された潤滑油が油溜り部に戻らないので、長期の使用に亘れば油溜り部の潤滑油量が減少し、摺動部位において焼損事故を招く要因となってしまう。
さらに、回転子が回転する影響を受けて、油溜り部の潤滑油面が波を打ったように不安定化するとともに、油面から潤滑油が吹き上げられ、撹拌される混合流体の流れに乗って油溜り部に戻らない状態になり易い。
本発明は上記事情にもとづきなされたものであり、その目的とするところは、アウターロータ型の電動機部を備えることを前提として、電動機部を構成する回転子の回転が給油されたあとの潤滑油および油溜り部に集溜する潤滑油に与える影響を抑制して、密閉ケースからの潤滑油の吐油を規制するとともに、油溜り部からの潤滑油の飛散を防止する密閉型圧縮機と、この密閉型圧縮機を備えて冷凍サイクルを構成することにより冷凍効率の増大化と信頼性の向上を得られる冷凍サイクル装置を提供しようとするものである。
上記目的を達成するため本発明の密閉型圧縮機は、密閉ケース内に回転軸を介し電動機部と圧縮機構部とを連結してなる電動圧縮機本体を収容し、ケース内底部に潤滑油の油溜り部を備え、電動機部は、固定子と、この固定子の外周面と所定の間隙を存して配置し回転軸に取付ける回転子とからなるアウターロータ型とし、回転子と隙間を介して対向配置し電動機部の作動にともなう密閉ケースからの吐油を規制し油溜り部での油の飛散を防止するカバー部材を密閉ケース圧縮機構部もしくは固定子のいずれかに取付け固定する。
上記目的を達成するため本発明の冷凍サイクル装置は、上記密閉型圧縮機と、凝縮器と、膨張装置と、蒸発器および気液分離器とを冷凍サイクルを構成するよう連通する。
本発明によれば、密閉型圧縮機においては焼損事故等の確実な防止と信頼性の向上化を得られ、冷凍サイクル装置においては冷凍効率の増大化と信頼性の向上を得られる等の効果を奏する。
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
図1は、第1の実施の形態における密閉型圧縮機Aの断面構造と、この密閉型圧縮機Aを備えた冷凍サイクル装置の冷凍サイクル構成図である。
はじめに、冷凍サイクル構成から説明すると、密閉型圧縮機Aと、凝縮器Bと、膨張装置Cと、蒸発器Dおよび気液分離器Eが、順次、冷媒管Pを介して連通され、冷凍サイクル装置を構成する。
上記密閉型圧縮機Aにおいて、1は密閉ケースである。この密閉ケース1内の下部には、第1の圧縮機構部2Aと第2の圧縮機構部2Bが設けられ、上部には電動機部3が設けられ、互いに回転軸4を介して連結される。これら電動機部3と第1、第2の圧縮機構部2A,2Bで電動圧縮機本体5が構成され、密閉ケース1内に収容される。
上記第1の圧縮機構部2Aは上部に形成され、第1のシリンダ8Aを備えている。第2の圧縮機構部2Bは第1のシリンダ8Aとは中間仕切り板7を介した下部に形成され、第2のシリンダ8Bを備えている。
第1のシリンダ8Aの上面部には回転軸の下部を軸支する主軸受9が重ね合わされ、第2のシリンダ8Bの下面部には回転軸の下端部を軸支する副軸受10が重ね合わされ、互いにバルブカバーa,bとともに取付け具を介して取付け固定される。回転軸4は各シリンダ8A,8B内部を貫通するとともに、略180°の位相差をもって形成される2つの偏心部を一体に備えている。各偏心部の周面には、偏心ローラcが嵌合される。
上記第1のシリンダ8Aと第2のシリンダ8Bは、上記中間仕切り板7と主軸受9および副軸受10で上下面が区画され、それぞれの内部に上記偏心ローラcが偏心回転自在に収容されるシリンダ室Sが形成される。
第2のシリンダ8Bのみ概略的に示すが、第1、第2のシリンダ8A,8Bには、シリンダ室Sと溝部を介して連通するブレード室11が一体に設けられていて、溝部にはブレード12が摺動自在に嵌め込まれている。各ブレード12の先端部は平面視で略半円状に形成され、ブレード室11に配置されるばね部材13によって偏心ローラc周壁に弾性的に接触するよう付勢される。したがって、上記偏心ローラcがシリンダ室Sの内周壁に沿って偏心回転したとき、ブレード12は溝部に沿って往復運動し、ブレード12先端部は偏心ローラcの回転角度にかかわらず線接触してシリンダ室Sを吸込み室と圧縮室に仕切ることとなる。
上記第1のシリンダ8Aと第2のシリンダ8Bには、上記ブレード12で仕切られるシリンダ室Sの一方側に吸込み管Pa,Pbが接続される。各吸込み管Pa,Pbの接続部からブレード12を介してシリンダ室Sの他方側には吐出弁機構dが設けられている。それぞれの吐出弁機構dは上記主軸受9と副軸受10に取付けられるバルブカバーa,bと対向して設けられる。
上記第1、第2のシリンダ8A,8Bに接続される吸込み管Pa,Pbは、密閉ケース1を貫通して、密閉ケース1外部へ延出される。これら吸込み管Pa,Pbは密閉ケース1外部において上記気液分離器Eに接続される。
このようにして構成される第1、第2の圧縮機構部2A,2Bは、密閉ケース1の内底部に形成される油溜り部15の潤滑油中に浸漬状態にある。そして、回転軸4の下端部には給油ポンプが設けられ、この給油ポンプから回転軸4を貫通して給油通路(いずれも図示しない)が設けられる。
上記給油通路の開口端は、回転軸4と副軸受10との間、回転軸4の偏心部と偏心ローラcとの間、シリンダ室S周壁と偏心ローラcとの間、回転軸4と主軸受9との間などの各摺動部位に対して開口される。
上記電動機部3は、たとえばブラシレスDC同期モータ(ACモータもしくは商用モータでもよい)が用いられていて、回転軸4側である内側に配置される固定子16と、この固定子16の外周面と所定の間隙を存して配置される回転子17とを備えていて、いわゆるアウターロータ型の電動機部3として構成される。そして電動機部3は、運転周波数を可変するインバータを介してインバータ制御する制御部(いずれも図示しない)に電気的に接続される。
上記固定子16は、中心軸に沿って孔部eが貫通して設けられる一方で、上記主軸受9の上端部は外径の細い細径部に形成されていて、固定子16の孔部eが圧入固定される。固定子16は、下端面から上方へ略1/3程度の部分が主軸受9に取付けられ、残りの固定子上端面から下方へ略2/3程度の部分は、回転軸4と固定子16の孔部eとに間に所定の隙間を存している。
また、回転軸4の上端は固定子16の上端面から突出しており、回転軸4の上端から固定子16の上端面を介してある程度固定子孔部eに入った位置まで、回転軸4の直径が他の部分よりも小さい細径部が形成される。
この回転軸4の細径部に、上記回転子17を構成する傘状支持部材(ロータキャンとも呼ばれる)18が嵌着固定される。傘状支持部材18は、回転軸4への嵌着部から固定子16の上端面と間隙を存する位置に径方向に延出される端面部fと、この端面部f周端から固定子16外径面とは間隙を存する位置で、固定子外径面と平行に折曲される筒部gからなり、略逆椀状に形成される。
傘状支持部材18の筒部g内面に、傘状部材18とともに回転子17を構成する回転子部19が取付けられる。具体的には、上記固定子16の外径面と、上記回転子17の回転子部19内径面とが互いに対向して、上下端面が同じ高さ位置にあり、かつ所定の間隙を存して対向している。
このような電動機部3に対して、カバー部材20が取付けられる。カバー部材20は、傘状支持部材18の端面部fおよび筒部gと所定の間隙を存して対向配置される天部20aと側面部20bとからなり、略逆椀状に形成される。特にカバー部材20の側面部20bには、径方向に突出する複数の突部hが一体に設けられていて、これら突部hの突出面が密閉ケース1内壁に嵌り込み、たとえばスポット溶接などの手段でカバー部材20は密閉ケース1に取付け固定される。
カバー部材20が取付け固定される密閉ケース1は、後述するように密閉型圧縮機Aの作用時に何らの動作もなさない構造物であるから、静止部材と呼べる。また、上記カバー部材20の取付け位置を密閉ケース1としたが、これに限定されるものではなく、可能であれば電動機部3の固定子16や、第1の圧縮機構部2Aに取付け固定してもよい。要は、上記回転子17や回転軸4が回転部材であるのに対して、上記密閉ケース1や固定子16もしくは第1の圧縮機構部2Aは静止部材であり、カバー部材20は静止部材に取付ければよい。
ここでは、上記カバー部材20と対向する回転子17の傘状支持部材18における端面部fに複数の案内用孔21が設けられる。また、上述したように傘状支持部材18に対してカバー部材20は所定の隙間を介して対向配置され、かつカバー部材20の天部20aは勿論のこと、側面部20bにおいても上記密閉ケース1の上面部と周面部とは所定の間隙を存することとなる。そして、カバー部材20と傘状支持部材18ともに略逆椀状に形成されるところから、互いの下端部相互間は下方部位である潤滑油の油溜り部15に対して開放される。
つぎに、上述の密閉型圧縮機Aを備えて冷凍サイクルを構成する冷凍サイクル装置の作用について説明する。
運転開始の指示が出ると、上記制御部はインバータを介して電動機部3のインバータ回路に運転信号を送る。回転軸4が回転駆動され、第1の圧縮機構部2Aと第2の圧縮機構部2Bが同時に作用する。
気液分離器Eで気液分離された低圧の冷媒ガスが、各吸込み管Pa,Pbに沿って導かれ、第1のシリンダ8Aに構成されるシリンダ室Sと、第2のシリンダ8Bに構成されるシリンダ室Sに吸込まれる。各シリンダ室S内では偏心ローラcが偏心回転しているとともに、ブレード12の先端部が偏心ローラc周壁に摺接するようにばね部材13によって押圧付勢される。
偏心ローラcの偏心回転にともなって、偏心ローラcのシリンダ室S内周面に対する転接位置が移動し、ブレード12が各シリンダ室Sを圧縮室と吸込み室に二分する。圧縮室の容積が徐々に減少し、充満していた冷媒ガスが徐々に圧縮される。そして、容積がさらに減少して圧縮されたガスが所定圧まで上昇したところで吐出弁機構dが開放し、密閉ケース1内へ吐出される。
密閉型圧縮機Aにおいて圧縮された高圧ガスは凝縮器Bに導かれて凝縮液化し、膨張装置Cで断熱膨張し、蒸発器Dで熱交換空気から蒸発潜熱を奪って冷凍作用をなす。そして、蒸発したあとの冷媒は気液分離器Eに導かれて気液分離され、再び吸込み管Pa,Pbから密閉型圧縮機Aに吸込まれて圧縮され上述の経路を循環する。
一方、密閉型圧縮機Aにおいては、密閉ケース1の内底部に形成される油溜り部15の潤滑油が回転軸4の回転駆動にともなって給油ポンプにより吸上げられる。潤滑油は、給油ポンプから給油通路を介して回転軸4と各圧縮機構部2A,2Bとの摺動部位および圧縮機構部2A,2Bを構成する各部品の摺動部位に給油され、それぞれの潤滑性を確保する。
そのあと、潤滑油の一部は油溜り部15に直接戻るが、残りの潤滑油は圧縮されて密閉ケース1内へ導出される冷媒ガス中に、微粒子状(ミスト状)の油滴となって混合し吹上げられる。あるいは、回転軸4の回転にともない、回転軸4と主軸受9との軸支部分を介して、回転軸4と固定子16の孔部eとの隙間を微粒子状(ミスト状)の油滴となって吹上げられる。
冷媒ガスに混合した油滴は、混合状態のまま固定子16下面から図示しない固定子16に形成した通路、固定子16外周面と回転子17内周面間の隙間等を通って上昇し、カバー部材20内に取込まれて衝突する。回転軸4と固定子孔部eとの隙間を上昇した油滴は、傘状支持部材18に設けられる案内用孔21を挿通し、カバー部材20内に取込まれて衝突する。
冷媒ガスと油滴との混合流体がカバー部材20に衝突することによって、冷媒ガスから潤滑油分が分離される。カバー部材20で分離された潤滑油分はカバー部材20の内壁に付着し、順次吹上げられる混合流体から分離する潤滑油分と一緒になって肥大化する。
そして、カバー部材20の天部20aと側面部20bの内壁に沿って流下し、ついには油溜り部15に戻る。冷媒ガスはカバー部材20側面部20bの内壁と回転子17外周面間の隙間から流下し、さらにカバー部材20の側面部20bと密閉ケース1内壁との隙間を介して密閉ケース1上端部に上昇する。
当然、冷媒ガスと油滴との混合流体の一部は、直接カバー部材20の側面部20bと密閉ケース1内壁との隙間を介して密閉ケース1上端部に上昇するが、回転子17によってかき混ぜられることがなく、油滴は上昇の途中あるいは密閉ケース1の上部空間で分離され、回転子17の回転の影響を受けることなく密閉ケース1下部の油溜り部15に戻る。油滴が分離された冷媒ガスは、その後、密閉ケース1上端部に接続される冷媒管Pから凝縮器Bへ導かれる。
結局、油溜り部15から各摺動部位に給油された潤滑油のほとんど大部分は、再び油溜り部15に戻ることとなり、密閉ケース1から外部へ吐油される潤滑油分が大幅に低減化するとともに、油溜り部15に集溜される潤滑油の油面は安定化する。長期の使用に亘っても油溜り部15にはほとんど所定量の潤滑油量が確保されて、潤滑油不足による焼損事故の発生はない。
図2は、第2の実施の形態を示す密閉型圧縮機Aaの概略の断面図である。なお、密閉型圧縮機Aaに冷媒管Pを介して接続され、冷凍サイクルを構成する各部品については省略しており、図1を適用して新たな説明は省略する。(以下に述べる全ての実施の形態に共通)
第2の実施の形態での密閉型圧縮機Aaにおいて、密閉ケース1と、この密閉ケース1内に回転軸4を介して電動機部3と第1、第2の圧縮機構部2A、2Bとを連結してなる電動圧縮機本体5が収容される構成であること、および密閉ケース1内底部に潤滑油の油溜り部15が備えられることは、第1の実施の形態と全く同一である。そして、電動機部3の具体的な構成と、第1、第2の圧縮機構部2A,2Bの具体的な構成も第1の実施の形態と全く同一であって、図1を適用して新たな説明は省略する。
ここでのカバー部材20Aは、上記回転子17を構成する傘状支持部材18の端面部fのみと所定の間隔を存して設けられる。なお説明すると、カバー部材20Aは略平板状をなし、一端部が静止部材である密閉ケース1内壁にスポット溶接などの手段で取付け固定される。他端部は密閉ケース1内壁と所定の間隙を存しており、この間隙に沿って流体の流通は自由である。
したがって、冷媒ガスに混合した潤滑油の油滴は、混合状態のまま固定子16下面から図示しない固定子16に形成した通路、固定子16外周面と回転子17内周面間の隙間等を通って上昇し、カバー部材20A下面に衝突する。当然、冷媒ガスと油滴との混合流体の一部は、カバー部材20A端縁と密閉ケース1内壁との隙間を介して密閉ケース1上端部に上昇する。
冷媒ガスと油滴との混合流体がカバー部材20Aに衝突することによって、冷媒ガスから潤滑油分が分離される。冷媒ガスは順次吹き上げられる混合流体に押されてカバー部材20A端縁と密閉ケース1との間を上昇し、密閉ケース1上端部に接続される冷媒管Pから凝縮器Bへ導かれる。
カバー部材20Aで分離された潤滑油分はカバー部材20Aに付着し、順次吹き上げられる混合流体から分離する潤滑油分と一緒になって肥大化する。そして、カバー部材20Aから滴下して油溜り部15に戻る。結局、油溜り部15から各摺動部位に給油された潤滑油は再び油溜り部15に戻ることとなり、密閉ケース1から外部へ吐油される潤滑油分が大幅に低減化する。長期の使用に亘っても油溜り部15にはほとんど所定量の潤滑油量が確保されて、潤滑油不足による焼損事故の発生はないとともに、油溜り部15に集溜される潤滑油の油面は安定化する。
図3は、第3の実施の形態を示す密閉型圧縮機Abの概略の断面図である。
上記密閉型圧縮機Abは、密閉ケース1と、この密閉ケース1内に回転軸4aを介して上部側にスクロール式圧縮機構部2C、下部側に電動機部3が連結される電動圧縮機本体5Aが収容される。密閉ケース1内底部には潤滑油の油溜り部15が備えられていて、回転軸4aの下端部が浸漬される。
なお説明すると、密閉ケース1内上部にメーンフレーム25が設けられ、回転軸4aを回転自在に軸支する。上記回転軸4aの上端部は偏心していて、ここに上記スクロール式圧縮機構部2Cが連結される。上記回転軸4aのスクロール式圧縮機構部2C連結下部にはバランサ26および上記電動機部3が取付けられる。回転軸4a下端には図示しない給油ポンプが設けられていて、油溜り部15内に浸漬する。給油ポンプから給油通路が設けられ、各摺動部位に連通することはここでも変りがない。
上記スクロール式圧縮機構部2Cは、固定スクロール27と、この固定スクロール27と噛合状態にあり回転軸4aの偏心部に回転自在に掛合する旋回スクロール28とから構成される。固定スクロール27および旋回スクロール28ともに、円板状の鏡板部と、それぞれの鏡板部の対向面に一体に突設されインボリュート曲線で形成される渦巻状の翼部を備えている。
上記固定スクロール27は密閉ケース1内壁に圧入状態にあり、密閉ケース内部を上下に区画する。そして、固定スクロール27の鏡板部には導出孔27aが設けられていて、旋回スクロール28との噛合空間と仕切られる密閉ケース上部とを連通する。
上記旋回スクロール28は、上記メーンフレーム25上面に摺動自在に載置されていて、これら旋回スクロール28とメーンフレーム25上面との間には、旋回スクロール28の旋回運動を許容し、回転(自転)運動を規制する図示しないオルダム機構が介設される。
固定スクロール27と旋回スクロール28との翼部相互は、互いの側面一部が複数ヶ所で相互に線状に接触しており、これらで一対の圧縮空間が形成される。旋回スクロール28の旋回運動にともなって縮空間は外周側から中心軸方向へ、位置および空間容量が徐々に変化する。
また、上記メーンフレーム25において、回転軸4aの偏心部と旋回スクロール28の掛合部とが偏心回転するスペースを確保した凹陥部29が設けられる。この凹陥部29からメーンフレーム25の下面に亘って斜めに油逃し孔25aが設けられる。
メーンフレーム25の下面には、回転軸4aに取付けられる上記バランサ26が回転するためのスペースを確保した支持フレーム31が設けられる。支持フレーム31の下面部は回転軸4aに沿って一体に突出形成され、この突部下面にアウターロータ型の電動機部3を構成する固定子16が取付け具32を介して取付け固定される。
固定子16の下端面よりも下方における回転軸部位に、回転子17を構成する傘状支持部材18が嵌着固定される。回転子17の構成は先に説明したものと全く同一であるが、傘状支持部材18が固定子16の下端面よりも下方に取付けられるところから、ここでは端面部fが下部にあり筒部gが上方に突出する略椀型状に形成される。
これに対してカバー部材20Bは、略略椀型状に形成されるとともに、底部20a軸心に孔部iが設けられる。固定子16および回転子17を取付ける以前に、カバー部材20Bは孔部iが回転軸4a端部から介挿され、支持フレーム31の突部を介して支持フレーム31下面に適宜な手段で取付け固定される。カバー部材20Bの底部20aは固定子16と回転子17の上端面を介して傘状支持部材18の筒部gと密閉ケース1内壁との間まで延出され、側面部20bは傘状支持部材18の筒部gと密閉ケース1内壁との間に介在される。
一方、密閉ケース1の上部には冷媒管Pが設けられ、側面部には吸込み管Paが接続される。上記冷媒管Pは冷凍サイクル装置を構成する上記凝縮器Bに接続されており、減圧装置Cを介して蒸発器Dから気液分離器Eに連通される。吸込み管Paは気液分離器Eに連通されていて、ここでは1本の吸込み管Paで気液分離器Eと連通される。
このようにして構成される密閉型圧縮機Abであり、吸込み管Paから低圧の冷媒ガスが密閉ケース1内の固定スクロール27で仕切られた下部空間に導かれ充満する。そのあと、冷媒ガスは固定スクロール27と旋回スクロール28の翼部相互間に形成される一対の圧縮空間に導かれ、旋回スクロール28の旋回運動にともない圧縮空間が徐々に移動するとともに容積が減少することにより圧縮される。
圧縮空間において所定圧まで上昇したところで、固定スクロール27に設けられる導出孔27aから密閉ケース1内に導出され、固定スクロール27で仕切られた密閉ケース1上部空間に充満し、かつ徐々に冷媒管Pから凝縮器Bへ吐出される。
また、回転軸4の回転にともなって油溜り部15の潤滑油が回転軸4a下端部の給油ポンプに吸上げられ、給油通路を介して回転軸4と圧縮機構部2Cとの摺動部位および圧縮機構部2Cを構成する部品の各摺動部位に」給油され、これらの潤滑性を保証する。そのあと、潤滑油は油戻し孔25a等を介して滴下し、密閉ケース1内壁もしくはカバー部材20B外面部に沿って流下して油溜り部15に戻る。
結局、カバー部材20Bを回転子17と隙間を介して対向配置し、静止部材である支持フレーム31に取付け固定したから、給油したあとの潤滑油を確実に油溜り部15に戻して、密閉ケース1から凝縮器Bへの吐油量の大幅減少化を得られるとともに、油溜り部15に集溜される潤滑油の油面は安定化する。長期の使用に亘っても油溜り部15にはほとんど所定量の潤滑油量が確保されて、潤滑油不足による焼損事故の発生はない。
図4は、第4の実施の形態を示す密閉型圧縮機Acの概略の断面図である。先に、第1の実施の形態で説明したのと全く同一の密閉ケース1と、この密閉ケース1内に回転軸4を介して電動機部3と第1の圧縮機構部2Aおよび第2の圧縮機構部2Bとを連結してなる電動圧縮機本体5が収容されること、および密閉ケース1内底部に潤滑油の油溜り部15が備えられることには変りがなく、ここでは図1を適用して新たな説明は省略する。
カバー部材20Cとして、油溜り部15の油面と電動機部3との間に介在される薄板円盤状のものである。周端部は静止部材である密閉ケース1内壁に沿って折曲形成され、スポット溶接など適宜な手段で取付け固定される。軸心部分は開口され、この開口部jに主軸受9が位置していて、開口部jと主軸受9周端部とは間隙が形成される。
このような密閉型圧縮機Acにおいて、電動機部3がアウターロータ型であるところから、回転子4の回転にともなって密閉ケース1内を大きく撹拌し、油溜り部15の油面に強い風圧をかける。その影響で油面が波立ち、潤滑油の一部は油滴となって飛散する。場合によっては、給油ポンプの円滑な給油に支障をきたし、不安定化する。
この実施の形態では、油溜り部15の油面と電動機部3との間にカバー部材20Cを介在させたから、カバー部材20Cが回転子17の回転にともなう風圧を受けて油溜り部15の油面への影響を阻止する。したがって、油面が安定化し、給油ポンプの給油効率の向上化を得られ常に充分な給油が行われる。
なお、上記密閉ケース1は下端が開口するカップ状の上ケース部1Aと、上端が開口するカップ状の下ケース部1Bとを組合せて構成されるものであり、上記第4の実施の形態では下ケース部1Bにカバー部材20Cが取付け固定される。
しかるに、カバー部材20Cの密閉ケース1への取付け構造については上記実施の形態に限定されるものではなく、以下に述べるようにしてもよい。
すなわち、カバー部材20Cとしての位置は変更することなく、周端に形成される折曲部を下ケース部1Bからさらに上方に延出させて上ケース部1Aの内壁に沿わせ、ここでスポット溶接などの手段で取付け固定するようにしてもよい。
あるいは、カバー部材20Cの周端部を上ケース部1Aと下ケース部1Bとの当接部間に介在させ、これらを一体に溶接などの手段で取付け固定するようにしてもよい。
あるいは、カバー部材20Cの開口部j周縁を折曲して静止部材である第1のシリンダ8Aの上面に載置固定するようにしてもよい。この場合、カバー部材20Cの周端と密閉ケース1内壁との間には所定の間隙が形成されることになる。
図5は、第5の実施の形態を示す密閉型圧縮機Adの概略の断面図である。先に、第1の実施の形態で説明したのと全く同一の密閉ケース1と、この密閉ケース1内に回転軸4を介して電動機部3と第1の圧縮機構部2Aおよび第2の圧縮機構部2Bとを連結してなる電動圧縮機本体5が収容されること、および密閉ケース1内底部に潤滑油の油溜り部15が備えられることには変りがなく、ここでは図1を適用して新たな説明は省略する。
カバー部材20Dとして、静止部材である固定子16に取付けられる絶縁巻枠(ボビンとも呼ばれる)30の側面部を突設させてなる。すなわち、固定子16は薄板の電磁鋼板を積層して一体化してなり、中心部から放射状に複数のティース部が突設される。これらティース部に上記絶縁巻枠30が嵌め込まれ、さらに絶縁巻枠30に集中巻の巻線31が施される。
上記カバー部材20Dが絶縁巻枠30の側面部から突設されることで、位置的には回転子17と油溜り部15の油面との間に介在することとなり、回転子17の回転にともなう風圧の影響が油溜り部15の油面に与えることを防止でき、油面の安定化を図れ給油ポンプの給油効率の向上化を得られ常に充分な給油が行われる。
図6(A)は、第6の実施の形態を示す密閉型圧縮機Aeの概略の断面図である。先に、第1の実施の形態で説明したのとは若干の寸法形状の相違があるが、基本的には全く同一の密閉ケース1と、この密閉ケース1内に回転軸4を介して電動機部3と第1の圧縮機構部2Aおよび第2の圧縮機構部2Bとを連結してなる電動圧縮機本体5が収容されること、および密閉ケース1内底部に潤滑油の油溜り部15が備えられることには変りがなく、ここでは図1を適用して新たな説明は省略する。
カバー部材20Eは、先に第1の実施の形態ないし第5の形態で説明したものとは全く逆に、略椀型に形成されている。底部20aの中心部は開口され、この開口部kは絶縁巻枠30に嵌め込まれる。さらに、底部20aは後述する手段によって静止部材である固定子16に取付け固定されていて、固定子16の下端面を覆うとともに、回転子17の外周面と密閉ケース1内壁との間に、それぞれ所定の間隙を存して延出される側面部20bを備えている。カバー部材20Eの上端は開放され、かつ回転子17を構成する傘状支持部材18の端面部fと略同一高さになるよう寸法設定されている。
図6(B)は、カバー部材20Eの概略の平面図である。
カバー部材20Eの底部20aには、端子板部33が一体に設けられている。この端子板部33には、口出し線収容溝34が全周に亘って設けられるとともに、この口出し線収容溝34に複数ヶ所の口出し線受部35を備えていて、複数本の樹脂被覆線からなる口出し線36の中途部が嵌め込まれる。
すなわち、口出し線36は口出し線収容溝34に沿って引き回され、口出し線受け部35に固定保持されて、先端が端子板部33から延出される。端子板部33から出たところで複数本の口出し線36が捩じられ、この先端部にクラスタ端子とハウジングを一体にしたクラスタ組立て(コネクタ)37が接続される。なお、カバー部材20Eの底部20aには、上記口出し線受け部35と対向する部位に、それぞれ図示しない凹部が設けられている。
上記口出し線36は、再び図6(A)に示すようにカバー部材20Eの底部20aから側面部20bに沿って延出され、口出し線36の端部に設けられるクラスタ組立て37は密閉ケース1の上部に取付けられる圧接形端子38に接続される。
図6(C)は、固定子16一部の斜視図である。
固定子16を構成するティース部に巻装した巻線31の端部は、固定子16上に一体に設けられる巻線受け40に装着され、かつこの巻線受け40に取付けられる圧接形端子38に挿入されることにより、圧接形端子38の一方端に設けられる圧接スロット38aにより巻線31の被覆が剥がされる。したがって、巻線31端部と圧接形端子38とが電気的に接続されるとともに、巻線31端部が巻線受け40に固定される。
そして、先に説明したカバー部材20Eにおける端子板部33を固定子16に対し位置合わせをして嵌め込む。端子板部33の口出し線収容溝34に引き回された口出し線36は、圧接形端子38の他方の端部に設けられる圧接スロット38bに圧入され、かつ電気的に接続される。この状態で圧接形端子38はカバー部材20Eの底部20aに設けられる凹部内に挿入される。
図6(D)は、圧接形端子38の両端の圧接スロット38a,38bに巻線31および口出し線36を接続した状態を示す斜視図である。
上述の構成から、圧接形端子38は、上部側の圧接スロット38aで巻線31端末と接続し、下部側の圧接スロット38bで口出し線36と接続する。したがって、圧接形端子38を介して巻線31と口出し線36とを固定でき、かつ巻線31と口出し線36との電気的な接続をなす。
このようにして、固定子16における第1の圧縮機構部2A側の端面に、回転子16下端面を覆う状態でカバー部材20Eを取付けたから、回転子17による密閉ケース1内部の撹乱が軽減され、冷媒ガスと潤滑油との分離が良好化する。密閉ケース1内上部で分離された潤滑油は、密閉ケース1とカバー部材20における側面部20bとの間の撹拌されない空間を流下して容易に油溜り部15に戻ることができる。
また、カバー部材20Eの底部20aに口出し線36を保持する構造を備えたので、別途、専用の口出し線保持部材を用意する必要がなく、部品費の削減化を図れる。口出し線36をカバー部材20Eの底部20aから側面部20bに沿って配線したので、狭い空間スペースであるが、周辺部に接触することなく確実に密閉ケース1上部に取付けられる密封端子Tまで延出させることができる。
なお、上述の実施の形態では、カバー部材20Eの側面部20bと密閉ケース1内壁とは全周に亘って間隙を存するようにしたが、これに限定されるものではなく、たとえばカバー部材20Eの側面部20bに複数の位置決め用突部を備えて、密閉ケース1内壁に当接させる構造となしてもよい。
この場合、全ての位置決め用突部の突出寸法を一定に揃えれば、カバー部材側面部20bと密閉ケース1内壁との間が全周に亘って均一な間隙寸法を保持するよう、カバー部材20Eを位置決めすることができる。そして、カバー部材20Eを固定子16に取付けた状態でのカバー部材20Eの傾きを修正して、カバー部材20Eが回転子17に接触することを確実に防止できる。
また、上述の実施形態では、カバー部材20Eの上端を開放したが、これに限定されるものではなく、カバー部材20Eの上端開口部を別部材の回転子端部カバーで覆うようにしてもよい。このような構成を採用することにより、回転子17の回転にともなう密閉ケース1内部の撹乱がさらに軽減され、吐油量が減少する。
図7は、第7の実施の形態を示す密閉型圧縮機Afの概略の断面図である。先に、第1の実施の形態で説明したのとは若干の寸法形状の相違と、ここでは1シリンダの圧縮機構部2を収容していることが相違しているが、基本的には全く同一の密閉ケース1と、この密閉ケース1内に回転軸4を介して電動機部3と圧縮機構部2とを連結してなる横型の電動圧縮機本体5Bが収容されること、および密閉ケース1内底部に潤滑油の油溜り部15が備えられることには変りがなく、ここでは図1を適用して新たな説明は省略する。
カバー部材20Fは、先に第6の実施の形態で説明したものと同様、略椀型に形成されている。カバー部材底部20aは圧縮機構部2における静止部材であるシリンダ8上に適宜な手段で取付け固定され、底部20aに設けられる開口部mは主軸受9外周と間隙を存している。
カバー部材側面部20bは、回転子17の外周面とは狭小の隙間を存し、および密閉ケース1内壁とは所定の隙間を存して介在される。カバー部材20Fの上端は開放され、回転子17を構成する傘状支持部材18の端面部fと略同一高さになるよう寸法設定されている。
このようなカバー部材20Fの開放端と傘状支持部材18の端面部fと所定の隙間を介して平行に、補助カバー部材42が設けられる。したがって、上記回転子17の下端面から側面部に亘ってカバー部材20Fが対向配置され、上端面には補助カバー部材42が対向配置されることになる。
上記補助カバー部材42は薄板状をなし、周端部が折曲され、この折曲部が密閉ケース1内壁に適宜な手段で取付け固定される。補助カバー部材42は密閉ケース1内部を上下に仕切るが、この中心部にはガス吐出口43が開口され、周端部には複数の油戻り孔44が所定のピッチをもって設けられていて、これらガス吐出口43と油戻り孔44を介して補助カバー42の上下空間が連通される。
このような構成であるから、圧縮機構部2から吐出された圧縮ガスは潤滑油の油滴を混合した状態でマフラーaからカバー部材20Fで囲まれる空間部へ導かれる。そして、固定子16と回転子17との隙間や、回転子17とカバー部材20Fとの隙間を流通し、補助カバー部材42に衝突する。回転子17が回転駆動されているので、補助カバー部材42下部に充満する圧縮ガスから潤滑油分が分離される。圧縮ガスはガス吐出口43を介して補助カバー部材42の上部空間に充満してから、順次、上記凝縮器Bへ導かれる。潤滑油分はカバー部材20F外面と密閉ケース1内壁に沿って流下し油溜り部15に戻る。
結局、カバー部材20Fおよび補助カバー部材42を回転子17と隙間を介して対向配置し、静止部材であるシリンダ8と密閉ケース1に取付け固定したから、給油したあとの潤滑油を確実に油溜り部15に戻して、密閉ケース1から凝縮器Bへの吐油量の大幅減少化を得られるとともに、油溜り部15に集溜される潤滑油の油面は安定化する。長期の使用に亘っても油溜り部15にはほとんど所定量の潤滑油量が確保されて、潤滑油不足による焼損事故の発生はない。
図8は、第8の実施の形態を示す密閉型圧縮機Agの概略の断面図である。先に、第7の実施の形態で説明した密閉型圧縮機Afが縦長状であるのに対して、そのまま横置き型にしている。したがって、基本的には全く同一の密閉ケース1と、この密閉ケース1内に回転軸4を介して電動機部3と圧縮機構部2とを連結してなる電動圧縮機本体5Bが収容されること、および密閉ケース1内底部に潤滑油の油溜り部15が備えられることには変りがなく、ここでは図7を適用して新たな説明は省略する。
なお、密閉ケース1を横置きにした関係上、回転軸4が油溜り部15の油面と平行になり、給油ポンプが油面とは離間した位置に変る。そこで、潤滑油を吸上げるための吸上げ管45が回転軸4端部の給油ポンプ部位と油溜り部15の潤滑油中との間に設けられる。
カバー部材20Gは、先に第7の実施の形態で説明したものと同様、略椀型に形成されていて、底部20aは圧縮機構部2を構成する静止部材であるシリンダ8に適宜な手段で取付け固定され、底部20aに設けられる開口mは主軸受9外周と間隙を存している。このカバー部材20Gの中心軸から油溜り部15に浸漬される下部側に亘る半円状部分は、傘状支持部材18の端面部fと所定間隔を存した位置で折曲形成される。すなわち、カバー部材20Gは回転子17の端面とは所定の隙間を介して対向配置する半円部20cを備えている。
回転子17にとっては、中心軸から下半分部分がカバー部材20Gとシリンダ8とによって囲撓され、位置的には油溜り部15の潤滑油中に浸漬する位置にあるが、実際には半円部20cを備えたカバー部材20Gとシリンダ8との隙間から浸入する潤滑油がわずかに存在する程度となる。
このようなカバー部材20Gを備えた密閉型圧縮機Agの構成であるので、横置き型であるにも関わらず回転子17の回転にともなう油溜り部15の潤滑油が撹拌されず、油面の安定化が得られる。カバー部材20G内に浸入してきた潤滑油は、回転子17の回転によってカバー部材20Gから外部へ跳ね飛ばされ、油溜り部15に効率よく戻る。
また、カバー部材20Gにおいて、油溜り部15の油面よりも高い部位に複数の透孔46を設けることにより、カバー部材20G内にあって回転子17の回転にともなって跳ね飛ばされる油を、上記透孔46を介してカバー部材20G外部へ排出案内できる。したがって、カバー部材20G内に浸入した潤滑油の排出がより効率よくなされる。
なお、上記カバー部材20Gの内面に螺旋状の溝部を設けることによって、カバー部材20G内面に付着した油滴が回転子17の回転による気流の流れで上記螺旋状溝に案内され、効率よくカバー部材20G外部へ排出案内できる。したがって、より効率よく信頼性に優れた密閉型圧縮機20Gを提供できる。
図9ないし図12は、第9の実施の形態における、それぞれ異なる密閉型圧縮機Ah〜Akの模式的な断面図を示す。
図9に示す密閉型圧縮機Ahにおいては、密閉ケース1A内に回転軸4を介して電動機部3Aと圧縮機構部2が連結された電動圧縮機本体5が収容される。ここでは電動機部3Aとして、密閉ケース1A内壁に固定子が取付け固定され、回転軸4に回転子が取付け固定されて、回転子の外径面と固定子の内径面とが所定の間隙を存して対向する、いわゆるインナーロータ型のものを想定しているが、上述したようにアウターロータ型のものであってもよい。
密閉ケース1Aは、上記電動圧縮機本体5を収容するケース本体50と、このケース本体50の下部に一体に設けられる気液分離部51からなる。上記ケース本体50は、高さ寸法と外径寸法との比が1.5以下に設定されている。上記気液分離部51は、先に第1の実施の形態で説明したように蒸発器Dと密閉型圧縮機Aとの間に設けられる気液分離器Eをそのまま移動したものであり、同一の作用効果をなす。
したがって、極端に密閉ケース1Aの高さ寸法を大に設定する必要がなく、密閉型圧縮機Ahとして全体がシンプル化できる。気液分離部51を一体に備えたので、空気調和機に搭載した状態において本来の気液分離器Eの配置に必要なスペースを省略でき、その気液分離器Eの下部側にあったデッドスペースの削減が可能となる。
なお、密閉ケース1Aはケース本体50と気液分離部51とを一体成形したものとして説明したが、これに限定されるものではなく、ケース本体のみ単体で構成し、椀状のシェルをケース本体底部に嵌め込んで密封し、シェル内部空間を気液分離部とする密閉型圧縮機であってもよい。
また、図10に示す密閉型圧縮機Aiにおいて密閉ケース1Bは、アウターロータ型電動機部3と圧縮機構部2とを回転軸4で連結してなる電動圧縮機本体5を収容するケース本体50Aと、このケース本体50Aの下部に一体に設けられる気液分離部51Aからなる。
上記ケース本体50Aは上ケース部52aと下ケース部52bとから構成され、これらの開口端をシリンダ8の周面で嵌め合わされる。さらに、気液分離部51Aを構成する椀状のシェル52cの開口端を、上下ケース部50a,50bの嵌め合い部分に重ねて嵌め合わせたあと、これら部分を溶接等の手段で一体に取付け固定する構成が採用される。この場合、同時溶接が可能となり、製造性が向上する。
また、図11に示す密閉型圧縮機Ajにおいては、密閉ケース1Cは、アウターロータ型電動機部3と圧縮機構部2とを回転軸4で連結してなる電動圧縮機本体5を収容するケース本体50Bと、このケース本体50Bの下部に一体に設けられる気液分離部51Bとからなる。
ケース本体50Bは、上ケース部50dと下ケース部50cとからなり、下ケース部50cの直径を上ケース部50dの直径よりも小に設定して、ケース本体50Bとして段状に形成する。椀状のシェル50eは上ケース部50dの直径に合わせて形成され、上ケース部50d下端と下ケース部50c上端および椀状シェル50e上端が一体に溶接固定される。なお、椀状シェル50eの上端を水平に折曲形成して上下ケース部50d,50eの開口端と溶接することにより、溶接の信頼性が向上する。
このような構造であれば、密閉型圧縮機Ajとしての全体形状を大きくすることなく、椀状シェル50e内の気液分離部51Bの容量を大きくすることができる。さらにそのうえ、下ケース部50cは底部が断面半円状に形成され、この頂部が椀状シェル50eの底部に当接し、かつ互いに溶接固定する構造となす。特に気液分離部51Bにおいての剛性の増大化を得られ、圧縮機構部2の作動にともなう騒音の抑制化を図れる。
図12に示す密閉型圧縮機Agにおいて密閉ケース1Dは、ケース本体50Cを構成する下ケース部50fの直径を上ケース部50dの直径よりも小に設定し、ケース本体50Cとして段状に形成する。椀状のシェル50eは上ケース部50dの直径に合わせて形成され、下ケース部50f下端とは間隙を存している。圧縮機構部2に吸込み管Pzの一端が接続されていて、椀状シェル50e内の気液分離部51C内に他端が開口される。
上記吸込み管Pzは、圧縮機構部2に接続される部位から上方へ屈曲形成されていて、この高さ位置は下ケース部50fに形成される潤滑油の油溜り部15Aの油面よりも高くなるよう設定される。このことにより、密閉型圧縮機Akの停止時に油溜り部15Aの潤滑油が吸込み管Pzを介して気液分離部51Cへ戻ることを確実に阻止できる。
なお、上記吸込み管Pzは圧縮機構部2から直状に延出し、一旦椀状シェル50eから外部へ出て、再び椀状シェル50eを貫通して気液分離部51C内に開口端を位置させるとともに、外部にある位置には開閉弁を備えるようにしてもよい。この場合、圧縮機の運転停止時に開閉弁を閉成することにより、油溜り部15Aの潤滑油が気液分離部51Cに戻ることを確実に阻止できる。
また、この実施の形態において下ケース部50fを、少なくとも二重構造とすることにより、気液分離部51C内の吸込みガスが、ケース本体50C内に充満する高温高圧の冷媒ガスによる熱伝熱によって過熱することを防止し、圧縮機のエネルギ効率の向上化を得られる。
図13ないし図15は、第10の実施の形態における、それぞれ異なる密閉型圧縮機Am〜Aoの模式的な断面図を示す。
図13および図14の密閉型圧縮機Am,Anは、先に、第1の実施の形態で説明したアウターロータ型電動機部3とは相違して、インナーロータ型の電動機部3Aを示しているが、これまで説明したアウターロータ型電動機部に換えても何ら支障がない。なお、図15の密閉型圧縮機Aoにおいてはアウターロータ型の電動機部3を適用している。
そして、図13に示す密閉型圧縮機Amでは、基本的には第1の実施の形態と全く同一の密閉ケース1と、この密閉ケース1内に回転軸4を介して電動機部3A,3および2シリンダタイプの第1、第2の圧縮機構部2A,2Bを連結してなる電動圧縮機本体5が収容されること、および密閉ケース1内底部に潤滑油の油溜り部15が備えられることには変りがなく、ここでは図1を適用して新たな説明は省略する。
密閉ケース1上端面にドーナツ型の気液分離器Eaが載設される。第1、第2の圧縮機構部2A,2Bに接続される吸込み管Pa,Pbは水平姿勢で密閉ケース1を貫通し、ケース外部においてケース側部に沿って折曲され、上方部位に位置する気液分離器Eaに挿通される。図示しない蒸発器Dから延出される冷媒管Pは吸込み管Pa,Pbとは中心軸を介して対称の部位に挿通される。密閉ケース1の上端に接続される吐出側の冷媒管Pはドーナツ状の気液分離器Eaの内部空間に挿通され、図示しない凝縮器Bに連通する。
このような構成であるので、第1の実施の形態における密閉型圧縮機Aの側部に気液分離器Eを配置するための大きな空間スペースが不要となって、密閉型圧縮機Am全体の横幅が小さくてすむ。この密閉型圧縮機Amでは全体的に円形となって空気調和機への搭載組込み性が向上する。さらに、気液分離器Eaによって発生する騒音が減少し、密閉型圧縮機Amとしての騒音低減化を得られる。
気液分離器Eaと第1、第2の圧縮機構部2A,2Bを連通する吸込み管Pa,Pbを圧縮機Amの中心寄りに配置すれば、回転振動の半径が小さくなり、振幅が減少する。すなわち、吸込み管Pa,Pbに接続される配管の振動を減少させ、騒音の低減を得られるとともに、振動による配管の折損を防止できる。
図14に示す密閉型圧縮機Anでは、密閉ケース1Eを除いて基本的には第1の実施の形態と全く同一の構成をなしている。すなわち、回転軸4を介して電動機部3Aおよび2シリンダタイプの第1、第2の圧縮機構部2A,2Bを連結してなる電動圧縮機本体5が収容されること、密閉ケース1内底部に潤滑油の油溜り部15が備えられることには変りがなく、ここでは図1を適用して新たな説明は省略する。
密閉ケース1Eは、上端部55のみ直径が細く形成され、かつこの頂部に吐出側の冷媒管Pが接続されるとともに、密封端子Tが取付けられる。気液分離器Eaはドーナツ状であることは変りがなく、この中空部が密閉ケース1Eの上端細径部55に介挿される。このような構成であれば、上述の効果に加えて密閉型圧縮機Anと気液分離器Eaとの合計高さがより小さくなって、配置に必要なスペースの低減化を得られる。
図15の密閉型圧縮機Aoにおいては、基本的には図14の密閉型圧縮機Anと同一構造をなしていて、上述したようにアウターロータ型の電動機部3が備えられることが相違している。
ここでは、気液分離器Ea内での第1、第2の吸込み管Pa,Pb端部に小孔からなる油戻し孔56が設けられることと、上記蒸発器Dに連通し気液分離器Ea内に挿入される冷媒管Pの開口端部に有底筒状の金網体からなるフィルタ57が取付けられていることが特徴である。上記フィルタ57の気液分離器Ea内への突き出し量(図のh)は、気液分離器Ea全体高さの30%以上としている。
インナーロータ型電動機部3Aを搭載した密閉型圧縮機、たとえばAnと比較して、アウターロータ型電動機部3を搭載した密閉型圧縮機Aoは背低化が図れる一方で、横幅が拡大してしまう。このような密閉型圧縮機Aoのさらに側部に第1の実施の形態で説明したように気液分離器Eを配置すると、全体の横幅寸法が極めて大となり配置スペースに関わる設計上の難点となってしまう。
その点、図15の密閉型圧縮機Aoの構成を採用すれば、全体の横幅寸法を抑えて配置スペースに余裕が出る。しかも、各吸込み管Pa,Pbに油戻し孔56を設けたので、気液分離器Ea内の潤滑油を効率よく圧縮機Aoに戻すことができ、油戻りの良好化により油切れの確実な防止が図れる。そして、気液分離器Ea内の冷媒管P端部にフィルタ57を被せた。この近傍に上記吸込み管Pa,Pbがないところから、フィルタ57の有効面積を長手方向に大きくとれ、目詰まりし難く流路抵抗が少ない気液分離器Eaを提供できる。
図16ないし図18は、第11の実施の形態における、それぞれ異なる構造の気液分離器Eb〜Edを備えた密閉型圧縮機Apであり、気液分離器Eb〜Edと密閉型圧縮機Ap一部の模式的な断面図を示す。
ここでは、後述するように気液分離器Eb〜Edの構造に特徴があって、密閉型圧縮機Apは先に説明したアウターロータ型電動機部3を備えていてもよく、またインナーロータ型電動機部3Aを備えていてもよい。ただし、密閉ケース1Fを構成する上部ケース60は断面略山形状に形成されていて、この傾斜面60aの所定部位に密封端子Tが取付けられることが共通する。
図16(A)(B)に示す気液分離器Ebは、密閉型圧縮機Apの密閉ケース1Fを構成する上部ケース60の頂部60b上に載設される。気液分離器Ebは、平面視では略半円状をなしていて、この側面部65の略中央部は半円状に凹陥形成され、密閉ケース1Fの上部ケース60に接続される吐出側の冷媒管Pが、上記凹陥部66に沿って挿通する。
上記気液分離器Ebは、断面が略矩形の箱状に形成されていて、外側周面67は上部ケース60周面より僅かに外側へ突出している。ただし、上記密封端子Tとは反対側の部位に取付けられているので、互いに干渉しない。
気液分離器Ebの上面には、冷凍サイクルの図示しない蒸発器と連通する吸込み側の冷媒管Pが接続される。気液分離器Ebの外側周面67で、かつ底隅部には図示しない第1、第2の圧縮機構部2A,2Bに接続される吸込み管Pa,Pbが斜めに貫通して内部に延出される。
このような気液分離器Ebは、平面視で半円状をなし、断面が矩形箱状であるから、上述のドーナツ形状の気液分離器Eaと比較して外形が小さくなり、しかも容積を大きく確保できる。充分な密閉空間を有することとなり、確実な気液分離機能を備える。換言すれば、気液分離器Eaを小型化できて使用材料が少なくてすみ、安価に提供できる。
そして、密閉ケース1Fの上部ケース60において気液分離器Ebと反対側の部位に密封端子Tが取付けられているので、密封端子Tにリード線を接続するにあたって何らの邪魔なものがなく、リード線の接続作業性が良好となる。
図17(A)(B)に示す気液分離器Ecは、先に図16図(A)(B)で説明した気液分離器Ebとは平面視形状が同一であり、密閉型圧縮機Apに対する平面的な寸法構造および、上部ケース60の傾斜面60aで上記密封端子Tとは反対側部位に載設されることは、全く同一である。
気液分離器Ecの側面部65略中央に半円状の凹陥部66が形成され、ここに吐出側の冷媒管Pが挿通すること、上面に蒸発器と連通する吸込み側の冷媒管Pが接続されること、および底隅部には第1、第2の圧縮機構部2A,2Bに接続される吸込み管Pa,Pbが貫通して内部に延出されることは変りがない。
なお、気液分離器Ecの上面部68は断面半円凸状に形成され、かつ底部69の断面形状が上部ケース60の断面形状と一致するよう形成される。
上記気液分離器Ecは、先に図16(A)(B)で説明した気液分離器Ebと同一の効果を得られるうえに、気液分離器Ecの底部69を上部ケース60と同一の断面形状としたことで、気液分離器Ecと密閉ケース1Fとの間に無駄な空間がなくなり、さらに気液分離器Ecの容積を大きく確保できて全高を低くできる。また、気液分離器Ecの上面部68を断面半円凸状となすことにより、耐圧性が向上する。換言すれば、同一の耐圧性において材料の薄肉化を図ることができ、安価にして軽量化を図れる。
図18(A)(B)に示す気液分離器Edは、先に図17(A)(B)で説明した気液分離器Ecとは平面視および断面構造とも近似的である。
すなわち、気液分離器Edは平面視では外周面67が密閉ケース1Fの上部ケース60外側周面よりも僅かに突出していて、上部ケース60の傾斜面60aに取付けられる上記密封端子Tとは反対側部位に載設される。
ただし、気液分離器Edの底部69Aは、上部ケース60の傾斜面60aおよび頂部60bに沿う形状をなす。特に、図18(A)の平面視で示すように、側面部65Aは頂部60bの全てをカバーし、かつ平面視で直状に形成されていて、先に説明した凹陥部66を備えていない。
頂部60bの略中央部と対向する気液分離器Ed部位には、案内パイプ70が設けられている。この案内パイプ70は、上端部と下端部が気液分離器Edの上面部68Aと底部69Aに設けられる孔部に嵌め込まれ、溶接などの手段で固着される。凝縮器と連通する吐出側の冷媒管Pが上記案内パイプ70内に挿通され、頂部60bの略中央部に接続される。
なお、気液分離器Edの上面に蒸発器と連通する吸込み側の冷媒管Pが接続されること、および底隅部には第1、第2の圧縮機構部2A,2Bに接続される吸込み管Pa,Pbが貫通して内部に延出されることは変りがない。
このような気液分離器Edは、先に図17(A)(B)で説明した気液分離器Ecよりも密封端子T側へ突出形成されるので、さらに容積の増大化を図ることができ、密閉型圧縮機Apと気液分離器Edとの全体的な高さ寸法の縮小化を得られる。気液分離器Edの側面部65Aが平面視で直状に形成されるので、形状がより単純になり、製造がし易くなる。
吐出側の冷媒管Pを密閉ケース1Fの上部ケース60略中心部に接続している。すなわち、一般的な密閉型圧縮機においては、密閉ケースを構成する上部ケースの断面形状に係らず、この略中心部に吐出側の冷媒管が接続されている。これは、吐出側の冷媒管を上部ケースの略中心部に接続することで、圧縮機からの潤滑油の吐油量増大を抑制できることが経験則として知られているからである。ここでも、上記気液分離器Edの構成を採用することにより、圧縮機Apからの潤滑油の吐油量増大を抑制できる。
また、本発明は上述した実施の形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。そして、上述した実施の形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより種々の発明を形成できる。
本発明における第1の実施の形態に係る、冷凍サイクル構成図と密閉型圧縮機の概略断面図。 本発明における第2の実施の形態に係る、密閉型圧縮機の概略断面図。 本発明における第3の実施の形態に係る、密閉型圧縮機の概略断面図。 本発明における第4の実施の形態に係る、密閉型圧縮機の概略断面図。 本発明における第5の実施の形態に係る、密閉型圧縮機の概略断面図。 本発明における第6の実施の形態に係る、密閉型圧縮機の概略断面図と、カバー部材の平面図と、固定子の一部斜視図および圧接形端子の斜視図。 本発明における第7の実施の形態に係る、密閉型圧縮機の概略断面図。 本発明における第8の実施の形態に係る、密閉型圧縮機の概略断面図。 本発明における第9の実施の形態に係る、密閉型圧縮機の概略断面図。 同実施の形態に係る、異なる構成の密閉型圧縮機の概略断面図。 同実施の形態に係る、さらに異なる構成の密閉型圧縮機の概略断面図。 同実施の形態に係る、さらに異なる構成の密閉型圧縮機の概略断面図。 本発明における第10の実施の形態に係る、密閉型圧縮機と気液分離器の概略断面図。 同実施の形態に係る、異なる密閉型圧縮機と気液分離器の概略断面図。 同実施の形態に係る、さらに異なる構成の密閉型圧縮機の概略断面図。 本発明における第11の実施の形態に係る、密閉型圧縮機一部と気液分離器の概略断面図。 同実施の形態に係る、異なる構造の気液分離器と密閉型圧縮機一部の概略断面図。 同実施の形態に係る、さらに異なる構造の気液分離器と密閉型圧縮機一部の概略断面図。
符号の説明
1…密閉ケース、4…回転軸、3…電動機部、2A…第1の圧縮機構部、2B…第2の圧縮機構部、5…電動圧縮機本体、15…油溜り部、16…固定子、17…回転子、20…カバー部材、T…密封端子、37…クラスタ組立て(コネクタ)、36…口出し線、31…巻線、38…圧接形端子、42…補助カバー部材、E…気液分離器、A…密閉型圧縮機、B…凝縮器、C…膨張装置、E…蒸発器。

Claims (6)

  1. 密閉ケース内に、回転軸を介して電動機部と圧縮機構部とを連結してなる電動圧縮機本体が収容されるとともに、密閉ケース内底部に潤滑油の油溜り部が備えられ、
    上記電動機部は、固定子と、この固定子の外周面と所定の間隙を存して配置され上記回転軸に取付けられる回転子とからなるアウターロータ型に構成され、
    上記回転子と隙間を介して対向配置され、電動機部の作動にともなう密閉ケースからの吐油を規制し、油溜り部での油の飛散を防止するカバー部材が、上記密閉ケース、上記圧縮機構部もしくは上記固定子のいずれかに取付け固定されることを特徴とする密閉型圧縮機。
  2. 上記カバー部材は、上記回転子の一端面から側面に亘って隙間を介して対向する、略カップ状に形成されることを特徴とする請求項1記載の密閉型圧縮機。
  3. 上記密閉ケースに密封端子が設けられ、上記カバー部材の一端側に上記密封端子と接続するコネクタを備えた口出し線が配置され、上記口出し線の他端部と固定子の巻線端部とが圧接形端子により接続されることを特徴とする請求項2記載の密閉型圧縮機。
  4. 上記回転子の他端面とは隙間を介して、補助カバー部材が対向配置されることを特徴とする請求項2記載の密閉型圧縮機。
  5. 上記密閉ケースの上部もしくは下部のいずれかに気液分離器が設けられることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の密閉型圧縮機。
  6. 請求項1ないし請求項5に記載の密閉型圧縮機と、凝縮器と、膨張装置と、蒸発器および気液分離器とが冷凍サイクルを構成するよう連通されることを特徴とする冷凍サイクル装置。
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