JP5374229B2 - 密閉型圧縮機、冷凍サイクル装置 - Google Patents

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Description

本発明は密閉型圧縮機及び冷凍サイクル装置に係り、特に潤滑油が密閉容器外に排出されるのを防ぐ構造に改良した密閉型圧縮機及びこれを用いた冷凍サイクル装置に関する。
一般に冷凍サイクル装置に用いられる縦型密閉型圧縮機は、密閉容器内の下部側に圧縮機構部が収容され、上部側に電動機部が収容された構造になっており、これら圧縮機構部と電動機部は回転軸を介して連結される。
上記密閉容器の内底部には、潤滑油を集溜する油溜り部が設けられている。また、上記電動機部に通電して回転軸が回転駆動されると圧縮機構部が作動し、圧縮機構部に直接冷媒ガスが吸込まれる。
圧縮された冷媒ガスは高温高圧化されて、一旦、密閉容器内へ吐出される。密閉容器内に充満する高温高圧の冷媒ガスは、密閉容器に接続される吐出管から導出され、冷凍サイクルを構成する凝縮器に導かれる。
圧縮機構部から密閉容器内に吐出される冷媒ガスには、圧縮機構部に給油され潤滑性を保持する潤滑油の油分が含まれている。
そのため、ガス分と油分との混合粒子となって密閉容器内に吐出されるので、そのままの状態で吐出管から冷凍サイクルへ導出されると、油溜り部の潤滑油に不足が生じ、ついには潤滑性が損なわれ、圧縮機の油上がり故障や多量の潤滑油が熱交換器の効率を低下させてしまう不具合を生じさせる。
そこで、電動機部の回転子や回転軸に、油分離部材である油分離ディスクを設けたものが提案されている(例えば、特許文献1など)。
この特許文献1に記載のものは、回転軸の上部に回転軸とともに回転する油分離ディスクが取着されており、この油分離ディスクと対向して吐出管が設けられている。
このため、上記油分離ディスクでは、密閉容器内部へ吐出された油分を含む冷媒ガスが、回転する油分離ディスクに衝突し、遠心力によって、油分が周囲に飛散することによりガス分と油分とに分離される。ガス分は比重が軽いので、吐出管に吸込まれ冷凍サイクル機器に導かれる。油分は密閉容器と電動機部の隙間等を介して油溜り部へ流下し、油分離作用がなされる。
しかしながら、上記油分離ディスクは、圧縮機構部の排除容積や運転周波数が増大したり、冷媒として、高低圧差の大きい冷媒を使用した場合には、油分離効果が十分ではなく、吐出管から冷凍サイクルへ導出される潤滑油量を十分に低減することができない問題がある。
また、近年、圧縮ガスの高圧化、インバータ制御などによる遠心力による回転軸のたわみを防止するために、電動機部の上部に設けた第3の軸受により回転軸の上端近傍を軸支し、さらに、第3の軸受と電動機間に油分離部材を兼ねる円盤を設け、この円盤に圧縮機構部から吐出された冷媒を衝突させてオイルを分離している(例えば、特許文献2など)。
この特許文献2の密閉型圧縮機のように、電動機部の上部に第3の軸受を設けることで、冷媒ガスの通路を狭め、通過するガス流速が上昇し、油粉が成長することなく、吐出管に対向する上部空間に運ばれてしまう問題がある。
これらの理由により、圧縮機の油上がり故障が発生し、さらに、熱交換器の効率が低下する問題がある。
特開平5−332276号公報 特開2004−3406号公報
本発明は上述した事情を考慮してなされたもので、圧縮ガスの高圧化、インバータ制御などによる遠心力による回転軸のたわみを防止するために、密閉容器一端と電動機部との間に、軸受を設けた密閉型圧縮機であっても、油分離効果が十分で、吐出管から冷凍サイクルへ導出される潤滑油量を十分に低減することができ、圧縮機の油上がり故障をなくし、熱交換器の効率を向上させることができる密閉型圧縮機を提供することを目的とする。
また、圧縮ガスの高圧化、インバータ制御などによる遠心力による回転軸のたわみを防止するために、密閉容器一端と電動機部との間に、軸受を設けた密閉型圧縮機であっても、油分離効果が十分で、吐出管から冷凍サイクルへ導出される潤滑油量を十分に低減することができ、圧縮機の油上がり故障をなくし、熱交換器の効率を向上させることができる密閉型圧縮機を備えた冷凍サイクル装置を提供することを目的とする。
上述した目的を達成するため、本発明に係る密閉型圧縮機は、一端に吐出管を設けた密閉容器内の一端側に、固定子と回転子とからなる電動機部を収納するとともに、前記密閉容器の他端側に回転軸を介して前記電動機部により駆動される圧縮機部を収納し、前記密閉容器一端と電動機部との間に、前記回転軸を軸支する軸受を設けた密閉型圧縮機において、前記軸受と前記回転子間に第1の油分離部材を設けるとともに、前記密閉容器一端と前記軸受間に、前記回転軸に取着された第2の油分離部材を設け、前記固定子外周面と前記密閉容器内周面間に外周通路を形成し、前記軸受を保持する軸受保持部材を設け、前記軸受は転がり軸受を備え、この転がり軸受を保持する前記軸受保持部材に前記転がり軸受けの軸方向の前記一端側への移動を規制するストッパを形成するとともに、前記転がり軸受の軸方向の他端側への移動を前記第1の油分離部材で規制することを特徴とする。
また、上述した目的を達成するため、本発明に係る冷凍サイクル装置は、上記密閉型圧縮機と、凝縮器と、膨張装置と、蒸発器を備える。
本発明に係る密閉型圧縮機によれば、圧縮ガスの高圧化、インバータ制御などによる遠心力による回転軸のたわみを防止するために、密閉容器一端と電動機部との間に、軸受を設けた密閉型圧縮機であっても、油分離効果が十分で、吐出管から冷凍サイクルへ導出される油量を十分に低減することができ、圧縮機の油上がり故障をなくし、熱交換器の効率を向上させることができる密閉型圧縮機を提供することができる。
また、本発明に係る冷凍サイクル装置によれば、圧縮ガスの高圧化、インバータ制御などによる遠心力による回転軸のたわみを防止するために、密閉容器一端と電動機部との間に、軸受を設けた密閉型圧縮機であっても、油分離効果が十分で、吐出管から冷凍サイクルへ導出される油量を十分に低減することができ、圧縮機の油上がり故障をなくし、熱交換器の効率を向上させることができる密閉型圧縮機を備えた冷凍サイクル装置を提供することができる。
本発明の一実施形態に係る密閉型圧縮機を搭載した冷凍サイクル装置の概念図。 本発明の一実施形態に係る密閉型圧縮機の縦断面図。 本発明の一実施形態に係る密閉型圧縮機に用いる固定子の平面図。 本発明の一実施形態に係る密閉型圧縮機に用いる軸受取付部材と軸受の平面図。 本発明の一実施形態に係る密閉型圧縮機に用いる軸受取付部材と軸受の縦断面図。 本発明の一実施形態に係る密閉型圧縮機に用いる軸受保持部材の平面図。 本発明の一実施形態に係る密閉型圧縮機に用いる軸受保持部材の縦断面図。 本発明の一実施形態に係る密閉型圧縮機に用いる軸受保持部材で固定子を覆った状態の平面図。 本発明の一実施形態に係る密閉型圧縮機に用いる固定子の固定子貫通孔にキャップを取り付けた状態を示す平面図。 本発明の一実施形態に係る密閉型圧縮機に用いる固定子の固定子貫通孔に取り付けるキャップの斜視図。 本発明の一実施形態に係る密閉型圧縮機に用いる転がり軸受の取付構造の第1変形例を示す縦断面図。 本発明の一実施形態に係る密閉型圧縮機に用いる転がり軸受の取付構造の第2変形例を示す縦断面図。 本発明の一実施形態に係る密閉型圧縮機に用いる転がり軸受の取付構造の第3変形例を示す縦断面図。
本発明の一実施形態に係る密閉型圧縮機及びこれを用いた本発明の一実施形態に係る冷凍サイクル装置について説明する。
図1に示すように、本発明の一実施形態に係る冷凍サイクル装置100は、本発明の一実施形態に係る密閉型圧縮機1と、四方弁101と、室外熱交換器102と、膨張装置103と、室内熱交換器104と、アキュムレータ105をサイクル状に連通して形成される。
冷凍サイクル装置100において、密閉型圧縮機1から吐出される冷媒は、冷房時には、四方弁101を介して実線矢印で示すように室外熱交換器102に供給され、ここで外気と熱交換して凝縮される。この凝縮された冷媒は、室外熱交換器102から流出し、膨張装置103を介して室内熱交換器104に流され、ここで室内空気と熱交換して蒸発し、室内空気を冷却する。室内熱交換器104から流出された冷媒は、四方弁101及びアキュムレータ105を介して密閉型圧縮機1内に吸い込まれる。
また、暖房時には、密閉型圧縮機1から吐出された冷媒は、四方弁101を介して破線矢印で示すように、室内熱交換器104に供給され、ここで室内空気と熱交換して凝縮され、室内空気を加熱する。この凝縮された冷媒は室内熱交換器104から流出し、膨張装置103を介して室外熱交換器102に流され、ここで室外空気と熱交換して蒸発する。この蒸発した冷媒は、室外熱交換器102から流出され、四方弁101及びアキュムレータ105を介して密閉型圧縮機1内に吸い込まれる。以後、順次同様に冷媒が流されて冷凍サイクルの運転が継続される。
図2に示すように、密閉型圧縮機1は、密閉容器2を備え、この密閉容器2は上下両端が開口する筒状の容器本体21と、この容器本体21の上端開口部を閉塞するカップ状の上部容器22と、下端開口部を閉塞するカップ状の下部容器23からなる。
上部容器22の中心部には吐出管24が密閉容器2内に突出して設けられ、周辺側にはリード線25aが接続される電源端子25が設けられる。
この密閉容器2内の上部には電動機部3が設けられ、下部には圧縮機構部4が設けられる。これら電動機部3と圧縮機構部4とは、回転軸5を介して連結される。
電動機部3は、たとえばブラシレスDC同期モータ(ACモータもしくは商用モータでもよい)が用いられていて、密閉容器2の内面に圧入固定される固定子31と、この固定子31の内側に回転自在に配置され、回転軸5に嵌着される回転子32とから構成される。
固定子31と回転子32間には、この回転子32を回転自在に配置するために、第1のガス流路をなす所定の回転用間隙(エアーギャップ)33が設けられる。
また、回転子32の内部には、回転軸5に沿って第2のガス流路をなす回転子貫通孔32aが設けられる。
さらに、図3に示すように、回転子収容孔31dを備えた固定子31の外周には、この固定子31の外周面と密閉容器2(図2)内周面間に第3のガス流路(外周通路)をなす4個の切欠溝31aが90°間隔で設けられ、また、固定子31のヨーク部31bには、軸方向に沿った4対の第4のガス流路をなす固定子貫通孔31cが設けられる。なお、図3においては、巻線及び巻線収納部(スロット)は省略している。
再び図2に示すように、圧縮機構部4は、第1の圧縮機構部4Aと第2の圧縮機構部4Bとから構成される。
第1の圧縮機構部4Aは上部側に形成され、第1のシリンダ41Aを備えている。第2の圧縮機構部4Bは第1のシリンダ41Aとは中間仕切板43を介して下部に形成され、第2のシリンダ41Bを備えている。
これら第1、第2のシリンダ41A、41Bは、互いに内径寸法が同一である。
第1のシリンダ41Aの上面部に第1の軸受6が重ね合わされ、通気孔7cを設けた吐出マフラー7aとともに取付けボルト8aを介して第1のシリンダ41Aに取付け固定される。
第2のシリンダ41Bの下面部には第2の軸受9が重ね合わされ、吐出マフラー7bとともに図示しない取付けボルトを介して第2のシリンダ41Bに取付け固定される。これら一体化された第2のシリンダ41B、第2の軸受9及び吐出マフラー7bは取付けボルト8bにより第1のシリンダ41Aに取付け固定され圧縮機構部4が組立てられる。この組立てられた圧縮機構部4は図示しない固定手段によりリング状の保持部材8cに取付けられ、保持部材8cは密閉容器2にアークスポット溶接等により固着される。
回転軸5は、最下端部が第2の軸受9に回転自在に枢支され、その上部が第1の軸受6に回転自在に軸支される。さらに、回転軸5は各シリンダ41A、41B内部を貫通するとともに、略180°の位相差をもって形成される2つの偏心部5a、5bを一体に備えている。
各偏心部5a、5bは互いに同一直径をなし、各シリンダ41A、41B内径部に位置するよう組立てられる。これら偏心部5a、5bの周面には、互いに同一直径をなす各ローラ47a、47bが嵌合される。各ローラ47a、47bの軸方向長さは、第1のシリンダ41Aと第2のシリンダ41Bの板厚(軸方向長さ)と略同一に揃えられる。
第1のシリンダ41Aと第2のシリンダ41Bは、第1の軸受6と中間仕切板43および第2の軸受9で上下面が区画され、それぞれの内部に各ローラ47a、47bが偏心回転自在に収容される第1のシリンダ室42aと第2のシリンダ室42bが形成される。各ローラ47a、47bは互いに180°の位相差があるが、第1、第2のシリンダ室42a、42bにおいて偏心回転できる。
第1、第2のシリンダ41A、41Bには、ブレード室50が設けられ、このブレード室50は各シリンダ室42a、42bに対して開放されている。各ブレード室50にはブレード51およびばね部材52が収容される。
各ブレード51は、各シリンダ室42a、42b側である先端部が平面視で略半円状に形成される。ばね部材52はブレード51の後端とブレード室端面との間に介在され、ブレード51に弾性力(背圧)を付与して先端を各シリンダ室42a、42bへ突出させ、各ローラ47a、47b周面に弾性的に接触させる。
従って、回転軸5が回転し、偏心部5a、5bが偏心回転して各ローラ47a、47bが各シリンダ室42a、42bの内周壁に沿って偏心回転(旋回)したとき、ブレード51はブレード室50に沿って往復運動し、各ローラ47a、47bの回転角度にかかわらず線接触して各シリンダ室42a、42bを共に図示しない吸込室と圧縮室に仕切ることとなる。吸込室は吸込管26a、26bを介してアキュムレータ105に接続される。
ブレード51は、先端が各シリンダ室42a、42b内へ最も突出する部位にあるとき、後端がブレード室50内に位置する長さ寸法に形成される。ブレード51が最も後退したとき、ブレード51後端とブレード室50端面との間の距離は、ばね部材52の最大圧縮長さよりもわずかに大に形成されている。
第1の軸受6と第2の軸受9には、吐出弁機構53が設けられていて、それぞれが各シリンダ室42a、42bに連通するとともに、吐出マフラー7a、7bで覆われる。後述するように、各シリンダ室42a、42bで圧縮された冷媒ガスが所定圧に上昇した状態で吐出弁機構53は開放され、各シリンダ室42a、42bから吐出マフラー7a、7b内へ吐出するようになっている。
吐出マフラー7a、7bに吐出された圧縮された冷媒ガスは、ここで消音と整流作用を受け、吐出マフラー7aに設けた通気孔7cを介し回転用間隙33及び回転子貫通孔32aの方向に吹出されて密閉容器2内に導かれるようになっている。
また、吐出マフラー7bから密閉容器2内に導かれた高圧の冷媒ガスは、回転用間隙33、回転子貫通孔32a、切欠溝31a及び固定子貫通孔31c(図3)を流れて、電動機部3の上側に流出する。
また、冷媒ガスが流出する回転軸5の上端近傍には、密閉容器2の一端と電動機部3との間に位置し、回転軸5を軸支する軸受である第3の軸受10が設けられている。この第3の軸受10は、自動調芯軸受で、例えば玉軸受であり、回転軸5の一端近傍例えば上端近傍を軸支する。第3の軸受10は、軸受保持部材11の中心部に別部材で一体的に設けられた軸受ハウジングを形成する深皿状の軸受取付部材12に取り付けられる。なお、本実施形態では、軸受保持部材を軸受保持部材11と軸受取付部材12で形成した例で説明したが、これらは一体形成しても良い。
図4及び図5に示すように、この第3の軸受10は、軸受取付部材12のボス部12aに設けた軸受取付孔12bに取付けられる。軸受取付部材12のボス部12aには、第3の軸受10の一方向への動きを規制するストッパ部12cが設けられている。軸受取付部材12の軸受保持部材11への取付けは、軸受取付部材12の一対の取付部12dに形成した孔12eを通して、ネジ11n(図2)を軸受保持部材11のネジ孔11c(図7)に螺着することによって行われ、軸受保持部材11と軸受取付部材12間にガス流通孔11oが形成される。
図6及び図7に示すように、軸受保持部材11は深皿状をなし、底面中央には軸受取付部材12を、一部にガス流通孔11o(図4)が形成されるように取り付ける取付孔11aが穿設され、底面外周には90°間隔で4個の開口11bが設けられ、さらに、1個のリード線挿通用開口11dが設けられる。
図8に示すように、軸受保持部材11は固定子31に設けた4個の切欠溝(外周通路)31aを覆う一方、開口11bの一部が各々固定子貫通孔31cに対向し、軸受保持部材11で固定子貫通孔31cを完全には覆わない。
また、図2に示すように、第3の軸受10と回転子32の反圧縮機構部側端面である上端面32b間には、第3の軸受10及び上端面32bとわずかに離間して、第1の油分離部材13が回転子32に上端に取り付けて設けられる。
この第1の油分離部材13は円盤形状をなし低い高さの逆截頭円錐状の凹部であるボス部と、このボス部から外方に延びるリング状のフランジ部と、このフランジ部から下方に延びる折曲部からなる。
また、軸受取付部材12の上方で、回転軸5の上端には、第2の油分離部材14が螺着されている。
この第2の油分離部材14は円盤形状をなし、その断面が第1の油分離部材13のボス部より深く下に凹んだ逆截頭円錐状のボス部14aと、このボス部14aから外方に延びるリング状のフランジ部14bと、このフランジ部14bから第1の油分離部材13の折曲部より長く下方に延びる折曲部14cからなり、ボス部14aの中央に吐出管24が近接して対向する。
第1の油分離部材13および第3の軸受10は固定子31のコイル34の上側のコイルエンド34aの内周部の空間部に収容され、吐出マフラー7aの上部は下側のコイルエンド34aの内周部の空間部に収容される。
なお、図2における符号15は、密閉容器2内の油面をバランスさせる均油管である。
次に本第1実施形態の密閉型圧縮機の圧縮動作について説明する。
電動機部3に通電すると回転軸5が回転駆動され、圧縮機構部4の第1のシリンダ室42aと第2のシリンダ室42b内において各ローラ47a、47bが偏心移動する。
各シリンダ室42a、42bに第1、第2の吸込管26a、26bが接続され、アキュムレータ105で分離された冷媒ガスが各吸込管26a、26bを介して吸込まれる。
回転軸5に突設される偏心部5a、5bが180°の位相差が存在するように形成されているところから、冷媒ガスの各吸込管26a、26bから各シリンダ室42a、42b内に吸込まれるタイミングも当然、180°の位相差が存在する。各ローラ47a、47bが偏心移動して吐出弁機構側の室(圧縮室)の容積が減少し、その分圧力が上昇する。
圧縮室内の圧力が所定の圧力になると吐出弁機構が開放され、圧縮されて高温高圧化した冷媒ガスが吐出マフラー7a、7b内に吐出される。圧縮された冷媒ガスが吐出弁機構へ吐出されるタイミングも180°の位相差が存在する。
圧縮された冷媒ガスは各吐出マフラー7a、7bから通気孔7cを介して密閉容器2に吹出され、通気孔7cから吹き出された冷媒ガスは、主として第1のガス流路をなす回転用間隙33及び第2のガス流路をなす回転子貫通孔32aを通過して第1の油分離部材13に達し、冷媒ガス流内の油ミストをまず第1の油分離部材13の遠心力でコイルエンド34aの内壁等に衝突させ、粒子の大きくなった油粉を第3のガス流路をなす切欠溝31a、第4のガス流路をなす固定子貫通孔31cの壁面を伝わって自重流下させて、密閉容器2の底部の油溜まりに戻し、油粉が分離された冷媒ガスは軸受取付部材12と取付孔11a間に設けられるガス流通孔11oを通過して、第2の油分離部材14に達する。
一方、切欠溝31a、固定子貫通孔31cを流れ上昇した冷媒は、軸受保持部材11の下方に達し、ガス流通孔11oを通過して、第2の油分離部材14に達し、第1の油分離部材13を経た冷媒ガスと混合する。
第2の油分離部材14に達した冷媒ガスは、第2の油分離部材14によって発生させた遠心力で油ミストを容器本体21の内壁等に衝突させ、第2の油分離部材14の中央部に位置する吐出管24付近は油ミストの密度が薄い状態にすることで、油が冷媒ガスと一緒に密閉容器外に排出されるのを防止する。
容器本体21の内壁等に衝突した油ミストは、粒子の大きくなった油粉として、軸受保持部材11に設けた開口11bを介して主として油戻り流路としても機能する固定子貫通孔31c及び切欠溝31aの壁面を伝わって自重流下させて、密閉容器2の底部の油溜まりに戻る。
このとき、切欠溝31aは軸受保持部材11で覆われているので、第1の油分離部材13で分離された油ミストは上部空間に巻き上げられることがなく、油が整流化される。また、第4のガス流路をなす固定子貫通孔31cを完全には覆われていないので、油ミストは開口11bを介して速やかに油たまりに戻る。
上記圧縮過程において、圧縮ガスの高圧化、インバータ制御などによる遠心力による回転軸5の揺れは、第3の軸受10によって抑制される。
従って、固定子と回転子との接触や第1、第2の軸受および回転軸に過大な力が加わり圧縮機の効率が低下したり、損傷を来すことを抑制することができ、大きな振動や騒音も抑制する。
なお、上記実施形態において、固定子のヨーク部に設ける固定子貫通孔の下端には、何らの遮蔽物を設けていないが、図9及び図10に示すように、固定子貫通孔31cの下端に、深いU字状のキャップ31eを取り付けてもよい。冷媒ガスの旋回流方向(回転子の回転方向)にU字の底部が向くように取り付けられ、ガス流と反対方向が開口する。
これにより、固定子貫通孔31cは第4のガス流路としての働きは抑制され、また、圧縮機構部4がある固定子31下空間は反時計回り(ロータ回転方向)に油ミストの混じった冷媒ガスの流れを生じることで、上部空間にある油や油粒子を圧縮機構部4側へ引き込むことが可能になる。キャップ31eを設けた固定子貫通孔31cは、油滴下の通路として、より機能する。
本第1実施形態の密閉圧縮機によれば、圧縮ガスの高圧化、インバータ制御などによる遠心力による回転軸のたわみを防止するために、密閉容器一端と電動機部との間に、軸受を設けた密閉型圧縮機であっても、油分離効果が十分で、吐出管から冷凍サイクルへ導出される油量を十分に低減することができ、圧縮機の油上がり故障をなくし、熱交換器の効率を向上させることができる密閉型圧縮機が実現する。
また、本発明に係る密閉型圧縮機において、転がり軸受を軸受取付部材に取り付ける取付構造の第1変形例について説明する。
本第1変形例は、上記実施形態が取付構造に嵌合とストッパを用いるのに対して、転がり軸受を保持する軸受ハウジングに転がり軸受の軸方向の下方側への移動を規制するストッパを形成するとともに、転がり軸受の軸方向の上方側への移動を第2の油分離部材で規制する。
例えば、図11に示すように、軸受保持部材11Aに一体に設けた軸受取付部12Aのボス部12aの下端にストッパ部12cを設けるとともに、転がり軸受としての第3の軸受10の高さh1は、第3の軸受10の上面と第2の油分離部材14のボス部14aの下面間の距離h2より大きく設定され、第3の軸受10の内輪の外径d1は、ボス部12aの外径d2より大きく設定される。
これにより、ストッパ部材を回転軸に嵌合して、第3の軸受の上方への移動を規制するものとは異なり、部品点数及び工数を増やすことなく、転がり軸受の軸方向の移動量を制限し、転がり軸受のボス部12aからの外れを防止できる。また、第2の油分離部材14のボス部14aが第3の軸受の外輪に触れることがなく、摩擦、磨耗、破損等を防止できる。
なお、他の構成は図2に示すものと変わらないので、同一部分には同一符号を付して説明は省略する。
また、本発明に係る密閉型圧縮機において、転がり軸受を軸受取付部材に取り付ける取付構造の第2変形例について説明する。
本第2変形例は、第1変形例が転がり軸受の上方側への移動を第2の油分離部材で規制するのに対して、転がり軸受の下方側への移動を回転軸5で規制する。
例えば、図12に示すように、軸受保持部材11Aに一体に設けた軸受取付部材12Bのボス部12aの上端にストッパ部12cを設けるとともに、第3の軸受10の高さh1は、第3の軸受10の下面と回転軸5に形成した段部5a間の距離h3より大きく設定され、第3の軸受10の内輪の外径d1は、回転軸5に形成した段部5aの外径d3より大きく設定される。
これにより、ストッパを回転軸に嵌合して、第3の軸受の下方への移動を規制するものとは異なり、部品点数及び工数を増やすことなく、転がり軸受の軸方向の移動量を制限し、転がり軸受がボス部からの外れを防止できる。また、回転軸5の段部5aが第3の軸受の外輪に触れることがなく、摩擦、磨耗、破損等を防止できる。
また、本発明に係る密閉型圧縮機において、転がり軸受を軸受取付部材に取り付ける取付構造の第3変形例について説明する。
本第3変形例は、図13に示すように、軸受保持部材11Aに一体に設けた軸受取付部材12Bのボス部12aの上端にストッパ部12cを設けるとともに、第3の軸受10の高さh1は、第3の軸受10の下面と第1の油分離部材13の上面間の距離h4より大きく設定され、第3の軸受10の内輪の外径d1は、第1の油分離部材13の上面形成したリング状の突条13bの直径d4より大きく設定される。
これにより、第2変形例と同様の効果が得られる。
1…密閉型圧縮機、2…密閉容器、21…容器本体、22…上部容器、23…下部容器、24…吐出管、26a、26b…吸込管、3…電動機部、31…固定子、31a…切欠溝、31b…ヨーク部、31c…固定子貫通孔、31d…回転子収容孔、32…回転子、32a…回転子貫通孔、33…回転用間隙、32b…上端面、34…コイル、34a…コイルエンド、4…圧縮機構部、4A…第1の圧縮機構部、41A…第1のシリンダ、42a…第1のシリンダ室、4B…第2の圧縮機構部、41B…第2のシリンダ、42b…第2のシリンダ室、43…中間仕切板、47a、47b…ローラ、5…回転軸、6…第1の軸受、7a、7b…吐出マフラー、9…第2の軸受、10…第3の軸受、11…軸受保持部材、11a…取付孔、11b…開口、11c…ネジ用孔、11d…リード線挿通用開口、11o…ガス流通孔、12…軸受取付部材、12a…ボス部、12b…軸受取付孔、12c…ストッパ部、12d…取付部、12e…ネジ用孔、13…第1の油分離部材、14…第2の油分離部材、14a…ボス部、14b…フランジ部、14c…折曲部、15…均油管、100…冷凍サイクル装置、101…四方弁、102…室外熱交換器、103…膨張装置、104…室内熱交換器、105…アキュムレータ。

Claims (3)

  1. 一端に吐出管を設けた密閉容器内の一端側に、固定子と回転子とからなる電動機部を収納するとともに、前記密閉容器の他端側に回転軸を介して前記電動機部により駆動される圧縮機部を収納し、前記密閉容器一端と電動機部との間に、前記回転軸を軸支する軸受を設けた密閉型圧縮機において、
    前記軸受と前記回転子間に第1の油分離部材を設けるとともに、前記密閉容器一端と前記軸受間に、前記回転軸に取着された第2の油分離部材を設け、
    前記固定子外周面と前記密閉容器内周面間に外周通路を形成し、
    前記軸受を保持する軸受保持部材を設け、
    前記軸受は転がり軸受を備え、この転がり軸受を保持する前記軸受保持部材に前記転がり軸受けの軸方向の前記一端側への移動を規制するストッパを形成するとともに、前記転がり軸受の軸方向の他端側への移動を前記第1の油分離部材で規制することを特徴とする密閉型圧縮機。
  2. 前記固定子に軸方向に貫通した固定子通路を形成するとともに、この固定子通路は前記軸受保持部材で覆われないようにされていることを特徴とする請求項1に記載の密閉型圧縮機。
  3. 請求項1または2に記載の密閉型圧縮機と、凝縮器と、膨張装置と、蒸発器を備える冷凍サイクル装置。
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