JP2007518911A5 - - Google Patents

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JP2007518911A5
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圧縮機
本発明は、冷凍冷蔵庫や空調機等に用いられる密閉型回転圧縮機に関する。
密閉型回転圧縮機は、そのコンパクト性や構造が簡単なことから、冷凍冷蔵庫や空調機等に多く用いられている。ロータリ圧縮機やスクロール圧縮機等の密閉型回転圧縮機の構成については、非特許文献1に記載されている。以下に、従来の密閉型回転圧縮機の構成を、ロータリ圧縮機とスクロール圧縮機を例に図8から図10を用いて説明する。
図8は、従来のロータリ圧縮機の縦断面図である。図に示すロータリ圧縮機は、密閉容器1と、偏心部2aを有するシャフト2と、シリンダ3と、ローラ4と、ベーン5と、バネ6と、吐出孔7aを有する上軸受部材7と、下軸受部材8と、上下端面11a,11bからそれぞれ突出したコイルエンド11c,11dを有する固定子11と、シャフト2に嵌合する回転子12とを有する。
上記構成のうち、固定子11と回転子12から構成される部分を回転電動機部と、シリンダ3の内部に吸入室及び圧縮室(図示せず)を形成して回転子12の回転運動に伴い作動流体を圧縮する部分を圧縮機構部と呼称する。
また、固定子11の外周側には、作動流体の流路とするための複数の切欠き11eが設けられ、固定子11と回転子12の間に隙間18が設けられている。密閉容器1の上部に、密閉容器1の外部から回転電動機部に通電するための導入端子13と作動流体を密閉容器1の内部から冷凍サイクルに吐出する吐出管15とが設けられ、密閉容器1の側面に、作動流体を冷凍サイクルから圧縮機構部に導く吸入管14が設けられている。そして、密閉容器1の底部の油溜り16に冷凍機油が貯留される構成となっている。
上記構成のロータリ圧縮機の動作について説明する。
導入端子13を介して固定子11に通電して回転子12を回転させると、偏心部2aによりローラ4は偏心回転運動を行い、吸入室と圧縮室の容積が変化する。これに伴い作動流体は、吸入管14から吸入室に吸入され、圧縮室にて圧縮される。圧縮された作動流体は、油溜り16から供給されて圧縮機構部を潤滑した冷凍機油の油滴を混合した状態で、吐出孔7aを経て回転電動機部の下側空間17に噴出する。
この噴出した作動流体の主たる流れは、回転子12の下端面12aに衝突した後、回転子12の回転運動により強い旋回流となる。作動流体に含まれる油滴の一部は、作動流体が下側空間17に旋回流れとして滞留している間に、遠心力で密閉容器1の内壁に付着、あるいは、重力で下方に落ちて分離され油溜り16に戻る。
また、作動流体は、分離されていない油滴を含んだ状態で、下側空間17から切欠き11eや隙間18を通過し、回転電動機部の上側空間19に噴出する。この噴出した作動流体の主たる流れは、吐出管15へと向かうが、その際に一部の作動流体が回転子12の上端面12bの近傍を通過し、その回転運動の影響で旋回流となる。作動流体に含まれる油滴の一部は、作動流体が上側空間19に滞留している間に、遠心力で密閉容器1の内壁に付着、あるいは、重力で下方に落ちて分離され、密閉容器1の内壁や固定子11の壁面を伝って油溜り16に戻る。そして、作動流体は、なおも分離されていない油滴を含んだ状態で吐出管15から吐出する。
一方、図9は、従来のスクロール圧縮機の縦断面図である。図に示すスクロール圧縮機は、密閉容器31と、偏心部32aを有するシャフト32と、渦巻き形状のラップ33a及び吐出孔33bを有する固定スクロール33と、渦巻き形状のラップ34aを有して偏心部32aの偏心回転運動に伴い旋回運動する可動スクロール34と、吐出孔36cを有してシャフト32の一方を支える上軸受部材36と、右左端面39a,39bからそれぞれ突出したコイルエンド39c,39dを有して密閉容器31の内部に焼嵌めされた固定子39と、シャフト32に焼嵌めされた回転子40と、シャフト32の他方を支える副軸受部材41とを有する。
そして、ラップ33a及びラップ34aが噛み合って固定スクロール33と可動スクロール34の内部には複数の吸入室37、圧縮室38が形成されている。上記構成のうち、固定子39と回転子40から構成される部分を回転電動機部と、吸入室37と圧縮室38を形成して回転電動機部の回転運動に伴い作動流体を圧縮する部分を圧縮機構部と呼称する。
また、固定子39の外周側には、作動流体の流路とするための複数の切欠き39eが設けられ、固定子39と回転子40の間に隙間48が設けられている。密閉容器31には、密閉容器31の外部から回転電動機部に通電するための導入端子42と、作動流体を冷凍サイクルから吸入室37に導く吸入管43と、作動流体を密閉容器31の内部から冷凍サイクルに吐出する吐出管44とが設けられている。そして、密閉容器31の下部の油溜り45に冷凍機油を貯留し、この油溜り45から冷凍機油を給油ポンプ46で汲み上げ、圧縮機構部に給油する構成となっている。
上記構成のスクロール圧縮機の動作について説明する。
導入端子42を介して固定子39に通電して回転子40を回転させると、可動スクロール34は旋回運動を行い、吸入室37と圧縮室38の容積が変化する。これに伴い作動流体は、吸入管43から吸入室37に吸入され、圧縮室38にて圧縮される。圧縮された作動流体は、油溜り45から供給されて圧縮機構部の摺動面を潤滑した冷凍機油の油滴を混合した状態で、吐出孔33b,36cを経て回転電動機部の右側空間47に噴出する。
この噴出した作動流体の主たる流れは、回転子39の右端面40aの回転運動により旋回流となる。作動流体に含まれる油滴の一部は、作動流体が右側空間47に旋回流れとして滞留している間に、遠心力で密閉容器1の内壁に付着、あるいは、重力で落下し、作動流体から分離されて油溜り45に戻る。
また、作動流体は、分離されていない油滴を含んだ状態で、右側空間47から切欠き39eや、隙間48を通過し、回転電動機部の左側空間49に噴出する。この噴出した作動流体の主たる流れは、吐出管44へと向かうが、その際に一部の作動流体が回転子40の左端面40bの近傍を通過し、その回転の影響で旋回流となる。ここでも、作動流体に含まれる油滴の一部は、作動流体が左側空間49に滞留している間に、遠心力で密閉容器1の内壁に付着、あるいは、重力で下方に落ちて分離され、油溜り45に戻る。そして、作動流体は、なおも分離されていない油滴を含んだ状態で吐出管44から吐出する。
以上のようなロータリ圧縮機やスクロール圧縮機等の密閉型圧縮機では、圧縮機構部の摺動面を潤滑して隙間をシールするために、圧縮された作動流体と冷凍機油が混合し、油溜りに貯留されている冷凍機油の一部は、圧縮機の運転の過程で圧縮機の密閉容器1,31の外部に吐出される。冷凍機油の吐出が多い圧縮機では、油溜り16,45における冷凍機油の油面が低下するため、供給油量が不足し、圧縮機構部の潤滑が不十分となり信頼性が低下したり、圧縮機構部のシールが不十分となり圧縮機の効率が低下したりする。また、圧縮機から吐出された冷凍機油は、熱交換器の伝熱管の内壁に付着して作動流体と伝熱管内の壁面との間の熱伝達率を低下させるので、冷凍サイクルの性能が低下する。従って、圧縮機の密閉容器1,31の内部における作動流体からの油分離効率を向上し、冷凍機油の吐出量を削減している。
この作動流体から冷凍機油を分離する構成としては、例えば特許文献1に示されているように、ロータリ圧縮機の回転子12の上部に設けた油分離板を用いる方法がある。図10に油分離板の周辺の詳細断面図を示す。回転子12には永久磁石20の挿入孔を閉塞する上側端板21a及び下側端板21bが具備されるとともに、回転子12に上下方向に貫通形成された複数の貫通孔12cと、貫通孔12cの出口の上方に配されて回転子12の上端面との間に油分離空間22を形成する油分離板23とが、固定部材24によって回転子12に固定されている。
このように構成された圧縮機では、圧縮機構部から回転電動機の下側空間17に吐出された油滴を含む作動流体の一部は、回転子12に設けられた貫通孔12cを通って油分離空間22に流入する。そして、ここで遠心力により油分離板23の外周出口から作動流体が放射状に吐出し、固定子11のコイルエンド11dに吹き付けられて作動流体に含まれた冷凍機油を分離する。そして、冷凍機油を分離した作動流体だけが上昇して、密閉容器1内の上部に設けられた吐出管15から外部に吐出する。一方、固定子11のコイルエンド11dに付着した冷凍機油は下方へ伝わって落ち、密閉容器1の底部の油溜り16に戻る。
「冷凍空調便覧、新版第5版、II巻 機器編」、日本冷凍協会、平成5年、第30項〜第43項 特開平8−28476号公報(第6項、図1〜図3)
前述のように、従来のロータリ圧縮機では、圧縮機構部の吐出孔7aから回転電動機部の下側空間17に噴出した作動流体の主たる流れは、回転子12の回転運動により強い旋回流となる。また、上側空間19に噴出した作動流体も、回転子12の回転運動の影響で旋回流となる。同様に、スクロール圧縮機の右側空間47及び左側空間49に噴出した作動流体の主たる流れは、回転子40の回転運動の影響で旋回流となる。
このとき作動流体に含まれる冷凍機油の油滴は、旋回流により撹拌されて微細化される。また、下側空間17及び上側空間19や右側空間47及び左側空間49での旋回流は、作動流体の流速を増加させるため、油滴が作動流体によって搬送され易くなる。このため遠心力と重力による分離方法では、完全な分離が困難であった。また、回転子12の下端面12a及び上端面12bには、シャフト2の偏心部2a及びローラ4のアンバランスを打ち消すためのバランサ12dが設けられている。同様に、回転子40の右端面40a及び左端面40bにバランサ40cが設けられている。また、DCブラシレスモータの場合、回転子を形成する積層鋼板やマグネット等を固定するためのボルトやリベット(図示せず)が突出している。その結果、回転子の端面には多数の凹凸が形成されており、これらの凹凸が回転することにより、作動流体を撹拌する効果を増大させるので、作動流体に含まれる冷凍機油の油滴は、より微細化されて作動流体からの分離が困難となっていた。
一方、撹拌されて微細化された油滴を作動流体から分離する方法として、図10に示す構成が用いられるが、この場合、回転電動機部の下側空間17から上側空間19へ流れる作動流体のうち、回転子12に設けられた貫通孔12cを通過する作動流体に対してしか機能せず、固定子11の切欠き11eや、固定子11と回転子12の間の隙間18を通過する作動流体から油滴を分離することは不可能である。また、油分離板23を回転子の上端面12bに設けることにより、油分離板23の回転運動により回転電動機部の上側空間19での作動流体の撹拌を促進してしまい、上側空間19での冷凍機油の分離をかえって困難にしてしまうという課題もあった。
また、他の方法として、回転電動機部の下側空間17や上側空間19の容積を拡大して作動流体がこれらの空間に滞留する時間を延ばし、重力により冷凍機油の油滴の分離を促進させる場合もあるが、この場合でも撹拌の影響をなくすことは困難であり、また、圧縮機が大型化してしまうという弊害を生じる。
また、以上の課題は、縦型のロータリ圧縮機や横型のスクロール圧縮機を例に説明したが、縦型と横型の違いや、圧縮方式の違いに関らず、圧縮機構部から吐出された冷媒が密閉容器に設けられた吐出管から吐出されるまでの間に、作動流体が回転子の端面の近傍を通過する場合には、同様の課題が生じる。
また、以上の課題は作動流体の種類に関らず生じるが、特に、二酸化炭素を主成分とした作動流体を用いる冷凍サイクルの場合、圧縮室から吐出される作動流体の圧力が臨界圧力を越えるため、密閉容器の内部の作動流体は超臨界状態となり、作動流体に対する冷凍機油の溶解量が増し、特に密閉容器の内部での油分離が一層困難になるという課題が生じる。
従って本発明は、上記問題を解決するためのものであり、回転電動機部の効率を低下させることなく、簡易かつ低コストに油分離効率を高めて、密閉容器の外部に持ち出される冷凍機油の量を低減し、圧縮機の信頼性を向上させ、且つ高効率の冷凍サイクルを得ることができる圧縮機を提供することを目的としている。
以上述べてきたように、本発明によれば、回転電動機部と圧縮機構部との間の空間および回転電動機部と吐出管との間の空間に多孔部材を設けて区画したことにより、回転子の回転運動に起因する旋回流による攪拌や、回転子の端面に設けられたバランサ等の凹凸が回転運動することによる攪拌を、多孔部材で区画した回転電動機部側の空間内に押さえ込み、作動流体に混入している冷凍機油の油滴が攪拌により微細化するのを防止する。
これによって、油滴が重力で下方に落ちて分離される効果を促進し、油分離効率を向上させることが可能となり、圧縮機やそれを用いた冷凍サイクルの信頼性と効率を向上させることができる。
本発明の第1の実施の形態による圧縮機は、作動流体を圧縮する圧縮機構部と、固定子及び回転子から構成し圧縮機構部を駆動する回転電動機部と、圧縮機構部及び回転電動機部を内包する密閉容器とを備え、圧縮された作動流体が圧縮機構部から回転電動機部へ流れる圧縮機において、圧縮機構部と回転電動機部との間の空間を多孔部材で区画し、多孔部材は、中央部の流路抵抗よりも外周部の流路抵抗のほうが小さいものである。
本実施の形態によれば、区画した空間の作動流体には、回転子の回転運動に起因する旋回流が発生しない。従って、旋回流の撹拌による油滴の微細化が防止され、作動流体からの油滴の重力落下が促進されて、油分離性を向上することができる。
本発明の第2の実施の形態による圧縮機は、作動流体を圧縮する圧縮機構部と、固定子及び回転子から構成し圧縮機構部を駆動する回転電動機部と、圧縮機構部及び回転電動機部を内包する密閉容器とを備え、密閉容器は回転電動機部に対して圧縮機構部の反対側に吐出管を有し、圧縮された作動流体が回転電動機部から吐出管へ流れる圧縮機において、回転電動機部と吐出管との間の空間を多孔部材で区画し、多孔部材は、中央部の流路抵抗よりも外周部の流路抵抗のほうが小さいものである。
本実施の形態によれば、区画した空間の作動流体には、回転子の回転運動に起因する旋回流が発生しない。従って、旋回流の撹拌による油滴の微細化が防止され、作動流体からの油滴の重力落下が促進されて、油分離性を向上することができる。
本発明の第3の実施の形態は、第1または第2の実施の形態による圧縮機において、多孔部材を多孔質体で構成するとともに、多孔質体の中央部を外周部より厚く形成したものである。
本実施の形態によれば、多孔質体は、その内部を通過する作動流体及び油と接する表面積が大きいので、油滴が付着して成長し易く、より油分離することができる。
本発明の第4の実施の形態は、第1または第2の実施の形態による圧縮機において、多孔部材をメッシュで構成するとともに、メッシュの中央部を外周部より密に形成したものである。
本実施の形態によれば、メッシュは、その内部を通過する作動流体及び油と接する表面積が大きいので、油滴が付着して成長し易く、より油分離することができる。
本発明の第5の実施の形態は、第1または第2の実施の形態による圧縮機において、多孔部材を多孔板で構成するとともに、多孔板の中央部の孔を外周部より小さく形成したものである。
本実施の形態によれば、多孔板は、その小孔の入口、孔壁、出口での流路抵抗が大きいため、作動流体の流速は大きく低下する。従って、油滴を作動流体から容易に分離することができる。
本発明の第6の実施の形態は、第5の実施の形態による圧縮機において、複数の多孔板を並べて複層化したものである。
本実施の形態によれば、複層化することにより、その流路抵抗が一段と大きくなるので、作動流体の流速がさらに低下し、油滴をより分離することができる。
本発明の第7の実施の形態は、第1から第6の実施の形態による圧縮機において、多孔部材を非磁性体としたものである。
本実施の形態によれば、多孔部材が非磁性体であれば、回転電動機部の磁気回路に与える影響が少なく、回転電動機部の効率を低下させることなく油分離効率を向上させることができる。
本発明の第8の実施の形態は、第1から第6の実施の形態による圧縮機において、多孔部材を絶縁体としたものである。
本実施の形態によれば、多孔部材が絶縁体であれば、電気絶縁性を考慮する必要がないので、例えば多孔部材を固定子やコイルエンドに接して取付け、隙間のない構成とすることが可能となる。この隙間のない構成によって旋回流の影響を防止し、さらに撹拌を低減して油分離効率を向上させることができる。
本発明の第9の実施の形態は、第1から第8の実施の形態による圧縮機において、作動流体として二酸化炭素を用いたものである。
本実施の形態によれば、作動流体として環境に優しい二酸化炭素を用いることができる。
本発明の第10の実施の形態は、第1から第9の実施の形態による圧縮機において、圧縮機構部の形式をロータリ式としたものである。
本実施の形態によれば、作動流体が回転子端面に触れる空間を有する構成のロータリ式圧縮機に対して、その空間を区画し、区画した当該空間における作動流体の旋回流による撹拌をより顕著に防止し、油分離性を向上することができる。
本発明の第11の実施の形態は、第1から第9の実施の形態による圧縮機において、圧縮機構部の形式をスクロール式としたものである。
本実施の形態によれば、スクロール式圧縮機に対して、旋回流による撹拌を防止し、油分離性を向上することができる。
(実施例1)
本発明の第1の実施例の圧縮機は、ロータリ圧縮機であり、図8で説明した従来のロータリ圧縮機とほぼ同様な構成であり、同一機能部品については同一の符号を適用する。
図1は、本発明の第1の実施例におけるロータリ圧縮機の縦断面図であり、図2は、図1に示すロータリ圧縮機のZ−Z矢視の横断面図である。
図に示すロータリ圧縮機は、密閉容器1と、この密閉容器1内部の下方に配置された圧縮機構部と、その上部に配置された回転電動機部とから構成される。圧縮機構部は、中心軸Lを中心に回転可能なシャフト2と、シリンダ3と、シャフト2の偏心部2aに嵌合されてシャフト2の回転に伴い、シリンダ3の内側で偏心回転運動を行うローラ4と、ローラ4に先端を接しながらシリンダ3のベーン溝3aの内部を往復運動するベーン5と、ベーン5をローラ4に押し付けるバネ6と、吐出孔7a及び突起部7bを有してシリンダ3の上側でシャフト2を支える上軸受部材7と、シリンダ3の下側でシャフト2を支える下軸受部材8とを有する。そして、上軸受部材7及び下軸受部材8に挟まれたシリンダ3とローラ4との間の空間には、ベーン5により分割された吸入室9と圧縮室10とが形成されている。
回転電動機部は、密閉容器1の内壁に固定された固定子11と、シャフト2に固定された回転子とを有する。この固定子11には、固定子11の下端面11aから突出したコイルエンド11cと、上端面11bから突出したコイルエンド11dとが設けられている。
また、固定子11は、その下端面11aから上端面11bまで鋼板を積層して形成されている。一方、回転子12の下端面12aや上端面12bには、必要に応じてバランサ12dが設けられている。そして、圧縮機構部の上軸受部材7には、圧縮機構部と回転電動機部との間の空間を、下部圧縮機構部側空間17aと下部回転電動機部側空間17bとに区画する多孔部材51が取付けられている。
また、固定子11の外周側と密閉容器1の内壁の間には、作動流体の流路とするための複数の切欠き11eが設けられ、固定子11と回転子12の間に、隙間18が設けられている。また、密閉容器1には、密閉容器1の外部から固定子11に通電するための導入端子13と、作動流体を冷凍サイクルから圧縮機構部の吸入室9に導く吸入管14とが設けられている。さらに、密閉容器1には、作動流体を密閉容器1内部から冷凍サイクルに吐出する吐出管15が回転電動機部に対して圧縮機構部の反対側に設けられている。そして、密閉容器1の底部の油溜り16に、冷凍機油が貯留される構成となっている。
さらに、本実施例のロータリ圧縮機の特徴は、図8に示す従来のロータリ圧縮機と比較すると、多孔部材51を回転電動機部の下側空間17に設けた構成である。すなわち、下側空間17に設けた多孔部材51には、多孔質金属や多孔質樹脂等の多孔質体を用いている。この多孔部材51は、周縁部が密閉容器1の内側側面と接する円板形状に構成され、その中央部に、上軸受部材7の突起部7bの外周部と嵌合可能で、且つ多孔質材料の上下端面に直交する貫通孔が設けられ、また、下端面51aが下に凸に構成されている。この多孔部材51を突起部7bに嵌合して設置し、回転電動機部の下側空間17を、圧縮機構部側の下部圧縮機構部側空間17aと、回転電動機部側の下部回転電動機部側空間17bとに区画している構成である。
上記構成のロータリ圧縮機の動作について説明する。
導入端子13を介して固定子11に通電して回転子12を回転させると、シャフト2の偏心部2aにより、ローラ4は偏心回転運動を行い、吸入室9と圧縮室10の容積が変化する。これに伴い作動流体は、吸入管14から吸入室9に吸入され、圧縮室10にて圧縮される。圧縮された作動流体は、油溜り16から供給されて圧縮機構部の摺動面を潤滑し、且つ隙間をシールする冷凍機油の油滴を混合した状態で、上軸受部材7に設けた吐出孔7aから、圧縮機構部と回転電動機部との間の、作動流体の流れ場である下側空間17に噴出する。
下側空間17に噴出した作動流体は、多孔部材51により区画されて回転子12の回転運動の影響を受けない下部圧縮機構部側空間17aに滞留する。そして、作動流体が下部圧縮機構部側空間17aに滞留している間に、作動流体に含まれる油滴の一部は、密閉容器1の内壁に付着し、あるいは、重力で落ちて分離し、油溜り16に戻る。
その後、作動流体は多孔部材51の内部を通過するが、その際に作動流体の流速が低下するので、多孔部材51の内部で油滴が作動流体から分離される。
そして、多孔部材51を通過した作動流体は、下部回転電動機部側空間17bに流入し、回転子12の回転運動の影響で旋回流となり、一方、作動流体に含まれる油滴の一部は、旋回流の遠心力で密閉容器1の内壁に付着し、あるいは、重力で落下し、作動流体から分離されて油溜り16に戻る。
さらに、分離されていない油滴を含んだ状態の作動流体は、下部回転電動機部側空間17bから切欠き11eや隙間18を通過して、回転電動機部の上側空間19に流入する。切欠き11eから上側空間19に流入した作動流体は、吐出管15へ向かう流れとなるが、その際に一部の作動流体が回転子12の上端面12bの近傍を通過して、その回転運動の影響で旋回流となる。また、隙間18から上側空間19に流入した作動流体も、吐出管15へ向かう流れとなるが、その際に回転子12の回転運動の影響で旋回流となる。
一方、作動流体に含まれる油滴の一部は、旋回流の遠心力で密閉容器1の内壁に付着し、あるいは、重力で落下し、作動流体から分離されて密閉容器1の内壁や固定子11の壁面を伝って油溜り16に戻る。そして、作動流体は、なおも分離されていない油滴を含んだ状態で吐出管15から吐出する。
以上のような構成にしたことにより、下部圧縮機構部側空間17aが多孔部材51により下部回転電動機部側空間17bから区画されているので、回転子12の回転により下部回転電動機部側空間17bで誘起された旋回流は、下部圧縮機構部側空間17aに伝わらない。また、多孔部材51は、回転子12及びシャフト2以外の箇所に固定され、回転運動を行わないので、多孔部材51が原因となる旋回流は、下部圧縮機構部側空間17aでは発生しない。
従って、本実施例のロータリ圧縮機では、圧縮機構部で圧縮され、上軸受部材7の吐出孔7aから下部圧縮機構部側空間17aに吐出された作動流体は、旋回流によって流速が増すことがなく、作動流体が冷凍機油の油滴を輸送する能力が、従来の圧縮機と比較して低下するので、下部圧縮機構部側空間17aにおける作動流体と冷凍機油との密度差による油分離が促進される。また、冷凍機油の油滴が旋回流により微細化されることも防止するため、作動流体と冷凍機油との密度差による油分離をさらに促進し、油分離効率を向上させることができる。
また、作動流体は多孔部材51の内部を通過し、下部圧縮機構部側空間17aから下部回転電動機部側空間17bに移動するが、その際、多孔部材51の内部流路抵抗が大きいため、作動流体の流速はさらに低下する。また、多孔部材51の下端面51aを下に凸に構成したことにより、円板形状の中央部が厚く、周縁部が薄い構造となる。そのため、上軸受部材7の吐出孔7aから吐出され、多孔部材51の円板形状の中央部付近に衝突する作動流体は、下端面51aの凸面形状に沿って周縁部に向かって拡散し流れの幅を拡大し、多孔部材51を通過する作動流体の流速がより低下する。また、多孔部材51の中央部が厚いため、作動流体が中央部を通過する際の抵抗が周縁部よりも大きい。
従って、上軸受部材7の吐出孔7aから吐出され、多孔部材51の円板形状の中央部付近に衝突する作動流体の内、衝突時に多孔部材51を通過する割合がさらに低下し、下部圧縮機構部側空間17aで一旦拡散してから多孔部材51を通過する割合が増え、多孔部材51を通過する作動流体の流速がさらに低下する。このため、多孔部材51の内部における作動流体の流速低下により、作動流体が冷凍機油を輸送する能力が低減され、下部圧縮機構部側空間17aで分離できない微細な油滴は、多孔部材51を通過する際に、作動流体と冷凍機油との密度差により、作動流体から容易に分離される。
また、多孔部材51は、内部を通過する作動流体および冷凍機油と接する表面積が大きい。そのため、冷凍機油の油滴が多孔部材51に付着して成長し易くなり、密度差により多孔部材51の下方に滴下するため、油分離が促進される。
また、以上述べてきたように、多孔部材51の設置により下部圧縮機構部側空間17aでの油分離が促進され、旋回流や、回転子12の下端面12aのバランサ12d等の凹凸が回転運動することによる攪拌が生じる下部回転電動機部側空間17bには、大幅に油滴が分離された作動流体が流入する。そのため、下部回転電動機部側空間17bで旋回流や攪拌により油分離が困難になることを最小限に抑え、吐出管15から吐出される作動流体が含む冷凍機油の質量を低減する。
また、上軸受部材7の突起部7bに嵌合して多孔部材51を設置するので、従来のロータリ圧縮機の構成部品をそのまま使用可能であり、安価に製造できる。さらに、シャフト2を支持する上軸受部材7に多孔部材51を固定するため、回転電動機部と圧縮機構部との間の空間で、中心軸Lに沿った方向の位置決めが容易に行え、特にスペーサー等の位置決め部材を必要としないため安価に製造できる。
また、多孔質金属や多孔質樹脂等の多孔部材51で区画を形成したことで、多孔部材51の下端面51aを下に凸に構成し、突起部7bに嵌合可能な貫通孔を中央部に設け、周縁部を密閉容器1の内側側面と一致させる形状に精度良く加工できるので、油分離の効果を最大限に発揮できる。
また、多孔部材51が板状であり、下部回転電動機部側空間17bで回転子12の回転により誘起された旋回流と接する多孔部材51の上端面51bは平坦であるので、多孔部材51の表面で旋回流の剥離等による乱れが発生し難い。そのため、流れの乱れによる運動エネルギーの損失を原因とする圧縮機の効率低下を防ぐことができる。
また、多孔部材51を非磁性体で形成すれば、回転電動機部の磁気回路に与える影響が少なく、回転電動機部の効率を低下させることなく油分離効率を向上させることができる。
また、多孔部材51を絶縁性のある樹脂あるいはセラミックス等で構成することにより、固定子11のコイルエンド11cに接して多孔部材51を設置することができるので、電気絶縁性を考慮してコイルエンド11cとの間に隙間を設ける必要がない。従って、コイルエンド11cとの隙間を確保するために圧縮機を大型化する必要がなく、従来と同じ大きさの密閉容器1の内部において本実施例の構成を実現できる。
なお、多孔部材51の表面を撥油処理することが望ましい。多孔部材51の表面を撥油処理することで、多孔部材51の表面に冷凍機油が保持され難くなるため、多孔部材51に付着して粒径が成長した冷凍機油が、密度差により多孔部材51の下方に滴下しやすくなる。したがって、作動流体から分離された冷凍機油を油溜り16に戻す効果が促進される。
以上、本実施例では縦型のロータリ圧縮機を例に説明したが、縦型と横型の違いや、圧縮方式の違いに関らず、圧縮機構部から吐出された作動流体の密閉容器1に設けられた吐出管15から吐出されるまでの間の主たる流れが、回転子12の近傍を通過する場合には、同様の効果を得ることができるのは言うまでもない。
また、従来のロータリ圧縮機のように、吐出孔7aから噴出する作動流体が回転子12の下端面12aに直接衝突する構成の圧縮機に関して、多孔部材51により下部空間17を区画すれば、油を分離する効果がより顕著であることは言うまでもない。
(実施例2)
本発明の第2の実施例の圧縮機は、図1で説明した第1の実施例のロータリ圧縮機、及び図8で説明した従来のロータリ圧縮機とほぼ同様な構成であり、同一機能部品については同一の符号を適用する。そして、同様な構成及びその動作についての説明を省略する。
図3は、本発明の第2の実施例におけるロータリ圧縮機の縦断面図である。
本実施例のロータリ圧縮機において、図8に示す従来のロータリ圧縮機と異なる点は、多孔部材52を回転電動機部の下側空間17に設けた点である。すなわち、下側空間17に設けた多孔部材52には、多孔質金属や多孔質樹脂等の多孔質体を用いていることである。この多孔部材52は、上端面52bに上向きの凸部52cを有し、周縁部が密閉容器1の内側側面と接する円板形状に構成され、その中央部に上軸受部材7の突起部7bの外周部と嵌合可能で、且つ多孔質材料の上下端面に直交する貫通孔を設けた。この多孔部材52を下端面52aと上軸受部材7が密着するように突起部7bに嵌合して設置し、回転電動機部の下側空間17と圧縮機構部との間を区画している。
さらに、多孔部材52の上端面52bの凸部52cは、外径がコイルエンド11cの内側側面の内径より僅かに小さな円筒形状で、回転子12の下端面12aやバランスウェイト12dと接触しない程度の隙間を設けたことである。また、多孔部材52の周縁部は、密閉容器1の内側側面と接するように構成されていることである。
上記構成のロータリ圧縮機の動作について、作動流体や油の流れから説明する。
圧縮機構部で圧縮されて吐出孔7aから下側空間17に噴出する作動流体は、多孔部材52の下端面52aが上軸受部材7に密接しているので、多孔部材52の内部に直接流入する。この時、多孔部材52の内部流路抵抗で作動流体の流速が低下するために、作動流体に含まれた油滴が、その内部で作動流体から分離されて油溜り16に戻る。
そして、多孔部材52を通過した作動流体は、下側空間17に流入し、多孔部材52の突起部52cがコイルエンド11cの内側に収められているので、回転子12の回転運動の影響で弱い旋回流となる。一方、作動流体に含まれる油滴の一部は、旋回流の遠心力で密閉容器1の内壁に付着し、あるいは、重力で落下し、作動流体から分離されて密閉容器1の内壁等を伝って油溜り16に戻る。
その後、作動流体は、下側空間17から切欠き11eや隙間18を通過して、上側空間19に流入する。切欠き11eから上側空間19に流入した作動流体は、吐出管15へ向かう流れとなるが、その際に一部の作動流体が回転子12の上端面12bの近傍を通過して、その回転運動の影響で旋回流となる。また、隙間18から上側空間19に流入した作動流体も、吐出管15へ向かう流れとなるが、その際に回転子12の回転運動の影響で旋回流となる。
一方、作動流体に含まれる油滴の一部は、旋回流の遠心力で密閉容器1の内壁に付着し、あるいは、重力で落下し、作動流体から分離されて密閉容器1の内壁や固定子11の壁面を伝って油溜り16に戻る。そして、作動流体は、吐出管15から吐出する。
以上のような構成にしたことにより、回転子12の回転により下側空間17で誘起された旋回流は、多孔部材52の内部に伝わらない。また、多孔部材52は、回転子12およびシャフト2以外の箇所に固定されて、回転運動を行わないので、多孔部材52が原因となる旋回流は発生しない。
従って、本実施例のロータリ圧縮機では、圧縮機構部で圧縮され、上軸受部材7の吐出孔7aから下端面52aを経て多孔部材52の内部に吐出された作動流体は、旋回流によって流速が増すことがなく、作動流体が冷凍機油の油滴を輸送する能力が、従来の圧縮機と比較して低下するので、多孔部材52における作動流体と冷凍機油との密度差による油分離が促進される。また、冷凍機油の油滴が旋回流により微細化されることも防止するため、作動流体と冷凍機油との密度差による油分離をさらに促進する。
また、作動流体は多孔部材52の内部を通過し、下側空間17に移動するが、その際、多孔部材52の内部流路抵抗が大きいため、作動流体の流速は大きく低下する。また、多孔部材52の中央部は凸部52cのため厚みが増しており、作動流体が中央部を通過する際の抵抗が周縁部よりも大きい。従って、多孔部材52の中央部付近に吐出された作動流体は、中央部から周縁部へと拡散して下側空間17へと流れるため、多孔部材52を通過する作動流体の流速がさらに低下する。多孔部材52の内部における作動流体の流速低下により、作動流体が冷凍機油を輸送する能力が低減され、作動流体と冷凍機油との密度差による油分離が促進されるため、上軸受部材7の吐出孔7aから吐出された作動流体が含む冷凍機油は、多孔部材52で作動流体から分離される。
また、多孔部材52は、内部を通過する作動流体および冷凍機油と接する表面積が大きい。そのため、冷凍機油の油滴が多孔部材52に付着して成長し易くなり、密度差により多孔部材52の下方に滴下するため、油分離が促進される。
また、以上述べてきたように、多孔部材52の設置により多孔部材52内部での油分離が促進され、旋回流や、回転子12の下端面12aのバランサ12d等の凹凸が回転運動することによる攪拌が生じる下側空間17には、大幅に油滴が分離された作動流体が流入する。そのため、下側空間17で旋回流や攪拌により油分離が困難になることを最小限に抑え、吐出管15から吐出される作動流体が含む冷凍機油の質量を低減する。
なお、本実施例と第1の実施例との相違は、多孔部材51,52の凸部の方向が、下端面51aの側と上端面52bの側で異なる点、および、本実施例では下端面52aが上軸受部材7に密接していることであり、上軸受部材7の突起部7bに多孔部材52を嵌合して固定したこと、多孔質金属や多孔質樹脂等の多孔部材52で区画を形成したこと、多孔部材52が板状であること、多孔部材52を非磁性体で形成すること、多孔部材52を絶縁性のある樹脂あるいはセラミックスで構成すること、多孔部材52の表面を撥油処理することなどの効果は、第1の実施例と同等であることは言うまでもない。
(実施例3)
本発明の第3の実施例の圧縮機は、第1の実施例及び従来のロータリ圧縮機とほぼ同様な構成であり、同一機能部品については同一の符号を適用する。そして、同様な構成及びその動作についての説明を省略する。
図4は、本発明の第3の実施例におけるロータリ圧縮機の縦断面図である。
本実施例のロータリ圧縮機において、図8に示す従来のロータリ圧縮機と異なる点は、多孔部材53を回転電動機部の下側空間17に設けた点である。すなわち、下側空間17に設けた多孔部材53には、金属細線や、グラスウール、セラミックウール等から成るメッシュを用いたことである。また、上軸受部材7の突起部7bの外周部に2つの環状のリング溝7c,7dを設け、板部材53a,53bの中央部にリング溝7c,7dとそれぞれ嵌合可能な貫通孔を設け、板部材53a,53bをリング溝7c、7dに嵌合して固定したことである。この板部材53a,53bで多孔部材53を挟んで固定し、回転電動機部の下側空間17を、圧縮機構部の側の下部圧縮機構部側空間17aと、回転電動機部の側の下部回転電動機部側空間17bとに区画している。 また、板部材53a,53bは、樹脂やセラミック等で形成した円板形状であり、中央
部の貫通孔以外に複数の開口部53c,53dを有する。また、多孔部材53は、中央部ほど密になるように形成して板部材53a,53bで挟まれている構成にある。なお、多孔部材53は、メッシュと板部材53a,53bを組み合わせた構成でも良い。
上記構成のロータリ圧縮機の動作について、作動流体や油の流れから説明する。
圧縮機構部で圧縮されて吐出孔7aから下側空間17に噴出する作動流体は、まず、多孔部材53により区画されて回転子12の回転運動の影響を受けない下部圧縮機構部側空間17aに滞留する。そして、作動流体が下部圧縮機構部側空間17aに滞留している間に、作動流体に含まれる油滴の一部は、密閉容器1の内壁に付着し、あるいは、重力で下方に落ちて分離し、油溜り16に戻る。
その後、作動流体は多孔部材53の内部を通過するが、その際に作動流体の流速が低下するので、多孔部材53の内部で油滴が作動流体から分離される。
そして、多孔部材53を通過した作動流体は、下部回転電動機部側空間17bに流入し、回転子12の回転運動の影響で旋回流となり、一方、作動流体に含まれる油滴の一部は、旋回流の遠心力で密閉容器1の内壁に付着し、あるいは、重力で落下し、作動流体から分離されて油溜り16に戻る。
さらに、作動流体は、下部回転電動機部側空間17bから切欠き11eや隙間18を通過して、回転電動機部の上側空間19に流入する。切欠き11eから上側空間19に流入した作動流体は、吐出管15へ向かう流れとなるが、その際に一部の作動流体が回転子12の上端面12bの近傍を通過して、その回転運動の影響で旋回流となる。また、隙間18から上側空間19に流入した作動流体も、吐出管15へ向かう流れとなるが、その際に回転子12の回転運動の影響で旋回流となる。
一方、作動流体に含まれる油滴の一部は、旋回流の遠心力で密閉容器1の内壁に付着し、あるいは、重力で落下し、作動流体から分離されて密閉容器1の内壁や固定子11の壁面を伝って油溜り16に戻る。そして、作動流体は、吐出管15から吐出する。
以上のような構成にしたことにより、下部圧縮機構部側空間17aが板部材53a,53bおよび多孔部材53により下部回転電動機部側空間17bから区画されるため、回転子12の回転により下部回転電動機部側空間17bで誘起された旋回流は、下部圧縮機構部側空間17aに伝わらない。また、板部材53a,53bは、回転子12およびシャフト2以外の箇所に固定され、回転運動を行わない。そのため、下部圧縮機構部側空間17aで板部材53a,53bおよび多孔部材53が原因となる旋回流は発生しない。
従って、本実施例のロータリ圧縮機では、圧縮機構部で圧縮され、上軸受部材7の吐出孔7aから下部圧縮機構部側空間17aに吐出された作動流体は、旋回流によって流速が増すことがなく、作動流体が冷凍機油の油滴を輸送する能力が、従来の圧縮機と比較して低下するので、下部圧縮機構部側空間17aにおける作動流体と冷凍機油との密度差による油分離が促進される。また、冷凍機油の油滴が、旋回流により微細化されることも防止するため、作動流体と冷凍機油との密度差による油分離をさらに促進する。
また、作動流体は多孔部材53の内部を通過し、下部圧縮機構部側空間17aから下部回転電動機部側空間17bに移動するが、その際、多孔部材53の内部流路抵抗が大きいため、作動流体の流速はさらに低下する。また、多孔部材53は、中央部ほど密になるように板部材53a,53bで挟まれている。そのため、作動流体が多孔部材53の中央部を通過する際の抵抗が周縁部よりも大きい。
従って、上軸受部材7の吐出孔7aから吐出され、板部材53aの中央部付近に衝突する作動流体の内、板部材53aの中央部を通過する割合が低下し、下部圧縮機構部側空間17aで一旦拡散してから板部材53aの周縁部を通過する割合が増え、多孔部材53を通過する作動流体の流速がさらに低下する。このため、多孔部材53の内部における作動流体の流速低下により、作動流体が冷凍機油を輸送する能力が低減され、下部圧縮機構部側空間17aで分離できない微細な油滴は、多孔部材53を通過する際に、作動流体と冷凍機油との密度差により、作動流体から容易に分離される。
また、多孔部材53は、内部を通過する作動流体および冷凍機油と接する表面積が大きい。そのため、冷凍機油の油滴が多孔部材53に付着して成長しやすくなり、密度差により多孔部材53および板部材53aの下方に滴下するため、油分離が促進される。
また、以上述べてきたように、板部材53a,53bおよび多孔部材53の設置により下部圧縮機構部側空間17aでの油分離が促進され、旋回流や、回転子12の下端面12aのバランサ12d等の凹凸が回転運動することによる攪拌が生じる下部回転電動機部側空間17bには、大幅に油滴が分離された作動流体が流入する。そのため、下部回転電動機部側空間17bで旋回流や攪拌により油分離が困難になることを最小限に抑え、吐出管15から吐出される作動流体が含む冷凍機油の質量を低減する。
また、多孔部材53は、板部材53a,53bに挟まれて内包されている構成であり、作動流体の流れにより変形したり、製造時の配置からずれたりすることがないため、製造時の冷凍機油分離性能を維持できる。また、回転電動機部との接触による破損の恐れもないため、信頼性を損なうことがない。
また、シャフト2を支持する上軸受部材7に板部材53a,53bを固定するため、回転電動機部と圧縮機構部との間の空間で、中心軸Lに沿った方向の位置決めが容易に行え、特にスペーサー等の位置決め部材を必要としないため安価に製造できる。
また、板部材53a,53bをリング溝7c,7dに嵌合して固定したことにより、ボルト等の固定部品無しで組立てが可能となり、安価に製造できる。
また、金属細線(即ち、金網)やグラスウール、セラミックウール等の多孔部材53で区画を形成したため、突起部7bの外周面と密閉容器1の内側側面との半径方向の寸法にバラツキがある場合でも、柔軟に寸法のバラツキに対応できるため、下側空間17を容易に区画することが可能である。また、多孔部材53の中央部ほど密に形成することが容易である。
また、板部材53bが板状であるため、下部回転電動機部側空間17bで誘起された旋回流と接する板部材53bの表面は平坦であり、板部材53bの表面での旋回流の剥離等による乱れが発生し難い。そのため、流れの乱れによる運動エネルギーの損失を原因とする圧縮機の効率低下を防ぐことができる。
また、板部材53a,53bおよび多孔部材53を非磁性体で形成すれば、回転電動機部の磁気回路に与える影響が少なく、回転電動機部の効率を低下させることなく油分離効率を向上させることができる。
また、板部材53a,53bおよび多孔部材53を絶縁性のある樹脂あるいはセラミックス等で構成することにより、固定子11のコイルエンド11cに接して板部材53bを設置することができるので、電気絶縁性を考慮してコイルエンド11cとの間に隙間を設ける必要性がない。従って、コイルエンド11cとの隙間を確保するために圧縮機を大型化する必要がなく、従来と同じ大きさの密閉容器1の内部において本実施の形態の構成を実現できる。
なお、多孔部材53の表面を撥油処理することが望ましい。多孔部材53の表面を撥油処理することで、多孔部材53の表面に冷凍機油が保持され難くなるため、多孔部材53に付着して粒径が成長した冷凍機油が、密度差により多孔部材53の下方に滴下しやすくなる。したがって、作動流体から分離された冷凍機油を油溜り16に戻す効果が促進される。
以上、本実施例では縦型のロータリ圧縮機を例に説明したが、縦型と横型の違いや、圧縮方式の違いに関らず、圧縮機構部から吐出された作動流体が密閉容器1に設けられた吐出管15から吐出されるまでの間に回転子12の近傍を通過する場合には、同様の効果を得ることができるのは言うまでもない。
また、従来のロータリ圧縮機のように、吐出孔7aから噴出する作動流体が回転子12の下端面12aに、直接衝突する構成の圧縮機では、多孔部材53により下部空間17を区画する効果が、より顕著であることは言うまでもない。
(実施例4)
本発明の第4の実施例の圧縮機は、第1の実施例及び従来のロータリ圧縮機とほぼ同様な構成であり、同一機能部品については同一の符号を適用する。そして、同様な構成及びその動作についての説明を省略する。 図5は、本発明の第4の実施例におけるロータリ圧縮機の縦断面図である。
本実施例のロータリ圧縮機において、図8に示す従来のロータリ圧縮機と異なる点は、多孔部材54を回転電動機部の上部空間19に設けた点である。すなわち、上部空間19に設けた多孔部材54には、金属細線や、グラスウール、セラミックウール等から成るメッシュを用いたことである。また、回転電動機部の上側空間19において、2つの板部材54a,54bを中心軸Lに対して略鉛直面となるように密閉容器1の内側側面に固定したことである。この板部材54a,54bで多孔部材54を挟んで固定し、回転電動機部の上側空間19を、回転電動機部の側の上部回転電動機部側空間19aと、吐出管15の側の上部吐出管側空間19bとに区画している。
また、板部材54a,54bは、樹脂やセラミック等で形成した円板形状であり、複数の開口部54c,54dを有する構成にある。なお、多孔部材54は、メッシュと板部材54a,54bを組み合わせた構成でも良い。
上記構成のロータリ圧縮機の動作について、作動流体や油の流れから説明する。
圧縮機構部で圧縮されて吐出孔7aから下側空間17に噴出する作動流体は、回転子12の回転運動の影響で旋回流となり、一方、作動流体に含まれる油滴の一部は、旋回流の遠心力で密閉容器1の内壁に付着し、あるいは、重力で落下し、作動流体から分離されて油溜り16に戻る。その後、作動流体は、下側空間17から切欠き11eや隙間18を通過して、回転電動機部と吐出管15との間の、作動流体の流れ場である上側空間19に流入する。
上側空間19に流入した作動流体は、多孔部材54によって区画された上部回転電動機部側空間19aにて、回転子12の回転運動の影響で旋回流となる。一方、作動流体に含まれる油滴の一部は、旋回流の遠心力で密閉容器1の内壁に付着し、あるいは、重力で落下し、作動流体から分離されて密閉容器1の内壁や固定子11の壁面を伝って油溜り16に戻る。
その後、作動流体は多孔部材54の内部を通過するが、その際に作動流体の流速が低下するので、多孔部材54の内部で油滴が作動流体から分離される。
そして、多孔部材54を通過した作動流体は、多孔部材54により区画されて回転子12の回転運動の影響を受けない上部吐出管側空間19bに流入し、滞留する。作動流体が上部吐出管側空間19bに滞留している間に、作動流体に含まれる油滴の一部は、密閉容器1の内壁に付着し、あるいは、重力で落ちて分離し、密閉容器1の内壁等を伝って油溜り16に戻る。そして、作動流体は、吐出管15から吐出する。
以上のような構成にしたことにより、多孔部材54の内部流路抵抗が大きいため、回転子12の回転により上部回転機構部側空間19aで誘起された旋回流は、多孔部材54の内部の作動流体の流れにはほとんど影響を及ぼさない。そのため、多孔部材54における作動流体の流速は低下する。また、作動流体は、多孔部材54を通過して、上部回転電動機部側空間19aから上部吐出管側空間19bに移動するが、その際、多孔部材54の内部流路抵抗が大きいため、作動流体の流速は大きく低下する。このため、多孔部材54の内部における作動流体の流速低下により、作動流体が冷凍機油を輸送する能力が低減され、上部回転電動機部側空間19aまでに分離できなかった微細な油滴は、多孔部材54を通過する際に、作動流体と冷凍機油との密度差により、作動流体から容易に分離される。
また、多孔部材54は、内部を通過する作動流体および冷凍機油と接する表面積が大きい。そのため、冷凍機油の油滴が多孔部材54に付着して成長しやすくなり、密度差により多孔部材54および板部材54aの下方に滴下するため、油分離が促進される。
また、上部吐出管側空間19bが板部材54a,54bおよび多孔部材54により上部回転電動機部側空間19aから区画されるため、回転子12の回転により上部回転電動機部側空間19aで誘起された旋回流は、上部吐出管側空間19bに伝わらない。また、板部材54a,54bは、回転子12およびシャフト2以外の箇所に固定され、回転運動を行わない。そのため、上部吐出管側空間19bで板部材54a,54bおよび多孔部材54が原因となる旋回流は発生しない。
従って、本実施例のロータリ圧縮機では、板部材54a、多孔部材54、板部材54bを通過して上部吐出管側空間19bに流入した作動流体は、旋回流によって流速が増すことがなく、作動流体が冷凍機油の油滴を輸送する能力が、従来の圧縮機と比較して低下するので、上部吐出管側空間19bにおける作動流体と冷凍機油との密度差による油分離が促進される。また、冷凍機油の油滴が、旋回流により微細化されることも防止するため、作動流体と冷凍機油との密度差による油分離をさらに促進する。
また、以上述べてきたように、上部回転電動機部側空間19aから、板部材54a,54bおよび多孔部材54を通過して上部吐出管側空間19bに流入する作動流体は、大幅に油滴が分離されており、さらに、上部吐出管側空間19bには旋回流も伝わらないため、上部吐出管側空間19bでの油分離が促進され、吐出管15から吐出される作動流体が含む冷凍機油の質量を低減する。
また、多孔部材54は、板部材54a,54bで挟まれているため、作動流体の流れにより変形したり、製造時の配置からずれたりすることがないため、製造時の冷凍機油分離性能を維持できる。また、回転電動機部との接触による破損の恐れもないため、信頼性を損なうことがない。
また、密閉容器1の内側側面に板部材54a,54bを固定するため、回転電動機部と吐出管との間の空間で、中心軸Lに沿った方向の位置決めが容易に行え、特にスペーサー等の位置決め部材を必要としないため安価に製造できる。
また、金網やグラスウール、セラミックウール等の多孔部材54で区画を形成したため、密閉容器1の内径寸法にバラツキがある場合でも、柔軟に寸法のバラツキに対応できるため、上側空間19を容易に区画することが可能である。
また、板部材54aが板状であるため、上部回転電動機部側空間19aで誘起された旋回流と接する板部材54aの表面は平坦であり、板部材54aの表面での旋回流の剥離等による乱れが発生し難い。そのため、流れの乱れによる運動エネルギーの損失を原因とする圧縮機の効率低下を防ぐことができる。
また、板部材54a,54bおよび多孔部材54を非磁性体で形成すれば、回転電動機部の磁気回路に与える影響が少なく、回転電動機部の効率を低下させることなく油分離効率を向上させることができる。
また、板部材54a,54bを絶縁性のある樹脂あるいはセラミックス等で構成し、多孔部材54を絶縁性のあるグラスウール、セラミックウール等で構成することにより、固定子11のコイルエンド11dに接して板部材54aを設置することができるので、電気絶縁性を考慮してコイルエンド11dとの間に隙間を設ける必要性がない。従って、コイルエンド11dとの隙間を確保するために圧縮機を大型化する必要がなく、従来と同じ大きさの密閉容器1の内部において本実施の形態の構成を実現できる。
なお、多孔部材54の表面を撥油処理することが望ましい。多孔部材54の表面を撥油処理することで、多孔部材54の表面に冷凍機油が保持され難くなるため、多孔部材54に付着して粒径が成長した冷凍機油が、密度差により多孔部材54の下方に滴下しやすくなる。したがって、作動流体から分離された冷凍機油を油溜り16に戻す効果が促進される。
以上、本実施例では縦型のロータリ圧縮機を例に説明したが、縦型と横型の違いや、圧縮方式の違いに関らず、圧縮機構部から吐出された作動流体の密閉容器1に設けられた吐出管15から吐出されるまでの間の主たる流れが、回転子12の近傍を通過する場合には、同様の効果を得ることができるのは言うまでもない。
(実施例5)
本発明の第5の実施例の圧縮機は、第1の実施例及び従来のロータリ圧縮機とほぼ同様な構成であり、同一機能部品については同一の符号を適用する。そして、同様な構成及びその動作についての説明を省略する。
図6は、本発明の第5の実施例におけるロータリ圧縮機の縦断面図である。
本実施例のロータリ圧縮機において、図8に示す従来のロータリ圧縮機と異なる点は、多孔部材55,56を回転電動機部の下側空間17および上側空間19にそれぞれ設けた点である。すなわち、下側空間17および上側空間19に設けた多孔部材55,56には、樹脂やセラミック等で形成したハニカムやパンチングメタル等から成る円板形状の多孔板55a,55b,55c,56a,56b,56cを用いている。そして、上軸受部材7の突起部7bの外周部に3つの環状のリング溝7e,7f,7gを下から順番に設け、各リング溝に嵌合可能な貫通孔を中央部に設けた円板形状の多孔板55a,55b,55cをリング溝7e,7f,7gに嵌合して固定し、これらの多孔板55a,55b,55cから成る一方の多孔部材55で、回転電動機部の下側空間17を、圧縮機構部側の下部圧縮機構部側空間17aと、回転電動機部側の下部回転電動機部側空間17bとに区画している。
また、上部空間19において、多孔板56a,56b,56cを下方から順番に密閉容器1の内側側面に固定し、これらの多孔板56a,56b,56cから成る他方の多孔部材56で、回転電動機部の上側空間19を、回転電動機部側の上部回転電動機部側空間19aと、吐出管15側の上部吐出管側空間19bとに区画している構成にある。
また、多孔板55a,55b,55c,56a,56b,56cは、中心軸Lに対して略鉛直面となるように設置されている。また、多孔板55a,55b,55c,56a,56b,56cの有する複数の小孔を、各々の多孔板で異なる位置に設け、各小孔の径を中央部ほど小さくした構成にある。
なお、本実施例の多孔部材55は、三枚の多孔板55a,55b,55cを並べて複層化して形成したが、少なくとも一枚の多孔板55aで多孔部材55を形成する構成でも良い。同様に三枚の多孔板56a,56b,56cないし一枚の多孔板56aで多孔部材56を形成する構成でも良い。以下の説明では、多孔板55a,55b,55cを略して多孔部材55と、および多孔板56a,56b,56cを略して多孔部材56とも呼称する。
上記構成のロータリ圧縮機の動作について、作動流体や油の流れから説明する。
圧縮機構部で圧縮されて吐出孔7aから下側空間17に噴出する作動流体は、まず、多孔部材55により区画されて回転子12の回転運動の影響を受けない下部圧縮機構部側空間17aに滞留する。そして、作動流体が下部圧縮機構部側空間17aに滞留している間に、作動流体に含まれる油滴の一部は、密閉容器1の内壁に付着し、あるいは、重力で下方に落ちて分離し、油溜り16に戻る。
その後、作動流体は多孔部材55の内部を通過するが、その際に作動流体の流速が低下するので、多孔部材55の内部で油滴が作動流体から分離される。そして、多孔部材55を通過した作動流体は、下部回転電動機部側空間17bに流入し、回転子12の回転運動の影響で旋回流となり、一方、作動流体に含まれる油滴の一部は、旋回流の遠心力で密閉容器1の内壁に付着し、あるいは、重力で落下し、作動流体から分離されて油溜り16に戻る。
さらに、作動流体は、下部回転電動機部側空間17bから切欠き11eや隙間18を通過して、回転電動機部の上側空間19に流入する。上側空間19に流入した作動流体は、まず、多孔部材56によって区画された上部回転電動機部側空間19aにて、回転子12の回転運動の影響で旋回流となる。一方、作動流体に含まれる油滴の一部は、旋回流の遠心力で密閉容器1の内壁に付着し、あるいは、重力で落下し、作動流体から分離されて密閉容器1の内壁や固定子11の壁面を伝って油溜り16に戻る。
その後、作動流体は多孔部材56の内部を通過するが、その際に作動流体の流速が低下するので、多孔部材56の内部で油滴が作動流体から分離される。そして、多孔部材56を通過した作動流体は、多孔部材56により区画されて回転子12の回転運動の影響を受けない上部吐出管側空間19bに流入し、滞留する。作動流体が上部吐出管側空間19bに滞留している間に、作動流体に含まれる油滴の一部は、密閉容器1の内壁に付着し、あるいは、重力で落ちて分離し、密閉容器1の内壁等を伝って油溜り16に戻る。そして、作動流体は、吐出管15から吐出する。
以上のような構成にしたことにより、下部圧縮機構部側空間17aが多孔板55a,55b,55cにより下部回転電動機部側空間17bから区画されるため、回転子12の回転により下部回転電動機部側空間17bで誘起された旋回流は、下部圧縮機構部側空間17aに伝わらない。また、多孔板55a,55b,55cは、回転子12およびシャフト2以外の箇所に固定され、回転運動を行わない。そのため、下部圧縮機構部側空間17aで多孔板55a,55b,55cが原因となる旋回流は発生しない。
従って、本実施例のロータリ圧縮機では、圧縮機構部で圧縮され、上軸受部材7の吐出孔7aから下部圧縮機構部側空間17aに吐出された作動流体は、旋回流によって流速が増すことがなく、作動流体が冷凍機油の油滴を輸送する能力が、従来の圧縮機と比較して低下するので、下部圧縮機構部側空間17aにおける作動流体と冷凍機油との密度差による油分離が促進される。また、冷凍機油の油滴が、旋回流により微細化されることも防止するため、作動流体と冷凍機油との密度差による油分離をさらに促進する。
また、作動流体は多孔板55a,55b,55cの内部を通過し、下部圧縮機構部側空間17aから下部回転電動機部側空間17bに移動するが、その際、多孔板55a,55b,55cの小孔の入口、孔壁、出口での流路抵抗が大きいため、作動流体の流速はさらに低下する。また、多孔板55a,55b,55cの小孔を中央部ほど小さくしたことにより、作動流体が中央部を通過する際の抵抗が周縁部よりも大きい。
従って、上軸受部材7の吐出孔7aから吐出され、多孔板55aの中央部付近に衝突する作動流体の内、多孔板55aの中央部の小孔を通過する割合が低下し、下部圧縮機構部側空間17aで一旦拡散してから多孔板55a,55b,55cの周縁部の小孔を通過する割合が増え、多孔板55a,55b,55cを通過する作動流体の流速がさらに低下する。このため、多孔板55a,55b,55cの内部における作動流体の流速低下により、作動流体が冷凍機油を輸送する能力が低減され、下部圧縮機構部側空間17aで分離できない微細な油滴は、多孔板55a,55b,55cを通過する際に、作動流体と冷凍機油との密度差により、作動流体から容易に分離される。
また、多孔板55a,55b,55cの有する複数の小孔を、各々の多孔板で異なる位置に設けることで、多孔板55aの小孔を通過した作動流体および冷凍機油は多孔板55bに衝突し、多孔板55bの小孔を通過した作動流体および冷凍機油は多孔板55cに衝突する。そのため、多孔板の表面に作動流体および冷凍機油が接し易くなる。従って、冷凍機油の油滴が多孔板55a,55b,55cに付着して成長し、密度差により多孔板55aの下方に滴下するため、油分離が促進される。
また、以上述べてきたように、多孔板55a,55b,55cの設置により下部圧縮機構部側空間17aでの油分離が促進され、旋回流や、回転子12の下端面12aのバランサ12d等の凹凸が回転運動することによる攪拌が生じる下部回転電動機部側空間17bには、大幅に油滴が分離された作動流体が流入する。そのため、下部回転電動機部側空間17bで旋回流や攪拌により油分離が困難になることを最小限に抑え、固定子11の切欠き11eや、固定子11と回転子12の隙間18を通過し、上部回転電動機部側空間19aに吐出する。
一方、上部回転電動機部側空間19には、多孔板56a,56b,56cが、中心軸Lに対して略鉛直面となるように密閉容器1に固定されており、回転子12の回転により上部回転機構部側空間19aで誘起された旋回流が、多孔板56a,56b,56cを越えて伝わり難い。また、作動流体は、多孔板56a,56b,56cを通過して、上部回転電動機部側空間19aから上部吐出管側空間19bに移動するが、その際、多孔板56a,56b,56cの小孔の入口、孔壁、出口での流路抵抗が大きいため、作動流体の流速は大きく低下する。このため、多孔板56a,56b,56cの内部における作動流体の流速低下により、作動流体が冷凍機油を輸送する能力が低減され、上部回転電動機部側空間19aまでに分離できなかった微細な油滴は、多孔板56a,56b,56cを通過する際に、作動流体と冷凍機油との密度差により、作動流体から容易に分離される。
また、多孔板56a,56b,56cのそれぞれの小孔を異なる位置に設けることで、多孔板56aの小孔を通過した作動流体および冷凍機油は多孔板56bに衝突し、多孔板56bの小孔を通過した作動流体および冷凍機油は多孔板56cに衝突する。そのため、多孔板の表面に作動流体および冷凍機油が接し易くなる。従って、冷凍機油の油滴が多孔板56a,56b,56cに付着して成長し、密度差により多孔板56aの下方に滴下するため、油分離が促進される。
また、上部吐出管側空間19bが多孔板56a,56b,56cにより上部回転電動機部側空間19aから区画されるため、回転子12の回転により上部回転電動機部側空間19aで誘起された旋回流は、上部吐出管側空間19bに伝わらない。また、多孔板56a,56b,56cは、回転子12およびシャフト2以外の箇所に固定され、回転運動を行わない。そのため、上部吐出管側空間19bで多孔板56a,56b,56cが原因となる旋回流は発生しない。
従って、本実施例のロータリ圧縮機では、多孔板56a,56b,56cを通過して上部吐出管側空間19bに流入した作動流体は、旋回流によって流速が増すことがなく、作動流体が冷凍機油の油滴を輸送する能力が、従来の圧縮機と比較して低下するので、上部吐出管側空間19bにおける作動流体と冷凍機油との密度差による油分離が促進される。また、冷凍機油の油滴が、旋回流により微細化されることも防止するため、作動流体と冷凍機油との密度差による油分離をさらに促進する。
また、以上述べてきたように、多孔板56a,56b,56cの設置により旋回流や、回転子12の上端面12aのバランサ12d等の凹凸が回転運動することによる攪拌が生じる上部回転電動機部側空間19aから、多孔板56a,56b,56cを通過して上部吐出管側空間19bに流入する作動流体は、大幅に油滴が分離されており、さらに、上部吐出管側空間19bには旋回流も伝わらないため、上部吐出管側空間19bでの油分離が促進され、吐出管15から吐出される作動流体が含む冷凍機油の質量を低減する。
また、シャフト2を支持する上軸受部材7に多孔板55a,55b,55cを固定するため、回転電動機部と圧縮機構部との間の空間で、中心軸Lに沿った方向の位置決めが容易に行え、特にスペーサー等の位置決め部材を必要としないため安価に製造できる。同様に、密閉容器1の内側側面に多孔板56a,56b,56cを固定するため、回転電動機部と吐出管との間の空間で、中心軸Lに沿った方向の位置決めが容易に行え、特にスペーサー等の位置決め部材を必要としないため安価に製造できる。
また、多孔板55a,55b,55cをリング溝7e,7f,7gに嵌合して固定したことにより、ボルト等の固定部品なしの組立てが可能となり、安価に製造できる。
また、ハニカムやパンチングメタル等の多孔板55a,55b,55c及び多孔板56a,56b,56cで区画を形成したため、上軸受部材7の突起部7bに嵌合可能な貫通孔を多孔板55a,55b,55cに設けたり、密閉容器1の内側側面に丁度納まる円板形状に加工したりすることが容易であるため、安価に製造できる。
また、多孔板55cと多孔板56aが板状であるため、下部回転電動機部側空間17bおよび上部回転電動機部側空間19aで誘起された旋回流と接する多孔板55cと多孔板56aの表面は平坦であり、多孔板55cと多孔板56aの表面での旋回流の剥離等による乱れが発生し難い。そのため、流れの乱れによる運動エネルギーの損失を原因とする圧縮機の効率低下を防ぐことができる。
また、多孔板55a,55b,55c及び多孔板56a,56b,56cを非磁性体で形成すれば、回転電動機部の磁気回路に与える影響が少なく、回転電動機部の効率を低下させることなく油分離効率を向上させることができる。
また、回転電動機部側に相対している少なくとも多孔板55c及び多孔板56aを絶縁性のある樹脂あるいはセラミックス等で構成することにより、これらの多孔板55c及び多孔板56aを固定子11のコイルエンド11cおよびコイルエンド11dに接して設置することができるので、電気絶縁性を考慮してコイルエンド11cおよびコイルエンド11dとの間に隙間を設ける必要性がない。従って、コイルエンド11cおよびコイルエンド11dとの隙間を確保するために圧縮機を大型化する必要がなく、従来と同じ大きさの密閉容器1の内部において本実施例の構成を実現できる。
なお、多孔部材55の表面を撥油処理することが望ましい。多孔部材55の表面を撥油処理することで、多孔部材55の表面に冷凍機油が保持され難くなるため、多孔部材55に付着して粒径が成長した冷凍機油が、密度差により多孔部材55の下方に滴下しやすくなる。したがって、作動流体から分離された冷凍機油を油溜り16に戻す効果が促進される。
以上、本実施例では縦型のロータリ圧縮機を例に説明したが、縦型と横型の違いや、圧縮方式の違いに関らず、圧縮機構部から吐出された作動流体が密閉容器1に設けられた吐出管15から吐出されるまでの間に回転子12の近傍を通過する場合には、同様の効果を得ることができるのは言うまでもない。
また、従来のロータリ圧縮機のように、吐出孔7aから噴出する作動流体が回転子12の下端面12aに直接的に衝突する構成の圧縮機では、多孔部材55や多孔部材56によって下部空間17や上部空間19を区画する効果がより顕著であることは言うまでもない。
(実施例6)
本発明の第6の実施例の圧縮機は、スクロール圧縮機であり、図9で説明した従来のスクロール圧縮機とほぼ同様な構成であり、同一機能部品については同一の符号を適用する。
図7は、本発明の第6の実施例におけるスクロール圧縮機の縦断面図である。
図に示すスクロール圧縮機は、密閉容器31と、この密閉容器31内部の右方に配置された圧縮機構部と、その左方に配置された回転電動機部とから構成される。圧縮機構部は、中心軸Lを中心に回転可能で偏心部32aを備えたシャフト32と、インボリュート等の渦巻き形状のラップ33a及び吐出孔33bを備えた固定スクロール33と、渦巻き形状のラップ34aを備え固定スクロール33と相対してラップ33a,34aが噛み合うように配置されて偏心部32aの偏心回転運動に伴い旋回運動する可動スクロール34と、可動スクロール34の回転を防止するオルダムリング35と、吐出孔36a及び突出部36bを備えシャフト32を支える軸受部材36とを有する。そして、固定スクロール33と可動スクロール34の間には複数の吸入室37、圧縮室38が形成されている。
回転電動機部は、密閉容器31の内部に焼嵌めされた固定子39と、シャフト32に焼嵌めされた回転子40とを有する。この固定子39には、固定子39の右端面39aから突出したコイルエンド39cと、左端面39bから突出したコイルエンド39dとが設けられている。また、固定子39は、その右端面39aから左端面39bまで鋼板を積層して形成されている。そして、回転子40の右端面40aや左端面40bには、必要に応じてバランサ40cが設けられている。
一方、軸受部材36の突出部36bには、回転電動機部と圧縮機構部との間の右側空間47を、右部圧縮機構部側空間47aと右部回転電動機部側空間47bとに区画する、多孔板57a、多孔板57bおよび多孔板57cが取付けられている。また、回転電動機部の左方には、回転子40に関して軸受部材36の反対側にあってシャフト32を支える副軸受部材41が配設され、この副軸受部材41の突出部41aには、回転電動機部と吐出管44との間の左側空間49を、右部回転電動機部側空間49aと左部吐出管側空間49bとに区画する、多孔板58a、多孔板58bおよび多孔板58cが取付けられている。
また、固定子39の外周側と密閉容器31の内壁の間には、作動流体の流路とするための複数の切欠き39eが設けられ、固定子39と回転子40の間に、隙間48が設けられている。また、突出部36bには、リング溝36c,36d,36eが、突出部41aには、リング溝41b,41c,41dが設けられている。
また、密閉容器31の壁部には、密閉容器1の外部から固定子39に通電するための導入端子42と、作動流体を冷凍サイクルから吸入室37に導く吸入管43と、作動流体を密閉容器31の内部から冷凍サイクルに吐出する吐出管44とが設けられている。そして、密閉容器31の底部の油溜り45に、冷凍機油が貯留され、給油ポンプ46で油溜り45から冷凍機油を汲み上げてシャフト32の給油孔(図示せず)を介して圧縮機構部に給油する構成となっている。
さらに、本実施例のスクロール圧縮機の特徴は、図9に示す従来のスクロール圧縮機と比較すると、多孔板57a,57b,57cから成る一方の多孔部材57を回転電動機部の右側空間47に設け、多孔板58a,58b,58cから成る他方の多孔部材58を回転電動機部の左側空間49に設けた構成である。すなわち、右側空間47および左側空間49に設けた多孔部材57,58には、樹脂やセラミック等で形成したハニカムやパンチングメタル等から成る円板形状の多孔板57a,57b,57c及び多孔板58a,58b,58cを用いた。
そして、軸受部材36の突出部36bの外周部に3つの環状のリング溝36c,36d,36eを右から順番に設け、各リング溝に嵌合可能な貫通孔を中央部に設けた多孔板57a,57b,57cをリング溝36c,36d,36eに嵌合して固定し、回転電動機部の右側空間47を、圧縮機構部側の右部圧縮機構部側空間47aと、回転電動機部側の右部回転電動機部側空間47bとに区画している。
また、副軸受部材41に回転子40の左端面40bの近傍まで突出した突出部41aを設け、副軸受部材41の突出部41aの外周部に3つの環状のリング溝41c,41d,41eを右側から左側へ順番に設け、各リング溝に嵌合可能な貫通孔を中央部に設けた多孔板58a,58b,58cをそれぞれリング溝41c,41d,41eに嵌合して固定し、回転電動機部の左側空間49を、回転電動機部側の左部回転電動機部側空間49aと、吐出管42側の左部吐出管側空間49bとに区画している。
また、多孔板57a,57b,57c,58a,58b,58cは、中心軸Lに対して略鉛直面となるように設置されている。また、多孔板57a,57b,57c,58a,58b,58cの有する複数の小孔を、各々の多孔板で異なる位置に設け、各小孔の径を中央部ほど小さくした構成である。
なお、本実施例の多孔部材57は、三枚の多孔板57a,57b,57cを並べて複層化して形成したが、少なくとも一枚の多孔板57aで多孔部材57を形成する構成でも良い。同様に三枚の多孔板58a,58b,58cないし一枚の多孔板58aで多孔部材58を形成する構成でも良い。また、多孔部材57または多孔部材58のうち少なくとも一方を設ける構成でも良い。以下の説明では、多孔板57a,57b,57cを略して多孔部材57と、および多孔板58a,58b,58cを略して多孔部材58とも呼称する。
上記構成のスクロール圧縮機の動作について説明する。
導入端子42を介して固定子39に通電し回転子40を回転させると、可動スクロール34は旋回運動を行い、固定スクロール33と可動スクロール34のラップ33a,34aの間に形成された吸入室37と圧縮室38の容積が変化する。これに伴い作動流体は、吸入管43から吸入室37に吸入され、圧縮室38にて圧縮される。圧縮された作動流体は、油溜り45から給油されて圧縮機構部の摺動面を潤滑し、且つ隙間をシールする冷凍機油の油滴を混合した状態で、吐出孔33b,36aから、圧縮機構部と回転電動機部との間の、作動流体の流れ場である右側空間47に噴出する。
右側空間47に噴出した作動流体は、まず、多孔部材57により区画され回転子12の回転運動の影響を受けない右部圧縮機構部側空間47aに滞留する。そして、作動流体が右部圧縮機構部側空間47aに滞留している間に、作動流体に含まれる油滴の一部は、密閉容器31の内壁に付着し、あるいは、重力で下方に落ちて分離し、油溜り45に戻る。
その後、作動流体は多孔部材57の内部を通過するが、その際に作動流体の流速が低下するので、多孔部材57の内部で油滴が作動流体から分離される。そして、多孔部材57を通過した作動流体は、右部回転電動機部側空間47bに流入し、回転子12の回転運動の影響で旋回流となり、一方、作動流体に含まれる油滴の一部は、旋回流の遠心力で密閉容器1の内壁に付着し、あるいは、重力で落下し、作動流体から分離されて油溜り45に戻る。
さらに、作動流体は、右部回転電動機部側空間47bから切欠き39eや隙間48を通過して、回転電動機部と吐出管44との間の、作動流体の流れ場である左側空間49に流入する。左側空間49に流入した作動流体は、まず、多孔部材58によって区画された左部回転電動機部側空間49aにて、回転子12の回転運動の影響で旋回流となる。一方、作動流体に含まれる油滴の一部は、旋回流の遠心力で密閉容器31の内壁に付着し、あるいは、重力で落下し、作動流体から分離されて油溜り45に戻る。
その後、作動流体は多孔部材58の内部を通過するが、その際に作動流体の流速が低下するので、多孔部材58の内部で油滴が作動流体から分離される。そして、多孔部材58を通過した作動流体は、多孔部材56により区画され回転子12の回転運動の影響を受けない左部吐出管側空間49bに流入し、滞留する。作動流体が左部吐出管側空間49bに滞留している間に、作動流体に含まれる油滴の一部は、密閉容器1の内壁に付着し、あるいは、重力で落ちて分離し、油溜り16に戻る。そして、作動流体は、吐出管44から吐出する。
以上のような構成にしたことにより、本第6の実施例の圧縮機は、第5の実施例の圧縮機の圧縮機構部をロータリ式からスクロール式へ、縦型から横型へ変更し、多孔板58a,58b,58cを副軸受部材41に固定したこと以外は、第5の実施例と同様の構成であり、本実施例のスクロール圧縮機では、第5の実施例と同様の効果が得られ、油分離効率を向上させることができる。
また、多孔板57a,57b,57c,58a,58b,58cを圧縮機構部の一部である軸受部材36あるいは副軸受部材41に取付けたことにより、従来の圧縮機に使用していた回転電動機部をそのまま利用することが可能となり、安価に製造できる。
また、多孔板57a,57b,57c,58a,58b,58cを軸受部材36の突出部36b、あるいは、副軸受部材41の突出部41aに取付けたことにより、支柱など新たな支持部材を追設することが不要で、且つ簡単な構成で多孔板57a,57b,57c,58a,58b,58cを設置することが可能となり、安価に製造できる。
また、突出部36b,41aの外周部に設けたリング溝36c,36d,36e,41b,41c,41dに、多孔板57a,57b,57c,58a,58b,58cを装着する構成としたことにより、ボルト等の固定部品なしの組立てが可能となり、安価に製造できる。
なお、以上に示した実施例の作用効果は作動流体の種類に関らず生じるが、特に、二酸化炭素を作動流体とする場合に、より有効に働くものである。すなわち、二酸化炭素を主成分とした作動流体を用いる冷凍サイクルの場合、圧縮機構部から吐出される作動流体が超臨界状態となるので、作動流体に対する冷凍機油の溶解量が増し、特に密閉容器の内部での油分離が一層困難になる。このような二酸化炭素と本発明の第1の実施例から第6の実施例の圧縮機とを組み合わせて用いる構成により、作動流体の撹拌を防止することができるため、冷凍機油の油分離効率を高めることが可能となる。これによって、圧縮機の信頼性、及び圧縮機を用いた冷凍サイクルの効率を高めることができるとともに、環境に優しい冷媒としての二酸化炭素が使用できるという利点がある。
以上のように、本発明は、潤滑油を有する圧縮機に適用され、例えば、冷凍冷蔵庫、空調機、給湯機などの冷凍サイクルに用いられる圧縮機として適している。
本発明の第1の実施例におけるロータリ圧縮機の縦断面図 図1に示すロータリ圧縮機のZ−Z矢視の横断面図 本発明の実施例2におけるロータリ圧縮機の縦断面図 本発明の実施例3におけるロータリ圧縮機の縦断面図 本発明の実施例4におけるロータリ圧縮機の縦断面図 本発明の実施例5におけるロータリ圧縮機の縦断面図 本発明の実施例6におけるスクロール圧縮機の縦断面図 従来のロータリ圧縮機の縦断面図 従来のスクロール圧縮機の縦断面図 従来の圧縮機の油分離板の周辺の詳細断面図

Claims (11)

  1. 作動流体を圧縮する圧縮機構部と、固定子及び回転子から構成し前記圧縮機構部を駆動する回転電動機部と、前記圧縮機構部及び前記回転電動機部を内包する密閉容器とを備え、圧縮された前記作動流体が前記圧縮機構部から前記回転電動機部へ流れる圧縮機において、前記圧縮機構部と前記回転電動機部との間の空間を多孔部材で区画し
    前記多孔部材は、中央部の流路抵抗よりも外周部の流路抵抗のほうが小さい
    ことを特徴とする圧縮機。
  2. 作動流体を圧縮する圧縮機構部と、固定子及び回転子から構成し前記圧縮機構部を駆動する回転電動機部と、前記圧縮機構部及び前記回転電動機部を内包する密閉容器とを備え、前記密閉容器は前記回転電動機部に対して前記圧縮機構部の反対側に吐出管を有し、圧縮された前記作動流体が前記回転電動機部から前記吐出管へ流れる圧縮機において、前記回転電動機部と前記吐出管との間の空間を多孔部材で区画し
    前記多孔部材は、中央部の流路抵抗よりも外周部の流路抵抗のほうが小さい
    ことを特徴とする圧縮機。
  3. 前記多孔部材を多孔質体で構成するとともに、前記多孔質体の中央部を外周部より厚く形成したことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の圧縮機。
  4. 前記多孔部材をメッシュで構成するとともに、前記メッシュの中央部を外周部より密に形成したことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の圧縮機。
  5. 前記多孔部材を多孔板で構成するとともに、前記多孔板の中央部の孔を外周部より小さく形成したことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の圧縮機。
  6. 複数の前記多孔板を並べて複層化したことを特徴とする請求項5に記載の圧縮機。
  7. 前記多孔部材を非磁性体としたことを特徴とする請求項1から請求項6のいずれかに記載の圧縮機。
  8. 前記多孔部材を絶縁体としたことを特徴とする請求項1から請求項6のいずれかに記載の圧縮機。
  9. 前記作動流体として二酸化炭素を用いたことを特徴とする請求項1から請求項8のいずれかに記載の圧縮機。
  10. 前記圧縮機構部の形式をロータリ式としたことを特徴とする請求項1から請求項9のいずれかに記載の圧縮機。
  11. 前記圧縮機構部の形式をスクロール式としたことを特徴とする請求項1から請求項9のいずれかに記載の圧縮機。
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