JPH08138450A - 絶縁電線 - Google Patents

絶縁電線

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JPH08138450A
JPH08138450A JP27149294A JP27149294A JPH08138450A JP H08138450 A JPH08138450 A JP H08138450A JP 27149294 A JP27149294 A JP 27149294A JP 27149294 A JP27149294 A JP 27149294A JP H08138450 A JPH08138450 A JP H08138450A
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JP
Japan
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conductor
rust preventive
insulator
preventive agent
electric wire
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Pending
Application number
JP27149294A
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English (en)
Inventor
Susumu Takahashi
享 高橋
Toshio Niwa
利夫 丹羽
Masahiro Kawano
昌洋 川野
Masaru Saito
勝 斉藤
Katsumaro Tanaka
勝麿 田中
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Fujikura Ltd
Original Assignee
Fujikura Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 絶縁体としてポリエチレンを用い、水分の侵
入による導体の応力腐食割れが長期に防止された絶縁電
線を得る。 【構成】 超低密度ポリエチレンに昇華性防錆剤を添加
した絶縁体、またはポリエチレンとエチレン・(メタ)
アクリレート共重合体との樹脂混合物に昇華性防錆剤を
添加した絶縁体を用いる。この昇華性防錆剤はベンゾト
リアゾール(BTA)またはその誘導体であることが好
ましい。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は絶縁電線に関するもので
あり、特に絶縁体のベースレジンとしてポリエチレン
(PE)を用いた絶縁電線で、水分の侵入による導体の
応力腐食割れが防止されたものに関する。
【0002】
【従来の技術】絶縁電線は一般に水分が侵入すると導体
の応力腐食割れ(SCC)現象を起こす。この現象は、
絶縁電線の製造中に撚り線工程などで導体が応力を受け
構造的な残留歪を有する場合に、その表面に錆が発生す
ると、この錆を基点にして導体に亀裂が生じるものであ
る。この現象を防止するために従来から次のような対策
が構じられている。すなわち、(1)製造加工時に導体
の応力緩和を行い、残留歪を低減させる。(2)導体表
面にベンゾトリアゾール(BTA)またはその誘導体な
どの昇華性防錆剤を施す。(3)昇華性である防錆剤の
効果を長期に持続するため、絶縁体中にもこの昇華性防
錆剤を添加する。
【0003】架橋ポリエチレン絶縁電線、すなわち架橋
した低密度ポリエチレン(LDPE)を絶縁体として用
いた電線やケーブルについても同様であって、この絶縁
体には一般に防錆剤としてBTAが添加されている。し
かし、BTAはLDPEと相容性が悪く、添加してもブ
ルーム(表層移行)を起こして比較的短時間に効果が失
われるという問題がある。このため、BTAとある程度
相容性を有するエチレン・酢酸ビニル共重合体(EV
A)がLDPE中に添加される。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】絶縁体中にEVAを含
有する上記の架橋ポリエチレン絶縁電線は、製造に際し
て絶縁材コンパウンドの混練中に、またはこのコンパウ
ンドを導体上に押出して被覆する際にコンパウンドが加
熱されるので、これに含まれるEVAの一部が熱分解を
起こして酢酸を発生する。また、電線使用時にも導体浸
水などの湿度下でEVAが加水分解して酢酸を発生す
る。
【0005】絶縁体中に発生した酢酸は、徐々に導体側
へ浸出して導体の防錆性能に悪影響を及ぼす。すなわ
ち、導体表面にはCuとBTAとのキレート膜が形成さ
れて防錆膜としての効果を現しているが、このキレート
膜は酢酸などの有機酸に侵され易く、このため防錆力が
低下してしまう。従って、従来の技術ではポリエチレン
絶縁電線において、水分の侵入による導体の応力腐食割
れが十分に防止できていなかった。本発明はこの問題を
解決するためになされたものであり、従って本発明の目
的は、水分の侵入による導体の応力腐食割れを防止した
ポリエチレン絶縁電線を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記の課題は、密度0.
91g/cm3以下の超低密度ポリエチレン(VLDP
E)に昇華性防錆剤が添加された絶縁体を用いた絶縁電
線を提供することによって解決できる。ここでVLDP
Eとは、長い直鎖の飽和炭化水素から短い直鎖の飽和炭
化水素基が多数分岐した構造を有する高分子飽和炭化水
素であって、密度が0.88g/cm3ないし0.91
g/cm3の範囲内にあることによって通常の低〜高密
度ポリエチレンとは明瞭に区別される。
【0007】また上記の課題は、ポリエチレン(PE)
とエチレン・(メタ)アクリレート共重合体との樹脂混
合物に昇華性防錆剤が添加された絶縁体を用いた絶縁電
線を提供することによって解決できる。ここで、絶縁体
として用いるPEは低密度ポリエチレン(LDPE)で
あることが好ましい。また、エチレン・(メタ)アクリ
レート共重合体は、エチレン・エチルアクリレート共重
合体(EEA)、エチレン・メチルメタクリレート共重
合体(EMMA)、およびエチレン・ブチルアクリレー
ト共重合体(EBA)からなる群から選ばれた少なくと
も1種であることが好ましい。このエチレン・(メタ)
アクリレート共重合体は、非エチレン成分が上記の樹脂
混合物の1重量%ないし10重量%となる量を配合する
ことが好ましい。1重量%未満ではBTAなど昇華性防
錆剤のブルーム防止性能が不十分となり、10重量%を
越えると絶縁体のベースレジンとしての電気特性や物性
に望ましくない影響が現れる。
【0008】上記のいずれの絶縁電線においても、昇華
性防錆剤はBTAまたはその誘導体であることが好まし
い。昇華性防錆剤の添加量は0.3PHRないし3PH
Rの範囲内であることが好ましい。0.3PHR未満で
は、防錆効果の持続性が不十分なものとなり、3PHR
を越えるとブルームを起こしやすくなる。本発明の絶縁
電線に用いる絶縁体は、昇華性防錆剤の他に、耐候性向
上用のカーボンブラックや酸化防止剤などの添加剤を含
むことができる。
【0009】
【作用】VLDPEはBTAなど昇華性防錆剤との相容
性が大きいので、これを用いればEVAのような酸発生
性の重合物を用いなくてもブルームを起こさない。また
通常のLDPEを用いても、EVAの代わりにエチレン
・(メタ)アクリレート共重合体を用いれば、これらは
加熱または加水分解により遊離酸を生成することなく、
しかもBTAなど昇華性防錆剤との相容性がよいので、
ブルームを起こさない。いずれの場合も、遊離酸を生成
する成分を含まないから導体の防錆被膜が侵されること
がない。
【0010】
【実施例】以下、実施例によって本発明を更に詳しく説
明する。 (実施例1〜実施例3)密度がそれぞれ0.89g/c
3、0.90g/cm3、および0.91g/cm3
VLDPEに、それぞれ耐候性向上用のカーボンブラッ
クを0.8PHR、およびBTAを1PHR混練して絶
縁体用コンパウンドを調製した。断面積60mm2の導
体に常法により応力緩和処理と導体防錆処理とを施し、
これに上記のそれぞれの絶縁体用コンパウンドを200
℃の温度で厚さ2.5mmに押出し、実施例1〜実施例
3の絶縁電線を製造した。
【0011】(比較例1、比較例2)密度0.925g
/cm3の高圧法低密度ポリエチレン(LDPE)90
重量部に酢酸ビニル成分を50重量%含むEVAを10
重量部混合し、これに更に耐候性向上用のカーボンブラ
ックを0.8PHRおよびBTAを1PHR混練して比
較例1用の絶縁体用コンパウンドを調製した。また、上
記の組成からBTAを除外したものを比較例2用のコン
パウンドとした。実施例1〜実施例3と同様にして、そ
れぞれの絶縁体用コンパウンドを導体上に押出し、比較
例1および比較例2の絶縁電線を製造した。
【0012】(試験例1)上記各実施例および比較例の
試料について、ブルーム試験を行った。各絶縁電線試料
を40℃の大気中に1月間放置し、絶縁体表面へのBT
Aの浮きだしの有無を検査した。この結果を表1に示
す。
【0013】
【表1】
【0014】表1の結果から、絶縁体としてVLDPE
を用いた実施例1〜実施例3の試料は、EVAを配合し
ないにもかかわらずBTAのブルームを起こさないこと
がわかる。これと同一条件で絶縁体としてLDPEを用
いた比較例の場合は、EVAを用いた比較例1ではブル
ームが阻止されたものの、EVAを用いない比較例2で
はブルームが発生した。
【0015】(試験例2)上記実施例2および比較例1
の試料について、導体の発錆促進試験を行った。各試料
をそれぞれ10倍径のドラムに巻き、60℃の水槽中に
浸漬および引き上げができるように装着した。ドラム巻
きした電線試料の下部の絶縁体を剥いで導体を露出さ
せ、浸漬時にはこの部分で導体が水と接触し、引き上げ
時にはこれが乾燥される乾湿サイクルが繰り返せるよう
にした。各試料について、この乾湿サイクルを1日1回
の周期で30日間繰り返した後、浸漬部分の絶縁体を剥
ぎ取り、導体の錆の発生の有無を観察した。結果を表2
に示す。
【0016】
【表2】
【0017】表2の結果から、EVAを含む比較例1が
発錆する条件でも実施例2は発錆せず、このことから絶
縁体としてVLDPEを用い、EVAを含まない場合の
防錆効果が従来のものより高いことは明かである。上記
試験例1および試験例2によって、絶縁体としてVLD
PEを用い、かつEVAを含まない絶縁電線は、BTA
のブルームを起こさず、しかも酸を発生しないので導体
の防錆保護効果が高いことが明かである。
【0018】(実施例4〜実施例6)密度が0.925
g/cm3、メルトインデックスが0.4g/10mi
nのLDPE90重量部に、それぞれ非エチレン成分が
50重量%であるEEA、EMMA、およびEBAをそ
れぞれ10重量部混合し、更にこれらに耐候性向上用の
カーボンブラックを0.8PHR、およびBTAを1.
0PHR混練してそれぞれの絶縁体用コンパウンドを調
製した。断面積60mm2の導体に常法により応力緩和
処理と導体防錆処理とを施し、これに上記のそれぞれの
絶縁体用コンパウンドを200℃の押出し温度で厚さ
2.5mmに被覆し、実施例4〜実施例6の絶縁電線を
製造した。
【0019】(試験例3)上記の実施例4〜実施例6お
よび比較例1、比較例2の試料について、ブルーム試験
を行った。各絶縁電線試料を40℃の大気中に1月間放
置し、絶縁体表面へのBTAの浮きだしの有無を検査し
た。この結果を表3に示す。
【0020】
【表3】
【0021】表1の結果から、絶縁体としてLDPEと
エチレン・(メタ)アクリレート共重合体であるEE
A、EMMA、またはEBAとをそれぞれ用いた実施例
4〜実施例6の試料は、EVAを配合した比較例1の場
合と同様にブルームを起こさないことがわかる。これと
同一条件で絶縁体としてEVAを配合しないLDPEを
用いた比較例2の場合はブルームが発生した。
【0022】(試験例4)上記実施例4〜実施例6およ
び比較例1の試料について、試験例2と同様な方法で導
体の発錆促進試験を行った。その結果を表4に示す。
【0023】
【表4】
【0024】表4の結果で、EVAを含む比較例1が発
錆する条件でも実施例4〜実施例6はいずれも発錆して
いない。このことは、EEA、EMMA、およびEBA
が絶縁電線製造時の加熱で遊離酸を生成しなかったこと
を示している。試験例3および試験例4の結果から、ポ
リエチレン絶縁体がEVAの代わりにエチレン・(メ
タ)アクリレート共重合体であるEEA、EMMA、ま
たはEBAを含む場合は、BTAのブルームを起こさ
ず、しかも乾湿を繰り返しても導体を錆から保護してい
ることは明かである。
【0025】
【発明の効果】本発明の絶縁電線は、密度が0.91g
/cm3以下の超低密度ポリエチレン(VLDPE)に
昇華性防錆剤が添加された絶縁体を用いたものであるの
で、昇華性防錆剤との相容性が良好でブルームを起こさ
ず、しかも遊離酸発生要因となるEVAが含まれていな
いので導体の防錆効果が持続し、従って水分の侵入によ
る導体の応力腐食割れが長期間にわたって防止できる効
果がある。また、本発明の絶縁電線は、ポリエチレンと
エチレン・(メタ)アクリレート共重合体との樹脂混合
物に昇華性防錆剤が添加された絶縁体を用いたものであ
るので、昇華性防錆剤がブルームを起こさず、導体の防
錆効果が持続し、従って水分の侵入による導体の応力腐
食割れが長期間にわたって防止できる効果がある。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 斉藤 勝 東京都江東区木場1丁目5番1号 株式会 社フジクラ内 (72)発明者 田中 勝麿 東京都江東区木場1丁目5番1号 株式会 社フジクラ内

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 密度0.91g/cm3以下の超低密度
    ポリエチレン(VLDPE)に昇華性防錆剤が添加され
    た絶縁体を用いた絶縁電線。
  2. 【請求項2】 ポリエチレン(PE)とエチレン・(メ
    タ)アクリレート共重合体との樹脂混合物に昇華性防錆
    剤が添加された絶縁体を用いた絶縁電線。
  3. 【請求項3】 昇華性防錆剤がベンゾトリアゾール(B
    TA)またはその誘導体である請求項1または請求項2
    に記載の絶縁電線。
JP27149294A 1994-11-04 1994-11-04 絶縁電線 Pending JPH08138450A (ja)

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