JPH08138224A - 磁気記録媒体および磁気記録再生装置 - Google Patents

磁気記録媒体および磁気記録再生装置

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JPH08138224A
JPH08138224A JP27247394A JP27247394A JPH08138224A JP H08138224 A JPH08138224 A JP H08138224A JP 27247394 A JP27247394 A JP 27247394A JP 27247394 A JP27247394 A JP 27247394A JP H08138224 A JPH08138224 A JP H08138224A
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JP
Japan
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magnetic
cocr
coercive force
magnetic recording
recording medium
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Application number
JP27247394A
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English (en)
Inventor
Ichisuke Yamanaka
一助 山中
Tomoo Yamamoto
朋生 山本
Nobuyuki Inaba
信幸 稲葉
Emi Mangyo
恵美 萬行
Masaaki Futamoto
正昭 二本
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Hitachi Ltd
Original Assignee
Hitachi Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 ノイズが低く、S/Nが高い磁気記録媒体を
提供する。 【構成】 磁気記録媒体の磁性層として、複数の強磁性
薄膜を非磁性層を介して積層し、残留磁化保磁力ないし
は保磁力と等しい磁界強度での25℃における磁気粘性
の揺らぎ場が15エールステッド以上であり、その保磁
力が2000エールステッド以上である磁性層を用い
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、強磁性金属薄膜磁気記
録媒体に係り、特に、電磁変換特性に優れた磁気記録媒
体および大容量の磁気記録再生装置に関する。
【0002】
【従来の技術】磁気記録媒体の記録密度の向上、高出力
化、低ノイズ化には塗布型媒体では磁性粉、薄膜媒体で
は結晶粒子の微細化が不可欠である。たとえば、従来よ
り検討されてきた鉄粉を用いた媒体では、微細化が進
み、現在では長軸長約200nm、軸径約30nmの微
細粉を用いたHi−8(8mm高性能テープ)などの高
性能テープが実用化されつつある。ところで、磁性媒体
の磁性粉あるいは結晶粒子が微細でも、磁性粉がクラス
ター状の塊になっていたり、結晶粒子間の相互作用が強
い場合には、複数の粒子が一団となって磁化反転して記
録されるようになる。このように、複数の粒子が一団と
なって磁化反転し、磁化反転単位が大きくなると、再生
時のノイズが増す。このため、高密度化の大きな障害に
なる。
【0003】磁化反転単位の大きさは磁気粘性と関連が
ある。すなわち、磁気粘性の揺らぎ場が大きいほど磁化
反転単位は小さいと考えられている。磁気粘性の揺らぎ
場の意味については、Journal of Physics F: Metal Ph
ysics 14巻L155〜L159頁(1984年)に記載されている。
さらに、詳細な測定条件については、Journal of Magne
tism and Magnetic Materials 127巻 233〜240頁(1993
年)に記載されている。以下に磁気粘性の揺らぎ場の測
定原理を説明する。
【0004】磁性材料に新たな磁場を印加すると、磁化
I(t)は磁場印加時間の対数 ln tに対して、 I(t)=const.+S・ln t (1) の関係で変化する場合が多い。ここで、I(t)は単位体
積あたりの磁気モーメントであり、tは新たな磁場を印
加した後の経過時間である。粘性係数Sは磁場を正方向
にシフトして印加したときには正、負にシフトしたとき
には負の値をもつ。Sは非可逆磁化率χirr と揺らぎ場
f との積で表せることが知られている。すなわち、 S=χirr・Hf (2) が成立する。したがって、実験からSおよびχirr を求
めれば、揺らぎ場が求まる。揺らぎ場は熱揺らぎの影響
の大小を示す量であり、揺らぎ場が大きいことは熱揺ら
ぎの影響を受けやすく、磁化反転単位の大きさが小さい
ことを意味する。
【0005】磁界強度が保磁力ないしは残留磁化保磁力
に等しいところでの揺らぎ場は、保磁力Hcないしは残
留磁化保磁力Hrの磁場印加時間依存性からも求めるこ
とができる。保磁力ないしは残留磁化保磁力は、磁場印
加時間tとともに、 Hc(又はHr)=−A・ln t+const. (3) の関係で印加時間とともに低下する場合が多い。本明細
書に記載した試料では、すべて式(3)の関係が成立し
た。式(3)にしたがって保磁力ないしは残留磁化保磁
力が磁場印加時間tとともに変化する場合、Aは磁界強
度が保磁力ないしは残留磁化保磁力に等しいところでの
揺らぎ場Hf とほとんど同じ値を示すことが知られてい
る。この方法は簡便かつ再現性が良い。そこで本発明で
はAの値を揺らぎ場とした。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】従来法に従って、無電
解メッキのNi−Pで被覆したAl−Mg合金からなる
鏡面研磨した円板上にCr下地層を形成し、ついでCo
CrTa磁性層、さらにカーボン保護膜を形成して磁気
ディスクを作製した。Cr下地層、磁性層、保護膜はと
もにArガスを用いたスパッタリングで形成した。この
際、基板温度は300℃、Ar圧力は2.0ミリTor
rとした。Cr下地層の厚さは50nm、磁性層は25
nm、保護膜は10nmである。CoCrTa磁性層の
組成は原子%で表し、Co:80%、Cr:16%、T
a:4%である。この組成を以下本明細書ではCoCr
16Ta4 のように表す。
【0007】この媒体の保磁力Hcは1645エールス
テッド、残留磁化保磁力Hrは1655エールステッド
であった。また、保磁力と等しい磁界強度での25℃に
おける磁気粘性の揺らぎ場は13.5エールステッド、
残留磁化保磁力と等しい磁界強度での25℃における磁
気粘性の揺らぎ場は13.2エールステッドであった。
このように、保磁力と等しい磁界強度での25℃におけ
る磁気粘性の揺らぎ場と残留磁化保磁力と等しい磁界強
度での25℃における磁気粘性の揺らぎ場とはほとんど
同じ値を示す。以下本明細書ではこれらを単に揺らぎ場
と呼ぶ。なお、揺らぎ場の測定時間は0〜30分とし
た。
【0008】上記媒体に、ギャップ長が0.4μm、巻
線数が24ターンのパーマロイヘッドを用いて磁気情報
を記録し、パーマロイ磁気抵抗ヘッドを用いて再生して
電磁変換特性を調べた。この際、記録および再生時の浮
上高さは80nmとした。測定した結果、線記録密度1
50kFCI(kilo Flux Change per Inch)でのノイズ
は22μVrmsであった。
【0009】この媒体を用いると300メガビット/平
方インチの記録密度を有する磁気ディスク装置を作製す
ることができたが、1ギガビット/平方インチの記録密
度を有する磁気ディスク装置を作製することはできなか
った。本発明の目的は、再生時のノイズを低減し、高密
度記録に適する磁気記録媒体及び磁気記録再生装置を提
供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】図1は、本発明による磁
気記録媒体の拡大断面図である。図1で、1はNi−P
を被着したアルミニウム−マグネシウム合金、ガラス、
カーボン等の非磁性基板である。2は非磁性下地層で、
Cr,Cr−Mo,Cr−W,Cr−Ti,Cr−Vな
どの金属層からなる。3はCo−Cr−Ta,Co−C
r−Pt,Co−O,Co−Ni,Co−Cr,Co−
Mo,Co−Ta,Co−Ni−Cr,Co−Ni−O
等のコバルトを主成分とする強磁性薄膜である。4は強
磁性薄膜を分離する中間層で、Cr,Cr−Mo,Cr
−W,Cr−Ti,Cr−Vなどの金属ないしは酸化
物、窒化物などの非磁性物質からなる。5はCo−Cr
−Ta,Co−Cr−Pt,Co−O,Co−Ni,C
o−Cr,Co−Mo,Co−Ta,Co−Ni−C
r,Co−Ni−O等のコバルトを主成分とする強磁性
薄膜である。6は保護潤滑層で、炭素膜、酸化膜、プラ
ズマ重合膜、脂肪酸、パーフルオロカルボン酸、パーフ
ルオロポリエーテル等を単独ないしは複合体として用い
ることができる。
【0011】中間層4を介して積層した強磁性薄膜3お
よび5からなる磁性層を備える媒体は、残留磁化保磁力
ないしは保磁力と等しい磁界強度での25℃における磁
気粘性の揺らぎ場が15エールステッド以上であり、保
磁力が2000エールステッド以上であり、磁性層中の
強磁性薄膜の総膜厚は8nm以上、30nm以下が望ま
しい。残留磁化保磁力ないしは保磁力と等しい磁界強度
での25℃における磁気粘性の揺らぎ場は20ないしは
30エールステッド以上、60エールステッド以下であ
ることがより望ましい。また、強磁性薄膜はCr,T
a,Pt,Ni,Mo,V,Ti,Zr,Hf,Si,
W,Oからなる群の少なくとも一種を含むコバルト基磁
性合金薄膜であることが望ましい。図1には強磁性薄膜
が2層の場合を示したが、中間層を介して、3層以上と
してもよい。また、複数の強磁性薄膜3、5等は、同一
組成でもよいし、異なる組成でもよい。
【0012】本発明における揺らぎ場の具体的測定方法
は以下の通りである。揺らぎ場Aを求めるため、磁気デ
ィスクから切りだした7mm角の試料片に−10000
エールステッドの磁場を印加して直流消磁したのち、保
磁力ないしは残留磁化保磁力よりもわずかに低い正の磁
場を印加し、磁化ないしは残留磁化がゼロになるまでの
時間tを求める。この操作を直流消磁後に印加する正の
磁場を少しずつ低くして繰り返す。こうして求めた保磁
力ないしは残留磁化保磁力の磁場印加時間依存性から式
(3)にしたがって揺らぎ場Aの値が求まる。保磁力の
磁場印加時間依存性から求めた揺らぎ場は残留磁化保磁
力の磁場印加時間依存性から求めた揺らぎ場とほとんど
同じ値を示す。測定が容易であることから、本発明にお
いては残留磁化保磁力の磁場印加時間依存性から揺らぎ
場Aを求めた。測定はDMS(Degital Measurement Sy
stems)社製の振動型磁束計を用いて行なった。この際、
測定温度は25℃、直流消磁後の磁場印加時間は0から
30分とした。上述の例では、磁気ディスクを対象とし
ているが、磁気テープなどの磁気記録媒体に対しても本
発明は有効である。
【0013】
【作用】強磁性薄膜を2層以上積層した磁性層を備え、
残留磁化保磁力ないしは保磁力と等しい磁界強度での2
5℃における磁気粘性の揺らぎ場が15エールステッド
以上であり、保磁力が2000エールステッド以上であ
る媒体を用い、磁性層中の強磁性薄膜の総膜厚を8nm
以上、30nm以下とすることにより、磁化反転の際の
クラスタサイズを小さくできるので、ノイズレベルが低
く、S/Nを高くすることができる。磁極の一部に金属
磁性膜を用いた磁気ヘッドと組み合わせることにより、
急峻に記録できる媒体の性能を引き出せるので大容量の
記録再生装置を提供することができる。
【0014】
【実施例】以下、本発明を実施例によって詳細に説明す
る。 〔実施例1〕無電解のNi−Pで被覆したAl−Mg合
金からなる鏡面研磨した円板上にCr合金下地層を形成
し、ついで強磁性薄膜、中間層、強磁性薄膜、さらにカ
ーボン保護膜を形成して磁気ディスクを作製した。
【0015】Cr合金下地層、強磁性薄膜、中間層、保
護膜はともにArガスを用いたスパッタリングで形成し
た。この際、Ar圧力は2.0ミリTorrとした。C
r合金下地層にはCr−V、Cr−W、Cr−Ti、C
r−Si、Cr−Moを用い、下地膜の組成の異なる試
料を合計20箇用意した。Cr合金層の厚さは50n
m、強磁性薄膜はいずれもCoCr16Ta4 からなり、
下層、上層ともに膜厚を12.5nmとした。したがっ
て、強磁性薄膜の総膜厚は25nmである。また、保護
膜の厚さは10nmである。中間層にはCr−Ti合金
を用い、その膜厚は1nmとした。Cr合金下地層およ
びカーボン保護膜形成時の基板温度は300℃とし、強
磁性薄膜および中間層形成時の基板温度は250〜30
0℃とした。
【0016】こうして得られた媒体の保磁力Hcは11
86〜2195エールステッドの範囲に分布した。ま
た、媒体の揺らぎ場は13.2〜18.3エールステッ
ドの範囲に分布した。磁性層中の強磁性薄膜を2層とし
た上記媒体に、ギャップ長が0.4μm、巻線数が24
ターンのパーマロイヘッドを用いて磁気情報を記録し、
パーマロイMRヘッドで再生して電磁変換特性を調べ
た。この際、記録および再生時の浮上高さは80nmと
した。測定した結果、線記録密度150kFCIでのノ
イズは13.2〜18.3μVrmsであった。測定結
果を表1にまとめて示す。
【0017】 表 1 磁性膜組成 磁性膜総膜厚 揺らぎ場 保磁力 ノイズ (nm) (Oe) (Oe) (μVrms) CoCr16Ta4 25 13.2 1186 18.1 CoCr16Ta4 25 13.5 1625 18.3 CoCr16Ta4 25 14.2 1458 17.2 CoCr16Ta4 25 14.4 1356 17.0 CoCr16Ta4 25 14.7 1869 16.9 CoCr16Ta4 25 15.1 1524 16.3 CoCr16Ta4 25 15.3 2015 15.8 CoCr16Ta4 25 15.5 1856 15.6 CoCr16Ta4 25 15.8 2001 15.3 CoCr16Ta4 25 15.9 1830 15.5 CoCr16Ta4 25 16.2 1940 14.8 CoCr16Ta4 25 16.3 1959 15.2 CoCr16Ta4 25 16.5 2022 14.9 CoCr16Ta4 25 16.8 1653 14.7 CoCr16Ta4 25 17.1 1756 14.2 CoCr16Ta4 25 17.3 1895 13.1 CoCr16Ta4 25 17.5 2030 12.9 CoCr16Ta4 25 17.7 2195 13.3 CoCr16Ta4 25 17.9 2046 13.5 CoCr16Ta4 25 18.3 1865 13.2 また、図2に揺らぎ場と保磁力およびノイズの相関を示
した。図2から明らかなように、揺らぎ場が大きな値を
示す媒体のノイズは低い値を持つ。
【0018】〔比較例〕比較のため、磁性膜の膜厚を2
5nmとした単層試料を20箇作製した。作製条件は、
磁性層を除いて実施例1と全く同じにした。こうして得
られた媒体の保磁力Hcは1500〜2400エールス
テッドの範囲に分布した。また、揺らぎ場は11.3〜
16.5エールステッドの範囲に分布した。磁性層を単
層とした媒体についても、2層の場合と同様の条件で電
磁変換特性を調べた。測定した結果、線記録密度150
kFCIでのノイズは18〜25μVrmsであった。
測定結果を表2にまとめて示す。
【0019】 表 2 磁性膜組成 磁性膜総膜厚 揺らぎ場 保磁力 ノイズ (nm) (Oe) (Oe) (μVrms) CoCr16Ta4 25 11.3 1500 25.0 CoCr16Ta4 25 11.5 1601 24.6 CoCr16Ta4 25 11.8 1685 24.3 CoCr16Ta4 25 12.1 1723 24.5 CoCr16Ta4 25 12.3 1756 23.6 CoCr16Ta4 25 12.6 1832 23.2 CoCr16Ta4 25 12.9 1889 22.6 CoCr16Ta4 25 13.0 1890 22.5 CoCr16Ta4 25 13.1 1926 22.0 CoCr16Ta4 25 13.2 1956 22.1 CoCr16Ta4 25 13.4 1985 21.8 CoCr16Ta4 25 13.6 1989 21.5 CoCr16Ta4 25 13.9 2023 21.3 CoCr16Ta4 25 14.1 2056 21.4 CoCr16Ta4 25 14.3 2122 20.7 CoCr16Ta4 25 14.6 2146 20.2 CoCr16Ta4 25 14.7 2250 20.5 CoCr16Ta4 25 15.0 2280 19.5 CoCr16Ta4 25 15.5 2420 19.0 CoCr16Ta4 25 16.5 2400 18.0
【0020】また、図3に比較例の試料における揺らぎ
場と保磁力およびノイズの相関を示した。図3から明ら
かなように、揺らぎ場が大きな値を示す媒体のノイズは
低い値を持つ。しかし、図2と図3との比較から明らか
なように、同じ揺らぎ場で比較すると実施例1の2層媒
体の方がノイズが低い。また、強磁性薄膜を3層以上と
してもこうした多層化の効果があることが判明した。
【0021】揺らぎ場が15.0エールステッド以上、
保磁力が2000エールステッド以上の媒体を用いて
も、単層媒体の場合には1ギガビット/平方インチの記
録密度を持つ磁気ディスク装置を作製することができた
が、1.5ギガビット/平方インチの記録密度を持つ装
置を作製することはできなかった。一方、実施例1の2
層媒体の場合には1.5ギガビット/平方インチの記録
密度を持つ装置を作製することができた。
【0022】〔実施例2〕実施例1と同様、無電解のN
i−Pで被覆したAl−Mg合金からなる鏡面研磨した
円板上にCr下地層を形成し、ついで磁性層、さらにカ
ーボン保護膜を形成して磁気ディスクを作製した。
【0023】Cr下地層、磁性層、保護膜はともにAr
ガスを用いたスパッタリングで形成した。この際、Ar
圧力は2.0ミリTorrとし、CoCrPt強磁性薄
膜のCr含量を変え、CoCr15Pt8 からCoCr23
Pt8 の組成を持つ試料を合計20箇用意した。Cr下
地層の厚さは50nm、磁性層中の強磁性薄膜は下層、
上層ともに同一組成で厚さ12.5nm、Cr中間層は
1nm、保護膜は10nmとした。また、Cr下地層、
磁性層およびカーボン保護膜形成時の基板温度は300
℃とした。こうして得られた媒体の保磁力Hcは141
5〜2400エールステッドの範囲に分布した。揺らぎ
場は14.3〜26.3エールステッドの範囲に分布し
た。実施例1と同様にして、電磁変換特性を測定した結
果、線記録密度150kFCIでのノイズは11.6〜
20.3μVrmsの範囲に分布した。測定結果を表3
にまとめて示す。
【0024】 表 3 磁性膜組成 磁性膜総膜厚 揺らぎ場 保磁力 ノイズ (nm) (Oe) (Oe) (μVrms) CoCr15Pt8 25 14.3 1523 20.3 CoCr15Pt8 25 14.8 1415 20.1 CoCr16Pt8 25 15.3 1954 16.9 CoCr16Pt8 25 15.5 2030 16.3 CoCr17Pt8 25 16.4 2136 15.5 CoCr17Pt8 25 17.5 1986 15.8 CoCr17Pt8 25 19.6 1889 14.2 CoCr18Pt8 25 19.3 2216 13.5 CoCr18Pt8 25 19.6 2156 13.3 CoCr19Pt8 25 18.8 2012 13.1 CoCr19Pt8 25 20.2 2400 13.0 CoCr20Pt8 25 22.3 2322 13.2 CoCr20Pt8 25 24.5 2264 12.4 CoCr21Pt8 25 24.2 2345 12.9 CoCr21Pt8 25 25.0 2006 13.1 CoCr22Pt8 25 23.1 1865 12.5 CoCr22Pt8 25 25.4 2208 12.6 CoCr23Pt8 25 23.8 2345 12.1 CoCr23Pt8 25 25.5 2100 12.0 CoCr23Pt8 25 26.3 1950 11.6
【0025】また、図4に揺らぎ場と保磁力およびノイ
ズの相関を示した。図4から明らかなように、実施例1
と同様、揺らぎ場が大きな値を示す媒体はノイズが低い
値を持つ。揺らぎ場が15エールステッド以上、保磁力
が2000エールステッド以上の媒体では、1.5ギガ
ビット/平方インチの記録密度を持つ磁気ディスク装置
を作製することができた。また、揺らぎ場が20エール
ステッド以上、保磁力が2000エールステッド以上の
媒体では2.0ギガビット/平方インチの記録密度を持
つ磁気ディスク装置を作製することができた。しかし、
本実施例に示したどの媒体を用いても2.5ギガビット
/平方インチ以上の記録密度を持つ磁気ディスク装置を
作製することはできなかった。
【0026】〔実施例3〕鏡面研磨したガラス円板上に
Cr下地層を形成し、ついで非磁性中間層を介して2層
のCoCrPtを積層した磁性層、さらにカーボン保護
膜を形成して磁気ディスクを作製した。
【0027】Cr下地層、磁性層、保護膜はともにAr
ガスを用いたスパッタリングで形成した。この際、Ar
圧力は2.0ミリTorr、CoCrPt強磁性薄膜の
組成はCoCr19Pt8 とした。Cr下地層の厚さを3
〜50nmまで、磁性層中の強磁性薄膜の総膜厚を8〜
30nmまで変え、保護膜を10nmとした合計30箇
の試料を用意した。磁性層中の強磁性薄膜は下層と上層
を膜厚1nmCr中間層を介して分離し、下層と上層の
膜厚は同じにした。また、Cr下地層、磁性層およびカ
ーボン保護膜形成時の基板温度は300℃とした。こう
して得られた媒体の保磁力Hcは1050〜2600エ
ールステッドの範囲に分布した。揺らぎ場は14.1〜
72.5エールステッドの範囲に分布した。実施例1と
同様にして、電磁変換特性を測定した結果、線記録密度
150kFCIでのノイズは5〜26μVrmsの広い
範囲に分布した。測定結果を表4にまとめて示す。
【0028】 表 4 磁性膜組成 磁性膜総膜厚 揺らぎ場 保磁力 ノイズ (nm) (Oe) (Oe) (μVrms) CoCr19Pt8 30 14.1 1386 26.0 CoCr19Pt8 30 15.3 1772 25.6 CoCr19Pt8 30 15.5 1856 17.6 CoCr19Pt8 30 16.6 2102 16.9 CoCr19Pt8 30 16.6 2002 17.2 CoCr19Pt8 27 15.3 1763 19.5 CoCr19Pt8 27 15.5 1846 19.0 CoCr19Pt8 27 15.6 1658 17.0 CoCr19Pt8 27 19.2 2056 14.2 CoCr19Pt8 27 22.6 2356 13.1 CoCr19Pt8 25 16.3 1754 16.9 CoCr19Pt8 25 18.6 1818 13.3 CoCr19Pt8 25 23.3 2623 12.5 CoCr19Pt8 22 28.2 2218 11.4 CoCr19Pt8 22 36.1 2600 10.6 CoCr19Pt8 20 29.3 2520 11.5 CoCr19Pt8 20 33.9 2456 10.8 CoCr19Pt8 20 38.7 2235 9.7 CoCr19Pt8 15 29.4 1957 9.5 CoCr19Pt8 15 46.8 2042 8.8 CoCr19Pt8 15 49.7 1703 9.1 CoCr19Pt8 12 54.5 2012 8.5 CoCr19Pt8 12 63.3 1853 6.2 CoCr19Pt8 12 67.8 1628 7.9 CoCr19Pt8 10 59.1 2003 5.9 CoCr19Pt8 10 66.4 1802 7.1 CoCr19Pt8 10 70.4 1400 6.3 CoCr19Pt8 8 68.3 1326 6.1 CoCr19Pt8 8 71.1 1121 5.0 CoCr19Pt8 8 72.5 1050 5.2
【0029】また、図5に揺らぎ場と保磁力およびノイ
ズの相関を示した。図5から明らかなように、実施例1
および2と同様、揺らぎ場が大きな値を示す媒体はノイ
ズが低い値を持つ。磁性膜の総膜厚が10〜27nmで
あり、揺らぎ場が15エールステッド以上、保磁力が2
000エールステッド以上の媒体では1.5ギガビット
/平方インチの記録密度を持つ磁気ディスク装置を作製
することができた。また、磁性膜の総膜厚が10〜25
nmであり、揺らぎ場が20エールステッド以上、保磁
力が2000エールステッド以上の媒体では2.0ギガ
ビット/平方インチ相当の記録密度を持つ磁気ディスク
装置を作製することができた。さらに、磁性膜の総膜厚
が10〜22nmであり、揺らぎ場が30エールステッ
ド以上、保磁力が2000エールステッド以上の媒体を
用いて、2.5ギガビット/平方インチの記録密度を持
つ磁気ディスク装置を作製することができた。
【0030】揺らぎ場が60エールステッド以上になる
と保磁力が2000エールステッド以上の媒体が得られ
なくなり、2000エールステッド以下の媒体では出力
が低く、ノイズが低くても、1.5ギガビット/平方イ
ンチ以上の記録密度を持つ磁気ディスク装置を作製する
ことができなかった。しかし、揺らぎ場が60エールス
テッドを超えても、2000あるいは3000エールス
テッド以上の保磁力を持つ媒体を作製できれば、2ギガ
あるいはそれ以上の記録密度を持つ磁気ディスク装置を
作製することが可能と考えられる。
【0031】しかしながら、揺らぎ場が保磁力の20分
の1を超えると熱揺らぎのため、記録状態が不安定とな
り実用に耐えないものとなる。なお、磁性膜の総膜厚が
8nm以下の媒体では、ノイズは低下したが、十分な出
力を得ることができず、1.5ギガビット/平方インチ
以上の記録密度を持つ磁気ディスク装置を作製すること
ができなかった。さらに、磁性膜の総膜厚が30nmを
超える場合には、膜厚が厚いことによる記録減磁が大き
く、1.5ギガビット/平方インチ以上の記録密度を持
つ磁気ディスク装置を作製することができなかった。
【0032】〔実施例4〕鏡面研磨したガラス円板上に
Cr下地層を形成し、ついでCr中間層を介してCoC
rTaからなる下層磁性膜とCoCrPtからなる上層
磁性膜を積層した磁性層を形成し、さらにカーボン保護
膜を形成して磁気ディスクを作製した。
【0033】Cr下地層、磁性層、保護膜はともにAr
ガスを用いたスパッタリングで形成した。この際、Ar
圧力は2.0ミリTorr、CoCrTa強磁性膜膜の
組成はCoCr16Ta6 、CoCrPt強磁性薄膜の組
成はCoCr19Pt12とした。Cr下地層の厚さを3〜
50nmまで、磁性層中の強磁性膜膜の総膜厚を8〜3
0nmまで変え、保護膜を10nmとした合計30箇の
試料を用意した。磁性層中の強磁性薄膜は下層と上層を
膜厚1nmCr中間層を介して分離し、下層と上層の膜
厚は同じにした。また、Cr下地層、磁性層およびカー
ボン保護膜形成時の基板温度は300℃とした。こうし
て得られた媒体の保磁力Hcは960〜2460エール
ステッドの範囲に分布した。揺らぎ場は13.8〜7
5.2エールステッドの範囲に分布した。実施例1と同
様にして、電磁変換特性を測定した結果、線記録密度1
50kFCIでのノイズは5.1から24.3μVrm
sの広い範囲に分布した。測定結果を表5にまとめて示
す。
【0034】 表 5 磁性膜組成 磁性膜総膜厚 揺らぎ場 保磁力 ノイズ (nm) (Oe) (Oe) (μVrms) CoCr19Pt12/CoCr16Ta6 30 13.8 1837 24.1 CoCr19Pt12/CoCr16Ta6 30 14.3 1892 24.3 CoCr19Pt12/CoCr16Ta6 30 14.6 1752 18.5 CoCr19Pt12/CoCr16Ta6 26 16.2 2089 17.5 CoCr19Pt12/CoCr16Ta6 26 15.8 1986 16.9 CoCr19Pt12/CoCr16Ta6 26 14.9 2013 18.7 CoCr19Pt12/CoCr16Ta6 24 15.6 2055 18.2 CoCr19Pt12/CoCr16Ta6 24 16.1 1763 16.9 CoCr19Pt12/CoCr16Ta6 24 18.7 2020 13.9 CoCr19Pt12/CoCr16Ta6 22 19.7 2221 14.1 CoCr19Pt12/CoCr16Ta6 22 21.5 2045 14.9 CoCr19Pt12/CoCr16Ta6 22 19.5 2246 13.9 CoCr19Pt12/CoCr16Ta6 20 24.1 2460 13.1 CoCr19Pt12/CoCr16Ta6 20 27.8 2389 10.9 CoCr19Pt12/CoCr16Ta6 20 29.8 2420 11.1 CoCr19Pt12/CoCr16Ta6 18 33.5 2390 11.2 CoCr19Pt12/CoCr16Ta6 18 34.2 2386 9.9 CoCr19Pt12/CoCr16Ta6 18 37.6 2403 10.1 CoCr19Pt12/CoCr16Ta6 16 35.5 2154 9.8 CoCr19Pt12/CoCr16Ta6 16 49.4 1957 8.4 CoCr19Pt12/CoCr16Ta6 16 47.7 2056 8.8 CoCr19Pt12/CoCr16Ta6 14 56.8 2009 8.3 CoCr19Pt12/CoCr16Ta6 14 67.7 1957 5.9 CoCr19Pt12/CoCr16Ta6 14 71.3 1732 7.2 CoCr19Pt12/CoCr16Ta6 12 68.2 1852 5.1 CoCr19Pt12/CoCr16Ta6 12 72.3 1737 6.5 CoCr19Pt12/CoCr16Ta6 10 73.2 1386 6.1 CoCr19Pt12/CoCr16Ta6 10 71.9 1274 5.6 CoCr19Pt12/CoCr16Ta6 8 74.8 1018 5.3 CoCr19Pt12/CoCr16Ta6 8 75.2 960 5.1
【0035】また、図6に揺らぎ場と保磁力およびノイ
ズの相関を示した。図6から明らかなように、実施例1
および2と同様、揺らぎ場が大きな値を示す媒体はノイ
ズが低い値を持つ。磁性膜の総膜厚が14〜24nmで
あり、揺らぎ場が15エールステッド以上、保磁力が2
000エールステッド以上の媒体では1.5ギガビット
/平方インチの記録密度を持つ磁気ディスク装置を作製
することができた。また、磁性膜の総膜厚が14〜22
nmであり、揺らぎ場が20エールステッド以上、保磁
力が2000エールステッド以上の媒体では2.0ギガ
ビット/平方インチ相当の記録密度を持つ磁気ディスク
装置を作製することができた。さらに、磁性膜の総膜厚
が14〜20nmであり、揺らぎ場が30エールステッ
ド以上、保磁力が2000エールステッド以上の媒体を
用いて、2.5ギガビット/平方インチの記録密度を持
つ磁気ディスク装置を作製することができた。
【0036】揺らぎ場が65エールステッド以上になる
と保磁力が2000エールステッド以上の媒体が得られ
なくなり、2000エールステッド以下の媒体では出力
が低く、ノイズが低くても、1.5ギガビット/平方イ
ンチ以上の記録密度を持つ磁気ディスク装置を作製する
ことができなかった。しかし、揺らぎ場が65エールス
テッドを超えても、2000あるいは3000エールス
テッド以上の保磁力を持つ媒体を作製できれば、2ギガ
ビット/平方インチあるいはそれ以上の記録密度を持つ
磁気ディスク装置を作製することが可能と考えられる。
【0037】しかしながら、揺らぎ場が保磁力の1/2
0を超えると熱揺らぎのため、記録状態が不安定となり
実用に耐えないものとなる。また、磁性膜の総膜厚が1
2nm以下の媒体では、ノイズは低下したが、十分な出
力を得ることができず、1.5ギガビット/平方インチ
以上の記録密度を持つ磁気ディスク装置を作製すること
ができなかった。さらに、30nm以上の場合には、膜
厚が厚いことによる記録減磁が大きく、1.5ギガビッ
ト/平方インチ以上の記録密度を持つ磁気ディスク装置
を作製することができなかった。
【0038】〔実施例5〕鏡面研磨したガラス円板上に
Cr下地層を形成し、ついでCoCrPtからなる下層
磁性膜、Cr中間層、CoCrPtからなる中間磁性
膜、Cr中間層、CoCrPtからなる上層磁性膜、さ
らにカーボン保護膜を形成して3層構造の磁気ディスク
を作製した。
【0039】Cr下地層、Cr中間層を介して3層の強
磁性薄膜を積層してなる磁性層、保護膜はともにArガ
スを用いたスパッタリングで形成した。この際、Ar圧
力は2.0ミリTorr、CoCrPt強磁性薄膜の組
成はCoCr19Pt12とした。Cr下地層の厚さを3〜
50nmまで、磁性層中の下層、中間および上層強磁性
薄膜の総膜厚を6から30nmまで変え、保護膜を10
nmとした合計30箇の試料を用意した。磁性膜は下
層、中間および上層を膜厚1nmのCr中間層を介して
分離し、下層、中間および上層の膜厚は同じにした。ま
た、Cr下地層、磁性層およびカーボン保護膜形成時の
基板温度は300℃とした。こうして得られた媒体の保
磁力Hcは520〜2330エールステッドの範囲に分
布した。揺らぎ場は15.2〜93.8エールステッド
の範囲に分布した。実施例1と同様にして、電磁変換特
性を測定した結果、線記録密度150kFCIでのノイ
ズは3.4から21.4μVrmsの広い範囲に分布し
た。測定結果を表6にまとめて示す。
【0040】 表 6 磁性膜組成 磁性膜総膜厚 揺らぎ場 保磁力 ノイズ (nm) (Oe) (Oe) (μVrms) CoCr19Pt12 30 15.2 1856 21.4 CoCr19Pt12 30 15.6 2023 17.3 CoCr19Pt12 30 17.1 1956 16.6 CoCr19Pt12 30 17.6 1832 17.2 CoCr19Pt12 27 19.3 1984 16.9 CoCr19Pt12 27 18.5 2156 18.5 CoCr19Pt12 27 19.6 2022 17.4 CoCr19Pt12 27 19.9 1983 16.1 CoCr19Pt12 24 22.3 2127 13.3 CoCr19Pt12 24 23.2 2245 12.9 CoCr19Pt12 24 24.8 2330 11.6 CoCr19Pt12 24 20.7 1956 12.3 CoCr19Pt12 21 25.8 2036 11.4 CoCr19Pt12 21 32.6 1998 10.8 CoCr19Pt12 21 37.9 2321 10.3 CoCr19Pt12 18 35.5 2119 10.9 CoCr19Pt12 18 39.7 2049 9.6 CoCr19Pt12 18 45.6 2012 9.2 CoCr19Pt12 15 42.6 1825 8.9 CoCr19Pt12 15 48.3 2002 8.1 CoCr19Pt12 15 51.9 1698 8.9 CoCr19Pt12 12 57.8 1986 7.9 CoCr19Pt12 12 68.2 2018 6.5 CoCr19Pt12 12 72.6 1752 6.9 CoCr19Pt12 9 75.5 1663 5.8 CoCr19Pt12 9 82.1 1487 6.2 CoCr19Pt12 9 89.6 1206 5.3 CoCr19Pt12 6 87.7 956 4.6 CoCr19Pt12 6 92.7 622 3.9 CoCr19Pt12 6 93.8 520 3.4
【0041】また、図7に揺らぎ場と保磁力およびノイ
ズの相関を示した。図7から明らかなように、実施例1
および2と同様、揺らぎ場が大きな値を示す媒体はノイ
ズが低い値を持つ。磁性膜の総膜厚が12〜27nmで
あり、揺らぎ場が15エールステッド以上、保磁力が2
000エールステッド以上の媒体では1.5ギガビット
/平方インチの記録密度を持つ磁気ディスク装置を作製
することができた。また、磁性膜の総膜厚が12〜24
nmであり、揺らぎ場が20エールステッド以上、保磁
力が2000エールステッド以上の媒体では2.0ギガ
ビット/平方インチ相当の記録密度を持つ磁気ディスク
装置を作製することができた。さらに、磁性膜の総膜厚
が12〜21nmであり、揺らぎ場が30エールステッ
ド以上、保磁力が2000エールステッド以上の媒体を
用いて、2.5ギガビット/平方インチの記録密度を持
つ磁気ディスク装置を作製することができた。
【0042】揺らぎ場が70エールステッド以上になる
と保磁力が2000エールステッド以上の媒体が得られ
なくなり、2000エールステッド以下の媒体では出力
が低く、ノイズが低くても、1.5ギガビット/平方イ
ンチ以上の記録密度を持つ磁気ディスク装置を作製する
ことができなかった。しかし、揺らぎ場が70エールス
テッドを超えても、2000あるいは3000エールス
テッド以上の保磁力を持つ媒体を作製できれば、2ギガ
ビット/平方インチあるいはそれ以上の記録密度を持つ
磁気ディスク装置を作製することが可能と考えられる。
【0043】しかしながら、揺らぎ場が保磁力の1/2
0を超えると熱揺らぎのため、記録状態が不安定となり
実用に耐えないものとなる。また、磁性膜の総膜厚が9
nm以下の媒体では、ノイズは低下したが、十分な出力
を得ることができず、1.5ギガビット/平方インチ以
上の記録密度を持つ磁気ディスク装置を作製することが
できなかった。さらに、30nm以上の場合には、膜厚
が厚いことによる記録減磁が大きく、1.5ギガビット
/平方インチ以上の記録密度を持つ磁気ディスク装置を
作製することができなかった。
【0044】〔実施例6〕本発明による媒体を使用して
作製した磁気ディスク装置の断面構造を図8に示す。図
8において、7は本発明の磁気記録媒体、8は磁気記録
媒体駆動部、9は磁気ヘッド、10は磁気ヘッド駆動
部、11は記録再生信号処理系を示す。本発明の磁気記
録媒体を用いることにより、記録密度を1.5ギガビッ
ト/平方インチ以上にすることができた。
【0045】
【発明の効果】上述したように、強磁性金属薄膜を2層
以上重ねた磁性層を備える磁気記録媒体において、残留
磁化保磁力ないしは保磁力と等しい磁界強度での25℃
における磁気粘性の揺らぎ場が15エールステッド以上
であり、その保磁力が2000エールステッド以上であ
る磁性層を用いると、媒体のS/Nを著しく向上させる
ことができ、高密度記録が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例による磁気記録媒体の断面
図。
【図2】揺らぎ場と保磁力およびノイズとの関係を示す
特性図。
【図3】揺らぎ場と保磁力およびノイズとの関係を示す
特性図。
【図4】揺らぎ場と保磁力およびノイズとの関係を示す
特性図。
【図5】揺らぎ場と保磁力およびノイズとの関係を示す
特性図。
【図6】揺らぎ場と保磁力およびノイズとの関係を示す
特性図。
【図7】揺らぎ場と保磁力およびノイズとの関係を示す
特性図。
【図8】本発明の磁気記憶装置の断面構造図。
【符号の説明】
1…非磁性基板、2…非磁性下地層、3…強磁性薄膜、
4…非磁性中間層、5…強磁性薄膜、6…保護潤滑層、
7…磁気記録媒体、8…磁気記録媒体駆動部、9…磁気
ヘッド、10…磁気ヘッド駆動部、11…記録再生信号
処理系
フロントページの続き (72)発明者 萬行 恵美 東京都国分寺市東恋ヶ窪一丁目280番地 株式会社日立製作所中央研究所内 (72)発明者 二本 正昭 東京都国分寺市東恋ヶ窪一丁目280番地 株式会社日立製作所中央研究所内

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 強磁性薄膜を非磁性中間層を介して2層
    以上積層した磁性層を備え、残留磁化保磁力又は保磁力
    と等しい磁界強度での25℃における磁気粘性の揺らぎ
    場が15エールステッド以上であることを特徴とする磁
    気記録媒体。
  2. 【請求項2】強磁性薄膜を非磁性中間層を介して2層以
    上積層した磁性層を備え、残留磁化保磁力又は保磁力と
    等しい磁界強度での25℃における磁気粘性の揺らぎ場
    が20エールステッド以上であることを特徴とする磁気
    記録媒体。
  3. 【請求項3】 強磁性薄膜を非磁性中間層を介して2層
    以上積層した磁性層を備え、残留磁化保磁力又は保磁力
    と等しい磁界強度での25℃における磁気粘性の揺らぎ
    場が30エールステッド以上であることを特徴とする磁
    気記録媒体。
  4. 【請求項4】 前記磁性層の保磁力が2000エールス
    テッド以上であることを特徴とする請求項1、2又は3
    記載の磁気記録媒体。
  5. 【請求項5】 前記磁性層中の強磁性薄膜の総膜厚が1
    0nm以上、30nm以下であることを特徴とする請求
    項1〜4のいずれか1項記載の磁気記録媒体。
  6. 【請求項6】 前記強磁性薄膜はCo−Cr−Ta,C
    o−Cr−Pt、Co−O、Co−Ni、Co−Cr、
    Co−Mo、Co−Ta、Co−Ni−Cr、Co−N
    i−Oの群から選ばれたコバルトを主たる成分とする薄
    膜であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項
    記載の磁気記録媒体。
  7. 【請求項7】 請求項1〜6のいずれか1項記載の磁気
    記録媒体を用いたことを特徴とする磁気ディスク。
  8. 【請求項8】 強磁性薄膜を磁極の一部とする磁気ヘッ
    ドを用い、請求項1に記載の磁気記録媒体を用いて1.
    5ギガビット/平方インチ以上の密度で情報を記録、再
    生することを特徴とする磁気記録再生装置。
  9. 【請求項9】 強磁性薄膜を磁極の一部とする磁気ヘッ
    ドを用い、請求項1又は2に記載の磁気記録媒体を用い
    て2.0ギガビット/平方インチ以上の密度で情報を記
    録、再生することを特徴とする磁気記録再生装置。
  10. 【請求項10】 強磁性薄膜を磁極の一部とする磁気ヘ
    ッドを用い、請求項1、2又は3に記載の磁気記録媒体
    を用いて2.5ギガビット/平方インチ以上の密度で情
    報を記録、再生することを特徴とする磁気記録再生装
    置。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US5981054A (en) * 1996-07-22 1999-11-09 Kabushiki Kaisha Toshiba Magnetic recording medium and method for manufacturing the same

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US5981054A (en) * 1996-07-22 1999-11-09 Kabushiki Kaisha Toshiba Magnetic recording medium and method for manufacturing the same

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