JPH0813793B2 - 酒石酸アミド誘導体 - Google Patents

酒石酸アミド誘導体

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JPH0813793B2
JPH0813793B2 JP62166933A JP16693387A JPH0813793B2 JP H0813793 B2 JPH0813793 B2 JP H0813793B2 JP 62166933 A JP62166933 A JP 62166933A JP 16693387 A JP16693387 A JP 16693387A JP H0813793 B2 JPH0813793 B2 JP H0813793B2
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芙三夫 戸田
耕一 田中
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Mitsubishi Gas Chemical Co Inc
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    • C07ORGANIC CHEMISTRY
    • C07DHETEROCYCLIC COMPOUNDS
    • C07D317/00Heterocyclic compounds containing five-membered rings having two oxygen atoms as the only ring hetero atoms
    • C07D317/08Heterocyclic compounds containing five-membered rings having two oxygen atoms as the only ring hetero atoms having the hetero atoms in positions 1 and 3
    • C07D317/10Heterocyclic compounds containing five-membered rings having two oxygen atoms as the only ring hetero atoms having the hetero atoms in positions 1 and 3 not condensed with other rings
    • C07D317/14Heterocyclic compounds containing five-membered rings having two oxygen atoms as the only ring hetero atoms having the hetero atoms in positions 1 and 3 not condensed with other rings with substituted hydrocarbon radicals attached to ring carbon atoms
    • C07D317/18Radicals substituted by singly bound oxygen or sulfur atoms
    • C07D317/22Radicals substituted by singly bound oxygen or sulfur atoms etherified

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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、種々の有機化合物と包接錯体を形成するこ
とが可能な酒石酸アミド誘導体に関する。
〔従来の技術〕
ある種のジアミド類がホスト分子となり、広範囲なア
ルコール類、フェノール類をゲスト分子として取り込ん
でホスト・ゲスト錯体あるいは包接化合物の結晶を形成
することを、本発明者らはすでに明らかにしてきた。
たとえば、このようなジアミド化合物として、特開昭
61−207363号公報、特開昭61−271235号公報で、フマー
ル酸アミド、しゅう酸アミドを、特開昭61−271267号公
報でベンゼントリカルボン酸アミドおよびベンゼンテト
ラカルボン酸アミドを、特開昭62−123161号公報でフタ
ール酸アミド、1,2−ジクロヘキサンジカルボン酸アミ
ド、Δ−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸アミ
ド、フェニルマロン酸アミド、ピリジンジカルボン酸ア
ミドを開示した。
しかしながら、これらのジアミド化合物は優れた包接
効果を示すもののそれ自体不斉炭素を含有しているわけ
でない。したがって、ラセミ型のアルコール類、フェノ
ール類と錯体を形成させた場合、その錯体に光学活性は
ないものであった。
光学活性な包接錯体を得ようとする場合、光学活性な
ジアミド化合物を合成することが考えられる。しかしな
がらこれは簡単なことではない。
通常、化学的手段のみによって合成された化合物が右
旋体と左旋体とを等量含み、光学的に不活性なものであ
ることはよく知られている。したがってこのような化合
物から光学活性な化合物を得るには、光学分割を行う必
要があり、はなはだ煩雑であり、経済的にも不利になる
原因となっている。光学的に純粋なホスト体を合成する
場合にも事情は全く同じである。
たとえば、本発明者らは特開昭58−150526号公報で、
光学活性なホスト化合物として、d−およびl−プロパ
ギルアルコールとその製造法を開示した。すなわち、 の構造式をもつプロパギルアルコールは、天然に存在す
るアルカロイド(l−ブルシン)と錯体を形成し、プロ
パギルアルコールがホスト体となった光学活性は包接化
合物を晶出する。この包接化合物は、反応条件によっ
て、l−ブルシンとd−プロパギルアルコールとのジア
ステオマー、およびl−ブルシンとl−プオパギルアル
コールとのジアステオマーのどちらか一方を溶解度差に
したがって晶出する。そして、この晶出したジアステオ
マーを酸を用いて分解することにより光学活性なプロパ
ギルアルコールを単離することができた。
しかしながら、このような方法はホスト化合物のラセ
ミ体合成とそれに続く光学分割が必要であり、手数が多
く煩雑であった。
このように、光学活性アミド類についても、それを化
学合成−光学分割の手法で得ることは非常に困難で実用
的なものは皆無であった。
〔発明が解決しようとする問題点〕
本発明の目的とするところは、前記従来の技術の有す
る欠点を解消し、操作が簡単で経済性に優れ、光学分割
を必要としない光学活性なホスト化合物を提供するにあ
る。
〔問題点を解決するための手段〕
本発明者らは上記目的のため鋭意検討した結果、酒石
酸アミド類に非常に優れたホスト化合物としての作用が
あることを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明者らは、天然に由来するL−体も含めて、光学
的に純粋な酒石酸を原料に用いて、光学変換を起こさな
いように工夫して種々のアミド誘導体を合成して、ホス
ト化合物としての機能を検討した。その結果、ある程度
のゲスト化合物特異性は認められたがいずれも優れたホ
スト体になり得ることが分かった。特にL−酒石酸は大
量に安価に入手することができるので目的にかなう最良
の化合物であった。
すなわち、本発明は、一般式(A) または、一般式(B) で表わされるD−またはL−酒石酸アミド誘導体であっ
て、アルコール類、ジオール類、フェノール類、芳香族
ジオール類、アミン類、ジアミン類、アルデヒド類、ケ
トン類、カルボン酸類、エステル類、アミド類、アミノ
酸類またはエーテル類などの化合物をゲスト化合物とし
て、包接錯体を形成し得るホスト化合物であるD−また
はL−酒石酸アミド誘導体を提供するものである。
(一般式(A)または(B)において、 R1、R2は、同一または異なるC1〜C10の直鎖状もしく
は分岐した一級、二級もしくは三級アルキル基;同一ま
たは異なるC1〜C10の直鎖状もしくは分岐した一級、二
級もしくは三級アラルキル基;または、同一または異な
るC5〜C15の脂環族もしくは芳香族基、 R3、R4、R5、R6は、同一または異なるC1〜C10の直鎖
状もしくは分岐した一級、二級もしくは三級アルキル
基;同一または異なるC1〜C10の直鎖状もしくは分岐し
た一級、二級もしくは三級アラルキル基;または、同一
または異なるC5〜C15の脂環族もしくは芳香族基、 R7、R8は、同一または異なるC1〜C10の直鎖状もしく
は分岐した一級、二級もしくは三級アルキル基;同一ま
たは異なるC1〜C10の直鎖状もしくは分岐した一級、二
級もしくは三級アラルキル基;または、同一のC5〜C15
の脂環族基、を表す。) 本発明において用いる酒石酸アミド類は、包接錯体を
形成する際の構造上、空間的空洞を形成しやすいことか
ら、N,N,N′,N′−テトラ置換体が最も有効な構造であ
る。すなわち、一般式(A)または一般式(B)におい
てR3、R4、R5、R6は、同一または異なるC1〜C10の直鎖
状もしくは分岐した一級、二級もしくは三級アルキル
基;同一または異なるC1〜C10の直鎖状もしくは分岐し
た一級、二級もしくは三級アラルキル基;または、同一
または異なるC5〜C15の脂環族もしくは芳香族基のもの
が用いられる。中でもテトラシクロヘキシル体が合成さ
れやすくかつ立体的にも大きな空間を占有するので最も
好適な置換基である。
本発明において用いる酒石酸アミド類は、2位および
3位の水酸基の水素が置換されエーテル結合またはケタ
ール結合となったものが用いられる。すなわち、一般式
(A)においてR1、R2は、同一または異なるC1〜C10
直鎖状もしくは分岐した一級、二級もしくは三級アルキ
ル基;同一または異なるC1〜C10の直鎖状もしくは分岐
した一級、二級もしくは三級アラルキル基;または、同
一または異なるC5〜C15の脂環族もしくは芳香族基のも
のが用いられる。また、一般式(B)においてR7、R
8は、同一または異なるC1〜C10の直鎖状もしくは分岐し
た一級、二級もしくは三級アルキル基;同一または異な
るC1〜C10の直鎖状もしくは分岐した一級、二級もしく
は三級アラルキル基;または、同一のC5〜C15の脂環族
基のものが用いられる。
本ホスト化合物はアルコール類、ジオール類、フェノ
ール類、芳香族ジオール類、アミン類、ジアミン類、ア
ルデヒド類、ケトン類、カルボン酸類、エステル類、ア
ミド類、アミノ酸類、エーテル類など多くの化合物をゲ
スト体としてホスト・ゲスト錯体を形成することができ
る。中でも、アルコール類、ジオール類、フェノール
類、芳香族ジオール類などの水酸基をもった化合物との
相性が非常によく、芳香族ジオール類のラセミ体などは
ほとんど定量的な収率で光学分割することができる。
本発明のD−またはL−酒石酸アミド誘導体を用いる
と光学活性なホスト・ゲスト錯体を形成することができ
る。
ホスト・ゲスト錯体を形成する態様例について、その
反応条件を詳細に述べると、酒石酸アミド誘導体と分離
しようとするゲスト化合物を含む溶液(溶媒に溶解した
状態でもよく、またゲスト化合物異性体の混合物でもよ
い。)を混合し室温にて放置することによりホスト・ゲ
スト錯体が晶析する。ゲスト化合物と酒石酸アミド誘導
体とのモル比は1:0.001〜1:10,000が適当であるが、包
接錯体の結晶性が良いのは、さらに1:0.01〜1:100の範
囲である。晶析温度は溶媒の使用の有無、溶媒を用いる
場合においては溶倍の種類、使用量等の条件により、好
ましくは−50〜250℃の範囲で変化させることができ、
−20〜150℃の範囲がさらに好適である。通常は室温で
十分である。晶析しにくい場合には冷却することによっ
て晶析時間を短縮することが可能であり、また、包接鎖
体の結晶の純度を上げるために室温より高い温度で行う
のが望ましい場合もある。また、晶析速度を増大した
り、結晶の純度向上の目的で、溶媒を使用することも可
能である。晶析に要する時間は30分〜20日の範囲である
が、晶析速度の遅い5〜20日の範囲は工業的にはあまり
有利な操作時間とはいえず、晶析条件の検討により、1
時間〜1日に短縮するのが望ましい。
このようにして得たホスト・ゲスト錯体は、減圧蒸
留、ホスト体交換あるいはカラムクロマトグラフィーな
どの諸方法によってゲスト分子を単離することができ
る。
次に、本発明の酒石酸アミド誘導体の製造方法を例示
により説明する。
本来、酒石酸は光学変換しやすい化合物でありアミド
化合物に誘導する間に光学活性を失ってしまう例が多
い。
したがって、従来から光学活性酒石酸のアミド化にお
いては、反応によって光学活性を失わないように合成操
作を工夫する必要があった。
そのような例として、D.Seebach,W.Langeret al.Hel
v.Chim.Acta.60,301(1977).では(+)−酒石酸ジエ
チルから(+)−(R,R)−N,N,N′,N′−テトラメチル
酒石酸ジアミドを得る方法が報告されている。本法では
(+)−酒石酸ジエチルとジメチルアミンとを反応する
ことによってアミド誘導体を得ている。
しかしながら、この方法は比較的低分子量のアミン類
にしか適用できず、非常に簡単な方法ではあるが、適用
範囲は狭かった。たとえば、上述報文に従って(+)−
酒石酸ジエチルとジシクロヘキシルアミンとを用いてア
ミド体を得ることを試みたが、反応は進まなかった。
しかも、本発明者らは(+)−(R,R)−N,N,N′,N′
−テトラメチル酒石酸ジアミドのホスト体としての性能
を試験したが、あまり多くのゲスト化合物とは包接錯体
を形成するに至らなかった。
これに対し、本発明者らは二つの水酸基をケタールに
すること、または二つの水酸基に置換基を導入しジエー
テル結合とすることによって、二つのアミド基の立体配
座を転換することなしに、適用範囲の広い優れたホスト
体に変換し得ることを見出したのである。
アミド類の最も普通の合成法は、酸クロライドとアミ
ンによる方法である。そこで、D−またはL−酒石酸の
二つのカルボキシル基を酸クロライドに変換してからジ
シクロヘキシルアミンとの反応を試みたが副反応や光学
活性の喪失を伴い、D−またはL−酒石酸から光学活性
なアミド体を得ることはできなかった。
このように、D−またはL−酒石酸に対し直接酸クロ
ライド化反応を進めるのは問題が多いので、修飾してか
ら酸クロライド化する方法を検討した。
ところで、I.Felher,K.SchenkerらはHelv.Chim.Acta,
53,754(1970)で(+)−酒石酸ジエチルから(+)−
2,3−ジメトキシこはく酸を得る方法を報告している。
そこで本発明者らは、該報文に従って酒石酸のジメチ
ルエーテル体を合成し、次いで、常法で酸クロライドに
変換したところ光学活性に全く変化がなかった。この酸
クロライドとジシクロヘキシルアミンとを反応させる方
法によって、全く光学活性を失うことなく良い収率でア
ミド体を得ることができたのである。
以上述べたような方法以外の方法で、酒石酸アミドを
合成することはもちろん可能である。たとえば脱水剤の
存在下に酒石酸誘導体とアミンを反応させる方法によっ
ても可能であるし、酒石酸誘導体のアミン塩を加熱脱水
する方法によっても合成することができる。
また、光学的に純粋な前記一般式(B)で表わされる
酒石酸アミド類は、たとえば、光学的に純粋なN,N,N′,
N′テトラメチル酒石酸ジアミド等のN,N,N′,N′−テト
ラ置換酒石酸ジアミドと、ジメトキシプロパン等のごと
き酒石酸にケタール結合を導入しうる化合物とを反応せ
しめることによって得られる。
〔実施例〕
次に、本発明を実施例で説明する。
実施例1 (+)−(R,R)−N,N,N′,N′−テトラメチル酒石酸ジ
アミド(I)5.35gとジメトキシプロパン5.5gをベンゼ
ン50mlに溶解し、p−トルエンスルホン酸・1水和物0.
1gを加え加熱した。ベンゼン−メタノール共沸混合物
(b.p.58℃)を留去した後、室温まで冷却し、炭酸カリ
ウム0.2gを加えて中和した後水洗、乾燥した。ベンゼン
を減圧留去すると、無色プリズム状結晶として(+)−
(R,R)−2,3−ジ−O−イソプロピリデン−N,N,N′,
N′−テトラメチル酒石酸ジアミド(II)5.5gが得られ
た。この結晶は、mp.86−88℃、〔α〕+2.5゜(c=
1.4,CHCl3)の物性を示した。
実施例2 実施例1で得られた(+)−(R,R)−2,3−ジ−O−
イソプロピリデン−N,N,N′,N′−テトラメチル酒石酸
ジアミド(II)1.26gと(±)−ビフェナントロール(I
II)1.0gを99%エタノール20mlに加熱溶解し室温で12時
間放置すると無色プリズム状結晶が析出した。この結晶
をエタノール20mlから1回再結晶すると(+)−(R,
R)−2,3−ジ−O−イソプロピリデン−N,N,N′,N′−
テトラメチル酒石酸ジアミド(II)と(−)−IIIの2:1
包接化合物の結晶(無色プリズム晶)0.85gが得られ
た。この結晶は、mp.178−180℃、〔α〕−23.9゜(C
HCl3)の物性を示した。この結晶をベンゼン5mlに溶解
し、シリカゲルクロマトグラフィーにかけると、ベンゼ
ン溶出部分から(−)−III0.48gが得られた。これは、
〔α〕−54.8゜(c=0.5,CHCl3)の物性を示した。
一方、包接錯体を分離した濾液を減圧濃縮した後、シ
リカゲルクロマトグラフィーで精製すると(+)−III
0.49gが得られた。これは、〔α〕+68.0゜(c=0.
5,CHCl3)の物性を示した。
実施例3 (+)−2,3−ジ−O−メチル酒石酸(IV)16.8gと五
塩化りん41.6gをオキシ塩化りん30ml中に加えると激し
く反応して塩化水素ガスを発生した。ガスの発生が穏や
かになったのち、約30分間穏やかに加熱した(〜100
℃)。減圧下にオキシ塩化りんを留去すると(+)−2,
3−ジ−O−メチル酒石酸クロリド(V)が無色オイル
として得られた。酸クロリド(V)を乾燥ベンゼン50ml
に溶解し、あらかじめ氷冷したジシクロヘキシルアミン
68gの無色ベンゼン300ml中に攪拌氷冷下に滴下した(約
30分)。滴下後12時間攪拌し、徐々に室温に戻した。
析出したジシクロヘキシルアミン塩酸塩を吸引濾過で
除去したのち、濾液を希塩酸(3N)、水、重曹水の順に
洗浄したのち、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、ベンゼ
ンを留去すると、無色オイル状の(+)−2,3−ジ−O
−メチル−N,N,N′,N′−テトラシクロヘキシル酒石酸
ジアミド(VI)が得られた。
VIを室温で放置すると徐々に結晶化した。得られた結
晶を石油エーテルから再結晶すると、無色プリズム状結
晶のアミド(+)−VI25gが得られた。これは、mp.135
−140℃、〔α〕+57.7゜(c=4.0,CHCl3)の物性を
示した。
実施例4 (+)−VI1.50gと(±)−ビナフトール(VII)1.27
gを99%エタノール20mlに加熱溶解し室温で12時間放置
すると無色プリズム状結晶が析出した。この結晶をエタ
ノール10mlから1回再結晶すると(+)−VIと(−)−
VIIの1:1包接化合物の結晶(無色プリズム晶)0.76gが
得られた。この結晶は、mp.174−176℃、〔α〕+1.9
6゜(メタノール)の物性を示した。
この結晶をベンゼン20mlに溶解し、5%水酸化ナトリ
ウム水溶液で、(−)−VIIを抽出し、3NHClで酸性にす
ると、(−)−VII0.34g(〔α〕−40.0゜(c=1.0,
テトラヒドロフラン))が得られた。
濾液を減圧濃縮ののち同様に処理すると(+)−VII
0.60g(〔α〕+22.3゜(c=0.8,テトラヒドロフラ
ン))が得られた。
実施例5 (+)−VI0.58gと(±)−スピロビフルオレノール
(VIII)0.60gをエタノール5mlに加熱溶解し室温で12時
間放置して析出した結晶をエタノール5mlから1回再結
晶すると(+)−VIと(+)−VIIIの1:1包接化合物の
結晶(無色プリズム状結晶)0.45g(mp.238−243℃)が
得られた。この結晶をベンゼン10mlに溶解し、5%水酸
化ナトリウム水溶液で(+)−VIIIを抽出した後、3NHC
lで酸性にすると、(+)−VIII0.22g(〔α〕+27.1
゜(c=0.9,メタノール))が得られた。
実施例6 (+)−VI0.53gと(±)−3,3′−ジヒドロキシ−4,
4′−ビフェナンスリル(IX)0.61gをエタノール10mlに
加熱溶解し室温で12時間放置すると無色針状結晶とし
て、(+)−VIと(+)−IXの1:1包接化合物の結晶
(無色プリズム状結晶)0.63g(mp.224−227℃)が得ら
れた。
この結晶をベンゼン10mlに溶解し、5%水酸化ナトリ
ウム水溶液で(+)−IXを抽出した。次いで3NHClで酸
性にすると、(+)−IX0.33g(〔α〕+5.3゜(c=
0.7,CHCl3))が得られた。
実施例7 (+)−(R,R)−2,3−ジ−O−メチル−N,N,N′,
N′−テトラメチル酒石酸ジアミド〔(+)−X〕4.06g
と(±)−ビス−β−ナフトール(XI)5.00gをベンゼ
ン20mlに加熱溶解し、n−ヘキサン5mlを加えて室温で1
2時間放置した。析出したプリズム状結晶を上記混合溶
媒から1回再結晶すると(+)−Xと(−)−XIとの1:
1包接化合物の結晶(無色プリズム晶、mp.149−150℃、
〔α〕+61.5゜(CHCl3)3.70gが得られた。この結晶
をベンゼンに溶解し、シリカゲルクロマトグラフィーに
かけて、ベンゼン溶出部分を濃縮すると、(−)−XI1.
80gが得られた。これは、〔α〕−30.6゜(c=1.1,
テトラヒドロフラン)の物性を示した。
一方、包接錯体を分離した濾液をシリカゲルクロマト
グラフィーで処理して得られた(+)−XI2.7g(〔α〕
+21.0゜(c=0.55,テトラヒドロフラン))と
(−)−(S,S)−X2.19gを上記混合溶媒に溶解して室
温で12時間放置した。析出した結晶を1回再結晶する
と、(−)−Xと(+)−XIとの1:1包接化合物(無色
プリズム状結晶、mp.150−151℃、〔α〕−43.9゜(C
HCl3))2.70gが得られた。この結晶を同様にカラムク
ロマトグラフィーで処理すると、(+)−XI1.48g
(〔α〕+36.5゜(c=1.3,テトラヒドロフラン))
が得られた。
実施例8 (+)−(R,R)−2,3−ジ−O−メチル−N,N,N′,
N′−テトラシクロヘキシル酒石酸ジアミド(VI)4.80g
とナフトール(α:β比1:1)1.44gをメタノール10mlに
加熱溶解し、室温で12時間放置するとVIとβ−ナフトー
ルの1:1包接化合物(無色針状結晶、mp.199−204℃)2.
3gが析出した。カラムクロマトグラフィーでアミド(V
I)を分離するとβ−ナフトール0.53gが得られた。
〔発明の作用と効果〕
本発明にかかる酒石酸アミド誘導体は、各種の有機化
合物をゲスト化合物とする包接錯体の結晶を形成する。
本発明にかかるホスト体の作用機構は明確でないが、
アミノ基のもつ電気的な分極がゲスト化合物との間の吸
引力として働き、かつ、二つのアミド基が形成する空間
的空洞のマトリクスの中にゲスト化合物が保持されてい
ると考えるのが、本発明者らがすでに発明した他のホス
ト・ゲスト錯体との関連性において妥当と考えられる。
本発明にかかる化合物はアルコール類、ジオール類、
フェノール類をはじめ各種の有機化合物をゲスト化合物
として包接錯体の結晶を形成する。
したがって、これらの化合物の分離精製剤として使用
することができ、特に、天然型酒石酸から合成された本
化合物は、非常に安価な光学活性なホスト体として、ラ
セミ型アルコール類、ジオール類、フェノール類から光
学活性な包接錯体を形成するので、これらの化合物の光
学分割剤として工業的に有用である。
さらに、これらの酒石酸アミド誘導体は、医薬、農薬
原体を包接することができるので、包接化することによ
って、これらの医農薬が徐放化され、効力の長期化およ
び刺激性の低下を行うことができる。
また、酒石酸アミド類は、比較的大分子量の化合物を
包接することができるので、天然物から有効成分を抽出
する抽出剤としても多くの用途が考えられる。
本発明は、従来技術では光学活性体を効率よく得るこ
とが困難であったビナフトール、ビフェナントロールな
どの芳香族ジオールを簡単な操作で光学分割することを
可能にした。
光学活性ビナフトールは水素化アルミニウムリチウム
との組合せにより、ケトン類を高収率で不斉還元するこ
とが知られている。
たとえば、野依ら,Tetrahedron Lett.,22,247(198
1)、野依ら,Pure and Appl,Chem.,53,2315(1981)、
野依ら,J.Am.Chem.Soc.,101,5843(1979)、野依ら,Tet
rahedron Lett.,21,2821(1980)等に報告されている。
しかしながら、現状において、光学活性なビナフトー
ルが十分工業的に活用されているとは言い難い。これは
主として、光学活性なビナフトールが非常に高価であ
り、工業的に利用するには大きな障壁となっていたから
である。
本発明の酒石酸アミド誘導体を用いると、簡単な操作
によって光学活性なビナフトールを高収率で得ることが
できるので、光学活性なビナフトールを安価に製造する
ことが可能である。したがって、この光学活性なビナフ
トールを用いて、ケトン類を不斉還元することにより医
薬、農薬原料として貴重な光学活性アルコールを収率よ
く製造することが可能である。したがって、その工業的
な利益は測りしれないものがある。
同様にビフェナントロールもビナフトールと同等ない
しそれ以上に不斉還元試薬として効果を有することが知
られている。たとえば特開昭60−181033号公報では、光
学活性なビフェナントロールの存在下に水素化アルミニ
ウムリチウムを用いてデオキシベンゾインを不斉還元し
て高収率で(S)−1,2−ジフェニルエタノールを得る
方法が開示されている。やはり、この場合にも価格が壁
となって工業的に利用されるにいたっていない。しかし
ながら本発明の酒石酸アミド誘導体を用いることによ
り、安価に製造されることが期待されるので、今後工業
的利用が開拓されるであろう。
また、酒石酸アミド誘導体は天然に存在する酒石酸か
ら誘導された化合物であり、毒性が低く、安全性が高い
化合物である。したがって、この化合物をホスト体とし
た包接錯体も安全性が高いと考えられ、医薬、農薬、香
料等を包接することによって徐放性化および緊急毒性の
低下をさせることが可能であり、工業的に非常に意義あ
ることといわねばならない。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】一般式(A) または、一般式(B) で表わされるD−またはL−酒石酸アミド誘導体であっ
    て、アルコール類、ジオール類、フェノール類、芳香族
    ジオール類、アミン類、ジアミン類、アルデヒド類、ケ
    トン類、カルボン酸類、エステル類、アミド類、アミノ
    酸類またはエーテル類などの化合物をゲスト化合物とし
    て、包接錯体を形成し得るホスト化合物であるD−また
    はL−酒石酸アミド誘導体。 (一般式(A)または(B)において、 R1、R2は、同一または異なるC1〜C10の直鎖状もしくは
    分岐した一級、二級もしくは三級アルキル基;同一また
    は異なるC1〜C10の直鎖状もしくは分岐した一級、二級
    もしくは三級アラルキル基;または、同一または異なる
    C5〜C15の脂環族もしくは芳香族基、 R3、R4、R5、R6は、同一または異なるC1〜C10の直鎖状
    もしくは分岐した一級、二級もしくは三級アルキル基;
    同一または異なるC1〜C10の直鎖状もしくは分岐した一
    級、二級もしくは三級アラルキル基;または、同一また
    は異なるC5〜C15の脂環族もしくは芳香族基、 R7、R8は、同一または異なるC1〜C10の直鎖状もしくは
    分岐した一級、二級もしくは三級アルキル基;同一また
    は異なるC1〜C10の直鎖状もしくは分岐した一級、二級
    もしくは三級アラルキル基;または、同一のC5〜C15
    脂環族基、を表す。)
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