JPH08136698A - 円弧状スライダー駆動式ゴニオメータおよび立体角回折計 - Google Patents

円弧状スライダー駆動式ゴニオメータおよび立体角回折計

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JPH08136698A
JPH08136698A JP6275039A JP27503994A JPH08136698A JP H08136698 A JPH08136698 A JP H08136698A JP 6275039 A JP6275039 A JP 6275039A JP 27503994 A JP27503994 A JP 27503994A JP H08136698 A JPH08136698 A JP H08136698A
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arc
detector
slider
goniometer
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JP6275039A
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Toshiji Kikuchi
利治 菊池
Toshiyuki Mizutani
敏行 水谷
Yasuo Takagi
康夫 高木
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Nippon Steel Corp
Original Assignee
Nippon Steel Corp
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【目的】放射線検出器を搭載し、試料の回りの球面に移
動させる立体角ゴニオメータおよび立体角回折計に関す
る。 【構成】円弧状スライダー10および直線状スライダー
11および検出器17が一体となって、該検出器を移動
する円弧状スライダー駆動式ゴニオメータ4。さらに、
放射線検出器を搭載する上記円弧状スライダー駆動式ゴ
ニオメータ4、円弧状スライダー駆動式ゴニオメータの
該円弧状スライダーによって検出器が移動する周回面に
対して垂直に設置された円環状ガイド5、および該円環
状ガイド上に搭載された台車6、台車上に該放射線検出
器用ゴニオメータ4が固定された回折計。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、放射線を材料に照射し
て、材料から透過、散乱、回折等の現象によって放出さ
れる放射線の強度、位置、偏光などを測定する方法で用
いる、放射線検出器を搭載し、移動させるゴニオメータ
および回折計に関するものである。
【0002】
【従来の技術】電磁波や粒子線等の放射線を材料に照射
し、材料からの透過、散乱、回折等の現象によって放出
される放射線の方向・強度・偏光などを測定することに
よって、物質の原子配列・電子状態等の構造に関する知
見を得る方法が広く利用されている。この様な方法に用
いられる回折計は、一般的に、試料に入射する放射線束
の方向に対して試料を保持・回転する試料保持・回転機
構、および、試料によって透過・回折・散乱などの現象
によって放出された放射線の強度、エネルギー・放射方
向・偏光等を検出するための放射線検出器、さらに該検
出器を搭載・移動する放射線検出器搭載・移動機構の3
つから構成される。試料保持・回転機構と検出器搭載・
移動機構は、試料内の1点を共通中心点としてそれぞれ
の機構を回転させる機構を有し、一般的に該回転機構を
ゴニオメータと称する。またこの様なゴニオメータを複
数種類組み合わせた機構を回折計と称する。
【0003】一般的に、この様な回折計を利用して測定
される現象は、今日では、回折現象だけでなく、散乱
や、透過などの各種の現象に及んでいるが、伝統的にこ
の様な機構を回折計と呼んでいる。この様な目的に使用
される回折計は、放射線検出器の方向を試料中心(即ち
回折計の回転中心)に向け、入射放射線束を含む1つの
平面上で測定器を試料の周りに周回させる測定器搭載・
移動用ゴニオメータを一台有している。またさらに通常
の回折計は、この様な検出器周回平面と同一の面内に試
料を自転させる1つの試料回転機構を有する。通常、こ
の様な回折計はθ/2θ式2軸ゴニオメータと呼ばれて
いる。さらに該検出器周回平面と直交する他の2つの面
内でも試料を回転させる事が可能な試料ゴニオメータを
有する回折計も広く使用されている。通常、この様な試
料回転部をオイラークレードルと称し、オイラークレー
ドルに上記のθ/2θ式2軸ゴニオメータを組み合わせ
た回折計を4軸回折計と称する。この様に、従来のほと
んどの回折計は、放射線検出器を1つの周回面内での移
動のみとし、それに対して試料と放射線束の角度関係を
試料の回転によって調整して測定を行う方法を取るのが
一般的であった。
【0004】これに対して、放射線測定器の移動を1つ
の周回面内のみに限定することなく、回折計の中心点を
中心とする球面上に検出器を移動させる構成とした立体
角回折計がある。試料から放射された放射線の広い範囲
の立体角にわたる情報(強度、分布、エネルギー、偏光
など)を測定することができるこの立体角回折計は、特
に試料が液体等である場合の様に試料の回転が困難な場
合や、シンクロトロン放射光等の様に偏光面が特定の方
向を向いた放射線を用いて試料の向きと偏光面の向きの
両方による放射線の散乱能率の角度依存性を測定したい
場合等の様に、試料から放射される放射線の立体角に依
存する情報が必要な場合に使用されてきた。また管球X
線源・回転対陰極X線源・シンクロトロン放射光・同位
体元素等のX線源を用いた蛍光X線の測定においては、
試料からの蛍光X線の最も強度の強い角度に検出器を設
置したり、試料からの回折線が検出器に入射しない角度
に検出器を設置したり、弾性散乱や、コンプトン散乱が
弱い位置に設置したりして、できるだけ測定に必要な蛍
光X線のみを検出して、検出器の飽和を避け、効率的な
測定をするために必要であるので、この様な蛍光X線測
定法においても必須の機構となる。蛍光X線の測定を用
いた蛍光X線分析および螢光EXAFS、螢光XANE
Sなどの測定法においても立体角回折計は重要な機構と
なる。
【0005】従来、試作または市販されてきた、立体角
回折計に用いられる検出器搭載・移動用立体角ゴニオメ
ータでは、1つの回転台上に円弧状のポールが固定さ
れ、円弧状ポールに沿って該ポールの側面に固定された
レール、該レール上を移動する台車に検出器を搭載した
構成をしている。いくつかの従来の検出器搭載・移動用
立体角ゴニオメータにおいては、台車上に検出器を搭載
せずに、台車上に取付けられたリニアステージ上に検出
器を搭載することによって、試料中心から検出器までの
距離を調整可能としてあるものもある。この様なゴニオ
メータでは、該回転台を回すと同時に、レールに搭載さ
れた該台車をレールに沿って移動することによって、回
折計の中心点を中心とする球面上の任意の位置に検出器
を移動可能としてきた。なお、円弧状ポールを回転台上
に固定するのではなく、円形のレール上に搭載した台車
上にさらに円弧状ポールを固定した構成のものもある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】従来の放射線検出器用
立体角ゴニオメータで用いられてきた回転台や円形レー
ルの台車の上にレール付き円弧状ポールを固定し、放射
線測定器を搭載した台車を円弧状ポールに沿って固定さ
れたレール上を移動させる形式の立体角回折計には以下
の様な問題点があった。
【0007】(1)放射線検出器は通常回折計の中心方
向に向けなければならず、なおかつ、検出器の位置と回
折計の中心方向の距離を調整する必要があるため、検出
器は円弧状ポールの何方かの片側に搭載しなければなら
ない。またこの形式のゴニオメータにおいては、検出器
搭載用の台車自体が円弧状ポールに固定されたレールの
上を移動するために、モーターやギヤ機構等を台車上に
搭載する必要がある。以上のような理由によって、台車
および検出器がポールの片側に大きく張り出すのが普通
であった。さらに、台車上に取付けられたリニアステー
ジに検出器を搭載した構成の場合は、リニアステージの
幅の分が余計に張り出すことになる。このような状況に
おいて、重量の大きな検出器を搭載する場合は、重心が
ポールの中心垂線より検出器側に大きくずれることにな
り、特に検出器を円弧状ポールの先端に移動する場合に
は、ポールに大きな曲げ応力がかかることになる。この
様な曲げ応力に対抗してポールのたわみを防ぐために
は、ポール自体の幅を広くしたり、また、平行した2本
のポールを使い、その間に台車を挟みこむことによりポ
ールのたわみを防ぐ必要があるが、何れの場合も、ポー
ルの幅が広くなるという問題点があった。
【0008】(2)上記(1)の様に検出器、検出器搭
載用台車、及び円弧状ポールの幅が広くなると、試料搭
載回転機構に試料を搭載し、立体角ゴニオメータ上に検
出器を搭載して、両者を同時に使用する必要がある場
合、両者が干渉し合って、両者の実効作動範囲が制限さ
れる問題が生じる。特に立体角ゴニオメータの半径が小
さい場合はこの様な実効作動範囲は急激に狭くなる。
【0009】(3)円弧状ポールが常に回転台や円環状
レール上のステージに固定されているため、試料回転部
と干渉しないように、検出器の位置を180度以上移動
させるためには試料回転部よりも大きなゴニオメータに
するか、あるいは試料回転部を小さくする必要がある。
前者の場合は、ゴニオメータが非常に大きなものとな
り、また検出器を試料に近付けなければならない場合は
検出器のリニアステージを長くしなければならず、上記
の様に作動範囲や、重量バランスの問題が再び生ずる。
後者の場合は重量のある試料回転部や試料用加熱装置お
よび冷却装置を試料回転部に搭載して使用することが非
常に困難となるという欠点があった。
【0010】本発明の目的は、上記問題点を解決し、重
量の大きな検出器を搭載した場合にもポールの幅が小さ
くすみ、なおかつ、小半径の場合であっても実効作動範
囲が広くとれ、また、試料回転保持機構と同時に使用可
能な立体角ゴニオメータを提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明では、かかる問題
点を解決するために、モータに接続されたギヤボックス
によって駆動され、該ギヤボックスに取り付けられたス
ライド部によってギヤボックスを通過する円弧状スライ
ダー、および該円弧状スライダーの円弧の一端または両
端に設けられた、該円弧状スライダーの動径方向に放射
線検出器を移動する事を可能とする直線状のスライダ
ー、および該直線状スライダーに搭載された放射線検出
器によって構成され、該円弧状スライダーおよび直線状
スライダーおよび該検出器が一体となって、該検出器を
移動する事を特徴とした円弧状スライダー駆動式ゴニオ
メータを放射線検出器用ゴニオメータとして使用するも
のである。
【0012】さらに、本発明においては、放射線回折計
のうち、放射線検出器を搭載する上記円弧状スライダー
駆動式ゴニオメータ、該円弧状スライダー駆動式ゴニオ
メータの該円弧状スライダーによって該検出器が移動す
る周回面に対して垂直に設置された円環状ガイド、およ
び該円環状ガイド上に搭載された台車、該台車上に該放
射線検出器用ゴニオメータが固定された構成を特徴とし
た回折計を使用するものである。
【0013】
【作用】従来の立体角ゴニオメータの円弧状ポールの側
面に検出器を搭載した場合に対して、本発明による円弧
状スライダー駆動式立体角ゴニオメータでは、円弧状ス
ライダーの端にリニアステージを取付け、さらにリニア
ステージの上に検出器を搭載することにしたことによ
り、リニアステージおよび検出器をスライダーの中心垂
線上に搭載することが可能となる。すなわち、検出器の
重心を円弧状のスライダーの中心垂線上に一致させるこ
とが可能となる。そのため、検出器の重量にかかわらず
円弧状スライダーに曲げ応力が発生することがない。し
たがって、従来の円弧状ポールの問題点であった曲げ応
力に対抗するために必要であったポール自体の幅を広く
したり、2本のポールの間に台車を挟み込むなどの対策
は根本的に不要なものとなり、円弧状スライダーの幅及
び断面積を小さくすることが可能となる。
【0014】円弧状スライダーの端に検出器搭載部およ
び放射線検出器を搭載したにもかかわらず、円弧状スラ
イダーと検出器を一体として動作可能なように、円弧状
スライダーをモータに接続されたギヤボックスによって
駆動し、該ギヤボックスに取り付けられたスライド部に
よってギヤボックスを円弧状スライダーが通過する構成
としたために、円弧状ポール上を台車に乗せた検出器を
走らせる場合と同様に、放射線検出器を該円弧状スライ
ダーの曲率中心に向けながら、放射線検出器の移動が可
能となった。
【0015】さらに、円弧状スライダーの幅が小さくで
きるようになったと共に、円弧状スライダーの端に検出
器搭載部および検出器が搭載された円弧状スライダーお
よび検出器搭載部、検出器が一体となって動くようにし
たために、立体角ゴニオメータの検出器の回りに台車や
ギヤ、モータなどの付加部分が不要となり、立体角ゴニ
オメータの稼働部分全体の幅を小さくすることが可能に
なる。その結果、試料搭載回転機構と立体角ゴニオメー
タを同時に使用する場合に、両者が干渉しにくくなり、
両者の実効作動範囲を拡大することが可能となる。作動
範囲が拡大される範囲は、立体角ゴニオメータの半径、
搭載する検出器の大きさ、試料保持回転部分との間の関
係によるので一概には定量的にいえないが、例えば半径
40cmのゴニオメータに同一の重量の大型検出器を用い
た場合に、円弧状ポールの場合に比べて角度にして10
0度程度の改善は極めて容易である。また、本発明によ
る立体角ゴニオメータでは、円弧状スライダー自体が移
動可能となっているために、該円弧状スライダーが、試
料回転部の支持機構の内側を通過するような設計の場合
にも試料回転部の支持機構を避ける位置に円弧状スライ
ダーを移動することによって、円弧状スライダーを18
0度以上移動させることが可能となる。
【0016】また、本発明による立体角ゴニオメータは
円弧状スライダーを搭載・保持するステージにモータお
よびギヤボックスからなる駆動部を組込み、該ギヤボッ
クスを該スライダーが通過する構成とし、該スライダー
と検出器が一体となった移動ができる機構と成っている
ために、すなわち、従来の固定円弧状ポール式の機構と
異なり、円弧状スライダーの駆動部がゴニオメータの取
り付け部に固定されているために、円弧状スライダーの
駆動部を試料回転部と常に干渉しない位置に設けること
が可能となった。
【0017】
【実施例】本実施例では、図1に示す従来の垂直型回折
計1への組込みを目的とした、本発明による小半径立体
角ゴニオメータ2、および立体角ゴニオメータ2を従来
の垂直型回折計1の試料回転部と組み合わせた立体角回
折計について述べる。
【0018】図2に示すように立体角ゴニオメータ2
は、水平円形ゴニオメータ3と、円弧状スライダー駆動
式ゴニオメータ4から構成され、水平円形ゴニオメータ
3の円形レール5と円周上を走る台車6の上に円弧状ス
ライダー駆動式立体角ゴニオメータ4が搭載される。円
弧状スライダー駆動式ゴニオメータ4は、水平円形ゴニ
オメータ3の台車6へのマウント部7と、マウント部7
に組み込まれたモータ8およびギヤボックス9とマウン
ト部7を通過する円弧状スライダー10、円弧状スライ
ダー10の一端に取り付けられた検出器マウント部11
からなる。
【0019】図3および図4に円弧状スライダー10の
断面およびギヤボックス9、滑りローラ12の位置関係
を示す。ギヤボックスの歯車13が円弧状スライダー1
0の外線に沿って切られた歯面14と噛み合わされてお
り、歯車13の回転によって円弧状スライダー10が駆
動されるように構成される。円弧状スライダー10の滑
り面15はギヤボックス9に設けた滑りローラ12によ
って4方向から保持され、円弧状スライダー駆動式ゴニ
オメータ4のマウント部7を通過可能とした。本実施例
では、ローラ12に偏芯ローラを用い、円弧状スライダ
ーの噛み合わせの調整、および水平円形ゴニオメータ3
の中心線に円弧状スライダーの曲率中心を調整した。円
弧状スライダー駆動式ゴニオメータのマウント部7に
は、円弧状スライダーの移動範囲を超えて円弧状スライ
ダーを移動することを防止するために、2つのリミット
センサ16を組込んである。なお、本実施例では、円弧
状スライダーの一端にのみ検出器マウント部11を設け
たが、円弧状スライダー両端に検出器マウント部を設け
て、試料の両側から回折線および散乱線を検出するよう
にしても良い。
【0020】さらに、本実施例では、円弧状スライダー
の滑り面15を一体成形加工した鋳造物によって円弧状
スライダーを作製したが、これを、例えば円形レールを
円弧状スライダーに固定し、マウント部の滑りローラ1
2の替わりに円形レールのベアリングボックスを用いて
もよい。また、本実施例では水平円形ゴニオメータに円
弧状スライダー駆動式ゴニオメータを360度回転可能
なように円形レールを設置したが、回転範囲を狭くする
場合は円形レールによって必要となる角度範囲にのみレ
ールを設置したものであっても良いことは言うまでもな
い。さらに、本実施例では、水平円形ゴニオメータに円
形レールを用い、該レール上を走る台車の上に円弧状ス
ライダー駆動式ゴニオメータを搭載したが、水平円形ゴ
ニオメータを回転円盤によって構成し該円盤を回転させ
ることによって、該円盤上に搭載した円弧状スライダー
駆動式ゴニオメータを回転させることも可能である。ま
た、本発明によれば、検出器搭載部11にはリニアステ
ージを用い検出器17を搭載したが、この部分を省略し
て検出器を円弧状スライダーの一端または両端に直接固
定しても良い。
【0021】本実施例による円弧状スライダー駆動式ゴ
ニオメータ4を内径34cmの円弧状スライダーを用いて
作製し、垂直型回折計1に、組込み立体角回折計の動作
試験を行った。検出器17として重量30kgの半導体放
射線検出器を円弧状スライダー10の一端に取り付けら
れたリニアステージ11に搭載した。垂直型回折計1
は、図1に示すように、試料回転部とこの動作試験では
使用しない垂直型回折計の検出器搭載部である2シータ
・ゴニオメータ18からなる。立体角回折計は試料回転
部には垂直型回折計の試料回転部を使用し、検出器搭載
・移動ゴニオメータとして、本実施例による立体角ゴニ
オメータを使用した。
【0022】垂直型回折計1の試料回転部は、オイラー
クレードル、すなわち、互いに回転軸が直交する3軸の
ゴニオメータから構成される。3軸のゴニオメータは、
オメガ軸ゴニオメータ19とそれに取り付けられたカイ
軸ゴニオメータ20、さらにカイ軸ゴニオメータ20に
取り付けられたファイ軸ゴニオメータ21の3つであ
る。ファイ軸ゴニオメータ21の試料搭載面に試料が搭
載される。本実施例による立体角ゴニオメータはカイ軸
ゴニオメータ20を囲むように設置される。カイ軸ゴニ
オメータ20直下の定盤上に、試料回転部の中心を通る
垂線と定盤との接点を中心として、水平円形ゴニオメー
タ3をネジ止めした。水平円形ゴニオメータ3の台車6
上に円弧状スライダー駆動式ゴニオメータ4を搭載し
た。円弧状スライダー10はカイ軸ゴニオメータ20の
外径32cmのサークルを囲むように設置されており、円
弧状スライダー10とカイ軸ゴニオメータ20との間は
2cmほどのすきまがあくことになる。円弧状スライダー
駆動式ゴニオメータ4のリニアステージからなる検出器
搭載部11に重量30kgの半導体検出器17を搭載し
た。試料23はファイ軸ゴニオメータ21上に取り付け
られた大型試料ステージ22に固定した。
【0023】これらの構成からわかるように、立体角ゴ
ニオメータ3の円弧状スライダー10の内側に、試料回
転部のカイ軸ゴニオメータ20、ファイ軸ゴニオメータ
21、試料が囲まれることになる。水平円形ゴニオメー
タ3の実効作動範囲は、カイ軸ゴニオメータ20の2つ
の支持部、すなわち、オメガ軸との支持部22と定盤に
取り付けられた支持部23の2箇所で制限されており、
これと円弧状スライダー10の幅を360度から差し引
いた範囲となる。
【0024】本実施例で用いた円弧状スライダー10の
断面は10cm四方以内と小さなものであるため、水平円
形ゴニオメータ3の実効作動範囲は約300度となる。
ここで用いた垂直型回折計1のオメガ軸ゴニオメータへ
の支持部22を改良し、これを外径10cmの円筒とすれ
ば、作動範囲は約320度まで拡大できることは明らか
である。特筆すべきは、本発明による立体角ゴニオメー
タ2では、円弧状スライダー10の上端に検出器17を
搭載しているため、水平回転においては300度の作動
範囲が検出器の水平方向での周回範囲に一致することで
ある。円弧状ポールの側面に検出器を搭載する従来の構
成によれば、作動範囲は、さらに円弧状ポールの側面台
車と検出器の幅を差し引いたものとなり、円弧状ポール
の幅が広くなることを考慮にいれると、本実施例と同一
の構成にした場合、約200度まで減ることが予想され
る。
【0025】この実施例では、試料から回折・散乱され
た放射線がカイ軸ゴニオメータ20によって遮られるた
め、円弧状スライダー10の滑り範囲、すなわち検出器
17の垂直方向の周回範囲は、水平ゼロ度から垂直90
度までの90度とした。しかしながら、垂直方向の周回
範囲は90度に限られるわけではなく、カイ軸ゴニオメ
ータ20を使用しない場合は、検出器17の垂直方向の
周回範囲を180度になるように円弧状スライダー10
の長さを伸ばすことによって実現できることは明らかで
ある。
【0026】いずれにせよ、カイ軸の支持部23の両端
で使用する場合は、カイ軸ゴニオメータ20をオメガ軸
ゴニオメータ19を回転させることで水平にし、円弧状
スライダー10の一端を水平位置まで移動すれば、カイ
軸ゴニオメータ20の下をすり抜けて支持部23の片方
から他方へと移動することが可能である。なお、本実施
例においては、円弧状スライダー10の断面が10cm四
方以内と小さなものであったにもかかわらず、円弧状ス
ライダー10のたわみは見当たらなかった。
【0027】なお、本実施例においては、放射線検出器
として半導体検出器を用いたが、これを他の、例えば、
シンチレーション計数管、電離箱、比例計数管、位置検
出型比例計数管(PSPC)、SSD、写真乾板、原子
核乾板、イメーイングプレート等を用いても良いことは
いうまでもない。
【0028】このように広い範囲にわたって検出器の移
動が可能となったため、例えば蛍光X線検出器を本発明
による立体角回折計に搭載して蛍光X線分析を行った場
合には、検出器への試料からの回折線の混入がなくかつ
散乱線の小さい検出器設置場所を探すことが容易とな
り、もっとも検出効率が高くなるように試料の角度と検
出器の場所を移動することが可能となった。
【0029】
【発明の効果】本発明による円弧状スライダー駆動式ゴ
ニオメータを中心として構成された立体角回折計は、従
来の固定式円弧状ポールのレール上に台車を走らせるゴ
ニオメータを搭載した立体角回折計の問題点を克服し、
実効作動角度が広く、しかも半径の小さい立体角回折計
が実現可能となる。試料回転部との同時に干渉すること
なく使用できる角度範囲も著しく拡大される。さらに半
径の小さな場合であっても、従来搭載することが難しか
った大重量の検出器を搭載し、高精度の位置決めが容易
である。さらにこの立体角回折計を主要構成要素とする
立体角回折計を使用すれば、放射線の回折測定や散乱測
定においては、従来広く用いられてきた検出器を1平面
内で周回する方法のみならず、試料をあらゆる方向に回
転させながら、検出器も立体的に移動する事が極めて容
易である。従って、この様な広範囲の立体角による放射
線計測が必要な解析法に広く有用である。
【図面の簡単な説明】
【図1】垂直型回折計1、本発明による立体角ゴニオメ
ータ2を組み込んだ斜視図。
【図2】立体角ゴニオメータの斜視図。
【図3】立体角ゴニオメータのマウント部7の横断面
図。
【図4】立体角ゴニオメータのマウント部7の縦断面
図。
【符号の説明】
1 垂直型回折計 2 本発明による立体角ゴニオメータ 3 水平円形ゴニオメータ 4 円弧状スライダー駆動式ゴニオメータ 5 水平円形ゴニオメータの円形レール 6 水平円形ゴニオメータの台車 7 円弧状スライダー駆動式ゴニオメータの水平円形
ゴニオメータへのマウント部 8 モータ 9 ギヤボックス 10 円弧状スライダー 11 検出器搭載部(リニアステージ) 12 滑りローラ 13 歯車 14 円弧状スライダーの歯面 15 円弧状スライダーの滑り面 16 リミットセンサ 17 放射線検出器 18 2シータ軸ゴニオメータ 19 試料回転部のオメガ軸ゴニオメータ 20 試料回転部のカイ軸ゴニオメータ 21 試料回転部のファイ軸ゴニオメータ 22 カイ軸のオメガ軸への支持部 23 カイ軸の定盤への支持部 24 定盤

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 モータに接続されたギヤボックスによっ
    て駆動され、該ギヤボックスに取り付けられたスライド
    部によってギヤボックスを通過する円弧状スライダー、
    および該円弧状スライダーの円弧の一端または両端に設
    けられた、該円弧状スライダーの動径方向に放射線検出
    器を移動する事を可能とする直線状のリニアスライダ
    ー、および該リニアスライダーに搭載された放射線検出
    器によって構成され、該円弧状スライダーおよびリニア
    スライダーおよび該検出器が一体となって、該検出器を
    移動する事を特徴とした放射線検出器用の円弧状スライ
    ダー駆動式ゴニオメータ。
  2. 【請求項2】 中性子線等の粒子線やX線等の電磁波を
    試料に照射し、試料から、透過、散乱、回折等の現象に
    よって放射された該粒子線や該電磁波の放射方向や強度
    を検出することによって、試料の原子構造や電子構造を
    測定する方法に用いる試料回転部と検出器移動部からな
    る放射線回折計のうち、該粒子線や該電磁波を検出する
    ための放射線検出器を搭載する請求項1による円弧状ス
    ライダー駆動式ゴニオメータ、該円弧状スライダー駆動
    式ゴニオメータの該円弧状スライダーによって該検出器
    が移動する周回面に対して垂直に設置された円環状ガイ
    ド、および該円環状ガイド上に搭載された台車、該台車
    上に該円弧状スライダー駆動式ゴニオメータが固定され
    た構成を特徴とした検出器移動部からなる立体角回折
    計。
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