JPH08127809A - 高炉の操業方法 - Google Patents

高炉の操業方法

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JPH08127809A
JPH08127809A JP26383394A JP26383394A JPH08127809A JP H08127809 A JPH08127809 A JP H08127809A JP 26383394 A JP26383394 A JP 26383394A JP 26383394 A JP26383394 A JP 26383394A JP H08127809 A JPH08127809 A JP H08127809A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 微粉炭や重油等の可燃性燃料の多量吹き込み
に伴う、羽口前レ−スウエイ内で生じる大きな燃焼背圧
に影響されずに、羽口先端風速を適正な範囲内に制御す
ることによって、高強度のコ−クスを用いなくとも通気
性を維持し、高炉の安定した操業を実現する、高炉の操
業方法について提案する。 【構成】 高炉内に、羽口を介して可燃性燃料の多量吹
き込みを行う際に羽口先端風速を所定の管理範囲に納め
るに当たり、各羽口への送風圧力と各羽口先端の圧力と
の差を測定し、該測定値を、高炉毎に決定される上記圧
力差と羽口先端風速との関係に基いて求められる、羽口
先端風速の管理範囲と対応する圧力差範囲に制御する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、微粉炭や重油等の可
燃性燃料の多量吹き込みを行う高炉の操業方法に関し、
特に羽口先端風速の適正化を図ろうとするものである。
【0002】
【従来の技術】現在、高炉用コークスの大部分は室炉に
より生産されているが、老朽化した室炉コークス炉の代
替技術として、高炉への微粉炭等の可燃性燃料を多量に
吹き込む操業が注目されている。
【0003】ところが、この種の高炉操業においては、
高炉に羽口を介して微粉炭の多量吹き込みを行うと、吹
き込んだ微粉炭は、まず羽口前レ−スウエイ内でコーク
スより選択的に燃焼するため、炉内を降下してきたコー
クスは燃焼するまでにレースウエイ内でより長時間旋回
運動を続けて粉化し、その結果、粒径が減少したり微粉
が発生し、高炉の通気性を悪化させる。さらに、吹き込
んだ微粉炭も完全燃焼するわけではなく、未燃焼チャ−
が炉芯部に堆積し炉芯通気性を阻害する。すなわち、微
粉炭を高炉に多量吹き込みするには、高炉通気性の確保
が重要となるのである。
【0004】そこで、炉内を降下してきたコークスのレ
−スウエイ内での粉化防止に対しては、炉頂に装入する
コークスの強度を上昇させる対策がとられている。しか
し、高強度のコークスは、その製造コストが高いため、
溶銑コストも大幅に高くなるという問題点があった。従
って、高強度のコ−クスを用いなくてもレースウエイ内
でのコークスの粉化を抑える操業技術の開発が急務とな
っている。
【0005】このコークスの粉化抑制には、高炉から吹
き込まれる送風のエネルギーを減少させること、すなわ
ち羽口先端風速を低位の適正範囲に管理するのが有効で
あることが知られており、「鉄鋼便覧 製銑、製鋼編」
の第283 頁右欄第3〜4行には、羽口先風速を200 〜 2
50 m/sに管理することが開示されている。なぜなら、羽
口先端風速が過大になると、レースウエイ部でのコーク
スの粉化が顕著になり、一方過小になると高炉炉芯部へ
のガスの流通が妨げられるからである。
【0006】しかしながら、上記の従来知見を微粉炭の
多量吹き込みに応用するのには、以下に示す問題点があ
った。従来、羽口先端風速は、水平管部で測定される送
風温度、圧力および羽口総断面積を用いて次式(1) で計
算されるのが一般的である。
【数1】
【0007】そして、微粉炭あるいは重油などの可燃性
燃料を羽口前に吹き込んだ操業においても、同様に上記
式(1) によって羽口先端風速を算出し、この算出値に基
づいて羽口先端風速を制御していた。
【0008】しかし、このような方法で羽口先端風速を
算出推定する場合、上記式(1) が微粉炭や重油等の可燃
性燃料の羽口先での燃焼を考慮していないため、羽口前
レ−スウエイ内に吹き込んだ大量の微粉炭の燃焼反応に
伴う大きな体積増加が生じ、実際の羽口風速が上記式
(1) で算出される羽口先端風速よりも大きくなることが
あった。
【0009】すなわち、羽口先端風速を200 〜250 m/s
に管理するに当たって上記した羽口先端風速の算出式
(1) を用いて羽口先端風速を制御すると、算出値が適正
範囲にあっても、実際の羽口先端風速が250 m/s 以上の
過大な値になっていることがあり、コークス粉化の増
大、あるいはそれを防ぐための過剰なコークス強度の増
大を招き、結果として微粉炭吹き込み操業のコスト増に
つながった。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】この発明は、微粉炭や
重油等の可燃性燃料の多量吹き込みに伴う、羽口前レ−
スウエイ内で生じる燃焼に伴う大きな体積増加に影響さ
れずに、羽口先端風速を適正な範囲内に制御することに
よって、高強度のコ−クスを用いなくとも通気性を維持
し、高炉の安定した操業を実現する、高炉の操業方法に
ついて提案することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】この発明は、高炉内に、
羽口を介して可燃性燃料の多量吹き込みを行う際に羽口
先端風速を所定の管理範囲に納めるに当たり、各羽口へ
の送風圧力と各羽口先端の圧力との差を測定し、該測定
値が、高炉毎に決定される上記圧力差と羽口先端風速と
の関係に基いて求められる羽口先端風速の管理範囲と対
応する圧力差範囲に納まる制御を行うことを特徴とする
高炉の操業方法である。ここで、圧力差の制御を羽口径
の調整にて行うことおよび羽口先端部に圧力測定孔を設
け、羽口と一体となった圧力測定管を用いて圧力を測定
すること、が有利である。
【0012】さて、図1に高炉の羽口まわりの構造を示
し、同図を参照して、この発明の操業方法について詳述
する。熱風炉で所定の温度に加熱された熱風は、水平管
1を経由して高炉炉体外周部に設けられた環状管2に流
入し、さらに環状管2から分岐する各送風支管3および
ブローパイプ4を経由して、高炉の炉壁5に設けた各羽
口6に供給される。そして、羽口6を介して炉内に吹き
込まれた熱風は、羽口6前にレースウエイ7と呼ばれる
コークスの燃焼および旋回領域を形成する。
【0013】このレースウエイ7では、激しい燃焼反応
とコークスの旋回運動によりコークスの粉化が起こり、
コークスの強度が不十分であったり、あるいは旋回運動
を生じさせる羽口内でのガス流速、すなわち羽口先端風
速が過大な場合には、コ−クスの粉化による粒径縮小や
微粉の発生により、高炉の通気性が阻害され高炉の安定
操業が損なわれることになる。
【0014】また、重油や微粉炭等の可燃性燃料は、ブ
ローパイプ4の外側から羽口6内に挿入された吹き込み
ランス8から羽口6内に吹き込まれ、ここで着火、そし
て燃焼する。この可燃性燃料の燃焼に伴って大きな体積
の増加が発生するため、羽口先端風速は当初の設定範囲
をこえて加速され、コ−クスの粉化を誘発する程度まで
羽口先端風速が上昇してしまうのである。
【0015】この発明では、可燃性燃料の吹き込みによ
って上昇傾向にある羽口先端風速を所定の範囲に収める
ために、各羽口6への送風圧力および各羽口6先端の圧
力の差(以下、圧力差という)と羽口先端風速との関係
に着目し、この圧力差を羽口先端風速が所定範囲に収ま
るように制御することとした。具体的には、圧力差を測
定し、この圧力差が所定の羽口先端風速の実現に適した
範囲にあるように、適宜制御するのである。
【0016】すなわち、各羽口6への送風圧力P1 は、
水平管1の管座にて測定し、一方各羽口6先端の圧力P
2 は羽口6の先端の内壁部にて測定する。例えば、熱風
の流通路の典型的な寸法は、水平管径:2.0m, 環状管
径:3.0m ,送風支管径:0.35m,ブローパイプ径:0.16m
、羽口径:0.11m であり、長さ約0.5mの羽口部での流
速が最も大きくなる。
【0017】そして、上記の測定によって得られた圧力
差が、高炉毎に設定される、圧力差と羽口先端風速との
関係に従って、羽口先端風速が所定範囲となる圧力差か
らずれているときは、例えば羽口径の調節によって圧力
差を調整し、羽口先端風速を所定範囲に制御するのであ
る。
【0018】
【作用】上記したように、この発明は、圧力差と羽口先
端風速との関係に着目したところに特徴があり、次に両
者の関係を知見するに到った実験結果について詳述す
る。図1に示した羽口を用いて、熱風の送風圧力P1
よび羽口先端の圧力P2 と羽口先端風速とに関して、可
燃性燃料の吹き込みを行わずに、送風温度、羽口断面積
および送風量を種々に変化させて、調査した。この調査
結果を、羽口先端風速の二乗と圧力P1 および圧力P2
の差の二乗との関係として、図2に示した。同図から、
圧力差と羽口先端風速とは、操業条件が種々に変化して
も良い相関を示すことがわかり、すなわち圧力差と羽口
先端風速とは、同一の高炉であれば、比例関係にあるこ
とが明らかになった。
【0019】ここで、送風圧力P1 と羽口先端圧力P2
間の圧力損失は、熱風と管壁間の摩擦抵抗、通路の拡
大、縮小および曲りによる圧力損失、そして管の断面積
の変化による静圧の変化から構成される。羽口での断面
積の変化は、静圧の変化のみを生じさせることになり、
図2に示すように、圧力差が流速の2乗と比例すること
は、圧力損失の支配要因が静圧の変化であることを示し
ている。従って、水平管から羽口先端までの圧力損失の
大部分は、流速の上昇による動圧の上昇に起因してお
り、管壁との摩擦抵抗による圧力低下の影響は小さいこ
とがわかる。動圧と静圧の変換は、送風支管3への入側
の運動量と、羽口出側の運動量の保存則により導かれ、
内部での反応による体積の変化、温度変化による体積の
膨脹には影響されない。従って、流路内で可燃性燃料の
燃焼があった場合でも、運動量の保存則が成立し、圧力
損失の変化から流速の変化を算出することができる。以
上の理由により、羽口先端部の実流速と全体の圧力損失
の関係を、図2に示したところに従って求めることがで
きる。具体的には、流路内での静圧の変化である、圧力
差(P1 −P2 )を測定すれば、動圧の変化、つまり流
速の変化を算出でき、図2に示した結果を整理した図3
を用いて、可燃性燃料の燃焼とそれに伴う温度の上昇と
を考慮した、平均の羽口先端風速を求めることができ
る。ここで、P1 −P2 のかわりにP1 2−P2 2を用いる
のは(P1 +P2 )(P1 −P2)と変形することで判
るように、平均圧力1/2(P1 +P2 )の効果を平均
的に評価するためである。
【0020】ちなみに、可燃性燃料として微粉炭を用い
て、上述した式(1) に従う、従来の算出方法によって羽
口先端風速を求めると、微粉炭を150 kg/tで吹き込んだ
場合で、微粉炭の燃焼に伴う温度上昇による羽口速度の
上昇は約40m/s に及ぶことがある。それゆえ、微粉炭の
燃焼を考慮しない従来法による羽口先端風速が220m/sの
場合には実際の羽口先端風速は260m/sにまで上昇し、こ
の操業での管理上限値250m/sをこえてしまい、コークス
粉化防止のためにコークス強度を上昇することが不可欠
となる。これに対して、図3に従って求めた羽口先端風
速は、実際の羽口先端風速との誤差のない、あるいは極
めて少ないものとなる。
【0021】なお、微粉炭の燃焼挙動は、微粉炭の吹き
込み方法、炭種、送風条件などにより大きく変化し、事
前に羽口前までの燃焼率を推定して背圧を推定しておく
ことは著しく困難であり、この発明に従う、実測の圧力
測定に基づく方法に比較して信頼性に欠けるのは否めな
い。
【0022】ここで、この発明における羽口先端の圧力
測定には、図4に示すように、羽口先端部に圧力測定装
置を設けた高炉羽口を用いることが有利である。すなわ
ち、羽口先端圧力の測定は、羽口先端風速が200m/s以上
と著しく速いため、格別の注意を払うことが必要であ
る。まず第一に、圧力測定用の開口部の向きを流れに対
して垂直になるように設置し、動圧の影響を受けないよ
うにする。次に第二には、高温の熱風およびレースウエ
イからの強い輻射熱に対する耐久性を確保することであ
る。図4に示した圧力測定装置を用いることにより、こ
のような苛酷な条件に耐え長期間の測定が可能になる。
【0023】さらに、図4に示した圧力測定装置につい
て、詳しく説明する。通常、羽口4は銅製鋳物で構成さ
れ、内部に複数本の管を通して冷却水の給、排水を行
う。この圧力測定装置は、羽口内に通した複数本の管の
うち、冷却水流路9内に圧力測定管10を機械加工により
挿入し、その先端の開口部10a は羽口先端内の流れに対
して直角の向きに開口し、羽口先端での乱流による静圧
の測定誤差を最小限に抑える。また、羽口内面には通常
羽口径調整用のスリーブ11あるいはキャスタブルが設け
られているため、その先端部の押さえ金物12から圧力測
定管10の開口部10a を臨ませることがより望ましい。
【0024】
【実施例】中型の高炉(内容積:3000m3 )を用いて、
その羽口先端風速を200 〜250m/sに管理する操業を、表
1に示す種々の条件において行った。すなわち、微粉炭
の吹き込みを行わない基準期間は、羽口先端風速の推定
を上述の式(1) にて精度良く行うことができ、羽口先端
風速は240m/sの管理範囲内に維持され、コークス強度を
低位に保ち、かつ通気性および溶銑温度の変動は最小限
に抑えられた。
【0025】次に、比較例として、上記基準期間から微
粉炭の吹き込みを180kg/t で開始し、従来と同じ羽口先
端風速の管理を行ったところ、微粉炭の吹き込みととも
に送風圧力を上昇したが、従来の関係式(1) で求めた羽
口先端風速は逆に218m/sに低下した。しかしながら、操
業が不安定となったため、コークス強度を85.0%まで上
昇するとともに、燃料比も約20kg/tまでの上昇を余儀な
くされた。
【0026】一方、実施例1として、上記基準期間から
微粉炭の吹き込みを180kg/t で開始し、同時に熱風の送
風圧力P1 および羽口先端の圧力P2 をそれぞれ測定
し、両者の差を算出して図3に示した関係から羽口先端
風速を求めたところ、265m/sと管理範囲を外れていた。
そこで、羽口先端風速の上昇を抑さえるため、羽口径を
拡大して羽口総断面積を0.285 m2 から0.342 m2 に増
加することによって、微粉炭の燃焼を考慮した羽口先端
風速を基準期間とほぼ同一に管理することができた。ま
た、炉内の通気抵抗は多少高いものの、コークス強度の
上昇幅を約半分に抑制でき、また溶銑温度の変動も許容
範囲内であった。なお、羽口先端圧力P2 の測定は、図
4に従う構造で表2に示す仕様の圧力測定装置にて行っ
た。
【0027】さらに、実施例2として、微粉炭吹き込み
量を180kg/t から200kg/t に増加したところ、微粉炭の
吹き込み量の増加および送風量の増加により送風圧力P
1 はやや増加したものの、上記実施例1と同様の操作に
より、実際の羽口風速を244m/sに管理できたため、コー
クス強度DI(150/15)は、基準期間とほぼ同一の84.1%に
維持できた。また、溶銑温度の変動は14.4℃と安定した
操業を継続できた。これらの操業結果について、表1に
まとめて併記する。
【0028】
【表1】
【0029】
【表2】
【0030】
【発明の効果】この発明によれば、微粉炭などの可燃性
燃料の多量吹き込みを実施しても、微粉炭多量吹き込み
時の炉頂装入コークス強度の上昇を最少限に抑えること
ができ、高炉操業の安定化を実現し得る。
【図面の簡単な説明】
【図1】羽口部の構造を示す模式図である。
【図2】送風圧力および羽口先端圧力と羽口先端風速と
の関係を示す図である。
【図3】羽口先端圧力から羽口先端風速を求める方法を
説明する図でしる。
【図4】羽口先端圧力の測定装置を示す模式図である。
【符号の説明】
1 水平管 2 環状管 3 送風枝管 4 ブローパイプ 5 炉壁 6 羽口 7 レースウエイ 8 吹き込みランス 9 冷却配管 10 圧力測定配管 11 羽口スリーブ 12 押さえ金物

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 高炉内に、羽口を介して可燃性燃料の多
    量吹き込みを行う際に羽口先端風速を所定の管理範囲に
    納めるに当たり、各羽口への送風圧力と各羽口先端の圧
    力との差を測定し、該測定値が、高炉毎に決定される上
    記圧力差と羽口先端風速との関係に基いて求められる羽
    口先端風速の管理範囲と対応する圧力差範囲に納まる制
    御を行うことを特徴とする高炉の操業方法。
  2. 【請求項2】 圧力差の制御を羽口径の調整にて行う、
    請求項1に記載の高炉の操業方法。
  3. 【請求項3】 羽口先端部に圧力測定孔を設け、羽口と
    一体となった圧力測定管を用いて圧力を測定する請求項
    1に記載の高炉の操業方法。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2015120965A (ja) * 2013-12-24 2015-07-02 新日鐵住金株式会社 高炉の操業方法
JP2021017644A (ja) * 2019-07-24 2021-02-15 日本製鉄株式会社 高炉操業方法
JP2021088747A (ja) * 2019-12-04 2021-06-10 日本製鉄株式会社 微粉炭吹き込み用ランス及び微粉炭吹き込み方法

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