JPH08120407A - 高強度高靭・延性鋼線およびその製造方法 - Google Patents

高強度高靭・延性鋼線およびその製造方法

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JPH08120407A
JPH08120407A JP21066195A JP21066195A JPH08120407A JP H08120407 A JPH08120407 A JP H08120407A JP 21066195 A JP21066195 A JP 21066195A JP 21066195 A JP21066195 A JP 21066195A JP H08120407 A JPH08120407 A JP H08120407A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 めっき時等の昇温処理の際における強度低下
を抑制して優れた強度を発揮することができると共に延
性にも優れ、且つ高靭性を示して捻回時等に縦割れを発
生しない様な高強度高靭・延性鋼線材を実現しようとす
るものであり、しかも従来技術に開示された既成概念と
は違う全く新しい観点からそれを達成する。 【解決手段】 微細パーライト、擬似パーライトおよび
ベイナイトよりなる群から選ばれる1種以上の組織を主
体とする鋼線であり、前記組織中の炭化物の平均粒径が
10〜50nm、好ましくは10〜30nmである。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、PC鋼線、亜鉛め
っき鋼撚線、ばね用鋼線、吊り橋用ケーブル等に代表さ
れる高炭素溶融めっき鋼線や、スチールコードワイヤ等
に代表される2相めっき拡散熱処理を受ける高炭素鋼
線、即ち冷間加工後に昇温処理を受ける鋼線、およびそ
の様な鋼線を製造する為の方法に関するものであり、特
にめっき時の昇温処理の際における強度低下を抑制して
優れた強度を発揮すると共に、靭性および延性にも優れ
た高強度高靭・延性鋼線およびその製造方法に関するも
のである。尚本発明で対象とする鋼線は、上記の様な高
炭素鋼線に限らず、後記実施例に示す様なC含有量が
0.6%程度の中炭素鋼線も含む趣旨であるが、以下で
は高炭素鋼線を代表的に取り上げて説明を進める。
【0002】
【従来の技術】耐食性が要求されるPC鋼線や吊り橋用
ケーブル等を製造するに当たっては、高炭素鋼線にパテ
ンティング処理を行なった後伸線加工し、その後溶融亜
鉛めっき等が施されるのが一般的である。こうした製造
工程において、鋼線は伸線加工時に高強度化が図られる
のであるが、溶融めっき時の昇温処理の際に強度が低下
してしまうという問題がある。また伸線によって強度を
高めれば高める程、めっき処理時の強度低下が大きくな
る傾向があり、結果的にめっき鋼線の高強度化は困難で
あるという問題がある。
【0003】上記のような溶融めっき等の昇温処理が施
される高炭素鋼線の強度を高める手段としては、Siを
高めに添加することが有効であることが知られている。
即ち、Siの添加は、パテンティング処理後の鋼線強度
を上昇させて伸線後の鋼線強度も上昇させる効果と、鋼
線の焼入れ性を向上させて初析セメンタイトの析出を抑
制する効果もある。しかもSiは、めっき処理時におけ
る強度低下を抑制し、溶融めっき鋼線の高強度化には非
常に有効な元素であると言われている。こうした観点か
ら、溶融めっきが施される鋼線にSiを高めに添加する
技術が、これまでも数多く提案されている。例えば特開
平4−246125号には、Siを最大1.3%まで添
加した鋼線に溶融めっきを施し、その後矯正およびブル
ーイングを施すことが開示されている。また特開平4−
325627号には、伸線加工量に応じてSi添加量を
限定することが開示されている。更に、特開平6−33
855号には、鋼線強度や線径に応じてSi添加量を制
御することが開示されている。
【0004】一方、上記のような溶融めっき鋼線におい
て、その靭性を評価するうえで重要な特性の一つである
捻回試験時における縦割れ発生最高強度は、鋼線の線径
に依存していることが知られており、線径が大きくなれ
ばなる程その縦割れ発生限界強度は低下する。こうした
観点から、例えば特開平3−249129号には、機械
的に矯正を加えて縦割れの発生を抑制する技術が提案さ
れている。
【0005】即ち、鋼線の高強度や高靭性を達成する為
にこれまで提案されてきた技術は、高炭素鋼線の化学成
分組成や製造条件を適正化するものが殆どである。また
上記の様な鋼線は、延性に優れていることも重要であ
る。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上記の様な事
情に着目してなされたものであって、めっき時等の昇温
処理の際における強度低下を抑制して優れた強度を発揮
すると共に延性にも優れ、且つ高靭性を示して捻回時等
に縦割れを発生しない様な高強度高靭・延性鋼線を実現
しようとするものであり、しかも従来技術に開示された
既成概念とは違う全く新しい観点からそれを達成するこ
とにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決すること
のできた本発明とは、微細パーライト、擬似パーライト
およびベイナイトよりなる群から選ばれる1種以上の組
織を主体とした鋼線であり、前記組織中の炭化物の平均
粒径が10〜50nmである点に要旨を有する高強度高
靭・延性鋼線である。
【0008】上記高強度高靭・延性鋼線において、組織
が微細パーライトを主体としたものである場合には、ラ
メラセメンタイト中のセメンタイト結晶粒の平均粒径が
10〜50nmであれば上記課題が解決できる。
【0009】また微細パーライト、擬似パーライトおよ
びベイナイトよりなる群から選ばれる1種以上の組織を
主体とした鋼線であり、前記組織中の炭化物の平均粒径
D(μm)と線径R(mm)が、下記(1)式の関係を
満足することによっても、上記課題を解決することがで
きる。 2.14×lnR+6.56≦D≦2.14×lnR+46.6 …(1) この高強度高靭・延性鋼線においては、前記組織中の炭
化物の平均粒径D(μm)と線径R(mm)が、下記
(2)式の関係を満足するものであることが好ましい。 2.14×lnR+6.56≦D≦2.14×lnR+26.6 …(2)
【0010】尚この高強度高靭・延性鋼線において、組
織が微細パーライトを主体としたものである場合には、
ラメラセメンタイト中のセメンタイト結晶粒の平均粒径
Dが前記(1)式または(2)式を満足するものであれ
ば、上記課題が解決できる。
【0011】上記いずれかの高強度高靭・延性鋼線を製
造するに当たっては、伸線における真歪εを1.0〜
5.0とすると共に、最終均熱温度TB を700℃以下
にして操業する様にすれば良い。またこの製造方法にお
いては、最終均熱温度TB は300〜500℃であるこ
とが好ましい。
【0012】また本発明の上記製造方法のより具体的な
実施形態としては、平均粒径D(μm)が下記(3)式
を満足する様に操業することが挙げられる。 D=−108.7−12.9×[Si]+16.4×ε +0.320×TB −17.6×logHR …(3) 但し、[Si]:鋼線中のSi含有量(質量%) HR :TB −100℃からTB −20℃間までの平均加
熱速度(℃/秒)
【0013】
【発明の実施の形態】本発明者らは、微細パーライト組
織からなる鋼ではこれまでに検討されたことのないナノ
メータ(nm)レベルでの結晶学的立場から研究を重ね
てきた。その結果、冷間加工条件や焼戻条件を適切に制
御することによって、ラメラセメンタイト形態をナノメ
ータ(nm)レベルのセメンタイト結晶(以下、「ナノ
結晶」と呼ぶ)にすることに成功した。そして、図1に
示す様に(但し、線径が5mmの結果)、[引張強さ
(TS)×絞り]で表現される局部延性能と、ナノ結晶
状態のセメンタイトの平均粒径の間には、鋼線の化学成
分組成に関わらず、非常に高い相関々係が認められるこ
と、および前記セメンタイトの平均粒径を適切にするこ
とによって、高靭性を示して縦割れが発生しなくなるこ
と等を見出し、本発明を完成した。即ち、微細パーライ
ト組織からなる鋼線の高強度・高延性バランスを最適化
すると共に高靭性を達成するには、ラメラセメンタイト
中のナノ結晶状態セメンタイトの平均粒径を適切な範囲
に制御すれば良く、これによって更なる高強度且つ高靭
・延性を有する高炭素鋼線材が実現できたのである。
【0014】上記ラメラセメンタイトは、学術的には一
枚の単結晶と考えられており、ナノ結晶状態を呈するこ
とすら、現在までに知られていない。本発明は、ラメラ
セメンタイトをナノ結晶状態で形態制御するという斬新
な着想のもとでなされたものであり、これまでの既存の
技術とは、全く違う観点からなされたものである。
【0015】尚これまでにも、鋼線の結晶組織に関連す
る研究もいくつかなされているが、いずれもラメラセメ
ンタイトをナノ結晶状態で形態制御するものではない。
例えば、「日本金属学会誌」(第37巻、1973年、
第875頁)には、粗大な球状化セメンタイトの下部組
織観察を行ない、粗大なセメンタイトにおける下部組織
と延性に関して調査されているが、この研究はラメラセ
メンタイトのナノ結晶状態に関する研究ではない。また
「日本金属学会誌」(第40巻、1976年、第874
頁)には、粗大なセメンタイトの回復過程に関する研究
について発表されているが、熱処理中の転位の回復につ
いて捉えたものである。更に、「ISIJ」(Vol.17,P
144,1977,A.Inoue AND T.Masumoto Trans.)には、粗大
なセメンタイトの形態挙動に関する合金元素の影響につ
いての研究がなされているが、冷間加工導入転位密度の
増加に及ぼす各種合金元素の影響に関するものであり、
やはりナノ結晶状態形態の制御に関する研究ではない。
また「日本金属学会誌」(第7巻、第13回学会賞記念
講演、1968年、第363〜371頁)には、抽出残
渣法による検討から、冷間加工によってラメラセメンタ
イトの球状化が促進されること、および球状化後のラメ
ラセメンタイトの形態は微細且つ均一なものとなるとの
報告がなされている。しかしながら、この研究において
も、セメンタイトがナノ結晶状態を呈することについて
は何ら記載されておらず、ましてナノ結晶と機械的性質
との関係については定量的な記載は存在しない。
【0016】本発明の鋼線における炭化物の形態を限定
した理由について、線径が5mmの鋼線を中心に更に詳
細に説明する。本発明者らは、まずラメラセメンタイト
の粒径の観察を行なった。このとき、抽出残渣法によっ
てラメラセメンタイトを抽出し、TEMによって観察し
た。また、倍率は150000倍とし、下記の(1)式
または(2)式に従って、写真20枚の粒径を測定し、
平均値でもって評価した。
【0017】図2および図3は、後記実施例に示す鋼種
Aについて、ブルーイング処理温度を夫々425℃、4
75℃としたときの金属組織を示す図面代用顕微鏡写真
である。この図2および図3の様に、ラメラセメンタイ
ト全体にナノ結晶の粒界が明らかに観察できた場合に
は、その形態として単位面積当たりのラメラセメンタイ
ト中に存在するセメンタイト結晶の粒数から、下記
(4)式に従ってセメンタイトの平均粒径を求めた。 セメンタイトの平均粒径= (観察した範囲のラメラセメンタイト面積/ナノセメンタイト粒数)0.5 ×1.13 …(4)
【0018】一方、図4(鋼種Aについて、ブルーイン
グ温度を300℃としたときの金属組織を示す図面代用
顕微鏡写真)の様に、写真全体としてナノ結晶の粒界が
確認しにくいときは、結晶粒界がはっきりとした粒子の
総面積と粒数から下記(5)式に従って、セメンタイト
の平均粒径を求めた。 セメンタイトの平均粒径= [(観察した範囲のナノラメラセメンタイト面積)0.5/ナノセメンタイト粒数] ×1.13…(5)
【0019】図5は、セメンタイトの平均粒径と(TS
×伸び)との関係を示すグラフであるが、(TS×伸
び)で表される高強度・高延性バランスが、セメンタイ
トの平均粒径が50nmを超えたあたりから急激に低下
していることがわかる。こうしたことから、本発明にお
いては、セメンタイトの平均粒径の上限を50nmと規
定した。
【0020】ところで、現在までに使用されている長大
橋メインケーブル用ワイヤでは、強度と捻回値の夫々の
特性に対して、引張強さ:160kgf/mm2 以上、
および捻回値:14回以上という要求がある。つまり、
高強度・高捻回値特性の指標となる(TS×捻回値)
は、2240(160×14)kgf/mm2 以上であ
ることが必要条件となる。セメンタイトの平均粒径と
(TS×捻回値)との関係を図6に示すが、上記の要求
特性を満足させるためには、セメンタイトの平均粒径を
50nm以下にすれば良いことがわかる。こうした観点
からも、本発明では、セメンタイトの平均粒径の上限を
50nmとした。
【0021】上記の様に本発明では、セメンタイトの平
均粒径の上限を50nmと規定したのであるが、この平
均粒径の上限は30nm以下であることがより好まし
い。この理由は、次の通りである。次世代長大橋メイン
ケーブル用ワイヤでの要求特性として、引張強さが20
0kgf/mm2 級、必要によっては240kgf/m
2 級で、捻回値:14回以上、伸び:4%以上が必要
であると言われている。即ち、(TS×捻回値)が33
60(240×14)kgf/mm2 以上、(TS×伸
び)が9.6(240×0.04)kgf/mm2 以上
必要である。こうした要求特性を満足するためには、前
記図5および図6から、セメンタイトの平均粒径を30
nm以下にすれば良いことがわかる。こうしたことか
ら、本発明では、セメンタイトの平均粒径の好ましい上
限を30nmとした。
【0022】また前記図6によれば、セメンタイトの平
均粒径が10nmよりも小さくなると、(TS×捻回
値)が急激に低下し始め、ときとして縦割れが発生して
いる(●印,■印)。こうした傾向は、前記図1および
図5においても同様である。こうしたことから本発明で
は、セメンタイトの平均粒径の下限を10nmと規定し
た。
【0023】上記の如く、微細パーライト組織からなる
5mmφ鋼線においては、ラメラセメンタイト中のセメ
ンタイトの平均粒径を10〜50nmと規定することに
よって、高強度且つ高靭・延性が達成されたのである
が、本発明者らが検討したところによると、この様な傾
向は鋼線の組織が微細パーライト組織からなる鋼線に限
らず、擬似パーライトやベイナイトを主体とする組織或
は組織として含む鋼線においても見られ、その炭化物
[通常のセメンタイト(Fe3 C)の他、Cr等の合金
元素を固溶したセメンタイトも含む]の平均粒径を10
〜50nmと制御することによって、高強度且つ高靭・
延性が達成されることが分かった。またこのときにおい
ても、炭化物の平均粒径の好ましい範囲は、10〜30
nmである。こうしたことから、本発明における鋼線に
おける組織は、微細パーライトに限らず、擬似パーライ
トやベイナイトを含む趣旨であり、これらの組織の1種
以上の組織を主体とするものであれば良い。尚主体とな
る組織以外の残部の組織については、特に限定されるも
のではなく、例えばフェライト等が挙げられる。
【0024】以上の結果は、線径が5mmの鋼線の場合
のものであって、鋼線の機械的性質、特に捻回特性は線
径依存性があることが知られており、炭化物の適切な範
囲も線径依存性があると予想される。事実、上記の結果
においては、セメンタイト(前記「炭化物」を含む、以
下同じ)の平均粒径が10nm以下になると却って強度
が高くなり過ぎて縦割れが発生し始めていたのであるが
(前記図1,5,6)、線径が0.2mmの様な極細線
では、セメンタイトの平均粒径が10nm未満であって
も縦割れは発生しなかった。
【0025】上記の現象が生じる理由については、その
全てを解明し得た訳ではないが、本発明者らが検討した
ところによると、次の様に考察できた。線径が0.2m
mと5mmの鋼線について、セメンタイトの平均粒径が
ほぼ同程度のときの暗視野像を比較したところ、線径が
0.2mmの鋼線ではセメンタイトが全面に且つ均一に
超微細化していると推察できたのであるのに対し、線径
が5mmの鋼線ではセメンタイトは部分的に超微細化し
ているだけで、全体としての結晶粒分布は不均一であっ
た。即ち、セメンタイトの平均粒径がほぼ同じであって
も、線径が0.2mmの極細線では、粒度分布が比較的
均一な組織であるために、超微細化しても縦割れという
問題は生じないと考えられる。本発明者らは上記知見に
基づき、前記線径依存性も考慮しつつ、セメンタイトの
平均粒径が鋼線の機械的性質に与える影響について更に
鋭意研究を重ねた。
【0026】ところが、本発明者らが上記研究を進めて
いく中で、次の様な不都合に遭遇した。即ち、ラメラセ
メンタイトの超微細構造を評価するには、前記(5)式
によらずにできるだけ実際の組織を観察することが必要
であるが、通常の薄膜によるTEM観察で全くその構造
を評価することはできなかったのである。通常の抽出レ
プリカ法等では、試料のハンドリング中にラメラセメン
タイトに機械的なダメージを与える可能性があり、最終
的に得られる炭化物が抽出前の組織のままである保証が
ない。通常の抽出残渣法を用いてラメラセメンタイトの
超微細構造を評価しようとしても、通常の抽出残渣工程
で行われる超音波洗浄をしてしまうと、セメンタイトの
外形が崩壊してしまい、内部構造にも機械的なダメージ
が与えられて、抽出前の組織とは著しく異なってしまっ
た。また超音波洗浄を行わずに抽出残渣した炭化物をT
EM観察したところ、結晶粒が20nm以下ではその超
微細構造が非常に判別し難く、超微細構造と機械的性質
の関連を議論することができなかった。更に、TEMで
分解能を上げるために加速電圧を上げていくと、抽出さ
れた炭化物は電子線による照射損傷の為に、抽出前の組
織とは異なってしまった。こうしたことから加速電圧を
上げずに、高分解能が得られる電解放射型TEMを用い
て評価する試みも行ったが、超微細構造が10nm以下
になると評価することは困難であった。
【0027】そこで本発明者らは、まず超微細構造を解
析する為の手段について様々な角度から検討した。その
結果、放射線を用いて結晶粒の評価を行ったところ、結
晶粒が20nm以下の超微細構造についても詳細な解析
を行うことができることを見出した。またラメラセメン
タイトの板厚は数十nmと非常に薄いので、放射線の材
料に対する吸収係数に関わらず、十分な積分強度を得る
ことができた。こうしたことからこの超微細構造解析法
では、各種の放射線を利用することができる。この放射
線として、最も簡便に得られるのは、例えばX線である
が、その他の放射線を利用しても、構造解析を行うとい
う意味では何ら問題はない。
【0028】本発明者らは、上記超微細構造解析法を適
用して超微細な結晶粒領域も含め、線径Rやセメンタイ
トの平均粒径Dが鋼線の機械的性質に与える影響につい
て綿密な調査を行った。その結果を図7に示す。
【0029】図7から明らかな様に、(TS×伸び)不
足を生じることなく且つ縦割れを発生させることなく希
望する特性の鋼線を得る為には、前記(1)式を満足さ
せる様にすれば良いことが分かる。またこの図7から分
かる様に、前記(1)式を満足していれば、セメンタイ
トの平均粒径Dが10μm未満または50μmを超えて
も良いものである。尚前記図5からして、平均粒径Dが
30μm以下(線径Rが5mmの場合)のときに(TS
×伸び)の値が優れているので、前記(2)式を満足す
ることがより好ましいことが分かる。
【0030】次に、本発明で規定する製造条件について
説明する。本発明方法においては、上記の様な高強度高
靭・延性鋼線を製造する為の条件として、伸線における
真歪εを1.0〜5.0とすると共に、最終均熱温度T
B を700℃以下にして操業する様にしている。まず伸
線材やブルーイング材として、十分な強度を得るために
は前記真歪εを1.0以上とする必要がある。また過度
に伸線を行うと、強度が上昇し過ぎて縦割れが発生する
ので、真歪εの上限を5.0とする必要がある。
【0031】一方、最終均熱温度TB については、この
温度が700℃を超えると鋼種によっては、γ変態を起
こして伸線によって得られた微細で配向性のあるパーラ
イト組織が崩壊するために機械的性質が劣化してしまう
ので、その上限を700℃とした。また最終均熱温度T
B が500〜700℃となると、数秒間では球状化が無
視でき、引張強度、伸び、絞り、捻回値等も極端に低下
しないのであるが、この温度域に不用意に長時間曝する
と球状化が無視できなくなり、引張強度、伸び、絞り、
捻回値等も極端に低下する恐れがある。また300℃未
満になると、熱処理で延性が十分に回復しなくなること
がある。こうしたことから、最終均熱温度TB の好まし
い範囲は、300〜500℃程度である。
【0032】本発明者らは、表1〜7に示す通り、各種
製造条件とセメンタイトの平均粒径Dとの相関々係を重
回帰分析等を用いることにより整理した。その結果、前
記(3)式で規定される平均粒径は、測定によって得ら
れたセメンタイトの平均粒径Dと明らかな相関々係があ
ることが認められた。即ち、線径Rに応じて希望するセ
メンタイト平均粒径Dを得るためには、該平均粒径Dが
前記(3)式を満足する様に、鋼線中のSi含有量や前
記平均加熱速度HR を制御すれば良いことが判明したの
である。
【0033】図8は線径Rが5mmのときのSi%、前
記平均加熱速度HR と平均粒径D(図中の数字は平均粒
径Dを示す)の関係を示している。そして、前記(1)
式を満足する領域を点線で示す。また、図9,図10
は、夫々線径Rが0.2mm,1.0mmの場合の図で
ある。尚これらの結果は、後記実施例の表1〜7のデー
タに基づくものである。これらの図から、夫々の線径R
に応じて平均粒径Dには最適な範囲があり、この平均粒
径Dを製造条件との関係で整理すると、前記(3)式の
如くになったのである。
【0034】尚本発明の鋼線において、その組織を微細
パーライトを主体としたものにするには、熱間圧延後直
接パテンティング処理し、もしくは再オーステナイト化
後パテンティング処理することによって達成される。ま
た擬似パーライトやベイナイト等の組織にするには、パ
ーライト組織にする場合とほぼ同様であるが、パテンテ
ィング処理時の温度を適当に調整すれば良い。
【0035】以下本発明を実施例によって更に詳細に説
明するが、下記実施例は本発明を限定する性質のもので
はなく、前・後記の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更
を加えて実施することも勿論可能であり、それらはいず
れも本発明の技術的範囲に含まれるものである。
【0036】
【実施例】
実施例1 下記表1に示す化学成分の高炭素鋼を供試鋼(A〜E)
として使用し、熱間圧延して直径11〜14mmの鋼線
とした後、鉛パテンティング処理してから所定の加工率
で冷間伸線加工を行った。このときの鉛パテンティング
処理条件は、再加熱950℃×5分→恒温変態540〜
500℃×4分である。
【0037】
【表1】
【0038】次いで、鋼線を目標線径である5.0mm
(減面率:71.0〜87.2)にまで連続伸線した。
このとき、ダイス出口で鋼線を冷却し、鋼線温度を17
0℃以下に保った。その後、直線加工し、更にめっき時
の昇温処理をシミュレートする為に、300〜500℃
でブルーイング処理を施した。得られた鋼線における炭
化物の平均粒径および主体組織をブルーイング処理温度
と共に表2に示す。また各鋼線の機械的性質を表3に示
す。
【0039】
【表2】
【0040】
【表3】
【0041】表1〜3より次の様に考察できる。まず供
試鋼Aは、Siを1.21%添加した鋼種であり、ブル
ーイング処理温度が350℃以下のパーライト鋼線(N
o.1,2)では、炭化物(ナノセメンタイト)の平均
粒径が10nm未満となるので、縦割れを伴って捻回不
良となっている。このうちブルーイング処理温度が30
0℃のパーライト鋼線(No.1)では、(TS×伸
び)の値も8.0kgf/mm2 となり、強度−伸びバ
ランスが低下している。またブルーイング処理温度が5
00℃のパーライト鋼線(No.7)では、炭化物の平
均粒径が51.8nmと粗大化しており、(TS×伸
び)が劣化している。これに対し、同じ供試鋼Aを用い
ても、ブルーイング処理温度が400〜475℃のパー
ライト鋼線(No.3〜6)は、炭化物の平均粒径が本
発明で規定する適切な範囲内にあるので、(TS×伸
び)が優れた値を示している。
【0042】一方、鋼線No.8〜10のものは、上記
供試鋼Aを用いてベイナイト組織に製造したものである
が、ブルーイング処理温度が300℃のベイナイト鋼線
(No.8)では、炭化物(ナノセメンタイト)の平均
粒径が10nm未満となるので、縦割が発生し、(TS
×伸び)も劣っている。またブルーイング処理温度が5
00℃のベイナイト鋼線(No.10)では、炭化物の
平均粒径が52.8nmと粗大化しており、(TS×伸
び)の値が劣化している。これに対し、同じ供試鋼Aを
用いても、ブルーイング処理温度が425℃のベイナイ
ト鋼線(No.9)は、炭化物の平均粒径が本発明で規
定する適切は範囲内にあるので、(TS×伸び)は優れ
た値を示している。
【0043】供試鋼Bは、Siを添加していない鋼種で
あり、ブルーイング処理温度が300℃のパーライト鋼
線(No.11)では、炭化物(ナノセメンタイト)の
平均粒径が10nm未満となるので、(TS×伸び)の
値が劣化している。またブルーイング処理温度が450
℃のパーライト鋼線(No.13)では、炭化物の平均
粒径が50.9nmと粗大化しており、(TS×伸び)
の値が劣化している。これに対し、同じ供試鋼Bを用い
ても、ブルーイング処理温度が350℃のパーライト鋼
線(No.12)は、炭化物の平均粒径が本発明で規定
する適切な範囲内にあるので、(TS×伸び)が優れた
値を示している。
【0044】供試鋼Cは、Crを0.29%添加した鋼
種であり、ブルーイング処理温度が350℃のパーライ
ト鋼線(No.14)では、炭化物(ナノセメンタイ
ト)の平均粒径が10nm未満となるので、縦割れを伴
って捻回不良となっている。またブルーイング処理温度
が500℃のパーライト鋼線(No.17)では、セメ
ンタイトの平均粒径が50.8nmと粗大化しており、
(TS×伸び)の値が劣化している。これに対し、同じ
供試鋼Cを用いても、ブルーイング処理温度が400〜
450℃のパーライト鋼線(No.15,16)は、炭
化物の平均粒径が本発明で規定する適切な範囲内にある
ので、(TS×伸び)が優れた値を示している。
【0045】供試鋼Dは、CおよびSiを低減した鋼種
であり、ブルーイング処理温度が300℃のパーライト
鋼線(No.18)では、炭化物(ナノセメンタイト)
の平均粒径が10nm未満となり、縦割れは起きなかっ
たが、(TS×伸び)の値が劣化している。またブルー
イング処理温度が450℃のパーライト鋼線(No.2
1)では、炭化物の平均粒径が53.8nmと粗大化し
ており、(TS×伸び)の値が劣化している。これに対
し、同じ供試鋼Dを用いても、ブルーイング処理温度が
400℃および425℃のパーライト鋼線(No.1
9、20)では、(TS×伸び)が優れた値を示してい
る。
【0046】供試鋼Eは、C量が0.97%の高C添加
鋼種であり、ブルーイング処理温度が300℃のパーラ
イト鋼線(No.22)では、炭化物(ナノセメンタイ
ト)の平均粒径が10nm未満となり、縦割れを伴って
捻回不良となっている。またブルーイング処理温度が5
00℃のパーライト鋼線(No.25)では、炭化物の
平均粒径が53.1nmと粗大化しており、(TS×伸
び)の値が劣化している。これに対し、同じ供試鋼Eを
用いても、ブルーイング処理温度が425℃および45
0℃のパーライト鋼線(No.23,24)では、(T
S×伸び)が優れた値を示している。
【0047】実施例2 前記した工程によって線径を5mmに伸線した鋼種A,
Bのものについて、更に、鉛パテンティングに供した
(鉛パテンティング条件:再加熱 950℃×5分→恒
温変態 540〜500℃×4分)。これらの鋼線を目
標線径である1.0mm(減面率:71.0〜87.2
%)の範囲まで連続伸線した。このときすべてのダイス
の出口において線材を冷却し、線材温度を170℃以下
に維持した。その後、直線加工し、300〜500℃で
ブルーイング処理を施した。
【0048】引き続き、上記と同様にして、鉛パテンテ
ィングに供し、ブラスめっきを施してから、伸線を行っ
た。これらの鋼線を目標線径である0.2mm(減面
率:71.0〜87.2%)の範囲まで湿式で連続伸線
した。その後、直接加工の後に300〜500℃の範囲
のブルーイングを施した。
【0049】得られた鋼線における炭化物の平均粒径お
よび主要組織をブルーイング処理温度と共に表4に示
す。また各鋼線の機械的性質を表5に示す。尚表4およ
び表5には、鋼種Bについて線径を1.0mmにした段
階での結果についても示した。
【0050】
【表4】
【0051】
【表5】
【0052】表4,5より次の様に考察できる。No.
26〜28のものは鋼種Aを0.2mmまで伸線したも
のである。線径が0.2mmのときに(3)式によって
求められる平均粒径Dの下限値が3.1nm(図9)で
あるのに対し、ブルーイング処理温度が300℃のもの
は平均粒径Dが2.8nmと小さい為に、縦割れが発生
している。500℃処理材では、(3)式によって求め
られる平均粒径の上限が43.1nm(図9)であるの
に対し、54.3nmと大きい為に、(TS×伸び)が
6.1kgf/mm2 と9.6kgf/mm2 を下回っ
ていた。
【0053】No.29〜31のものは、鋼種Bを0.
2mmまで伸線したものである。300℃処理材では
(3)式を満足するものであったので(図9)、縦割れ
もなく、(TS×伸び)も12.0kgf/mm2 と下
限値9.6kgf/mm2 以上であった。450℃処理
材では粒径は(3)式で求められる上限値である43.
1nm(図9)に対し、54.3nmと大きい為に、
(TS×伸び)が5.3kgf/mm2 と下限値9.6
kgf/mm2 を下回っていた。
【0054】No.32〜36のものは鋼種Bを1.0
mmまで伸線したものである。300℃処理材の粒径は
(3)式によって求められる上限値である46.6nm
(図10)に対し、4.8nmと小さい為に縦割れが発
生していた。また、(TS×伸び)が8.3kgf/m
2 と9.6kgf/mm2 を下回っていた。
【0055】500℃処理材では粒径は(3)式によっ
て求められる下限値である46.6nm(図10)に対
し、50.8nmと大きい為に、(TS×伸び)が4.
9kgf/mm2 と9.6kgf/mm2 を下回ってい
た。
【0056】実施例3 上記した条件と同様にして線径を1.0mmまでに伸線
したときに、加熱速度、伸線加工歪(真歪ε)を変化さ
せて、(3)式の右辺の値を変化させた場合について調
査した。得られた鋼線における炭化物の平均粒径および
主体組織をブルーイング処理温度と共に表6に示す。ま
た鋼線の機械的性質を表7に示す。
【0057】
【表6】
【0058】
【表7】
【0059】これらの結果から、次の様に考察できる。
まず伸線加工率を変化させた場合について説明する。ブ
ルーイング処理温度が350℃の場合でも伸線歪を2.
2から1.6へと小さくし、(3)式の右辺の値が5.
2となる様にして線径1.0mmでの下限値以下にする
と、(TS×伸び)が8.8kgf/mm2 となって
(TS×伸び)不足となり、また、平均粒径も4.9n
m以下となる。また425℃ブルーイング処理の場合で
も、伸線歪を2.2から3.2へと大きくし、(3)式
の右辺の値が55.4nmとなる様にして線径1.0m
mでの上限値以上にすると、(TS×伸び)が8.4k
gf/mm2 と(TS×伸び)不足となり、また平均粒
径Dも53.9nm以上となる。
【0060】次に、平均加熱速度HR を変化させた場合
について説明する。ここで最終均熱温度をTB としたと
きに、HR はTB −100℃からTB −20℃間の平均
加熱速度である。均熱温度をブルーイング処理温度45
0℃に揃えて、加熱速度が12.6℃/秒から1.0℃
/秒と遅くすると、(3)式の右辺の値が66.4と線
径1.0mmのときの上限値を超えている。この場合、
(TS×伸び)が8.4kgf/mm2 となって(TS
×伸び)が劣化している。また加熱速度を126.0℃
/秒と速くすると、(3)式の右辺の値が29.4とな
って線径1.0mmでの適切な範囲内に入り、機械的性
質も優れていることが分かる。
【0061】
【発明の効果】本発明は以上の様に構成されており、鋼
線における組織の炭化物の平均粒径をナノメーターレベ
ルで適切な範囲に制御することによって、希望する高強
度且つ高延性の鋼線を得ることができ、この鋼線はPC
鋼線、亜鉛めっき鋼線、ばね用鋼線、吊り橋用ケーブル
等の素材として最適である。
【図面の簡単な説明】
【図1】線径が5mmの鋼線におけるセメンタイトの平
均粒径と(TS×絞り)との関係を示すグラフである。
【図2】鋼種Aにおいて、ブルーイング温度を425℃
としたときの金属組織を示す図面代用顕微鏡写真であ
る。
【図3】鋼種Aにおいて、ブルーイング温度を475℃
としたときの金属組織を示す図面代用顕微鏡写真であ
る。
【図4】鋼種Aにおいて、ブルーイング温度を300℃
としたときの金属組織を示す図面代用顕微鏡写真であ
る。
【図5】線径が5mmの鋼線におけるセメンタイトの平
均粒径と(TS×伸び)との関係を示すグラフである。
【図6】線径が5mmの鋼線におけるセメンタイトの平
均粒径と(TS×捻回値)との関係を示すグラフであ
る。
【図7】線径Rやセメンタイトの平均粒径Dが鋼線の機
械的性質に与える影響を示すグラフである。
【図8】線径が5mmのときのSi量、加熱速度および
平均粒径Dの関係を示すグラフである。
【図9】線径が0.2mmのときのSi量、加熱速度お
よび平均粒径Dの関係を示すグラフである。
【図10】線径が1.0mmのときのSi量、加熱速度
および平均粒径Dの関係を示すグラフである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 宮本 淳之 兵庫県神戸市西区高塚台1丁目5番5号 株式会社神戸製鋼所神戸総合技術研究所内

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 微細パーライト、擬似パーライトおよび
    ベイナイトよりなる群から選ばれる1種以上の組織を主
    体とした鋼線であり、前記組織中の炭化物の平均粒径が
    10〜50nmであることを特徴とする高強度高靭・延
    性鋼線。
  2. 【請求項2】 微細パーライト組織を主体とした鋼線で
    あり、前記微細パーライトを構成するラメラセメンタイ
    ト中のセメンタイト結晶粒の平均粒径が10〜50nm
    である請求項1に記載の高強度高靭・延性鋼線。
  3. 【請求項3】 平均粒径が10〜30nmである請求項
    1または2に記載の高強度高靭・延性鋼線。
  4. 【請求項4】 微細パーライト、擬似パーライトおよび
    ベイナイトよりなる群から選ばれる1種以上の組織を主
    体とした鋼線であり、前記組織中の炭化物の平均粒径D
    (μm)と線径R(mm)が、下記(1)式の関係を満
    足するものであることを特徴とする高強度高靭・延性鋼
    線。 2.14×lnR+6.56≦D≦2.14×lnR+46.6 …(1)
  5. 【請求項5】 前記組織中の炭化物の平均粒径D(μ
    m)と線径R(mm)が、下記(2)式の関係を満足す
    るものである請求項4に記載の高強度高靭・延性鋼線。 2.14×lnR+6.56≦D≦2.14×lnR+26.6 …(2)
  6. 【請求項6】 微細パーライト組織を主体とした鋼線で
    あり、前記微細パーライトを構成するラメラセメンタイ
    ト中のセメンタイト結晶粒の平均粒径Dが前記(1)式
    または(2)式を満足するものである請求項4または5
    に記載の高強度高靭・延性鋼線。
  7. 【請求項7】 請求項1〜6のいずれかに記載の高強度
    高靭・延性鋼線を製造するにあたり、伸線における真歪
    εを1.0〜5.0とすると共に、最終均熱温度TB
    700℃以下にして操業することを特徴とする高強度高
    靭・延性鋼線の製造方法。
  8. 【請求項8】 最終均熱温度TB が300〜500℃で
    ある請求項7に記載の製造方法。
  9. 【請求項9】 平均粒径D(μm)が下記(3)式を満
    足する様に操業する請求項7または8に記載の製造方
    法。 D=−108.7−12.9×[Si]+16.4×ε +0.320×TB −17.6×logHR …(3) 但し、[Si]:鋼線中のSi含有量(質量%) HR :TB −100℃からTB −20℃間までの平均加
    熱速度(℃/秒)
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