JPH08119865A - 神経線維腫症治療剤 - Google Patents

神経線維腫症治療剤

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JPH08119865A
JPH08119865A JP26244494A JP26244494A JPH08119865A JP H08119865 A JPH08119865 A JP H08119865A JP 26244494 A JP26244494 A JP 26244494A JP 26244494 A JP26244494 A JP 26244494A JP H08119865 A JPH08119865 A JP H08119865A
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JP
Japan
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neurofibromatosis
vitamin
dihydroxycholecalciferol
therapeutic agent
oil
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JP26244494A
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Inventor
Kiichirou Nakayama
樹一郎 中山
Yuji Makino
悠治 牧野
Mineo Uozumi
峰男 魚住
Seiichi Ishizuka
誠一 石塚
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Teijin Ltd
Original Assignee
Teijin Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 新規な神経線維腫症治療剤を提供する。 【構成】 1α,24(R)−ジヒドロキシコレカルシ
フェロールを有効成分として含有する神経線維腫症(レ
ックリングハウゼン病)治療剤。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は新規な神経線維腫症治療
剤に関する。詳しくは、本発明は1α,24(R)−ジ
ヒドロキシコレカルシフェロールを有効成分として含有
する新規な神経線維腫症(レックリングハウゼン病)治
療剤に関する。更に詳しくは本発明は1α,24(R)
−ジヒドロキシコレカルシフェロールを有効成分として
含有する新規な神経線維腫症の神経線維腫の治療剤に関
する。
【0002】
【従来の技術】神経線維腫症はレックリングハウゼン病
あるいはレックリングハウゼン母斑症ともいわれ皮膚の
色素性病変、多発性の神経線維腫を主徴とし、骨変化、
神経腫瘍、眼変化その他の多彩な症候を呈する母斑症で
ある。このうち神経線維腫は思春期以後に全身に多発す
る皮膚腫瘍で、常色あるいは淡紅色で柔らかいことを特
徴とする。また、色素性病変は大きいものはカフェオレ
斑とよばれ扁平で盛り上がりのない斑であり、淡いミル
クコーヒー色から濃い褐色に至るまで種々のものがある
が色素斑内に濃淡はない。また、随伴症状としては、髄
膜腫、神経膠腫などの脳脊髄腫瘍、神経鞘腫、クロム親
和性細胞腫、神経節細胞腫、若年性黄色肉芽腫、貧血母
斑、脊椎の側わん等の骨変化、虹彩小結節等の眼変化等
が挙げられる。
【0003】本疾患は常染色体性優性の遺伝性疾患であ
り、本邦での発生頻度は人口10万人につき30〜40
人とされており、主要症候の神経線維腫は切除する以外
に方法はないとされている難病である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明者らは、上記の
課題を解決すべく鋭意研究した結果、活性型ビタミンD3
類の一種である1α,24(R)−ジヒドロキシコレカ
ルシフェロールが神経線維腫症の有効な治療剤であるこ
とを発見し本発明に至った。
【0005】
【課題を解決するための手段】1α,24(R)−ジヒ
ドロキシコレカルシフェロール(1α,24―(OH)
2 ―ビタミンD3 )、1α,25−ジヒドロキシコレカ
ルシフェロール等の化合物は活性型ビタミンD3類とよ
ばれ生体内のカルシウムレベルを調節する作用を有し、
骨粗鬆症、骨軟化症等のいわゆる骨減少症の治療に使用
されているホルモンである。近年上記の作用以外の薬理
作用、例えば細胞増殖抑制作用や細胞分化誘導作用等が
見い出され、関節リウマチ、癌等の治療への応用が検討
されたり皮膚科領域では乾癬の治療に既に使用されてい
る。しかし、全身に多発する皮膚腫瘍を特徴とする神経
線維腫症(レックリングハウゼン病)に有効であること
を示した報告は今までない。また、活性型ビタミンD3
類が神経線維腫細胞の増殖を抑制する効果を示した報告
もない。まして、活性型ビタミンD3の中でも1α,2
4(R)−ジヒドロキシコレカルシフェロールが有効で
あることを示した報告はない。
【0006】すなわち活性型ビタミンD3類と神経細胞
との関連を示す報告としては、例えばD.P.Coplenらが1
α,25−ジヒドロキシコレカルシフェロールの神経芽
細胞腫細胞の増殖に対する効果を検討しているが神経芽
細胞腫細胞(neuroblastoma)は、本発明の神経線維腫細
胞とは無縁であり、しかも増殖抑制効果はなかったとさ
れている(Pediatric Hematology and Oncology,11:173-
179,1994)。また、P.Naveilhan らは、神経膠腫細胞(gl
ioma cell) に対する1α,25−ジヒドロキシコレカ
ルシフェロールの作用を検討し1α,25−ジヒドロキ
シコレカルシフェロールに細胞毒性を認めているが神経
膠腫細胞と本発明の神経線維腫細胞とは別物でありこの
報告から活性型ビタミンD3類が神経線維腫細胞に有効
であることを類推することはできない(J.Neuroscience
Research 37:271-277,1994)。
【0007】一方、D.B.Hogan らは低リン血症性骨軟化
症を伴った神経線維腫症(レックリングハウゼン病)患
者に活性型ビタミンD3の前駆体である 1α−ヒドロ
キシコレカルシフェロールを経口投与したところ皮質骨
の骨密度の増加を認めたが、皮膚症状の神経線維腫に対
する効果には言及していない。患者が骨軟化症であった
ので骨に対する効果を期待して1α−ヒドロキシコレカ
ルシフェロールを経口投与した例であろう(Bone 7:9-1
2,1986)。
【0008】またSudaは神経線維腫症を伴った低リン血
症性骨軟化症患者に同じく1α−ヒドロキシコレカルシ
フェロールを経口投与したところ、骨の改善に加えて症
状(symptoms)が消失した(disappeared) と報告している
が神経線維腫が改善されたという具体的な記載はない(J
BMM 7:148-152,1989)。
【0009】前記HogaとSudaの報告は神経線維腫症患者
に活性型ビタミンD3類の前駆体を投与していることは
事実であるがいずれも低リン血症性骨軟化症を併発して
いる点でたとえ神経線維腫に効果があったとしても活性
型ビタミンD3類が直接神経線維腫細胞に作用があった
とは判定できないものである。すなわち、神経線維腫症
発症が骨軟化症によるものであれば活性型ビタミンD3
類が骨軟化症に有効であることは衆知の事実であり、そ
れにより神経線維腫症が治癒しても何ら新規性はない。
しかも、低リン血症性骨軟化症と神経線維腫との併発は
まれであり(Hogan,Suda 前掲載) 、治療上問題となるほ
とんどの神経線維腫症は低リン血症性骨軟化症とは無縁
の疾患である。すなわち、神経線維腫症(レックリング
ハウゼン病)と活性型ビタミンD3類との関係を示す報告
は今までないといえよう。
【0010】このような状況で我々の示した1α,24
(R)−ジヒドロキシコレカルシフェロールが神経線維
腫症患者の神経線維腫より確立した細胞株の増殖を抑制
する事実(後に実施例で示す)は初めて活性型ビタミン
3類が神経線維腫細胞に直接効果があり神経線維腫症
に有効でありうることを示した意味で新規である。ま
た、我々の実験系は低リン血症性骨軟化症とは無縁であ
り低リン血症性骨軟化症を伴わない大多数の神経線維腫
症に有効であり得ることを示した点で新規である。
【0011】また、更に重要なことは我々の実験系では
1α,24(R)−ジヒドロキシコレカルシフェロール
が有効であり 1α,25−ジヒドロキシコレカルシフ
ェロールは無効であった事実である。つまり前記のSuda
の論文では活性型ビタミンD 3の前駆体として1α−ヒ
ドロキシコレカルシフェロールが経口投与されているが
1α−ヒドロキシコレカルシフェロールは体内で代謝さ
れ活性型の1α,25−ジヒドロキシコレカルシフェロ
ールとなって作用を発揮する。Sudaの論文を神経線維腫
に有効と解釈しても我々の結果から1α−ヒドロキシコ
レカルシフェロールは効果がないことが明らかになっ
た。
【0012】要約すると我々は活性型ビタミンD3が神
経線維腫細胞の増殖を抑制することを初めて明らかに
し、しかも活性型ビタミンD3の中でも1α,24
(R)−ジヒドロキシコレカルシフェロールが神経線維
腫細胞の増殖を直接抑制することを示し、神経線維腫症
の治療に有効でありうることを示し本発明に到達した。
しかして本発明は1α,24(R)−ジヒドロキシコレ
カルシフェロールを有効成分として含有する神経線維腫
症(レックリングハウゼン病)治療剤である。
【0013】本発明の主薬である1α,24―(OH)
2 ―ビタミンD3 としては、1α,24(R)―(O
H)2 ―ビタミンD3 及び1α,24(S)―(OH)
2 ―ビタミンD3 のうち、1α,24(R)―(OH)
2 ―ビタミンD3 がその薬理活性が優れているという点
で好ましい。また、1α,24(R)―(OH)2 ―ビ
タミンD3 のうち純度の点から結晶が好ましく、例えば
その1水和物(タカルシトール)を用いることができ
る。
【0014】本発明の1α,24―(OH)2 ―ビタミ
ンD3 を神経線維腫症の治療に利用するときは、1α,
24―(OH)2 ―ビタミンD3 は局所的あるいは全身
的に投与される。局所的には外用剤として、軟膏、クリ
ーム等の半固形剤、ローション等の液剤、あるいはテー
プ等の剤型で皮膚疾患部位に直接投与される。一方全身
的には注射剤、経口剤、経鼻剤等として血管内、組織
内、胃腸管、粘膜等へ水性注射剤、油性注射剤、錠剤、
顆粒剤、液剤、カプセル剤、ソフトカプセル剤、経鼻液
剤、経鼻粉剤等の剤型で投与される。かかる全身投与の
場合、これらの剤型への製剤化方法については、原則と
しては通常の方法に従うものであるが、1α,24―
(OH)2 ―ビタミンD3 の投与量が少なく、かつ物理
化学的にも不安定であることから、水性注射剤としては
特開平2―80317号に開示した方法、錠剤としては
特公昭63―60007号に開示した方法、あるいは特
開平2―229115号に開示した方法等により好適に
製剤化される。
【0015】上記の如く全身的にも投与されるものであ
るが、疾患部位の局所濃度がより高いほうがより有効で
あることから、皮膚疾患部位に局所的に投与するのが好
ましい。かくして、1α,24―(OH)2 ―ビタミン
3 の外用剤としての投与は重要であるが、同じ外用剤
でもその処方により治療効果が異なることも公知の事実
である。その意味で本発明者らが乾癬治療剤として提案
した軟膏剤(特公平3―68009号公報)あるいは乳
剤組成物として別個提案したクリーム剤(特願平5―2
17261号明細書)は他処方より治療効果が高く有効
である。
【0016】かかる軟膏剤に用いる親油性基剤としては
以下の親油性基剤が挙げられる。液体パラフィン、鉱
油、白色ワセリン、黄色ワセリン、ワセリンゼリー、パ
ラフィン(ハードパラフィン、パラフィンワックス)、
微結晶性ワックス、ポリエチレン、スクワラン、スクワ
レン等の炭化水素類;ジメチルポリシロキサン、ポリジ
メチルシロキサン等のシリコン類;ミリスチルアルコー
ル、ラウリルアルコール、セチルアルコール、ステアリ
ルアルコール、セトステアリルアルコール、オレイルア
ルコール、アネトール、シトロネロール、オイゲノール
等の高級アルコール類;ラノリン、液状ラノリン、ラノ
リンワックス、イソプロピルラノリン、アセチル化ラノ
リン、ラノリンアルコール、コレステロール等のステロ
ール類もしくはステロールエステル類;カルナウバロ
ウ、ミツロウ、鯨ロウ、ポリエチレングリコールエステ
ル、エチレングリコールエステル、グリセリンモノエス
テル、ソルビトールエステル、ソルビタンエステル、イ
ソプロピルミリステイト、イソプロピルパルミテイト、
イソプロピルアジペイト等のエステル類;アーモンド
油、トウモロコシ油、綿実油、オリーブ油、大豆油、ピ
ーナッツ油、ヤシ油、分画ヤス油、コマ油等の植物油な
どが挙げられる。
【0017】これらの親油性基剤は、1α,24(R)
―(OH)2 ―ビタミンD3 を溶解し得る基剤であり、
1α,24(R)―(OH)2 ―ビタミンD3 の軟膏剤
の基剤として好適であり、またこれら親油性基剤は揮発
性が低く、これら親油性基剤から主としてなる軟膏剤
は、乾癬部位に投与したとき、皮膚疾患への刺激が低い
という点においても好適なものである。
【0018】これらの親油性基剤を用いて、軟膏剤を得
るには、上記の親油性基剤を単独で使用するか、あるい
は2種以上を適当に混合して使用することができる。上
記の親油性基剤だけで処方する場合には、無水系の製剤
となる。
【0019】また、上記親油性基剤を単独で、あるいは
2種以上を組み合わせ、これに疎水性・無水性の溶剤を
添加した後処方して、あるいは基剤にあらかじめ活性型
ビタミンD3 類を溶解した疎水性・無水性の溶剤を添加
した後処方して、無水系の軟膏剤とすることもできる。
ここで用いる疎水性・無水性の溶剤としては、脂肪酸エ
ステル類、高級アルコール類及び炭酸プロピレンからな
る群から選ばれる1種又は2種以上の混合物が挙げられ
る。脂肪酸エステル類としては、アジピン酸ジイソプロ
ピル、オレイン酸デシル、セバシン酸ジエチル、ミリス
チン酸イソプロピル、トリアセチン、トリカプロン酸グ
リセリン、トリカプリル酸グリセリン、トリカプリン酸
グリセリン、トリラウリル酸グリセリン、トリリノール
酸グリセリン、ジカプリル酸プロピレングリコール、ジ
ベラルゴン酸プロピレングリコール、ジカプリン酸プロ
ピレングリコール等が、高級アルコール類としてはオク
チルドデカノール、ヘキサデシルアルコール、オレイル
アルコール等がある。
【0020】一方、上記親油性基剤を単独であるいは2
種以上を組み合わせ、これに通常使用する界面活性剤、
水を添加してエマルジョン系の製剤とすることもでき
る。ここで用いる界面活性剤としては、例えばラウリル
硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポ
リオキシエチレンヒマシ油、ポリソルベート80、ソル
ビタンモノ脂肪エステル、ジエチレングリコール、プロ
ピレングリコール、グリセリンなどのモノステアレート
等が挙げられる。
【0021】本発明の製剤中には、必要に応じて保存
剤、酸化防止剤、吸収促進剤、保湿剤等を添加してもよ
い。保存剤としては例えばパラオキシ安息香酸エステ
ル、安息香酸ナトリウム、ソルビン酸、ホウ酸などが挙
げられる。酸化防止剤としては例えばブチルヒドロキシ
アニソール、ジブチルヒドロキシトルエンなどが挙げら
れる。急周速芯材としては例えばアジピン酸ジイソプロ
ピル、ジエチルセバケート、炭酸プロピレングリコー
ル、ソルビトールなどが挙げられる。
【0022】本発明で用いる軟膏剤を製造するには以下
のようにして行なうことができる。
【0023】前記した親油性基剤を単独、あるいは2種
以上を組み合わせ、1α,24(R)―(OH)2 ―ビ
タミンD3 とよく混合することにより無水系の軟膏剤を
得ることができる。無水系の軟膏剤としては例えば、白
色ワセリンとアジピン酸ジイソプロピルの混合物(混合
比4:1)及び1α,24(R)―(OH)2 ―ビタミ
ンD3 からなる軟膏剤;ミツロウ、植物油及び1α,2
4(R)―(OH)2―ビタミンD3 からなる単軟膏;
サラシミツロウ、固形パラフィン、セトステアリルアル
コール、ワセリン及び1α,24(R)―(OH)2
ビタミンD3 からなるパラフィン軟膏などが挙げられ
る。
【0024】またかかるクリーム剤としては、具体的に
は(a)治療有効量の1α,24―(OH)2 ―ビタミ
ンD3 、(b)(ア)5〜20重量部の白色ワセリン及
び5〜15重量部の高級アルコール類からなる固形油分
及び(イ)3〜10重量部のスクワランからなる液状油
分とからなる油相成分、(c)水相成分、及び(d)約
2.5〜約7.5重量部の2種以上からなる海面活性剤
とを含んでなる1α,24―(OH)2 ―ビタミンD3
クリーム剤であって、該固形油分と該液状油分との重量
比(該固形油分/該液状油分)が2以上であり、該高級
アルコール類がステアリルアルコール及びセチルアルコ
ールとからなり、該ステアリルアルコールと該高級アル
コール類との重量比(該ステアリルアルコール/該高級
アルコール類)が約0.7〜約0.9であり、該界面活
性剤の50重量%以上がHLB値が約5以下の1種以上
の界面活性剤であり、該界面活性剤全体のHLB値は約
8〜約18である1α,24―(OH)2 ―ビタミンD
3 クリーム剤を挙げることができる。
【0025】クリーム剤に用いる白色ワセリンは石油か
ら得られる炭化水素類の混合物を脱色して精製したもの
であり、その規格については例えば日本薬局方に定めら
れるものが使用される。なかでも、1α,24―(O
H)2 ―ビタミンD3 の安定性にとっては純度の高いも
のが望ましく、例えば過酸化物価が0.5以下のような
ものが望ましい。
【0026】また、高級アルコール類はセチルアルコー
ルとステアリルアルコールとの混合物であり、混合物中
のステアリルアルコールの全体に占める重量比は約0.
7から約0.9である。セチルアルコール単品からステ
アリルアルコールを徐々に増加させるに従って皮膚浸透
性は増加傾向にあり、ステアリルアルコールの重量比が
約0.7をこえると急激に皮膚浸透性が増大してステア
リルアルコール単品で最大になるが、その比率が約0.
9をこえるとエマルジョンとしての物理的安定性、特に
加熱時の物理的安定性が劣化する傾向がある。
【0027】一般に市販されているセチルアルコールや
ステアリルアルコールはそれぞれ純品でないものもあ
る。例えば、セチルアルコールと称されていてもセチル
アルコール約0.7とステアリルアルコール約0.3の
混合物もあり、さらにはセトステアリルアルコールとい
われるもののようにセチルアルコール約0.6〜約0.
3とステアリルアルコール約0.4〜約0.7の混合物
もある。セチルアルコールとステアリルアルコールとは
それぞれ純粋なものを指し、それらの混合比率はそれら
を基に計算される。
【0028】また、クリーム剤に用いるスクワランは深
海にすむサメ類の肝油から得られる炭化水素を還元して
得られる飽和炭化水素であり、その規格については例え
ば化粧品原料基準に定められるものが使用される。
【0029】上記油相成分には上述した白色ワセリン、
高級アルコール類、スクワランの他に、他の固形油分、
液状油分を添加してもよい。固形油分としては固形パラ
フィンが挙げられ、その添加量は例えば物理的安定性が
維持される範囲内であればよく、例えば固形油分の1/
10重量部以下であることがクリーム剤として適度の硬
度を維持できるので好ましい。液状油分としては中鎖脂
肪酸トリグリセリド、アジピン酸ジイソプロピル、ミリ
スチン酸イソプロピル等のエステル類が挙げられる。こ
れらの液状油分の添加量は本発明の目的の一つである。
例えば1α,24―(OH)2 ―ビタミンD3 の皮膚浸
透性が維持される範囲内であればよく、スクワラインの
3/10重量部以下であることが1α,24―(OH)
2 ―ビタミンD3 の良好な皮膚浸透性を維持できるので
好ましい。
【0030】クリーム剤に用いる界面活性剤は2種以上
の界面活性剤からなり、それらの合計はクリーム剤全体
の約2.5〜約7.5重量部である。更に、この界面活
性剤の50重量%以上はHLB値が約5以下の1種以上
の界面活性剤であり、この界面活性剤全体のHLB値は
約8〜約18である。
【0031】この界面活性剤のうち、50重量%以上を
構成するHLB値が約5以下の1種以上の界面活性剤と
しては、例えばソルビタンモノオレート、ソルビタンセ
スキオレート、ソルビタントリオレート、グリセリルモ
ノステアレート、グリセリルモノオレート、プロピレン
グリコールモノステアレート等からなる群から選ばれる
1種以上の界面活性剤が挙げられる。残りの界面活性剤
としては全体のHLB値が約8〜約18となるようなも
のであれば特に限定されないが、ポリオキシエチレン
(30あるいは40あるいは60)ソルビットテトラオ
レート、ポリオキシエチレン(60)硬化ヒマシ油、ソ
ルビタンモノラウレート、ソルビタンモノパルミテー
ト、ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノラウレ
ート、ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノパル
ミテート、ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノ
ステアレート、ポリオキシエチレン(20)ソルビタン
モノオレート、ポリオキシエチレン(10)モノラウレ
ート、ポリオキシエチレン(23あるいは25あるいは
30)セチルエーテル等からなる群から選ばれる1種以
上の界面活性剤が挙げられる。
【0032】クリーム剤の油相成分には酸化防止剤を添
加することができる。酸化防止剤としてはブチルヒドロ
キシトルエン、ブチルヒドロキシアニソール、dl―α
―トコフェロール等が、より好適にはdl―α―トコフ
ェロールが添加され、その添加量は通常0.001〜
5.0重量部であり、より好適には0.01〜3.0重
量部である。
【0033】このクリーム剤の水相成分には保湿剤、防
腐剤、コレート剤、緩衝剤等を添加することができる。
保湿剤としてはプロピレングリコール、グリセリン、ソ
ルビトール等が挙げられ、その添加量は1〜20重量
部、より好適には2〜15重量部である。防腐剤として
はメチルパラベン、プロピルパラベン、それらの混合物
等のパラベン類;クロロブタノール、モノチオグリセロ
ール;ソルビン酸、ソルビン酸カリウム;ベンジルアル
コール等が挙げられ、その添加量は0.001〜10.
0重量部であり、より好適には0.01〜5.0重量部
である。キレート剤としてはクエン酸、クエン酸ナトリ
ウム;エデト酸ナトリウム等があげられ、その添加量は
0.001〜5.0重量部であり、より好適には0.0
1〜3.0重量部である。緩衝剤としてはリン酸水素2
ナトリウム、リン酸2水素ナトリウム等が挙げられ、水
相成分のpHを6.5〜8.0に調節するのに必要な量
比で添加される。
【0034】また、かかるローション剤としては例えば
アルコール性ローション剤があげられ、1α,24―
(OH)2 ―ビタミンD3 をエチルアルコール、イソプ
ロピルアルコール等のアルコール性溶媒等に溶解して製
造される。
【0035】また、かかるテープ剤としては天然ゴム系
粘着剤、アクリル酸エステル―アクリル酸共重合体から
なる粘着剤等の高分子系粘着剤中に1α,24―(O
H)2―ビタミンD3 を分散せしめて成型して製造され
る。
【0036】本発明に必要な1α,24―(OH)2
ビタミンD3 の量は治療有効量であり投与法にもよるた
め一概には決められないが、通常1日100μgから
0.1μg、より好適には1日50μgから0.1μg
であり、例えば錠剤の場合には1錠あたりにそれらの量
を含有させ、外用剤の場合には100μg/gから0.
1μg/gとなるように含有させればよい。外用剤の場
合、より好適には50μg/gから0.5μg/gであ
る。
【0037】外用剤は皮膚疾患に1日約1〜2回、期間
は通常約3ケ月間まで塗布され、その間に治癒、軽快す
ることが多い。
【0038】かくして本発明により1α,24(R)−
ジヒドロキシコレカルシフェロールを有効成分として含
有する新規な神経線維腫症治療剤が提供されるが、同疾
患に有効な治療法がないことを考慮するとその治療上の
意義は極めて大きい。
【0039】
【実施例】以下に実施例により本発明の効果をより詳細
に説明するが、本発明をこれにより限定するものではな
い。なお、以下の実施例ではタカルシトールを1α,2
4―(OH)2 ―ビタミンD3 換算量で用い、1α,2
4―(OH)2 ―ビタミンD3 として表示している。
【0040】[実施例1]神経線維腫症患者の神経線維
腫より確立した細胞株を用いて1α,24(R)−ジヒ
ドロキシコレカルシフェロール(表1で1,24と表
記)の同細胞の増殖抑制効果を下記の方法で検討した。
比較として1α,25−ジヒドロキシコレカルシフェロ
ール(表1で1,25と表記)をもちいた。シャーレに
プレートを6個おき、各プレートに神経線維腫細胞を1
×105個まき、10%FCS および1%抗生物質を含有
するMEM 培養液で培養した。6プレートのうち1個はコ
ントロールとして溶媒(エタノール)だけを添加し、他
の5プレートには1α,24−ジヒドロキシコレカルシ
フェロールあるいは1α,25−ジヒドロキシコレカル
シフェロールの各種濃度を培養液中のエタノール濃度が
1%となるようなエタノール溶液として加えた。培養液
は二日ごとに交換し1週間後の各プレートの細胞の個数
をコントロールと比較した。結果を表1に示す。
【0041】
【表1】 コントロールに対する細胞の増殖(%)薬剤濃度(M) 1,24 1,25 10-11 64 93 10-10 71 92 10-9 51 99 10-8 48 9510-7 40 93
【0042】表1より1α,25−ジヒドロキシコレカ
ルシフェロールが神経線維腫細胞の増殖をほとんど抑制
しないのに対し、1α,24(R)−ジヒドロキシコレ
カルシフェロールは同細胞の増殖を著しく抑制すること
がわかる。
【0043】[実施例2]クリーム剤の調製 下記表2に記載の固形油分(成分2〜4)、液状油分
(成分5)、界面活性剤(成分6〜8)、抗酸化剤(成
分10)、防腐剤(成分12)を取り、混合し80℃に
加熱して均一な溶液とし、そこへ成分1を添加して均一
な溶液(溶液A)とした。一方、水(成分15)に、保
湿剤(成分9)、防腐剤(成分11)、緩衝剤(成分1
3、14)を添加して製造した均一な溶液(溶液B)を
80℃に加熱した。真空乳化機(みずほ製)内で溶液A
と溶液Bとを混合し乳化して均一な乳化組成物とした
後、室温まで冷却して白色のクリーム(実施例2)を得
た。
【0044】
【表2】
【0045】[実施例3]ローション剤の調製 1α,24―(OH)2 ―ビタミンD3 を0.2mgと
り、これをエチルアルコール/中鎖脂肪酸グリセリド混
液(100:1)に溶解しローション剤(1α,24―
(OH)2 ―ビタミンD3 濃度:2μg/ml)を得
た。
【0046】[実施例4]軟膏剤の調製 1α,24―(OH)2 ―ビタミンD3 を0.2mgと
り、アジピン酸ジイソプロピル0.5gに溶解し、この
溶液を50℃に加温した白色ワセリン99.5g中に攪
拌しつつ混合して均一な組成物とし放冷して無水性の軟
膏剤(1α,24―(OH)2 ―ビタミンD3 濃度:2
μg/g)を得た。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 石塚 誠一 東京都日野市旭が丘4丁目3番2号 帝人 株式会社東京研究センター内

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 1α,24(R)−ジヒドロキシコレカ
    ルシフェロールを有効成分として含有する神経線維腫症
    (レックリングハウゼン病)治療剤。
  2. 【請求項2】 剤形が外用剤、注射剤、経鼻剤、経口剤
    からなる群から選ばれるいずれかの剤形である請求項1
    記載の神経線維腫症治療剤。
  3. 【請求項3】 外用剤が軟膏剤、クリーム剤、ローショ
    ン剤またはテープ剤である請求項2記載の神経線維腫症
    治療剤。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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