JPH08117690A - 分級ミルの回転式分級機制御方法 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 停止された分級ミルからの急激な残炭のパー
ジを抑制すると共に短時間で残炭のパージを完了させる
ことにより微粉炭焚ボイラの外乱を防止し得るようにす
る。 【構成】 停止給炭量制御終了時Ｂに、回転式分級機を
比較的高い速度で回転させることによって（実線ヘの範
囲ト参照）、分級ミルの内部にまだ残っている微粉炭や
粗粉炭のパージを抑制し、停止給炭量制御終了時Ｂ以降
に、回転式分級機の回転数を徐々に低下させることによ
って（実線ヘの範囲チ参照）、分級ミルの内部の残炭
を、少しずつパージさせて行くようにする。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、分級ミルの回転式分級
機制御方法に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】一般に、図２に示すような微粉炭焚ボイ
ラ１には、バーナ３の燃料である原炭を微粉砕するため
の分級ミル２が複数基付設されており、微粉炭焚ボイラ
１の負荷に応じて、分級ミル２の運転台数が調節される
ようになっている。

【０００３】尚、図中、４は分級ミル２からの微粉炭５
をバーナ３へ送給する微粉炭管、６はエア７を吸引して
エアダクト８へ送給するファン、９は微粉炭焚ボイラ１
の排ガスダクト１０からの排ガス１１とエアダクト８か
らのエア７とを熱交換する空気予熱器、１２は空気予熱
器９の出側と各分級ミル２との間に接続された熱風ダク
ト（図では１つの分級ミル２に対してのみ表わされてい
る）、１３はエアダクト８から分離され各熱風ダクト１
２に合流する冷風ダクト、１４，１５は各熱風ダクト１
２と各冷風ダクト１３にそれぞれ設けられたダンパ、１
６は排ガスダクト１０に接続された煙突である。

【０００４】上記分級ミル２として一般的に使用されて
いる回転ベーン式の分級ミル２は、図３に示すようなも
のである。

【０００５】即ち、ほぼ円筒形のミル本体ケーシング１
７内の下部に、粉砕モータ１８及び減速機１９を介して
回転駆動される粉砕テーブル２０と、該粉砕テーブル２
０上面に形成されたリング状の凹溝２１に対して押圧さ
れる３個１組の粉砕ローラ２２（図３では２個のみ示し
ている）とから成る粉砕部２３を設ける。

【０００６】前記ミル本体ケーシング１７の外部上方
に、原炭２４を貯留するバンカ２５と、該バンカ２５内
の原炭２４を搬送モータ２６の駆動によって搬送するコ
ンベア２７とから成る給炭機２８を配設する。

【０００７】該給炭機２８出側に連結され垂直下方へ延
びる原炭入口管２９を、前記ミル本体ケーシング１７の
軸心位置に貫挿し、原炭入口管２９の外周に軸受３０を
介して回転自在に支承された回転筒３１を外嵌し、回転
筒３１の上端部にシーブ３２、ベルト３３、シーブ３４
を介して、分級モータ３５を接続し、前記回転筒３１の
下端部に上部が開放された中空のローター３６を取付
け、ローター３６の側部周方向の位置に、微粉炭５を通
過可能な分級羽根３７を径方向に対し傾斜させて複数枚
設ける。又、ローター３６の下部にミル本体ケーシング
１７内を上下に仕切る逆円錐状のリジェクトシュート３
８を設け、リジェクトシュート３８に開口部３９を形成
して、回転式分級機４０を構成したものである。

【０００８】尚、４１はミル本体ケーシング１７内に発
生した粗粉炭、４２は回転式分級機４０の上方に設けら
れた微粉炭送給室である。

【０００９】又、分級ミル２全体は、図示しない分級ミ
ル制御装置がミル負荷指令４３に基づいて制御してお
り、回転式分級機４０の回転数は、分級機制御装置４５
がミル負荷指令４３に基づき分級モータ３５へ分級機制
御信号４４を送って制御している。

【００１０】上記回転ベーン式の分級ミル２では、バン
カ２５内の原炭２４がコンベア２７により原炭入口管２
９を経て、回転する粉砕テーブル２０上に連続的に落下
され、粉砕ローラ２２によって粉砕される。

【００１１】そして、粉砕された原炭２４は、熱風ダク
ト１２から吹込まれるエア７によって乾燥されると共
に、ミル本体ケーシング１７内を上方へと吹上げられ
る。

【００１２】この時、ミル負荷指令４３に基づき分級機
制御装置４５が分級機制御信号４４を送って分級モータ
３５を所要回転数で駆動し、シーブ３４、ベルト３３、
シーブ３２、回転筒３１を介してローター３６を回転さ
せると、粉砕部２３で粉砕され、エア７により上昇され
た原炭２４は、先ず、リジェクトシュート３８の開口部
３９を通過し、通過した微粉炭５と粗粉炭４１のうち、
粗粉炭４１は、回転する分級羽根３７によって弾き飛ば
され、微粉炭５のみがローター３６内へ入って、微粉炭
管４から微粉炭焚ボイラ１へ送出される。

【００１３】一方、前記回転式分級機４０で弾き飛ばさ
れた粗粉炭４１は、リジェクトシュート３８に案内され
て再び粉砕テーブル２０の中央に落下し、粉砕ローラ２
２によって再粉砕され、上記循環を繰返す。尚、図４に
示すように、回転式分級機４０の回転数が高く成るほど
分級性能が向上され、その分、粗粉炭４１の分級ミル２
内部における循環量が増大されるようになっている。

【００１４】このような分級ミル２では、回転式分級機
４０の回転数は、従来、図５に示すように、分級性能の
みを考慮して、ミル負荷指令４３が大きくなった時には
回転式分級機４０の回転数が高くなり、ミル負荷指令４
３が小さくなった時には回転式分級機４０の回転数が低
くなるように分級機制御装置４５によって制御されてい
る。

【００１５】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来の分級ミルの回転式分級機制御方法には、以下のよう
な問題があった。

【００１６】即ち、複数基あるうちの一つの分級ミル２
に対し、停止給炭量制御に入るようミル負荷指令４３が
出された場合、図示しない分級ミル制御装置が、図６に
示すように、その時点Ａ（停止給炭量制御開始時）か
ら、破線イで示すように、分級ミル２へ送られるエア７
の風量を最低風量まで低下させることにより、二点鎖線
ロで示すように、分級ミル２からの実出炭量を低下さ
せ、同時に、実線ハで示すように、分級ミル２への原炭
２４の給炭量も低下させ、その後、実出炭量の低下が安
定化し始めた時点Ｂ（停止給炭量制御終了時）で、分級
ミル２への原炭２４の給炭量を停止させ、停止給炭量制
御動作を終了させるようにしている。

【００１７】一方、回転式分級機４０では、その回転数
を、分級性能のみを考慮して、ミル負荷指令４３が大き
くなった時には回転式分級機４０の回転数が高くなり、
ミル負荷指令４３が小さくなった時には回転式分級機４
０の回転数が低くなるよう分級機制御装置４５で制御さ
せている関係上、上記停止給炭量制御の際には、実線ニ
で示すように、回転式分級機４０の回転数も停止給炭量
制御開始時Ａ以降適宜低下され、停止給炭量制御終了時
Ｂで回転が停止されることとなる。

【００１８】ところが、分級ミル２が停止給炭量制御終
了時Ｂで停止した時には、分級ミル２の内部に、まだ、
微粉炭５や粗粉炭４１などの残炭があるので、回転式分
級機４０の回転が停止して、これらの分級を行わなくな
った時、即ち、出炭を阻止し得ない状態となった時に、
パージのために継続して送給されているエア７によって
（尚、この時には、分級ミル２を冷却するためにエア７
は冷風ダクト１３からの冷たいエア７に切替えられてい
る）、矢印ホで示すように、残炭が停止された分級ミル
２から一挙にパージされてしまう可能性がある。

【００１９】すると、起動されている他の分級ミル２か
らの総出炭量に狂いが生じるため、外乱が発生して微粉
炭焚ボイラ１の制御がうまく行かなくなるおそれがあ
る。

【００２０】本発明は、上述の実情に鑑み、停止された
分級ミルからの残炭の急激なパージを抑制すると共に短
時間で残炭のパージを完了させることにより微粉炭焚ボ
イラの外乱を防止し得るようにした分級ミルの回転式分
級機制御方法を提供することを目的とするものである。

【００２１】

【課題を解決するための手段】本発明は、ミルの停止給
炭量制御開始時に、回転式分級機の回転数を上げて、停
止給炭量制御終了時までの間保持させると共に、停止給
炭量制御終了時以降、回転式分級機の回転数を徐々に下
げることを特徴とする分級ミルの回転式分級機制御方法
にかかるものである。

【００２２】この場合において、停止給炭量制御開始時
に、回転式分級機の回転数を、分級機の羽根周速にして
およそ４〜６ｍ／ｓｅｃ程度まで上げ、停止給炭量制御
終了時以降、回転式分級機の回転数を、１分間に周速が
１．５ｍ／ｓｅｃの割合で低下させるようにするのが良
い。

【００２３】

【作用】本発明の作用は以下の通りである。

【００２４】停止給炭量制御開始時に、回転式分級機の
回転数を上げて、停止給炭量制御終了時までの間保持さ
せると共に、停止給炭量制御終了時以降、回転式分級機
の回転数を徐々に下げることにより、停止給炭量制御終
了時に、比較的高い速度で回転する回転式分級機によっ
て、分級ミルの内部にまだ残っている微粉炭や粗粉炭の
パージが抑制される。

【００２５】又、停止給炭量制御終了時以降は、回転式
分級機の回転数の低下に伴い、分級ミル内部の残炭が、
徐々にパージされて行くことになる。

【００２６】その結果、停止された分級ミルから残炭が
一挙にパージされて、起動されている他の分級ミルから
の総出炭量に狂いを生じ、外乱が発生されて微粉炭焚ボ
イラの制御がうまく行かなくなるような事態を防止する
ことができる。

【００２７】更に、回転式分級機の回転数を、一旦、周
速にしておよそ４〜６ｍ／ｓｅｃ程度まで上げ、この速
度から、１分間に周速が１．５ｍ／ｓｅｃの割合で低下
させ、３〜５分後に回転式分級機を停止させるようにし
た場合に、最も短時間で効率良く分級ミル内のパージを
完了させることが可能である。

【００２８】しかも、上記の周速と減速度の関係を維持
することにより、使用石炭に拘わらず同じ結果が得ら
れ、これにより、使用石炭に応じて回転式分級機の周速
と減速度を変える必要がなくなって、制御の一元化や簡
略化を行うことが可能となる。

【００２９】

【実施例】以下、本発明の実施例を図面を参照しつつ説
明する。

【００３０】図１は、本発明の一実施例である。

【００３１】尚、微粉炭焚ボイラの構成や、分級ミルの
構成については、図２・図３と同様であるため、必要に
応じて図２・図３を参照する。

【００３２】本実施例では、図３の分級機制御装置４５
によって、停止給炭量制御開始時Ａに、回転式分級機４
０の回転数を上げ、停止給炭量制御終了時Ｂまでの間保
持させるようにする（実線ヘの範囲ト）。

【００３３】回転式分級機４０の回転数は、周速にして
およそ４〜６ｍ／ｓｅｃ程度まで上げるものとする。

【００３４】そして、停止給炭量制御終了時Ｂ以降、回
転式分級機４０の回転数を徐々に下げるようにする（実
線ヘの範囲チ）。

【００３５】回転式分級機４０の回転数は、１分間に周
速が１．５ｍ／ｓｅｃの割合で低下するようにする。

【００３６】このようにすることにより、以下の如き作
動が得られるようになる。

【００３７】即ち、複数基あるうちの一つの分級ミル２
に対し、停止給炭量制御に入るようミル負荷指令４３が
出された場合、図示しない分級ミル制御装置が、図１に
示すように、その時点Ａ（停止給炭量制御開始時）か
ら、破線イで示すように、分級ミル２へ送られるエア７
の風量を最低風量まで低下させることにより、二点鎖線
ロで示すように、分級ミル２からの実出炭量を低下さ
せ、同時に、実線ハで示すように、分級ミル２への原炭
２４の給炭量も低下させ、その後、実出炭量の低下が安
定化し始めた時点Ｂ（停止給炭量制御終了時）で、分級
ミル２への原炭２４の給炭量を停止させ、停止給炭量制
御動作を終了させるようにする。

【００３８】一方、分級機制御装置４５は、停止給炭量
制御に入るよう指示するミル負荷指令４３を入力した時
点Ａ（停止給炭量制御開始時）で、回転式分級機４０の
回転数を、周速にしておよそ４〜６ｍ／ｓｅｃ程度まで
上げ、停止給炭量制御終了時Ｂまでこの状態に保持させ
るようにする（実線ヘの範囲ト）。

【００３９】そして、停止給炭量制御終了時Ｂ以降、回
転式分級機４０の回転数を、１分間に周速が１．５ｍ／
ｓｅｃの割合で低下させ、３〜５分後に回転式分級機４
０を停止させるようにする（実線ヘの範囲チ）。

【００４０】すると、停止給炭量制御終了時Ｂには、分
級ミル２の内部にまだ残っている微粉炭５や粗粉炭４１
は、比較的高い速度で回転する回転式分級機４０によっ
て、パージを抑制されることとなる。

【００４１】又、停止給炭量制御終了時Ｂ以降は、回転
式分級機４０の回転数の低下に伴い、分級ミル２の内部
の残炭が、徐々にパージされて行くことになる。

【００４２】その結果、停止された分級ミル２内の残炭
が一挙にパージされることにより、起動されている他の
分級ミル２からの総出炭量に狂いを生じ、外乱が発生し
て微粉炭焚ボイラ１の制御がうまく行かなくなるような
事態を防止することができる。

【００４３】更に、回転式分級機４０の回転数を、一
旦、周速にしておよそ４〜６ｍ／ｓｅｃ程度まで上げ、
その速度から、１分間に周速が１．５ｍ／ｓｅｃの割合
で低下させ、３〜５分後に回転式分級機４０を停止させ
るようにした場合に、最も短時間で且つ効率良く分級ミ
ル２内の残炭のパージを完了させられることが確認され
た。

【００４４】しかも、上記の周速と減速度の関係とする
ことにより、使用石炭に拘わらず同じの結果が得られる
ことが確認された。これにより、使用石炭に応じて回転
式分級機４０の周速と減速度の関係を変える必要がなく
なり、制御の一元化や簡略化が可能となる。

【００４５】尚、本発明は、上述の実施例にのみ限定さ
れるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内に
おいて種々変更を加え得ることは勿論である。

【００４６】

【発明の効果】以上説明したように、本発明の分級ミル
の回転式分級機制御方法によれば、停止された分級ミル
からの急激な残炭のパージを抑制すると共に短時間で残
炭のパージを完了させることにより微粉炭焚ボイラの外
乱を防止することができるという優れた効果を奏し得
る。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施例にかかる、回転式分級機の回
転数と時間の関係を表わすグラフである。

【図２】一般的な微粉炭焚ボイラの概略系統図である。

【図３】図２の分級ミルの概略側方断面図である。

【図４】分級機回転数と粗粉炭の循環量との関係を示す
グラフである。

【図５】ミル負荷と分級機回転数との関係を表わすグラ
フである。

【図６】従来例にかかる、回転式分級機の回転数と時間
の関係を表わすグラフである。

【符号の説明】

４０ 回転式分級機 Ａ 停止給炭量制御開始時 Ｂ 停止給炭量制御終了時

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 ミルの停止給炭量制御開始時に、回転式
   分級機の回転数を上げて、停止給炭量制御終了時までの
   間保持させると共に、停止給炭量制御終了時以降、回転
   式分級機の回転数を徐々に下げることを特徴とする分級
   ミルの回転式分級機制御方法。
2. 【請求項２】 停止給炭量制御開始時に、回転式分級機
   の回転数を、分級機の羽根周速にしておよそ４〜６ｍ／
   ｓｅｃ程度まで上げ、停止給炭量制御終了時以降、回転
   式分級機の回転数を、１分間に周速が１．５ｍ／ｓｅｃ
   の割合で低下させる請求項１記載の分級ミルの回転式分
   級機制御方法。