JPH0811717B2 - 単結晶の育成方法 - Google Patents

単結晶の育成方法

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JPH0811717B2
JPH0811717B2 JP22279393A JP22279393A JPH0811717B2 JP H0811717 B2 JPH0811717 B2 JP H0811717B2 JP 22279393 A JP22279393 A JP 22279393A JP 22279393 A JP22279393 A JP 22279393A JP H0811717 B2 JPH0811717 B2 JP H0811717B2
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紀男 大西
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工業技術院長
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、結晶とそれを成長さ
せるための原料融液とで成分組成が異なる、いわゆるイ
ン・コングルーエント(不一致溶融)な原料融液から単
結晶を育成する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】原料融液から行う結晶成長法の代表例に
引き上げ法(チョクラルスキー法またはCZ法)がある
が、これは結晶とそれを生成する原料融液が等しい成分
組成を有する、いわゆるコングルーエント(一致溶融)
な原料融液[図4のc点]に対して適応される方法であ
る。
【0003】この方法では、結晶成長のすべての過程
で、育成結晶とルツボ中の原料の成分組成が不変である
ため、育成される結晶は組成的には均質である。
【0004】しかるにイン・コングルーエント融液[図
4i点]からの結晶育成では、原料融液から結晶を成長
させるにつれて、ルツボ中に残存する融液の組成が次第
に変化するため、育成を進めるにつれて結晶自体の組成
も変化することになる。
【0005】この問題を避けるために実際の結晶育成で
は、多量の原料融液から、結晶成長に伴う原料融液の組
成変化が無視できる程度の少量の結晶を育成する方法
や、融剤を利用して引き上げる、いわゆる融剤引き上げ
法(TSSG法)が一般的に採用されている。
【0006】TSSG法での融剤としては、結晶と構成
元素が異なる融剤(フラックス)物質や、結晶と同じ構
成元素ながら組成比を異にする、いわゆる自己フラック
スが用いられ、目的結晶と同じ組成の原料をそれら融剤
に一旦溶かし込み、融液の温度を降下させながら結晶成
分を析出させつつ引き上げながら結晶化している。
【0007】また別法として、図5に示すように原料棒
8の一部に一定量の融剤を埋め込み、その部分を局所的
に融解して溶融帯域9を形成させ、溶融帯域9を移動さ
せながら原料棒8の溶かし込みと溶融帯からの結晶成分
の析出を同時的に行いつつ結晶育成する、いわゆる融剤
溶融帯移動法(フラックス・ゾーン・トラベリング法)
も公知である。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】上記の方法はいづれ
も、溶剤中に溶け込んだ結晶成分が分離する過程と、そ
の成分が固液界面に到達して結晶中に取り込まれる過程
が同時的に進行しつつ結晶成長が続行される。
【0009】TSSG法は比較的良質な結晶が得られ易
いとされているが、原料および融剤はルツボ中で混合し
て融解され、融液は熱対流によってルツボ中を常に流動
しており、結晶成長はこの熱対流による場所的時間的な
温度変動の下で行われるため、結晶中にフラックスが取
り込まれ易い。
【0010】これを防ぐには結晶育成速度や融液の温度
降下速度を極端に遅くする対策が採られるが、両条件が
複雑に相関するため光学的な品質を達成することが難し
く、生産性も上がらないなどの欠点があった。
【0011】結晶の均質性においても、例えば図4に示
すように、組成c1の原料を一旦融解し[m1点]、温度を
t1からt2に降下させながら結晶を析出させてゆくと、析
出につれて結晶の組成はs1からs2へ、またルツボに残存
する原料融液の組成はc1からc2へと変化し、一様な結晶
組成を得ることが不可能であると言う本質的な問題もあ
る。
【0012】一方、図5に示す融剤溶融帯移動法では、
安定な溶融帯域9の保持が難しく、しかもその中へ溶か
し込まれる原料棒8の量と結晶化によって吐き出される
結晶成分の量を等しく保つ必要があるため、溶融域9と
原料棒8を別々の速度で移動させる必要があり、結晶径
の変動が生じ易く、周辺温度の微妙な変化によっても育
成条件が影響され易いなど技術的にも難しく、均質な結
晶を育成するのが困難であると言う課題もあった。
【0013】本発明は、イン・コングルーエントな原料
から均質な結晶を育成することを目的とするものであ
る。
【0014】
【課題を解決するための手段】このために本発明では図
1に示すように、目的結晶と同一組成の原料と、それを
溶かす融剤の所定量を混合してルツボ1内で融解し、融
液2の一部を細径口管5内へ導いてその先端部で結晶成
長させることで、結晶化点近傍の融液と周辺のルツボ中
の融液が混合することを防ぐ工夫をした。
【0015】抵抗加熱型のルツボ1を用いた図1の場
合、ルツボ底部に孔口を開けてそれに細径ノズルを挿通
させて細径口管部5を形成し、細径口管5内を通ってく
る融液をその先端においてシード結晶3を用いて結晶化
させつつ引き下げると言う手段を採った。
【0016】また、図1の抵抗加熱型ルツボ1による直
熱方式に替えて、図2のような縦長ルツボ1を用いた傍
熱方式で本発明を構成することも可能で、また図3に示
すようにルツボ1とダイ8の組み合わせにより上方へ引
き上げる構成を採ることもできる。
【0017】いづれの構成においても、結晶と等しい組
成の原料と、それに対する溶剤あるいは自己フラックス
の所定量とを混合して融解し、融液を細径口管部へ導い
て、その先端孔口部においてシード結晶を用いて引き下
げ、あるいは引き上げながら結晶化させる。
【0018】
【作用】上述の手段によると、例えば図1に示されるよ
うに、融剤と混合して融解された原料融液2は成長開始
時においてはルツボ1内および細径口管部5内を一様な
組成で満たしているが、シード3が細径口管部5の先端
の融液に触れた瞬間に反応して新たな融液組成へ変化す
るも、この反応に与る原料融液は細径口管5中に限定さ
れていて周囲の融液と容易に混合できないため、短時間
の間では原料融液2の影響を免れる。
【0019】この状態でシード結晶3を引き下げると、
細径口管部5中の融液から結晶成分が融剤と分離してシ
ード結晶上に結晶成長し、分離して残された融剤は細径
口管部5内に残されて蓄積し、最終的には細径口管部5
内に融剤層6が形成されることになる。
【0020】定常状態ではルツボ内融液2の結晶成分は
融剤層6を介して細径口管部5先端へ到達し、そこで融
剤と分離されつつ結晶化する過程が進行する。
【0021】結晶化点が細径口管部5先端に限定されて
いるため、結晶のサイズおよび結晶化する原料の量が一
定となり、このため原料融液と融剤層の間および融剤層
と結晶の間の温度差などの熱的条件も一定化し易く、イ
ン・コングルーエントな原料からでも均質な結晶を育成
することが可能になった。
【0022】
【実施例】図1は本発明の内容を実施する一例を示し、
代表的なイン・コングルーエント(不一致溶融)な原料
としてニオブ酸ポタシウム・リチウム(K3Li2NbO
5、略してKLN)を対象結晶として本発明の方法を試
行した例である。
【0023】出発原料は炭酸ポタシウム(K2CO3)、
炭酸リチウム(Li2CO3)、五酸化ニオブ(Nb
25)で、所定の式量を秤量し、混合およびプレスを行
った後、950℃で12時間焼成する操作を2度繰り返
した後、再度プレスして960℃で10時間焼結して結
晶組成の原料を得た。
【0024】この原料に対する自己フラックスとして
は、K2CO3:Li2CO3:Nb25を33:22:4
5の割合に秤量して同様な温度条件で一回焼成を行い、
それを1050℃で3時間加熱して溶融して合成し、原
料と自己フラックス比1:1〜5:1に混合してルツボ
に充填した。
【0025】使用したルツボの代表例は図1に示すよう
な抵抗加熱型の白金ルツボ1で、その底部に穴を開けて
直径約100〜800ミクロンの白金パイプを貫通させ
て融液引き出し用の細径口管部5を形成した構造であ
る。
【0026】原料融液2の一部は細径口管5へ導かれ、
その先端でシード結晶3を用いて、速度0.1〜0.7mm/mi
nでシード結晶の回転を行うことなく引き下げつつ結晶
育成を行い、透明で均質な正方晶形の結晶が得られた。
【0027】ルツボ自体を熱源とする代わりに高周波加
熱、抵抗加熱、赤外光加熱などに熱源を求めると、ルツ
ボの容量および形状を幅広く選択することが可能になる
が、赤外加熱を用いた傍熱方式の一実施例を図2に示
す。
【0028】この例ではルツボ1には縦型のペンシル型
を採用し、その先端に100〜700μmの先端孔口を
開けて細径口管の役割を負わせ、赤外線加熱炉内にルツ
ボ1を設置してルツボ温度を制御しながら、上記とほぼ
同様な手順で単結晶を育成した。
【0029】図3には引き上げ方式による育成例を示す
が、細径を有するダイ7をルツボ1中に立脚させた構造
で、原料融液2は毛管現象によりダイ7上端部まで導か
れ、その先端においてシード結晶3を用いて引き上げを
行った。
【0030】KLNの育成には結晶組成と同種元素の自
己フラックスが採用されるため、比重差によって両者が
分離することは無く、引き下げの場合と同様にして引き
下げ法によりKLNの単結晶ファイバーが育成できた。
【0031】
【発明の効果】この発明によれば、細径口管5を用いる
ことで結晶化点近傍の融液とその周囲の原料融液とが混
合することを制限し、結晶化点近傍に安定な融剤層6を
形成しつつ結晶を育成することにより、イン・コングル
ーエントな原料融液からでも均質な単結晶を育成するこ
とができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 直熱方式の抵抗加熱型ルツボを用いた引き下
げ法による本発明の一実施例を示す図
【図2】 ペンシル型ルツボを用いた傍熱方式の引き下
げ法の実施例を示す図
【図3】 ダイを用いた引き上げ法による本発明の実施
例を示す図
【図4】 原料融液のコングルーエント(一致溶融)、
およびイン・コングルーエント(不一致溶融)を説明す
るための状態図、図中AおよびBは2つの元素成分を表
し、c点はコングルーエント組成、i点はイン・コング
ルーエント組成、s1、s2およびc1、c2はそれぞれ温度t
1、t2における結晶の組成および残留融液の組成、mお
よびm1はそれぞれ組成cおよびc1の溶融状態を表わ
す。
【図5】 融剤溶融帯移動法(フラックス・ゾーン・ト
ラベリング法)の原理説明図
【符号の説明】
1はルツボ 2は原料融液 3はシード結晶 4は育成された結晶 5は細径口管部 6は融剤層 7は引き上げ用のダイ 8は結晶と同一組成の原料棒 9は融けた融剤で作られる溶融帯域 10は融解のための熱源 11は溶融帯域の移動 12は原料棒の移動

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 イン・コングルーエント(不一致溶融)
    な原料融液から行う単結晶の育成において、目的結晶に
    等しい成分組成の原料と、該原料に対する融剤所定量を
    混合して融解し、該融液を細径口管部へ導いて、その先
    端において引き下げあるいは引き上げつつ行うことを特
    徴とする、単結晶の育成方法。
JP22279393A 1993-08-16 1993-08-16 単結晶の育成方法 Expired - Lifetime JPH0811717B2 (ja)

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JPH0753297A JPH0753297A (ja) 1995-02-28
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