JPH08114822A - エレクトロクロミック調光プラスチックレンズ - Google Patents

エレクトロクロミック調光プラスチックレンズ

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JPH08114822A
JPH08114822A JP7122170A JP12217095A JPH08114822A JP H08114822 A JPH08114822 A JP H08114822A JP 7122170 A JP7122170 A JP 7122170A JP 12217095 A JP12217095 A JP 12217095A JP H08114822 A JPH08114822 A JP H08114822A
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JP
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plastic lens
weight
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primer layer
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JP7122170A
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English (en)
Inventor
Akiko Miyagawa
晶子 宮川
Hirobumi Shiono
博文 塩野
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Nikon Corp
Original Assignee
Nikon Corp
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Publication date
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  • Electrochromic Elements, Electrophoresis, Or Variable Reflection Or Absorption Elements (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 ハードコート層あるいは、ハードコート層及
び反射防止層の両層を設けたプラスチックレンズの耐衝
撃性を向上させるために、プライマー層をプラスチック
レンズとハードコート層との間に設けたプラスチックレ
ンズを用いたEC調光レンズの提供を目的とする。 【構成】 第一プラスチックレンズと第二プラスチック
レンズとの間に少なくとも、第一電極層、エレクトロク
ロミック層、イオン導電層、および第二電極層からなる
エレクトロクロミック素子を形成してなるエレクトロク
ロミック調光プラスチックレンズにおいて、前記第一プ
ラスチックレンズ上及び/又は前記第二プラスチックレ
ンズ上に、ポリビニルアセタール樹脂からなるプライマ
ー層を又はポリビニルアセタール樹脂を主成分とするプ
ライマー層を設け、かつ該プライマー層上にハードコー
ト層を設けたことを特徴とするエレクトロクロミック調
光プラスチックレンズ。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、エレクトロクロミック
調光プラスチックレンズに関する。
【0002】
【従来の技術】電圧を印加すると可逆的に電解酸化又は
還元反応が起こり可逆的に着消色する現象をエレクトロ
クロミズムと言う。このような現象を示すエレクトロク
ロミック(以下、ECと略称する場合がある)物質を用
いて、電圧操作により着消色するEC素子(以下、EC
Dと略称する場合がある)を作り、このECDを光量制
御素子(例えば、防眩ミラー又は調光レンズ)や7セグ
メントを利用した数字表示素子に利用しようとする試み
は、20年以上前から行われている。
【0003】例えば、ガラス基板の上に透明電極膜(陰
極)、三酸化タングステン薄膜(EC層)、二酸化ケイ
素のような絶縁膜(イオン導電性膜)、電極膜(陽極)
を順次積層してなるECD(特公昭52-46098参照)が全
固体型ECDとして知られている。このECDに電圧を
印加すると、三酸化タングステン(WO3)薄膜が青色
に着色する。その後、ECDに逆の電圧を印加すると、
WO3薄膜の青色が消えて無色になる。この着色・消色
する機構は詳しくは解明されていないが、WO3薄膜及
び絶縁膜(イオン導電性膜)中に含まれる少量の水分が
前記着色・消色を支配していると理解されている。着色
の反応式は下記のように推定されている。 光量制御に用いる調光素子(透過型調光素子と反射型調
光素子がある)にはECDの他に液晶素子があるが、E
CDは透過光のエネルギーを連続的に制御できしかも視
角依存性がないという、液晶素子にはない優れた特性を
有する。
【0004】ECDのタイプには、材料(主に電解質、
即ちイオン導電性物質)の形態として、溶液型、ゲル
型、全固体型などがある。これらのうち、EC層や電極
層などをすべて薄膜状に形成する全固体型ECDの製造
には、貼り合わせや液状材料密封といった工程が不要で
あり、実用化が最も容易と考えられている。透過型EC
Dにおいては、電極層に透明電極膜が用いられる。現
在、多く使われているのはITOであるが、ZnOやS
nO2 の材料も検討されている。これらの膜は、通
常、真空蒸着又はスパッタリングで形成される。
【0005】ECDの特徴の一つとして、メモリー性が
挙げられる。ECDを着色させるときには、一対の電極
層間に電圧を印加するが、ECDが必要な着色濃度にな
ったところで、電圧印加を停止すれば、その時点での着
色濃度を保持できる。この性質をメモリー性と呼ぶ。と
ころで、ECDを用いたサングラス用の調光レンズが最
近、実用化された。
【0006】従来のサングラス用レンズには、透過率
(言い換えれば、着色濃度)が一定のものと可変なもの
がある。前者には、例えば、ブラウン、グレー、グリー
ンなどの色調を一様の濃度でレンズ全面に有する全色レ
ンズや、レンズの上半分の色が濃くて、レンズの下側ほ
ど色が薄くなるハーフレンズなどがある。これらは、い
ずれも透過率が低いので周囲が暗い場所では見えにくい
という問題点がある。
【0007】そこで、この問題点を解決するために、周
囲が明るい場所では透過率を小さくし、暗い場所では透
過率を大きくする透過率可変のサングラス用レンズが開
発された。これには、レンズ基材にハロゲン化銀を添加
することにより、周囲光の強さに応じて自動的にレンズ
の透過率が変化するようにしたもの(フォトクロミック
レンズ)や、2枚の透明基板の間に液晶素子及び偏光板
を挟み込み、周囲光の強さに応じて自動的にレンズの透
過率を可変できるようにしたもの(液晶レンズ)や、E
CDをレンズ表面又はレンズ間に設けてレンズの透過率
を可変できるようにしたもの(ECレンズ)などがあ
る。
【0008】フォトクロミックレンズには、透過率の変
化幅(調光幅)は十分に大きいが、透過率の変化速度
(調光速度)が遅いという問題点がある。そのため、暗
い場所から明るい場所に移動した場合に、しばらくの間
は眩しさを防ぐことができず、逆に、明るい場所から暗
い場所に移動した場合に、しばらくの間は暗くて見えに
くいという問題点がある。
【0009】液晶レンズは、消色時でも透過率が50%
以下であるため、明るさが十分ではない。また、調光速
度が速すぎるために、暗い状態と明るい状態が交互に繰
り返して現れる周囲環境の場合に、瞳孔の調節が追い付
かず、目が疲れるという問題点がある。ECレンズは、
調光幅が十分に大きく、調光速度も適切なものであり、
フォトクロミックレンズや液晶レンズのような問題点は
ない。また、市販されている寸法の小さな電池で駆動さ
せることができ、複雑な駆動回路を必要としない。
【0010】現在製品化されているECサングラスで
は、ガラスレンズを用いているが、ECサングラスの軽
量化と安全性のためには、プラスチックレンズの使用が
好ましい。しかし、一般に、プラスチックレンズは、非
常に傷つきやすいという問題点を有する。そのため、通
常は表面強度を向上させるために、レンズの表面にシリ
コン系の硬化膜層(ハードコート層)が設けられてい
る。また、像のチラツキの原因である表面反射を抑える
ために、無機物質を蒸着した反射防止膜(反射防止層)
を設けるなど、プラスチックレンズに高付加価値を付与
している。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、ハード
コート膜(ハードコート層)と反射防止膜(反射防止
層)の両方を設けたプラスチックレンズは、かかる膜を
一切設けていないプラスチックレンズやハードコート膜
のみを設けたプラスチックレンズに比べて、耐衝撃性が
著しく低下するという問題点を有する。
【0012】そのため、ハードコート層と反射防止層の
両方を設けた眼鏡用プラスチックレンズでは、米国のF
DA規格(耐衝撃性試験)に合格しない場合が多く、よ
って、このようなプラスチックレンズを使用したECサ
ングラスもFDA規格に合格できないことが多い。その
ため、ハードコート及び反射防止コート等の表面処理の
行われた眼鏡用プラスチックレンズにおいて、米国のF
DA規格の耐衝撃性試験に合格させるためのいくつかの
手法が既に提案されている。
【0013】その一つが、マイナスレンズの中心厚を厚
くすることにより耐衝撃性を向上させようとするもので
ある。しかしながら、これはレンズのふち厚を増加させ
るため外観が損なわれるほか、レンズの重量も増加する
など実用上も好ましくない。しかも、プラスチックレン
ズの素材によっては、中心厚の増加だけではFDA規格
の耐衝撃性試験に合格するレンズを提供できない場合も
ある。
【0014】また、耐衝撃性に非常に優れ,ハードコー
ト層及び反射防止層の両層を設けることによる耐衝撃性
の低下があっても、米国FDA規格の耐衝撃性試験に合
格する程度の耐衝撃性を示す眼鏡用プラスチックレンズ
素材の検討も多くなされている。米国FDA規格の耐衝
撃性試験に合格する可能性を有する、耐衝撃性の優れた
新規のプラスチックレンズ素材に関する発明について、
近年多くの開示がなされている(例えば、特開昭61−
170701号公報、特開平1−244401号公報、
特開平2−36216号公報、特開平4−159309
号公報、特開平4−161412号公報、特開平4−1
26710号公報、特開平5−5011号公報、特開平
4−142315公報、特開平4−161410公報、
特開平4−161411号公報、特開平4−20230
8号公報、特開平4−202309号公報)。
【0015】しかし、いずれの提案もハードコート層及
び反射防止層の両層とも施していない状態のレンズにお
けるFDA規格合格であり、レンズの最低中心厚に関し
ても特開平4−126710号公報、特開平4−202
308号公報、特開平4−202309号公報に関して
は1.5 mm、ほかの開示においては2mmとなっており、実
用上十分な耐衝撃性を示す眼鏡用プラスチックレンズ素
材は未だ提案されていないのが現状である。
【0016】耐衝撃性向上に関するもう一つの手段は、
プラスチックレンズ基材とハードコート層との間に樹脂
組成物よりなるプライマー層を設けるというものであ
る。元来プライマー層は、プラスチックレンズ基材とハ
ードコート層との密着性改善の一手法として提案された
ものであり、ケン化、プラズマ照射によるエッチングな
どの表面改質手法と同様に、密着性の改善が主目的であ
った。
【0017】この目的として提案されているプライマー
層の先行技術としては、エポキシ化合物を用いる方法
(特開昭60−2143301号公報)、アクリル系及
び/又はメタクリル系化合物と芳香族ビニル化合物を主
成分とする方法(特開昭60−214302号公報)、
アクリルポリオールと多官能有機イソシアネート化合物
からなるプライマー組成物を用いる方法(特開昭61−
114203号公報)などがある。いずれの場合も主目
的の密着性の改善は達成され、耐薬品性の特性も得られ
ているものの、レンズの耐衝撃性向上は達成されていな
い。
【0018】また、耐衝撃性向上を目的としたプライマ
ー層として、ポリウレタン樹脂を用いる方法が最近にな
って提案されている。例えば、特開昭63−14001
号公報、特開昭63−87223号公報、特開平3−1
09502号公報、特開平4−366801号公報、特
開平5−25299号公報。特開昭63−14001号
公報、特開昭63−87223号公報に開示された方法
は、ポリウレタンの樹脂溶液をプラスチックレンズに塗
布したのち、溶剤を揮発させてポリウレタン樹脂層を得
る方法で、得られるポリウレタンは架橋構造を有しない
所謂熱可塑性の樹脂である。
【0019】このポリウレタン系の層(従来のプライマ
ー層)を設けたプラスチックレンズにハードコート層を
さらに設けるために、レンズをハードコート液に浸す
と、プライマー層のポリウレタンがハードコート液の溶
剤に溶解し、ハードコート液中に溶け出して、ハードコ
ート液をしばしば汚染する。また、溶剤による侵食を受
けてプライマー層の透明性が失われ、白濁化することが
多い。
【0020】また、特開昭61−114203号公報に
は、アクリルポリオールと多官能有機イソシアネート化
合物からなるプライマー組成物を塗布し、硬化させて架
橋構造をもつポリウレタン層を形成することが開示され
ているが、常温で活性水素と反応しうるイソシアネート
化合物を用いるので、ポリオールの水酸基とイソシアネ
ート基の反応がプライマー塗布液の保存中にも進行す
る。そのため、プライマー塗布液のポットライフをあま
り長くできない問題点を有する。また、架橋構造をもつ
いわゆる熱硬化性樹脂となるため、膜の剥離が不可能と
なる。
【0021】プライマー塗布液のポットライフを改善し
たポリウレタン系プライマー層に関しては、特開平3−
109502号公報、特開平4−366801号公報、
特開平5−25299号公報おいて、多官能有機イソシ
アネート化合物とポリオール化合物を用いて架橋構造を
もつ熱硬化性ポリウレタン樹脂のプライマーを形成させ
る際に、多官能有機イソシアネート中のイソシアネート
基に加熱により脱離するブロック剤を結合させ、室温以
下で保存する場合は、ポリオール側の活性水素と有機イ
ソシアネート側のイソシアネート基との反応が進まない
ように制御している。
【0022】しかし、ブロック剤の完全な脱離には、1
00度以上での高温加熱が必要である。高温加熱処理
は、耐熱性の弱いプラスチックレンズに対しては、大き
な問題になる。また、プラスチックレンズの特性の一つ
として、任意色調への容易な染色性があるが、最も一般
に行われている有機染料による染色を施したプラスチッ
クレンズに、ブロック剤多官能有機イソシアネート化合
物とポリオール化合物を主成分するプライマー樹脂液を
塗布し、100度以上に加熱した場合、前記有機染料の
脱離が起こって、外観上及び加工上の大きな問題とな
る。また、熱硬化性ポリウレタン系樹脂であるため、一
度成膜したプライマー層の剥離は不可能であるという問
題点がある。
【0023】本発明は、このような従来の問題点に鑑み
てなされたもので、ハードコート層あるいは、ハードコ
ート層及び反射防止層の両層を設けたプラスチックレン
ズの耐衝撃性を向上させ、また比較的低温にて形成で
き、更に一旦形成させた後でも、容易に除去可能なプラ
イマー層をプラスチックレンズとハードコート層との間
に設けたプラスチックレンズを用いたEC調光レンズの
提供を目的とする。
【0024】
【課題を解決するための手段】そのため、本発明は第一
に「第一プラスチックレンズと第二プラスチックレンズ
との間に少なくとも、第一電極層、エレクトロクロミッ
ク層、イオン導電層、および第二電極層からなるエレク
トロクロミック素子を形成してなるエレクトロクロミッ
ク調光プラスチックレンズにおいて、前記第一プラスチ
ックレンズ上及び/又は前記第二プラスチックレンズ上
に、ポリビニルアセタール樹脂からなるプライマー層を
又はポリビニルアセタール樹脂を主成分とするプライマ
ー層を設け、かつ該プライマー層上にハードコート層を
設けたことを特徴とするエレクトロクロミック調光プラ
スチックレンズ(請求項1)」を提供する。
【0025】また、本発明は第二に「第一プラスチック
レンズと第二プラスチックレンズとの間に少なくとも、
第一電極層、第一エレクトロクロミック層、イオン導電
層、第二エレクトロクロミック層、および第二電極層か
らなるエレクトロクロミック素子を形成してなるエレク
トロクロミック調光プラスチックレンズにおいて、前記
第一プラスチックレンズ上及び/又は前記第二プラスチ
ックレンズ上に、ポリビニルアセタール樹脂からなるプ
ライマー層を又はポリビニルアセタール樹脂を主成分と
するプライマー層を設け、かつ該プライマー層上にハー
ドコート層を設けたことを特徴とするエレクトロクロミ
ック調光プラスチックレンズ(請求項2)」を提供す
る。
【0026】また、本発明は第三に「前記ポリビニルア
セタール樹脂が架橋構造を有することを特徴とする請求
項1又は2記載のエレクトロクロミック調光プラスチッ
クレンズ(請求項3)」を提供する。また、本発明は第
四に「前記ハードコート層上に更に無機物質からなる単
層又は多層の反射防止層を設けたことを特徴とする請求
項1〜3記載のエレクトロクロミック調光プラスチック
レンズ(請求項4)」を提供する。
【0027】また、本発明は第五に「前記プライマー層
が前記第一プラスチックレンズ及び/又は前記第二プラ
スチックレンズ上に、ポリビニルアセタール樹脂溶液を
塗布し、加熱処理することにより形成されていることを
特徴とする請求項1又は2又は4記載のエレクトロクロ
ミック調光プラスチックレンズ(請求項5)」を提供す
る。
【0028】また、本発明は第六に「前記プライマー層
が前記第一プラスチックレンズ及び/又は前記第二プラ
スチックレンズ上に、ポリビニルアルコール、アルデヒ
ドを含有する酸性溶液を塗布し、加熱処理することによ
り形成されていることを特徴とする請求項1又は2又は
4記載のエレクトロクロミック調光プラスチックレンズ
(請求項6)」を提供する。
【0029】また、本発明は第七に「前記プライマー層
が前記第一プラスチックレンズ及び/又は前記第二プラ
スチックレンズ上に、ポリビニルアセタール樹脂及び架
橋剤を含有する酸性溶液を塗布した後、加熱処理するこ
とにより形成されたことを特徴とする請求項3又は4記
載のエレクトロクロミック調光プラスチックレンズ(請
求項7)」を提供する。
【0030】また、本発明は第八に「前記プライマー層
が前記第一プラスチックレンズ及び/又は前記第二プラ
スチックレンズ上に、ポリビニルアルコール、アルデヒ
ド及び架橋剤を含有する酸性溶液を塗布した後、加熱処
理することにより形成されたことを特徴とする請求項3
又は4記載のエレクトロクロミック調光プラスチックレ
ンズ(請求項8)」を提供する。
【0031】また、本発明は第九に「前記プライマー層
に可塑剤を含有させたことを特徴とする請求項1〜8記
載のエレクトロクロミック調光プラスチックレンズ(請
求項9)」を提供する。
【0032】
【作用】プラスチックレンズ上に、ポリビニルアセター
ル樹脂からなるプライマー層を又はポリビニルアセター
ル樹脂を主成分とするプライマー層を設けると、その上
にハードコート層を、或いは更にハードコート層上に無
機物質の蒸着による単層又は多層の反射防止層を設けて
も、プラスチックレンズの耐衝撃性が優れ、このような
プラスチックレンズを用いたEC調光レンズも耐衝撃性
に優れることを見いだして、本発明はなされるに至っ
た。
【0033】即ち、本発明にかかるEC調光レンズは耐
衝撃性に優れ、米国FDA規格の耐衝撃性試験に合格す
る。本発明のEC調光レンズに使用できるプラスチック
レンズ基材としては、液状硬化性化合物に触媒、及び必
要に応じて紫外線吸収剤や光安定剤など、公知の添加剤
を添加して鋳型内に注入した後、加熱又は紫外線照射な
どの方法により重合させてプラスチックレンズ形状にし
たものである。
【0034】液状硬化物としては、従来のプラスチック
レンズの製造に用いられている液状硬化性化合物を含む
広範囲の液状硬化性化合物が適用できるが、特に、その
主鎖及び/又は側鎖に、ベンゼン環、ナフタレン環、カ
ーボネート結合、エステル結合、ウレタン結合のうちの
1種又は2種以上の官能基を有する液状硬化性化合物に
対して本発明は有効である。
【0035】前記官能基を有する化合物を例示すると、
エチレングリコールビスアリルカーボネート、スチレ
ン、αーメチルスチレン、クロロスチレン、フェニル
(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレー
ト、ビニルナフタレン、ナフチル(メタ)アクリレー
ト、テトラブロモビスフェノールA誘導体の(ジ)(メ
タ)アクリレート、ジビニルベンゼン、テトラブロモビ
スフェノールA誘導体のジアリルカーボネート、メチル
メタアクリレート、(ジ)エチレングリコールジ(メ
タ)アクリレート。2ーヒドロキシエチル(メタ)アク
リレート、3ーヒドロキシルプロピル(メタ)アクリレ
ート、2,3ーヒドロキシプロピル(メタ)アクリレー
ト等のヒドロキシ(メタ)アクリレートとキシリレンジ
イソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ヘキサ
メチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシア
ネートの環状3量体等の多官能(ポリ)イソシアネート
の反応物、ジ(2ーメルカプトエチル)エーテル、1,
2−エタンジチオール、ジ(2ーメルカプトエチル)ス
ルフィド、2ーメルカプトエタノール、ペンタエリスリ
トールテトラキスー3ーメルカプトプロピオネート、4
ーメルカトメチルー3,6−ジチア−1,8−オクタン
ジオ−ル等のチオール化合物と多官能基(ポリ)イソシ
アネートの反応物等及びこれらの混合物である。
【0036】本発明にかかる(1)ポリビニルアセター
ル樹脂からなるプライマー層又はポリビニルアセタール
樹脂を主成分とするプライマー層の形成は、プラスチ
ックレンズ上に、ポリビニルアセタール樹脂の酸性溶液
を塗布した後、加熱処理して溶剤を揮発させて行うプラ
イマー層の形成、プラスチックレンズ上に、ポリビニ
ルアルコール化合物、アルデヒドを含有する酸性溶液を
塗布した後、加熱処理してポリビニルアルコール化合物
中の水酸基をアルデヒドによりアセタール化する反応を
起こさせると共に溶剤を揮発させて行うプライマー層の
形成、のどちらの方法でも可能である。
【0037】さらに、本発明にかかる(2)架橋された
ポリビニルアセタール樹脂からなるプライマー層又は架
橋されたポリビニルアセタール樹脂を主成分とするプラ
イマー層の形成は、プラスチックレンズ上に、ポリビ
ニルアセタール樹脂と架橋剤を含有する酸性溶液を塗布
した後、加熱処理して架橋反応を起こさせると共に溶剤
を揮発させて行うプライマー層の形成、プラスチック
レンズ上に、ポリビニルアルコール化合物、アルデヒド
及び架橋剤を含有する酸性溶液を塗布した後、加熱処理
してポリビニルアルコール化合物中の水酸基をアルデヒ
ドによりアセタール化する反応と架橋反応を起こさせる
と共に溶剤を揮発させて行うプライマー層の形成、のど
ちらの方法でも可能である。
【0038】本発明にかかる、(1)ポリビニルアセタ
ール樹脂からなるプライマー層、又はポリビニルアセタ
ール樹脂を主成分とするプライマー層を形成するの方
法において用いるポリビニルアセタール、及び(2)架
橋されたポリビニルアセタール樹脂からなるプライマー
層、又は架橋されたポリビニルアセタール樹脂を主成分
とするプライマー層を形成するの方法において用いる
ポリビニルアセタール樹脂は、アセタール部のアルキル
基の炭素数が0から20のものが利用でき、好ましくは
0から10のものである、またアルキル基部分の炭素鎖
は直鎖構造でなくてもかまわず枝分かれがあってもよ
い。特に好ましくはアルキル基の炭素数が3であるポリ
ビニルブチラールである。ポリビニルアセタールのアセ
タール化度は10から90%のものが使用でき、好まし
くは20から80%である。ポリビニルアセタールのア
セタール化度が10%未満では耐候性が低下し、衝撃強
度の改善が不十分である。またアセタール化度が90%
以上のポリビニルアセタールは合成が困難であり、合成
できたとしてもプラスチック基材との密着性の低下が予
測される。
【0039】ポリビニルアセタールの平均重合度は好ま
しくは5,000以下のものであるが、より好ましくは
100から3,000である。ポリビニルアセタールの
平均重合度が5,000より大きくなると、溶媒に溶解
しにくくなると共に、最適アセタール化度のポリビニル
アセタールを合成するのが困難である。また、ポリビニ
ルアセタールの平均重合度が100より小さくなると、
耐衝撃性の改善が不十分となる。酸性溶液中のポリビニ
ルアセタールの含有量は1〜30重量%が好ましく、2
〜20重量%がより好ましい。ポリビニルアセタールの
含有量が30重量%より大きくなると、酸性溶液の粘度
が高くなりすぎ、プラスチックレンズへの塗布が困難に
なり、塗布されたプライマー層が厚くなったり、塗布面
の均一性が失われたりする。また、ポリビニルアセター
ルの含有量が1重量%より小さくなると、塗布されたプ
ライマー層が薄いため耐衝撃性が不十分となる。
【0040】硬化触媒としては酸性触媒が有効である。
例えば、塩酸、硝酸、硫酸、リン酸などの無機酸、ギ
酸、酢酸、安息香酸、フタル酸、メタンスルホン酸、ベ
ンゼンスルホン酸、アルキル基の炭素数が1〜8のアル
キルベンゼンスルホン酸などの有機酸、ジブチルスズジ
ラウレート、ジブチルスズジオクテート、ジブチルスズ
ジアセテートなどの有機スズ化合物を用いることができ
る。特に好ましいのは、塩酸、硝酸などの無機酸、およ
びメタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエ
ンスルホン酸などの有機酸、および有機スズ化合物であ
る。これらは単独で用いてもよいし、2種類以上の触媒
を混合して用いてもよい。プライマー組成物中の硬化触
媒の含有量は、0.002〜10重量%が好ましく、
0.005〜2重量%がより好ましい。
【0041】溶媒としては、炭化水素類、ハロゲン化炭
化水素類アルコール類、ケトン類、エステル類、エーテ
ル類があり、その他公知の溶媒で、ポリビニルアセター
ルをよく溶解するものが好ましい。特にメタノール、エ
タノール、プロパノール、ブタノール、ヘキサノール、
メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、プロピルセロソ
ルブ、ブチルセロソルブ、アセトン、メチルエチルケト
ン、メチルイソブチルケトン、ジエチルケトン、テトラ
ヒドロフラン、ジオキサン、酢酸、酢酸メチル、酢酸エ
チルが好ましく、これらは単独で用いてもよいし、2種
類以上の混合溶剤として用いてもよい。
【0042】架橋されていないポリビニルアセタール樹
脂は、アルコール類やケトン類の溶剤に可溶である。ま
た、プライマー層形成後に形成されるハードコート層
(例えば、ケイ素系樹脂からなる)の形成法は、湿式法
と乾式法に大別される。乾式法の場合は、プラズマを用
いるCVDによりハードコート層を形成するので、プラ
イマー層の溶剤に対する可溶性の問題は生じないが、現
在の一般的な形成法である湿式法では、ハードコート塗
布用の溶液を用いている。この溶液の主な溶剤にアルコ
ール類やケトン類を用いる場合が多い。
【0043】従って、プライマー層が架橋されていない
ポリビニルアセタール樹脂の場合、ハードコート塗布時
にプライマー層がハードコート塗布液に溶けて塗布液を
汚染したり、プライマー層が溶剤のアタックを受けて、
透明性が低減したり白化したりする。そこで、本発明で
は、ポリビニルアセタール樹脂を架橋することにより、
耐アルコール性及び耐ケトン性を付与した。
【0044】本発明では、ポリビニルアセタール樹脂中
の残存水酸基が架橋に利用でき、またポリアセタール樹
脂中のアセタール結合は酸性条件下にて平衡反応である
ことを利用し、生ずる水酸基を架橋反応に利用すること
ができる。このため、架橋構造を形成するための架橋剤
としては水酸基と反応する官能基を一分子中に2つ以上
もっている分子が使用できる。
【0045】架橋剤としては(1)ジアルデヒド化合物
またはジアルデヒドのアセタール化合物(2)加水分解
性オルガノシラン化合物(3)加水分解性オルガノシラ
ン化合物とジアルデヒド化合物の混合系、または加水分
解性オルガノシラン化合物とジアルデヒドのアセタール
化合物の混合系が用いられる。ジアルデヒド化合物の場
合は、アルデヒド基が触媒の作用によりポリビニルアセ
タール中の水酸基と反応するか、もしくはアルキルアセ
タール基との間のアセタール交換反応により新たにアセ
タール結合を形成する。ジアルデヒド化合物は分子内に
2つのアルデヒド基を有しているため、ポリビニルアセ
タールの分子間もしくは分子内での架橋が行われる。す
なわち3次元的に架橋することが可能である。ジアルデ
ヒドのアセタール化合物の場合は、水および酸性触媒と
の共存下では対応するジアルデヒドとの平衡関係にある
ため、架橋反応機構としてはジアルデヒドの場合と全く
同様であると考えられる。ジアルデヒド化合物またはジ
アルデヒドのアセタール化合物は単独で用いてもよい
し、2種類以上のジアルデヒド化合物を混合して用いて
もよい。前記化合物を例示すると、グリオキサール、グ
ルタルアルデヒド、ヘキサンジアール、2−ヒドロキシ
ヘキサンジアール、マロンアルデヒドテトラメチルアセ
タール、マロンアルデヒドテトラエチルアセタール、グ
ルタルアルデヒドテトラメチルアセタール、グルタルア
ルデヒドテトラエチルアセタールなどである。
【0046】溶液中のジアルデヒド化合物またはジアル
デヒドのアセタール化合物の添加量は0.01〜30重
量%が好ましく0.1〜20重量%が特に好ましい。加
水分解性オルガノシラン化合物の場合は、オルガノシラ
ン化合物中の加水分解基が加水分解してシラノール基が
生成し、触媒の作用と熱によりポリビニルアセタール中
の水酸基と脱水縮合することにより分子間もしくは分子
内で架橋が行われる。すなわち3次元的に架橋が可能で
ある。
【0047】架橋にあずかる分子は、オルガノシラン化
合物の加水分解物またはその縮合物である。オルガノシ
ラン化合物はそのまま添加されてもよいし、あらかじめ
加水分解されたものが添加されてもよい。また、1種類
のオルガノシラン化合物を単独で用いてもよいし、2種
類以上のオルガノシラン化合物を混合して用いてもよ
い。オルガノシラン化合物としては、加水分解基がハロ
ゲン原子であるハロシラン化合物類、加水分解基がカル
ボキシ基であるカルボキシシラン化合物類、加水分解基
がケトオキシム基であるケトオキシムシラン化合物類、
もしくは加水分解基がアルコキシ基であるアルコキシシ
ラン化合物類などが好ましく、アルコキシシラン化合物
類がより好ましい。前記化合物を例示すると、ジメチル
ジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジエチ
ルジメトキシシラン、ジエチルジエトキシシラン、フェ
ニルメチルジメトキシシラン、フェニルメチルジエトキ
シシラン、γ−クロロプロピルメチルジメトキシシラ
ン、γ−クロロプロピルメチルジエトキシシラン、γ−
メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−
メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−
メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メル
カプトプロピルメチルジエトキシシラン、γ−アミノプ
ロピルメチルジメトキシシラン、γ−アミノプロピルメ
チルジエトキシシラン、メチルビニルジメトキシシラ
ン、メチルビニルジエトキシシラン、γ−グリシドキシ
プロピルメチルジメトキシシラン、γ−グリシドキシプ
ロピルメチルジエトキシシラン、メチルトリメトキシシ
ラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリプロポキ
シシラン、メチルトリブトキシシラン、メチルトリス
(2−メトキシエトキシ)シラン、エチルトリメトキシ
シラン、エチルトリエトキシシラン、エチルトリプロポ
キシシラン、エチルトリブトキシシラン、エチルトリス
(2−メトキシエトキシ)シラン、プロピルトリメトキ
シシラン、プロピルトリエトキシシラン、ブチルトリメ
トキシシラン、ブチルトリエトキシシラン、ヘキシルト
リメトキシシラン、ヘキシルトリエトキシシラン、ビニ
ルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビ
ニルトリス(2−メトキシエトキシ)シラン、フェニル
トリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、γ
−クロロプロピルトリメトキシシラン、γ−クロロプロ
ピルトリエトキシシラン、3,3,3−トリフルオロプ
ロピルトリメトキシシラン、3,3,3−トリフルオロ
プロピルトリエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロ
ピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピル
トリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシ
シラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−
メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプ
トプロピルトリエトキシシラン、クロロメチルトリメト
キシシラン、クロロメチルトリエトキシシラン、N−
(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキ
シシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロ
ピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルト
リメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエト
キシシラン、(3,4−エポキシシクロヘキシルメチ
ル)トリメトキシシラン、(3,4−エポキシシクロヘ
キシルメチル)トリエトキシシラン、β−(3,4−エ
ポキシシクロヘキシルエチル)トリメトキシシラン、β
−(3,4−エポキシシクロヘキシルエチル)トリエト
キシシラン、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシ
ラン、テトラプロポキシシラン、テトラブトキシシラ
ン、1,1−ビス(トリメトキシシリル)エタン、1,
1−ビス(トリエトキシシリル)エタン、1,2−ビス
(トリメトキシシリル)エタン、1,2−ビス(トリエ
トキシシリル)エタン、1,3−ビス(トリメトキシシ
リル)プロパン、1,3−ビス(トリエトキシシリル)
プロパン、2,2−ビス(トリメトキシシリル)プロパ
ン、2,2−ビス(トリエトキシシリル)プロパン、な
どがあげられる。プライマー組成物中のオルガノシラン
化合物の添加量は0.01〜30重量%、が好ましく、
0.1〜20重量%がより好ましい。
【0048】加水分解性オルガノシラン化合物とジアル
デヒド化合物の混合系、または加水分解性オルガノシラ
ン化合物とジアルデヒドのアセタール化合物の混合系の
場合は、前記記載のジアルデヒド化合物またはジアルデ
ヒドのアセタール化合物の反応と加水分解性オルガノシ
ランの反応と同様な反応が混合系でおこる。溶液中のジ
アルデヒド化合物またはジアルデヒドのアセタール化合
物の添加量としては0.01〜30重量%であるが、オ
ルガノシラン化合物の50モル%以下が好ましい。ジア
ルデヒド化合物またはジアルデヒドのアセタール化合物
の添加量がオルガノシラン化合物の添加量の50モル%
を越えると耐衝撃性が低下する。
【0049】溶液中には、若干の水が添加される.添加
量としては0.1〜20重量%である.水の添加量が多
すぎると、使用する有機溶媒によってはプライマー塗布
面の平滑性が失われ、逆に水の添加量が少なすぎると、
溶液のポットライフが短くなる.さらに、塗布性の改善
を目的とした各種レベリング剤または耐侯性の向上を目
的とした紫外線吸収剤や酸化防止剤、さらに染料や顔
料、その他プライマー層の性能や機能を高める公知の添
加剤を併用することができる。
【0050】また、可塑剤をポリビニルアセタール樹脂
に0〜60重量%共存含有させてプライマー層を形成す
ると、プラスチックECレンズの耐衝撃性を更に向上さ
せることができるので好ましい。この可塑剤には、ポリ
ビニルアセタール樹脂に一般的に用いられる可塑剤が使
用できる。例えば、エチレングリコールの脂肪酸エステ
ル、ジエチレングリコールの脂肪酸エステル、トリエチ
レングリコールの脂肪酸ジエステル、テトラエチレング
リコールの脂肪酸ジエステル、脂肪族カルボン酸の脂肪
族ジエステル、リン酸の脂肪酸エステル、フタル酸の脂
肪酸エステル等である。
【0051】架橋されたポリビニルアセタール樹脂から
なるプライマー層、又は架橋されたポリビニルアセター
ル樹脂を主成分とするプライマー層は、3次元的な架橋
構造をとっているため、湿式法によりハードコート層を
形成する際に、ポリビニルアセタールその他の物質がハ
ードコート液に溶解し、ハードコート液を汚染すること
もない。さらに本発明におけるプライマー組成物の主剤
であるポリビニルアセタールの適度な水酸基と、プラス
チックレンズ表面の極性基との水素結合によりプライマ
ー層とプラスチックレンズとの十分な密着性を達成し、
ポリビニルアセタールの適度な水酸基と、ハードコート
層中のシラノール基との反応によりプライマー層とハー
ドコート層との十分な密着性を達成しているものと考え
られる。
【0052】次に、本発明にかかる、(1)ポリビニル
アセタール樹脂からなるプライマー層、又はポリビニル
アセタール樹脂を主成分とするプライマー層を形成する
の方法において用いるポリビニルアルコール、及び
(2)架橋されたポリビニルアセタール樹脂からなるプ
ライマー層、又は架橋されたポリビニルアセタール樹脂
を主成分とするプライマー層を形成するの方法におい
て用いるポリビニルアルコールとしては、重合度が50
00以下のものを使用することができ、好ましくは重合
度が500〜2000のポリビニルアルコール化合物で
ある。
【0053】アルデヒドは、炭素数が1から21のもの
が使用でき、好ましくは1〜10のものである。また、
アルキル基部分の炭素鎖は直鎖構造でなくてもよく、枝
分かれがあってもよい。また、アルデヒドの量は、ポリ
ビニルアルコールに対して10〜100モル%濃度の範
囲で使用でき、好ましくは30〜80モル%のアルデヒ
ドである。アルデヒドが10モル%未満では耐候性が低
下する。
【0054】硬化触媒、溶媒、架橋剤、可塑剤は、前記
のものと同様のものが使用できる。プラスチックレンズ
表面にプライマー層を形成するために溶液を塗布する塗
布方法は、スピンコート法、ディッピング法など公知の
方法であれば特に制限はない。また、プラスチックレン
ズ基材表面は必要に応じてアルカリ処理、プラズマ処
理、紫外線処理等の前処理を行っておくことが好まし
い。プラスチックレンズ表面に塗布された溶液を硬化さ
せてプライマー層を形成するには、50〜120℃、好
ましくは70〜110℃で1〜60分加熱すればよい。
加熱処理により、塗布された溶液中の加水分解されたオ
ルガノシラン化合物、ジアルデヒド化合物またはジアル
デヒドのアセタール化合物とポリビニルアセタール中に
含まれる水酸基とが脱水縮合してポリビニルアセタール
分子が架橋されるとともに、縮合反応により生成した水
およびあらかじめプライマー組成物中に含まれていた有
機溶媒と水が蒸発する。こうしてプラスチックレンズ表
面に3次元的に架橋されたポリビニルアセタールのプラ
イマー層が形成される。
【0055】プライマー層として必要な厚さは、0.0
5から5μmである。0.05μmより薄いと耐衝撃性
は著しく劣り、5μmより厚いと面精度が低下する。よ
り好ましくは、0.2から5μmである。本発明にかか
るプライマー層上には、表面硬度を向上させるためのハ
ードコート層(例えば、シリコン系樹脂層)が設けられ
る。ハードコート層の形成は湿式法、乾式法(例えば、
コロイダルシリカ及びシランカップリング剤を主成分と
する湿式法、乾式法)のどちらでもよく、公知の方法に
て形成することができる。
【0056】ハードコート層の上に更に、反射防止層を
設けることが好ましい(例えば、反射防止能を有する無
機化合物の蒸着膜を公知の方法により形成する)。本発
明にかかるECDの積層構造は、特にどれと限定される
ものではないが、固体型ECDの構造としては、例えば
電極層/EC層(狭義)/イオン導電層(接着層を兼
ねてもよい)/電極層のような4層構造、電極層/還
元着色型EC層(狭義)/イオン導電層(接着層を兼ね
てもよい)/可逆的電解酸化層/電極層のような5層構
造があげられる。
【0057】透明電極層の材料としては、例えば、Sn
2、In2、O3、ITO、ZnOなどが使用される。
このような電極層は、一般には真空蒸着、イオンプレー
ティング、スパッタリングなどの真空薄膜形成技術で形
成される。還元着色型EC層には、一般にWO3、Mo
3等が使用される。イオン導電層には、例えば、酸化
ケイ素、酸化タンタル、酸化チタン、酸化アルミニウ
ム、酸化ニオブ、酸化ジルコニウム、酸化ハフニウム、
酸化ランタン、フッ化マグネシウム等が使用される。
【0058】イオン導電層は、電子に対して絶縁体であ
るが、プロトン(H+)及びヒドロキシイオン(OH-
に対しては良導体となる。EC層の着消色反応にはカチ
オンが必要とされ、H+やLi+をEC層その他に含有さ
せる必要がある。H+は初めからイオンである必要はな
く、電圧が印加された時にH+が生じればよく、従って
+の代わりに水を含有させてもよい。この水は、非常
に少なくて十分であり、しばしば大気中から自然に侵入
する水分でも着消色する。
【0059】EC層とイオン導電層とは、どちらを上に
しても下にしてもよい。更にEC層に対して間にイオン
導電層を挟んで(場合により酸化着色性EC層ともな
る)可逆的電解酸化層ないし触媒層を配設してもよい。
このような層としては、例えば酸化ないし水酸化イリジ
ウム、同じくニッケル、同じくクロム、同じくバナジウ
ム、同じくルテニウム、同じくロジウム等があげられ
る。これらの物質は、イオン導電層または透明電極層中
に分散されていてもよいし、逆にそれらを分散していて
もよい。
【0060】その他のEC物質として、例えば、酸化チ
タン、酸化コバルト、酸化鉄、酸化ケイ素、酸化鉛、酸
化銅、硫化鉄、酸化ビスマス、硫化ニオブ等の金属酸化
物や金属硫化物の他、ハイドロキノン誘導体、ベルリン
酸鉄誘導体、金属フタロシアニン誘導体(Co,Fe,
Zn,Ni,Cuの各フタロシアニン誘導体)、プルシ
アンブルー、プルシアンブルー類似化合物、窒化インジ
ウム、窒化スズ、窒化塩化ジルコニウム、ビオロゲン系
有機EC材料、スチリル系有機EC材料、ポリアニリン
等がEC層に使用できる。
【0061】イオン導電層の他の例としては、イオン導
電性及び接着性を有する層が使用可能であり、例えば、
(A)ポリ(2−アクリルアミド−2−メチルプロパン
スルホン酸)、ポリ(スチレン−スルホン酸)、ポリ
(エチレン−スルホン酸)、ポリビニルスルホン酸、フ
ッ素化共重合体等からなる重合体、(B)第1の単量体
〔例えば、ビニルスルホン酸、ビニルスルホン酸ナトリ
ウム、フッ化ビニルスルホニル〕と第2の単量体〔例え
ば、ビニルピロリジノン、ブチルビニルエーテル、エチ
ルビニルエーテル、イソプロピルビニルエーテル、シク
ロヘキシルビニルエーテル、イソブチレン〕との共重合
体、(C)前記第1の単量体及び前記第2の単量体とス
チレンスルホン酸ナトリウムとの共重合体、(D)親水
性アクリレート単量体〔例えば、ポリ(エチレンオキシ
ド)ジメタクリレート、エトキシトリエチレン グリコ
ール メタクリレート、エチレンオキシド- ジメチルシ
ロキサン アクリレート、ヒドロキシプロピル アクリ
レート、エチル アクリレート〕とスルホン酸単量体
〔例えば、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンス
ルホン酸、スチレン−スルホン酸、エチレン−スルホン
酸、ビニルスルホン酸〕との共重合体、等からなる層が
ある。
【0062】また、イオン導電性、エレクトロクロミッ
ク性及び接着性を有する層も使用可能であり、例えば、
前記イオン導電性及び接着性を有する層の材料に、前記
エレクトロクロミック物質を分散させたものが使用でき
る。ECDは剥き出しのままでは劣化しやすいので、2
枚の基板(レンズ)間に形成されて使用される。例え
ば、1枚の基板(レンズ)上にECDを形成した場合に
は、露出したECDを封止樹脂及び封止基板(レンズ)
により封止する。また、ECDを構成する各層を2枚の
基板(レンズ)に分けて形成した場合には、ECDを構
成する前記イオン導電性及び接着性を有する層や、前記
イオン導電性、エレクトロクロミック性及び接着性を有
する層により、2枚の基板(レンズ)を貼り合わせてE
CDを封止する。
【0063】前記封止剤には、例えば、エポキシ樹脂、
ウレタン系樹脂、アクリル系樹脂、酢酸ビニール系樹
脂、変成ポリマー系などの透明材料が好ましいが、これ
らに限定されるものではない。以下、本発明を実施例に
より更に詳細に説明するが、本発明はこれらの例に限定
されるものではない。
【0064】
【実施例】 [実施例1] (1−1)プラスチックレンズ基材の製造 モノマーとしてジエチレングリコールビスアリルカーボ
ネ−ト(CR39)を、ラジカル開始剤としてIPP(ジイ
ソプロピルパーオキシジカーボネート)を用いて、通常
のプラスチックレンズ製造法と同様の操作を行い、度数
がー3.00ジオプタ、中心厚が1.00mmの内部歪の
ない光学用プラスチックレンズを製造し、これをレンズ
基材4とした。 (1−2)プライマー層用塗布溶液の調製塗布及び層形
成 ブチラール化度が70%のポリビニルブチラール樹脂
(和光純薬工業株式会社製)300gをn−ブタノール3
kgに溶解しプライマー用塗布用液を調整した。 (1−3)プライマー層塗布及びプライマー層の形成 このプライマー層用塗布溶液を、前処理としてアルカリ
処理を行った(1−1)項記載のプラスチックレンズ基
材の両表面にデイピング法(引き上げ速度2.0mm/
秒)にて塗布した後、このプラスチックレンズを60℃
で4時間熱処理をしてプライマー層を硬化させて、プラ
スチックレンズ基材上に2.0μmのプライマー層3を
形成した。 (1−4)ハードコート層及び反射防止層の形成 通常用いられている方法と同様に、(1−2)項記載の
プライマー層3が形成されたプラスチックレンズ表面上
にプラズマを用いる CVDによる乾式法で1.5μmの膜
厚のハードコート層を形成し、更にその表面に、通常用
いられている方法と同様な操作により(蒸着法により)
無機物質の多層膜からなる反射防止層1を形成して、プ
ライマー層3、ハードコート層2、及び反射防止層1を
設けたプラスチックレンズを形成した。 (1−5)EC調光レンズの作製 公知の方法により、(1−4)項記載のプラスチックレ
ンズ上にECD5を形成し、更に封止用の(1−4)項
記載のプラスチックレンズをエポキシ樹脂接着剤6によ
り接着して、EC調光プラスチックレンズを作製した。 (1−6)試験 米国FDA規格の耐衝撃性試験に基づき、EC調光レンズ
の剛球落下試験を行った.即ち、約16.4gの剛球を
127cmの高さから、レンズ中心部へ向かって自然落下
させて試験を行った.試験はFDA規格に基づき合格か不
合格かで判断した。評価結果は合格であった。
【0065】[実施例2]実施例1におけるプライマー
層用塗布溶液調整するに当たり、その塗布液混合物へ更
に可塑剤としてトリエチレングリコール−ジ−2−ジブ
チレート100gを加えプライマー層用塗布溶液とし、
以下、実施例1の(1−2)〜(1−5)と同様に行
い、EC調光プラスチックレンズを作製し、(1−6)
と同様な方法で性能評価を行った。評価結果は合格であ
った。
【0066】[実施例3]実施例1におけるプライマー
層用塗布溶液を調整するに当たり、平均重合度が150
0のポリビニルアルコール樹脂(和光純薬工業株式会社
製)300gを水1.7kgに溶解し、エタノール2l、ブ
チルアルデヒド230ml、2規定塩酸290mlを順次加
え、この混合物が均一状態になるまで十分に攪拌しプラ
イマー層用塗布溶液を調整した.このプライマー層用塗
布溶液を、前処理としてアルカリ処理を行った(1−
1)項記載のプラスチックレンズ基材の両表面にデイピ
ング法(引き上げ速度2.0mm/秒)にて塗布した後、
このプラスチックレンズを60℃で4時間熱処理をして
プライマー層を硬化させて、プラスチックレンズ基材上
に2.0μmのプライマー層3を形成した。
【0067】以下、実施例1の(1−4)、(1−5)
と同様に行い、EC調光プラスチックレンズを作製し、
(1−6)と同様な方法で性能評価を行った。評価結果
は合格であった。 [実施例4]実施例3におけるプライマー層用塗布溶液
を調整するに当たり、その塗布液混合物へ更に可塑剤と
してトリエチレングリコール−ジ−2−ジブチレート1
00gを加えてプライマー層用塗布溶液とし、以下、実
施例1の(1−2)〜(1−5)と同様に行い、EC調
光プラスチックレンズを作製し、(1−6)と同様な方
法で性能評価を行った。評価結果は合格であった。
【0068】[実施例5]実施例1におけるプライマー
層用塗布溶液を調整するに当たり、ブチラール化度が7
0%のポリビニルブチラール樹脂(和光純薬工業株式会
社製)300gをn−ブタノール1700gに溶解し、メ
タノール1l、水500ml、50%グルタルアルデヒド
水溶液120g、及び2規定塩酸290mlを順次加え、
この混合物が均一状態になるまで十分い攪拌し、プライ
マー用塗布用液を調整した.このプライマー層用塗布溶
液を、前処理としてアルカリ処理を行った(1)項記載
のプラスチックレンズ基材の両表面にデイピング法(引
き上げ速度2.0mm/秒)にて塗布した後、このプラス
チックレンズを60℃で4時間熱処理をしてプライマー
層を硬化させて、プラスチックレンズ基材上に2.0μ
mのプライマー層3を形成した。
【0069】以下、実施例1の(1−4)、(1−5)
と同様に行い、EC調光プラスチックレンズを作製し、
(1−6)と同様な方法で性能評価を行った。評価結果
は合格であった。 [実施例6]実施例5におけるプライマー層用塗布溶液
を調整するに当たり、その塗布液混合物に更に、可塑剤
としてトリエチレングリコール−ジ−2−ジブチレート
100gを加えてプライマー層用塗布溶液とし、以下、
実施例1の(1−2)〜(1−5)と同様に行い、EC
調光プラスチックレンズを作製し、(1−6)と同様な
方法で性能評価を行った。評価結果は合格であった。
【0070】[実施例7]実施例1におけるプライマー
層用塗布溶液を調整するに当たり、平均重合度が150
0のポリビニルアルコール樹脂(和光純薬工業株式会社
製)300gを水1.7kgに溶解し、エタノール2l、5
0%グルタルアルデヒド水溶液68g、ブチルアルデヒ
ド230ml、2規定塩酸290mlを順次加え、この混合
物が均一状態になるまで十分に攪拌しプライマー層用塗
布溶液を調整した.このプライマー層用塗布溶液を、前
処理としてアルカリ処理を行った(1)項記載のプラス
チックレンズ基材の両表面にデイピング法(引き上げ速
度2.0mm/秒)にて塗布した後、このプラスチックレ
ンズを60℃で4時間熱処理をしてプライマー層を硬化
させて、プラスチックレンズ基材上に2.0μmのプラ
イマー層3を形成した。
【0071】以下、実施例1の(1−4)、(1−5)
と同様に行い、EC調光プラスチックレンズを作製し、
(1−6)と同様な方法で性能評価を行った。評価結果
は合格であった。 [実施例8]実施例7におけるプライマー層用塗布溶液
を調整するに当たり、その塗布液混合物に更に、可塑剤
としてトリエチレングリコール−ジ−2−ジブチレート
100gを加えてプライマー層用塗布溶液とし、以下、
実施例1の(1−2)〜(1−5)と同様に行い、EC
調光プラスチックレンズを作製し、(1−6)と同様な
方法で性能評価を行った。評価結果は合格であった。
【0072】[実施例9] (9−1)プライマー層用塗布溶液の調製 市販のブチラール化度70%、平均重合度700のポリ
ビニルブチラール樹脂(和光純薬工業(株)製)70重
量部をn−ブタノール630重量部に溶解し、メタノー
ル400重量部、水100重量部と、架橋剤としてテト
ラメトキシシラン4.2重量部と、硬化触媒としてp−
トルエンスルホン酸1.2重量部と、レベリング剤とし
てフッ素系界面活性剤フロラードFC430(住友スリ
ーエム(株)製)1重量部を順次加え、この混合物が均
一状態になるまで十分に攪拌した後、3μmのメンブラ
ンフィルターで濾過しプライマー層用塗布溶液を調製し
た。 (9−2)プライマー層用塗布溶液の塗布およびプライ
マー層の形成 度数が−4.00ジオプタで、中心厚が1.0mmのC
R−39眼鏡用プラスチックレンズを、前処理として6
0℃の10%NaOH水溶液に5分間浸し、温水で洗浄
後乾燥した。このプラスチックレンズの凹面上にスピン
コート法(1,500RPM)にて(9−1)で調製し
たプライマー層用塗布溶液を塗布し、100℃で15分
間加熱処理してプライマー層を形成させた。 (9−3)シリコン系ハードコート液の調製 反応容器中に、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシ
シラン180重量部を入れ、マグネチックスターラーを
用いて激しく攪拌しながら、0.01規定塩酸水溶液4
0重量部を一度に添加し、1時間加水分解反応をおこさ
せ、部分的に縮合した加水分解物を作製した。
【0073】前記の加水分解物に市販のメタノールシリ
カゾル(日産化学(株)製、平均粒子径10〜20n
m)を630重量部と、硬化触媒としてアセチルアセト
ン鉄(II)4重量部と、レベリング剤としてフロラード
FC430 0.45重量部を順次加え、十分に攪拌混
合した後、3μmのメンブランフィルターで濾過しハー
ドコート液を調製した。 (9−4)シリコン系ハードコート液の塗布およびハー
ドコート層の形成 (9−2)で形成されたプライマー層の両面に、(9−
3)のシリコン系ハードコート液をディッピング法(引
き上げ速度2.0mm/秒)を用いて塗布した。塗布した
レンズを100℃で4時間加熱処理してハードコート層
を形成させた。 (9−5)反射防止膜の形成 (9−4)で形成されたハードコート層の両面に、Si
O2/ZrO2系の5層反射防止膜を真空蒸着法により形
成させた。 (9−6)EC調光レンズの作製 公知の方法により、(9−4)項記載のプラスチックレ
ンズ上にECD5を形成し、更に封止用の(9−4)項
記載のプラスチックレンズをエポキシ樹脂接着剤6によ
り接着して、EC調光プラスチックレンズを作製した. (9−7)試験 米国FDA規格の耐衝撃性試験に基づき、EC調光レンズ
の剛球落下試験を行った.即ち、約16.4gの剛球を
127cmの高さから、レンズ中心部へ向かって自然落下
させて試験を行った.試験はFDA規格に基づき合格か不
合格かで判断した。評価結果は合格であった。
【0074】[実施例10] (10−1)プライマー層用塗布溶液の調製 市販のブチラール化度25%、平均重合度2,400の
ポリビニルブチラール樹脂(和光純薬工業(株)製)7
0重量部をn−ブタノール630重量部に溶解し、メタ
ノール400重量部、水100重量部と、架橋剤として
テトラメトキシシラン8.5重量部と、硬化触媒として
p−トルエンスルホン酸1.2重量部と、レベリング剤
としてフロラードFC430 1重量部を順次加え、こ
の混合物が均一状態になるまで十分に攪拌した後、3μ
mのメンブランフィルターで濾過しプライマー層用塗布
溶液を調製した。
【0075】以下、実施例9の(9−2)〜(9−6)
と同様に行い、EC調光プラスチックレンズを作製し、
(9−7)と同様な方法で性能評価を行った。評価結果
は合格であった。 [実施例11] (11−1)プライマー層用塗布溶液の調製 市販のブチラール化度25%、平均重合度2,400の
ポリビニルブチラール樹脂70重量部をメチルエチルケ
トン630重量部に溶解し、メタノール450重量部、
水50重量部と、架橋剤としてテトラメトキシシラン
6.3重量部と、硬化触媒としてp−トルエンスルホン
酸1.2重量部と、レベリング剤としてフロラードFC
430 1重量部を順次加え、この混合物が均一状態に
なるまで十分に攪拌した後、3μmのメンブランフィル
ターで濾過しプライマー層用塗布溶液を調製した。 (11−2)プライマー層用塗布溶液の塗布およびプラ
イマー層の形成 度数が−4.00ジオプタで、中心厚が1.0mmのC
R−39眼鏡用プラスチックレンズを、前処理としてヤ
マト科学(株)製「プラズマリアクターPR501A」
を用い、酸素ガス圧力0.4Torr、出力200Wの
条件で10秒間プラズマ処理を行った。このプラスチッ
クレンズの凹面上にスピンコート法(1,500RP
M)にて(11−1)で調製したプライマー層用塗布溶
液を塗布し、100℃で15分間加熱処理してプライマ
ー層を形成させた。
【0076】以下、実施例9の(9−3)〜(9−6)
と同様に行い、EC調光プラスチックレンズを作製し、
(9−7)と同様な方法で性能評価を行った。評価結果
は合格であった。 [実施例12] (12−1)プライマー層用塗布溶液の調製 市販のブチラール化度70%、平均重合度700のポリ
ビニルブチラール樹脂70重量部をn−ブタノール63
0重量部に溶解し、メタノール400重量部、水100
重量部と、架橋剤としてγ−グリシドキシプロピルトリ
メトキシシラン6.6重量部と、硬化触媒としてp−ト
ルエンスルホン酸2.4重量部と、レベリング剤として
フロラードFC430 1重量部を順次加え、この混合
物が均一状態になるまで十分に攪拌した後、3μmのメ
ンブランフィルターで濾過しプライマー層用塗布溶液を
調製した。
【0077】以下、実施例9の(9−2)〜(9−6)
と同様に行い、EC調光プラスチックレンズを作製し、
(9−7)と同様な方法で性能評価を行った。評価結果
は合格であった。 [実施例13] (13−1)プライマー層用塗布溶液の調製 市販のブチラール化度25%、平均重合度2,400の
ポリビニルブチラール樹脂70重量部をメチルエチルケ
トン630重量部に溶解し、メタノール450重量部、
水50重量部と、架橋剤としてγ−グリシドキシプロピ
ルトリメトキシシラン9.9重量部と、硬化触媒として
p−トルエンスルホン酸2.4重量部と、レベリング剤
としてフロラードFC430 1重量部を順次加え、こ
の混合物が均一状態になるまで十分に攪拌した後、3μ
mのメンブランフィルターで濾過しプライマー層用塗布
溶液を調製した。
【0078】以下、実施例9の(9−2)〜(9−6)
と同様に行い、EC調光プラスチックレンズを作製し、
(9−7)と同様な方法で性能評価を行った。評価結果
は合格であった。 [実施例14] (14−1)プライマー層用塗布溶液の調製 市販のブチラール化度70%、平均重合度2,400の
ポリビニルブチラール樹脂70重量部をメチルエチルケ
トン630重量部に溶解し、メタノール450重量部、
水50重量部と、架橋剤としてγ−グリシドキシプロピ
ルトリメトキシシラン6.6重量部を0.01N塩酸水
溶液3重量部であらかじめ加水分解を行った溶液と、硬
化触媒としてp−トルエンスルホン酸1.2重量部と、
レベリング剤としてフロラードFC430 1重量部を
順次加え、この混合物が均一状態になるまで十分に攪拌
した後、3μmのメンブランフィルターで濾過しプライ
マー層用塗布溶液を調製した。
【0079】以下、実施例9の(9−2)〜(9−6)
と同様に行い、EC調光プラスチックレンズを作製し、
(9−7)と同様な方法で性能評価を行った。評価結果
は合格であった。 [実施例15] (15−1)プライマー層用塗布溶液の調製 市販のブチラール化度70%、平均重合度700のポリ
ビニルブチラール樹脂70重量部をn−ブタノール63
0重量部に溶解し、メタノール400重量部、水100
重量部と、架橋剤としてメチルトリメトキシシラン3.
8重量部と、硬化触媒としてp−トルエンスルホン酸
0.5重量部と、レベリング剤としてフロラードFC4
30 1重量部を順次加え、この混合物が均一状態にな
るまで十分に攪拌した後、3μmのメンブランフィルタ
ーで濾過しプライマー層用塗布溶液を調製した。
【0080】以下、実施例9の(9−2)〜(9−6)
と同様に行い、EC調光プラスチックレンズを作製し、
(9−7)と同様な方法で性能評価を行った。評価結果
は合格であった。 [実施例16] (16−1)プライマー層用塗布溶液の調製 市販のブチラール化度70%、平均重合度700のポリ
ビニルブチラール樹脂70重量部をn−ブタノール63
0重量部に溶解し、メタノール400重量部、水100
重量部と、架橋剤としてメチルトリメトキシシラン7.
6重量部と、硬化触媒としてp−トルエンスルホン酸
0.5重量部と、レベリング剤としてフロラードFC4
30 1重量部を順次加え、この混合物が均一状態にな
るまで十分に攪拌した後、3μmのメンブランフィルタ
ーで濾過しプライマー層用塗布溶液を調製した。
【0081】以下、実施例9の(9−2)〜(9−6)
と同様に行い、EC調光プラスチックレンズを作製し、
(9−7)と同様な方法で性能評価を行った。評価結果
は合格であった。 [実施例17] (17−1)プライマー層用塗布溶液の調製 市販のブチラール化度25%、平均重合度2,400の
ポリビニルブチラール樹脂70重量部をメチルエチルケ
トン630重量部に溶解し、メタノール450重量部、
水50重量部と、架橋剤としてメチルトリメトキシシラ
ン15.2重量部と、硬化触媒としてp−トルエンスル
ホン酸0.5重量部と、レベリング剤としてフロラード
FC430 1重量部を順次加え、この混合物が均一状
態になるまで十分に攪拌した後、3μmのメンブランフ
ィルターで濾過しプライマー層用塗布溶液を調製した。
【0082】以下、実施例9の(9−2)〜(9−6)
と同様に行い、EC調光プラスチックレンズを作製し、
(9−7)と同様な方法で性能評価を行った。評価結果
は合格であった。 [実施例18] (18−1)プライマー層用塗布溶液の調製 市販のブチラール化度70%、平均重合度700のポリ
ビニルブチラール樹脂70重量部をn−ブタノール63
0重量部に溶解し、メタノール600重量部、水100
重量部と、架橋剤としてメチルトリメトキシシラン7.
6重量部と、硬化触媒としてp−トルエンスルホン酸
0.5重量部と、レベリング剤としてフロラードFC4
30 1重量部を順次加え、この混合物が均一状態にな
るまで十分に攪拌した後、3μmのメンブランフィルタ
ーで濾過しプライマー層用塗布溶液を調製した。
【0083】以下、実施例9の(9−2)〜(9−6)
と同様に行い、EC調光プラスチックレンズを作製し、
(9−7)と同様な方法で性能評価を行った。評価結果
は合格であった。 [実施例19] (19−1)プライマー層用塗布溶液の調製 市販のブチラール化度70%、平均重合度700のポリ
ビニルブチラール樹脂70重量部をn−ブタノール63
0重量部に溶解し、メタノール400重量部、水100
重量部と、架橋剤としてグルタルアルデヒド50%水溶
液(関東化学(株)製)22.3重量部と、硬化触媒と
して2規定塩酸70mlと、レベリング剤としてフロラ
ードFC430 1重量部を順次加え、この混合物が均
一状態になるまで十分に攪拌した後、3μmのメンブラ
ンフィルターで濾過しプライマー層用塗布溶液を調製し
た。
【0084】以下、実施例9の(9−2)〜(9−6)
と同様に行い、EC調光プラスチックレンズを作製し、
(9−7)と同様な方法で性能評価を行った。評価結果
を表1に示す。 [実施例20] (20−1)プライマー層用塗布溶液の調製 市販のブチラール化度70%、平均重合度700のポリ
ビニルブチラール樹脂70重量部をn−ブタノール63
0重量部に溶解し、メタノール400重量部、水100
重量部と、架橋剤としてグルタルアルデヒド50%水溶
液5.6重量部と、硬化触媒としてp−トルエンスルホ
ン酸0.5重量部と、レベリング剤としてフロラードF
C430 1重量部を順次加え、この混合物が均一状態
になるまで十分に攪拌した後、3μmのメンブランフィ
ルターで濾過しプライマー層用塗布溶液を調製した。
【0085】以下、実施例9の(9−2)〜(9−6)
と同様に行い、EC調光プラスチックレンズを作製し、
(9−7)と同様な方法で性能評価を行った。評価結果
は合格であった。 [実施例21] (21−1)プライマー層用塗布溶液の調製 市販のブチラール化度25%、平均重合度2,400の
ポリビニルブチラール樹脂70重量部をn−ブタノール
630重量部に溶解し、メタノール400重量部、水1
00重量部と、架橋剤としてグルタルアルデヒド50%
水溶液27.8重量部と、硬化触媒として2規定塩酸7
mlと、レベリング剤としてフロラードFC430 1
重量部を順次加え、この混合物が均一状態になるまで十
分に攪拌した後、3μmのメンブランフィルターで濾過
しプライマー層用塗布溶液を調製した。
【0086】以下、実施例9の(9−2)〜(9−6)
と同様に行い、EC調光プラスチックレンズを作製し、
(9−7)と同様な方法で性能評価を行った。評価結果
は合格であった。 [実施例22] (22−1)プライマー層用塗布溶液の調製 市販のブチラール化度70%、平均重合度700のポリ
ビニルブチラール樹脂70重量部をn−ブタノール63
0重量部に溶解し、メタノール600重量部、水100
重量部と、架橋剤としてグルタルアルデヒド50%水溶
液5.6重量部と、硬化触媒としてp−トルエンスルホ
ン酸0.4重量部と、レベリング剤としてフロラードF
C430 1重量部を順次加え、この混合物が均一状態
になるまで十分に攪拌した後、3μmのメンブランフィ
ルターで濾過しプライマー層用塗布溶液を調製した。 (22−2)プライマー層用塗布溶液の塗布および硬化 度数が−4.00ジオプタで、中心厚が1.0mmのC
R−39眼鏡用プラスチックレンズを、前処理として6
0℃の10%NaOH水溶液に5分間浸し、温水で洗浄
後乾燥した。このプラスチックレンズの両面上にディッ
ピング法(引き上げ速度2.0mm/秒)にて(22−1)
で調製したプライマー層用塗布溶液を塗布し、塗布した
プラスチックレンズを100℃で15分間加熱処理して
プライマー層を形成させた。
【0087】以下、実施例9の(9−3)〜(9−6)
と同様に行い、EC調光プラスチックレンズを作製し、
(9−7)と同様な方法で性能評価を行った。評価結果
は合格であった。 [実施例23] (23−1)プライマー層用塗布溶液の調製 市販のブチラール化度70%、平均重合度700のポリ
ビニルブチラール樹脂70重量部をn−ブタノール63
0重量部に溶解し、メタノール400重量部、水100
重量部と、架橋剤としてマロンアルデヒドテトラメチル
アセタール9.1重量部と、硬化触媒として2規定塩酸
70mlと、レベリング剤としてフロラードFC430
1重量部を順次加え、この混合物が均一状態になるま
で十分に攪拌した後、3μmのメンブランフィルターで
濾過しプライマー層用塗布溶液を調製した。
【0088】以下、実施例9の(9−2)〜(9−6)
と同様に行い、EC調光プラスチックレンズを作製し、
(9−7)と同様な方法で性能評価を行った。評価結果
は合格であった。 [実施例24] (24−1)複合膜を有するプラスチックレンズの作成
と評価 (23−1)で調製したプライマー層用塗布溶液を用
い、実施例11(11−2) 以下、実施例11の(1
1−2)実施例9(9−3)〜(9−6)と同様に行
い、EC調光プラスチックレンズを作製し、(9−7)
と同様な方法で性能評価を行った。評価結果は合格であ
った。
【0089】[実施例25] (25−1)プライマー層用塗布溶液の調製 市販のブチラール化度70%、平均重合度2,400の
ポリビニルブチラール樹脂70重量部をn−ブタノール
630重量部に溶解し、メタノール400重量部、水1
00重量部と、架橋剤としてマロンアルデヒドテトラメ
チルアセタール18.3重量部と、硬化触媒として2規
定塩酸70mlと、レベリング剤としてフロラードFC
430 1重量部を順次加え、この混合物が均一状態に
なるまで十分に攪拌した後、3μmのメンブランフィル
ターで濾過しプライマー層用塗布溶液を調製した。
【0090】以下、実施例22の(22−2)、実施例
9(9−3)〜(9−6)と同様に行い、EC調光プラ
スチックレンズを作製し、(9−7)と同様な方法で性
能評価を行った。評価結果は合格であった。 [実施例26] (26−1)プライマー層用塗布溶液の調製 市販のブチラール化度70%、平均重合度700のポリ
ビニルブチラール樹脂70重量部をn−ブタノール63
0重量部に溶解し、メタノール400重量部、水100
重量部と、架橋剤としてグリオキサール1.6重量部お
よびグルタルアルデヒド50%水溶液5.6重量部と、
硬化触媒2規定塩酸70mlと、レベリング剤としてフ
ロラードFC430 1重量部を順次加え、この混合物
が均一状態になるまで十分に攪拌した後、3μmのメン
ブランフィルターで濾過しプライマー層用塗布溶液を調
製した。
【0091】以下、実施例9の(9−2)〜(9−6)
と同様に行い、EC調光プラスチックレンズを作製し、
(9−7)と同様な方法で性能評価を行った。評価結果
は合格であった。 [実施例27] (27−1)プライマー層用塗布溶液の調製 市販のブチラール化度70%、平均重合度700のポリ
ビニルブチラール樹脂70重量部をn−ブタノール63
0重量部に溶解し、メタノール400重量部、水100
重量部と、架橋剤としてテトラメトキシシラン4.2重
量部、グルタルアルデヒド50%水溶液1.1重量部
と、硬化触媒としてp−トルエンスルホン酸1.2重量
部と、レベリング剤としてフッ素系界面活性剤フロラー
ドFC430 1重量部とを順次加え、この混合物が均
一状態になるまで十分に攪拌した後、3μmのメンブラ
ンフィルターで濾過しプライマー層用塗布溶液を調製し
た。
【0092】以下、実施例9の(9−2)〜(9−6)
と同様に行い、EC調光プラスチックレンズを作製し、
(9−7)と同様な方法で性能評価を行った。評価結果
は合格であった。 [実施例28] (28−1)プライマー層用塗布溶液の調製 市販のブチラール化度70%、平均重合度700のポリ
ビニルブチラール樹脂70重量部をn−ブタノール63
0重量部に溶解し、メタノール400重量部、水100
重量部と、架橋剤としてテトラメトキシシラン4.2重
量部、グルタルアルデヒド50%水溶液2.8重量部
と、硬化触媒としてp−トルエンスルホン酸1.2重量
部と、レベリング剤としてフロラードFC430、1重
量部とを順次加え、この混合物が均一状態になるまで十
分に攪拌した後、3μmのメンブランフィルターで濾過
しプライマー層用塗布溶液を調製した。
【0093】以下、実施例9の(9−2)〜(9−6)
と同様に行い、EC調光プラスチックレンズを作製し、
(9−7)と同様な方法で性能評価を行った。評価結果
は合格であった。 [実施例29] (29−1)プライマー層用塗布溶液の調製 市販のブチラール化度25%、重合度2,400のポリ
ビニルブチラール樹脂70重量部をn−ブタノール63
0重量部に溶解し、メタノール400重量部、水100
重量部と、架橋剤としてテトラメトキシシラン8.5重
量部、マロンアルデヒドテトラメチルアセタール0.9
1重量部と、硬化触媒としてp−トルエンスルホン酸
1.2重量部と、レベリング剤としてフロラードFC4
30 1重量部とを順次加え、この混合物が均一状態に
なるまで十分に攪拌した後、3μmのメンブランフィル
ターで濾過しプライマー層用塗布溶液を調製した。
【0094】以下、実施例9の(9−2)〜(9−6)
と同様に行い、EC調光プラスチックレンズを作製し、
(9−7)と同様な方法で性能評価を行った。評価結果
は合格であった。 [実施例30] (30−1)プライマー層用塗布溶液の調製 市販のブチラール化度70%、平均重合度700のポリ
ビニルブチラール樹脂70重量部をn−ブタノール63
0重量部に溶解し、メタノール600重量部、水100
重量部と、架橋剤としてテトラメトキシシラン8.5重
量部、マロンアルデヒドテトラメチルアセタール0.9
1重量部と、硬化触媒としてp−トルエンスルホン酸
1.2重量部と、レベリング剤としてフロラードFC4
30 1重量部とを順次加え、この混合物が均一状態に
なるまで十分に攪拌した後、3μmのメンブランフィル
ターで濾過しプライマー層用塗布溶液を調製した。
【0095】以下、実施例22の(22−2)、実施例
9(9−3)〜(9−6)と同様に行い、EC調光プラ
スチックレンズを作製し、(9−7)と同様な方法で性
能評価を行った。評価結果は合格であった。 [実施例31] (31−1)プライマー層用塗布溶液の調製 市販のブチラール化度70%、平均重合度700のポリ
ビニルブチラール樹脂70重量部をn−ブタノール63
0重量部に溶解し、メタノール400重量部、水100
重量部と、架橋剤としてメチルトリメトキシシラン3.
8重量部、グルタルアルデヒド50%水溶液0.56重
量部と、硬化触媒としてp−トルエンスルホン酸1.2
重量部と、レベリング剤としてフロラードFC430
1重量部を順次加え、この混合物が均一状態になるまで
十分に攪拌した後、3μmのメンブランフィルターで濾
過しプライマー層用塗布溶液を調製した。
【0096】以下、実施例9の(9−2)〜(9−6)
と同様に行い、EC調光プラスチックレンズを作製し、
(9−7)と同様な方法で性能評価を行った。評価結果
は合格であった。 [実施例32] (32−1)プライマー層用塗布溶液の調製 市販のブチラール化度70%、平均重合度700のポリ
ビニルブチラール樹脂70重量部をn−ブタノール63
0重量部に溶解し、メタノール400重量部、水100
重量部と、架橋剤としてメチルトリメトキシシラン3.
8重量部、グルタルアルデヒド50%水溶液1.1重量
部と、硬化触媒としてp−トルエンスルホン酸1.2重
量部と、レベリング剤としてフロラードFC430 1
重量部とを順次加え、この混合物が均一状態になるまで
十分に攪拌した後、3μmのメンブランフィルターで濾
過しプライマー層用塗布溶液を調製した。
【0097】以下、実施例9の(9−2)〜(9−6)
と同様に行い、EC調光プラスチックレンズを作製し、
(9−7)と同様な方法で性能評価を行った。評価結果
は合格であった。。 [実施例33] (33−1)プライマー層用塗布溶液の調製 市販のブチラール化度70%、平均重合度700のポリ
ビニルブチラール樹脂70重量部をn−ブタノール63
0重量部に溶解し、メタノール400重量部、水100
重量部と、架橋剤としてメチルトリメトキシシラン7.
6重量部、グルタルアルデヒド50%水溶液0.56重
量部と、硬化触媒としてp−トルエンスルホン酸1.2
重量部と、レベリング剤としてフロラードFC430
1重量部とを順次加え、この混合物が均一状態になるま
で十分に攪拌した後、3μmのメンブランフィルターで
濾過しプライマー層用塗布溶液を調製した。
【0098】以下、実施例11の(11−2)、実施例
9(9−3)〜(9−6)と同様に行い、EC調光プラ
スチックレンズを作製し、(9−7)と同様な方法で性
能評価を行った。評価結果は合格であった。 [実施例34] (34−1)プライマー層用塗布溶液の調製 市販のブチラール化度70%、平均重合度700のポリ
ビニルブチラール樹脂70重量部をn−ブタノール63
0重量部に溶解し、メタノール600重量部、水100
重量部と、架橋剤としてメチルトリメトキシシラン7.
6重量部とグルタルアルデヒド50%水溶液1.1重量
部と、硬化触媒としてp−トルエンスルホン酸0.5重
量部と、レベリング剤としてフロラードFC430 1
重量部を順次加え、この混合物が均一状態になるまで十
分に攪拌した後、3μmのメンブランフィルターで濾過
しプライマー層用塗布溶液を調製した。
【0099】以下、実施例11の(11−2)、実施例
9(9−3)〜(9−6)と同様に行い、EC調光プラ
スチックレンズを作製し、(9−7)と同様な方法で性
能評価を行った。評価結果は合格であった。 [実施例35] (35−1)プライマー層用塗布溶液の調製 市販のブチラール化度25%、平均重合度2,400の
ポリビニルブチラール樹脂70重量部をn−ブタノール
630重量部に溶解し、メタノール400重量部、水1
00重量部と、架橋剤としてメチルトリメトキシシラン
7.6重量部、マロンアルデヒドテトラメチルアセター
ル0.91重量部と、硬化触媒としてp−トルエンスル
ホン酸1.2重量部と、レベリング剤としてフロラード
FC430 1重量部を順次加え、この混合物が均一状
態になるまで十分に攪拌した後、3μmのメンブランフ
ィルターで濾過しプライマー層用塗布溶液を調製した。
【0100】以下、実施例11の(11−2)、実施例
9(9−3)〜(9−6)と同様に行い、EC調光プラ
スチックレンズを作製し、(9−7)と同様な方法で性
能評価を行った。評価結果は合格であった。 [実施例36] (36−1)プライマー層用塗布溶液の調製 市販のブチラール化度70%、平均重合度700のポリ
ビニルブチラール樹脂70重量部をn−ブタノール63
0重量部に溶解し、メタノール600重量部、水100
重量部と、架橋剤としてメチルトリメトキシシラン7.
6重量部とマロンアルデヒドテトラメチルアセタール
0.91重量部と、硬化触媒としてp−トルエンスルホ
ン酸0.5重量部と、レベリング剤としてフロラードF
C4301重量部を順次加え、この混合物が均一状態に
なるまで十分に攪拌した後、3μmのメンブランフィル
ターで濾過しプライマー層用塗布溶液を調製した。
【0101】以下、実施例22の(22−2)実施例9
(9−3)〜(9−6)と同様に行い、EC調光プラス
チックレンズを作製し、(9−7)と同様な方法で性能
評価を行った。評価結果は合格であった。 [比較例1] 実施例1と同様のプラスチックレンズ基材を使用し、プ
ライマー層の形成は行わないで、実施例1と同様な操作
にてハードコート層及び反射防止層を施して比較用のE
C調光プラスチックレンズを作製し、実施例1と同様な
方法で性能評価を行った。評価結果は不合格であった。
【0102】従って、本発明の実施例1〜36のプラス
チックECレンズを評価した結果(米国FDA規格の耐
衝撃性試験結果)は、すべて合格であった。一方、比較
例1のプラスチックECレンズを同様に評価した結果
は、不合格であった。
【0103】
【発明の効果】以上のように、本発明のEC調光プラス
チックレンズによれば、プラスチックレンズ基材とハー
ドコート層との間にポリビニルアセタール樹脂からなる
プライマー層を又はポリビニルアセタール樹脂を主成分
とするプライマー層を又は架橋されたポリビニルアセタ
ール樹脂からなるプライマー層を又は架橋されたポリビ
ニルアセタール樹脂を主成分とするプライマー層を設け
ているので、更にハードコート層を設けても、或いは更
にハードコート層とそのうえの反射防止層の両層を設け
ても、EC調光プラスチックレンズは耐衝撃性に優れ、
米国のFDA規格の耐衝撃性試験に合格する。
【0104】また、本発明にかかるプライマー層は、低
温で形成することができ、更に一旦形成したプライマー
層を剥がすこともできる。また、本発明にかかるプライ
マー層には、架橋されたポリビニルアセタール樹脂を用
いているため、アルコール類系及びアセトン類系のハー
ドコート液にプライマー層を設けたプラスチックレンズ
を浸してもハードコート液を汚染することがない。
【図面の簡単な説明】
【図1】は、本発明にかかるEC調光プラスチックレン
ズの概略断面図である。
【符号の説明】
1,7・・・反射防止層 2,8・・・ハードコート層 3,9・・・プライマー層 4・・・プラスチックレンズ基材 5・・・ECD 6・・・封止剤(接着剤) 10・・・封止用プラスチックレンズ基材 以 上

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 第一プラスチックレンズと第二プラスチ
    ックレンズとの間に少なくとも、第一電極層、エレクト
    ロクロミック層、イオン導電層、および第二電極層から
    なるエレクトロクロミック素子を形成してなるエレクト
    ロクロミック調光プラスチックレンズにおいて、前記第
    一プラスチックレンズ上及び/又は前記第二プラスチッ
    クレンズ上に、ポリビニルアセタール樹脂からなるプラ
    イマー層を又はポリビニルアセタール樹脂を主成分とす
    るプライマー層を設け、かつ該プライマー層上にハード
    コート層を設けたことを特徴とするエレクトロクロミッ
    ク調光プラスチックレンズ。
  2. 【請求項2】 第一プラスチックレンズと第二プラスチ
    ックレンズとの間に少なくとも、第一電極層、第一エレ
    クトロクロミック層、イオン導電層、第二エレクトロク
    ロミック層、および第二電極層からなるエレクトロクロ
    ミック素子を形成してなるエレクトロクロミック調光プ
    ラスチックレンズにおいて、前記第一プラスチックレン
    ズ上及び/又は前記第二プラスチックレンズ上に、ポリ
    ビニルアセタール樹脂からなるプライマー層を又はポリ
    ビニルアセタール樹脂を主成分とするプライマー層を設
    け、かつ該プライマー層上にハードコート層を設けたこ
    とを特徴とするエレクトロクロミック調光プラスチック
    レンズ。
  3. 【請求項3】 前記ポリビニルアセタール樹脂が架橋構
    造を有することを特徴とする請求項1又は2記載のエレ
    クトロクロミック調光プラスチックレンズ。
  4. 【請求項4】 前記ハードコート層上に更に無機物質か
    らなる単層又は多層の反射防止層を設けたことを特徴と
    する請求項1〜3記載のエレクトロクロミック調光プラ
    スチックレンズ。
  5. 【請求項5】 前記プライマー層が前記第一プラスチッ
    クレンズ及び/又は前記第二プラスチックレンズ上に、
    ポリビニルアセタール樹脂溶液を塗布し、加熱処理する
    ことにより形成されていることを特徴とする請求項1又
    は2又は4記載のエレクトロクロミック調光プラスチッ
    クレンズ。
  6. 【請求項6】 前記プライマー層が前記第一プラスチッ
    クレンズ及び/又は前記第二プラスチックレンズ上に、
    ポリビニルアルコール、アルデヒドを含有する酸性溶液
    を塗布し、加熱処理することにより形成されていること
    を特徴とする請求項1又は2又は4記載のエレクトロク
    ロミック調光プラスチックレンズ。
  7. 【請求項7】 前記プライマー層が前記第一プラスチッ
    クレンズ及び/又は前記第二プラスチックレンズ上に、
    ポリビニルアセタール樹脂及び架橋剤を含有する酸性溶
    液を塗布した後、加熱処理することにより形成されたこ
    とを特徴とする請求項3又は4記載のエレクトロクロミ
    ック調光プラスチックレンズ。
  8. 【請求項8】 前記プライマー層が前記第一プラスチッ
    クレンズ及び/又は前記第二プラスチックレンズ上に、
    ポリビニルアルコール、アルデヒド及び架橋剤を含有す
    る酸性溶液を塗布した後、加熱処理することにより形成
    されたことを特徴とする請求項3又は4記載のエレクト
    ロクロミック調光プラスチックレンズ。
  9. 【請求項9】 前記プライマー層に可塑剤を含有させた
    ことを特徴とする請求項1〜8記載のエレクトロクロミ
    ック調光プラスチックレンズ。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2018010106A (ja) * 2016-07-13 2018-01-18 株式会社リコー エレクトロクロミック装置及びその製造方法、並びにエレクトロクロミック調光装置
JP2021531511A (ja) * 2018-07-27 2021-11-18 エシロール・アンテルナシオナル 反射防止機能及びエレクトロクロミック機能を有する眼用レンズ

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