JP3807558B2 - エレクトロクロミックデバイスのためのイリジウムオキシドフィルム - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、一般にエレクトロクロミックセルの分野に関し、より詳しくは、イリジウムオキシドを、相補的エレクトロクロミックフィルムとして、および電荷平衡対電極(charge-balancing counter electrode)として用いる透明エレクトロクロミックデバイスの分野に関する。
【0002】
従来のエレクトロクロミックセルは持続性のエレクトロクロミック材料、すなわち、高い透明な非吸収状態から低い透明性の吸収または反射状態へ変化させる所定の極性および十分な電圧の電場の印加に応答性である材料の薄いフィルムを有する。このエレクトロクロミック材料のフィルムは電場が中断された後も実質的に低い透過状態のままである。このエレクトロクロミック材料に反対の極性の電場が印加された場合に、これは元の高い透過状態に戻る。イオンおよび電気伝導体の両方であるエレクトロクロミック材料のフィルムは、イオン伝導性材料の層と、イオン伝導性接触、好ましくは直接物理接触している。イオン伝導性材料は固体、液体またはゲルでありうる。エレクトロクロミックフィルムおよびイオン伝導性層は2個の電極の間に設けられることによりセルを形成する。いくつかの用途では、セルを形成するために相補的な(complementary)エレクトロクロミックフィルムが用いられ、他の用途では、セルを形成するために、相補的なエレクトロクロミックフィルムの代わりに光学的に不活性な(passive)フィルムまたは金属が用いられる。
【0003】
2個の電極の間に電圧が印加される場合は、イオン伝導層を通してイオンが伝導される。エレクトロクロミック材料のフィルムに隣接する電極がカソードであり、エレクトロクロミック材料がカソード的に着色する場合は、この材料へ電場を印加することによりフィルムの暗色化が生じる。電場の極性を逆転させることによりエレクトロクロミック的特性の逆転が生じ、フィルムは高い透過状態に逆転する。従来は、カソード的に着色するエレクトロクロミック材料、通常はタングステンオキシドまたはそれらの化合物が、錫オキシドまたはインジウム/錫オキシド(ITO)のような電気伝導性フィルムで予め被覆されたガラス基材上に付着されることにより1つの電極が形成される。いくつかのエレクトロクロミックデバイスでは、対電極が同様の錫オキシドまたはインジウム/錫オキシドで被覆されたガラス基材または金属板により裏打ちされたカーボン紙構成である。
【0004】
シアボーン(Schiavone)は、ジャーナル・オブ・ザ・エレクトロケミカル・ソサイエティー、第128巻、第6号、第1212〜1214頁、1981年6月、において、イリジウム標的の反応性スパッタによるエレクトロクロミックイリジウムオキシドの付着を説明する。イリジウムオキシドフィルムは、純粋な酸素中でイリジウム標的を反応性ラジオ周波数スパッタして完全着色状態においてフィルムに付着させることにより付着される。
【0005】
カング(Kang)およびシャイ(Shay)は、ジャーナル・オブ・ザ・エレクトロケミカル・ソサイエティー、第130巻、第4号、第766頁等、1983年4月、において、ブルーのスパッタされたイリジウムオキシドフィルムを説明する。その特性は、ブラックのスパッタされたイリジウムオキシドフィルムおよびアノード的に成長したイリジウムオキシドフィルムの特性と比較される。ブルーのイリジウムオキシドフィルムは、238゜Kに保持されたガラス基材上に80/20アルゴン/酸素ガス混合物中でイリジウムを反応性直流スパッタすることにより付着される。著者が用いる方法は、純粋アルゴン中での15分間の標的予備スパッタ工程、その後の25分のイン・サイツの基材クリーニング工程、および実際の被覆に用いられるアルゴン/酸素ガス混合物中における10分間のその他の予備スパッタ工程を含む。エレクトロクロミックディスプレイ電極として、ブルーのスパッタされたイリジウムオキシドフィルムは、改良された開放回路消色状態および記録状態(written−state)メモリ、及び改良された外観を有するとして説明される。コーガン(Cogan)らは、SPIE、第823巻、第182号、1987年、において、インジウム/錫オキシド(ITO)被覆ガラスシート、タングステンオキシドおよびイリジウムオキシドのエレクトロクロミックフィルム、およびポリ−2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸(ポリAMPS)のポリマー電解質を有するエレクトロクロミックデバイスを説明する。
【0006】
タカハシらへの米国特許第4,350,414号は、一対の電極、イリジウムヒドロキシドおよび/またはニッケルヒドロキシドの酸化可能フィルム、タングステンオキシドおよび/またはモリブデンオキシドの還元可能フィルム、およびプロトンの伝導を許容するが電子の伝導を禁止するそれらのフィルムの間の絶縁フィルム(例えば、タンタルオキシド、ジルコニウムオキシド、ニオブオキシド、アルミナ、マグネシウムフルオリド、シリコンオキシド、チタンオキシド、ハフニウムオキシドまたはイットリウムオキシド)を有する固体状エレクトロクロミックデバイスを開示する。
【0007】
コーガンらへの米国特許第5,327,281号は、非晶質タングステントリオキシド被覆インジウム/錫オキシド被覆ガラス基材とイリジウムオキシド被覆インジウム/錫オキシド被覆ガラス基材との間にラミネートされたエレクトロクロミックデバイスのための固体ポリマー電解質を説明する。
【0008】
【発明の構成】
本発明は窒素含有イリジウムオキシドフィルムに向けられる。より詳しくは、本発明は透明および不透明エレクトロクロミックデバイスに用いるエレクトロクロミック的に活性な窒素含有イリジウムオキシドフィルムに関する。このフィルムは基材を有するスパッタチャンバー中でイリジウム標的をスパッタすることにより付着され、その際に、フィルムは酸素含有反応性ガス中の窒素がイリジウムオキシド中に取り込まれるような条件の下で付着される。付着法のための特別な手段は要求されず、例えば、低温を保ったり、イリジウムスパッタ標的の極端な予備調整は不要である。窒素を含有するイリジウムオキシドフィルムは固体状エレクトロクロミックデバイスにおいて相補的なエレクトロクロミックフィルムとして用いられる場合に望ましい特性を示すことが見出されている。窒素含有イリジウムオキシドフィルムが電気化学的に予備荷電される(precharged)(還元される)場合は、このようなフィルムは窒素を含有しないイリジウムオキシドフィルムよりも安定であると認められる。これは電場に適用した後の透過性の低い変化により証明される。すなわち、周囲条件に露出した場合に、電場の適用後にフィルムの自己暗色化が観察されない。このようなフィルムは空気に露出した場合に酸化に対して耐性である。さらに、窒素含有イリジウムオキシドフィルムの100オングストローム/分の高い付着速度が得られる。
【0009】
本発明のイリジウムオキシドフィルムのための基材は、一実施態様では、合成光学レンズから調製されるポリマーレンズのような、ガラスまたはプラスチック、好ましくはメガネに用いるレンズを提供するのに好適な透明材料のような光透過性材料、特に透明材料である。ポリマーレンズは、最終用途に依存して、通常の屈折係数(約1.48〜1.5)、比較的高い屈折係数(約1.60〜1.75)、または中位の屈折係数(約1.55〜1.56)を有しうる。または、ポリマーレンズは約1.48および1.75の間のいずれか(例えば、約1.50〜1.66)の屈折係数を有しうる。
【0010】
レンズ材料として用いうる合成ポリマー基材には以下のものが含まれるがこれらに限定されない。「レクサン」の商標で販売される、ビスフェノールAとホスゲンとから誘導されるカーボネート結合された樹脂のような熱可塑性ポリカーボネート;「マイラー」の商標で販売される材料のようなポリエステル;「プレキシガラス」の商標で販売される材料のようなポリ(メチルメタクリレート);および「CR−39」の商標で販売される、ポリオール(アリルカーボネート)モノマー、特にジエチレングリコールビス(アリルカーボネート)の重合体。上述のモノマー/樹脂のコポリマーもレンズ材料として用いうる。さらに、種々の光学および非光学用途に用いるために当業者に知られる透明および不透明ポリマー基材も窒素含有イリジウムオキシドフィルムのための基材として用いうる。
【0011】
その上にイリジウムオキシドフィルムが付着される基材、例えば透明基材は、一般に電気伝導性ではない。エレクトロクロミックデバイスを調製する場合、基材は、好ましくはまず電気伝導性フィルムで被覆される。電気伝導性フィルムはエレクトロクロミックデバイスにおいて電気伝導性フィルムとして用いられるものとして当業者に知られるいずれかでありうる。典型的には、このようなフィルムは金属または金属オキシドの透明で薄いフィルムである。例えば、通常ITO(インジウム/錫オキシド)と呼ばれるフッ素ドープ化錫オキシドまたは錫ドープ化インジウムオキシドである。好ましくは約90:10のインジウムと錫との重量比を有するITOである。アンチモンドープ化錫オキシドおよびアルミニウムドープ化亜鉛オキシドのような他の材料を電気伝導性フィルムとして用いうる。好ましくは、このフィルムは10〜30オーム/スクエアのシート抵抗を有する。電気伝導性フィルムの厚さは、好ましくは1300〜4000オングストローム、例えば2000〜4000オングストロームの範囲であり、より好ましくは2500〜2800オングストロームの範囲である。そして好ましくは、このフィルムは約18〜30オーム/スクエアのシート抵抗を望ましい電気伝導性のために有する。
【0012】
電気伝導性フィルムは、基材がその方法により悪影響を受けない限り当業者に知られた種々の方法により付着されうる。ガラス上に電気伝導性フィルムを付着させるために高温熱分解法を用いうる。しかしながら、一般にこのような方法はより低い融点のポリマー基材には適さない。ポリマー基材上にITOのような電気伝導性フィルムを付着させるのに好ましい方法は直流(DC)スパッタである。特に、米国特許第4,851,095号および同第5,225,057号および1994年8月19日に出願された同時係属米国特許出願第08/293,129号に記載の高付着速度、低温法であるメタモード(Meta Mode)Rスパッタ系のようなDCマグネトロン反応性スパッタ(MSVD)が挙げられる。冷却ドラムを用いる真空ウェブ被覆はプラスチック基材上にITOを被覆する他の方法である。
【0013】
上述の'095および'097特許において、被覆される基材は高速金属スパッタ領域および強力な反応性プラズマを通して交互に回転される。DCマグネトロンスパッタカソードは回転シリンダ状ワークピース移送系と組み合わせて分圧分離レジーム(regime)において機能する。このような技術を用いて、80%を上回る可視透過性および18〜20オーム/スクエアのシート抵抗を有するITOフィルムが20℃において調製されうる。
【0014】
一般に、プラスチック基材への電気伝導性金属オキシドフィルムの接着は、環境における耐久性およびエレクトロクロミックデバイスの長時間の循環(着色/消色循環)のために適さない。このような場合は、基材と電気伝導性フィルムとの界面に接着改良ポリマー下塗り剤を設けて電気伝導性フィルムのプラスチック基材の表面への接着性を改良することが好ましい。加えて、ポリマー下塗り剤はプラスチック基材および電気伝導性フィルムのひび割れおよび/またはクラッキング防止を補助する。CR−39Rアリルジグリコールカーボネートモノマーを含む光学樹脂から調製されるポリマー基材のために好ましいプラスマーは、アクリレートコポリマー、好ましくはアクリル酸とシアノエチルアクリレート、ヒドロキシエチルアクリレート、メチルメタクリレートおよびこのような置換アクリレートの混合物のような置換アクリレートとのコポリマーである。好ましくは、置換アクリレートはメチルメタクリレートであり、アクリル酸と置換アクリレート、例えばメチルメタクリレートとのモル比は約3:1〜約1:3である。
【0015】
好ましくは、下塗り剤は有機溶媒中モノマーの溶液としてディップ、フローまたは他の従来の塗布技術によりプラスチック基材表面に塗布される。次いで、有機溶媒が蒸発され、ポリマー下塗り剤は僅かに昇温された状態で、典型的には、約160〜200゜F(約80〜92℃)で約8時間硬化される。一般に、モノマー溶液は開始量のアゾビスイソブチロニトリルのようなフリーラジカル開始剤を含む。また、モノマー溶液はアクリレートコポリマーを架橋するためのシクロ脂肪族ジエポキシドを含みうる。ここで言うジエポキシドには、2−[3,4−エポキシシクロヘキシル−5,5−スピロ−3,4−エポキシ]シクロヘキサン−メタジオキサン;ビス[3,4−エポキシシクロヘキシル]アジペート;および3,4−エポキシシクロヘキシル−3,4−エポキシ−シクロヘキサン−カルボキシレートが含まれる。好ましくは、モノマー溶液は下塗り剤を硬化させるためにジブチル錫ジラウレート(DBTDL)またはウラニルニトレートのような触媒を含みうる。
【0016】
モノマー溶液のために用いる有機溶媒はシクロヘキサノン、1−プロパノール、1−ブタノール、アセトンおよびこのような溶媒の混合物でありうる。好ましい有機溶媒は1−プロパノールである。下塗り剤を塗布する方法はプラスチック基材を下塗り剤のモノマー溶液中に浸し、基材を溶液から除去し、そして基材上の下塗り剤の被覆を乾燥および硬化させる。次いで、電気伝導性フィルムで被覆されない表面から、下塗り剤を研磨除去する。下塗り剤をプラスチック基材に塗布する他の方法は基材の一表面上にモノマー溶液をスピンコートし、そして得られる下塗り剤の被覆を乾燥および硬化させる方法である。好ましくは、下塗り剤の被覆の厚さは約0.01〜0.50ミクロン、より好ましくは、約0.29〜0.46ミクロンの範囲である。
【0017】
透明エレクトロクロミックデバイスを調整するために2個の下塗りした電気伝導性フィルムで被覆した透明プラスチック基材を組み合わせる。電気互換性フィルムは一方のプラスチック基材の電気伝導性フィルム上に付着され、相補的なエレクトロクロミックフィルムは他のプラスチック基材の電気伝導性フィルム上に付着される。モリブデン(MoO3)、タングステン(WO3)、バナジウム(V2O5)、ニオブ(Nb2O5)、チタン(TiO2)、クロム(Cr2O3)、プラセオジム(PrO2)、およびルテニウム(RuO2)の酸化物のような種々の知られたエレクトロクロミック材料の中で、タングステンオキシドおよびタングステンオキシドの化合物が好ましい。加えて、MoWO3、NbWO3、K1-xWO3およびNa1-xWO3(式中、xは1未満である)のような三成分金属オキシドおよびタングステンブロンズを用いうる。
【0018】
タングステンオキシドは、タングステンオキシドの熱蒸発により基材上に付着させうる。しかしながら、米国特許第4,851,095号および同第5,225,057号に記載のメタモードR系のような装置を用いる高い合計ガス圧(20ミリトルを越える)における希ガス/酸素雰囲気中でのタングステンの直流(DC)マグネトロンスパッタにより付着させることが好ましい。エレクトロクロミック、例えば、タングステンオキシドフィルムの厚さは、好ましくは3000〜5000オングストローム、より好ましくは約3700±5000オングストロームである。エレクトロクロミックフィルム、例えばタングステンオキシドは付着された状態で透明(高透過性)である。
【0019】
本発明の実施態様によれば、他の下塗りされそして電気伝導性フィルムで被覆された基材は窒素含有イリジウムオキシドのフィルムで電気伝導性フィルムの上をさらに被覆される。イリジウムオキシドフィルムはラジオ周波数(rf)または直流(DC)マグネトロンスパッタリングにより付着されうる。スパッタガスは酸素、窒素(または窒素含有ガス)およびアルゴン、ネオン、クリプトンまたはキセノンのような不活性ガスを含む。コストの面からアルゴンが不活性ガスとして好ましい。窒素の分圧は不活性ガス、例えばアルゴンの分圧と同等かまたはこれを上回ることが好ましい。さらに、この系では酸素の高い分圧が用いられる。好ましくは、酸素の分圧は合計ガス圧の20〜50%である。酸素と窒素との流動比は約2〜8:1であり、例えば4〜7:1である。イリジウムオキシドフィルム中の窒素の量は不活性ガス、例えばアルゴンに対して酸素の相対量が増大するにつれて増大することが見出されている。
【0020】
エレクトロクロミックフィルムにおいて、窒素含有イリジウムオキシドの相補的なエレクトロクロミックフィルムはメタモードR系を用いて付着させうる。これは、反応性ガスが非反応性ガスと低圧領域により分離されるDCマグネトロン反応性スパッタ付着系を包含する。金属種の付着は基材上で生じ、スパッタ標的の付着領域および反応性ガスプラズマ領域の間を移動および/または回転する。反応性ガス領域は陽性にバイアスされた電極からなり、そのことにより反応性イオン種の濃いプラズマが形成され、イオンが基材上の新たに付着した金属を爆破し、そのことによりオキシド、ニトリド、オキシニトリドまたはこれらの組み合わせのような金属の化合物が形成される。この系は所望のフィルム厚が得られるまでの付着−反応−付着−反応などの連続として単純に説明されうる。
【0021】
系内の合計システムガス圧は5〜100、例えば40〜75ミリトルの範囲である。系内の反応性ガス分圧は7〜40ミリトルの範囲である。窒素または窒素含有ガスはメタモードR系においていずれかの適当な位置に導入されうる。例えば、付着領域、反応領域またはいずれかの不活性付着領域においてである。典型的なカソード出力およびイオン源流は、それぞれ1〜5キロワットおよび1〜3アンペアの範囲内である。最適の条件は、窒素含有イリジウムオキシドフィルムのための統計的な設計を通して決定されうる。
【0022】
イリジウムオキシドのスパッタは被覆される基材の寸法および形状のために適当な寸法および形状のイリジウム標的を用いて行なわれる。好ましい間隔は、例えば3〜6インチ(7.62〜15.24cm)であるが、間隔は均一な被覆を基材に付着させるために好ましく近接していればよい。好ましくは、スパッタチャンバーはスパッタ雰囲気の反応性ガス組成物を導入する前に10-5トル未満、好ましくは10-6トル未満に排気することが好ましい。窒素含有イリジウムオキシドの付着はイリジウム標的をスパッタし、そしてスパッタされたイリジウムを反応性ガス、すなわち、酸化雰囲気、好ましくは酸素および窒素含有ガスを含むものに、用いる特定のスパッタ装置に依存して、約5〜100、例えば40〜75ミリトルの範囲のチャンバー圧において接触させることにより行なわれる。
【0023】
本発明によれば、イリジウムオキシドフィルム中に窒素が存在することにより、電気化学的に還元されそして空気に露出された場合にフィルムは透明性の喪失に対してより安定となる。例えば、短時間、例えば30分間にわたる自己暗色または消色は最低限である。言い替えると、窒素含有イリジウムオキシドフィルムは高消色状態光学透過性の保持において重大な改良を示す。加えて、窒素含有イリジウムオキシドフィルムが電気化学的に還元された場合は、空気に露出されてもそれは再び酸化しない。
【0024】
スパッタチャンバー中の反応性ガス雰囲気は、イリジウムオキシドフィルム中に安定化量の窒素を組み込む結果とするために十分な量の窒素を含む。すなわち、フィルムが電気化学的に予備荷電された後に透過性の重大な変化を防止するのに十分な窒素が含まれる。言い替えると、イリジウムオキシドフィルム中に組み込まれる窒素の量は、電気化学的な還元中にその透過性が重大に変化しないようにフィルムを安定させるのに十分である。スパッタチャンバー雰囲気中の窒素は純粋窒素ガスとして、または空気、または例えばアンモニアのようなその他の窒素含有ガス組成物の形態でありうる。この窒素源はチャンバーに別々または連続して充填されるか、または酸化雰囲気を提供する酸素源の一部として充填される。
【0025】
付着されたイリジウムオキシドフィルムは少なくとも2原子%、より好ましくは少なくとも5、最も好ましくは少なくとも8原子%の窒素を含有する。本発明のイリジウムオキシドフィルムは約2〜20、例えば4または8〜18、または12〜18原子%の窒素を含む。しかしながら、20原子%を上回る窒素を含有するフィルムもここで考慮される。窒素含有イリジウムオキシドフィルムの厚さは、好ましくは約300〜800オングストロームの範囲である。これらのフィルムはラザフォード・バックスキャッタ・スペクトロメトリー(RBS)により分析され、これは原子数密度(アトム/cm2)として分析結果を提供し、ここでは原子%と呼ぶ。一実施態様では、フィルムは66〜68原子%の酸素および4〜12原子%の窒素を含むとされ、原子酸素とイリジウムとの比は約2〜3の範囲である。
【0026】
イリジウムオキシドフィルム中に組み込まれる窒素の量はその他の処理条件を同一にしておきながら窒素の流速(または分圧)を変化させることにより制御しうる。フィルム中に組み込む窒素の量を制御する他の方法は、酸素と不活性ガス、例えば、アルゴンとの相対流速比を一定の窒素流速において変化させることである。現在では、イリジウムオキシドフィルム中の窒素の正確な化学的性質は確立されていない。窒素は元素としての窒素またはニトリドまたはオキシニトリドのその他の形態で存在することが要求される。
【0027】
イリジウムオキシドフィルム中の窒素の量はフィルムのエレクトロクロミック的特性に影響することが見出されている。スイッチング速度、着色効率(荷電密度に対する光学密度の変化により定義される)、荷電容量、および着色/消色の範囲はすべてフィルム中に含まれる原子窒素のレベルに依存して変化する。
【0028】
イリジウムオキシドフィルムを付着させるためにラジオ周波数(rf)マグネトロンスパッタを用いる場合は、スパッタ装置に関連して出力を選択することができ、100〜135ワット、より好ましくは付着に際しての約42cm2の標的寸法について約125ワットとしうる。出力密度は、好ましくは1〜5、より好ましくは2〜4、最も好ましくは2.5〜3.5ワット/cm2である。通常、rfマグネトロンスパッタ被覆付着工程の間、標的およびチャンバーは水で冷やされる。メタモードR系においては、通常、ターゲット単独が水で冷却される。
【0029】
ITO被覆された基材上に被覆された窒素含有イリジウムオキシドフィルムはガルバーニ静電気的(galvanostatic)または電位差静電気的(potentiostatic)技術のいずれかを用いて、0.1モラーの塩酸または0.1モラーの硫酸のような酸浴中で電気化学的に予備荷電させうる。一実施態様では、セル構造は3個の電極を有する。すなわち、作用電極(WE)、参照電極(RE)および対電極(CE)である。作用電極は窒素含有イリジウムオキシドフィルムである。参照電極は標準カロメル電極(SCE)である。そして対電極は25cm2の面積を有する白金ホイルである。
【0030】
標準カロメル電極に対して−0.5〜−0.1ボルトの範囲の電圧をかける電位差静電気的条件を用いて、挿入され除去される電荷の量は約13〜40mC/cm2である。
【0031】
電気化学的な還元は約1.5×10-3アンペアの電流および1.5ボルトに設定された電圧限界を含むガルバーニ静電気的条件のもとにおいても行いうる。このような条件下で挿入および除去される電荷の量は約23mC/cm2である。電荷を測定するためにWEに連結して結線されたクーロメーターを用いうる。蓄積された電荷は約1〜40、好ましくは15〜29、より好ましくは20〜29mC/cm2である。
【0032】
2個のプラスチック基材を下塗りし、電気伝導性フィルムで被覆し、さらにエレクトロクロミックフィルムで被覆した後に、この一対を組立てることにより、エレクトロクロミックフィルムを面対面の関係で有するセルを形成する。セルは、好ましくは、2個の半セルの間にあらかじめ形成したイオン伝導性ポリマーのシートを設け、得られるアセンブリをオートクレーブ中でラミネートすることにより提供されうる。イオン伝導性材料の層は、好ましくは両方のエレクトロクロミック表面を接着することによりラミネートされた用品を形成するイオン伝導性ポリマーである。本発明の好ましい実施態様では、イオン伝導性ポリマー電解質はプロトン伝導性ポリマーである。2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸(AMPSR(ルブリゾル社の商標))およびAMPSと種々のモノマーとのコポリマーが基材の間にラミネートされるあらかじめ形成されたシートの形態、またはその場で注型または硬化されるモノマーの液体反応混合物の形態で用いられる。本発明による好ましいプロトン伝導性ポリマー電解質は、AMPSとN,N−ジメチルアクリルアミド(DMA)とのコポリマーである。好ましくは、これらはその場で注型または硬化させる。好ましいAMPSとDMAとのコポリマーは、約1:3〜1:2の範囲のモル比のAMPSとDMAのモノマーから調製される。ポリマー電解質の厚さは、好ましくは0.001〜0.025インチ(0.0254〜0.625mm)、より好ましくは0.005〜0.015インチ(0.127〜0.381mm)である。これは1993年11月12日に出願された米国特許出願第08/152,340号に開示されており、この開示をここに参照として挙げる。
【0033】
AMPS/DMAコポリマープロトン伝導性電解質は、1−メチル−2−ピロリドン(NMP)および水中のモノマーの溶液としてその場で注型されることが好ましい。このモノマー溶液は化学線照射、好ましくは紫外線(UV)光に露出することによりモノマーを重合させるための光開始剤を含有する。好ましいUV開始剤には、ベンゾインメチルエーテルおよびジエトキシアセトフェノンがある。モノマー溶液は、市販されているシーラント、たとえば、バリアン・バキューム・プロダクツ社から得られる「トル・シールR」でその場に保持される0.005〜0.025インチ(0.381〜0.508mm)のテフロンRスペーサーと共に組立てられた2個の別々の電気伝導性およびエレクトロクロミック被覆されたポリマーレンズ基材の間に注がれうる。湾曲したレンズは、典型的には約70mmの直径および1〜2mmの厚さを有する。一対の湾曲したレンズ基材のために、モノマー溶液は、一方のレンズ基材の凹型表面上に注がれ、そして他のレンズ基材の凸型表面がモノマー溶液と接触するように置かれる。このようにして、モノマー溶液がレンズ基材の間の薄いフィルムとして形成される。ポリマー電解質を硬化させるのに十分なUV光への露出は、水銀ランプについて約30分間、そしてキセノンランプについて約1〜3分間である。上述の議論は湾曲した基材に向けられるけれども、本発明の窒素含有イリジウムオキシドフィルムはレンズ以外の用途に用いる平坦な基材にも適用しうる。
【0034】
上述のイオン伝導性ポリマー電解質に加えて、たとえば水素ウラニルホスフェートまたはポリエチレンオキシド/LiClO4を含む材料のような他の材料も用いうる。また、LiNbO3、LiBO3、LiTaO3、LiF、Ta2O5、Na2AlF6、Sb2O5・nH2O+Sb2O3、Na2O・11Al2O3、MgF2、ZrO2、Nb2O5およびAl2O3のような無機フィルムも電解質材料としての使用が考慮されている。
【0035】
得られるエレクトロクロミックレンズは少しの霞み(0.3〜0.4%)を有するが、一般にクラックはない。エレクトロクロミックデバイスへの電気的な接触は、電気伝導性バスバーを用いて行うのが好ましい。550nmにおけるレンズの光学的な透過性は消色状態において約75%またはそれ以上であり、約23〜29mC/cm2の範囲の電荷についての約+1.5〜−1.5ボルトの電圧範囲における暗色化状態において最低約10%を有する。このようなフィルムの荷電容量は3未満から30mC/cm2を越える範囲でありうる。メガネ以外のエレクトロクロミック用品のためには、消色状態における透過性はより低く、そして暗色化状態はより高くまたは低くてよい。
【0036】
【実施例】
以下の実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、これは例示することを目的としており数値の改変およびそれらの改良は当業者に明白である。
【0037】
実施例1
直径70mm、6プラノ、厚さ2mmのポリマーレンズ基材(CR−39Rモノマー、PPG工業社製、より作製)をアクリル酸とメチルメタクリレートとのコポリマー(モル比3:1)からなるポリマー下塗り剤で下塗りした。ついで、下塗りした表面を90重量%のインジウムおよび10重量%の錫の標的から80%のアルゴンおよび20%の酸素の雰囲気中で140°F(60℃)においてDCスパッタすることにより厚さ約2600〜2800オングストロームのインジウム/錫オキシド(ITO)の電気伝導性層を付着させることにより被覆した。最後に、下塗りされ電気伝導性被覆された表面上にラジオ周波数(rf)マグネトロンスパッタにより窒素含有イリジウムオキシドの薄いフィルムを付着させた。スパッタ被覆のための基本圧力は2×10-3トルとした。標的は純度99.9%のイリジウム金属であり、標的の寸法は直径2.87インチ(7.3cm)とした。標的から基材までの距離は6インチ(15.24cm)とした。rf出力は125ワットであり、出力密度は3ワット/cm2とし、44分間継続した。典型的なスパッタ速度は9〜15オングストローム/分であった。窒素含有イリジウムオキシドフィルムの厚さは約600オングストロームであった。
【0038】
この被覆試料を可視領域において光学透過性について分析した。ついで、この被覆を1.5×10-3アンペアの定常電流1.5ボルト(V)の電圧限界において、0.1N塩酸(HCl)の浴中で電気化学的に予備荷電した。挿入および除去された荷電の量は約21mC/cm2であった。このガルバーニ静電気的な処理の後に、光学透過性および被覆接着性を測定した。付着させた窒素含有イリジウムオキシドフィルムは約40%のホトピック透過性を有していた。3回の電気化学的な酸化/還元サイクルの後にフィルムを21mC/cm2で荷電することにより約75%のホトピック透過性が得られた。フィルムの電荷保持は優れていた。30分間空気に露出した後に、ホトピック領域における透過性の変化は1%のみであった。これに対し、窒素を含有させないで付着させたイリジウムオキシドフィルムは5〜8%変化した。予備荷電の後のフィルム接着性については、クロスハッチ試験、ASTM D3359の方法Aを5の評定でパスした。電気化学的な実験により、プロトンがイリジウムオキシドの格子を良好に逆転可能であることが示され、電荷交換は約23mC/cm2であった。窒素含有イリジウムオキシドフィルムの循環ボルタモグラム(voltammograms)(CV)は繰り返し循環後の良好な安定性を示す。
【0039】
ついで、28重量%のAMPS、47%のDMA、6%の1−メチル−2−ピロリジノン(NMP)および19%の水を含む反応混合物から調製されたAMPS/DMAのコポリマーの厚さ0.020インチ(0.051mm)の層をイオン伝導性層として用いて、イリジウムオキシド被覆レンズを、CR−39Rモノマーから調製されたポリマー基材、上述の下塗りおよびITO層、および厚さ約3700±500オングストロームのタングステンオキシドフィルムを有するタングステンオキシド被覆レンズでラミネートした。このエレクトロクロミック用品はスペクトロガード・カラー・システム、第96型スペクトルホトメーターで測定した場合、76%の消色状態透過性および25%の暗色化状態透過性を示した。
【0040】
実施例2米国特許第4,851,095号および同第5,225,057号に記載のDCマグネトロンスパッタ系を用いてCR−39Rアリルジグリコールカーボネートモノマーを含有する樹脂組成物から調製されたプラスチック基材上にイリジウムオキシドの窒素含有フィルムを付着させた。12.75×5.25×0.25インチ(32.39×13.34×0.64cm)のイリジウム金属標的を用いた。基材は25cm2の面積を有していた。用いた付着工程の条件を以下の表1に示す。
【0041】
【表1】
【0042】
このイリジウムオキシドフィルムをラザフォード・バックスキャッタ・スペクトロメトリーを用いて窒素について分析し、8%の原子窒素を含有することが見出された。600オングストロームのフィルムは付着された状態として40%の透過性を有していた。このフィルムは3本電極ポンテシオ静電気的な技術を用いて0.1M(モラー)の塩酸中で電気化学的に還元された。飽和カロメル参照電極に対して−0.5Vが試料(作用電極)に印加された。対電極として25cm2の白金ホイルを用いた。注入された電荷の量は750mC(30mC/cm2)であった。ついで、電荷は(SCEに対して)+1.0Vを印加することにより抽出された。試料を酸溶液から除去する前にこの工程を3〜5循環繰り返した。この試料の消色された透過性は70%であった。
【0043】
このような試料中に注入される電荷の量は電位差静電気を制御することにより変化させうる。約23〜約40mC/cm2の荷電レベルがこのような方法により得られる。
【0044】
実施例3実施例2で説明したDCマグネトロンスパッタユニットを用いて、5オーム/スクエアのシート抵抗を有するITO電気伝導性被覆を有する4cm2ガラス四方上にイリジウムオキシドフィルムを付着させた。窒素ガス流量は220sccmにおいて一定に保った。しかしながら、酸素およびアルゴンの流動速度は変化させた。酸素およびアルゴンガスを組み合わせた合計流動速度は950sccmに保った。合計ガス圧を調節するのに用いる高真空ポンプのコンダクタンスを注意深く調節することにより合計ガス圧を40ミリトルに維持した。表2に示すガス流動速度で調製したフィルムを窒素についてRBSにより分析した。結果を表2に示す。
【0045】
【表2】
asccm(標準cm3/分)
b透過性
【0046】表2の結果は、イリジウムオキシドフィルムに含まれる窒素の量が、アルゴンの流動速度と比較して酸素の流動速度が増大された場合に5%から11%へ増大されることを示す。
【0047】
これらの実施例はその視野を限定することなく本発明を説明するために提示される。具体的に説明していない種々の他の材料および工程も当業者には明白である。たとえば、対電極は相補的ではなくて不活性的(passive)でもよく、In2O3のような材料、フッ素ドープ化錫オキシド、錫ドープ化イリジウムオキシド(ITO)およびNb2O5を用いうる。ポリアミレンおよびビオロゲン(1,1−ジヘプチル−4,4−ビピリジウムジブロミド)のような有機エレクトロクロミック材料も本発明のエレクトロクロミックデバイスに用いうる。
【0048】
本発明の特定の実施態様に関して説明してきたが、これらの詳細は、特許請求の範囲に含まれる本発明の視野を限定するものと解されるべきではない。
【発明の属する技術分野】
本発明は、一般にエレクトロクロミックセルの分野に関し、より詳しくは、イリジウムオキシドを、相補的エレクトロクロミックフィルムとして、および電荷平衡対電極(charge-balancing counter electrode)として用いる透明エレクトロクロミックデバイスの分野に関する。
【0002】
従来のエレクトロクロミックセルは持続性のエレクトロクロミック材料、すなわち、高い透明な非吸収状態から低い透明性の吸収または反射状態へ変化させる所定の極性および十分な電圧の電場の印加に応答性である材料の薄いフィルムを有する。このエレクトロクロミック材料のフィルムは電場が中断された後も実質的に低い透過状態のままである。このエレクトロクロミック材料に反対の極性の電場が印加された場合に、これは元の高い透過状態に戻る。イオンおよび電気伝導体の両方であるエレクトロクロミック材料のフィルムは、イオン伝導性材料の層と、イオン伝導性接触、好ましくは直接物理接触している。イオン伝導性材料は固体、液体またはゲルでありうる。エレクトロクロミックフィルムおよびイオン伝導性層は2個の電極の間に設けられることによりセルを形成する。いくつかの用途では、セルを形成するために相補的な(complementary)エレクトロクロミックフィルムが用いられ、他の用途では、セルを形成するために、相補的なエレクトロクロミックフィルムの代わりに光学的に不活性な(passive)フィルムまたは金属が用いられる。
【0003】
2個の電極の間に電圧が印加される場合は、イオン伝導層を通してイオンが伝導される。エレクトロクロミック材料のフィルムに隣接する電極がカソードであり、エレクトロクロミック材料がカソード的に着色する場合は、この材料へ電場を印加することによりフィルムの暗色化が生じる。電場の極性を逆転させることによりエレクトロクロミック的特性の逆転が生じ、フィルムは高い透過状態に逆転する。従来は、カソード的に着色するエレクトロクロミック材料、通常はタングステンオキシドまたはそれらの化合物が、錫オキシドまたはインジウム/錫オキシド(ITO)のような電気伝導性フィルムで予め被覆されたガラス基材上に付着されることにより1つの電極が形成される。いくつかのエレクトロクロミックデバイスでは、対電極が同様の錫オキシドまたはインジウム/錫オキシドで被覆されたガラス基材または金属板により裏打ちされたカーボン紙構成である。
【0004】
シアボーン(Schiavone)は、ジャーナル・オブ・ザ・エレクトロケミカル・ソサイエティー、第128巻、第6号、第1212〜1214頁、1981年6月、において、イリジウム標的の反応性スパッタによるエレクトロクロミックイリジウムオキシドの付着を説明する。イリジウムオキシドフィルムは、純粋な酸素中でイリジウム標的を反応性ラジオ周波数スパッタして完全着色状態においてフィルムに付着させることにより付着される。
【0005】
カング(Kang)およびシャイ(Shay)は、ジャーナル・オブ・ザ・エレクトロケミカル・ソサイエティー、第130巻、第4号、第766頁等、1983年4月、において、ブルーのスパッタされたイリジウムオキシドフィルムを説明する。その特性は、ブラックのスパッタされたイリジウムオキシドフィルムおよびアノード的に成長したイリジウムオキシドフィルムの特性と比較される。ブルーのイリジウムオキシドフィルムは、238゜Kに保持されたガラス基材上に80/20アルゴン/酸素ガス混合物中でイリジウムを反応性直流スパッタすることにより付着される。著者が用いる方法は、純粋アルゴン中での15分間の標的予備スパッタ工程、その後の25分のイン・サイツの基材クリーニング工程、および実際の被覆に用いられるアルゴン/酸素ガス混合物中における10分間のその他の予備スパッタ工程を含む。エレクトロクロミックディスプレイ電極として、ブルーのスパッタされたイリジウムオキシドフィルムは、改良された開放回路消色状態および記録状態(written−state)メモリ、及び改良された外観を有するとして説明される。コーガン(Cogan)らは、SPIE、第823巻、第182号、1987年、において、インジウム/錫オキシド(ITO)被覆ガラスシート、タングステンオキシドおよびイリジウムオキシドのエレクトロクロミックフィルム、およびポリ−2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸(ポリAMPS)のポリマー電解質を有するエレクトロクロミックデバイスを説明する。
【0006】
タカハシらへの米国特許第4,350,414号は、一対の電極、イリジウムヒドロキシドおよび/またはニッケルヒドロキシドの酸化可能フィルム、タングステンオキシドおよび/またはモリブデンオキシドの還元可能フィルム、およびプロトンの伝導を許容するが電子の伝導を禁止するそれらのフィルムの間の絶縁フィルム(例えば、タンタルオキシド、ジルコニウムオキシド、ニオブオキシド、アルミナ、マグネシウムフルオリド、シリコンオキシド、チタンオキシド、ハフニウムオキシドまたはイットリウムオキシド)を有する固体状エレクトロクロミックデバイスを開示する。
【0007】
コーガンらへの米国特許第5,327,281号は、非晶質タングステントリオキシド被覆インジウム/錫オキシド被覆ガラス基材とイリジウムオキシド被覆インジウム/錫オキシド被覆ガラス基材との間にラミネートされたエレクトロクロミックデバイスのための固体ポリマー電解質を説明する。
【0008】
【発明の構成】
本発明は窒素含有イリジウムオキシドフィルムに向けられる。より詳しくは、本発明は透明および不透明エレクトロクロミックデバイスに用いるエレクトロクロミック的に活性な窒素含有イリジウムオキシドフィルムに関する。このフィルムは基材を有するスパッタチャンバー中でイリジウム標的をスパッタすることにより付着され、その際に、フィルムは酸素含有反応性ガス中の窒素がイリジウムオキシド中に取り込まれるような条件の下で付着される。付着法のための特別な手段は要求されず、例えば、低温を保ったり、イリジウムスパッタ標的の極端な予備調整は不要である。窒素を含有するイリジウムオキシドフィルムは固体状エレクトロクロミックデバイスにおいて相補的なエレクトロクロミックフィルムとして用いられる場合に望ましい特性を示すことが見出されている。窒素含有イリジウムオキシドフィルムが電気化学的に予備荷電される(precharged)(還元される)場合は、このようなフィルムは窒素を含有しないイリジウムオキシドフィルムよりも安定であると認められる。これは電場に適用した後の透過性の低い変化により証明される。すなわち、周囲条件に露出した場合に、電場の適用後にフィルムの自己暗色化が観察されない。このようなフィルムは空気に露出した場合に酸化に対して耐性である。さらに、窒素含有イリジウムオキシドフィルムの100オングストローム/分の高い付着速度が得られる。
【0009】
本発明のイリジウムオキシドフィルムのための基材は、一実施態様では、合成光学レンズから調製されるポリマーレンズのような、ガラスまたはプラスチック、好ましくはメガネに用いるレンズを提供するのに好適な透明材料のような光透過性材料、特に透明材料である。ポリマーレンズは、最終用途に依存して、通常の屈折係数(約1.48〜1.5)、比較的高い屈折係数(約1.60〜1.75)、または中位の屈折係数(約1.55〜1.56)を有しうる。または、ポリマーレンズは約1.48および1.75の間のいずれか(例えば、約1.50〜1.66)の屈折係数を有しうる。
【0010】
レンズ材料として用いうる合成ポリマー基材には以下のものが含まれるがこれらに限定されない。「レクサン」の商標で販売される、ビスフェノールAとホスゲンとから誘導されるカーボネート結合された樹脂のような熱可塑性ポリカーボネート;「マイラー」の商標で販売される材料のようなポリエステル;「プレキシガラス」の商標で販売される材料のようなポリ(メチルメタクリレート);および「CR−39」の商標で販売される、ポリオール(アリルカーボネート)モノマー、特にジエチレングリコールビス(アリルカーボネート)の重合体。上述のモノマー/樹脂のコポリマーもレンズ材料として用いうる。さらに、種々の光学および非光学用途に用いるために当業者に知られる透明および不透明ポリマー基材も窒素含有イリジウムオキシドフィルムのための基材として用いうる。
【0011】
その上にイリジウムオキシドフィルムが付着される基材、例えば透明基材は、一般に電気伝導性ではない。エレクトロクロミックデバイスを調製する場合、基材は、好ましくはまず電気伝導性フィルムで被覆される。電気伝導性フィルムはエレクトロクロミックデバイスにおいて電気伝導性フィルムとして用いられるものとして当業者に知られるいずれかでありうる。典型的には、このようなフィルムは金属または金属オキシドの透明で薄いフィルムである。例えば、通常ITO(インジウム/錫オキシド)と呼ばれるフッ素ドープ化錫オキシドまたは錫ドープ化インジウムオキシドである。好ましくは約90:10のインジウムと錫との重量比を有するITOである。アンチモンドープ化錫オキシドおよびアルミニウムドープ化亜鉛オキシドのような他の材料を電気伝導性フィルムとして用いうる。好ましくは、このフィルムは10〜30オーム/スクエアのシート抵抗を有する。電気伝導性フィルムの厚さは、好ましくは1300〜4000オングストローム、例えば2000〜4000オングストロームの範囲であり、より好ましくは2500〜2800オングストロームの範囲である。そして好ましくは、このフィルムは約18〜30オーム/スクエアのシート抵抗を望ましい電気伝導性のために有する。
【0012】
電気伝導性フィルムは、基材がその方法により悪影響を受けない限り当業者に知られた種々の方法により付着されうる。ガラス上に電気伝導性フィルムを付着させるために高温熱分解法を用いうる。しかしながら、一般にこのような方法はより低い融点のポリマー基材には適さない。ポリマー基材上にITOのような電気伝導性フィルムを付着させるのに好ましい方法は直流(DC)スパッタである。特に、米国特許第4,851,095号および同第5,225,057号および1994年8月19日に出願された同時係属米国特許出願第08/293,129号に記載の高付着速度、低温法であるメタモード(Meta Mode)Rスパッタ系のようなDCマグネトロン反応性スパッタ(MSVD)が挙げられる。冷却ドラムを用いる真空ウェブ被覆はプラスチック基材上にITOを被覆する他の方法である。
【0013】
上述の'095および'097特許において、被覆される基材は高速金属スパッタ領域および強力な反応性プラズマを通して交互に回転される。DCマグネトロンスパッタカソードは回転シリンダ状ワークピース移送系と組み合わせて分圧分離レジーム(regime)において機能する。このような技術を用いて、80%を上回る可視透過性および18〜20オーム/スクエアのシート抵抗を有するITOフィルムが20℃において調製されうる。
【0014】
一般に、プラスチック基材への電気伝導性金属オキシドフィルムの接着は、環境における耐久性およびエレクトロクロミックデバイスの長時間の循環(着色/消色循環)のために適さない。このような場合は、基材と電気伝導性フィルムとの界面に接着改良ポリマー下塗り剤を設けて電気伝導性フィルムのプラスチック基材の表面への接着性を改良することが好ましい。加えて、ポリマー下塗り剤はプラスチック基材および電気伝導性フィルムのひび割れおよび/またはクラッキング防止を補助する。CR−39Rアリルジグリコールカーボネートモノマーを含む光学樹脂から調製されるポリマー基材のために好ましいプラスマーは、アクリレートコポリマー、好ましくはアクリル酸とシアノエチルアクリレート、ヒドロキシエチルアクリレート、メチルメタクリレートおよびこのような置換アクリレートの混合物のような置換アクリレートとのコポリマーである。好ましくは、置換アクリレートはメチルメタクリレートであり、アクリル酸と置換アクリレート、例えばメチルメタクリレートとのモル比は約3:1〜約1:3である。
【0015】
好ましくは、下塗り剤は有機溶媒中モノマーの溶液としてディップ、フローまたは他の従来の塗布技術によりプラスチック基材表面に塗布される。次いで、有機溶媒が蒸発され、ポリマー下塗り剤は僅かに昇温された状態で、典型的には、約160〜200゜F(約80〜92℃)で約8時間硬化される。一般に、モノマー溶液は開始量のアゾビスイソブチロニトリルのようなフリーラジカル開始剤を含む。また、モノマー溶液はアクリレートコポリマーを架橋するためのシクロ脂肪族ジエポキシドを含みうる。ここで言うジエポキシドには、2−[3,4−エポキシシクロヘキシル−5,5−スピロ−3,4−エポキシ]シクロヘキサン−メタジオキサン;ビス[3,4−エポキシシクロヘキシル]アジペート;および3,4−エポキシシクロヘキシル−3,4−エポキシ−シクロヘキサン−カルボキシレートが含まれる。好ましくは、モノマー溶液は下塗り剤を硬化させるためにジブチル錫ジラウレート(DBTDL)またはウラニルニトレートのような触媒を含みうる。
【0016】
モノマー溶液のために用いる有機溶媒はシクロヘキサノン、1−プロパノール、1−ブタノール、アセトンおよびこのような溶媒の混合物でありうる。好ましい有機溶媒は1−プロパノールである。下塗り剤を塗布する方法はプラスチック基材を下塗り剤のモノマー溶液中に浸し、基材を溶液から除去し、そして基材上の下塗り剤の被覆を乾燥および硬化させる。次いで、電気伝導性フィルムで被覆されない表面から、下塗り剤を研磨除去する。下塗り剤をプラスチック基材に塗布する他の方法は基材の一表面上にモノマー溶液をスピンコートし、そして得られる下塗り剤の被覆を乾燥および硬化させる方法である。好ましくは、下塗り剤の被覆の厚さは約0.01〜0.50ミクロン、より好ましくは、約0.29〜0.46ミクロンの範囲である。
【0017】
透明エレクトロクロミックデバイスを調整するために2個の下塗りした電気伝導性フィルムで被覆した透明プラスチック基材を組み合わせる。電気互換性フィルムは一方のプラスチック基材の電気伝導性フィルム上に付着され、相補的なエレクトロクロミックフィルムは他のプラスチック基材の電気伝導性フィルム上に付着される。モリブデン(MoO3)、タングステン(WO3)、バナジウム(V2O5)、ニオブ(Nb2O5)、チタン(TiO2)、クロム(Cr2O3)、プラセオジム(PrO2)、およびルテニウム(RuO2)の酸化物のような種々の知られたエレクトロクロミック材料の中で、タングステンオキシドおよびタングステンオキシドの化合物が好ましい。加えて、MoWO3、NbWO3、K1-xWO3およびNa1-xWO3(式中、xは1未満である)のような三成分金属オキシドおよびタングステンブロンズを用いうる。
【0018】
タングステンオキシドは、タングステンオキシドの熱蒸発により基材上に付着させうる。しかしながら、米国特許第4,851,095号および同第5,225,057号に記載のメタモードR系のような装置を用いる高い合計ガス圧(20ミリトルを越える)における希ガス/酸素雰囲気中でのタングステンの直流(DC)マグネトロンスパッタにより付着させることが好ましい。エレクトロクロミック、例えば、タングステンオキシドフィルムの厚さは、好ましくは3000〜5000オングストローム、より好ましくは約3700±5000オングストロームである。エレクトロクロミックフィルム、例えばタングステンオキシドは付着された状態で透明(高透過性)である。
【0019】
本発明の実施態様によれば、他の下塗りされそして電気伝導性フィルムで被覆された基材は窒素含有イリジウムオキシドのフィルムで電気伝導性フィルムの上をさらに被覆される。イリジウムオキシドフィルムはラジオ周波数(rf)または直流(DC)マグネトロンスパッタリングにより付着されうる。スパッタガスは酸素、窒素(または窒素含有ガス)およびアルゴン、ネオン、クリプトンまたはキセノンのような不活性ガスを含む。コストの面からアルゴンが不活性ガスとして好ましい。窒素の分圧は不活性ガス、例えばアルゴンの分圧と同等かまたはこれを上回ることが好ましい。さらに、この系では酸素の高い分圧が用いられる。好ましくは、酸素の分圧は合計ガス圧の20〜50%である。酸素と窒素との流動比は約2〜8:1であり、例えば4〜7:1である。イリジウムオキシドフィルム中の窒素の量は不活性ガス、例えばアルゴンに対して酸素の相対量が増大するにつれて増大することが見出されている。
【0020】
エレクトロクロミックフィルムにおいて、窒素含有イリジウムオキシドの相補的なエレクトロクロミックフィルムはメタモードR系を用いて付着させうる。これは、反応性ガスが非反応性ガスと低圧領域により分離されるDCマグネトロン反応性スパッタ付着系を包含する。金属種の付着は基材上で生じ、スパッタ標的の付着領域および反応性ガスプラズマ領域の間を移動および/または回転する。反応性ガス領域は陽性にバイアスされた電極からなり、そのことにより反応性イオン種の濃いプラズマが形成され、イオンが基材上の新たに付着した金属を爆破し、そのことによりオキシド、ニトリド、オキシニトリドまたはこれらの組み合わせのような金属の化合物が形成される。この系は所望のフィルム厚が得られるまでの付着−反応−付着−反応などの連続として単純に説明されうる。
【0021】
系内の合計システムガス圧は5〜100、例えば40〜75ミリトルの範囲である。系内の反応性ガス分圧は7〜40ミリトルの範囲である。窒素または窒素含有ガスはメタモードR系においていずれかの適当な位置に導入されうる。例えば、付着領域、反応領域またはいずれかの不活性付着領域においてである。典型的なカソード出力およびイオン源流は、それぞれ1〜5キロワットおよび1〜3アンペアの範囲内である。最適の条件は、窒素含有イリジウムオキシドフィルムのための統計的な設計を通して決定されうる。
【0022】
イリジウムオキシドのスパッタは被覆される基材の寸法および形状のために適当な寸法および形状のイリジウム標的を用いて行なわれる。好ましい間隔は、例えば3〜6インチ(7.62〜15.24cm)であるが、間隔は均一な被覆を基材に付着させるために好ましく近接していればよい。好ましくは、スパッタチャンバーはスパッタ雰囲気の反応性ガス組成物を導入する前に10-5トル未満、好ましくは10-6トル未満に排気することが好ましい。窒素含有イリジウムオキシドの付着はイリジウム標的をスパッタし、そしてスパッタされたイリジウムを反応性ガス、すなわち、酸化雰囲気、好ましくは酸素および窒素含有ガスを含むものに、用いる特定のスパッタ装置に依存して、約5〜100、例えば40〜75ミリトルの範囲のチャンバー圧において接触させることにより行なわれる。
【0023】
本発明によれば、イリジウムオキシドフィルム中に窒素が存在することにより、電気化学的に還元されそして空気に露出された場合にフィルムは透明性の喪失に対してより安定となる。例えば、短時間、例えば30分間にわたる自己暗色または消色は最低限である。言い替えると、窒素含有イリジウムオキシドフィルムは高消色状態光学透過性の保持において重大な改良を示す。加えて、窒素含有イリジウムオキシドフィルムが電気化学的に還元された場合は、空気に露出されてもそれは再び酸化しない。
【0024】
スパッタチャンバー中の反応性ガス雰囲気は、イリジウムオキシドフィルム中に安定化量の窒素を組み込む結果とするために十分な量の窒素を含む。すなわち、フィルムが電気化学的に予備荷電された後に透過性の重大な変化を防止するのに十分な窒素が含まれる。言い替えると、イリジウムオキシドフィルム中に組み込まれる窒素の量は、電気化学的な還元中にその透過性が重大に変化しないようにフィルムを安定させるのに十分である。スパッタチャンバー雰囲気中の窒素は純粋窒素ガスとして、または空気、または例えばアンモニアのようなその他の窒素含有ガス組成物の形態でありうる。この窒素源はチャンバーに別々または連続して充填されるか、または酸化雰囲気を提供する酸素源の一部として充填される。
【0025】
付着されたイリジウムオキシドフィルムは少なくとも2原子%、より好ましくは少なくとも5、最も好ましくは少なくとも8原子%の窒素を含有する。本発明のイリジウムオキシドフィルムは約2〜20、例えば4または8〜18、または12〜18原子%の窒素を含む。しかしながら、20原子%を上回る窒素を含有するフィルムもここで考慮される。窒素含有イリジウムオキシドフィルムの厚さは、好ましくは約300〜800オングストロームの範囲である。これらのフィルムはラザフォード・バックスキャッタ・スペクトロメトリー(RBS)により分析され、これは原子数密度(アトム/cm2)として分析結果を提供し、ここでは原子%と呼ぶ。一実施態様では、フィルムは66〜68原子%の酸素および4〜12原子%の窒素を含むとされ、原子酸素とイリジウムとの比は約2〜3の範囲である。
【0026】
イリジウムオキシドフィルム中に組み込まれる窒素の量はその他の処理条件を同一にしておきながら窒素の流速(または分圧)を変化させることにより制御しうる。フィルム中に組み込む窒素の量を制御する他の方法は、酸素と不活性ガス、例えば、アルゴンとの相対流速比を一定の窒素流速において変化させることである。現在では、イリジウムオキシドフィルム中の窒素の正確な化学的性質は確立されていない。窒素は元素としての窒素またはニトリドまたはオキシニトリドのその他の形態で存在することが要求される。
【0027】
イリジウムオキシドフィルム中の窒素の量はフィルムのエレクトロクロミック的特性に影響することが見出されている。スイッチング速度、着色効率(荷電密度に対する光学密度の変化により定義される)、荷電容量、および着色/消色の範囲はすべてフィルム中に含まれる原子窒素のレベルに依存して変化する。
【0028】
イリジウムオキシドフィルムを付着させるためにラジオ周波数(rf)マグネトロンスパッタを用いる場合は、スパッタ装置に関連して出力を選択することができ、100〜135ワット、より好ましくは付着に際しての約42cm2の標的寸法について約125ワットとしうる。出力密度は、好ましくは1〜5、より好ましくは2〜4、最も好ましくは2.5〜3.5ワット/cm2である。通常、rfマグネトロンスパッタ被覆付着工程の間、標的およびチャンバーは水で冷やされる。メタモードR系においては、通常、ターゲット単独が水で冷却される。
【0029】
ITO被覆された基材上に被覆された窒素含有イリジウムオキシドフィルムはガルバーニ静電気的(galvanostatic)または電位差静電気的(potentiostatic)技術のいずれかを用いて、0.1モラーの塩酸または0.1モラーの硫酸のような酸浴中で電気化学的に予備荷電させうる。一実施態様では、セル構造は3個の電極を有する。すなわち、作用電極(WE)、参照電極(RE)および対電極(CE)である。作用電極は窒素含有イリジウムオキシドフィルムである。参照電極は標準カロメル電極(SCE)である。そして対電極は25cm2の面積を有する白金ホイルである。
【0030】
標準カロメル電極に対して−0.5〜−0.1ボルトの範囲の電圧をかける電位差静電気的条件を用いて、挿入され除去される電荷の量は約13〜40mC/cm2である。
【0031】
電気化学的な還元は約1.5×10-3アンペアの電流および1.5ボルトに設定された電圧限界を含むガルバーニ静電気的条件のもとにおいても行いうる。このような条件下で挿入および除去される電荷の量は約23mC/cm2である。電荷を測定するためにWEに連結して結線されたクーロメーターを用いうる。蓄積された電荷は約1〜40、好ましくは15〜29、より好ましくは20〜29mC/cm2である。
【0032】
2個のプラスチック基材を下塗りし、電気伝導性フィルムで被覆し、さらにエレクトロクロミックフィルムで被覆した後に、この一対を組立てることにより、エレクトロクロミックフィルムを面対面の関係で有するセルを形成する。セルは、好ましくは、2個の半セルの間にあらかじめ形成したイオン伝導性ポリマーのシートを設け、得られるアセンブリをオートクレーブ中でラミネートすることにより提供されうる。イオン伝導性材料の層は、好ましくは両方のエレクトロクロミック表面を接着することによりラミネートされた用品を形成するイオン伝導性ポリマーである。本発明の好ましい実施態様では、イオン伝導性ポリマー電解質はプロトン伝導性ポリマーである。2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸(AMPSR(ルブリゾル社の商標))およびAMPSと種々のモノマーとのコポリマーが基材の間にラミネートされるあらかじめ形成されたシートの形態、またはその場で注型または硬化されるモノマーの液体反応混合物の形態で用いられる。本発明による好ましいプロトン伝導性ポリマー電解質は、AMPSとN,N−ジメチルアクリルアミド(DMA)とのコポリマーである。好ましくは、これらはその場で注型または硬化させる。好ましいAMPSとDMAとのコポリマーは、約1:3〜1:2の範囲のモル比のAMPSとDMAのモノマーから調製される。ポリマー電解質の厚さは、好ましくは0.001〜0.025インチ(0.0254〜0.625mm)、より好ましくは0.005〜0.015インチ(0.127〜0.381mm)である。これは1993年11月12日に出願された米国特許出願第08/152,340号に開示されており、この開示をここに参照として挙げる。
【0033】
AMPS/DMAコポリマープロトン伝導性電解質は、1−メチル−2−ピロリドン(NMP)および水中のモノマーの溶液としてその場で注型されることが好ましい。このモノマー溶液は化学線照射、好ましくは紫外線(UV)光に露出することによりモノマーを重合させるための光開始剤を含有する。好ましいUV開始剤には、ベンゾインメチルエーテルおよびジエトキシアセトフェノンがある。モノマー溶液は、市販されているシーラント、たとえば、バリアン・バキューム・プロダクツ社から得られる「トル・シールR」でその場に保持される0.005〜0.025インチ(0.381〜0.508mm)のテフロンRスペーサーと共に組立てられた2個の別々の電気伝導性およびエレクトロクロミック被覆されたポリマーレンズ基材の間に注がれうる。湾曲したレンズは、典型的には約70mmの直径および1〜2mmの厚さを有する。一対の湾曲したレンズ基材のために、モノマー溶液は、一方のレンズ基材の凹型表面上に注がれ、そして他のレンズ基材の凸型表面がモノマー溶液と接触するように置かれる。このようにして、モノマー溶液がレンズ基材の間の薄いフィルムとして形成される。ポリマー電解質を硬化させるのに十分なUV光への露出は、水銀ランプについて約30分間、そしてキセノンランプについて約1〜3分間である。上述の議論は湾曲した基材に向けられるけれども、本発明の窒素含有イリジウムオキシドフィルムはレンズ以外の用途に用いる平坦な基材にも適用しうる。
【0034】
上述のイオン伝導性ポリマー電解質に加えて、たとえば水素ウラニルホスフェートまたはポリエチレンオキシド/LiClO4を含む材料のような他の材料も用いうる。また、LiNbO3、LiBO3、LiTaO3、LiF、Ta2O5、Na2AlF6、Sb2O5・nH2O+Sb2O3、Na2O・11Al2O3、MgF2、ZrO2、Nb2O5およびAl2O3のような無機フィルムも電解質材料としての使用が考慮されている。
【0035】
得られるエレクトロクロミックレンズは少しの霞み(0.3〜0.4%)を有するが、一般にクラックはない。エレクトロクロミックデバイスへの電気的な接触は、電気伝導性バスバーを用いて行うのが好ましい。550nmにおけるレンズの光学的な透過性は消色状態において約75%またはそれ以上であり、約23〜29mC/cm2の範囲の電荷についての約+1.5〜−1.5ボルトの電圧範囲における暗色化状態において最低約10%を有する。このようなフィルムの荷電容量は3未満から30mC/cm2を越える範囲でありうる。メガネ以外のエレクトロクロミック用品のためには、消色状態における透過性はより低く、そして暗色化状態はより高くまたは低くてよい。
【0036】
【実施例】
以下の実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、これは例示することを目的としており数値の改変およびそれらの改良は当業者に明白である。
【0037】
実施例1
直径70mm、6プラノ、厚さ2mmのポリマーレンズ基材(CR−39Rモノマー、PPG工業社製、より作製)をアクリル酸とメチルメタクリレートとのコポリマー(モル比3:1)からなるポリマー下塗り剤で下塗りした。ついで、下塗りした表面を90重量%のインジウムおよび10重量%の錫の標的から80%のアルゴンおよび20%の酸素の雰囲気中で140°F(60℃)においてDCスパッタすることにより厚さ約2600〜2800オングストロームのインジウム/錫オキシド(ITO)の電気伝導性層を付着させることにより被覆した。最後に、下塗りされ電気伝導性被覆された表面上にラジオ周波数(rf)マグネトロンスパッタにより窒素含有イリジウムオキシドの薄いフィルムを付着させた。スパッタ被覆のための基本圧力は2×10-3トルとした。標的は純度99.9%のイリジウム金属であり、標的の寸法は直径2.87インチ(7.3cm)とした。標的から基材までの距離は6インチ(15.24cm)とした。rf出力は125ワットであり、出力密度は3ワット/cm2とし、44分間継続した。典型的なスパッタ速度は9〜15オングストローム/分であった。窒素含有イリジウムオキシドフィルムの厚さは約600オングストロームであった。
【0038】
この被覆試料を可視領域において光学透過性について分析した。ついで、この被覆を1.5×10-3アンペアの定常電流1.5ボルト(V)の電圧限界において、0.1N塩酸(HCl)の浴中で電気化学的に予備荷電した。挿入および除去された荷電の量は約21mC/cm2であった。このガルバーニ静電気的な処理の後に、光学透過性および被覆接着性を測定した。付着させた窒素含有イリジウムオキシドフィルムは約40%のホトピック透過性を有していた。3回の電気化学的な酸化/還元サイクルの後にフィルムを21mC/cm2で荷電することにより約75%のホトピック透過性が得られた。フィルムの電荷保持は優れていた。30分間空気に露出した後に、ホトピック領域における透過性の変化は1%のみであった。これに対し、窒素を含有させないで付着させたイリジウムオキシドフィルムは5〜8%変化した。予備荷電の後のフィルム接着性については、クロスハッチ試験、ASTM D3359の方法Aを5の評定でパスした。電気化学的な実験により、プロトンがイリジウムオキシドの格子を良好に逆転可能であることが示され、電荷交換は約23mC/cm2であった。窒素含有イリジウムオキシドフィルムの循環ボルタモグラム(voltammograms)(CV)は繰り返し循環後の良好な安定性を示す。
【0039】
ついで、28重量%のAMPS、47%のDMA、6%の1−メチル−2−ピロリジノン(NMP)および19%の水を含む反応混合物から調製されたAMPS/DMAのコポリマーの厚さ0.020インチ(0.051mm)の層をイオン伝導性層として用いて、イリジウムオキシド被覆レンズを、CR−39Rモノマーから調製されたポリマー基材、上述の下塗りおよびITO層、および厚さ約3700±500オングストロームのタングステンオキシドフィルムを有するタングステンオキシド被覆レンズでラミネートした。このエレクトロクロミック用品はスペクトロガード・カラー・システム、第96型スペクトルホトメーターで測定した場合、76%の消色状態透過性および25%の暗色化状態透過性を示した。
【0040】
実施例2米国特許第4,851,095号および同第5,225,057号に記載のDCマグネトロンスパッタ系を用いてCR−39Rアリルジグリコールカーボネートモノマーを含有する樹脂組成物から調製されたプラスチック基材上にイリジウムオキシドの窒素含有フィルムを付着させた。12.75×5.25×0.25インチ(32.39×13.34×0.64cm)のイリジウム金属標的を用いた。基材は25cm2の面積を有していた。用いた付着工程の条件を以下の表1に示す。
【0041】
【表1】
【0042】
このイリジウムオキシドフィルムをラザフォード・バックスキャッタ・スペクトロメトリーを用いて窒素について分析し、8%の原子窒素を含有することが見出された。600オングストロームのフィルムは付着された状態として40%の透過性を有していた。このフィルムは3本電極ポンテシオ静電気的な技術を用いて0.1M(モラー)の塩酸中で電気化学的に還元された。飽和カロメル参照電極に対して−0.5Vが試料(作用電極)に印加された。対電極として25cm2の白金ホイルを用いた。注入された電荷の量は750mC(30mC/cm2)であった。ついで、電荷は(SCEに対して)+1.0Vを印加することにより抽出された。試料を酸溶液から除去する前にこの工程を3〜5循環繰り返した。この試料の消色された透過性は70%であった。
【0043】
このような試料中に注入される電荷の量は電位差静電気を制御することにより変化させうる。約23〜約40mC/cm2の荷電レベルがこのような方法により得られる。
【0044】
実施例3実施例2で説明したDCマグネトロンスパッタユニットを用いて、5オーム/スクエアのシート抵抗を有するITO電気伝導性被覆を有する4cm2ガラス四方上にイリジウムオキシドフィルムを付着させた。窒素ガス流量は220sccmにおいて一定に保った。しかしながら、酸素およびアルゴンの流動速度は変化させた。酸素およびアルゴンガスを組み合わせた合計流動速度は950sccmに保った。合計ガス圧を調節するのに用いる高真空ポンプのコンダクタンスを注意深く調節することにより合計ガス圧を40ミリトルに維持した。表2に示すガス流動速度で調製したフィルムを窒素についてRBSにより分析した。結果を表2に示す。
【0045】
【表2】
asccm(標準cm3/分)
b透過性
【0046】表2の結果は、イリジウムオキシドフィルムに含まれる窒素の量が、アルゴンの流動速度と比較して酸素の流動速度が増大された場合に5%から11%へ増大されることを示す。
【0047】
これらの実施例はその視野を限定することなく本発明を説明するために提示される。具体的に説明していない種々の他の材料および工程も当業者には明白である。たとえば、対電極は相補的ではなくて不活性的(passive)でもよく、In2O3のような材料、フッ素ドープ化錫オキシド、錫ドープ化イリジウムオキシド(ITO)およびNb2O5を用いうる。ポリアミレンおよびビオロゲン(1,1−ジヘプチル−4,4−ビピリジウムジブロミド)のような有機エレクトロクロミック材料も本発明のエレクトロクロミックデバイスに用いうる。
【0048】
本発明の特定の実施態様に関して説明してきたが、これらの詳細は、特許請求の範囲に含まれる本発明の視野を限定するものと解されるべきではない。
Claims (14)
- a)基材とイリジウム金属標的とを真空チャンバー中で近接した関係に置く工程;b)イリジウム金属標的をスパッタする工程;およびc)該スパッタされたイリジウムと酸素および窒素含有ガスおよび不活性ガスを含むガス混合物とを接触させ、そのことにより窒素含有イリジウムオキシドフィルムを基材の標的に面する表面の上に付着させる工程;を包含する基材の表面上に窒素含有イリジウムオキシドフィルムを提供する方法。
- 前記イリジウム金属標的がDCマグネトロンスパッタリングを用いてスパッタされる請求項1記載の方法。
- 前記ガス混合物がアルゴンを含有する請求項2記載の方法。
- 酸素および窒素が真空チャンバー中に別々に導入され、酸素ガスと窒素ガスとの流動比が2〜8:1であり、チャンバー中の窒素の分圧が少なくともその中のアルゴンの分圧と等しい請求項3記載の方法。
- 前記窒素含有イリジウムオキシドフィルムが2〜20原子%の窒素を含有する請求項4記載の方法。
- 前記基材とイリジウム金属標的とが3〜6インチ(即ち、7.6〜15.2cm)の距離の間隔で離れている請求項4記載の方法。
- スパッタリング中のチャンバー内の合計ガス圧が5〜100ミリトル(即ち、0.66〜13.3Pa)の範囲である請求項4記載の方法。
- 前記チャンバー圧が40〜75ミリトル(即ち、5.32〜9.98Pa)の範囲である請求項7記載の方法。
- 前記基材がガラスおよび有機ポリマーからなる群から選択される請求項7記載の方法。
- 前記工程(a)で提供される基材の表面が電気伝導性金属オキシドフィルムの被覆を有する請求項7記載の方法。
- 前記電気伝導性金属オキシドが錫オキシドおよびインジウム/錫オキシドからなる群から選択される請求項10記載の方法。
- a)その表面上に電気伝導性金属オキシドフィルムの第1層およびエレクトロクロミックフィルムの第2層を有する第1の透明基材;
b)その表面上に電気伝導性金属オキシドフィルムの第1層およびエレクトロクロミック的に活性な窒素含有イリジウムオキシドフィルムの第2層を有する第2の透明基材;
c)該エレクトロクロミックフィルムおよび該イリジウムオキシドフィルムに接触させてこれらの間に設けられたイオン伝導性層;を有し、該電気伝導性金属オキシドフィルムが錫ドープ化インジウムオキシドであり、前記エレクトロクロミックフィルムがタングステンオキシドであり、そしてイリジウムオキシドフィルムが4〜18原子%の窒素を含有することを特徴とするエレクトロクロミック用品。 - 前記透明基材がガラスおよび有機ポリマーからなる群から選択される請求項12記載の用品。
- 前記透明基材が有機ポリマーであり、前記電気伝導性金属オキシドフィルムおよび前記透明基材の表面のそれぞれの界面の間に接着改良有機ポリマー下塗り剤が設けられている請求項13記載の用品。
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