JPH09152635A - エレクトロクロミックペイン - Google Patents

エレクトロクロミックペイン

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JPH09152635A
JPH09152635A JP7298374A JP29837495A JPH09152635A JP H09152635 A JPH09152635 A JP H09152635A JP 7298374 A JP7298374 A JP 7298374A JP 29837495 A JP29837495 A JP 29837495A JP H09152635 A JPH09152635 A JP H09152635A
Authority
JP
Japan
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electrochromic
oxide
functional film
pane
counter electrode
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Pending
Application number
JP7298374A
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English (en)
Inventor
Mackal Philippe
マッカール フィリップ
Xavier Ripoche
リポシュ ザビエ
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Saint Gobain Vitrage SA
Original Assignee
Saint Gobain Vitrage SA
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Publication date
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  • Electrochromic Elements, Electrophoresis, Or Variable Reflection Or Absorption Elements (AREA)
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 電磁放射線の透過特性に強い異方性を持つエ
レクトロクロミックペインを提供する。 【解決手段】 本発明のエレクトロクロミックペイン1
0〜11は、電流の作用下においてM+ カチオンを可逆
的に注入でき且つその注入状態と脱離状態とについて着
色の特性を異にする材料から構成された主機能性フィル
ム13、電流の作用下においてやはりカチオンを可逆的
に注入することができ且つ好ましくはその注入状態と脱
離状態について着色の特性を異にする材料製の対電極1
5を含み、主機能性フィルム13は、少なくともその着
色状態において当該ペインに対し異方的な光学的性能を
与えるように、開き(opening)が20°未満で
あり且つ二等分面が基材と鋭角を形成する、正二面体に
含まれる直線に対して平行な柱の成長軸を持つ疑似柱状
構造を有する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電磁放射線のある
一定の波長において、特に可視範囲で、着色及び/又は
透過状態が電流の効果で変化する、電気的に制御される
ペイン(pane)に関する。より詳しく言えば、本発
明は、これらのペインのうちの、カチオンを可逆的に注
入することができ、注入及び脱離状態に対応する酸化状
態が着色及び/又は光の透過のいろいろな性質を有する
遷移金属酸化物のフィルムに基づくものに関する。
【0002】
【従来の技術】最も一般的に言って、そのようなペイン
は、酸化タングステンW03 のフィルム、すなわちカソ
ード性エレクトロクロミック材料、タングステンがその
最高の酸化状態(+6)にあるときに無色であり5未満
の酸化状態については暗い青色である材料のフィルム
を、主要な機能性フィルムとして含み、これについてカ
チオンの注入反応は次のように書き表すことができる。
【0003】
【化1】
【0004】着色の良好な可逆性のためには、カチオン
源(それ自体が好ましくはエレクトロクロミック材料か
ら構成される)を酸化タングステンフィルムと組み合わ
せるべきである。コントラストは、酸化タングステンと
対照的に脱離状態において着色されるアノード性として
知られる着色材料を使用すると確かに増強される。エレ
クトロクロミック材料の2枚のフィルムの間には、カチ
オン移送手段として電解質が挿入され、最終的に、系は
電流の供給のための電子伝導性フィルムにより完成され
るべきである。
【0005】時としてインテリジェントペインと呼ばれ
るこのようなペインは、日射が年間を通じて幅広く変動
し、そしてある時には非常に著しい暗い着色を伴う非常
に効果的な日射防止ペイン、そしてほかの時には対照的
に自然光による良好な照明を可能にするよう非常に透き
通ったペインを利用可能であることが望ましい地方にお
いて、太陽放射線の入射を制御するために特に関心が持
たれている。
【0006】ところが、これらのペインは放射線の全て
の入射方向について等方的な光学的性質を有する。現
在、実際問題としてこれらの全ての方向は同等ではな
く、エネルギー放射線の主要な源は最も多くの場合大き
な入射角で、水平より上方から、ペインに到達すること
は自明である。対照的に、建物の居住者の視線は、最も
普通には、ペインに対して垂直な平面に沿って又は下方
に向けられる。他方で、エネルギー透過率の何らかの低
下を伴う光透過率の低下は、通常、免れ難いが、それに
もかかわらず太陽光遮蔽ペインの不快な欠陥と考えられ
る。これらの側面から、ペインがある一定の角度選択性
を有すること、すなわちその光学的性能が電磁放射線の
入射方向に応じて増強されることは、望ましいことであ
ろう。
【0007】ヨーロッパ特許出願公開第0598660
号明細書に対応するフランス特許出願公開第26980
93号明細書には、透過の特性が入射光の関数として変
化するペインであって、ガイドがターゲットにより放出
された粒子を斜めの方向に基材の平面へ向ける、金属合
金、とりわけニッケル−クロム又はタングステンタイプ
の合金のターゲットの陰極スパッタリングにより製造さ
れるペインについて教示されている。この方法は、疑似
柱状(pseudo−columnar)とみなすこと
ができ、結晶の成長の軸が、二等分面(bisecto
r plane)が基材と鋭角を形成する(小さな二面
角の)狭い開き(opening)の正二面体内に含ま
れる直線に対して平行である構造を有する薄いフィルム
を、工業的規模で得るのを可能にする。
【0008】この方法は、観測の方向の関数として良好
な光学的選択性を有するペインを得るのを可能にする。
それにもかかわらず、これらのペインはなおも、固定さ
れた光学的性質を有する受動性のペインのままであり、
これらのペインの光学的性能は、全く厳密な日光条件に
対して最適化され、これはこれらの条件が頻繁に変動す
る地域について完全であるのとはかけ離れている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、着色状態の
うちの一つにおいて、電磁放射線についての透過の特性
に強い異方性を持つエレクトロクロミックペインを提供
することを目的とする。従って、本発明は、電流の作用
下においてカチオンを可逆的に注入することができ且つ
電磁放射線のある一定波長において注入状態と脱離状態
とについて異なる着色及び/又は透過特性を有する材料
から構成された主機能フィルムを含む、エレクトロクロ
ミックペインに関する。
【0010】
【課題を解決するための手段】これは、この主機能フィ
ルムが疑似柱状構造を有し、そしてこの主エレクトロク
ロミックフィルムの結晶成長の軸が、二面角が20°未
満であり且つ二等分面が基材とともに鋭角を、好ましく
は40°未満、より好ましくは10〜30°を作る、正
二角体内に含まれる直線に平行であることにより達成さ
れる。
【0011】本発明の発明者らは、エレクトロクロミッ
クフィルムの柱状(又は疑似柱状)構造はカチオンの可
逆的注入についてその能力を変更しないことを見いだし
た。実際に、この構造はかなり有利なようである。エレ
クトロクロミズムの現象が維持されるが、対照的に、ペ
インの光学的特性はその着色状態において異方性であ
る。
【0012】本発明によるペインの角度の選択性を更に
改良するために、対電極は、それもやはりエレクトリク
ロミック材料のフィルムから構成される限りにおいて、
好ましくは同様に、主機能フィルムの結晶成長の軸が二
面角が20°未満であり且つ二等分面が基材と鋭角を作
る正二面体内に含まれる直線に平行であるような条件で
成長させられる柱状構造を有するフィルムである。
【0013】第一の態様において、互いに向かい側にあ
る2枚のエレクトロクロミックフィルムを支持する基材
は、これらの2枚のエレクトロクロミックフィルムの成
長軸が本質的に平行であるようにして配置されるべきで
あり、これは、二つのエレクトロクロミック材料とそれ
らを隔てる電解質材料の屈折率が共に非常に接近し、あ
るいは全く同一であるということである。
【0014】第二の態様では、エレクトロクロミック材
料の2枚のフィルムの成長軸は同じ一般的方向のままで
あるが、もはや全体に平行ではなく、これは特に、屈折
率の違いが第一のカソード性エレクトロクロミックフィ
ルムと、電解質と、そして対電極との間に存在するとい
うことである。この場合、この非平行度は、好ましく
は、屈折率を異にするこれらの三つの材料を通過する光
線又は電磁線のずれを「補償」し、このとき対電極の成
長軸の角度の選定を周知のデカルトの法則を使って簡単
な計算により行うようにして、調整される。
【0015】対照的に、ペインの他のフィルム、特に透
明な電子伝導性フィルムと、そして存在するならば、例
えば電解質とエレクトロクロミック材料のフィルムの一
方又は他方の間に配置されるバリヤフィルムは、有利に
は等方性のフィルムであり、あるいは少なくとも、電磁
放射線の入射の方向に依存して本質的に等方性の光学的
特性を有するフィルムである。これらの条件では、脱色
状態において、ペインは角度選択性を示さず、光学的特
性の異方性は本質的に、放射線が着色された結晶の成長
軸に平行に又は接近して入射する場合に放射線の吸収が
より少ないためである。この脱色状態において角度の選
択性が完全にないことは、自然光から最大限の利益を引
き出すために、特に冬季において、有利である。
【0016】もう一つの態様では、ペインの他のフィル
ムのうちの少なくとも一部は、ペインの入射の方向によ
って異方的な光学的特性を有する、疑似柱状構造を持つ
フィルムである。この場合には、脱色状態で角度の選択
性も存在するが、それほど大した程度ではない。
【0017】最良の結果は、柱(columns)の長
さが最大限の選択性が所望される放射線の波長と同じ程
度のものである場合に認められる。結晶の正二面体の配
向が基材の平面に対して30°の二等分面を可能にする
ならば、柱の長さはフィルムの厚さの二倍に近づき、赤
色と近赤外線の吸収について言えば、この理由から、厚
さが典型的に300〜500nmの近傍である厚さ、主
機能フィルムが酸化タングステンに基づくエレクトロク
ロミック系の構成に十分適している厚さの範囲、を使用
するのが有利である。
【0018】本発明のこのほかの特徴と特別な利点は、
添付の図面を参照して行う、本発明の態様の以下のいろ
いろな例の説明から明らかになろう。
【0019】
【発明の実施の形態】使用される技術は非反応性又は反
応性の陰極スパッタリングである。好ましくは、「マグ
ネトロン」を備えた陰極、すなわちスパッタリング速度
を上昇させることができる磁場によって処理が促進され
るものが使用される。
【0020】図1は、試験装置の水平断面図を示してい
る。これは、ドイツ国特許第2463431号明細書に
記載されたタイプのマグネトロンを使用する通常の陰極
スパッタリング装置である。マグネトロン1は、この図
には図示されていない真空室内に垂直に位置し、すなわ
ち「トラック」ターゲットの長手方向対象軸9は垂直で
ある。アルゴンといったようなガスあるいは反応性ガス
類を導入することができる。マグネトロン陰極1は、タ
ーゲット2、好ましくは金属製のターゲット、を備えて
いる。図1では、ターゲット2の侵食が最大の帯域を3
に認めることができ、スパッタリングはここで本質的に
行われ、そしてこれらの帯域の間に軸9がある。この装
置は、試験片支持体(図示せず)を備えており、これが
その平面において垂直の試験片4が矢印5の方向に水平
移動するのを可能にする。
【0021】試験片4に平行に、それと陰極1との間
に、ガイド6が配置されている。これは、相互に平行な
垂直平面プレート7の集成体から構成され、これらのプ
レート7は集成体全体を固定するのを可能にするフレー
ム8によって一緒に連結される。これらのプレートは1
0mmの間隔をあけている。ガイド6の材料は有利には
ステンレス鋼である。この集成体は、陰極1に関して、
平面試験片4に対して実質的に平行にそれからおよそ1
0mmのところに固定される。
【0022】この試験装置は、ターゲットから放出され
た粒子が試験片の表面と5〜40°の角度αを形成する
平面に位置する軌道に沿って試験片に衝突するのを可能
にする。これらの粒子は、試験片の表面と好ましくはほ
ぼ30°に選ばれる角度αを構成する平面で、小さい入
射角で基材のある点に到達する。
【0023】この装置を、スズをドープした酸化インジ
ウムの透明な電気伝導性フィルムで被覆された3mmの
厚さのフロートガラスの基材に対して使用した。このフ
ィルム自体は、試験片と陰極との間にガイドを配置せず
に、マグネトロン陰極スパッタリングにより堆積させ
た。このITOフィルムの厚さは400nmであり、そ
の面積抵抗は5オームである。マグネトロンのターゲッ
トは金属タングステン製であり、ガスはアルゴン/酸素
混合物である。
【0024】酸化タングステンのフィルムは100nm
の厚さまで堆積させ、ウェーブガイド(wave gu
ide)は、結晶の成長軸を延長する直線と基材の平面
との角度αが30°であり、分散(二面開き角(dih
edral openingangle)が10°であ
るようなものであった。
【0025】こうして得られた疑似柱状酸化タングステ
ンフィルムのエレクトロクロミック特性を、リチウム媒
体とプロトン媒体とで試験した。このためには、WO3
のフィルムで被覆し且つ白金の対電極を備えた基材を電
解質の浴中に入れ、すなわちリチウム塩(ここでの例の
場合)あるいは例えば硫酸の如き酸を入れた液体浴に入
れる。エレクトロクロミックフィルムにカチオンを注入
し(あるいは脱離する)ために、白金の対電極とWO3
のフィルムの下の電子伝導性フィルムとの間に電位差を
確定させる。
【0026】基材平面に対する垂線に関し+60°又は
−60°の入射での透過率を比較して、光の透過率の測
定を行った。最初の測定は、街路の光景を見ようとする
観測者の目視の方向に本質的に対応する、結晶の成長軸
に対し本質的に平行な入射について行い、そして二番目
の測定は、特に温帯領域の夏季における、主要な日射の
方向に対して基本的に対応する余角で行った。
【0027】第一の系(リチウムを使用する)について
は、次に掲げる結果が得られた。光の透過率の値は光源
65で測定した。
【0028】
【表1】
【0029】第二の系(プロトンを使用する)について
は、次に示す結果が得られた。
【0030】
【表2】
【0031】これらの二つの系は、着色状態について、
入射の方向によりほぼ15%の相対的な違いを示す。対
照的に、脱色状態では、異方性は認めることができな
い。
【0032】この試験のために選んだWO3 のフィルム
は比較的厚さが薄かったこと、そしてこれが測定された
コントラストが比較的小さいことを説明している、とい
うことに注目すべきである。もっと大きな厚さについて
は、コントラストは間違いなくもっとずっと大きく、そ
して更に、角度の選択性の増大が、コントラストのもっ
とずっと大きい顕著な違いとともに、有利に観測され
る。
【0033】このようなエレクトロクロミック材料は、
図2に模式的に示したもののような完全なエレクトロク
ロミックペインの構成のために使用することができる。
このようなペインは、2枚のガラス基材10、11を含
み、これらのガラス基材は透明な電気伝導性フィルム1
2、本質的に柱状構造を持つWO3 のフィルム13、イ
オン伝導性電解質14、陽極と称されるエレクトロクロ
ミック材料から製作された対電極15、及び第二の透明
な電気伝導性フィルム16により隔てられる。反対側に
位置して、一方は電子伝導性フィルム12と接触し、そ
して他方はフィルム16と接触する二つの端子間に電流
を確立するために、この図には示していない電気的手段
が設けられる。
【0034】所望ならば、この系は、電子伝導性フィル
ムとエレクトロクロミック材料のフィルムとの界面、及
び/又は電解質とエレクトロクロミック材料との界面
に、他のフィルム、とりわけ「バリヤフィルム」として
知られるものを含むこともできる。好ましくは、非エレ
クトロクロミック材料の全てのフィルムは、それらの光
学的性質の側面から考えて本質的に等方性であるフィル
ムをもたらす通常の手法により付着(堆積)させる。
【0035】電解質は、好ましくはポリマー−塩の又は
ポリマー−酸の固体錯体である。そのような系を構成す
るやり方の例、そして特にそのような系の集成と給電の
例は、特にヨーロッパ特許出願公開第408427号、
同第475847号、同第477065号及び同第48
6387号各明細書に見いだされよう。
【0036】図2に示されたように、2枚のエレクトロ
クロミック材料のフィルムが疑似柱状成長のものである
場合には、パネルを、2枚のフィルムの結晶が本質的に
平行な軸を持つようにして配向するのを補償することが
必要である。更に、ペインの取り付けの際には、パネル
の上部と下部を逆にしないことを確実にすることが必要
である。と言うのは、結晶の成長軸は、調整することが
求められる放射線の主入射(矢印fはこの場合日射を示
している)と相反する角度に配向されなくてはならない
からである。
【0037】エレクトロクロミック材料のフィルムの、
より具体的に言えば酸化タングステンフィルムの厚さ
は、好ましくはほぼ300〜500nmであって、これ
は600〜1,000nmの波長についての最大の選択
性に対応している。
【0038】リチウムカチオンの可逆的な注入に基づく
系について言えば、例えば、アルゴン/酸素のガス混合
物の存在下で金属ニッケルのターゲットからマグネトロ
ン陰極スパッタリングで堆積される酸化ニッケルNiO
の対電極が使用される。ITO上に堆積させた酸化ニッ
ケルフィルムで被覆されたガラス板は、Li+ イオンを
前もって注入するためリチウム塩を含有している電解質
中に入れられて、電気化学的に調製される。
【0039】リチウムを使用するそのような系について
は、エレクトロクロミック材料のフィルムの間に挿入さ
れる電解質は、例えば、イオン伝導性ポリマー、とりわ
けポリオキシエチレン−リチウム塩の固体錯体から作ら
れたポリマーである。
【0040】プロトンの系については、電解質は例え
ば、厚さが例えば80μmの、ポリオキシエチレン中に
無水リン酸が存在する固溶体である。対電極は、例え
ば、酸素/水素ガス混合物の存在下で磁場に支援された
陰極スパッタリングにより堆積させた酸化イリジウムに
基づく対電極である。フィルムの厚さは、およそ400
nmの酸化タングステンフィルムの場合に50〜200
nmである。対電極については、結晶の成長を配向させ
るガイドは不可欠なものではないが、それにもかかわら
ず、たとえ対電極のコントラストの値に対する貢献がよ
り少ないとしても、対電極のためにもやはりそれを使用
するのが好ましい。
【0041】このように、本発明は、たくさんのエレク
トロクロミックペインの構成に適用することができ、プ
ロトン伝導によりあるいはリチウムイオンLi+ の伝導
によって等しくよく機能する。
【0042】本発明のフィルムにおいて主機能フィルム
と呼ばれるフィルムは、カチオンがプロトンであれリチ
ウムイオンであれ、酸化タングステンタイプのカソード
性エレクトロクロミック材料に相当する。
【0043】対電極は、例えば、カチオンがプロトンで
ある場合、アノード性エレクトロクロミック材料、とり
わけヨーロッパ特許第0338876号明細書に記載さ
れたHx IrOy タイプの酸化イリジウムに基づく、あ
るいは酸化ニッケルHx NiOy に基づく材料に該当す
る。カチオンがリチウムイオンである場合には、それは
ヨーロッパ特許第0373020号明細書に記載された
Lix NiOy タイプのニッケル酸化物に基づくもの、
あるいはフランス国特許第2633609号明細書に記
載された酸化セリウムに基づくものでよい。
【0044】カチオンがプロトンである場合には、機能
性フィルムと対電極との間でプロトンを移送する電解質
はプロトン導体であって、これはポリマー性のもの、例
えばヨーロッパ特許第0253713号明細書に記載さ
れ、場合によってはヨーロッパ特許出願公開第0670
346号明細書に記載されたように酸化防止及び/又は
チキソトロープ剤タイプの添加剤を添加した、ポリオキ
シエチレン中にリン酸の存在する固溶体のようなもので
よい。電解質は、例えば水和酸化タンタルHxTa2
y 、水和酸化アンチモンHx Sb2 y 、又は水和酸化
ニオブHx Nb 2 y といったような、無機物であって
もよい。
【0045】カチオンがリチウムイオンである場合に
は、この電解質は、例えば、ヨーロッパ特許第0518
754号明細書に記載された、ことによっては可塑剤を
添加した枝分かれしたポリオキシエチレンイミン(BP
EI)とリチウム塩との溶液のような、ポリマーのLi
+ 導体でよい。電解質は、例えばリチウム化した酸化タ
ンタルLix Ta2 y 、リチウム化したフッ化マグネ
シウムLix MgF2 、窒化リチウムLi3 N、又はア
ルミノケイ酸リチウムといったような、無機物であって
もよい。
【0046】従って、エレクトロクロミックペインの通
常の積重の順番は、上記のように、ガラスタイプの第一
の透明基材、第一の電気伝導性フィルム(例えばSnO
2 :F又はITOの)、エレクトロクロミック材料の機
能性フィルム、電解質、やはりエレクトロクロミック材
料の対電極、第二の電気伝導性フィルム、そして最後
に、ガラスタイプの第二の透明基材、を含む。しかしな
がら、いろいろな理由からこの積重体に「バリヤ」フィ
ルムと称されるフィルムを挿入することが有利であるこ
とがある。例えば、電気伝導性フィルムとエレクトロク
ロミック材料のフィルムのうちの少なくとも一方との間
にバリヤフィルム、とりわけ高密度の酸化スズ又は酸化
タングステンのフィルムを設けることができる。更に詳
しいことについては、ヨーロッパ特許第0486387
号明細書を参照することができる。
【0047】バリヤフルムは、電解質と対電極との間に
も、またことによっては電解質と機能性フィルムとの間
にも、挿入することができる。これらのフィルムは、M
+ カチオンの拡散を受け入れなくてはならず、そしてと
りわけ次の材料、すなわち周期表のVB族の酸化物、よ
り詳しく言えば酸化タンタルと酸化ニオブを含めた酸化
物、そしてまたフッ化セリウムCeF3 、酸化アンチモ
ンSb2 3 、ヘキサウラニルホスフェートHUP、酸
化クロムCr2 3 、酸化ジルコニウムZrO 2 、ある
いはもっと具体的にM+ =Li+ である場合にはLi3
N、LiTaO 3 、LiAlF4 、Li3 PO4 、Li
BO2 又はLiNbO3 タイプのイオン導体、の材料の
うちの少なくとも一つに基づくものでなければならな
い。更に詳しいことについては、ヨーロッパ特許第06
28849号明細書を参照することができる。
【0048】上述のように、電気伝導性フィルム及び/
又はバリヤフィルムは、それらの光学的特性に関して等
方性であってもあるいは異方性であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】フランス国特許出願公開第2698093号明
細書の教示による成長設備の模式図である。
【図2】角度選択性を備えたエレクトロクロミックペイ
ンの模式図である。
【符号の説明】
10、11…基材 12…電気伝導性フィルム 13…WO3 フィルム 14…電解質 15…対電極 16…電気伝導性フィルム

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 電流の作用下においてM+ カチオンを可
    逆的に注入することができ且つその注入状態と脱離状態
    とについて着色の特性を異にする材料から構成された主
    機能性フィルム(13)を含み、更に、電流の作用下に
    おいてやはりカチオンを可逆的に注入することができ且
    つ好ましくはその注入状態と脱離状態について着色の特
    性を異にする材料製の対電極(15)を含むエレクロク
    ロミックペイン(10〜11)であって、当該主機能性
    フィルム(13)が、少なくともその着色状態におい
    て、当該ペインに対し異方的な光学的性能を与えるよう
    にして、開き(opening)が20°未満であり、
    且つ二等分面が基材と鋭角を形成する、正二面体に含ま
    れる直線に対して平行な柱の成長軸を持つ疑似柱状構造
    を有することを特徴とするエレクトロクロミックペイ
    ン。
  2. 【請求項2】 開きが20°未満であり、且つ当該ペイ
    ン(10〜11)において配向されていて、特に前記主
    機能性フィルム(13)、対電極(15)及び電解質
    (14)の可能性のある屈折率の違いを考慮に入れるた
    め、当該主機能性フィルム(13)の成長軸に対し本質
    的に平行であるか、あるいは同じ一般的方向にあるが全
    体的に平行でない、正二面体に含まれる直線に対して平
    行な柱の成長軸を持つ疑似柱状構造を、前記対電極(1
    5)が有することを特徴とする、請求項1記載のエレク
    トロクロミックペイン。
  3. 【請求項3】 当該ペインのエレクトロクロミック材料
    でないフィルムのうちの一部のものが電磁放射線の入射
    の方向に応じて本質的に等方的な光学的性質を有するこ
    とを特徴とする、請求項1又は2記載のエレクトロクロ
    ミックペイン。
  4. 【請求項4】 当該ペインのエレクトロクロミック材料
    でないフィルムのうちの一部のものが電磁放射線の入射
    の方向に応じて本質的に異方的な光学的性質を有するこ
    とを特徴とする、請求項1又は2記載のエレクトロクロ
    ミックペイン。
  5. 【請求項5】 前記主機能性フィルム(13)の厚さが
    最大限の選択性が所望される放射線の波長の半分のオー
    ダーであることを特徴とする、請求項1から4までのい
    ずれか一つに記載のエレクトロクロミックペイン。
  6. 【請求項6】 前記主機能性フィルム(13)が、特に
    + カチオンがプロトンH+ 又はリチウムイオンLi+
    である場合に、酸化タングステンに基づくものであるこ
    とを特徴とする、請求項1から5までのいずれか一つに
    記載のエレクトロクロミックペイン。
  7. 【請求項7】 前記対電極(15)が、M+ カチオンが
    プロトンH+ である場合にはHx IrOy タイプの酸化
    イリジウムに基づく又はHx NiOy タイプの酸化ニッ
    ケルに基づくものであり、M+ カチオンがリチウムイオ
    ンLi+ である場合にはLix NiOy タイプの酸化ニ
    ッケルに基づく又はLix CeOy タイプの酸化セリウ
    ムに基づくものであることを特徴とする、請求項1から
    6までのいずれか一つに記載のエレクトロクロミックペ
    イン。
  8. 【請求項8】 M+ カチオンがプロトンH+ である場
    合、前記機能性フィルム(13)と前記対電極(15)
    の間でプロトンを移送する電解質(14)がポリマーの
    プロトン伝導性材料、例として、任意的に酸化防止剤タ
    イプ及び/又はチキソトロープ剤タイプの添加剤をも含
    有している、ポリオキシエチレン中にリン酸が存在する
    固溶体のようなもの、あるいは無機物のプロトン伝導性
    材料、例として水和酸化タンタルHx Ta2 y 、水和
    酸化アンチモンHx Sb2 y 、又は水和酸化ニオブH
    x Nb2 y といったようなものであることを特徴とす
    る、請求項1から7までのいずれか一つに記載のエレク
    トロクロミックペイン。
  9. 【請求項9】 M+ カチオンがリチウムイオンLi+
    ある場合、前記機能性フィルム(13)と前記対電極
    (15)の間でリチウムイオンを移送する電解質(1
    4)がポリマーのLi+ 導体、例としてことにより可塑
    剤を添加した枝分かれしたポリオキシエチレンイミンB
    PEIと、Li+ 塩との溶液、あるいは無機物のLi+
    導体、例としてリチウム化した酸化タンタルLix Ta
    2 y 、リチウム化したフッ化マグネシウムLix Mg
    2 、窒化リチウムLi3 N、又はアルミノケイ酸リチ
    ウムといったようなものであることを特徴とする、請求
    項1から7までのいずれか一つに記載のエレクトロクロ
    ミックペイン。
  10. 【請求項10】 前記機能性フィルム(13)と前記対
    電極(15)との間で電解質(14)がLi+ 又はH+
    タイプのM+ カチオンを移送し、且つ、この電解質(1
    4)と前記対電極(15)との間、及びことによっては
    当該電解質(14)と前記機能性フィルム(13)との
    間にも、M+ カチオンの拡散を受け入れ、且つ次に掲げ
    る材料、すなわち周期表のVB族の酸化物、より詳しく
    言えば酸化タンタルと酸化ニオブを含めた酸化物、そし
    てまたフッ化セリウムCeF3、酸化アンチモンSb2
    3 、ヘキサウラニルホスフェートHUP、酸化クロム
    Cr2 3 、酸化ジルコニウムZrO2 、あるいはもっ
    と具体的にM+ =Li+である場合にはLi3 N、Li
    TaO3 、LiAlF4 、Li3 PO4 、LiBO2
    はLiNbO3 タイプのイオン導体、のうちの少なくと
    も一つに基づくバリヤフィルムが挿入されていることを
    特徴とする、請求項1から9までのいずれか一つに記載
    のエレクトロクロミックペイン。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2011075895A (ja) * 2009-09-30 2011-04-14 Taiyo Holdings Co Ltd エレクトロクロミック組成物
JP2016527559A (ja) * 2013-07-25 2016-09-08 三井化学株式会社 エレクトロクロミック膜及び関連するその製造方法

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