JPH081147Y2 - バンパの取付け構造 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 【産業上の利用分野】

本願考案はバンパの取付け構造に関する。

【従来の技術】

シャーシフレーム付きの自動車において、車体下側部
に位置するフレームサイドレールには、前後車輪から加
わる外力を直接受ける前後懸架装置の他、車体前後のバ
ンパ、ボデー等が結合される。 バンパは、車両前端部と後端部に設けられる保護装置
で、衝突時の衝撃を吸収しボデーを保護する機能と、車
体の外観を向上させる装飾的な機能とを有する。上記バ
ンパは、バンパ本体の内側に形成された取付けアームが
上記車体下側部に設けられるフレームサイドレールの端
部両外側に設けられたバンパブラケットに締結されるこ
とにより、車体に対して結合される。 一方、ボデーは内部に車室空間を形成する自動車の外
郭であり、上記車室空間には、座席、運転装置等が設け
られる。上記ボデーはフレームに結合されることによ
り、十分な強度剛性が得られるように形成されており、
通常、上記ボデーとフレームサイドレールは防振ゴム等
を介装したボデーマウントブラケットを介して複数個所
において互いに結合される。また、上記バンパは上記ボ
デーと一体となって自動車の外観を構成するものであ
り、ボデーとの関係において一体感のある外観と一体感
のある建付けが要求される。

【考案が解決しようとする課題】

ところで、従来、上記フレームサイドレールに対する
上記ボデーの結合とバンパの結合とは別個に行われてお
り、またそれらを結合するためのブラケットも各々別個
にサイドフレームレールの先端部外側に溶接されてい
た。複雑な形状の上記ブラケットを溶接によってサイド
フレームレールに結合するのは接合精度を確保するのが
難しく、接合位置に狂いが生じないようにするために
は、高い生産技術と面倒な作業工程を要する。 特に、上記バンパブラケットとボデーマウントブラケ
ットを接合する場合には、これらブラケットの相対的な
位置関係をも考慮して接合しなければ、ボデーとバンパ
との取付け相対位置に狂いが生じ、ボデーとバンパとの
一体感がなくなって、車両の外観が悪化する恐れがあ
る。そのため、特殊な治具を用いる等の面倒な工程を要
するという問題があった。 また、取付け後においても、ボデーあるいはバンパに
作用する力によって上記ボデーマウントブラケットとバ
ンパブラケットにひずみが発生するが、上述のように、
上記ボデーマウントブラケットとバンパブラケットとが
別個に形成されているために、これらブラケットに生じ
るひずみ変位も別個に生じ、そのために、ボデーとバン
パとの相対的な取付け位置精度にさらに狂いが生じると
いう問題がある。 本願考案は、上述の事情のもとで考え出されたもので
あって、簡単な構成で上記の従来の問題を解決し、バン
パとボデーとの相対取付け位置精度を確保することので
きるバンパの取付け構造を提供することをその課題とす
る。

【課題を解決するための手段】

上記課題を解決するために、本願考案では、つぎの技
術的手段を講じている。 すなわち、本願考案は、車体の下側部の両側に、略平
行に配置される一対のフレームサイドレールの端部両外
側に、それぞれ設けられたバンパブラケットにバンパを
固定するように構成されたバンパの取付け構造におい
て、 上記フレームサイドレールの端部両外側に、ボデーマ
ウントが設けられるべき上部壁と、この上部壁の前縁か
ら下垂する前壁部と、上記上部壁の後縁から下垂する後
壁部とを少なくとも有するボデーマウントブラケットを
車幅方向外方に向かって突出形成するとともに、上記ボ
デーマウントブラケットの前壁部に少なくとも上縁と下
縁と車幅方向内端縁とで囲まれる開口を形成する一方、
車体前後方向に延びるバンパブラケットを、その後端方
の垂直板状部分が上記開口の車幅方向内端縁に沿って上
記ボデーマウントブラケット内に挿入されるとともに上
記ボデーマウントブラケットの後壁部に突き当てられた
状態において、上記ボデーマウントブラケットに一体的
に取付け、 かつ、上記バンパブラケットに沿わせるようにして上
記開口から挿入したバンパ取付けアームを、上記バンプ
ブラケットに締結したことを特徴とする。

【考案の作用および効果】

従来、上記ボデーマウントブラケットおよび上記バン
パブラケットはフレームサイドレールの端部に接近して
設けられており、同じ位置に形成しても支障はない。 本願考案は、フレームサイドレールの端部両外側に車
幅方向外方に向かって突出するボデーマウントブラケッ
トを形成するとともに、上記ボデーマウントブラケット
の先端部にバンパブラケットを一体的に形成したことを
基本としている。 従来上記バンパブラケットとボデーマウントブラケッ
トをそれぞれ別個に溶接していたものが、バンパブラケ
ットとボデーマウントブラケットとを一体的に形成する
ことによって、上記二つの機能を有するブラケットを一
個溶接すればよくなり、作業工程が減少して取付け作業
性が格段に向上する。 また、上記バンパブラケットとボデーマウントブラケ
ットは一体的に形成されるため、上記ブラケットのバン
パ取付け孔とボデーマウント孔の相対精度をあらかじめ
出しておけば、従来のように溶接接合時に相対精度を出
す必要がなくなり、相対精度を確保するための特殊な治
具等が不用になり、溶接作業がきわめて容易になる。ま
た、ボデーとバンパとの取付け精度が向上して、従来の
ように外観に悪影響を与える恐れもない。 さらに、バンパおよびボデーを取付けた後、上記ブラ
ケットが外力によってひずみ変形しても、上記バンパと
ボデーは同一のブラケットに固定されているために、上
記バンパとボデーとの相対位置は変化せず、車両のボデ
ーおよびバンパの外観に狂いが生じることもない。 さらに、本願考案では、上記ボデーマウントブラケッ
トの前壁部に少なくとも上縁と下縁と内端縁とで囲まれ
る開口を形成し、バンパブラケットの後端方の垂直板状
部分が上記ボデーマウントブラケットの前壁部に形成し
た開口の車幅方向内端縁に沿って上記ボデーマウントブ
ラケット内に挿入され、かつその後壁部に突き当てられ
た状態においてこのボデーマウントブラケットに接合さ
れている。したがって、上記バンパブラケットに沿わせ
るようにしてバンパ取付けアームを上記開口から挿入し
てバンパブラケットに締結する作業をする際、上記取付
けアームが上記ボデーマウントブラケットの開口、とく
にその下縁に載るようにして仮保持されるため、上記取
付けアームのバンパブラケットに対する締結作業性が向
上するという効果を奏する。また、上記バンパブラケッ
トは、その後端方がボデーマウントブラケットの後壁部
に突き当てられた状態で接合されているため、バンパ取
付けアームを介してバンパブラケットに入力される前後
方向の荷重をボデーマウントブラケットに対して効果的
に受け止めさせることができる。さらには、バンパ取付
けアームの後方に上記後壁部が位置することになるの
で、バンパ取付けアームから過大な前後方向荷重が入力
されてバンパブラケットに対する締結部に変形が生じた
としても、バンパ取付けアームの後端が上記ボデーマウ
ントブラケットの後壁部に当接してバンパ取付けアーム
のそれ以上の後方移動が阻止される。これらの結果とし
て、本願考案によれば、バンパ取付けアームのバンパブ
ラケット、ないしボデーマウントブラケットに対する取
付け強度が著しく向上する。 上述のように、本願考案によれば、バンパブラケット
およびボデーマウントブラケットのフレームサイドレー
ルに対しての取付け作業性を格段に向上させることがで
きるのみならず、バンパの取付け作業性ならびに取付け
強度の著しい向上、および上記バンパとボデーとの間の
取付け精度を向上させ、かつ、取付け後の相対位置の狂
いを防止することができるバンパの取付け構造を提供す
ることができる。

【実施例の説明】

以下、本願考案の一実施例を第１図ないし第３図に基
づいて具体的に説明する。 第１図は本願考案のバンパの取付け構造を前バンパに
適用した実施例の拡散分解図である。図に示すように、
車両の前部において、車体１の下側部の両側に、方形中
空部材で形成された一対のフレームサイドレール2,2が
略平行に配置される。なお、これらのフレームサイドレ
ール2,2は図示しないクロスメンバによって互いに剛結
されている。上記フレームサイドレール2,2の先端部に
おいて上記両フレームサイドレール2,2の外側に、車幅
方向外方に向かってボデーマウントブラケット3,3が突
出形成されるとともに、上記両ボデーマウントブラケッ
ト3,3の先端部にバンパブラケット4,4が一体形成されて
いる。ボデー５は、たとえば、上記ボデーマウントブラ
ケット3,3の上部に設けられた防振ゴム保持プレート６
に保持される図示しない防振ゴムを介してフレームサイ
ドレールに対して締結固定される。一方、バンパ７はそ
の両側部の裏面にネジ８で連結された一対の略Ｌ字状取
付けアーム9,9を介して上記バンパブラケット4,4にボル
ト10によって締結固定される。 本実施例にかかるボデーマウントブラケット３および
バンパブラケット４は、第２図に示すように、フレーム
サイドレール２の先端部に基端部が溶接された断面略コ
字状をしたブラケット部材11が開放端を下向きにして車
幅方向外方に延出形成されており、上記ブラケット部材
11の上部に皿状の防振ゴム保持プレート６が設けられて
ボデーマウントブラケット３が構成される。一方、上記
ブラケット部材11の車幅方向外方の前壁部17が上下部分
を除いて正面視凹状に切り欠くことによって、上縁と下
縁と車幅方向内端縁とで囲まれる開口が形成され、この
開口の内端縁に沿わせるようにして開口内に挿入された
車体前後方向に延びる垂直状のバンパブラケットプレー
ト13が、その後端が上記ブラケット部材11の後壁部内面
に突き当てられるようにして溶接されて、バンパブラケ
ット４が構成される。上記防振ゴムプレート６の中央部
には、上記ボデーを締結するためのボデーマウント螺孔
14が設けられるとともに、上記バンパブラケットプレー
ト13には、バンパ取付けアームの支持孔15,15に対応し
た取付け螺孔16,16が設けられている。なお、この螺孔1
6,16はバンパブラケットプレート13に開けた透孔の裏面
にウェルドナットを設けることにより形成することがで
きる。 従来、上記バンパブラケット４とボデーマウントブラ
ケット３をそれぞれ別個に溶接していたが、上記のよう
に、バンパブラケット４とボデーマウントブラケット３
とを一体的に形成することによって、上記二つの機能を
有するブラケットをフレームサイドレール２に対して一
個溶接すればよくなり、作業工程が減少して取付け作業
性が格段に向上する。 また、上記バンパブラケット４とボデーマウントブラ
ケット３は一体的に形成されるため、上記ブラケットの
バンパ取付け螺孔16とボデーマウント螺孔14の位置精度
を前工程においてあらかじめ出しておけば、従来のよう
に溶接時に相対精度を出す必要がなくなり、相対精度を
確保するための特殊な治具等が不用になり、溶接作業が
きわめて容易になる。また、ボデー５とバンパ７との取
付け精度が向上して、従来のように外観に悪影響を与え
る恐れもない。 さらに、バンパ７およびボデー５を取付けた後、上記
バンパ７あるいはボデー５に外力が作用してブラケット
がひずみ変形しても、上記バンパ７とボデー５は同一の
ブラケットに一体的に固定されているために、上記バン
パ７とボデー５との相対位置は変化せず、車両のバンパ
７およびボデー５の外観に狂いが生じることもない。 本願考案においてはさらに、第３図に示すように、上
記バンパブラケット４は、上記ブラケット部材11の先端
部の前壁部17を正面視凹状に切り欠き、上記ブラケット
部材11の前壁17の先端部の上部と下部が車幅方向外方に
突出した形状に形成されている。その切欠き凹部12にバ
ンパブラケットプレート13をはめこむようにして溶接す
ることによってバンパブラケット４が構成されている。
バンパ７をフレームサイドレール２に取付ける際には、
一端がバンパ７の裏面に締結された略Ｌ字状取付けアー
ム９の他端部を上記ブラケット部材11の先端部の切欠き
凹部12に挿通するうようにしてバンパ７をフレームサイ
ドレール２に近付ける。すると、上記切欠き凹部12にお
いて上記ブラケット部材11の前壁17の先端部の上下突出
部18,18が上記取付けアーム９の端部を挟むような状態
で支持し、なんら上記バンパ７を支持しなくても、容易
にボルト10を取付け螺孔13に螺入することができる。そ
のため、バンパ７の取付け作業が格段に容易になり作業
性を飛躍的に向上させることができる。 そうして、取付けアーム９が締結されるバンパブラケ
ット４は、その後端がブラケット部材11の後壁内面に突
き当てられるようにして溶接されているので、取付けア
ーム９を介してバンパブラケット４に入力される前後方
向力を効果的にブラケット部材11に受け止めさせること
ができる。また、上記取付けアーム９の後方にブラケッ
ト部材11の後壁が位置するので、仮にバンパブラケット
４における取付けアームの締結部が過大な前後方向入力
によって変形しても、取付けアーム９が上記後壁内面に
当接することができるので、取付けアーム９ひいてはバ
ンパのそれ以上の後方移動を阻止することができる。そ
の結果として、上記取付けアーム９ないしはバンパのバ
ンパブラケット４に対する取付け強度が著しく向上す
る。 本願考案によって、バンパブラケット４およびボデー
マウントブラケット３のフレームサイドレール２に対し
ての取付け作業性を格段に向上させるとともに、上記バ
ンパ７およびボデー５の取付け精度を向上させ、かつ、
取付け後の相対位置の狂いを防止することができ、さら
には、バンパの取付け作業性ならびにその取付け強度を
著しく向上させることのできるバンパの取付け構造を提
供することができる。 本願考案の範囲は上述の実施例に限定されることはな
い。本実施例は、本願考案を前バンパの取付け構造に適
用した例であるが、後バンパの取付け構造に本願考案を
適用することもできる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本願考案のバンパの取付け構造の拡散分解図、
第２図はバンパブラケットおよびボデーマウントブラケ
ットの拡大斜視図、第３図は第２図のバンパブラケット
にバンパ取付けアームを取付けた場合のIII-III線に沿
う断面図である。 １……車体、２……フレームサイドレール、３……ボデ
ーマウントブラケット、４……バンパブラケット、７…
…バンパ。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】車体の下側部の両側に、略平行に配置され
   る一対のフレームサイドレールの端部両外側に、それぞ
   れ設けられたバンパブラケットにバンパを固定するよう
   に構成されたバンパの取付け構造において、 上記フレームサイドレールの端部両外側に、ボデーマウ
   ントが設けられるべき上部壁と、この上部壁の前縁から
   下垂する前壁部と、上記上部壁の後縁から下垂する後壁
   部とを少なくとも有するボデーマウントブラケットを車
   幅方向外方に向かって突出形成するとともに、上記ボデ
   ーマウントブラケットの前壁部に少なくとも上縁と下縁
   と車幅方向内端縁とで囲まれる開口を形成する一方、車
   体前後方向に延びるバンパブラケットを、その後端方の
   垂直板状部分が上記開口の車幅方向内端縁に沿って上記
   ボデーマウントブラケット内に挿入されるとともに上記
   ボデーマウントブラケットの後壁部に突き当てられた状
   態において、上記ボデーマウントブラケットに一体的に
   取付け、 かつ、上記バンパブラケットに沿わせるようにして上記
   開口から挿入したバンパ取付けアームを、上記バンパブ
   ラケットに締結したことを特徴とする、バンパの取付け
   構造。