JPH08114606A - 物理量測定装置 - Google Patents

物理量測定装置

Info

Publication number
JPH08114606A
JPH08114606A JP24902694A JP24902694A JPH08114606A JP H08114606 A JPH08114606 A JP H08114606A JP 24902694 A JP24902694 A JP 24902694A JP 24902694 A JP24902694 A JP 24902694A JP H08114606 A JPH08114606 A JP H08114606A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
cantilever
probe
sample
light
physical quantity
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP24902694A
Other languages
English (en)
Inventor
Junichi Takahashi
淳一 高橋
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Ricoh Co Ltd
Original Assignee
Ricoh Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Ricoh Co Ltd filed Critical Ricoh Co Ltd
Priority to JP24902694A priority Critical patent/JPH08114606A/ja
Publication of JPH08114606A publication Critical patent/JPH08114606A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Abstract

(57)【要約】 【目的】 試料表面の電位や形状を高精度に測定するこ
とが可能な物理量測定装置を提供する。 【構成】 実測定前に走査手段54を用いて試料44の
表面を走査し、この走査に同期して補正距離算出手段に
より試料44の表面と探針3の先端との間の補正距離を
算出し、その算出された補正距離を補正距離記憶手段に
記憶させておき、実測定時において、その記憶された補
正距離を走査位置に対比させて読出し、試料探針間距離
可変手段により試料44の表面と探針3との間の距離を
常に一定に保った状態で試料44の表面の電位や形状を
測定するようにした。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、走査型力顕微鏡や高分
解能表面電位形状測定装置、さらには、感光体ドラムの
表面電位,トナー形状,トナー電位分布の測定装置など
に用いられる物理量測定装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、試料表面の電位や形状を測定する
物理量測定装置としては、種々のものが提案されてい
る。まず、第一の従来例(特願平5−93499号参
照)を図21に基づいて説明する。導電性基板1(試料
台)に設置された試料2と、これと対向配置された探針
3との間に電位差が生じて静電引力が作用すると、その
探針3を先端に有し端部が基台4に支持された片持ち梁
5が振動する。この片持ち梁5の探針3が取付けられた
面とは反対側の面(裏面)には反射ミラー6が取付けら
れている。これにより、光源としての半導体レーザ7か
ら出射した光は、反射ミラー6により反射され、いわゆ
る光テコ法によって受光素子としての光検知器8に検出
される。この検知された信号はプリアンプ9により出力
Vo(交流信号)として出力され、ロックインアンプ1
0において、正弦波交流電源11の同期信号(ω0) と
同期して直流電圧V11に変換される。この直流電圧V11
は積分器12に送られる。この積分器12は、正弦波交
流電源11の交流電圧V31によって静電引力が作用する
片持ち梁5の振動の振幅を0又は一定値になるように直
流電圧V21を可変させる。なお、この積分器12には、
直流電圧V21の変化する電位を測定する電圧計13が接
続されている。そして、その積分器12からの出力値で
ある電圧V21は、正弦波交流電源11の交流電圧V
31と、正弦波交流電源14の交流電圧V32と共に加算器
15に入力される。この加算器15からの電圧V41はパ
ワーアンプ16に送られ、このパワーアンプ16からの
電圧V51が片持ち梁5の探針3に印加される。一方、ロ
ックインアンプ17から出力された直流電圧V12は比較
器18に送られる。この比較器18からの電圧V6 は積
分器19に送られる。なお、この積分器19には、Z軸
アクチュエータ21の変位量を測定するための電圧計2
0が接続されている。そして、積分器19の電圧V22
パワーアンプ22に送られ、Z軸アクチュエータ21は
そのパワーアンプ22からの電圧V52によって駆動され
る。
【0003】上述したように、片持ち梁5の共振周波数
ω0 とその1/2の周波数ω0/2とをもつ交流電圧V
a{=G(V31+V32)}と、直流バイアス電圧Vb
(=GV21)とが重畳された電圧V51を片持ち梁5に印
加し、周波数ω0 の交流電圧V31により生じる片持ち梁
5の共振振動の振幅から直流バイアス電圧Vbと試料2
の表面電位Vs(接地電位に対する電位)との差を検出
し、この差が0となるように直流バイアス電圧Vbを制
御し、このVbの値から試料2の表面電位を測定する。
一方、周波数ω0/2 の交流電圧V32によって生じる振
動振幅から探針3の先端と、試料2の表面との間の距離
dを測定し、この距離dの値を一定に保つようにZ軸ア
クチュエータ21を駆動制御することによって、そのZ
軸アクチュエータ21の制御信号である電圧V22から試
料2の表面形状を測定する。このようにして試料2の表
面電位と表面形状とを同時にかつ独立して測定すること
ができる。
【0004】次に、第二の従来例(特開平6−1095
61号公報参照)を図22に基づいて説明する。基板2
3の一端には、3本の片持ち梁24a,24b,24c
がV字形の構造をなして設けられている。これら3本の
梁の先端部には下方(Z方向)に向けて導電性の探針2
5が取付けられている。この探針25には配線パターン
26(以下、配線という)が接続され、この配線26は
片持ち梁24c上に形成され基板23上のパッド部27
と接続されている。また、片持ち梁24a,24bの付
け根付近には、歪検出素子(ピエゾ抵抗)27a,27
bが形成されており、このピエゾ抵抗27a,27bに
は配線28a,28bが接続され、この配線28a,2
8bには基板23上のパッド部29a,29bと接続さ
れている。
【0005】これにより、パッド27から配線26を介
して探針25に電圧が印加されると、試料(図示せず)
の表面と探針25との間に静電引力が作用し、片持ち梁
24a,24bが変形する。この機械的な変形をピエゾ
抵抗27a,27bにより検出し、配線28a,28b
からパッド部29a,29bを通じて電気信号に変換し
て出力することにより、探針25に加わる力を測定する
ことができる。この場合、探針電位は1KV位になるた
め放電が生じやすいが、片持ち梁24cと片持ち梁24
a,24bとの間の距離Dを十分離すことによって放電
が生じないようにすることができる。
【0006】次に、第三の従来例(OPTRONICS、1992、N
o.9、p.97参照) を図23、図24に基づいて説明す
る。図23に示すように、基板30の中央には片持ち梁
31が設けられ、この片持ち梁31上にはその延在した
方向に沿って光導波路32が形成されている。この片持
ち梁31の先端のギャップを挾んた基板30の固定部3
3上には、前記光導波路32の端面32aと対向する端
面34aを有する光導波路34が形成されている。この
ような構造とされた基板30において、光導波路32を
伝搬してきた光は片持ち梁31の先端に位置する端面3
2aから放射され、この放射された光はこれと対向する
端面34aから入射して再結合し光導波路34内を伝搬
していく。この場合、図24(a)に示すように、片持
ち梁31が変形していない状態では、光導波路32,3
4間で光軸ズレが生じないため、伝搬される光量が減少
することはない。しかし、図24(b)に示すように、
片持ち梁31が変形した状態では、光軸ズレが生じ光導
波路34側に入射する光量が減少する。従って、このよ
うに片持ち梁31の変形量(曲がり量)に応じて伝搬さ
れる光量が変化するため、光導波路34側の光量を検出
することにより片持ち梁31の変形量を容易に測定する
ことができる。この応用例としては、圧力センサ、加速
度センサ、流量センサ等が考えられる。
【0007】次に、第四の従来例(Japanese Journal o
f Applied Physics、Vol.28、No.2、Feb.、1989、p.287
参照)を図25に基づいて説明する。基板35上には片
持ち梁36が設けられている。この片持ち梁36の根本
付近には、その梁の延在方向に直交して光導波路37が
形成されている。また、基板35の固定部38上には、
光導波路37に平行な状態で光導波路39が形成されて
いる。この場合、光導波路37は片持ち梁36の変形量
を検出する信号検出用導波路とされ、光導波路39は参
照用導波路とされており、両者はY字形に分岐、合流し
て光導波路40とつながっている。このような構造とさ
れた基板35において、片持ち梁36の変形に伴って光
導波路37が変形し、これにより屈折率が変化して導波
路内を伝搬する光の位相が変化する。このような位相変
化によって片持ち梁36の変形量を測定することができ
る。
【0008】ここで、そのような位相変化により信号検
出を行う動作原理を、図26、図27の基本的構造であ
るマッハツェンダ干渉計を用いて説明する。前述した図
25の片持ち梁36に相当する変形領域が、この図26
ではA領域(微細構造のダイアフラム部)に相当する。
変形するA領域上の光導波路37を通って位相が変化し
た光と、固定部38上の光導波路39を通って位相が変
化しない光とは、Y状の分岐部で合流し光導波路40で
合波干渉した時、この光導波路40から出力される光の
光強度は両方の光の位相によって変化する。この場合、
図27(a)に示すように、両方の光が同相の場合は、
合波されることにより0次モードが励起され、光導波路
40から出力される光の光量は最大となる。また、図2
7(b)に示すように、両方の光が逆相の場合は、1次
モードが励起されるため光波が導波路外部へ放射され
(シングルモード導波路の場合)、光導波路40からは
光が出力されない。このように光導波路40から出力さ
れる光量を測定することによって、A領域すなわち片持
ち梁36の変形量を測定することができる。
【0009】また、位相変化により信号検出を行う他の
例を、図28及び図29に基づいて説明する。図28に
示すように、基板35上には2本の光導波路41,42
が形成されており、これら光導波路41,42はX状の
分岐部にて光導波路37,39と交差している。この場
合、光導波路42は、光導波路41よりも導波路の幅が
狭く形成されている。基板35の端面には反射ミラー4
3が設けられている。このような構造はモードデバイダ
として機能するものである。まず、左側の幅の広い光導
波路41から入射した光は、分岐部にて1:1に分波さ
れ、光導波路37,39内を伝搬していき、反射ミラー
43により反射されて再度分岐部に戻ってくる。この
時、両方の光が図29(a)に示すように同相であれば
0次モードが励起され、光は広い幅の光導波路41の方
へ伝搬していく。また、両方の光が図29(b)に示す
ように逆相であれば1次モードが励起され、光は狭い幅
の光導波路42の方へ伝搬していく。このように光が同
相か否かはA領域すなわち片持ち梁36の変形量によっ
て決まるものであるため、光導波路41,42に戻って
くる光量を調べることにより片持ち梁36の変形量を測
定することができる。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】第一の従来例(図21
参照)で述べた試料2が、電子写真装置に用いられる感
光体ドラムである場合について考える。今、感光体ドラ
ムの表面電位を測定するために、そのドラムを回転させ
ると、偏芯構造により回転軸とドラムの中心軸とがズレ
ているため、1回転の間にドラム表面が100μm程度
上下動する。このとき、ドラム表面と探針3との間の距
離dは、十分な解像度を得るために、μmオーダ以下に
初期設定されている。図21の装置では、その距離dを
常に一定に保つために、周波数ω0/2 により生じる片
持ち梁5の共振振動の振幅から実際の動作時の距離dを
測定してZ軸アクチュエータ21に帰還をかけている。
しかし、距離dが例えば2μmであるのに対して、ドラ
ム表面の上下動が100μm程度もあり桁違いに大きい
ため、帰還動作が間に合わず、その結果、ドラム表面が
探針3に衝突してしまい、最悪の場合には探針3が破損
してしまうおそれもある。
【0011】また、片持ち梁5の振動状態は、半導体レ
ーザ7と反射ミラー6と光検知器8とによって構成され
る光学系を用いて、いわゆる光テコ法により検出され
る。この場合、半導体レーザ7から出射した全ての光が
光検知器8に導かれるのではなく、その一部の光は散乱
され、感光体ドラムのドラム表面に照射される。これに
より、その漏れた光によってドラム表面が感光されて表
面電荷が放電してしまい、正常な状態(静電潜像)を乱
してしまうことになる。
【0012】また、探針3とドラム表面との間には静電
引力が作用しているが、その電位差をV1 、距離をd
1 、探針3の先端部でのドラム表面に対向する等価的な
面積をS1 とすると、探針3とドラム表面との間に働く
力F1 は、 F1 =S1 ε0(V1 2/d1 2) …(1) ただし、ε0:空気の誘電率 として表わせる。一方、探針3と同電位とされた片持ち
梁5は基台4により支持されているが、この基台4の周
囲にはこれら部品を支持するための支持機構(周辺機
器)が設けられており、このような支持機構はノイズシ
ールドのために接地電位となっている。このため、片持
ち梁5とその周辺の支持機構との間においても静電引力
が作用する。今、その両者間の電位差をV2 、等価的な
距離をd2 、等価的な面積をS2 とすると、この場合に
おける力F2 は、 F2 =S2 ε0(V2 2/d2 2) …(2) として表わせる。ここで、(1)(2)式のF1,F2
比較すると、d1≪d2であるが、面積S2 は片持ち梁5
の裏面側であり、S2≫S1となる。また、探針3の電位
と、ドラム表面の電位とは構成上ほぼ等しくなるのに対
して、周辺の支持機構の電位は常に接地電位であるた
め、ドラム表面の電位が高い時にはV2 の値は大きくな
り、これによりV1≪V2となる。従って、このようなこ
とから、周辺機器の環境条件によっては力F2 は力F1
に対して無視できない値となり、この値が測定誤差を招
く原因となる。
【0013】また、探針3をドラム表面に近づける測定
初期の段階では、探針3と試料2とが遠く数mm以上離
れているため、(1)式の力F1 は(2)式の力F2
対してむしろ小さな値となり、これにより、片持ち梁5
から検出された電圧V11は誤った値を示しその積分値で
あるV21はどんどん大きな値となる。その結果、探針3
とドラム表面との間の電位差V1 もKVオーダとなり、
その両者間に放電を生じ、測定対象であるドラム表面の
電位を乱すことになる。また、そのような放電を生じな
い場合でも、周辺部の支持機構と片持ち梁5との間に放
電を生じることになる。これにより、探針3が損傷を受
けたり、安全のために接地された加算器15の遮断回路
(図示せず)が作動して測定が不能となる。
【0014】次に、第二の従来例(図22参照)の場
合、探針25に電圧を印加するための配線26と、ピエ
ゾ抵抗27a,27b又は配線28a,28bとの間の
放電を防ぐため、両者間を距離Dだけ離した構造にして
いる。しかし、配線26への印加電圧が1KV程度と大
きいためこの電圧が変動すると、両者間に発生した寄生
容量を介して、電圧変動によるノイズがピエゾ抵抗27
a,27bにより検出した信号に混入してしまい測定誤
差の原因となる。また、ピエゾ抵抗27a,27bに流
す電流によるジュール熱によって片持ち梁5が曲がって
しまい測定誤差の原因となる。
【0015】次に、第三の従来例(図23参照)、第四
の従来例(図25参照)の場合、光導波路32,34,
37,39を用いて光量差から片持ち梁31,36の変
形量を検出する基本的な動作原理が述べられている。し
かし、そのような光導波路32,34,37,39を用
いて、感光体ドラムの表面電位の測定や、トナー電位分
布の測定等に応用した例は見当らない。
【0016】
【課題を解決するための手段】請求項1記載の発明で
は、試料の表面(例えば感光体ドラムの表面)とその表
面に対向配置された探針との間の相互作用を検出するこ
とにより、前記試料の物理量を測定する物理量測定装置
に、試料の表面を走査する走査手段と、この走査に同期
して探針先端と試料の表面との間の距離を一定に保つた
めの補正距離を算出する補正距離算出手段と、この算出
された補正距離を走査位置に対比させて記憶する補正距
離記憶手段と、前記走査位置に対比して記憶された補正
距離をもとに試料の表面と探針との間の距離を可変させ
る試料探針間距離可変手段とを設けた。
【0017】請求項2記載の発明では、試料の表面(例
えば感光体ドラムの表面)とその表面に対向配置された
探針との間に作用する静電引力により生じる前記探針の
変位又は振動から前記試料の物理量を測定する物理量測
定装置に、探針が前記試料の表面に近接している場合と
試料の表面から離れている場合とに応じて、探針の変位
又は振動からその探針に印加される印加電圧の直流成分
の帰還量を制御する直流成分帰還量制御手段を設けた。
【0018】請求項3記載の発明では、先端に探針が取
付けられた片持ち梁を有し、感光性を有する試料とこれ
に対向配置された前記探針との間に作用する力により生
じる前記探針の変位又は振動から前記試料の物理量を測
定する物理量測定装置において、前記試料が感光しない
波長の光を発する光源と、前記片持ち梁に取付けられ前
記光源から発せられた光を反射させる反射ミラーと、前
記試料が感光しない波長の感度を有し前記反射ミラーに
より反射された光を受光する受光素子とからなる物理量
検出光学系を備えた。
【0019】請求項4記載の発明では、基板の一部に形
成された片持ち梁と、この片持ち梁の先端部に基板面に
対して垂直に設けられた探針と、片持ち梁上でかつその
梁が延在された方向に沿って配線された第一の光導波路
と、この第一の光導波路の端面に対向する端面を有し前
記基板の固定部上に配線された第二の光導波路とを備え
た。
【0020】請求項5記載の発明では、基板の一部に形
成された片持ち梁と、この片持ち梁の先端部に基板面に
対して垂直に設けられた探針と、片持ち梁上又はその梁
の付け根部分にその梁が延在された方向に直交する方向
に沿って配線された第一の光導波路と、この第一の光導
波路に対向する基板の固定部上に配線された第二の光導
波路と、第一の光導波路を伝搬する光と第二の光導波路
を伝搬する光とが干渉を起こすようにこれら2つの光導
波路が合流する固定部上の位置に配線された第三の光導
波路とを備えた。
【0021】請求項6記載の発明では、請求項4又は5
記載の発明において、片持ち梁の片面若しくは両面、又
は、光導波路の互いに対向した端面を除く片持ち梁の片
面若しくは両面を、導電膜により被覆した。
【0022】請求項7記載の発明では、請求項4又は5
記載の発明において、片持ち梁及び探針を、導電性物質
により形成した。
【0023】請求項8記載の発明では、請求項4,5,
6又は7記載の発明において、測定対象の試料が感光し
ない波長の光を発光する光源を光導波路の入射光路側に
配置し、試料が感光しない波長の感度を有する受光素子
を光導波路の出射光路側に配置した。
【0024】請求項9記載の発明では、請求項3又は8
記載の発明において、試料が感光しない光源の発光波長
を、400nm以下、又は、600nm以上の値とし
た。
【0025】請求項10記載の発明では、請求項6,7
又は8記載の発明において、片持ち梁の一部又は全部を
その片持ち梁よりも高い剛性をもつ導電部材により覆
い、この導電部材と片持ち梁とを同電位に設定した。
【0026】請求項11記載の発明では、請求項10記
載の発明において、片持ち梁を囲む導電部材の探針が取
付けられた面とは反対側の面に、前記片持ち梁の変位又
は振動を測定するために用いる光源から発せられた光を
通過させるための穴を形成した。
【0027】請求項12記載の発明では、請求項10記
載の発明において、片持ち梁を囲む導電部材の一部又は
全部に、前記片持ち梁の変位又は振動を測定するために
用いる光源の発光波長の光を通過させる透明領域を形成
した。
【0028】請求項13記載の発明では、請求項10記
載の発明において、片持ち梁を囲む導電部材の一部又は
全部を、前記片持ち梁の変位又は振動を測定するために
用いる光源の発光波長の光を通過させる透明領域により
形成し、この導電部材の透明領域上に前記発光波長の光
を通過させかつ導電性のある透明導電膜を設けた。
【0029】
【作用】請求項1記載の発明においては、走査手段を用
いて実測定前に予め試料表面の走査を行い、この走査に
同期して補正距離算出手段を用いて試料表面と探針先端
との間の距離を一定に保つための補正距離を算出し、こ
の算出された補正距離を走査位置に対比させて補正距離
記憶手段に一旦記憶させておき、その後、実測定時に
は、その記憶された補正距離を走査位置に対比させて読
出し、試料探針間距離可変手段を用いて試料の表面と探
針との間の距離を常に一定に保ちながら物理量の測定が
行える。
【0030】請求項2記載の発明においては、直流成分
帰還量制御手段を用いて、まず、探針が試料表面から離
れている実測定前の段階では、探針に印加される印加電
圧の直流成分を試料表面電位の概略の値に設定してお
き、その後、探針が試料表面に接近した実測定の段階で
は、静電引力による探針の変位又は振動からその探針に
印加される印加電圧の直流成分の帰還量を制御して物理
量の測定を行うようにした。
【0031】請求項3記載の発明においては、物理量検
出光学系の光源から発せられた試料が感光しない波長の
光は、静電引力が作用する片持ち梁に取付けられた反射
ミラーに入射し、このミラーにより反射された光は試料
が感光しない波長の感度を有する受光素子に検出され、
これにより、試料表面の状態が光源の光によって乱され
るようなことがなくなる。
【0032】請求項4記載の発明においては、片持ち梁
に取付けられた探針とこの探針と対向する試料表面との
間に相互作用力が作用しない場合には、第一の光導波路
の端面と第二の光導波路の端面との間で授受される光量
は一定の大きさを保つのに対して、探針と試料表面との
間に相互作用力が作用した場合には、その相互作用力の
大きさに応じて前記2つの光導波路の端面間で授受され
る光量の値は変化することになり、これにより、その授
受される光量の割合から探針の変位又は振動を検出し、
これから試料の物理量を測定することができる。
【0033】請求項5記載の発明においては、片持ち梁
に取付けられた探針とこの探針と対向する試料表面との
間に相互作用力が作用しない場合には、第一の光導波路
と第二の光導波路とを通過し第三の光導波路で合成され
る光量は一定の大きさを保つのに対して、探針と試料表
面との間に相互作用力が作用した場合には、その相互作
用力の大きさに応じて片持ち梁側に位置する第一の光導
波路を通過する光量が変化し、これにより第三の光導波
路で合成される光量が変化することになるため、その変
化する光量の割合から探針の変位又は振動を検出し、こ
れから試料の物理量を測定することができる。
【0034】請求項6記載の発明においては、探針先端
と片持ち梁の基板固定部に固着した部分とは導電膜を通
じて電気的に接続された状態となり、これによりその基
板固定部に固着した部分からリード線を介して電圧を印
加することによって探針先端に電圧を印加することがで
きる。また、光導波路側から光が漏れ感光体の電位に影
響を与えることもない。
【0035】請求項7記載の発明においては、導電性物
質とされた探針先端と、導電性物質とされた片持ち梁の
基板固定部に固着した部分とは電気的に接続された状態
となるため、その基板固定部に固着した部分からリード
線を通じて電圧を印加することによって探針先端に電圧
を印加することができる。
【0036】請求項8記載の発明においては、光源から
出射した光は光導波路内に入射して伝搬していき、これ
より出射した光は受光素子に検出される。このとき、光
源の光は試料が感光しない波長からなっているため、そ
の光が光導波路から受光素子に検出される際に外部に漏
れ出るようなことがあっても、その漏れ出た光によって
試料の状態が乱されるようなことがなくなる。
【0037】請求項9記載の発明においては、試料の感
光材料として頻繁に用いられるのは、感光感度が400
nm付近のものと600nm付近のものであることか
ら、400nm付近の感光材料の試料に対しては600
nm以上の発光波長をもつ光源を選択し、600nm付
近の感光材料の試料に対しては400nm以下の発光波
長をもつ光源を選択することによって、光源の光により
試料の状態が乱されるようなことがなくなる。
【0038】請求項10記載の発明においては、高剛性
な導電部材とこれにより覆われた片持ち梁とを同電位に
設定することによって、片持ち梁の裏面(探針が設けら
れた面とは反対側の面)と周辺機器との間で静電引力が
作用するようなことがなくなり、この静電引力により生
じる片持ち梁の振動又は変形による測定誤差が生じない
ため、測定精度が向上する。
【0039】請求項11記載の発明においては、片持ち
梁を囲む導電部材に穴を形成することによって、その穴
を通じて光テコ法により片持ち梁の先端に光を照射して
その片持ち梁の変位又は振動を測定する場合において
も、片持ち梁の裏面と周辺機器との間で静電引力が作用
するようなことがなくなる。
【0040】請求項12記載の発明においては、片持ち
梁を囲む導電部材の一部又は全部に光源の発光波長の光
を通過させる透明領域を形成することによって、その透
明領域を通じて光テコ法により片持ち梁の先端に光を照
射してその片持ち梁の変位又は振動を測定する場合にお
いても、片持ち梁の裏面と周辺機器との間で静電引力が
作用するようなことがなくなる。
【0041】請求項13記載の発明においては、片持ち
梁を囲む導電部材の一部又は全部に光源の発光波長の光
を通過させる透明領域を形成し、この透明領域上に発光
波長の光を通過させかつ導電性のある透明導電膜を設け
たことによって、その透明領域及び透明導電膜を通じて
光テコ法により片持ち梁の先端に光を照射してその片持
ち梁の変位又は振動を測定する場合においても、片持ち
梁の裏面と周辺機器との間で静電引力が作用するような
ことがなくなる。
【0042】
【実施例】まず、本発明の第一の実施例を図1〜図3に
基づいて説明する(請求項1記載の発明に対応する)。
なお、前述した第一の従来例(図21参照)と同一部分
についての説明は省略し、その同一部分については同一
符号を用いる。
【0043】試料は、電子写真装置に用いられる感光体
ドラム44とされている。この感光体ドラム44には、
これを回転させるための回転モータ45と、エンコーダ
46とが接続されている。このうち、回転モータ45は
モータ駆動電源47に接続され、エンコーダ46は制御
装置48(コンピュータ)に接続されている。また、感
光体ドラム44の表面には、片持ち梁5の先端に取付け
られた探針3が距離dをもって対向配置されている。こ
の探針3が取付けられた片持ち梁5を支持する基台4
と、反射ミラー6と半導体レーザ7と光検知器8とから
なる光テコ光学系49(物理量検出光学系)とは、駆動
装置50に固定されている。この駆動装置50は、Y軸
アクチュエータ51と、Z軸粗動アクチュエータ52
と、Z軸微動アクチュエータ53とからなっている。こ
れら3つのアクチュエータ51,52,53は、制御装
置48によって駆動制御されている。この場合、Y軸ア
クチュエータ51は、探針3をドラム表面に対して副走
査方向(回転軸方向)に走査させる。また、回転モータ
45は感光体ドラム44を回転させ、これによって、探
針3をドラム表面に対して主走査方向(ドラム回転方
向)に走査させる。
【0044】また、その制御装置48には、電圧V6
測定する電圧計56と、電圧V21を測定する電圧計13
と、電圧V22を測定する電圧計20とが接続されてい
る。また、パワーアンプ22から出力される電圧V
52は、a,b,c端子からなるスイッチ回路57のa端
子に接続されている。b端子はアース端子となってい
る。a又はb端子と接続されるc端子は、Z軸微動アク
チュエータ53に接続されている。これにより、a−c
端子間が接続されることによって、Z軸微動アクチュエ
ータ53は帰還ループによって駆動制御される。
【0045】この場合、副走査用のY軸アクチュエータ
51と、主走査用の回転モータ45及びモータ駆動電源
47とは、走査手段54を構成している。また、Z軸粗
動アクチュエータ52と、Z軸微動アクチュエータ53
とは、感光体ドラム44の表面と探針3との間の距離d
を可変させる試料探針間距離可変手段55を構成してい
る。さらに、統括的な制御を行う制御装置48は、走査
手段54による走査位置に同期して探針3の先端とドラ
ム表面との間の距離dを一定に保つための補正距離d0
を算出するための補正距離算出手段(図示せず)と、こ
の算出された補正距離d0 を走査位置に対比させて記憶
する補正距離記憶手段としてのメモリ(図示せず)とを
備えている。
【0046】このような構成において、本装置の動作に
ついて述べる。まず、実測定前の段階で、モータ駆動電
源47により回転モータ45を駆動して感光体ドラム4
4を回転させることによって、表面電位分布を測定する
ための主走査を行う。また、これと同時に、Y軸アクチ
ュエータ51を用いて探針3を感光体ドラム44の回転
軸方向へ移動させて副走査を行う。この場合、感光体ド
ラム44の回転速度は、実測定時よりも遅い速度で行
う。なお、この時、Z軸微動アクチュエータ53を動作
させないようにするために、スイッチ回路57のc端子
はb端子と接続されている。そして、このようにして感
光体ドラム44を回転させながらその回転角θをエンコ
ーダ46で読取って、制御装置48に送る。また、この
回転角θの読取りと同時に、電圧計56により電圧V6
の値を読み取って制御装置48に送る。これにより制御
装置48内では、補正距離算出手段を用いて、V6 の値
が0となるようにZ軸粗動アクチュエータ52を駆動制
御するための制御量すなわち補正距離d0 を算出し、こ
の補正距離d0 とエンコーダ46の回転角θとの関係を
示すテーブルを作成してメモリに記憶する。
【0047】そして、実測定時においては、回転モータ
45により感光体ドラム44を回転させ、その回転角θ
をエンコーダ46により読取り、その読取った回転角θ
に対応する補正距離d0 をメモリのテーブルから読出
す。そして、その読出した補正距離d0 の分だけZ軸粗
動アクチュエータ52を動かすことによって、感光体ド
ラム44の偏芯によるドラム表面の上下動をなくし、毎
回転常に距離dを一定の状態に保つことができる。な
お、この時、スイッチ回路57内のc端子はa端子と接
続されており、これによりZ軸粗動アクチュエータ52
の最小分解能以下のドラム表面の凹凸による距離dの変
動をなくすことができる。また、このように感光体ドラ
ム44の偏芯によるドラム表面の上下動をなくす場合、
その偏芯以外のドラム表面に付着したゴミ、トナー等に
よる上下動が補正距離算出手段により求められるテーブ
ルに記録されないように、そのような高周波成分による
上下動を除去するローパスフィルタ(図示せず)を電圧
計56の出力側に配置させたり、制御装置内48内の演
算によって高周波成分を除去するようにしてもよく、こ
れによりフイードバック制御の動作を一段と安定させる
ことができる。従って、このようなことから、本装置
は、試料として回転時に上下動が非常に大きくなるよう
な感光体ドラム44を測定するような場合においても、
探針3がドラム表面に衝突する確率が非常に小さくな
り、これにより、探針3の変位又は振動の物理量を正確
に測定することができるため、ドラム表面の電位分布を
正確に測定することができる。
【0048】次に、図1の装置の変形例を図2、図3に
基づいて説明する。まず、図2の装置について説明す
る。感光体ドラム44にはパルス回転モータ58が取付
けられており、このパルス回転モータ58は制御装置4
8と接続されている。これにより、制御装置48により
パルス回転モータ58を駆動制御することによって、感
光体ドラム44を回転させることができると共に、回転
角θの測定を行うことができる。この場合、回転モータ
45とエンコーダ46とモータ駆動電源47とが不要と
なり、部品点数を減らすことができるため装置の簡素化
を図ることができる。次に、図3の装置について説明す
る。感光体ドラム44のドラム表面に近接した位置に
は、そのドラム表面との間の距離を測定する距離センサ
59が配置されている。この距離センサ59は制御装置
48と接続されている。これにより、距離センサ59に
より検出された距離の信号を制御装置48に送ることに
よって、テーブルを作成するための補正距離d0 を算出
することができる。この場合、電圧計56が不要とな
り、回路の配線状態を簡素化させることができる。
【0049】次に、本発明の第二の実施例を図4及び図
5に基づいて説明する(請求項2記載の発明に対応す
る)。なお、前述した第一の実施例と同一部分について
の説明は省略し、その同一部分については同一符号を用
いる。
【0050】直流電圧V11を出力するロックインアンプ
10の出力段と、加算器15の入力段との間には、直流
成分帰還量制御手段としての直流バイアス電圧制御回路
60が接続されている。この直流バイアス電圧制御回路
60は、探針3の変位又は振動からその探針3に印加さ
れる印加電圧V51の直流成分の帰還量を制御する。図5
は、直流バイアス電圧制御回路60の内部回路の構成を
示したものである。この直流バイアス電圧制御回路60
は、定電圧電源Vccに接続され電圧Vr1を可変できる第
一電圧調整部61と、比較器62と、直流電圧V11が入
力され電圧Vr2を可変できる第二電圧調整部63と、加
算器15へ電圧V21を出力する積分器64とから構成さ
れている。なお、ここでは、探針3は、図21と同様
に、Z軸アクチュエータ21上の試料台1に設置された
試料2に対向配置されている。
【0051】このような構成において、直流バイアス電
圧制御回路60の動作について述べる。まず、探針3と
試料2の表面との間の距離が離れ、両者間の静電引力が
微弱であり、探針3の電位が試料2の表面電位からどん
どんずれていってしまうような場合について考える。こ
のような場合には、第二電圧調整部63のVr2の中点に
位置するR点を上側(図中)へ移行させそのR点をP点
と接続して短絡させる。これにより、電圧V21の値は第
一電圧調整部61からの電圧Vrにより決定されるた
め、電圧Vr1を手動によって調整することによって電圧
21の値を可変させることができる。このように手動に
より電圧V21の値を可変させることによって、探針3に
印加される印加電圧V51の直流成分を制御し、探針3の
電位を試料2の表面電位に近づけることができる。
【0052】そして、このように手動により電圧Vr1
調整して電圧V21の値を試料2の表面電位に略一致さ
せ、探針3と試料2の表面との間の距離を近づけた後、
第二電圧調整部63のVr2のP点に接続されていたR点
を下側(図中)へ徐々に移行させQ点側で接続する。こ
れにより、電圧V21の値を、第一電圧調整部61による
電圧Vrの手動の制御状態から、直流電圧V11による自
動の帰還制御状態に移行させることができる。そして、
このような状態で実測定を開始することによって、探針
3から試料2の表面又はその周辺機器への放電を生じに
くくさせることができ、また、これにより、試料2の表
面の状態を乱したり、電気回路が遮断されるようなこと
がなくなるため、表面電位等の測定をスムーズに行うこ
とができる。
【0053】次に、本発明の第三の実施例を図6に基づ
いて説明する(請求項3,9記載の発明に対応する)。
なお、前述した各実施例と同一部分についての説明は省
略し、その同一部分については同一符号を用いる。
【0054】本実施例では、試料が、感光体ドラム44
のような感光性を有する材料からなっている場合につい
て述べる。光テコ光学系49(図1参照)を構成する光
源(半導体レーザ7等)は、試料(以下、感光体ドラム
44とする)が感光しない波長領域の光を発する材料に
より形成されている。また、受光素子(光検知器8)
は、感光体ドラム44が感光しない波長の感度を有する
材料により形成されている。以下、具体的な数値を挙げ
て説明する。
【0055】図6は、電子写真装置に用いられる周知の
代表的な感光体ドラム44の分光感度を表わしたもので
ある。これにより、400nm付近では、Seと、
硫化亜鉛と硫化カドミニウムとの混合物とが特に高い感
度を有している。600nm付近では、LPC(Laye
red Photo Conductor){約0.1μm厚のchlorodiane
blue とdiphenylhydrazone との混合物の膜CGL(Cha
rge Generation Layer)の上に約15μmのCTL(Ch
arge Transport Layer)を積層したもの}が特に高い感
度を有している。また、有機感光体(polyvinylcarba
zole とtrinitrofluorenoneを1:1に混合した物質を
正に帯電させたもの)は600nm付近に感度を有し、
有機感光体(と同様な物質を負に帯電させたもの)
は400nm〜600nmの範囲で感度を有している。
【0056】これにより、感光体ドラム44は600n
m以上の波長の光に対して感度をもたないことがわか
る。従って、このようなことから、波長600nm以上
の波長の光を発する材料からなる光源と、この600n
m以上の波長に感度をもつ材料からなる光検知器8とを
用いる。また、分光感度に対してある程度の裕度をもた
せる意味から、好ましくは、900nm以上の波長の光
に対応する材料からなる光源及び受光素子を用いるとよ
い。この900nm以上の波長に対応する光源及び受光
素子の材料としては、以下の表1、表2に示すようなも
のがある。
【0057】
【表1】
【0058】
【表2】
【0059】また、600nm以上の波長に対応する光
源及び受光素子の材料としては、前記900nm以上の
波長に対応する光源及び受光素子に加えて、以下の表
3、表4に示すようなものがある。
【0060】
【表3】
【0061】
【表4】
【0062】また、図6において、、の物質に関し
ては400nm以下の波長に対して感度が低いことか
ら、その400nm以下の波長の光源と、この波長に感
度をもつ受光素子とを用いる。この400nm以下の波
長に対応する光源及び受光素子の材料としては、以下の
表5、表6に示すようなものがある。
【0063】
【表5】
【0064】
【表6】
【0065】上述したように、感光体の分光感度を持た
ない波長の光を用い、光源及び受光素子の各種の材料の
中から発光波長と分光感度のある波長とが一致する材料
を組み合わせて光テコ光学系49を構成することによっ
て、感光体ドラム44上での潜像形成の状態が乱される
ことがなくなり、これにより、測定誤差をなくして表面
電位等の測定を正確に行うことができる。
【0066】次に、本発明の第四の実施例を図7〜図9
に基づいて説明する(請求項4,6記載の発明に対応す
る)。なお、前述した各実施例と同一部分についての説
明は省略し、その同一部分については同一符号を用い
る。
【0067】前述した第三の従来例(図23参照)と同
様に、図7の基板30の中央には片持ち梁31が形成さ
れており、この片持ち梁31上には光導波路32(第一
の光導波路)が形成され、この光導波路32の端面32
aと対向する端面34aを有する固定部33上には光導
波路34(第二の光導波路)が形成されている。そし
て、ここでは、光導波路32が形成された片持ち梁31
の先端に、探針65が取付けられている。
【0068】このような構成において、探針65に原子
間力、磁力、静電引力等の力が働くことによって片持ち
梁31が変形し、この変形の度合いを光導波路32,3
4を用いた光量変化(図24参照)によって検出するこ
とにより、探針65に働く力を測定することができる。
このように光学的手法により力の測定を行うことができ
るため、抵抗素子(図22のピエゾ抵抗27a,27b
参照)を用いて測定したときのようにジュール熱による
片持ち梁31の変形が生じることがなく、また、配線部
や力検出部の簡略化を図ることができるため、製造工程
の簡略化を図ることができる。
【0069】また、図8、図9は、図7の変形例を示し
たものである。図8は、基板30の探針65のある側の
面に導電膜としての金属膜66が塗布されている。これ
により、片持ち梁31の根本付近に接続したリード線6
7から探針65への電圧印加を行うことができ、表面電
位の測定を行うことができる。また、このように光導波
路32,34の表面に金属膜66を塗布することによっ
て、光が漏れ出るようなこともなくなるため、感光体ド
ラム44の電位に悪影響を与えるようなこともない。ま
た、図9は、基板30の表裏両方の面に金属膜66が塗
布されている場合の例である。この場合にも、図8の場
合と同様な効果を得ることができる。なお、ここでの光
導波路32,34は基板裏面側に形成されている。
【0070】次に、本発明の第五の実施例を図10〜図
12に基づいて説明する(請求項5,6記載の発明に対
応する)。なお、前述した各実施例と同一部分について
の説明は省略し、その同一部分については同一符号を用
いる。
【0071】前述した第四の従来例(図25参照)と同
様に、図10の基板35の中央には片持ち梁36が形成
されており、この片持ち梁36の根本付近には光導波路
37(第一の光導波路)が形成され、この光導波路37
と平行に配置された固定部38上には光導波路39(第
二の光導波路)が形成され、光導波路37と光導波路3
9とが交差する位置には光導波路40(第三の光導波
路)が形成されている。そして、ここでは、光導波路3
7を固定端に有する片持ち梁36の先端に、探針65が
形成されている。
【0072】このような構成において、探針65に原子
間力、磁力、静電引力等の力が働くことによって片持ち
梁36が変形し、この変形の度合いを光導波路40での
光量変化(図27参照)によって検出することにより、
探針65に働く力を測定することができる。このように
光学的手法により力の測定を行うことができるため、前
述した第四の実施例の場合と同様に、ジュール熱による
片持ち梁36の変形が生じることがなく、製造工程の簡
略化を図ることができる。
【0073】また、図11、図12は、図10の変形例
を示したものである。図11は、基板35の探針65の
ある側の面に金属膜66が塗布されている。これによ
り、片持ち梁36の根本付近に接続したリード線67か
ら探針65への電圧印加を行うことができ、表面電位の
測定を行うことができる。また、このように光導波路3
7,39の表面に金属膜66を塗布することによって、
光が漏れ出るようなこともなくなるため、感光体ドラム
44の電位に悪影響を与えるようなこともない。また、
図12は、基板35の両方の面に金属膜66を塗布した
場合の例である。ただし、ここでの光導波路37,39
は、図11とは反対側の面に形成されている。この場合
にも、図11と同様な効果を得ることができる。
【0074】次に、本発明の第六の実施例を図13及び
図14に基づいて説明する(請求項7記載の発明に対応
する)。なお、前述した各実施例と同一部分についての
説明は省略し、その同一部分については同一符号を用い
る。
【0075】図13は、基本的には図7と同様な構造と
されている。ここでは、片持ち梁31及び探針65は、
金属等の導電性物質により形成されている。これによ
り、図8のように金属膜66を基板表面に塗布する必要
がなくなり、片持ち梁31に直接接続されたリード線6
7を介して探針65に電圧を印加することができ、製造
工程の簡略化を図ることができる。また、図14は、基
本的には図10と同様な構造とされている。この場合に
も、片持ち梁31及び探針65は導電性物質により形成
されているため、図13の場合と同様な効果を得ること
ができる。
【0076】次に、本発明の第七の実施例について説明
する(請求項8記載の発明に対応する)。なお、前述し
た各実施例と同一部分についての説明は省略し、その同
一部分については同一符号を用いる。
【0077】基板30(図7、図13参照)の入射光路
側の光導波路32の端面には、試料(以下、感光体ドラ
ム44とする)が感光しない波長の光を発する図示しな
い光源(前記半導体レーザ7と同様なもの)が配置され
ている。その基板30の出射光路側の光導波路34の端
面には、その感光体ドラム44が感光しない波長の感度
を有する図示しない受光素子(前記光検知器8と同様な
もの)が配置されている。これにより、前述した第三の
実施例と同様な理由により、測定対象たる感光体ドラム
44上の状態が光源からの光によって乱されることがな
くなる。
【0078】また、基板35(図10、図14参照)の
光導波路37,39が交差する入射光路側、出射光路側
にもそれぞれ感光体ドラム44が感光しない波長の光に
対応した光源、受光素子を配置することにより、同様な
効果を得ることができる。
【0079】次に、本発明の第八の実施例を図15に基
づいて説明する(請求項10記載の発明に対応する)。
なお、前述した各実施例と同一部分についての説明は省
略し、その同一部分については同一符号を用いる。
【0080】図15の片持ち梁31は、光導波路32,
34が形成された基板30(図7参照)の一部を拡大し
て示したものである(又は、図10に示すような光導波
路37,39が形成された基板35の片持ち梁36を用
いてもよい)。この場合、探針65以外の片持ち梁31
の周囲は、導電部材としてのシールドボックス68によ
り覆われている。このシールドボックス68の材料とし
ては金属が用いられ、その板厚は厚く形成されており、
片持ち梁31よりも剛性が遥かに高くなっている。ま
た、このシールドボックス68と片持ち梁31とは、リ
ード線67により接続され、同電位に設定されている。
【0081】このような構成において、探針65とシー
ルドボックス68とは同電位に設定されているため、静
電引力は探針65と試料表面との間でのみ作用し、従来
のように片持ち梁31の背面と周辺機器との間で作用す
るようなことがなくなり、これにより測定誤差をなくす
ことができる。このように片持ち梁31の背面と周辺機
器との間で静電引力は作用しないが、シールドボックス
68と周辺機器との間では作用する。しかし、シールド
ボックス68は高剛性とされているため、振動するよう
なことがなく測定精度に影響を及ぼすようなこともな
い。
【0082】次に、本発明の第九の実施例を図16に基
づいて説明する(請求項11記載の発明に対応する)。
なお、前述した各実施例と同一部分についての説明は省
略し、その同一部分については同一符号を用いる。
【0083】前述した第八の実施例(図15参照)で述
べたシールドボックス68の探針65が設けられた面と
は反対側の面には、光を通過させるための穴69が形成
されている。この穴69に近接した位置には、光源(半
導体レーザ7等)や受光素子(光検知器8)からなる光
テコ光学系49が配置されている。
【0084】このような構成において、その穴69を通
じて半導体レーザ7から光を入射させ、その反射光を光
検知器8に導くことによって、片持ち梁31の変位や振
動を測定することができる。この場合、穴69を設けた
ことによって、片持ち梁31の背面と周辺機器との間で
静電引力がわずかに働くが、従来に比べて測定誤差は非
常に小さく、周囲環境にほとんど影響されずに測定を行
うことができる。
【0085】次に、本発明の第十の実施例を図17及び
図18に基づいて説明する(請求項12記載の発明に対
応する)。なお、前述した各実施例と同一部分について
の説明は省略し、その同一部分については同一符号を用
いる。
【0086】図17に示すように、前述した第八の実施
例(図15参照)で述べたシールドボックス68の探針
65が設けられた面とは反対側の面には、光源からの光
を通過させるための透明領域70が形成されている。こ
の透明領域70とシールドボックス68とはリード線7
1により接続されている。これにより、透明領域70と
シールドボックス68と片持ち梁31と探針65とは電
気的に接続され、同電位に設定されている。
【0087】この場合、透明領域70の材料としては、
光源の発光波長において透明で、かつ、電気的抵抗の低
い物質を用いる。一例として、光源としてAlGaIn
P半導体レーザ(波長670nm)やHe−Ne気体レ
ーザ(波長632.8nm)を用い、受光素子としてS
iやGaAsP等のフォトダイオードを用いた場合、透
明領域70の材料として、In、Sn、Oの化合物や、
ZnOAl、In23、SnO2 等の物質を用いる。
【0088】また、他の例として、光源としてPb1-x
Sex半導体レーザ(4350〜8330nm)、Pb
1-xCdxS半導体レーザ(2660〜4350nm)、
He−Xe気体レーザ(3500nm)等を用い、受光
素子としてPbSe光導電素子(2000〜5000n
m)、InSb光起電力素子(2000〜5500n
m)を用いた場合、透明領域70の材料として、Si、
Ge、GaAs等の低抵抗化した物質を用いる。上述し
たように、シールドボックス68に透明領域70を形成
したことによって、片持ち梁31の背面と周辺機器との
間で静電引力が作用することがなくなる。これにより、
静電引力による測定誤差をなくし、光テコ光学系49に
よる片持ち梁31の変位や振動を正確に測定することが
できる。
【0089】また、図18は、図17の変形例を示すも
のである。ここでは、シールドボックス68の全体が透
明領域70に形成されている。この透明領域70の材料
としては前述した場合と同様である。このように全体に
渡って透明に形成したことによって、前述したようにシ
ールドボックス68に穴69を設けて透明領域70を一
部分に形成する製造上の手間を省くことができる。
【0090】次に、本発明の第十一の実施例を図19及
び図20に基づいて説明する(請求項13記載の発明に
対応する)。なお、前述した各実施例と同一部分につい
ての説明は省略し、その同一部分については同一符号を
用いる。
【0091】図19に示すように、シールドボックス6
8の探針65が設けられた面とは反対側の面には、第十
の実施例(図17参照)と同様な透明領域70が形成さ
れている。この透明領域70上には、光源の発光波長の
光を通過させかつ導電性の透明導電膜72が形成されて
いる。そして、この透明導電膜72はリード線71によ
ってシールドボックス68と接続されている。これによ
り、透明導電膜72とシールドボックス68と片持ち梁
31と探針65とは電気的に接続され、同電位に設定さ
れている。
【0092】この場合、透明導電膜72の材料として
は、光源の発光波長において透明で、かつ、電気的抵抗
の低い物質を用いる。一例として、光源としてAlGa
InP半導体レーザ(波長670nm)やHe−Ne気
体レーザ(波長632.8nm)を用い、受光素子とし
てSiやGaAsP等のフォトダイオードを用いた場
合、透明領域70の材料としてパイレックスガラス、石
英を用い、透明導電膜72としてITO、ZnOAl、
In23、SnO2 の膜を用いる。
【0093】また、他の例として、光源としてPb1-x
Sex半導体レーザ(4350〜8330nm)、Pb
1-xCdxS半導体レーザ(2660〜4350nm)、
He−Xe気体レーザ(3500nm)等を用い、受光
素子としてPbSe光導電素子(2000〜5000n
m)、InSb光起電力素子(2000〜5500n
m)を用いた場合、透明領域70の材料としてサファイ
ア、ダイヤモンド、TlCl、AgCl等を用い、透明
導電膜72としてSi、Ge、GaAs等の低抵抗化し
た物質を用いる。上述したように、シールドボックス6
8に透明領域70及び透明導電膜72を形成したことに
よって、より完全にシールドすることができ、片持ち梁
31の背面と周辺機器との間での静電引力の作用を完全
になくすことができる。これにより、静電引力による測
定誤差をなくし、光テコ光学系49による片持ち梁31
の変位や振動を一段と正確に測定することができる。
【0094】また、図20は、図19の変形例を示すも
のである。ここでは、シールドボックス68は、金属で
はなく、ガラスにより形成されている。このシールドボ
ックス68の外側全面に渡って透明導電膜72が塗布さ
れている。探針65と片持ち梁31とシールドボックス
68と透明導電膜72とは、同電位に設定されている。
この場合にも、図19の場合と同様に、片持ち梁31と
周辺機器との間で静電引力が作用することがなく、静電
引力による測定誤差を小さくすることができる。
【0095】
【発明の効果】請求項1記載の発明は、走査手段を用い
て実測定前に予め試料表面の走査を行い、この走査に同
期して補正距離算出手段により試料表面と探針先端との
間の補正距離を算出し、補正距離記憶手段にその算出さ
れた補正距離を走査位置に対比させて一旦記憶させ、実
測定時には、その補正距離を走査位置に対比させて読出
し、試料探針間距離可変手段を用いて試料の表面と探針
との間の距離を常に一定に保ちながら試料表面の電位や
形状の測定を行うようにしたので、感光体ドラムのよう
な回転時に上下動が非常に大きくなる試料を測定するよ
うな場合でも、探針が試料表面に衝突する確立が非常に
小さくなり、これにより、探針の変位又は振動の物理量
を正確に測定することができ、測定精度が高い物理量測
定装置を提供することができる。
【0096】請求項2記載の発明は、直流成分帰還量制
御手段を用いて、探針が試料表面から離れている実測定
前の段階では、探針への印加電圧の直流成分を試料表面
電位の概略値に設定し、また、探針が試料表面に接近し
た実測定の段階では、静電引力による探針の変位又は振
動からその探針への印加電圧の直流成分の帰還量を制御
して測定を行うようにしたので、このように試料の置か
れる状態に応じて直流成分の帰還量を変えることによっ
て、探針から試料表面又はその周辺機器への放電を生じ
にくくさせることができ、これにより、試料表面の状態
を乱したり、電気回路が遮断されるようなことがなくな
り、物理量の測定をスムーズに行うことができ、測定精
度が高い物理量測定装置を提供することができる。
【0097】請求項3記載の発明は、物理量の測定に用
いられる物理量検出光学系の光源を試料が感光しない波
長の光を発する材料により形成すると共に、その光源か
らの光を受光する受光素子も試料が感光しない波長に感
度を有する材料により形成したので、試料表面の状態が
光源の光によって乱されるようなことがなくなり、これ
により、測定精度が高い物理量測定装置を提供すること
ができる。
【0098】請求項4記載の発明は、第一の光導波路の
端面と第二の光導波路の端面との間で授受される光量の
大きさを求めることによって、基板面上に設けられた片
持ち梁の探針と試料表面との間に作用する力の大きさす
なわち探針の変位又は振動の物理量を測定することがで
きるので、従来のように片持ち梁上に抵抗素子(ピエゾ
抵抗)を配して測定を行う必要がなくなり、これによ
り、ジュール熱により片持ち梁が変形するようなことが
ないため、測定誤差を一段と小さくして簡略化された構
成の物理量測定装置を提供することができる。
【0099】請求項5記載の発明は、片持ち梁の動きに
応じて変形する第一の光導波路を通過する光量と、第二
の光導波路を通過する光量とを第三の光導波路で合成し
て求めることによって、基板面上に設けられた片持ち梁
の探針と試料表面との間に作用する静電引力の大きさす
なわち探針の変位又は振動の物理量を測定することがで
きるので、従来のように片持ち梁上に抵抗素子(ピエゾ
抵抗)を配して測定を行う必要がなくなり、これによ
り、ジュール熱により片持ち梁が変形するようなことが
ないため、測定誤差を一段と小さくして、簡略化された
構成の物理量測定装置を提供することができる。
【0100】請求項6記載の発明は、片持ち梁の片面又
は両面を導電膜により被覆するようにしたので、片持ち
梁の基板固定部に固着した部分と探針先端とを電気的に
接続することができ、これにより、片持ち梁の基板固定
部に固着した部分から探針先端に電圧を印加することが
できるため、試料の表面電位の測定を行うことができ
る。
【0101】請求項7記載の発明は、片持ち梁及び探針
を導電性物質により形成するようにしたので、片持ち梁
の基板固定部に固着した部分と探針先端とを電気的に接
続することができ、これにより、片持ち梁の基板固定部
に固着した部分から探針先端に電圧を印加することがで
きるため、試料の表面電位の測定を行うことができる。
【0102】請求項8記載の発明は、光源から出射し光
導波路内を伝搬し受光素子に検出される光は、試料が感
光しない波長とされているので、その光が光導波路から
受光素子に検出される際に外部に漏れ出るようなことが
あっても、その漏れ出た光によって試料の状態が乱され
るようなことがなくなり、これにより一段と正確な測定
を行うことができる。
【0103】請求項9記載の発明は、試料の感光材料の
感光感度が400nm付近のものに対しては600nm
以上の発光波長をもつ光源を用い、試料の感光材料の感
光感度が600nm付近のものに対しては400nm以
下又は600nm以上の発光波長をもつ光源を用いるよ
うにしたので、光源の光により試料の状態が乱されるよ
うなことがなくなり、これにより一段と正確な測定を行
うことができる。
【0104】請求項10記載の発明は、高い剛性をもつ
導電部材とこの部材により覆われた片持ち梁とを同電位
に設定したので、片持ち梁の裏面と周辺機器との間で静
電引力が作用せず、これによりその静電引力による測定
誤差をなくして測定精度を高めることができる。
【0105】請求項11記載の発明は、片持ち梁を囲む
導電部材の探針が取付けられた面とは反対側の面に穴を
形成したので、その穴を通じて片持ち梁の先端に光を照
射して変位又は振動を測定する場合でも、片持ち梁の裏
面と周辺機器との間で静電引力が作用するようなことが
なく、これによりその静電引力による測定誤差をなくし
て測定精度を高めることができる。
【0106】請求項12記載の発明は、片持ち梁を囲む
導電部材の探針が取付けられた面とは反対側の面に光源
の発光波長の光を通過させる透明領域を形成したので、
その透明領域を通じて片持ち梁の先端に光を照射して変
位又は振動を測定する場合でも、片持ち梁の裏面と周辺
機器との間で静電引力が作用するようなことがなく、こ
れによりその静電引力による測定誤差をなくして測定精
度を高めることができる。
【0107】請求項13記載の発明は、片持ち梁を囲む
導電部材の探針が取付けられた面とは反対側の面に光源
の発光波長の光を通過させる透明領域を形成し、この透
明領域上に発光波長の光を通過させかつ導電性のある透
明導電膜を設けたので、その透明領域及び透明導電膜を
通じて片持ち梁の先端に光を照射して変位又は振動を測
定する場合でも、片持ち梁の裏面と周辺機器との間で静
電引力が作用するようなことがなくなり、また、導電部
材の透明領域上に透明導電膜を設けることによって一段
と完全なシールドを行うことができ、これにより測定精
度を一段と高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第一の実施例である物理量測定装置の
構成を示す回路図である。
【図2】第一の実施例の変形例を示す回路図である。
【図3】第一の実施例の他の変形例を示す回路図であ
る。
【図4】本発明の第二の実施例を示す回路図である。
【図5】図4の直流バイアス制御回路の構成を示す回路
図である。
【図6】本発明の第三の実施例である感光体の分光感度
を示す特性図である。
【図7】本発明の第四の実施例を示すものであり、
(a)は斜視図、(b)はa1−a1断面図である。
【図8】基板上に導電膜を塗布した場合の様子を示す断
面図である。
【図9】図8の変形例を示す断面図である。
【図10】本発明の第五の実施例を示すものであり、
(a)は斜視図、(b)はa2−a2断面図である。
【図11】基板上に導電膜を塗布した場合の様子を示す
断面図である。
【図12】図11の変形例を示す断面図である。
【図13】本発明の第六の実施例を示すものであり、
(a)は斜視図、(b)はa3−a3断面図である。
【図14】図13の変形例を示すものであり、(a)は
斜視図、(b)はa4−a4断面図である。
【図15】本発明の第八の実施例を示すものであり、
(a)は斜視図、(b)は梁の延在された方向に沿って
切断した断面図である。
【図16】本発明の第九の実施例を示す断面図である。
【図17】本発明の第十の実施例を示す断面図である。
【図18】図17の変形例を示すものであり、(a)は
斜視図、(b)は断面図である。
【図19】本発明の第十一の実施例を示す断面図であ
る。
【図20】図19の変形例を示すものであり、(a)は
斜視図、(b)は断面図である。
【図21】第一の従来例を示す回路図である。
【図22】第二の従来例を示すものであり、(a)は断
面図、(b)は上面図である。
【図23】第三の従来例を示す斜視図である。
【図24】図23の導波光のモード状態を示すものであ
り、(a)は光軸ずれがないときの動作を示す模式図、
(b)は光軸ずれがあるときの動作を示す模式図であ
る。
【図25】第四の従来例を示すものであり、(a)は斜
視図、(b)はa5−a5断面図である。
【図26】マッハツェンダ干渉計の基本構成を示す斜視
図である。
【図27】マッハツェンダ干渉計の動作を示すものであ
り、(a)は同相のときの動作を示す模式図、(b)は
逆相のときの動作を示す模式図である。
【図28】マイケルソン干渉計の基本構成を示す斜視図
である。
【図29】マイケルソン干渉計の動作を示すものであ
り、(a)は同相のときの動作を示す模式図、(b)は
逆相のときの動作を示す模式図である。
【符号の説明】
2 試料 3 探針 5 片持ち梁 6 反射ミラー 7 光源 8 受光素子 30 基板 31 片持ち梁 32 第一の光導波路 33 固定部 34 第二の光導波路 35 基板 36 片持ち梁 37 第一の光導波路 38 固定部 39 第二の光導波路 40 第三の光導波路 44 試料 49 物理量検出光学系 54 走査手段 55 試料探針間距離可変手段 60 直流成分帰還量制御手段 65 探針 66 導電膜 68 導電部材 69 穴 70 透明領域 72 透明導電膜

Claims (13)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 試料の表面とこれに対向配置された探針
    との間の相互作用を検出することにより、前記試料の物
    理量を測定する物理量測定装置において、前記試料の表
    面を走査する走査手段と、この走査に同期して前記探針
    先端と前記試料の表面との間の距離を一定に保つための
    補正距離を算出する補正距離算出手段と、この算出され
    た補正距離を走査位置に対比させて記憶する補正距離記
    憶手段と、前記走査位置に対比して記憶された前記補正
    距離をもとに前記試料の表面と前記探針との間の距離を
    可変させる試料探針間距離可変手段とを備えたことを特
    徴とする物理量測定装置。
  2. 【請求項2】 交流成分と直流成分とが重畳された電圧
    が印加される探針とこれに対向配置された試料の表面と
    の間に作用する静電引力により生じる前記探針の変位又
    は振動から前記試料の物理量を測定する物理量測定装置
    において、前記探針が前記試料の表面に近接している場
    合と前記試料の表面から離れている場合とに応じて、前
    記探針の変位又は振動からその探針に印加される印加電
    圧の直流成分への帰還量を制御する直流成分帰還量制御
    手段を設けたことを特徴とする物理量測定装置。
  3. 【請求項3】 先端に探針が取付けられた片持ち梁を有
    し、感光性を有する試料とこれに対向配置された前記探
    針との間に作用する力により生じる前記探針の変位又は
    振動から前記試料の物理量を測定する物理量測定装置に
    おいて、前記試料が感光しない波長の光を発する光源
    と、前記片持ち梁に取付けられ前記光源から発せられた
    光を反射させる反射ミラーと、前記試料が感光しない波
    長の感度を有し前記反射ミラーにより反射された光を受
    光する受光素子とからなる物理量検出光学系を備えたこ
    とを特徴とする物理量測定装置。
  4. 【請求項4】 基板の一部に形成された片持ち梁と、こ
    の片持ち梁の先端部に基板面に対して垂直に設けられた
    探針と、前記片持ち梁上でかつその梁が延在された方向
    に沿って配線された第一の光導波路と、この第一の光導
    波路の端面に対向する端面を有し前記基板の固定部上に
    配線された第二の光導波路とを備えたことを特徴とする
    物理量測定装置。
  5. 【請求項5】 基板の一部に形成された片持ち梁と、こ
    の片持ち梁の先端部に基板面に対して垂直に設けられた
    探針と、前記片持ち梁上又はその梁の付け根部分にその
    梁が延在された方向に直交する方向に沿って配線された
    第一の光導波路と、この第一の光導波路に対向する前記
    基板の固定部上に配線された第二の光導波路と、前記第
    一の光導波路を伝搬する光と前記第二の光導波路を伝搬
    する光とが干渉を起こすようにこれら2つの光導波路が
    合流する前記固定部上の位置に配線された第三の光導波
    路とを備えたことを特徴とする物理量測定装置。
  6. 【請求項6】 片持ち梁の片面若しくは両面、又は、光
    導波路の互いに対向した端面を除く片持ち梁の片面若し
    くは両面を、導電膜により被覆したことを特徴とする請
    求項4又は5記載の物理量測定装置。
  7. 【請求項7】 片持ち梁及び探針を、導電性物質により
    形成したことを特徴とする請求項4又は5記載の物理量
    測定装置。
  8. 【請求項8】 測定対象の試料が感光しない波長の光を
    発光する光源を光導波路の入射光路側に配置し、前記試
    料が感光しない波長の感度を有する受光素子を前記光導
    波路の出射光路側に配置したことを特徴とする請求項
    4,5,6又は7記載の物理量測定装置。
  9. 【請求項9】 試料が感光しない光源の発光波長を、4
    00nm以下、又は、600nm以上の値としたことを
    特徴とする請求項3又は8記載の物理量測定装置。
  10. 【請求項10】 片持ち梁の一部又は全部をその片持ち
    梁よりも高い剛性をもつ導電部材により覆い、この導電
    部材と前記片持ち梁とを同電位に設定したことを特徴と
    する請求項6,7又は8記載の物理量測定装置。
  11. 【請求項11】 片持ち梁を囲む導電部材の探針が取付
    けられた面とは反対側の面に、前記片持ち梁の変位又は
    振動を測定するために用いる光源から発せられた光を通
    過させるための穴を形成したことを特徴とする請求項1
    0記載の物理量測定装置。
  12. 【請求項12】 片持ち梁を囲む導電部材の一部又は全
    部に、前記片持ち梁の変位又は振動を測定するために用
    いる光源の発光波長の光を通過させる透明領域を形成し
    たことを特徴とする請求項10記載の物理量測定装置。
  13. 【請求項13】 片持ち梁を囲む導電部材の一部又は全
    部を、前記片持ち梁の変位又は振動を測定するために用
    いる光源の発光波長の光を通過させる透明領域により形
    成し、この導電部材の透明領域上に前記発光波長の光を
    通過させかつ導電性のある透明導電膜を設けたことを特
    徴とする請求項10記載の物理量測定装置。
JP24902694A 1994-10-14 1994-10-14 物理量測定装置 Pending JPH08114606A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP24902694A JPH08114606A (ja) 1994-10-14 1994-10-14 物理量測定装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP24902694A JPH08114606A (ja) 1994-10-14 1994-10-14 物理量測定装置

Related Child Applications (3)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2001136104A Division JP2002031593A (ja) 2001-05-07 2001-05-07 物理量測定装置
JP2001136103A Division JP3445787B2 (ja) 2001-05-07 2001-05-07 物理量測定装置
JP2001136105A Division JP2002062324A (ja) 2001-05-07 2001-05-07 物理量測定装置

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH08114606A true JPH08114606A (ja) 1996-05-07

Family

ID=17186906

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP24902694A Pending JPH08114606A (ja) 1994-10-14 1994-10-14 物理量測定装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH08114606A (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002529743A (ja) * 1998-11-06 2002-09-10 トレック・インコーポレーテッド カンチレバーおよびシールドを備えた静電気力検出器
EP3440469A4 (en) * 2016-04-08 2020-02-26 Trek, Inc. ELECTROSTATIC FORCE SENSOR WITH IMPROVED SHIELDING AND METHOD OF USING AN ELECTROSTATIC FORCE SENSOR

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002529743A (ja) * 1998-11-06 2002-09-10 トレック・インコーポレーテッド カンチレバーおよびシールドを備えた静電気力検出器
EP3440469A4 (en) * 2016-04-08 2020-02-26 Trek, Inc. ELECTROSTATIC FORCE SENSOR WITH IMPROVED SHIELDING AND METHOD OF USING AN ELECTROSTATIC FORCE SENSOR

Similar Documents

Publication Publication Date Title
EP0422548B1 (en) Atomic force microscope
US5677635A (en) Voltage and displacement measuring apparatus and probe
JP2002529743A (ja) カンチレバーおよびシールドを備えた静電気力検出器
JP3278460B2 (ja) 電子部品内の電気信号測定用電気光学測定装置
US7795886B2 (en) Surface voltmeter
US5241276A (en) Surface potential measuring system
US5151659A (en) Surface potential measuring system
JPH08114606A (ja) 物理量測定装置
JPH1144693A (ja) 近接場光学顕微鏡のプローブチップ位置の測定方法とその装置および制御装置
JP2002062324A (ja) 物理量測定装置
JPH08320325A (ja) 物理量測定装置
JP2002031593A (ja) 物理量測定装置
JP3445787B2 (ja) 物理量測定装置
JP3169950B2 (ja) 表面電位測定装置
JP3213503B2 (ja) 物理量測定装置
JP3477456B2 (ja) 物理量測定装置
JP3429499B2 (ja) 物理量測定装置
JP2002055040A (ja) 物理量測定装置
JP2002055037A (ja) 物理量測定装置
JPH0526662A (ja) 走査型原子間力,磁気力顕微鏡及びその類似装置
JP2007121316A (ja) 走査型近視野顕微鏡
JPH06258368A (ja) 表面電位計測装置
JP3450460B2 (ja) 走査型プローブ顕微鏡
JPH09203626A (ja) 測定器用探針装置
JP3171787B2 (ja) 表面状態測定装置