JP3171787B2 - 表面状態測定装置 - Google Patents

表面状態測定装置

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は表面状態測定装
置、より詳細には測定対象物の表面電位および/または
表面形状を測定する装置に関する。
【0002】
【従来の技術】例えば「光導電性の感光体」は表面が平
滑で凹凸が少なく、「むら」なく帯電されるものが良し
とされる。従って、感光体が試作されたような場合に、
その表面形状や表面電位の分布状態を測定する必要が生
じる。
【0003】このような場合に対処すべく、感光体等の
測定対象物の表面形状や表面電位の分布を測定する装置
として、従来、図10に示す如きものが知られている
(例えば、信学技報OME92−3 13頁 走査型マ
クスウェル応力顕微鏡による有機薄膜の表面電位の観
察)。
【0004】測定対象物0に対向して導電性のカンチレ
バー10が配備され、カンチレバー10の自由端部には
導電性の探針12が、測定対象物0に対向するように保
持されている。
【0005】LD14からカンチレバー12に光が照射
され、カンチレバー10による反射光を受光素子16が
受光して光電変換信号を発生するようになっている。受
光素子16から発生した光電変換信号はプリアンプ18
を介してロックインアンプ20,22に入力するように
なっている。
【0006】ロックインアンプ20の出力は、積分器3
0を介して加算器32に直流電圧:Vbとして印加され
る。ロックインアンプ22の出力は比較器24により電
源26の「基準電圧」と比較され、積分器28を介して
アクチュエータ38に印加される。
【0007】探針12は、図示されない走査機構により
測定対象物10の測定表面を1次元的もしくは2次元的
に走査するようになっている。測定対象物10の表面は
電位:Vs(上記表面上の位置の関数である)を有す
る。
【0008】交流電源36からの交流電圧:Va・si
n(ωt)と前記直流電圧:Vbを加算器32において加
え合わせ、直流を重畳させた電圧「Vb+Va・sin
(ωt)」をカンチレバー10を介して探針12に印加す
る。
【0009】探針12と測定対象物0の表面との間を
「間隔:Z,容量:Cのコンデンサ」と見做すと、探針
12と測定対象物0の表面に働く「静電引力:Fes」
は、コンデンサの電圧をVとすると、ポテンシャルエネ
ルギー:U=CV2/2であるから「Fes=−grad
U」により、 Fes={−(∂C/∂Z)・V2/2} (1) で与えられる。
【0010】上記の電圧:Vは「V=Vb−Vs+Va・
sin(ωt)」であるから、これを(1)式の右辺に代
入すると、 Fes=−(∂C/∂Z)・{(Vb−Vs)2+(Va2/2)}/2 −(∂C/∂Z)・{2(Vb−Vs)・Va・sin(ωt)}]/2 −(∂C/∂Z)・[(Va2/2)・sin{2ωt−(π/2)}]/2 (2) が得られる。(2)式の右辺第1項は固定的であるが、
第2,第3項は「振動的」である。
【0011】上記角周波数:ωをカンチレバー10の機
械的共振の角周波数の1/2以下の大きさに設定してお
くと、カンチレバー10は(2)式右辺の第2,第3項
の振動的な力により強制振動され、この振動に従って受
光素子16から発せられる光電変換信号をプリアンプ1
8で増幅した出力電圧:vは、比例係数をαとして、 v=−α(∂C/∂Z)・[{2(Vb−Vs)・Va・sin(ωt)} +(Va2/4)・sin{2ωt−(π/2)}] (3) となる。
【0012】この出力電圧をロックインアンプ20によ
り角周波数:ωの参照信号(交流電源36から供給され
る)により位相検波増幅すると、ロックインアンプ20
から V1=−A1・(∂C/∂Z)・(Vb−Vs)・Va (4) なる電圧:V1が得られる。A1は比例係数である。
【0013】また、上記電圧:vをロックインアンプ2
2により角周波数:2ωの参照信号(交流電圧36から
供給される角周波数:ωの電圧の高調波として発生させ
る)により位相検波増幅すると、ロックインアンプ22
から V2=−A2・(∂C/∂Z)・Va2 (5) なる電圧:V2が得られる。A2は比例係数である。
【0014】上記電圧:V1は積分器30を介して直流
電圧:Vbとしてカンチレバー10に印加されるが、積
分器30は「V1が0となるよう」に出力:Vbを制御す
るので、V1が0となるときの積分器30の出力:Vb
は、(∂C/∂Z)の如何に拘らず測定対象物0の表面電
位:Vsに等しく、このようにして積分器30から表面
電位測定結果:Vsが得られる。
【0015】一方、ロックインアンプ22の出力電圧:
2は比較器24で基準電圧と比較され、積分器28を
介してアクチュエータ38に印加される。
【0016】アクチュエータ38は電圧:V2が一定と
なるように、測定対象物0の表面と探針12の間の間
隔:Zを一定に制御する。Vaは定数であるから積分器
28から得られる出力の像、所謂「トポ像」は「(∂C/
∂Z)=一定」の像となり、従って測定対象物0の表面
形状(走査線上の形状)を与えることになる。
【0017】このようにして、測定対象物0の表面電位
と表面形状とを同時に測定することができる。
【0018】上記表面状態測定において、表面形状は電
圧:V2を通じて測定されるわけであるが、電圧:V2
与える(5)式において、(∂C/∂Z)は任意のZに対
し、(∂C/∂Z)<0、且つ(∂2C/∂Z2)>0であるか
ら、探針12が測定対象物0の表面に近づき(遠ざか
り)、Zが小さく(大きく)なると、電圧:V2は大き
く(小さく)なり、アクチュエータ38は電圧:V2
小さく(大きく)するように、即ち、Zを大きく(小さ
く)するように動作し、これにより間隔:Zが一定に保
たれる。
【0019】しかるに、電圧:V2が急激に変化したよ
うな場合、「アクチュエータ38による帰還動作」が間
にあわず、探針12と測定対象物0の表面が衝突する
と、探針12はファンデルワールス力等の「付着力」に
より測定対象物0の表面に拘束され、カンチレバー10
の振動が停止する。
【0020】この振動停止により式(3)右辺第2項の
振幅が0となるから、ロックインアンプ22の出力電
圧:V2は0になる。換言すれば、電圧:V2は探針12
の測定対象物0の表面への接触以前よりも小さくなる。
【0021】このためアクチュエータ38は間隔:Zが
大きくなったかのように駆動され、探針12と測定対象
物0とを更に近付けるように動作する。
【0022】このため探針12は測定対象物0の表面に
更に強く押し当てられ、表面形状の測定ができなくな
り、最悪の場合は探針12、測定対象物0の一方もしく
は双方が破損することになる。
【0023】図11を参照して、この点をより詳細に説
明する。図11は、上記探針12と測定対象物0の表面
との間隔:Zと、ロックインアンプ22の出力電圧:V
2との関係を示す。「アクチュエータ38による帰還動
作」により上記間隔:Zを所定値:Z0に制御するもの
とし、Z0に対応する出力電圧:V2の値を図の如く「V
20」とする。なお、図11を描くに際して、前記式
(5)における比例係数:A2を負としている。
【0024】間隔:Z0の近傍では、間隔:Zが小さく
なると出力電圧:V2は大きくなる。アクチュエータ3
8による帰還動作は、電圧:V20を基準電圧とし、出力
電圧:V2を電圧:V20に等しくするように行なわれる
ので、間隔:ZがZ0よりも小さくなれば(V2−V20
>0となり、(V2−V20)を積分して間隔:Zを大き
くするように実行される。間隔:Zが間隔:Z0よりも
大きくなったときは上記とは逆になって、間隔:Zを小
さくするように帰還動作が行なわれる。
【0025】しかるに前述の如く帰還動作が間にあわ
ず、間隔:Zが小さくなりすぎて、図11の領域:αに
入ってしまうと、この領域では∂V2/∂Zの符号が間
隔:Zの近傍とは逆(>0)で、(V−V20)<0
であるため、帰還動作は間隔:Zを小さくする方向に作
用する。これにより出力電圧:V2はさらに小さくなっ
て所謂「正帰還」がかかった状態となり、探針12は測
定対象物0の表面に向かって次第に強く押し当てられる
ことになる。
【0026】
【発明が解決しようとする課題】この発明は上述した事
情に鑑み、表面状態測定装置において、探針および/ま
たは測定対象物の破損を有効に防止し、測定動作を安定
化することである。
【0027】
【課題を解決するための手段】この発明の表面状態測定
装置は「測定対象物の表面における電位および/または
表面形状を表面状態として測定する装置」である。即
ち、測定対象物は表面電位を持つ。この表面電位:Vs
は、表面の均一帯電や、測定対象物の内部の電荷分布、
あるいは測定対象物への外部電圧の印加等の原因により
生じる。
【0028】請求項1記載の発明の表面状態測定装置
は、導電性の板バネと、探針と、背面電極と、電圧印加
手段と、走査手段と、振動検知手段と、電圧分離手段
と、電圧制御手段と、電圧出力手段と、アクチュエータ
とを有する。
【0029】「導電性の板バネ」は、探針を保持し、測
定時には振動する。「探針」は、板バネに、測定対象物
の表面に対向するように保持され、測定対象物の表面に
対し間隔:Z1を隔し、対向面積:S1をもって対向す
る。「背面電極」は、板バネに関し測定対象物の表面と
逆の側に設けられ、板バネよりも高い剛性を有し、板バ
ネとともに対向面積:S2で間隔:Z2のコンデンサを構
成する。背面電極は板バネよりも高い剛性を持つため、
測定時には板バネの振動に拘らず背面電極自体は振動し
ない。
【0030】「電圧印加手段」は、板バネを介して、探
針に「所定の交流電圧と直流電圧:Vbを重畳し」て印
加し、背面電極に上記直流電圧:Vbを印加する。「走
査手段」は、探針により測定対象物を走査する手段であ
る。「振動検知手段」は、板バネの振動を検知する手段
である。
【0031】「電圧分離手段」は、振動検知手段の出力
から「表面電位:Vsと直流電圧:Vbとに応じた第1電
圧」と「測定対象物の表面形状と間隔:Z1に応じた第
2電圧」とを分離して得る手段である。「電圧制御手
段」は、第1電圧を0とするように直流電圧:Vbを制
御する。「電圧出力手段」は、第2電圧の振幅に比例す
る出力を出力する。
【0032】「アクチュエータ」は、電圧出力手段の出
力により、探針先端と測定対象物の間隔:Z1を所定の
間隔:Z0に調整する。
【0033】上記背面電極の形状および配備態位は、上
記対向面積:S1と間隔:Z0に対し、上記対向面積:S
2と間隔:Z2とが、条件: (S1/Z0 2)−(S2/Z2 2)<0 を満足するように定められる。
【0034】上記「電圧印加手段」により板バネを介し
て探針に印加される所定の交流電圧は「板バネの機械的
共振の角周波数の1/2以下の角周波数:ω」を持つこ
ともできるし(請求項2)、「板バネの機械的共振の角
周波数:ω0を角周波数として持つ交流電圧と、角周波
数:ω0/2を持つ交流電圧との和」であることもでき
(請求項3)、「板バネの機械的共振角周波数:ω0
角周波数として持つ交流電圧と、角周波数:2ω0を持
つ交流電圧との和」であることもできる(請求項4)。
【0035】請求項5記載の発明の表面状態測定装置
は、導電性の板バネと、探針と、背面電極と、電圧印加
手段と、走査手段と、振動検知手段と、電圧分離手段
と、電圧制御手段と、電圧出力手段と、アクチュエータ
とを有する。
【0036】これらのうち、板バネ、探針、背面電極、
走査手段、振動検知手段、電圧分離手段、電圧制御手
段、電圧出力手段およびアクチュエータは、請求項1記
載の表面状態測定装置におけるのと同様のものである。
【0037】「電圧印加手段」は、板バネを介して探針
に、振幅:VAの所定の交流電圧と直流電圧:Vbを重畳
して印加し、背面電極には振幅:VEで上記「所定の交
流電圧と同位相且つ同周波数の交流電圧」と上記直流電
圧:Vbとを重畳して印加する。
【0038】探針の測定対象物表面に対する対向面積:
1と間隔:Z0および電圧:VA,VEに対し、背面電極
と板バネのコンデンサとしての対向面積:S2と間隔:
2とが、条件: [(S1・VA 2/Z0 2)−{S2(VA−VE)2/Z2 2}]<0 を満足するように、背面電極の形状および配備態位が定
められる。
【0039】請求項6記載の発明の表面状態測定装置
は、導電性の板バネと、探針と、背面電極と、電圧印加
手段と、走査手段と、振動検知手段と、電圧分離手段
と、電圧制御手段と、電圧出力手段と、アクチュエータ
とを有する。
【0040】これらのうち、板バネ、探針、背面電極、
走査手段、振動検知手段、電圧分離手段、電圧制御手
段、電圧出力手段およびアクチュエータは、請求項1記
載の表面状態測定装置におけるのと同様のものである。
【0041】「電圧印加手段」は、板バネを介して探針
に「振幅:VAで角周波数:ω1の交流電圧と振幅:VB
で角周波数:ω2の交流電圧の和を、直流電圧:Vbに重
畳」して印加し、背面電極には「振幅:VCで角周波
数:ω3の交流電圧を直流電圧:Vbに重畳」して印加す
る手段である。
【0042】探針の測定対象物表面に対する対向面積:
1と間隔:Z0および電圧:VB,VCに対し、背面電極
と板バネのコンデンサとしての対向面積:S2と間隔:
2とが、条件: [(S1・VB 2/Z0 2)−{S2(VB−VC)2/Z2 2}]<0 を満足するように、背面電極の形状および配備態位が定
められれる。
【0043】また、板バネ(その振動における振幅が探
針先端と測定対象物表面との距離を示す)の強制振動の
角周波数と同じ角周波数の電気力が、板バネと背面電極
との間に生じるように、角周波数:ω1,ω2及びω3
関係が定められる。
【0044】上記請求項1〜6の任意の1に記載の表面
状態測定装置において、導電性の板バネの振動を検知す
る「振動検知手段」は、「背面電極に穿設された孔を介
して板バネを照射する光を放射する光源と、板バネによ
り反射され、上記孔を通った光を受光する受光素子とを
有する」ように構成することができる(請求項7)。
【0045】この場合において「導電性の板バネに穿設
された孔が透明導電体により少なくとも一部が充填され
ている」ようにすることができる(請求項8)。
【0046】あるいはまた、背面電極を「透明導電体」
で構成し、振動検知手段が「背面電極を介して導電性の
板バネを照射する光を放射する光源と、板バネにより反
射された光を上記背面電極を介して受光する受光素子と
を有する」ようにすることができる(請求項9)。
【0047】なお、上記「導電性の板バネ」は、以下の
実施の形態において用いられる「導電性のカンチレバ
ー」として実施することもできるし、両端を保持された
板バネとして実施することもできる。両端を保持した板
バネを用いる場合には、探針は、板バネ中央部の、振幅
が最大となる部分の近傍に設けるのが良い。
【0048】また、表面状態の測定の1つの形態とし
て、測定対象物の1点のみにおける表面電位の測定(所
謂ワンポイント測定)を行なう場合があり、このような
測定形態の場合に、測定開始時に探針を測定対象物表面
に近付ける「アプローチ工程」の際に、従来の測定方式
だと前述の正帰還による探針・測定対象物の破損の問題
が発生する。
【0049】この発明は、このような問題をも有効に解
決できるものである。上記ワンポイント測定のみを行な
うように測定装置を構成する場合には、前記各請求項記
載の発明において「走査手段」を省略することができ
る。
【0050】請求項10記載の発明の表面状態測定装置
は、導電性の板バネと、探針と、背面電極と、電圧印加
手段と、走査手段と、振動検知手段と、電圧分離手段
と、電圧制御手段とを有し、請求項1記載の発明と、以
下の点において異なる。即ち、第1に、請求項10記載
の発明は電圧出力手段およびアクチュエータを必要とし
ない。これらは請求項1記載の発明では帰還系を構成す
るが、請求項10記載の発明では「帰還系を必要としな
い」のである。
【0051】第2に、背面電極の形状および配備態位
は、前記対向面積:S1と間隔:Z1の設定値:Z0に対
し、前記対向面積:S2と間隔:Z2とが条件: (S1/Z0 2)−(S2/Z2 2)<0 を満足し、且つ、電圧分離手段による第2電圧:V2
上記間隔:Z1の関係が単調的な1価関数になるととも
に、上記設定値:Z0が所定の大きさを有するように定
められる。「設定値:Z0」の意味に就いては後述す
る。
【0052】請求項10記載の発明の表面状態測定装置
においても、「電圧印加手段」により板バネを介して探
針に印加される所定の交流電圧は「板バネの機械的共振
の角周波数の1/2以下の角周波数:ω」を持つことも
できるし、「板バネの機械的共振の角周波数:ω0を角
周波数として持つ交流電圧と、角周波数:ω0/2を持
つ交流電圧との和」であることもでき、「板バネの機械
的共振角周波数:ω0を角周波数として持つ交流電圧
と、角周波数:2ω0を持つ交流電圧との和」であるこ
ともできる。
【0053】請求項11記載の発明の表面状態測定装置
は、導電性の板バネと、探針と、背面電極と、電圧印加
手段と、走査手段と、振動検知手段と、電圧分離手段
と、電圧制御手段とを有し、請求項5記載の発明と以下
の点において異なる。
【0054】即ち、第1に、請求項11記載の発明は電
圧出力手段とアクチュエータを必要としない。第2に、
背面電極の形状および配備態位は、前記対向面積:S1
と間隔:Z1の設定値:Z0および電圧:VA,VEに対
し、前記対向面積:S2と間隔:Z2とが、条件: [(S1・VA 2/Z0 2)−{S2(VA−VE)2/Z2 2}]<0 を満足し、且つ、電圧分離手段による第2電圧:V2
上記間隔:Z1の関係が単調的な1価関数になるととも
に、上記設定値:Z0が所定の大きさを有するように定
められる。
【0055】請求項12記載の発明の表面状態測定装置
は、導電性の板バネと、探針と、背面電極と、電圧印加
手段と、走査手段と、振動検知手段と、電圧分離手段
と、電圧制御手段とを有し、請求項6記載の発明と以下
の点において異なる。
【0056】即ち、第1に、請求項12記載の発明は電
圧出力手段とアクチュエータを必要としない。第2に、
背面電極の形状および配備態位は、前記対向面積:S1
と間隔:Z1の設定値:Z0および電圧:VB,VCに対
し、前記対向面積:S2と間隔:Z2とが、条件: [(S1・VB 2/Z0 2)−{S2(VB−VC)2/Z2 2}]<0 を満足し、且つ、電圧分離手段による第2電圧:V2
上記間隔:Z1の関係が単調的な1価関数になるととも
に、上記設定値:Z0が所定の大きさを有するように定
められる。
【0057】そして、請求項6記載の発明と同様、上記
板バネの強制振動の角周波数と同じ角周波数の電気力
が、板バネと背面電極との間に生じるように、前記角周
波数:ω1,ω2,ω3の関係が定められる。
【0058】上述の如く、請求項10〜12記載の発明
の表面状態測定装置では帰還動作を行なわないので、請
求項1〜9の発明においては帰還系を構成する「電圧出
力手段とアクチュエータ」とが不要なのである。
【0059】請求項10〜12記載の表面形状測定装置
は前述の如く、「帰還系」を必要とせず、探針と測定対
象物との間隔間隔:Z1は、設定値:Z0を基準として変
化するが、帰還動作を行なわないので、間隔:Z1が小
さくなりすぎると、ファンデルワールス力等の付着力に
より探針が測定対象物の表面に付着拘束されることにな
る。
【0060】上述の設定値:Z0は、表面形状測定装置
における設計条件により設定される「測定対象物と探針
との間の間隔」であり、この設定値:Z0をしかるべく
大きく設定し、測定中に探針が測定対処物表面に接触・
拘束されるような近さに、測定対象物に近づかないよう
にする。これが上記「設定値:Z0が所定の大きさを有
する」ということである。設定値:Z0の有する所定の
大きさは、例えば、測定対象物の表面の凹凸が1〜2μ
mであるような場合には、3〜4μm程度が好適であ
る。設定値:Z0は勿論、自動的もしくは手動により可
調整とすることができる。上記のように、請求項10,
11,12記載の発明における設定値:Z0は、請求項
1,5,6記載の発明における間隔:Z0とは技術的な
意味が異なる。請求項1,5,6記載の発明における間
隔:Z0は、帰還系により実現されるべき探針と測定対
象物表面との間隔である。
【0061】上記請求項1〜6の任意の1、もしくは請
求項10〜12の任意の1に記載の表面状態測定装置に
おいては、導電性の板バネの振動を検知する振動検知手
段を「背面電極に穿設された孔を介して板バネを照射す
る光を放射する光源と、板バネにより反射され上記孔を
通った光を受光する受光素子と、背面電極に穿設された
孔を充填する透明非導電体と、この透明非導電体を挾む
ように形成された透明導電膜を有する」ように構成する
ことができる(請求項13)。
【0062】また、上記請求項1〜6の任意の1、もし
くは請求項10〜12の任意の1に記載の表面状態測定
装置においては、背面電極を「表面を透明道電膜で被覆
された透明絶縁体」で構成し、導電性の板バネの振動を
検知する振動検知手段が、背面電極を介して板バネを照
射する光を放射する光源と、上記板バネにより反射され
た光を上記背面電極を介して受光する受光素子とを有す
るようにすることができる(請求項14)。
【0063】請求項10〜14記載の発明の「表面状態
測定装置」においても、前記「ワンポイント測定」のみ
を行なうように測定装置を構成する場合には、「走査手
段」を省略できる。
【0064】
【発明の実施の形態】以下、具体的な実施の形態を説明
する。
【0065】図1は、請求項1,2記載の発明の表面状
態測定装置の実施の1形態を説明するための図である。
なお、繁雑を避けるため、混同の虞れがないと思われる
ものについては、図10におけると同一の符号を用い
た。
【0066】図10におけると同じく、符号0は「測定
対象物」、符号10は「導電性の板バネ」としての導電
性のカンチレバー、符号12は「探針」、符号14は
「光源であるLD」、符号16は「受光素子」、符号1
8は「プリアンプ」、符号20,22は「ロックインア
ンプ」、符号24は「比較器」、符号26は「電源」、
符号28は「積分器」、符号30は「積分器」、符号3
2は「加算器」、符号34は「アンプ」、符号36は
「交流電源」、符号38は「アクチュエータ」、符号4
0は「背面電極」、符号42は「アンプ」を示してい
る。
【0067】図10に示した従来の表面状態測定装置と
異なる点は、背面電極40とアンプ42が用いられてい
る点である。
【0068】背面電極40は、カンチレバー10に関し
測定対象物0の表面と逆の側に設けられ、剛性の高い材
料で構成され「実質的な剛体」である。
【0069】図2に示すように、背面電極40は「板バ
ネ」としてのカンチレバー10に平行に位置するように
基部401により支持され、基部401の底部に形成さ
れた絶縁体層402によりカンチレバー10と絶縁され
ている。
【0070】この実施の形態においては背面電極40は
導電性であるが、背面電極を絶縁性の材料で形成しカン
チレバー10に面した側の面に導電膜を形成してもよ
い。勿論この導電膜には電圧を印加できることが必要で
ある。背面電極40はカンチレバー10と共に、対向面
積:S2で間隔:Z2の「コンデンサ」を構成する。
【0071】図2(a)に示す如く、背面電極40には
孔403が穿設される。図1に示すように、光源である
LD14から放射された光は孔403を介してカンチレ
バー10の背面を照射する。そしてカンチレバー10に
よる反射光は再び孔403を通って受光素子16に入射
し、光電変換信号を発生させる。この光電変換信号はプ
リアンプ18で増幅されてロックインアンプ20,22
に印加される。
【0072】即ち、この実施の形態において「振動検知
手段」は、背面電極40に穿設された孔403を介して
カンチレバー10を照射する光を放射する「光源」とし
てのLD14と、カンチレバー10により反射され孔4
03を通った光を受光する受光素子16とを有し(請求
項7)、LD1と受光素子16とプリアンプ18および
背面電極40に穿設された孔403により構成されてい
る。
【0073】探針12は、図1,2では「先端のとがっ
た針状」に描かれているが、実際には図3に示すよう
に、面積:S1をもって測定対象物0の表面と対向す
る。探針12と測定対象物0の表面とは間隔:Z1を隔
している。図1におけるアクチュエータ38は「間隔:
1を所定間隔:Z0に保つ」ように動作する。
【0074】図1を参照する。交流電源36で発生され
る交流電圧:VA・sin(ωt)を加算器32とアンプ
34を介してカンチレバー10に印加し、LD14を発
光させると、受光素子16から光電変換信号16が発生
し、これがプリアンプ18により増幅されてロックイン
アンプ20,22に印加される。
【0075】ロックインアンプ20の出力は積分器30
を介し、一方では加算器32に印加され、他方ではアン
プ42に印加される。加算器32の出力は、アンプ34
により増幅され、カンチレバー10を介して探針12に
「所定の交流電圧:VA・sin(ωt)と直流電圧:Vb
を重畳した電圧(図2(b)のVc)」として印加さ
れ、アンプ42の出力は背面電極40に「直流電圧:V
b(図2(b)のVe)」として印加される。
【0076】即ち、ロックインアンプ20と積分器30
と交流電源36と、加算器32およびアンプ34,42
は「電圧印加手段」を構成する。
【0077】また、ロックインアンプ22の出力は比較
器24により電源26の基準電圧と比較され、積分器2
8を介してアクチュエータ38に印加される。従って、
ロックインアンプ22と比較器24と電源26と積分器
28とは「電圧出力手段」を構成する。
【0078】探針12は、図示されない走査手段によ
り、測定対象物10の測定表面を1次元的もしくは2次
元的に走査するようになっている。
【0079】走査手段とアクチュエータとは公知のもの
を適宜利用できる。例えば、測定対象物が「光導電性の
感光体でドラム状に形成されたもの」であれば、走査手
段は該感光体を回転させる手段と、導電性のカンチレバ
ーを感光体軸方向に移動させる移動手段とにより構成す
ることができる。
【0080】図1において、アクチュエータ38は測定
対象物0を変位させるように描かれているが、例えば測
定対象物が上記のドラム状の感光体であれば、アクチュ
エータはカンチレバー10の方を変位させるように構成
される。
【0081】さて、測定対象物10の表面は電位:Vs
を有するものとし、交流電源36からの交流電圧と前記
直流電圧を加算器32において加えあわせ、アンプ34
で増幅した電圧「Vb+VA・sin(ωt)」を図3の電
圧:Vcとして導電性カンチレバー10を介して探針1
2に印加するとともに、アンプ42の出力電圧:Vbを
図3における電圧:Veとして背面電極40に印加す
る。
【0082】探針12と測定対象物0の表面との間を、
間隔:Z1,容量:C1のコンデンサと見做すと、このコ
ンデンサの電圧、即ち、探針12と測定対象物0の表面
との間の電圧:v1は、v1=Vc−Vs=Vb−Vs+VA
・sin(ωt)であるから、探針12と測定対象物0の
表面に働く「電気力:F1」は、式(1)に倣って、 F1={−(∂C1/∂Z1)・V1 2/2} (1A) で与えられる。
【0083】上記電圧:v1は、v1=Vb−Vs+VA
sin(ωt)であるから、これを上記(1A)式の右辺
に代入すると、 F1=−(∂C1/∂Z1)・{(Vb−Vs)2+(VA 2/2)}/2 −(∂C1/∂Z1)・{2(Vb−Vs)・VA・sinωt}/2 −(∂C1/∂Z1)・[(VA 2/2)・sin{2ωt−(π/2)}/2 (2A) が得られる。右辺第1項は固定的であるが第2,第3項
は振動的である。
【0084】カンチレバー10と背面電極40とは、前
記の如くコンデンサを構成するので、このコンデンサの
容量をC2とすると、カンチレバー10と背面電極40
の間の電位差:v2は、v2=Vc−Ve=Vb+VA・si
n(ωt)−Vb=VA・sin(ωt)となり、カンチレバ
ー10に背面電極40から作用する力:F2は、 F2=−(∂C2/∂Z2)・(VA 2/2)/2 −(∂C2/∂Z2)・[(VA 2/2)・sin{2ωt−(π/2)}/2 (2B) が得られる。右辺第1項は固定的であるが、第2項は振
動的である。
【0085】従って、カンチレバー10には正味の力:
Fとして「F=F1−F2」が作用する。力:Fは(2
A),(2B)を引き算することにより得られる。空気
の誘電率を「ε」とすると(∂C1/∂Z1)=S1・ε/Z1
2となり、(∂C2/∂Z2)=S2・ε/Z2 2となるので、F
の式は、 F=(S1・ε/Z1 2)・{(Vb−Vs)2+(VA 2/2)}/2 −(S2・ε/Z2 2)・(VA 2/2)/2 +(S1・ε/Z1 2)・{2(Vb−Vs)・VA・sinωt}/2+ {(S1/Z1 2)−(S2/Z2 2)}・ε・[(VA 2/2)・sin{2ωt−(π/2)}/2 (2C) となる。
【0086】この実施の形態において、角周波数:ω
は、カンチレバー10の機械的共振の角周波数の1/2
より小さく設定されており(請求項2)、カンチレバー
10は、式(2C)の第3,第4項の作用により「強制
振動」を起こす。
【0087】従って、振動検出手段の出力(プリアンプ
16の出力):vは、比例係数を適当にα,βとして、 v=α(S1・/Z1 2)・{2(Vb−Vs)・VA・sinωt} +β{(S1/Z1 2)−(S2/Z2 2)}・[(VA 2/2)・sin{2ωt−(π/2)} (3C) となる。
【0088】出力電圧:vをロックインアンプ20によ
り角周波数:ωの参照信号により位相検波増幅すると、
ロックインアンプ20から V1=−A1・(S1・/Z1 2)・(Vb−Vs)・VA (4A) なる電圧:V1が得られる。A1は適当な比例係数であ
る。電圧:V1は、測定対象物0の表面電位:Vsと直流
電圧:Vbに応じた電圧である。
【0089】また、電圧:vをロックインアンプ22に
より角周波数:2ωの参照信号により位相検波増幅する
と、ロックインアンプ22から V2=−A2・{(S1/Z1 2)−(S2/Z2 2)}・VA 2 (5A) なる電圧:V2が得られる。A2は適当な比例係数であ
る。
【0090】上記電圧:V1は積分器30を介して直流
電圧:Vbとしてカンチレバー10に印加され、積分器
30が「V1が0となるよう」に出力Vbを制御するの
で、V1が0となるときの積分器30の出力:Vbは、測
定対象物0の表面電位:Vsに等しく、このようにして
積分器30から表面電位測定結果:Vsが得られる。
【0091】一方、ロックインアンプ22の出力電圧:
2は比較器24で基準電圧と比較され、積分器28を
介してアクチュエータ38に印加される。
【0092】アクチュエータ38は電圧:V2が一定と
なるように、測定対象物0の表面と探針12の間の間
隔:Z1を所定の間隔:Z0に制御し、積分器28から得
られる出力の像は測定対象物0の表面形状(走査線上の
形状)を与える。即ち、電圧:V2は、測定対象物0の
表面形状および間隔:Z1に応じた電圧である。
【0093】かくして、ロックインアンプ20,22と
比較器24と電源26および積分器28は、振動検知手
段の出力:vから、表面電位:Vsと直流電圧:Vbとに
応じた第1電圧:V1と、測定対象物の表面形状に応じ
た第2電圧:V2とを分離して得る「電圧分離手段」を
構成し、積分器30は、第1電圧:V1を0とするよう
に直流電圧:Vbを制御する「電圧制御手段」を構成す
る。このようにして、測定対象物0の表面電位と表面形
状とを同時に測定することができる。
【0094】さて、請求項1記載の発明の表面状態測定
装置では、 (S1/Z0 2)−(S2/Z2 2)<0 (6) が満足されるように、背面電極40の形状および配備態
位を定められている。S1やZ0は探針12の形状による
ので容易に変更できないので、背面電極40の形状(S
2を決定する)および配備態位(Z2を決定する)により
条件(6)を充足させるのである。条件(6)が満足さ
れているとき、間隔:Z1と、前記ロックインアンプ2
2の出力:V2との関係は、(5A)式におけるA2を負
とすれば、図12に示す如きものとなる。Z0の近傍で
は、間隔:Z1が小さくなって探針12が測定対象物0
に近づくに従い、(5A)式に従い電圧:V2が大きく
なっていく。また、Z1=Z0では、(6)式の従って
(5A)式の右辺の括弧内が負になるから、図12に示
すようにV2<0となる。
【0095】アクチュエータ38による帰還動作は、上
記第2電圧:V2が図12における電圧:V20に等しく
なるように間隔:Z1を制御するので、間隔:Z1は図1
2の間隔:Z0へ回帰しようとする。即ち、アクチュエ
ータ38による帰還動作においては、第2電圧:V2
電圧:V20との差:V2−V20の符号により探針12の
変位方向が決定され、上記「差」が正(負)なら間隔:
1が大きくなる(小さくなる)方向に探針を変位させ
ようとする。
【0096】間隔:Z1がある程度以上小さくなれば、
ファンデルワールス力等の付着力によりカンチレバー1
0の振幅は次第に小さくなり、間隔:Z1がさらに小さ
くなれば探針12は測定対象物0の表面に拘束され、カ
ンチレバー10の振動は停止する。第2電圧:V2は、
カンチレバー10の振幅に比例するので、カンチレバー
10の振動が停止すればV2は0となる。
【0097】図12を参照すれば明らかなように、0≦
1≦Z0の領域において、常に第2電圧:V2>V20
即ち、上記差:V2−V20は正である。従って、たとい
探針が測定対象物0の表面に拘束されても、アクチュエ
ータ38による帰還動作は、間隔:Z1を大きくするよ
うに、即ち、探針12を測定対象物0の表面から離そう
とするように作用することになる。
【0098】従って、アクチュエータ38による「負帰
還動作」が間にあわず、探針12が測定対象物0の表面
に接触し、上記表面に拘束された場合でも、探針12が
測定対象物0の表面に「より強く押しつけられる」よう
なことがない。従って、最悪の場合でも、探針および/
または測定対象物表面が損傷を受けるようなことがな
い。
【0099】(6)式において、「S1/Z0 2」に対して
「S2/Z2 2」を次第に大きくしていくと(6)式の左辺
は次第に負に増大していく。(6)式の左辺が負で十分
に大きくなると、第2電圧:V2と間隔:Z1との関係
は、図13に示すように「単調的な1価関数」になる。
即ち、間隔:Z1に対し、第2電圧:V2が一義的に定ま
る。従って上記関数を実験的に定めれば、第2電圧:V
2により、間隔:Z1すなわち、測定対象物0の表面形状
を知ることができる(請求項10)。
【0100】図14は、請求項10記載の発明の実施の
1形態を示している。繁雑を避けるため、混同の虞れが
ないと思われる物については、図1におけると同一の符
号を付した。
【0101】図1の実施の形態との差異は、測定対象物
0を保持している保持体38Aがアクチュエータでな
く、図1の実施の形態で、アクチュエータ38とともに
「帰還系」を構成する比較器24と電源26および積分
器28が無いことである。即ち、図14の実施の形態で
は、ロックインアンプ20と22とが、振動検知手段の
出力:vから、表面電位:Vsと直流電圧:Vbとに応じ
た第1電圧:V1と、測定対象物の表面形状に応じた第
2電圧:V2とを分離して得る「電圧分離手段」を構成
し、積分器30は、第1電圧:V1を0とするように直
流電圧:Vbを制御する「電圧制御手段」を構成する。
前述の如く、第1電圧:V1はロックインアンプ20か
ら、第2電圧:V2はロックインアンプ22から出力さ
れる。図1の実施の形態と同様、測定対象物の表面電位
は直流電圧:Vbにより知られる。探針12と測定対象
物0の表面との間隔:Z1の設定値:Z0と対向面積:S
1とに対し、対向面積:S2と間隔:Z2とが、条件: (S1/Z0 2)−(S2/Z2 2)<0 を満足し、且つ、第2電圧:V2と間隔:Z1の関係が単
調的な1価関数になるとともに、設定値:Z0が前述の
「所定の大きさ」を有するように、背面電極40の形状
および配備態位が定められているので、ロックインアン
プ22からの出力である第2電圧:V2が知られると、
2とZ1の関係を定める「単調的な1価関数」により測
定対象物0の表面形状(間隔:Z1)を知ることができ
る。
【0102】このようにして、測定対象物0の表面電位
と表面形状とを同時に測定することができる。
【0103】図4は請求項1,3記載の発明の実施の1
形態を図1に倣って示している。図1におけると同じ符
号のものは図1に於けると同一のものを示している。図
4に示す実施の形態が図1の形態と異なる点は、「電圧
印加手段」における交流電源が2つの交流電源36A,
36Bにより構成され、交流電源36A,36Bによる
交流電圧が、加算器32Aにより直流電圧:Vbと加え
られて「導電性の板バネ」であるカンチレバー10を介
して探針12に印加される点である。従って、この実施
の形態において「電圧印加手段」は、ロックインアンプ
20と積分器30と交流電源36A,36Bと、加算器
32Aおよびアンプ34,42により構成されることに
なる。
【0104】交流電源36Aは、VA・sin(ω0t)の
交流電圧を発生し、交流電源36Bは、VB・sin(ω
0/2・t)の交流電圧を発生する。角周波数:ω0は、カ
ンチレバー10の機械的共振角周波数:ω0である。
【0105】これら交流電圧は、加算器32Aにより直
流電圧:Vbとともに加算され、カンチレバー10を介
して探針12に印加される。一方、背面電極40には直
流電圧:Vbが印加される。
【0106】このとき、探針12の電圧:Vcは、Vc=
Vb+VA・sin(ω0t)+VB・sin(ω0/2・t)で
あり、探針12と測定対象物0の表面電位:Vsとの電
位差:V1は、V1=Vc−Vs=Vb−Vs+VA・sin
0t)+VB・sin(ω0/2・t)であり、背面電極
40の電圧:VeはVe=Vbである。
【0107】先に説明した実施の形態と同様にして、カ
ンチレバー10に作用する力を計算すると、その振動成
分:Fesω0として、 Fesω0=(S1/Z1 2)・ε・{(Vb−Vs)・VA・sinω0t} +{(S1/Z1 2)−(S2/Z2 2)}・ε・[(VA 2/4)・sin{ω0t−(π/2)}] (2D) が得られる。
【0108】ω0は、カンチレバー10の機械的共振の
角周波数であるから、力:Fesω0を受けると、カンチ
レバー10は角周波数:ω0で共振することになる。こ
の振動は振動検知手段により検知され、その出力:v
は、比例係数を適当にα,βとして、 v=α(S1・/Z1 2)・{(Vb−Vs)・VA・sinω0t} +β{(S1/Z1 2)−(S2/Z2 2)}・VA 2・sin{ω0t−(π/2)} (3D) となる。
【0109】出力電圧:vをロックインアンプ20によ
りθ=−π/2の位相で増幅するとロックインアンプ2
0から「α・(S1・/Z1 2)・(Vb−Vs)」に比例した第
1電圧:V1が得られる。電圧:V1は測定対象物0の表
面電位:Vsと直流電圧:Vbとに応じた電圧である。
【0110】また、電圧:vをロックインアンプ22に
よりθ=−πの位相で増幅すると、ロックインアンプ2
2から「β・{(S1/Z1 2)−(S2/Z2 2)}」に比例した第
2電圧:電圧:V2が得られる。
【0111】上記第1電圧:V1は、積分器30を介し
て直流電圧:Vbとしてカンチレバー10に印加され、
積分器30が「V1が0となるよう」に出力:Vbを制御
するので、電圧:V1が0となるときの積分器30の出
力:Vbは、測定対象物0の表面電位:Vsに等しく、こ
のようにして積分器30から表面電位測定結果:Vsが
得られる。
【0112】第2電圧:V2は比較器24で基準電圧と
比較され、積分器28を介してアクチュエータ38に印
加され、アクチュエータ38は電圧:V2が一定となる
ように、測定対象物0の表面と探針12の間の間隔:Z
1を所定の間隔:Z0に制御する。積分器28から得られ
る出力の像は、測定対象物0の表面形状(走査線上の形
状)を与える。即ち、第2電圧:V2は、測定対象物0
の表面形状と間隔:Z1に応じた電圧である。このよう
にして、測定対象物0の表面電位と表面形状とを同時に
測定することができる。
【0113】この実施の形態でも、 (S1/Z0 2)−(S2/Z2 2)<0 (6) が満足されるように、背面電極40の形状および配備態
位を定められており、図1に即して説明した実施の形態
と同様、Z1とV2の関係は図12に示すごとくであり、
アクチュエータ38による負帰還動作が間にあわず、探
針12が測定対象物0の表面に接触し、ファンデルワー
ルス力等の接触力により上記表面に拘束されても、アク
チュエータ38は間隔:Z1を大きくするように動作す
るので、探針12が測定対象物0の表面に「より強く押
しつけられる」ことがなく、探針12および/または測
定対象物0の表面が損傷を受けることがない。
【0114】この実施の形態でも、図14の実施の形態
と同様、探針12と測定対象物0の表面との間隔:Z1
の設定値:Z0を、十分に大きい「所定の大きさに」設
定し、対向面積:S1と設定値:Z0とに対し、対向面
積:S2と間隔:Z2とが、条件: (S1/Z0 2)−(S2/Z2 2)<0 を満足し、且つ、第2電圧:V2と間隔:Z1の関係が単
調的な1価関数になるように、背面電極40の形状およ
び配備態位が定めることにより、帰還系を省略して、測
定を行なうことができる。
【0115】再び図4に戻ると、図4の交流電源36
A,36Bで発生させる交流電圧を、カンチレバー10
の機械的共振の角周波数:ω0に対して、それぞれVA
sin(ω0t)およびVB・sin(2ω0・t)とする
と、請求項4記載の表面状態測定装置の実施の1形態に
なる。
【0116】これら交流電圧は、加算器32Aにおいて
直流電圧:Vbとともに加算され、カンチレバー10を
介して探針12に印加される。背面電極40には直流電
圧:Vbが印加される。
【0117】このとき探針12に印加される電圧:Vc
は「Vc=Vb+VA・sin(ω0t)+VB・sin(2ω
0t)」であり、探針12と測定対象物0の表面電位:V
sとの電位差:v1は「v1=Vc−Vs=Vb−Vs+VA
sin(ω0t)+VB・sin(2ω0t)」で、背面電極
40の電圧:VeはVe=Vbである。
【0118】先に説明した実施の形態と同様にして、カ
ンチレバー10に作用する力を計算すると、その振動成
分:Fesω0として、 Fesω0=(S1/Z1 2)・ε・{(Vb−Vs)・VA・sinω0t}/2− {(S1/Z1 2)−(S2/Z2 2)}・ε・[(VA・VB)・sin{ω0t−(π/2)}]/2 (2E) が得られる。
【0119】ω0はカンチレバー10の機械的共振の角
周波数であるから、力:Fesω0を受けると、カンチレ
バー10は角周波数:ω0で共振する。この振動は振動
検知手段により検知され、その出力:vは、適当な比例
係数をα,βとして、 v=α(S1・/Z1 2)・{(Vb−Vs)・VA・sin{ω0t−(π/2)} +β{(S1/Z1 2)−(S2/Z2 2)}・sin(ω0t−π) (3E) となる。
【0120】出力電圧:vをロックインアンプ20によ
りθ=−π/2の位相で増幅すると、ロックインアンプ
20から「α・(S1・/Z1 2)・(Vb−Vs)」に比例した
第1電圧:V1が得られる。また、電圧:vをロックイ
ンアンプ22によりθ=−πの位相で増幅すると、ロッ
クインアンプ22から「β・{(S1/Z1 2)−(S2/
2 2)}」に比例した第2電圧:電圧:V2が得られる。
【0121】上記第1電圧:V1は積分器30を介して
直流電圧:Vbとしてカンチレバー10に印加され、積
分器30が「V1が0となるよう」に出力Vbを制御する
ので、前記各実施の形態と同様、積分器30から表面電
位測定結果:Vsが得られる。
【0122】第2電圧:V2は比較器24で基準電圧と
比較され、積分器28を介してアクチュエータ38に印
加され、アクチュエータ38は第2電圧:V2が一定と
なるように、測定対象物0の表面と探針12の間の間
隔:Z1を一定値:Z0に制御するから、積分器28から
得られる出力の像は、測定対象物0の表面形状(走査線
上の形状)を与える。このようにして、測定対象物0の
表面電位と表面形状とを同時に測定することができる。
【0123】この実施の形態でも、 (S1/Z0 2)−(S2/Z2 2)<0 (6) が満足されるように、背面電極40の形状および配備態
位を定められている。
【0124】従って、前記各実施の形態と同様、アクチ
ュエータ38による負帰還動作が間にあわず、探針12
が測定対象物0の表面に接触し、上記表面に拘束されて
も、アクチュエータ38は探針12を測定対象物0の表
面から離そうとする方向に作用するから、探針12およ
び/または測定対象物0の表面が損傷を受けることがな
い。
【0125】そしてこの実施の形態の場合にも、探針1
2と測定対象物0の表面との間隔:Z1の設定値:Z0
十分に大きい「所定の大きさに」設定し、対向面積:S
1と設定値:Z0とに対し、対向面積:S2と間隔:Z2
が、条件: (S1/Z0 2)−(S2/Z2 2)<0 を満足し、且つ、第2電圧:V2と間隔:Z1の関係が単
調的な1価関数になるように、背面電極40の形状およ
び配備態位が定めることにより、帰還系を省略して、測
定を行なうことができる。
【0126】図4における交流電源36A,36Bにお
いて発生させる交流電圧は、上記2つの実施の形態のも
のに限らず「VA・sinωtとVB・sin(ωt/2)
の組み合わせ」や、「VA・sinωtとVB・sin
(ωt)の組み合わせ(ωは機械的共振角周波数の1/2
以下の角周波数であり、この組み合わせは、本質的に、
図1の実施の形態のものと等価である)」あるいは、カ
ンチレバー10の機械的共振の互いに異なる次数の角周
波数をωn,ωmとして「VA・sinωntとVB・si
n(ωmt/2)の組み合わせ」等が可能である。
【0127】図5は請求項5記載の表面状態測定装置の
実施の1形態を示す。混同の虞れがないと思われるもの
に就いては図1におけると同一の符号を用いた。
【0128】この実施の形態においては、電圧印加手段
において交流電圧を発生する交流電源36と交流電源3
6Cにおいて、それぞれ、交流電圧:VA・sin(ω
t),VE・sin(ωt)が発生する。角周波数:ωは、
カンチレバー10の機械的共振角周波数と異なる角周波
数である。
【0129】交流電圧:VA・sin(ωt)は積分器3
0からの直流電圧:Vbと加算器32により加算され、
カンチレバー10を介して探針12に印加される。一
方、交流電圧:VE・sin(ωt)は積分器30からの
直流電圧:Vbと加算器43により加算され、背面電極
40に印加される。
【0130】従って、探針12と測定対象物10の表面
の電位差:v1は「v1=Vb−Vs+VA・sin(ω
t)」であり、探針12と背面電極40の電位差:v2
「v2=VA・sin(ωt)−VE・sin(ωt)」で
ある。
【0131】探針12の測定対象物0に対向する面積お
よび対向間隔をそれぞれS1,Z1、カンチレバー10と
背面電極40の対向面積および対向間隔をそれぞれ
2,Z2として、カンチレバー10に作用する電気力を
計算すると、その振動成分:Fosは、 Fos=(S1・ε/Z1 2)・{2(Vb−Vs)・VA・sinωt}/2+ {(S1/Z1 2)−S2・(VA−VE)2/Z2 2}・ε・sin{2ωt−(π/2)}/4 (2D) となる。
【0132】カンチレバー10は、式(2D)で表され
る振動成分の作用により強制振動を起こす。従って、振
動検出手段の出力(プリアンプ16の出力):vは、比
例係数を適当にα,βとして、 v=α(S1・/Z1 2)・{2(Vb−Vs)・VA・sinωt}+ β{(S1・VA 2/Z1 2)−S2・(VA-VE)2/Z2 2}・ε・sin{2ωt-(π/2)} (3D) となる。
【0133】この出力電圧:vをロックインアンプ20
により角周波数:ωの参照信号により位相検波増幅する
と、ロックインアンプ20から V1=−A1・(S1・/Z1 2)・(Vb−Vs)・Va (4A) なる電圧:V1が得られる。A1は比例係数である。
【0134】また、電圧:vをロックインアンプ22に
より角周波数:2ωの参照信号により位相検波増幅する
と、ロックインアンプ22から V2=−A2・{(S1・VA 2/Z1 2)−S2・(VA−VE)2/Z2 2} (5A) なる電圧:V2が得られる。A2は比例係数である。
【0135】従って、前記各実施の形態と同様に、積分
器30からは測定対象物0の表面電位測定結果:Vsが
得られる。
【0136】一方、ロックインアンプ22の出力電圧:
2は比較器24で基準電圧と比較され、積分器28を
介してアクチュエータ38に印加される。アクチュエー
タ38は電圧:V2が一定となるように、測定対象物0
の表面と探針12の間の間隔:Z1を一定の設定値:Z0
に制御し、積分器28から得られる出力の像は、測定対
象物0の表面形状(走査線上の形状)を与える。このよ
うにして、測定対象物0の表面電位と表面形状とを同時
に測定することができる。
【0137】請求項5記載の発明の表面状態測定装置で
は、 (S1・VA 2/Z0 2)−{S2・(VA−VE)2/Z2 2}<0 (6A) が満足されるように、背面電極40の形状および配備態
位を定められている。S1やZ0は探針12の形状による
ので容易に変更できないので、背面電極40の形状(S
2を決定する)、配備態位(Z2を決定する)および交流
電圧の振幅:VA,VEにより条件(6A)を充足させる
のである。
【0138】式(3D)の、角周波数:2ωの振動電圧
成分の振幅:β{(S1・VA 2/Z1 2)−S2・(VA−VE)2/
2 2}に対応するカンチレバー10の振幅に対応する前
記電圧:V2は、探針12と測定対象物10との間隔:
1に対し、図12の曲線と同様に、0≦Z1≦Z0の領
域において常に第2電圧:V2が帰還動作の基準電圧:
20よりも大きいので、たとい探針が測定対象物0の表
面に拘束されても、アクチュエータ38による帰還動作
は間隔:Z1を大きくするように、即ち、探針12を測
定対象物0の表面から離そうとするように作用する。
【0139】従って、探針12が測定対象物0の表面に
接触し、上記表面に拘束された場合でも、探針12が測
定対象物0の表面に「より強く押しつけられる」ような
ことがない。従って、最悪の場合でも、探針および/ま
たは測定対象物表面が損傷を受けるようなことがない。
【0140】(6A)式で、「S1・VA 2/Z0 2」に対し
「S2・(VA−VE)2/Z2 2」を大きくしていくと左辺は
次第に負に増大していく。(6A)式の左辺が負で十分
に大きくなると、第2電圧:V2と間隔:Z1の関係は、
図13に例示したような「単調的な1価関数」になり、
間隔:Z1に対し第2電圧:V2が一義的に定まる。従っ
て上記関数関係を実験的に定めれば、第2電圧:V2
より間隔:Z1すなわち、測定対象物0の表面形状を知
ることができる(請求項11)。
【0141】図15は、請求項11記載の発明の実施の
1形態を示している。繁雑を避けるため、混同の虞れが
ないと思われる物については、図5におけると同一の符
号を付した。
【0142】図5の実施の形態との差異は、測定対象物
0を保持している保持体38Aがアクチュエータでな
く、図5の実施の形態においてはアクチュエータ38と
ともに「帰還系」を構成する比較器24と電源26、積
分器28がないことである。図15の実施の形態でも、
図14の実施の形態と同様、ロックインアンプ20と2
2とが、振動検知手段の出力:vから、表面電位:Vs
と直流電圧:Vbとに応じた第1電圧:V1と、測定対象
物の表面形状に応じた第2電圧:V2とを分離して得る
「電圧分離手段」を構成し、積分器30は、第1電圧:
1を0とするように直流電圧:Vbを制御する「電圧制
御手段」を構成する。
【0143】第1電圧:V1はロックインアンプ20か
ら、第2電圧:V2はロックインアンプ22から出力さ
れる。図5の実施の形態と同様、測定対象物の表面電位
は直流電圧:Vbにより知られる。探針12と測定対象
物0の表面との間隔:Z1は、設定値:Z0が十分に大き
い「所定の大きさ」となるように設定され、前記対向面
積:S1と設定値:Z0および前記電圧:VA,VEに対
し、対向面積:S2と間隔:Z2とが、条件: [(S1・VA 2/Z0 2)−{S2(VA−VE)2/Z2 2}]<0 を満足し、且つ、第2電圧:V2と間隔:Z1の関係が単
調的な1価関数になるように、背面電極40の形状およ
び配備態位が定められている。
【0144】従って、ロックインアンプ22からの出力
である第2電圧:V2が知られると、V2とZ1の関係を
定める「単調的な1価関数」により測定対象物0の表面
形状を知ることができる。このようにして、測定対象物
0の表面電位と表面形状とを同時に測定することができ
る。
【0145】図6は請求項6記載の表面状態測定装置の
実施の1形態を示している。混同の虞れが無いと思われ
るものについては、図1,図4,図5におけると同一の
符号を用いた。
【0146】この実施の形態では、電圧印加手段におけ
る交流電源36D,36E,36Fにおいて、それぞれ
交流電圧:VA・sin(ω1t),VB・sin(ω2t),
C・sin(ω3t)が個別的に発生させられる。
【0147】交流電圧:VA・sin(ω1t),VB・s
in(ω2t)は、積分器30からの直流電圧:Vbととも
に加算器32Aで加算され、カンチレバー10を介して
探針12に印加される。一方、電圧:VC・sin(ω3
t)は、積分器30からの直流電圧:Vbとともに加算器
43で加算され背面電極40に印加される。
【0148】このとき探針12に測定対象物0(表面電
位:Vs)から作用する電気力:F1は、従前通り、探針
12と測定対象物0の対向面積及び対向間隔をS1,Z1
として、 F1=(S1/Z1 2)・ε・{(Vb−Vs)2+VA 2/2+VB 2/2}/2 +(S1/Z1 2)・ε・{(VA 2/2)・sin{2ω1t−(π/2)}/2 +(S1/Z1 2)・ε・{(VB 2/2)・sin{2ω2t−(π/2)}/2 +(S1/Z1 2)・ε・{2(Vb−Vs)・VA・sin(ω1t)}/2 +(S1/Z1 2)・ε・{2(Vb−Vs)・VB・sin(ω2t)}/2 +(S1/Z1 2)・ε・VA・VB・sin{(ω1−ω2)t+(π/2)}/2 +(S1/Z1 2)・ε・VA・VB・sin{(ω1+ω2)t+(π/2)}/2 (8) となる。
【0149】また、カンチレバー10と背面電極40と
の間に作用する電気力:F2は両者の対向面積:S2、対
向距離:Z2を用いて、 F2=(S2/Z2 2)・ε{(VA 2/2)+(VB 2/2)+(VC 2/2)}/2 +(S2/Z2 2)・ε・[VA 2・sin{2ω1t−(π/2)} +VB 2・sin{2ω2t−(π/2)} +VC 2・sin{2ω3t−(π/2)}]/4 +(S2/Z2 2)・ε・VA・VB[sin{(ω1−ω2)t+(π/2)} −sin{(ω1+ω2)t+(π/2)}] +(S2/Z2 2)・ε・VA・VC[sin{(ω1−ω3)t+(π/2)} −sin{(ω1+ω3)t+(π/2)}] +(S2/Z2 2)・ε・VB・VC[sin{(ω2−ω3)t+(π/2)} −sin{(ω2+ω3)t+(π/2)}] (9) となる。
【0150】ここで、カンチレバー10の機械的共振周
波数:ω0に対し、ω1=ω0、ω2=ω0/2とすると、
(8)式のF1は F1=(S1/Z1 2)・ε・{(Vb−Vs)2+VA 2/2+VB 2/2}/2 +(S1/Z1 2)・ε・[(VA 2/2)・sin{2ω0t−(π/2)}]/2 +(S1/Z1 2)・ε・[(VB 2/2)・sin{ω0t−(π/2)}]/2 +(S1/Z1 2)・ε・[2(Vb−Vs)VA・sin(ω0t)]/2 +(S1/Z1 2)・ε・[2(Vb−Vs)VB・sin{(ω0/2)t)]/2 +(S1/Z1 2)・ε・VA・VB・sin{(ω0/2)t+(π/2)}/2 +(S1/Z1 2)・ε・VA・VB・sin{(3ω0/2)t+(π/2)}/2 (8A) さらに、ω3をω0/2とすると、(9)式のF2は F2=(S2/Z2 2)・ε・{(VA 2/2)+(VB 2/2)+(VC 2/2)}/2 +(S2/Z2 2)・ε・[VA 2・sin{2ω0t−(π/2)} +VB 2・sin{ω0t−(π/2)} +VC 2・sin{ω0t−(π/2)}]/4 +(S2/Z2 2)・ε・VA・VB[sin{(ω0/2)t+(π/2)} −sin{(3ω0/2)t+(π/2)}] +(S2/Z2 2)・ε・VA・VC[sin{(ω0/2)t+(π/2)} −sin{(3ω0/2)t+(π/2)}] +(S2/Z2 2)・ε・VB・VC[sin{(ω0/2)t+(π/2)} −sin{(3ω0/2)t+(π/2)}] (9A) となり、F2に角周波数:ω0を持つ振動成分が発生す
る。
【0151】ω0はカンチレバー10の機械的共振の角
周波数であるから、カンチレバー10は上記F1とF2
合力のうちで、角周波数:ω0を持つ次のような振動成
分:Fosω0に共振する。
【0152】 Fosω0=(S1/Z1 2)・ε・{2(Vb−Vs)VA・sin(ω0t)}/2+ ε・[(S1/Z1 2)VB 2−(S2/Z2 2)(VB−VC)2]・sin{ω0t−(π/2)}/4 (2E) 従って、振動検出手段の出力:vは、比例係数をα,β
として、 v=α{2(Vb−Vs)VA・sin(ω0t)}+ β[(S1/Z1 2)VB 2−(S2/Z2 2)(VB−VC)2]・sin{ω0t−(π/2)} (3E) となり、ロックインアンプ20によりθ=−π/2の位
相により、ロックインアンプ22によりθ=−πの位相
により増幅することにより、α(Vb−Vs)VAに比例す
る直流電圧が得られ、積分器30からの出力は測定対処
物0の表面電位測定結果:Vsとなる。
【0153】ロックインアンプ22の出力は比較器24
で基準電圧と比較され、積分器28を介してアクチュエ
ータ38に印加される。
【0154】アクチュエータ38は印加される電圧が一
定となるように、測定対象物0の表面と探針12の間の
間隔:Z1を一定の間隔:Z0に制御し、積分器28から
得られる出力の像は測定対象物0の表面形状を与える。
このようにして、測定対象物0の表面電位と表面形状と
を同時に測定することができる。
【0155】請求項6記載の発明の表面状態測定装置で
は、 (S1・VB 2/Z0 2)−{S2(VB−VC2/Z2 2}<0 (6B) が満足されるように、背面電極40の形状および配備態
位を定められている。
【0156】S1やZ0は探針12の形状によるので容易
に変更できないので、背面電極40の形状(S2を決定
する)、配備態位(Z2を決定する)および交流電圧の振
幅:VB,VCにより条件(6B)を充足させるのであ
る。
【0157】式(3E)の、位相:−π/2の振動成分
の振幅:β[(S1/Z1 2)VB 2−(S2/Z2 2)(VB−VC)2]
に対応するカンチレバー10の振幅に応じてロックイン
アンプ22から出力される第2電圧:V2と間隔:Z1
関係は、上記式(6B)が満足されていれば、図12に
例示したような曲線となって、0≦Z1≦Z0の領域にお
いて常に第2電圧:V2が帰還動作の基準電圧:V20
りも大きいので、たとい探針が測定対象物0の表面に拘
束されても、アクチュエータ38による帰還動作は間
隔:Z1を大きくするように、即ち、探針12を測定対
象物0の表面から離そうとするように作用する。
【0158】従って、探針12が測定対象物0の表面に
接触し、上記表面に拘束された場合でも、探針12が測
定対象物0の表面に「より強く押しつけられる」ような
ことがない。従って、最悪の場合でも、探針および/ま
たは測定対象物表面が損傷を受けるようなことがない。
【0159】(6B)式で、「S1・VB 2/Z0 2」に対
し「S2(VB−VC2/Z2 2」を大きくしていくと左辺
は次第に負に増大し、(6B)式の左辺が負で十分に大
きくなると、第2電圧:V2と間隔:Z1の関係は、図1
3に例示したような「単調的な1価関数」になり、間
隔:Z1に対し第2電圧:V2が一義的に定まる。従って
上記関数関係を実験的に定めれば、第2電圧:V2によ
り間隔:Z1すなわち、測定対象物0の表面形状を知る
ことができる(請求項13)。
【0160】図16は、請求項13記載の発明の実施の
1形態を示している。繁雑を避けるため、混同の虞れが
ないと思われる物については、図6におけると同一の符
号を付した。
【0161】図6の実施の形態との差異は、測定対象物
0を保持している保持体38Aがアクチュエータでな
く、図6の実施の形態においてはアクチュエータ38と
ともに「帰還系」を構成する比較器24と電源26、積
分器28がないことである。図16の実施の形態でも、
図14の実施の形態と同様、ロックインアンプ20と2
2とが、振動検知手段の出力:vから、表面電位:Vs
と直流電圧:Vbとに応じた第1電圧:V1と、測定対象
物の表面形状に応じた第2電圧:V2とを分離して得る
「電圧分離手段」を構成し、積分器30は、第1電圧:
1を0とするように直流電圧:Vbを制御する「電圧制
御手段」を構成する。
【0162】第1電圧:V1はロックインアンプ20か
ら、第2電圧:V2はロックインアンプ22から出力さ
れる。図6の実施の形態と同様、測定対象物の表面電位
は直流電圧:Vbにより知られる。探針12と測定対象
物0の表面との間隔:Z1は、設定値:Z0が十分に大き
い「所定の大きさ」となるように設定され、前記対向面
積:S1と設定値:Z0および電圧:VB,VCに対し、対
向面積:S2と間隔:Z2とが、条件: [(S1・VB 2/Z0 2)−{S2(VB−VC)2/Z2 2}]<0 を満足し、且つ、第2電圧:V2と間隔:Z1の関係が単
調的な1価関数になるように背面電極40の形状および
配備態位が定められている。角周波数:ω1,ω2,ω3
の関係は、上記請求項6記載の発明の場合と同様、カン
チレバー10の強制振動の角周波数と同じ角周波数の電
気力が、カンチレバー10と背面電極40との間に生じ
るように定められている。
【0163】従って、ロックインアンプ22からの出力
である第2電圧:V2が知られると、V2とZ1の関係を
定める「単調的な1価関数」により測定対象物0の表面
形状を知ることができる。このようにして、測定対象物
0の表面電位と表面形状とを同時に測定することができ
る。
【0164】請求項6,12記載の表面状態測定装置の
特徴の一端は上記したように、電圧印加手段の交流電圧
36D,36E,36Fで発生させる交流電圧の角周波
数:ω1,ω2,ω3の関係を「カンチレバー(その振幅
が探針先端と測定対象物表面の間隔を表す)の強制振動
の角周波数と同じ角周波数の静電引力が、カンチレバー
と背面電極との間に生じる」ように定めることであり、
このような関係を満たす関係は上記例:ω1=ω0,ω2
=ω3=ω0/2の他に種々可能であり、それらを一覧に
すると以下のようになる。縦に並んだ3つの角周波数が
上記関係を満たす組み合わせである。
【0165】ω1 ω0 ω0 ω0 ω0 ω
0 ω0 ωn ωn ω200 ω0/2 ω0/2 ω0/2 2ω0
ωm/2 ωm/2 ω30 ω000/2 ω0/2 ω0/2
ωm/2 3ωm/2 ωn,ωmはカンチレバー10の1次共振角周波数、2次
共振角周波数等のように「互いに次数の異なる共振角周
波数」である。
【0166】請求項1〜4,10記載の発明において
は、背面電極は40は式(6)即ち、 (S1/Z0 2)−(S2/Z2 2)<0 を満足するように、背面電極40の形状および配備態位
が定められる。
【0167】条件(6)は、探針12の形状、測定対象
物表面に対する対向距離に応じ「背面電極40の形状と
配備態位のみ」で満足させねばならず、背面電極の形状
および配備態位に対する大きな制限となる。
【0168】これに対し、請求項5,6,11,12記
載の発明では背面電極の形状および配備態位に対する条
件: (S1・VA 2/Z0 2)−{S2・(VA−VE)2/Z2 2}<0 (6A) または条件: (S1・VB 2/Z0 2)−{S2・(VB−VC)2/Z2 2}<0 (6B) には、交流電圧の振幅:VA,VEやVB,VCが入ってい
るので、背面電極の形状・配備態位に加えて、これら電
圧振幅の大きさ調整することで条件(6A),(6B)
の充足が可能であり、背面電極の形状および配備態位の
自由度が増大し、背面電極の設計が容易になる。
【0169】即ち、S1,S2,Z0,Z2およびVAもし
くはVBを、測定感度や共振周波数、バネ定数等の特性
項目に対して最適化して設計・製作し、上記(6A)あ
るいは(6B)を満足するようにVEもしくはVCを設定
できる。
【0170】振動検出手段は、図1等に示す例に代え
て、図7に示すようにカンチレバー10に導波路10A
を設け、LD14からの光を導波路10Aを導波させて
受光素子16により受光するようにし、カンチレバー1
0の振動に応じて受光素子16の受光量が振動的に変化
するようにしてもよい。あるいはカンチレバー10の振
動振幅をピエゾ抵抗やピエゾ圧電素子等により検出する
ようにしてもよい。
【0171】図8は請求項8記載の発明の実施の1形態
を特徴部分のみ示している。背面電極40に穿設された
孔403が、透明導電体405により充填されている。
勿論、透明導電体405は電気的に背面電極と接続され
ている。透明導電体405は、光源(例えば図1のLD
14)からの光を透過し、電気抵抗の小さいものであれ
ば適宜に用いることができる。
【0172】光源として、AlGaInP半導体レーザ(波
長:670nm)やHe−Neレーザ(波長:632.
8nm)を用い、受光素子(カンチレバー10により反
射され透明導電体405を透過した光を受光する)とし
てSiやGaAs等のフォトダイオードを用いた場合、透明
導電体405の材料としてはIn,Sn,Oの化合物
や、ZnOAl,In2O3、SnO2等を用いることができる。ま
た、光源として、Pb1-xSex半導体レーザ(波長:435
0〜8330nm),Pb1-xCdx半導体レーザ(波長:2
660〜5500nm),He−Xe気体レーザ(波
長:3500nm)等を用い、受光素子としてPbSe光導
電素子やInSb光起電力素子を用いた場合には、透明導電
体403の材料として、Si,Ge,GaAs等を低抵抗化
したものを用いることができる。
【0173】また、LD14の発光波長の光に対して透
明な絶縁基板により孔403を充填し、そのカンチレバ
ー側の表面に前記材料をフィルム状に形成し、これを背
面電極と接続しても良い。
【0174】図9は請求項9記載の発明の実施の1形態
を特徴部分のみ示している。
【0175】この実施の形態では、背面電極40a自体
が透明導電体で形成されている。このようにすれば、光
源からの光をカンチレバーに照射するのに、背面電極に
孔を形成する必要がない。
【0176】図17は、請求項13記載の発明の実施の
形態を特徴部分のみ示す。導電性の板バネをなすカンチ
レバー10の振動を検知する振動検知手段は、背面電極
40に穿設された孔403を介してカンチレバー10を
照射する光を放射する光源(図示されず)と、カンチレ
バー10により反射され、孔403を通った光を受光す
る受光素子(図示されず)とを有し、背面電極40に穿
設された孔403は透明非導電体406により充填され
るとともに、透明非導電体406を挾むように透明道電
膜407,408が形成されている。
【0177】透明導電膜407,408は、照射光を透
過させ、且つ電気抵抗の低い物質による膜であり、従っ
て透明導電膜407,408は背面電極40と同電位に
なっている。
【0178】光源として、AlGaInP半導体レーザ(波
長:670nm)やHe−Neレーザ(波長:632.
8nm)を用い、受光素子としてSiやGaAs等のフォト
ダイオードを用いた場合、透明非導電体406の材料と
してはパイレックスガラス、石英を用い、透明導電膜4
07,408の材料としてIn,Sn,Oの化合物や、
ZnOAl,In2O3、SnO2等を用いることができる。
【0179】光源として、Pb1-xSex半導体レーザ(波
長:4350〜8330nm),Pb1-xCdx半導体レーザ
(波長:2660〜5500nm),He−Xe気体レ
ーザ(波長:3500nm)等を用い、受光素子として
PbSe光導電素子(感度波長領域:2000〜5000n
m)やInSb光起電力素子(感度波長領域:2000〜5
500nm)を用いた場合には、透明非導電体406の
材料としてサファイア、ダイヤモンド、TiCl,Ag
Cl等を用い、透明導電膜407,408の材料として
Si,Ge,GaAs等を低抵抗化したものを用いることが
できる。
【0180】図18は、請求項14記載の発明の実施の
形態を特徴部分のみ示す。即ち、「背面電極」が表面を
透明道電膜40cで被覆されたガラス等の透明絶縁体4
0bで構成され、カンチレバー10の振動を検知する振
動検知手段は、背面電極を介してカンチレバー10を照
射する光を放射する光源(図示されず)と、カンチレバ
ー10により反射された光を背面電極を介して受光する
受光素子(図示されず)とを有する。透明絶縁体40b
や透明導電膜40cの材料としては上記の種々のものを
適宜用いることができる。透明導電膜40cは、透明絶
縁体40bのカンチレバー10に対向する側にのみ設け
ても良い。
【0181】なお、図17,18において、Vcは図2
(b)、図3におけると同じく、アンプ34を介してカ
ンチレバー10に印加される電圧であり、Veは同様に
アンプ42を介して背面電極40や背面電極における透
明導電膜40cに印加される電圧である。
【0182】上述の如く、この発明の実施に当たって
は、上記条件(6)もしくは(6A)または(6B)を
満足させる必要があるが、図8や図17の実施の形態に
おけるように、背面電極40に孔403を形成すると、
上記各条件を満足させるのに孔403の存在を考慮した
設計が必要で、設計が複雑化することがあるが、請求項
8,9や請求項14記載の発明のように、孔403を透
明導電体で充填したり、背面電極自体を透明体で形成
し、孔を設けないようにすると設計が容易になる。
【0183】前述したように、測定対象物の表面電位を
ワンポイント測定する場合は、上に説明した実施の形態
において、走査手段を省略できる。
【0184】
【発明の効果】以上に説明したように、この発明によれ
ば新規な表面状態測定装置を実現できる(請求項1〜1
4)。
【0185】請求項1〜9記載の発明に依れば、測定対
象物の表面状態を測定する際、探針の帰還動作が間にあ
わずに探針と測定対象物表面が接触することがあって
も、探針および/または測定対象物が損傷を受ける虞れ
がなく、安定した表面状態測定を実現できる。
【0186】また、請求項10〜12記載の発明によれ
ば、帰還系を用いること無く、測定対象物の表面状態を
測定することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】請求項1記載の発明の実施の1形態を説明する
ための図である。
【図2】図1の実施の形態における導電性のカンチレバ
ーと背面電極の位置関係を説明するための図である。
【図3】図1の実施の形態におけるカンチレバーの運動
を説明するための図である。
【図4】請求項3記載の発明の実施の1形態を説明する
ための図である。
【図5】請求項5記載の発明の実施の1形態を説明する
ための図である。
【図6】請求項6記載の発明の実施の1形態を説明する
ための図である。
【図7】振動検知手段の1形態を説明するための図であ
る。
【図8】請求項8記載の発明の実施の1形態を特徴部分
のみ示す図である。
【図9】請求項9記載の発明の実施の1形態を特徴部分
のみ示す図である。
【図10】従来技術とその問題点を説明するための図で
ある。
【図11】従来技術の問題点を説明するための図であ
る。
【図12】請求項1,5,6記載の発明により、従来技
術の問題点が解決される理由を説明するための図であ
る。
【図13】請求項10,11,12記載の発明の原理を
説明するための図である。
【図14】請求項10記載の発明の実施の1形態を説明
するための図である。
【図15】請求項11記載の発明の実施の1形態を説明
するための図である。
【図16】請求項12記載の発明の実施の1形態を説明
するための図である。
【図17】請求項13記載の発明の実施の形態におる特
徴部分を示す図である。
【図18】請求項14記載の発明の実施の形態におる特
徴部分を示す図である。
【符号の説明】
0 測定対象物 10 導電性のカンチレバー 12 探針 14 LD 16 受光素子
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平4−369418(JP,A) 特開 平8−194975(JP,A) 特開 平7−318568(JP,A) 特開 平8−248082(JP,A) 特開 平8−114606(JP,A) 特開 平5−273276(JP,A) 特開 平5−312873(JP,A) 特開 平6−308180(JP,A) 特開 平6−221846(JP,A) 特開 平5−149988(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G01N 13/10 - 13/24 G12B 21/00 - 21/24 G01B 7/34 G01B 21/30 G01B 11/30 H01J 37/28 G01R 29/12 JICSTファイル(JOIS)

Claims (14)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】測定対象物の表面における電位:Vsおよ
    び/または表面形状を表面状態として測定する装置であ
    って、 導電性の板バネと、 この板バネに、測定対象物の表面に対向するように保持
    され、上記測定対象物の表面と間隔:Z1を隔し、対向
    面積:S1をもって対向する探針と、 上記板バネに関し測定対象物の表面と逆の側に設けら
    れ、上記板バネよりも高い剛性を有し、上記板バネとと
    もに対向面積:S2で間隔:Z2のコンデンサを構成する
    背面電極と、 上記板バネを介して上記探針に、所定の交流電圧と直流
    電圧:Vbを重畳して印加し、上記背面電極に上記直流
    電圧:Vbを印加する電圧印加手段と、 上記探針により測定対象物を走査する走査手段と、 上記板バネの振動を検知する振動検知手段と、 この振動検知手段の出力から、表面電位:Vsと直流電
    圧:Vbとに応じた第1電圧と、測定対象物の表面形状
    および上記間隔:Z1に応じた第2電圧とを分離して得
    る電圧分離手段と、 上記第1電圧を0とするように、上記直流電圧:Vbを
    制御する電圧制御手段と、 上記第2電圧に比例する出力を出力する電圧出力手段
    と、 この電圧出力手段の出力により、上記探針先端と測定対
    象物との間隔:Z1を所定の間隔:Z0に調整するアクチ
    ュエータ手段とを有し、 上記対向面積:S1と間隔:Z0に対し、上記対向面積:
    2と間隔:Z2とが、条件: (S1/Z0 2)−(S2/Z2 2)<0 を満足するように、上記背面電極の形状および配備態位
    を定めたことを特徴とする表面状態測定装置。
  2. 【請求項2】請求項1記載の表面状態測定装置におい
    て、 電圧印加手段により、導電性の板バネを介して探針に印
    加される所定の交流電圧が、上記板バネの機械的共振角
    周波数の1/2以下の角周波数:ωを持つことを特徴と
    する表面状態測定装置。
  3. 【請求項3】請求項1記載の表面状態測定装置におい
    て、 電圧印加手段により、導電性の板バネを介して探針に印
    加される所定の交流電圧が、上記板バネの機械的共振角
    周波数:ω0を角周波数として持つ交流電圧と、角周波
    数:ω0/2を持つ交流電圧の和であることを特徴とす
    る表面状態測定装置。
  4. 【請求項4】請求項1記載の表面状態測定装置におい
    て、 電圧印加手段により、導電性の板バネを介して探針に印
    加される所定の交流電圧が、上記板バネの機械的共振角
    周波数:ω0を角周波数として持つ交流電圧と、角周波
    数:2ω0を持つ交流電圧との和であることを特徴とす
    る表面状態測定装置。
  5. 【請求項5】測定対象物の表面における電位:Vsおよ
    び/または表面形状を表面状態として測定する装置であ
    って、 導電性の板バネと、 この板バネに、測定対象物の表面に対向するように保持
    され、上記測定対象物の表面と間隔:Z1を隔し、対向
    面積:S1をもって対向する探針と、 上記板バネに関し測定対象物の表面と逆の側に設けら
    れ、上記板バネよりも高い剛性を有し、上記板バネとと
    もに対向面積:S2で間隔:Z2のコンデンサを構成する
    背面電極と、 上記板バネを介して上記探針に、振幅:VAの所定の交
    流電圧と直流電圧:Vbを重畳して印加し、上記背面電
    極に振幅:VEで上記所定の交流電圧と同位相且つ同周
    波数の交流電圧と上記直流電圧:Vbとを重畳して印加
    する電圧印加手段と、 上記探針により測定対象物を走査する走査手段と、 上記板バネの振動を検知する振動検知手段と、 この振動検知手段の出力から、表面電位:Vsと直流電
    圧:Vbとに応じた第1電圧と、測定対象物の表面形状
    および上記間隔:Z1に応じた第2電圧とを分離して得
    る電圧分離手段と、 上記第1電圧を0とするように、上記直流電圧:Vbを
    制御する電圧制御手段と、 上記第2電圧に比例する出力を出力する電圧出力手段
    と、 この電圧出力手段の出力により、上記探針先端と測定対
    象物の間隔:Z1を所定の間隔:Z0に調整するアクチュ
    エータ手段とを有し、 上記対向面積:S1と間隔:Z0および上記電圧:VA
    Eに対し、上記対向面積:S2と上記間隔:Z2とが、
    条件: [(S1・VA 2/Z0 2)−{S2(VA−VE)2/Z2 2}]<0 を満足するように、上記背面電極の形状および配備態位
    を定めたことを特徴とする表面状態測定装置。
  6. 【請求項6】測定対象物の表面における電位:Vsおよ
    び/または表面形状を表面状態として測定する装置であ
    って、 導電性の板バネと、 この板バネに、測定対象物の表面に対向するように保持
    され、上記測定対象物の表面と間隔:Z1を隔し、対向
    面積:S1をもって対向する探針と、 上記板バネに関し測定対象物の表面と逆の側に設けら
    れ、上記板バネよりも高い剛性を有し、板バネとともに
    対向面積:S2で間隔:Z2のコンデンサを構成する背面
    電極と、 上記板バネを介して上記探針に、振幅:VAで角周波
    数:ω1の交流電圧と振幅:VBで角周波数:ω2の交流
    電圧との和を、直流電圧:Vbに重畳して印加し、上記
    背面電極には振幅:VCで角周波数:ω3の交流電圧を上
    記直流電圧:Vbに重畳して印加する電圧印加手段と、 上記探針により測定対象物を走査する走査手段と、 上記板バネの振動を検知する振動検知手段と、 この振動検知手段の出力から、表面電位:Vsと直流電
    圧:Vbとに応じた第1電圧と、測定対象物の表面形状
    と上記間隔:Z1に応じた第2電圧とを分離して得る電
    圧分離手段と、 上記第1電圧を0とするように、上記直流電圧:Vbを
    制御する電圧制御手段と、 上記第2電圧に比例する出力を出力する電圧出力手段
    と、 この電圧出力手段の出力により、上記探針先端と測定対
    象物の間隔:Z1を所定の間隔:Z0に調整するアクチュ
    エータ手段とを有し、 上記対向面積:S1と間隔:Z0および上記電圧:VB
    Cに対し、上記対向面積:S2と上記間隔:Z2とが、
    条件: [(S1・VB 2/Z0 2)−{S2(VB−VC)2/Z2 2}]<0 を満足するように、上記背面電極の形状および配備態位
    を定め、 上記板バネの強制振動の角周波数と同じ角周波数の電気
    力が、上記板バネと背面電極との間に生じるように、上
    記角周波数:ω1,ω2,ω3の関係を定めたことを特徴
    とする表面状態測定装置。
  7. 【請求項7】請求項1または2または3または4または
    5または6記載の表面状態測定装置において、 導電性の板バネの振動を検知する振動検知手段が、背面
    電極に穿設された孔を介して上記板バネを照射する光を
    放射する光源と、上記板バネにより反射され、上記孔を
    通った光を受光する受光素子とを有することを特徴とす
    る表面状態測定装置。
  8. 【請求項8】請求項7記載の表面状態測定装置におい
    て、 背面電極に穿設された孔が透明導電体により少なくとも
    一部が充填されていることを特徴とする表面状態測定装
    置。
  9. 【請求項9】請求項1または2または3または4または
    5または6記載の表面状態測定装置において、 背面電極は透明導電体で構成され、 導電性の板バネの振動を検知する振動検知手段が、背面
    電極を介して板バネを照射する光を放射する光源と、上
    記板バネにより反射された光を上記背面電極を介して受
    光する受光素子とを有することを特徴とする表面状態測
    定装置。
  10. 【請求項10】測定対象物の表面における電位:Vsお
    よび/または表面形状を表面状態として測定する装置で
    あって、 導電性の板バネと、 この板バネに、測定対象物の表面に対向するように保持
    され、上記測定対象物の表面と間隔:Z1を隔し、対向
    面積:S1をもって対向する探針と、 上記板バネに関し測定対象物の表面と逆の側に設けら
    れ、上記板バネよりも高い剛性を有し、上記板バネとと
    もに対向面積:S2で間隔:Z2のコンデンサを構成する
    背面電極と、 上記板バネを介して上記探針に、所定の交流電圧と直流
    電圧:Vbを重畳して印加し、上記背面電極に上記直流
    電圧:Vbを印加する電圧印加手段と、 上記探針により測定対象物を走査する走査手段と、 上記板バネの振動を検知する振動検知手段と、 この振動検知手段の出力から、表面電位:Vsと直流電
    圧:Vbとに応じた第1電圧と、測定対象物の表面形状
    に応じた第2電圧とを分離して得る電圧分離手段と、 上記第1電圧を0とするように、上記直流電圧:Vbを
    制御する電圧制御手段と、 上記対向面積:S1と間隔:Z1の設定値:Z0とに対
    し、上記対向面積:S2と間隔:Z2とが、条件: (S1/Z0 2)−(S2/Z2 2)<0 を満足し、且つ、上記第2電圧:V2と上記間隔:Z1
    関係が単調的な1価関数になるとともに、上記設定値:
    0が所定の大きさを有するように、上記背面電極の形
    状および配備態位を定めたことを特徴とする表面状態測
    定装置。
  11. 【請求項11】測定対象物の表面における電位:Vsお
    よび/または表面形状を表面状態として測定する装置で
    あって、 導電性の板バネと、 この板バネに、測定対象物の表面に対向するように保持
    され、上記測定対象物の表面と間隔:Z1を隔し、対向
    面積:S1をもって対向する探針と、 上記板バネに関し測定対象物の表面と逆の側に設けら
    れ、上記板バネよりも高い剛性を有し、上記板バネとと
    もに対向面積:S2で間隔:Z2のコンデンサを構成する
    背面電極と、 上記板バネを介して上記探針に、振幅:VAの所定の交
    流電圧と直流電圧:Vbを重畳して印加し、上記背面電
    極に振幅:VEで上記所定の交流電圧と同位相且つ同周
    波数の交流電圧と上記直流電圧:Vbとを重畳して印加
    する電圧印加手段と、 上記探針により測定対象物を走査する走査手段と、 上記板バネの振動を検知する振動検知手段と、 この振動検知手段の出力から、表面電位:Vsと直流電
    圧:Vbとに応じた第1電圧と、測定対象物の表面形状
    に応じた第2電圧とを分離して得る電圧分離手段と、 上記第1電圧を0とするように、上記直流電圧:Vbを
    制御する電圧制御手段と、 上記対向面積:S1と間隔:Z1の設定値:Z0および上
    記電圧:VA,VEに対し、上記対向面積:S2と上記間
    隔:Z2とが、条件: [(S1・VA 2/Z0 2)−{S2(VA−VE)2/Z2 2}]<0 を満足し、且つ、上記第2電圧:V2と間隔:Z1の関係
    が単調的な1価関数になるとともに、上記設定値:Z0
    が所定の大きさを有するように、上記背面電極の形状お
    よび配備態位を定めたことを特徴とする表面状態測定装
    置。
  12. 【請求項12】測定対象物の表面における電位:Vsお
    よび/または表面形状を表面状態として測定する装置で
    あって、 導電性の板バネと、 この板バネに、測定対象物の表面に対向するように保持
    され、上記測定対象物の表面と間隔:Z1を隔し、対向
    面積:S1をもって対向する探針と、 上記板バネに関し測定対象物の表面と逆の側に設けら
    れ、上記板バネよりも高い剛性を有し、板バネとともに
    対向面積:S2で間隔:Z2のコンデンサを構成する背面
    電極と、 上記板バネを介して上記探針に、振幅:VAで角周波
    数:ω1の交流電圧と振幅:VBで角周波数:ω2の交流
    電圧との和を、直流電圧:Vbに重畳して印加し、上記
    背面電極には振幅:VCで角周波数:ω3の交流電圧を上
    記直流電圧:Vbに重畳して印加する電圧印加手段と、 上記探針により測定対象物を走査する走査手段と、 上記板バネの振動を検知する振動検知手段と、 この振動検知手段の出力から、表面電位:Vsと直流電
    圧:Vbとに応じた第1電圧と、測定対象物の表面形状
    に応じた第2電圧とを分離して得る電圧分離手段と、 上記第1電圧を0とするように、上記直流電圧:Vbを
    制御する電圧制御手段と、 上記対向面積:S1と間隔:Z1の設定値:Z0および上
    記電圧:VB,VCに対し、上記対向面積:S2と上記間
    隔:Z2とが、条件: [(S1・VB 2/Z0 2)−{S2(VB−VC)2/Z2 2}]<0 を満足し、且つ、上記第2電圧:V2と間隔:Z1の関係
    が単調的な1価関数になるとともに、上記設定値:Z0
    が所定の大きさを有するように、上記背面電極の形状お
    よび配備態位を定め、 上記板バネの強制振動の角周波数と同じ角周波数の電気
    力が、上記板バネと背面電極との間に生じるように、上
    記角周波数:ω1,ω2,ω3の関係を定めたことを特徴
    とする表面状態測定装置。
  13. 【請求項13】請求項1または2または3または4また
    は5または6または10または11または12記載の表
    面状態測定装置において、 導電性の板バネの振動を検知する振動検知手段が、背面
    電極に穿設された孔を介して上記板バネを照射する光を
    放射する光源と、上記板バネにより反射され、上記孔を
    通った光を受光する受光素子とを有し、 背面電極に穿設された孔が透明非導電体により充填され
    るとともに、上記透明非導電体を挾むように透明道電膜
    が形成されていることを特徴とする表面状態測定装置。
  14. 【請求項14】請求項1または2または3または4また
    は5または6または10または11または12記載の表
    面状態測定装置において、 背面電極が、表面を透明導電膜で被覆された透明絶縁体
    で構成され、 導電性の板バネの振動を検知する振動検知手段が、背面
    電極を介して板バネを照射する光を放射する光源と、上
    記板バネにより反射された光を上記背面電極を介して受
    光する受光素子とを有することを特徴とする表面状態測
    定装置。
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