JPH08114090A - パイプ圧入構造およびパイプ圧入工法 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】本発明の目的は、パイプ圧入方向のコントロー
ルを容易にし、かつパイプ圧入に必要な動力を節減し、
あわせて土壌改良剤による地山改良の必要をなくして泥
水処理の手間を省くことにある。 【構成】パイプ１を地山Ｇ中に推進圧入する際、先導パ
イプ２の前部を遮水壁１９によって区画してチャンバー
２０とし、該チャンバー２０内に圧力調整管３５から土
壌改良剤を含まない水で圧力を及ぼし、地山Ｇを圧密し
つつ、該チャンバー２０内に導入して圧密領域の後側で
カッタースポーク２２により切削し、切削により生じた
土砂は水と共に排泥管２９から排出する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は例えば土留め用パイプル
ーフ工法やパイプ推進工法等において、パイプを地山中
に圧入するための構造および工法に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】従来は例えば図７に示すようにパイプ
(1) の先端に先導パイプ(2) を取付け、該先導パイプ
(2) の前部は遮水壁(3) によってチャンバー(4) を区画
し、該先導パイプ(2) の前側には該先導パイプ(2) の径
よりも大径なカッタースポーク(5)を配置し、該チャン
バー(4) には地上から泥水供給管(6) と排泥管(7) とを
連絡したパイプ圧入構造が提供されていた。

【０００３】上記パイプ圧入構造においては、図示しな
い油圧ジャッキ等のパイプ圧入手段によってパイプ(1)
を介して先導パイプ(2) を地山に圧入するのであるが、
この際該チャンバー(4) 内に地山Ｇ側から及ぼされる圧
力に対する泥水圧を泥水供給管(6) から及ぼし、モータ
ー(8) によってカッタースポーク(5) を回転させて該先
導パイプ(2) の前側で地山Ｇを切削し、該切削で生じた
土砂と泥水との混合スラリーを排泥管(7) を介して地上
へ排出する。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来のパイプ圧入構造にあっては、先導パイプ(2) よりも
カッタースポーク(5) の方が大径であるため、地山Ｇの
切削部分Ｔと先導パイプ(2) との間に大きな隙間が形成
され、先導パイプ(2) がカッタースポーク(5) の重量に
よって首振り運動を行ない、パイプ圧入方向のコントロ
ールが困難であること、先導パイプ(2) の外側でカッタ
ースポーク(5) により地山Ｇを切削するので地山Ｇが自
立しにくゝ、地山Ｇのパイプ内への崩壊を防ぐために該
カッタースポーク(5) の回転駆動力やパイプの推進駆動
力を大きく設定する必要があること、更に地山を改良す
るために高分子増粘剤、ベントナイト、粘土等の土壌改
良剤を混合した泥水をチャンバー前面に供給する必要が
あり、泥水調整の手間がかかり、かつ泥水使用後には処
理を必要とすること等の問題点がある。

【０００５】

【課題を解決するための手段】本発明は上記従来の課題
を解決するための手段として、地山Ｇ中に圧入されるパ
イプ(1) と、該パイプ(1) 先端に取付けられる先導パイ
プ(2) と、該パイプの推進手段(12)とからなり、該先導
パイプ(2) の前部には遮水壁(19)によってチャンバー(2
0)が区画され、該チャンバー(20)内の圧密領域の後側に
はカッタースポーク(22)が配置され、更に該チャンバー
(20)内には地上から水圧を及ぼす圧力調整管(35)と排泥
管(29)とが連絡しているパイプ圧入構造を提供するもの
であり、該カッタースポーク(22)は前傾可能で、前方へ
の推進手段が取付けられ、また該チャンバー(20)内にお
いて排泥管(29)の入口に向かってジェット水を吹付ける
ノズル(34)が配置されているパイプ圧入構造を提供する
ものである。更にパイプ圧入手段によってパイプ(1) を
介して先導パイプ(2) を地山Ｇに推進圧入するとともに
圧力調整管(35)からチャンバー(20)内に及ぼされる地山
Ｇ側圧力に対応する水圧を地上からチャンバー(20)内に
及ぼし、更にカッタースポーク(22)を回転させて該チャ
ンバー(20)内に圧密されて導入された地山Ｇを切削し、
該切削で生じた土砂と水との混合スラリーは排泥管(29)
を介して地上へ排出するパイプ圧入構造を使用するパイ
プ圧入工法を提供するものである。

【０００６】

【作用】先導パイプ(2) をパイプ(1) を介して推進手段
(12)によって地山Ｇに推進圧入すると、地山Ｇは先導パ
イプ(2) のチャンバー(20)内に導入される際に圧密領域
Ｐにおいて圧密されることによって自立し易くなり、泥
水による改良の必要がなくなり、地山Ｇ側からの圧力に
拮抗するために圧力調整管(35)から土壌改良剤を含まな
い水を供給しておけばよい。そしてこのような圧密され
た地山Ｇを先導パイプ(2) のチャンバー(20)内でカッタ
ースポーク(22)によって切削し、切削された土砂は水と
混合され排泥管(29)から排出する。パイプ圧入を中断す
る時はカッタースポーク(22)に前方への推進力を及ぼし
ておけば地山崩壊を防止出来る。また地山Ｇの安息角に
沿ってカッタースポーク(22)を傾けておけばカッタース
ポーク(22)による地山Ｇの切削効率が向上し、かつ地山
崩壊がより確実に防止される。また先導パイプ(2) と地
山Ｇの切削部分Ｔとの間の隙間(40)は小さくなるので、
先導パイプ(2) の首振り運動は解消される。

【０００７】

【実施例】本発明の一実施例を図１〜図４に示す。図１
において、地山Ｇには作業立坑(10)が掘設され、該作業
立坑(10)の底部には架台(11)が設置され、該架台(11)上
にはパイプ推進手段としての油圧ジャッキ(12)が設置さ
れ、該油圧ジャッキ(12)はストラッド(14,14) およびキ
ャップ(13)を介してパイプ(1) を地山Ｇ中に圧入する
が、その反力は反力壁(15)に受止される。該パイプ(1)
はヒューム管、ＦＲＰ管、鋼管、ボックス状のコンクリ
ート管等であり、例えば径が６００m/m の小径パイプで
あり、その先端には先導パイプ本体(2) が取付けられて
おり、更に図２に示すように該先導パイプ本体(2) の先
端にはリング(16)を介してガイド管(17)が首振り可能に
取付けられ、該ガイド管(17)は先導パイプ本体(2) との
間に差渡されている４個の油圧ジャッキ(18)によって方
向を制御され、また先端には超硬チップ(17A) とその外
側にはカットリング(17B) とが取付けられており、先導
パイプ本体(2) とガイド管(17)との全体の見掛け比重は
地山Ｇに等しいかまたは小さく設定されている。該ガイ
ド管(17)内には遮水壁(19)が張設され、該遮水壁(19)よ
りも前側にはチャンバー(20)が区画されており、更に方
向制御のターゲット(21)が垂設されている。

【０００８】上記ガイド管(17)のチャンバー(20)内の地
山Ｇの圧密領域Ｐの後側にはカッタースポーク(22)が配
置されており、該カッタースポーク(22)は図３に示すよ
うにリング状の周梁部(22A) と、該周梁部(22A) に十文
字状に差渡されている径梁部(22B) とからなり、地山Ｇ
が粘度質の場合は図５に示すように該径梁部(22B) の左
右には複数個のナイフ状ビット(22C) が交互に差出され
ているものを使用し、砂質の場合は図６に示すように該
該径梁部(22B) に針状ビット(22G) が差出されているも
のを使用する。該カッタースポーク(22)の軸(22D) は遮
水壁(19)に取付けられている軸受け(23)に回転可能かつ
前後摺動可能に支持されており、該カッタースポーク(2
2)は該軸(22D) の先端部にユニバーサルジョイント(22
E) を介して上下方向で回動可能に取付けられている。
そして該カッタースポーク(22)はモーター(24)によって
駆動回転せしめられ、該モーター(24)の荷台(25)には油
圧ジャッキ(26)が接続され、該油圧ジャッキ(26)はガイ
ド管(17)内に差渡されている支柱(27)に支持されてお
り、このようにして該カッタースポーク(22)は該油圧ジ
ャッキ(26)によって前方へ推進されかつ後方へ後退せし
められるようになっている。更に該カッタースポーク(2
2)の周梁部(22A) の上下には遮水壁(19)に支持されてい
る油圧ジャッキ(28)がローラー(28A) を介して接続して
おり、該カッタースポーク(22)は該油圧ジャッキ(28)に
よってユニバーサルジョイント(22E) を介して上下方向
に回動せしめられるようになっている。更に該先導パイ
プ本体(2) の根端部外側にはカットリング(40)が取付け
られている。

【０００９】上記パイプ(1) 内には更に排泥管(29)が挿
入され、該排泥管(29)は地上の土砂分離槽(36)に接続し
そしてガイド管(17)の遮水壁(19)に開口しまた中間部に
はバルブ(30)が設けられており、該バルブ(30)の前より
で該パイプ(1) 内に挿入されている高圧水管(31)が該排
泥管(29)内に接続している。該高圧水管(31)には地上の
水槽(39)から高圧ホース(32)を介してポンプ(33)から高
圧水が送られ、該高圧水管(31)の先端には該排泥管(29)
の遮水壁(19)開口部(29A) へジェット水を吹付けるノズ
ル(34)が取付けられている。更に上記パイプ(1) 内には
圧力調整管(35)が挿入され、該圧力調整管(35)は地上の
土砂分離槽(36)に接続している。

【００１０】上記構成において、油圧ジャッキ(12)によ
って作業立坑(10)から地山Ｇにガイド管(17)および先導
パイプ本体(2) を圧入して据付を行ない、該先導パイプ
(2)後端にパイプ(1) を連結して更に油圧ジャッキ(12)
によりパイプ(1) を地山Ｇに推進し圧入する。そして該
チャンバー(20)内には地上の土砂分離槽(36)から圧力調
整管(35)を介して地山Ｇ側の圧力に拮抗する水圧が及ぼ
されている。該圧力は例えば地下水頭＋２ｍ水頭に設定
する。パイプ(1) の圧入に伴ない、図２矢印に示すよう
に先導パイプ(2) のガイド管(17)内のチャンバー(20)に
は先端から地山Ｇが圧密されつゝ進入する。該チャンバ
ー(20)内の圧密領域Ｐにおいて上記圧密された地山Ｇは
モーター(24)によって駆動回転されているカッタースポ
ーク(22)によって切削されるが、該カッタースポーク(2
2)を油圧ジャッキ(28)によって図２点線位置に傾斜さ
せ、傾斜角θを地山Ｇの安息角と等しくすれば、地山Ｇ
のチャンバー(20)内での崩壊が防止出来かつ、カッター
スポーク(22)の切削効率が向上する。カッタースポーク
(22)による地山Ｇの切削によって生じた土砂はチャンバ
ー(20)内の水と混合されてスラリー状になり、排泥管(2
9)内へ進入し、該排泥管(29)の後端から地上の土砂分離
槽(36)内へ排除し、該土砂分離槽(36)において土砂と水
とを分離した上で水のみをポンプ(37)によって回収経路
(38)を介して水槽(39)に備蓄する。この際、切削によっ
て生じた土砂に礎が存在するとチャンバー(20)の底部に
蓄積するから、該礎はノズル(34)からジェット水を吹付
けて強制的に排泥管(29)内へ導入する。

【００１１】このようにしてパイプ(1) の圧入を進めて
行くが、上記パイプ圧入中にチャンバー(20)内の圧力が
上昇すれば、その分圧力調整管(35)を介してチャンバー
(20)内の水が土砂分離槽(36)へ抜取られ、またチャンバ
ー(20)内の圧力が低下すれば、その分圧力調整管(35)を
介してチャンバー(20)内へ土砂分離槽(36)から水が供給
される。そして上記パイプ圧入中先導パイプ(2) のター
ゲット(21)に光線Ｂを後方から照射し、ガイド管(17)の
圧入方向を検知し、油圧ジャッキ(18)を作動させて該ガ
イド管(17)の圧入方向を制御する。そして図２に示すよ
うに先導パイプ(2) のカットリング(17B) によってパイ
プ(1) の周りの地山Ｇを４mm程度切削し、先導パイプ
(2) と地山Ｇとの間に若干の間隙(41)を形成して先導パ
イプ(2) の推進抵抗を小さくし、更にカットリング(40)
によって地山Ｇを８m/m 程度切削し、パイプ(1) と地山
Ｇとの間に間隙(42)を形成し、該間隙(42)には合成樹脂
水溶液等の潤滑剤を注入して圧入抵抗を軽減する。

【００１２】パイプ(1) の圧入が終了したら作業立坑(1
0)において次のパイプ(1) を前段のパイプ(1) の後端に
接続し、更に排泥管(29)、高圧水管(31)、および圧力調
整管(35)も継足して油圧ジャッキ(12)によって圧入を続
けるが、該パイプ(1) の接続の際は排泥管（29) のバル
ブ(30)を閉じ、かつ高圧水管(31)と圧力調整管(35)とは
同時に継足さないようにし、該高圧水管(31)と圧力調整
管(35)の何れか一方が継足されている場合は他方の管に
よってチャンバー(20)内に水圧を及ぼし、このようにし
て地下水圧によって排泥管(29)から作業立坑(10)へ泥水
が噴発することを防止する。このように排泥管(29)のバ
ルブ(30)を閉じた状態では先導パイプ(2) のチャンバー
(20)は密閉状態となるから、該密閉部分の内圧と高圧水
管(31)または圧力調整管(35)からの圧力水の圧力とによ
って先導パイプ(2) 内の土砂Ｓが圧密されて自立壁とな
り、更に油圧シャッキ(26)によってカッタースポーク(2
2)を前方へ推進しておけば地山Ｇの崩壊は確実に防止さ
れる。またチャンバー(20)内に土砂分離槽(36)から圧力
調整管(35)を介して供給される水には土壌改良剤が含ま
れていないから、土砂分離槽(36)で土砂を分離するだけ
で外界に排出することが出来る。

【００１３】上記したようにパイプ(1) は小径パイプで
あり作業員が入ることが出来ないから、排泥管(29)のバ
ルブ(30)の開閉はモーター、電磁弁等で機械的に行われ
るが、もしバルブ(30)に土砂Ｓが詰まるとバルブ(30)の
開閉が不順になるので、高圧ホース(32)から高圧水を高
圧水管(31)に送り、排泥管(29)のバルブ(30)に該高圧水
管(31)から該高圧水を吹付けて、詰まった土砂をバルブ
(30)から除去する。該高圧水管(31)からは高圧空気を吹
付けてもよい。圧入するパイプ(1) は例えば径３００m/
m の小径のものから２０００m/m 以上の大径なものまで
あるが、例えば径８００m/m 以上の大径である場合に
は、パイプ(1) 内に作業員が入ることが出来るから、該
排泥管(29)のバルブ(30)の開閉は手動で行ってもよい。

【００１４】

【発明の効果】したがって本発明では地山がカッタース
ポークで切削される前に先導パイプ先端で圧密されるか
ら、地山が自立して土壌改良剤で改良する必要がなくな
り、チャンバー内へは単なる水を供給すればよく、泥水
後処理の問題が解消されるし、更にカッタースポークの
回転駆動力や推進駆動力を大巾に節減することが出来
る。また地山の切削部分と先導パイプとの間の隙間も最
小限となり、先導パイプの首振り運動が阻止されて、パ
イプ圧入方向のコントロールが容易になる。

【図面の簡単な説明】

図１〜図４は本発明の一実施例を示すものである。

【図１】パイプ圧入現場の基本構造図

【図２】先導パイプ部分断面図

【図３】先導パイプ正面図

【図４】図２におけるＡ−Ａ断面図

【図５】粘度質用カッタースポーク部分斜視図

【図６】砂質用カッタースポーク部分斜視図

【図７】従来例の説明断面図

【符号の説明】

1 パイプ 2 先導パイプ 12 油圧ジャッキ 19 遮水壁 20 チャンバー 22 カッタースポーク 29 排泥管 35 圧力調整管

Claims (5)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】地山中に圧入されるパイプと、該パイプ先
   端に取付けられる先導パイプと、該パイプの推進手段と
   からなり、該先導パイプの前部には遮水壁によってチャ
   ンバーが区画され、該チャンバー内の圧密領域の後側に
   はカッタースポークが配置され、更に該チャンバー内に
   は地上から水圧を及ぼす圧力調整管と排泥管とが連絡し
   ていることを特徴とするパイプ圧入構造
2. 【請求項２】該カッタースポークには前方への推進手段
   が取付けられている請求項１に記載のパイプ圧入構造
3. 【請求項３】該カッタースポークは前傾可能にされてい
   る請求項１に記載のパイプ圧入構造
4. 【請求項４】該チャンバー内において排泥管の入口に向
   かってジェット水を吹付けるノズルが配置されている請
   求項１に記載のパイプ圧入構造
5. 【請求項５】パイプ圧入手段によってパイプを介して先
   導パイプを地山に推進圧入するとともに圧力調整管から
   チャンバー内に及ぼされる地山側圧力に対応する水圧を
   地上からチャンバー内に及ぼし、更にカッタースポーク
   を回転させて該チャンバー内に圧密されて導入された地
   山を切削し、該切削で生じた土砂と水との混合スラリー
   は排泥管を介して地上へ排出することを特徴とする請求
   項１のパイプ圧入構造を使用するパイプ圧入工法