JPH0811406B2 - セラミックス筒状体の製造方法 - Google Patents
セラミックス筒状体の製造方法Info
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- JPH0811406B2 JPH0811406B2 JP3245841A JP24584191A JPH0811406B2 JP H0811406 B2 JPH0811406 B2 JP H0811406B2 JP 3245841 A JP3245841 A JP 3245841A JP 24584191 A JP24584191 A JP 24584191A JP H0811406 B2 JPH0811406 B2 JP H0811406B2
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Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、セラミックス筒状体の
製造方法に関するものである。
製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】熱電対用保護管、熱交換体、有底円筒状
の固体電解質型燃料電池等においては、各種のセラミッ
クスからなる有底円筒状体を効率よく製造する必要があ
る。このうち、例えば固体電解質型燃料電池(SOFC) を
製造するには、ジルコニアセラミックス等によって有底
円筒状の多孔質支持管をまず作製することが一般的であ
る。また、最近では、空気電極としても使用できる多孔
質の空気電極管を作製する技術も開発されてきている。
の固体電解質型燃料電池等においては、各種のセラミッ
クスからなる有底円筒状体を効率よく製造する必要があ
る。このうち、例えば固体電解質型燃料電池(SOFC) を
製造するには、ジルコニアセラミックス等によって有底
円筒状の多孔質支持管をまず作製することが一般的であ
る。また、最近では、空気電極としても使用できる多孔
質の空気電極管を作製する技術も開発されてきている。
【0003】このようなセラミックス円筒状体を作製す
るためには、円筒状体の端部を封じる必要がある。例え
ば、上記した多孔質支持管の製造工程を例にとると、例
えばジルコニアを粉砕し、これに増孔剤、有機バインダ
ーなどを加えて混練し、この混練物を押出成形、乾燥
し、乾燥後の円筒状体の端面を封じ、次いでこれを焼成
する。押出成形の段階で、端部を封じた円筒状体を一度
に作製することは困難である。
るためには、円筒状体の端部を封じる必要がある。例え
ば、上記した多孔質支持管の製造工程を例にとると、例
えばジルコニアを粉砕し、これに増孔剤、有機バインダ
ーなどを加えて混練し、この混練物を押出成形、乾燥
し、乾燥後の円筒状体の端面を封じ、次いでこれを焼成
する。押出成形の段階で、端部を封じた円筒状体を一度
に作製することは困難である。
【0004】こうした端面封じ加工が必要な場合、従来
は、円筒状成形体を乾燥し、またこれとは別にキャップ
状の成形物を乾燥し、これらを接着剤によって接着した
後、焼成していた。しかし、この方法では、円筒状成形
体とキャップ状の成形物との材質を同一の組成として
も、両者の焼成収縮量が相違することから、両者の間に
5〜10μm 程度の隙間が生じていた。この問題を解決す
べく、本出願人は、特開昭63−312811号公報 (特願昭62
−149229号明細書) において、濾紙を利用した方法を提
案した。この方法について、図6(a),(b) を参照しつつ
説明する。
は、円筒状成形体を乾燥し、またこれとは別にキャップ
状の成形物を乾燥し、これらを接着剤によって接着した
後、焼成していた。しかし、この方法では、円筒状成形
体とキャップ状の成形物との材質を同一の組成として
も、両者の焼成収縮量が相違することから、両者の間に
5〜10μm 程度の隙間が生じていた。この問題を解決す
べく、本出願人は、特開昭63−312811号公報 (特願昭62
−149229号明細書) において、濾紙を利用した方法を提
案した。この方法について、図6(a),(b) を参照しつつ
説明する。
【0005】まず、押出成形により円筒状成形体1を押
出成形し、これを乾燥する。次いで、円筒状成形体1の
一端から、濾紙等の有機物多孔体からなる封止材2を挿
入する。封止材2の端部を、円筒状成形体1の内壁面1a
に固定する。次いで、セラミックスラリーを円筒状成形
体1の内側空間に流し込み、封止材2の上に堆積層3を
形成させる。そして、円筒状成形体1をこの状態で乾燥
し、焼成して、図6(b) に示すような焼成体5を得る。
この後、破線6で示すように焼成体5を研削加工し、目
的とする有底円筒状体を得る。焼成段階で、有機物多孔
体からなる封止材2が消失し、封止材2の上側面2aの形
状が、有底円筒状体の内側面の形状とほぼ同じになる。
出成形し、これを乾燥する。次いで、円筒状成形体1の
一端から、濾紙等の有機物多孔体からなる封止材2を挿
入する。封止材2の端部を、円筒状成形体1の内壁面1a
に固定する。次いで、セラミックスラリーを円筒状成形
体1の内側空間に流し込み、封止材2の上に堆積層3を
形成させる。そして、円筒状成形体1をこの状態で乾燥
し、焼成して、図6(b) に示すような焼成体5を得る。
この後、破線6で示すように焼成体5を研削加工し、目
的とする有底円筒状体を得る。焼成段階で、有機物多孔
体からなる封止材2が消失し、封止材2の上側面2aの形
状が、有底円筒状体の内側面の形状とほぼ同じになる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかし、実際に検討を
詳しく進めてみると、新たな問題が発生した。即ち、乾
燥時において、セラミックススラリーからなる堆積層3
に、円筒状成形体1の長さ方向にほぼ向うように、クラ
ッラ9が生ずることが判明した。このクラックは、焼成
体5においてもやはり残るので、破線6で示すような研
削加工をしても有底部にクラックが生ずることが多かっ
た。これでは、有底部の強度が規定の値に達せず、不良
品となり、製品の歩留りが低下する。本発明の課題は、
乾燥時においてセラミックススラリーからなる堆積層に
生ずるクラックを防止し、製品の歩留りを向上させるこ
とである。
詳しく進めてみると、新たな問題が発生した。即ち、乾
燥時において、セラミックススラリーからなる堆積層3
に、円筒状成形体1の長さ方向にほぼ向うように、クラ
ッラ9が生ずることが判明した。このクラックは、焼成
体5においてもやはり残るので、破線6で示すような研
削加工をしても有底部にクラックが生ずることが多かっ
た。これでは、有底部の強度が規定の値に達せず、不良
品となり、製品の歩留りが低下する。本発明の課題は、
乾燥時においてセラミックススラリーからなる堆積層に
生ずるクラックを防止し、製品の歩留りを向上させるこ
とである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、セラミックス
成形材料からなる、乾燥した筒状成形体の内壁面に有機
物多孔体からなる封止材を固定し、前記筒状成形体の内
側空間にセラミックススラリーを流し込んで前記封止材
の上に堆積層を形成し、かつ少なくともこの堆積層の上
端から下端に亘って前記筒状成形体の外壁面を覆う非吸
湿性の被覆材を設け、この状態で筒状成形体を乾燥し、
次いで乾燥後の筒状成形体を焼成し、これにより前記封
止材を消失させると共に一端の封じられたセラミックス
筒状体を製造する、セラミックス筒状体の製造方法に係
るものである。
成形材料からなる、乾燥した筒状成形体の内壁面に有機
物多孔体からなる封止材を固定し、前記筒状成形体の内
側空間にセラミックススラリーを流し込んで前記封止材
の上に堆積層を形成し、かつ少なくともこの堆積層の上
端から下端に亘って前記筒状成形体の外壁面を覆う非吸
湿性の被覆材を設け、この状態で筒状成形体を乾燥し、
次いで乾燥後の筒状成形体を焼成し、これにより前記封
止材を消失させると共に一端の封じられたセラミックス
筒状体を製造する、セラミックス筒状体の製造方法に係
るものである。
【0008】
【実施例】図1(a),(b),(c) 及び(d) は、本発明の実施
例を説明するための要部断面図である。図2は、図1
(c) において、円筒状成形体1を径方向に切ってみた断
面図である。まず、図1(a) に示すように、セラミック
ス材料からなる円筒状成形体1を、押出成形等によって
作製する。次いで、図1(b) に示すように、有機物多孔
体からなるキャップ状の封止材2を、円筒状成形体1の
一端から挿入し、内壁面1aに固定する。封止材2の上側
面2aは略半球状に盛り上がっている。
例を説明するための要部断面図である。図2は、図1
(c) において、円筒状成形体1を径方向に切ってみた断
面図である。まず、図1(a) に示すように、セラミック
ス材料からなる円筒状成形体1を、押出成形等によって
作製する。次いで、図1(b) に示すように、有機物多孔
体からなるキャップ状の封止材2を、円筒状成形体1の
一端から挿入し、内壁面1aに固定する。封止材2の上側
面2aは略半球状に盛り上がっている。
【0009】本実施例では、非吸湿性の被覆材として、
いわゆる割型のビニールパイプ4Aを使用する。このビニ
ールパイプ4Aは全体として円筒状であり、その長さ方向
に延びる切れ目4aが設けられている。このビニールパイ
プ4A の切れ目4aを大きく開いてビニールパイプ4A を
変形させ、この状態でビニールパイプ4Aを、図1(c)及
び図2に示すように円筒状成形体1の外壁面に取り付け
る。ビニールパイプ4Aの切れ目4aは若干開くので、この
部分にビニールテープ7を貼りつけて固定する。
いわゆる割型のビニールパイプ4Aを使用する。このビニ
ールパイプ4Aは全体として円筒状であり、その長さ方向
に延びる切れ目4aが設けられている。このビニールパイ
プ4A の切れ目4aを大きく開いてビニールパイプ4A を
変形させ、この状態でビニールパイプ4Aを、図1(c)及
び図2に示すように円筒状成形体1の外壁面に取り付け
る。ビニールパイプ4Aの切れ目4aは若干開くので、この
部分にビニールテープ7を貼りつけて固定する。
【0010】そして、円筒状成形体1の上端からセラミ
ックススラリーを流し込み、封止材2の上に、セラミッ
クススラリーからなる堆積層3を形成する。この時点
で、少なくとも堆積層3の上端から下端へと亘って、ビ
ニールパイプ4で円筒状成形体1の外壁面を被覆できる
ようにする。ただし、この際においても、切れ目4aの部
分においては、ビニールパイプ4Aの上端から下端に亘っ
て、円筒状成形体1の外壁面が細長く露出する。
ックススラリーを流し込み、封止材2の上に、セラミッ
クススラリーからなる堆積層3を形成する。この時点
で、少なくとも堆積層3の上端から下端へと亘って、ビ
ニールパイプ4で円筒状成形体1の外壁面を被覆できる
ようにする。ただし、この際においても、切れ目4aの部
分においては、ビニールパイプ4Aの上端から下端に亘っ
て、円筒状成形体1の外壁面が細長く露出する。
【0011】この状態で円筒状成形体1及び堆積層3を
乾燥し、堆積層3を内壁面1aに対して着肉させる。この
後、乾燥品を焼成すると、図1(d)に示すような焼成体5
が得られる。焼成段階で、封止材2は消失し、円筒状成
形体1と堆積層3とが、互いに連続的に一体化する。例
えば破線6で示すように焼成体5を研削加工し、有底円
筒状のセラミックス製品を得る。
乾燥し、堆積層3を内壁面1aに対して着肉させる。この
後、乾燥品を焼成すると、図1(d)に示すような焼成体5
が得られる。焼成段階で、封止材2は消失し、円筒状成
形体1と堆積層3とが、互いに連続的に一体化する。例
えば破線6で示すように焼成体5を研削加工し、有底円
筒状のセラミックス製品を得る。
【0012】次に、被覆材であるビニールパイプ4Aの作
用効果について説明する。本発明者は、図6(a) に示し
たようなクラック9の発生原因について種々検討した結
果、次のことを明らかにした。即ち、セラミックススラ
リーを流し込んだ段階では、円筒状成形体1の方は一度
予備的に乾燥してあり、セラミックススラリーよりも円
筒状成形体1の方が水分が少ない。この後、乾燥段階に
おいて、堆積層3から円筒状成形体1の方へと徐々に水
分が移動すると共に、円筒状成形体1の外壁面から水分
が蒸発する。この水分移動に伴い、堆積層3が円筒状成
形体1に対して着肉し、両者の隙間が生じなくなる。
用効果について説明する。本発明者は、図6(a) に示し
たようなクラック9の発生原因について種々検討した結
果、次のことを明らかにした。即ち、セラミックススラ
リーを流し込んだ段階では、円筒状成形体1の方は一度
予備的に乾燥してあり、セラミックススラリーよりも円
筒状成形体1の方が水分が少ない。この後、乾燥段階に
おいて、堆積層3から円筒状成形体1の方へと徐々に水
分が移動すると共に、円筒状成形体1の外壁面から水分
が蒸発する。この水分移動に伴い、堆積層3が円筒状成
形体1に対して着肉し、両者の隙間が生じなくなる。
【0013】ところが、この水分移動の過程で、円筒状
成形体1の壁面内の水分が若干上昇し、堆積層3に接し
ている部分の強度が下がる。このため、円筒状成形体1
に一種の座屈が起こり、円筒状成形体1が全周に亘って
外側へと若干広がる。このとき、堆積層3が円筒状成形
体1に着肉しているので、円筒状成形体1が外周側へと
向って広がると、堆積層3も全周に亘って外側へと引っ
張られる。この結果、堆積層3に亀裂が生ずる。クラッ
ク9が、円筒状成形体1の長さ方向に向って延びるの
も、この推論を裏付けている。
成形体1の壁面内の水分が若干上昇し、堆積層3に接し
ている部分の強度が下がる。このため、円筒状成形体1
に一種の座屈が起こり、円筒状成形体1が全周に亘って
外側へと若干広がる。このとき、堆積層3が円筒状成形
体1に着肉しているので、円筒状成形体1が外周側へと
向って広がると、堆積層3も全周に亘って外側へと引っ
張られる。この結果、堆積層3に亀裂が生ずる。クラッ
ク9が、円筒状成形体1の長さ方向に向って延びるの
も、この推論を裏付けている。
【0014】こうした考えから、本発明者は、円筒状成
形体1のほぼ全周に亘って、ビニールパイプ4Aで被覆し
た。この結果、円筒状成形体1が外周へと向って局所的
に広がるのを防止でき、これによりクラック9の発生を
防止できることが解った。しかも、これと同時に、堆積
層3の円筒状成形体1への着肉も進行した。このよう
に、パイプ4Aによって、焼成体5においてもクラックの
発生を防止し、セラミックス円筒状体の歩留りを上げる
ことが可能になった。
形体1のほぼ全周に亘って、ビニールパイプ4Aで被覆し
た。この結果、円筒状成形体1が外周へと向って局所的
に広がるのを防止でき、これによりクラック9の発生を
防止できることが解った。しかも、これと同時に、堆積
層3の円筒状成形体1への着肉も進行した。このよう
に、パイプ4Aによって、焼成体5においてもクラックの
発生を防止し、セラミックス円筒状体の歩留りを上げる
ことが可能になった。
【0015】以下、更に好ましい態様について述べる。
まず、封止材2は、濾紙で形成することが好ましい。こ
うすると、封止材2においてもセラミックススラリー中
の水分が吸収されるので、堆積層3全体が均一に乾燥さ
れる。もし封止材2に吸水性能がないものとすると、堆
積層3の外周付近と中央付近とで、乾燥の度合に差が生
じうる。
まず、封止材2は、濾紙で形成することが好ましい。こ
うすると、封止材2においてもセラミックススラリー中
の水分が吸収されるので、堆積層3全体が均一に乾燥さ
れる。もし封止材2に吸水性能がないものとすると、堆
積層3の外周付近と中央付近とで、乾燥の度合に差が生
じうる。
【0016】また、円筒状成形体1に堆積層を接合する
前に、円筒状成形体1を焼成してはいけない。もし、焼
成後のセラミックス円筒状体に堆積層3を接合しようと
するすると、次に堆積層3を焼成する段階で、堆積層3
の焼成収縮量の方が円筒状体の収縮量よりもかなり大き
い。このため、両者の境界に不可避的にクラックが生ず
る。
前に、円筒状成形体1を焼成してはいけない。もし、焼
成後のセラミックス円筒状体に堆積層3を接合しようと
するすると、次に堆積層3を焼成する段階で、堆積層3
の焼成収縮量の方が円筒状体の収縮量よりもかなり大き
い。このため、両者の境界に不可避的にクラックが生ず
る。
【0017】堆積層3を構成するセラミックススラリー
と円筒状成形体1とは、同じ材質とするのが好ましく、
異なる材質であったとしても焼成収縮率の差は小さい方
が好ましい。これにより、焼成時に堆積層3と円筒状成
形体1との収縮量の差が小さくなるので、両者間にクラ
ックが生じにくい。セラミックススラリー中の水分含有
率は、30重量%以下とすることが好ましい。これが30重
量%を超えると乾燥に長時間がかかる。また、乾燥時に
おける円筒状成形体1の変形量が大きくなり、その底部
にクラックが生じ易い。
と円筒状成形体1とは、同じ材質とするのが好ましく、
異なる材質であったとしても焼成収縮率の差は小さい方
が好ましい。これにより、焼成時に堆積層3と円筒状成
形体1との収縮量の差が小さくなるので、両者間にクラ
ックが生じにくい。セラミックススラリー中の水分含有
率は、30重量%以下とすることが好ましい。これが30重
量%を超えると乾燥に長時間がかかる。また、乾燥時に
おける円筒状成形体1の変形量が大きくなり、その底部
にクラックが生じ易い。
【0018】被覆材としてはビニールパイプ4Aを用いた
が、他にも、非吸湿性で弾性を有する材料を好ましく使
用できる。弾性材料を使用すれば、被覆材が円筒状成形
体の外周形状に良く追従する。また、被覆材として吸水
性材料を用いると、円筒状成形体1の外壁面からの水分
放出速度が大きくなりすぎる。このため、堆積層3から
円筒状成形体1への水分の浸透が遅れ、両者の着肉が悪
くなり易い。
が、他にも、非吸湿性で弾性を有する材料を好ましく使
用できる。弾性材料を使用すれば、被覆材が円筒状成形
体の外周形状に良く追従する。また、被覆材として吸水
性材料を用いると、円筒状成形体1の外壁面からの水分
放出速度が大きくなりすぎる。このため、堆積層3から
円筒状成形体1への水分の浸透が遅れ、両者の着肉が悪
くなり易い。
【0019】被覆材によって、堆積層3が存在する領域
のうち、50%以上を被覆することが好ましく、95%以上
を被覆することが更に好ましい。被覆されている部分と
被覆されていない部分とでは、円筒状成形体1の外壁面
からの蒸発量が異なるので、これに伴いセラミックスス
ラリー中の水分量の分布が不均一になり易く、この結
果、堆積層3内にクラックが発生し易くなるからであ
る。
のうち、50%以上を被覆することが好ましく、95%以上
を被覆することが更に好ましい。被覆されている部分と
被覆されていない部分とでは、円筒状成形体1の外壁面
からの蒸発量が異なるので、これに伴いセラミックスス
ラリー中の水分量の分布が不均一になり易く、この結
果、堆積層3内にクラックが発生し易くなるからであ
る。
【0020】被覆材は、ビニールパイプ4Aのように割型
であるものが好ましい。これなら、切れ目4aを広げるこ
とで、種々の寸法に対応でき、簡単に取り付け、取り外
しができ、この際に円筒状成形体を損傷しない。
であるものが好ましい。これなら、切れ目4aを広げるこ
とで、種々の寸法に対応でき、簡単に取り付け、取り外
しができ、この際に円筒状成形体を損傷しない。
【0021】図3に示す実施例においては、2個のビニ
ールシート4Bを準備し、各ビニールシート4Bを、互いに
対向するように円筒状成形体1の外壁面に取り付ける。
各ビニールシート4Bは、それぞれ、円筒状成形体1の全
周のうち、例えば 1/4〜1/2程度を被覆する。各ビニー
ルシート4Bの間からは、円筒状成形体1の外壁面が露出
するので、一対のビニールテープ7をこの露出部分に貼
り付ける。
ールシート4Bを準備し、各ビニールシート4Bを、互いに
対向するように円筒状成形体1の外壁面に取り付ける。
各ビニールシート4Bは、それぞれ、円筒状成形体1の全
周のうち、例えば 1/4〜1/2程度を被覆する。各ビニー
ルシート4Bの間からは、円筒状成形体1の外壁面が露出
するので、一対のビニールテープ7をこの露出部分に貼
り付ける。
【0022】図4及び図5に示す実施例においては、円
筒状成形体1の外壁面に、その全周に亘って円筒状の紙
8を配置し、紙8の外周面にビニールパイプ4Aを取り付
ける。ビニールパイプ4Aの切れ目4aにビニールテープ7
を貼り付ける。ビニールパイプ4Aと紙8との長さ方向寸
法はほぼ同じとする。
筒状成形体1の外壁面に、その全周に亘って円筒状の紙
8を配置し、紙8の外周面にビニールパイプ4Aを取り付
ける。ビニールパイプ4Aの切れ目4aにビニールテープ7
を貼り付ける。ビニールパイプ4Aと紙8との長さ方向寸
法はほぼ同じとする。
【0023】こうした構成とすれば、紙8が、円筒状成
形体1とビニールパイプ4Aとの間でクッションとなるの
で、円筒状成形体1の外壁面に、ビニールパイプ4A(特
にその切れ目4a) による傷が付くのを防止できる。ま
た、紙8としては、適度の通気性と吸湿性とを有するも
のが好ましい。
形体1とビニールパイプ4Aとの間でクッションとなるの
で、円筒状成形体1の外壁面に、ビニールパイプ4A(特
にその切れ目4a) による傷が付くのを防止できる。ま
た、紙8としては、適度の通気性と吸湿性とを有するも
のが好ましい。
【0024】次に、実際の実験結果について述べる。図
2、図3、図4及び図6(a) に示すような状態で、それ
ぞれ乾燥を行った。ただし、円筒状成形体1の外径は20
mmとし、肉厚は2mmとし、長さは100mm とした。また、
封止材2の材質は濾紙とした。円筒状成形体1はジルコ
ニア成形材料を押出成形して作った。堆積層3は、25重
量%の水分を含むジルコニア質スラリーで形成した。
2、図3、図4及び図6(a) に示すような状態で、それ
ぞれ乾燥を行った。ただし、円筒状成形体1の外径は20
mmとし、肉厚は2mmとし、長さは100mm とした。また、
封止材2の材質は濾紙とした。円筒状成形体1はジルコ
ニア成形材料を押出成形して作った。堆積層3は、25重
量%の水分を含むジルコニア質スラリーで形成した。
【0025】そして、図2、図3、図4、図6(a) に示
す各組立体を、温度70℃、湿度50%の恒温恒湿槽の中に
入れ、10時間乾燥させた。そして、各組立体を乾燥室か
ら取り出した。図2、図3、図4の組立体については、
ビニールパイプ等を円筒状成形体から分離した。次い
で、各円筒状成形体を電気炉内に入れ、焼成温度1450
℃、1450℃での保持時間2時間という条件で焼成した。
す各組立体を、温度70℃、湿度50%の恒温恒湿槽の中に
入れ、10時間乾燥させた。そして、各組立体を乾燥室か
ら取り出した。図2、図3、図4の組立体については、
ビニールパイプ等を円筒状成形体から分離した。次い
で、各円筒状成形体を電気炉内に入れ、焼成温度1450
℃、1450℃での保持時間2時間という条件で焼成した。
【0026】なお、図2、図4に示す組立体において
は、ビニールパイプ4Aによって、円周の95%、即ち堆積
層が存在している領域のうちの95%を被覆した。図3に
示す組立体においては、二枚のビニールシート4Bによっ
て、堆積層が存在している領域のうちの50%を被覆し
た。
は、ビニールパイプ4Aによって、円周の95%、即ち堆積
層が存在している領域のうちの95%を被覆した。図3に
示す組立体においては、二枚のビニールシート4Bによっ
て、堆積層が存在している領域のうちの50%を被覆し
た。
【0027】それぞれ、100 本毎について上記の処理を
施し、クラック9の発生の有無を調べた。この結果、図
2、図4に示したような状態で乾燥を行った場合には、
焼成体5にクラックは発生しなかった。図3に示したよ
うな状態で乾燥を行った場合には、5本においてクラッ
クが発生した。図6(a) に示したような状態で乾燥を行
った場合には、90本においてクラックが発生したので、
全体の歩留りは10%である。
施し、クラック9の発生の有無を調べた。この結果、図
2、図4に示したような状態で乾燥を行った場合には、
焼成体5にクラックは発生しなかった。図3に示したよ
うな状態で乾燥を行った場合には、5本においてクラッ
クが発生した。図6(a) に示したような状態で乾燥を行
った場合には、90本においてクラックが発生したので、
全体の歩留りは10%である。
【0028】また、図2に示したような状態で乾燥を行
った場合には、焼成体5の外壁面に傷が付いた。これに
対し、図4に示したような状態で乾燥を行った場合に
は、焼成体5の外壁面に傷が付かなかった。こうした傷
は、クラック9のようには重大な問題ではないが、外壁
面を研削加工したりする必要を生じさせる。本発明にお
いて、筒状成形体は、円筒状成形体には限られず、内壁
面と外壁面との径方向(幅方向)の輪郭が、三角形、四
角形、六角形、楕円形等である筒状成形体も含む。
った場合には、焼成体5の外壁面に傷が付いた。これに
対し、図4に示したような状態で乾燥を行った場合に
は、焼成体5の外壁面に傷が付かなかった。こうした傷
は、クラック9のようには重大な問題ではないが、外壁
面を研削加工したりする必要を生じさせる。本発明にお
いて、筒状成形体は、円筒状成形体には限られず、内壁
面と外壁面との径方向(幅方向)の輪郭が、三角形、四
角形、六角形、楕円形等である筒状成形体も含む。
【0029】
【発明の効果】本発明によれば、少なくとも堆積層の上
端から下端に亘って筒状成形体の外壁面を覆う非吸湿性
の被覆材を設けている。このため、セラミックススラリ
ーからなる堆積層から、いったん乾燥された筒状成形体
の方へと水分が移動し、両者の着肉が進行すると共に、
筒状成形体のうちセラミックススラリーと接している領
域の強度が一時的に下がっても、筒状成形体が局所的に
外周方向へと向って広がるのを防止できる。従って、こ
の筒状成形体によって堆積層が外周方向へと向って引っ
張られることはない。これにより、乾燥工程中に堆積層
にクラックが発生するのを防止できるので、セラミック
ス筒状体の歩留りが向上する。
端から下端に亘って筒状成形体の外壁面を覆う非吸湿性
の被覆材を設けている。このため、セラミックススラリ
ーからなる堆積層から、いったん乾燥された筒状成形体
の方へと水分が移動し、両者の着肉が進行すると共に、
筒状成形体のうちセラミックススラリーと接している領
域の強度が一時的に下がっても、筒状成形体が局所的に
外周方向へと向って広がるのを防止できる。従って、こ
の筒状成形体によって堆積層が外周方向へと向って引っ
張られることはない。これにより、乾燥工程中に堆積層
にクラックが発生するのを防止できるので、セラミック
ス筒状体の歩留りが向上する。
【図1】(a) は円筒状成形体1を示す部分断面図、(b)
は円筒状成形体1の内壁面1aにキャップ状の封止材2を
取り付けた状態を示す断面図、(c) は封止材2の上にセ
ラミックススラリーを流し込んだ状態を示す断面図、
(d) は焼成体5を示す断面図である。
は円筒状成形体1の内壁面1aにキャップ状の封止材2を
取り付けた状態を示す断面図、(c) は封止材2の上にセ
ラミックススラリーを流し込んだ状態を示す断面図、
(d) は焼成体5を示す断面図である。
【図2】円筒状成形体1の外壁面にビニールパイプ4Aを
取り付けた状態を示す断面図である。
取り付けた状態を示す断面図である。
【図3】円筒状成形体1の外壁面に、2枚のビニールシ
ート4Bを取り付けた状態を示す断面図である。
ート4Bを取り付けた状態を示す断面図である。
【図4】円筒状成形体1の外壁面に、円筒状の紙8とビ
ニールパイプ4Aとを順次取り付けた状態を示す断面図で
ある。
ニールパイプ4Aとを順次取り付けた状態を示す断面図で
ある。
【図5】円筒状成形体1の外壁面に、円筒状の紙8とビ
ニールパイプ4Aとを順次取り付けた状態で、円筒状成形
体1の長さ方向に切って見た断面図である。
ニールパイプ4Aとを順次取り付けた状態で、円筒状成形
体1の長さ方向に切って見た断面図である。
【図6】(a) は、封止材2の上にセラミックススラリー
を流し込んだ状態を示す断面図、(b) は焼成体5を示す
断面図である。
を流し込んだ状態を示す断面図、(b) は焼成体5を示す
断面図である。
1 円筒状成形体 1a 内壁面 2 封止材 3 セラミックススラリーからなる堆積層 4A ビニールパイプ (被覆材) 4B ビニールシート (被覆材) 5 焼成体 8 紙 9 クラック
Claims (3)
- 【請求項1】 セラミックス成形材料からなる乾燥した
筒状成形体の内壁面に有機物多孔体からなる封止材を固
定し、前記筒状成形体の内側空間にセラミックススラリ
ーを流し込んで前記封止材の上に堆積層を形成し、かつ
少なくともこの堆積層の上端から下端に亘って前記筒状
成形体の外壁面を覆う非吸湿性の被覆材を設け、この状
態で前記筒状成形体を乾燥し、次いで乾燥後の筒状成形
体を焼成し、これにより前記封止材を消失させると共に
一端の封じられたセラミックス筒状体を製造する、セラ
ミックス筒状体の製造方法。 - 【請求項2】 前記被覆材が、前記堆積層が存在する領
域のうち95%以上を被覆している、請求項1記載のセラ
ミックス筒状体の製造方法。 - 【請求項3】 前記筒状成形体の外壁面と前記被覆材と
の間に紙が挟まれている、請求項1記載のセラミックス
筒状体の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP3245841A JPH0811406B2 (ja) | 1991-09-25 | 1991-09-25 | セラミックス筒状体の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP3245841A JPH0811406B2 (ja) | 1991-09-25 | 1991-09-25 | セラミックス筒状体の製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH0584732A JPH0584732A (ja) | 1993-04-06 |
JPH0811406B2 true JPH0811406B2 (ja) | 1996-02-07 |
Family
ID=17139650
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP3245841A Expired - Lifetime JPH0811406B2 (ja) | 1991-09-25 | 1991-09-25 | セラミックス筒状体の製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH0811406B2 (ja) |
Families Citing this family (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN112873525B (zh) * | 2020-12-21 | 2022-03-15 | 浙江海亮环境材料有限公司 | 一种陶瓷纤维滤管一体化成型设备及方法 |
Citations (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS63312811A (ja) * | 1987-06-17 | 1988-12-21 | Ngk Insulators Ltd | セラミックチュ−ブの端面封じ方法 |
JPH02274503A (ja) * | 1989-04-17 | 1990-11-08 | Ngk Insulators Ltd | セラミック鋳込成形物の乾燥方法 |
JPH0361502A (ja) * | 1989-07-31 | 1991-03-18 | Toyota Motor Corp | スリップキャスティング成形方法 |
-
1991
- 1991-09-25 JP JP3245841A patent/JPH0811406B2/ja not_active Expired - Lifetime
Patent Citations (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS63312811A (ja) * | 1987-06-17 | 1988-12-21 | Ngk Insulators Ltd | セラミックチュ−ブの端面封じ方法 |
JPH02274503A (ja) * | 1989-04-17 | 1990-11-08 | Ngk Insulators Ltd | セラミック鋳込成形物の乾燥方法 |
JPH0361502A (ja) * | 1989-07-31 | 1991-03-18 | Toyota Motor Corp | スリップキャスティング成形方法 |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH0584732A (ja) | 1993-04-06 |
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