JPH0569683B2

JPH0569683B2 -

Info

Publication number: JPH0569683B2
Application number: JP26314990A
Authority: JP
Inventors: Satoshi Daiku
Original assignee: NGK Insulators Ltd
Current assignee: NGK Insulators Ltd
Priority date: 1990-10-02
Filing date: 1990-10-02
Publication date: 1993-10-01
Also published as: JPH04140108A

Description

【発明の詳細な説明】（産業上の利用分野）本発明は、いわゆる押出法による素材より、切
削加工により大型碍子を製作する大型碍子の成形
法に関するものである。

（従来の技術）磁器製の碍子を製造するには、通常、所定組成
に調合されトロンメル等で粉砕混合した泥漿を、
フイルタープレスで約20％程度の水分にまで脱水
し、真空土練機等で押出して押出素体を形成す
る。そして大型碍子の製作の場合は、押出素体を
例えば通電乾燥により水分を17〜18％程度まで乾
燥し、切削加工により所定碍子形状に切削し碍子
成形体を形成していた。そして、この成形体を水
分１％程度まで乾燥した後、施釉、および金具接
着個所にサンド付けを行い、次いで成形乾燥品を
連続式のトンネル炉等に入れ、高温で加熱焼成し
て化学的反応を起こさせて磁器化し、碍子を製造
する。

このうち、坏土の押出法においては、通常、真
空押出機を用いて減圧下でフイルタープレスによ
る脱水ケーキを土練し、棒状または管状に押出成
形し、この押出素体を電流または蒸気によつて適
度の水分及び硬さになるまで乾燥させた後、切削
機により切削加工し、所定形状の碍子成形体を得
る。

（発明が解決しようとする課題）しかし、例えば笠径が1000mm以上の大物の碍子
や、複雑な形状の碍子を切削加工によつて製作す
る場合には、一個の碍子成形体の切削加工に１〜
２時間がかかり、このため外気に曝された成形体
表面から乾燥が始まり、局部乾燥による微細なク
ラツクが発生し、碍子成形体の収率が低下するこ
とがあつた。

本発明の課題は、大型の磁器碍子、特に特殊形
状、複雑形状の碍子を切削成形するのに際し、切
削成形体の表面の局部乾燥に伴うクラツク発生や
表面部分の剥離を防止し、碍子成形体の収率を高
めることができるような、大型碍子の成形法を提
供することである。

（課題を解決するための手段）本発明は、原料坏土を押出成形して押出素体を
作製し、この押出素体を切削加工して所定形状の
碍子成形体を作製する大型碍子の成形法におい
て、高湿度雰囲気中で前記押出素体の切削加工を
行うことを特徴とする大型碍子の成形法に係るも
のである。

（作用）本発明者は、種々検討の結果、上記した押出素
体を所定碍子形状に切削加工する切削工程中にお
ける碍子成形体表面の局部乾燥に伴う変質、剥
離、この表面部分からの微細なクラツク発生が、
従来見逃されてきた切削工程中の周囲雰囲気に起
因することを見出した。

即ち、大型の碍子成形体の切削加工には時間が
かかるため、この間に、既に切削を終え特に笠部
分等の表面が周囲雰囲気との接触により局部的に
部分乾燥し、この乾燥による成形体の状態変化が
上記した表面部分からの微細なクラツク発生等の
原因となつていたのである。

これに対し、本発明においては、押出素体から
碍子成形体への切削加工を高湿度の雰囲気中で実
施するので、碍子成形体の表面部分が切削工程中
に不均一に局部乾燥するのを防止できるので、成
形体の表面部分の局部乾燥にともなう剥離や変
質、クラツク発生を防止できる。これにより、従
来大きな問題であつた、大型碍子の切削工程中に
おけるクラツク発生に伴う歩留低下を解決できた
のである。

上記の切削加工は、湿度80％以上の雰囲気で実
施すると更に好ましく、85〜995％の湿度の雰囲
気で実施するとより一層好ましい。

本発明の方法は、第１図に概略的に示すように
して実施するのが好ましい。

床７上にビニール等からなる気体不透過性の囲
い１を設け、この囲い１の内部雰囲気５を工場内
雰囲気１０と隔離する。囲い１内には、切削バイ
ト４を有する数値工作機２を固定し、例えば円筒
状、円柱状の押出素体をターンテーブル１１上で
回転し、切削バイト４で切削加工して所定形状の
碍子成形体３を作製する。また、囲い１内には例
えば加湿器８を設置し、水蒸気９を発生させて囲
い１内の内部雰囲気５を好ましくは湿度80％以上
に調湿する。なお、図示しない湿度計によつて内
部雰囲気５の湿湿度を検出し、又調湿する。

なお、ビニール等からなる囲いの他に、温度、
湿度等が調節できる室であつても勿論よく、又囲
い中に加湿器を設置する代りに外部より囲い中に
高湿度の空気等を吸込んでも勿論よいものであ
る。

又、囲い中の周囲温度としては室温で充分であ
る。

（実施例）真空押出機により押出成形した含水率約20％の
押出素体を通電乾燥により含水率約17％程度まで
乾燥し、その円筒状押出素体を、例えばそれぞれ
第１図の装置の囲い１内の数値工作機２にセツト
し、内部雰囲気５の湿度を加湿器により所定値に
設定し、円筒状押出素体の切削加工を行い、各湿
度毎に成形体３の収率を測定した。具体的には、
各湿度毎における各成形体においてクラツク、剥
離の発生しなかつたものの個数を全切削素体の個
数で除して収率を算出した。なお、円筒状押出素
体の寸法は、外径1250mm、内径400mm、長さ2000
mmとし、これを切削して得た碍子成形体の寸法
は、外径1063mm、内径438mm、長さ1620mmとした。
この結果を第２図に示す。

第２図の結果から、囲い１内の内部雰囲気５の
湿度を高めると、切削品の収率の改善に顕著な効
果があり、また、湿度を80％以上とすると収率が
ほぼ100％に近くなり、湿度を85％以上とすると
収率が実質的に100％となることが解る。

本発明によれば、押出素体の碍子成形体への切
削作業を高湿度雰囲気中で行うので、切削中の切
削品の部分的な局部乾燥をなくすることができ、
従つて、局部的乾燥にともなうクラツクの発生を
防止でき成形収率を大幅に向上することができる
大型碍子の成形法である。

【図面の簡単な説明】

第１図は、押出素体の切削加工を高湿度雰囲気
中で実施している状態を概略的に示す部分断面
図、第２図は、囲い内部雰囲気の湿度と碍子成形
体の収率との関係を示すグラフである。１…囲い、２…数値工作機、３…碍子用磁器形
成体、４…切削バイト、５…囲いの内部雰囲気、
８…加湿器、９…水蒸気、１０…工場内雰囲気、
１１…ターンテーブル。

Claims

【特許請求の範囲】１原料坏土を押出成形して押出素体を作製し、
この押出素体を切削加工して所定形状の碍子成形
体を作製する大型碍子の成形法において、高湿度
雰囲気中で前記押出素体の切削加工を行うことを
特徴とする大型碍子の成形法。２前記高湿度の雰囲気が、湿度80％以上の雰囲
気である、請求項１記載の大型碍子の成形法。