JPH08112554A - 電気絶縁材及びこれを用いた空気清浄機用集塵電極 - Google Patents

電気絶縁材及びこれを用いた空気清浄機用集塵電極

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JPH08112554A
JPH08112554A JP27833194A JP27833194A JPH08112554A JP H08112554 A JPH08112554 A JP H08112554A JP 27833194 A JP27833194 A JP 27833194A JP 27833194 A JP27833194 A JP 27833194A JP H08112554 A JPH08112554 A JP H08112554A
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flame
adhesive
tackifier
insulating material
retardant
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JP27833194A
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Masaki Goto
正樹 後藤
Hirokazu Sakai
洋和 酒井
Mitsuaki Shigekuni
光明 重国
Takayuki Shimizu
孝行 志水
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Sumitomo Riko Co Ltd
Original Assignee
Sumitomo Riko Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 アルミ電極などの導電材をポリプロピレン系
の絶縁樹脂フィルムにより被覆(ラミネート)した薄肉
の電気絶縁材を提供する。ラミネート温度の低温化ある
いはラインスピードアップにより電気絶縁材の製造コス
トダウンを図る。また、空気清浄機の集塵電極としての
集塵効率の継続的維持を図ると共に、火災等の異常を回
避する。 【構成】 導電材を耐電圧特性に優れたポリプロピレン
系の絶縁樹脂フィルムにより被覆(ラミネート)した電
気絶縁材において、導電材とPP系絶縁樹脂フィルムと
の間に介在される接着剤として難燃性のものを用い、か
つこの難燃性の接着剤に粘着付与剤を添加する。難燃性
接着剤としては無水マレイン酸変性ポリプロピレンに難
燃剤や難燃助剤を配合したものが一例として挙げられ、
また、これに添加される粘着付与剤としてはロジン系、
テルペン水添系、脂環族飽和炭化水素系、あるいは合成
石油樹脂(C5 )系等が好適なものとして挙げられる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、空気清浄機の集塵電極
などとして好適な電気絶縁材およびこの電気絶縁材を用
いる空気清浄機用集塵電極に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、この種の空気清浄機は、単体使用
あるいはエアコン組み込みタイプとして家庭用に用いら
れたり、会議室,オフィス,病院,パチンコ屋,麻雀
荘,カラオケボックス等の業務用に、あるいは乗用車,
鉄道車両等の車搭載用等の各種用途に用いられているこ
とは周知のとおりである。ところでこの空気清浄機の集
塵システムとしては、フィルター式,静電フィルター
式,電気式などがあるが、フィルター式は集塵性能が悪
く、また静電フィルター式は集塵効率が低いうえにタバ
コの煙が取れない等の性能上の問題がある。
【0003】これに対して電気式集塵機は集塵効率が高
く、タバコの煙も捕集できて高性能であり、また集塵機
としての高出力化,コンパクト化が図れる等の特長があ
り、将来的な需要増が期待されている。
【0004】この電気式集塵機の集塵メカニズムを図3
に示して概略的に説明すると、送風ファン10の駆動に
より塵埃を含んだ空気がイオン化部(イオナイザー部)
12を通過するときにその空気に含まれる塵埃が一方の
極性(この側では、プラスの極性)に帯電(イオン化)
し、集塵部(集塵ユニット部)14に送られる。
【0005】そしてこの集塵ユニット部14では、図4
に示したように、プラスの電極に導通されるプラス側電
極板16とマイナスの電極に導通されるマイナス側電極
板18とが交互に配置され、マイナス側電極板18を接
地(アース)しプラス側電極板16に高電圧(例えば、
2000V)を印加することにより両電極板間に電界を
生じさせ、イオン化された塵埃を一方の電極板(この例
では、マイナスの電極板18)に付着させて補集するも
のである。
【0006】このような集塵メカニズムの電気式集塵機
において、前述の集塵ユニット部14のプラス側電極板
16は電気的な短絡(ショート)による事故を防止する
ため絶縁材料により被覆されている。
【0007】その電気絶縁材の構成としては従来いくつ
か知られているが、その1つとして例えば、いわゆる
「モールドタイプ」と称されるもので、アルミニウム
(Al)の電極材の周囲をポリ塩化ビニル樹脂(PV
C)の絶縁材により被覆するように押出成形したものが
知られている。また、PVC樹脂は耐電圧特性が劣るこ
とから、これに代わる材料としてポリプロピレン樹脂
(PP)の絶縁材によりアルミ電極材の周囲を被覆し、
これにより耐電圧特性を改良したものも知られている。
【0008】そして、この耐電圧特性に優れたPP材料
への変更によりアルミ電極をこのPP材料の絶縁フィル
ムによりラミネートして薄肉化することができ、これに
よりこの電極絶縁材を空気清浄機の集塵電極に用いたと
きに塵埃が電極を通過するときの圧力損失を少なくする
ことができる。また、電極間の間隔をそれだけ狭くする
ことができるから集塵効率を向上させることができ、さ
らには高性能化、コンパクト化等も図ることができる等
の利点を有するものである。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、PPラ
ミネートタイプの電極絶縁材は、アルミ電極とPP絶縁
フィルムとの間に貼り合わせ用の接着剤が用いられてお
り、この接着剤には従来熱接着性が良く、また、絶縁破
壊を起さず経時的に安定しているものとして、エチレン
アクリル酸エチル共重合体などが用いられているが、従
来から用いられているこの種の接着剤は一般的に耐熱性
には劣る。また、スパークの発生等に起因する火災等も
発生しやすいという問題もあった。
【0010】一方、接着剤をアルミ導電材とPP絶縁フ
ィルムとの間に貼り合わせる際には、接着剤に十分な粘
性をもたせるためにその接着剤に加えるラミネート温度
を高温にした状態にする必要がある。特に、難燃性の接
着剤に至っては、ラミネート温度を180℃もの高温に
し、かつゆっくりとしたラミネート速度で加工しなけれ
ばならかなった。そのため、接着剤が溶融し接着力を発
現させるのにかなりの時間を必要とし、結果として製造
コストが高くなるという問題もあった。
【0011】本発明は、このような問題点を解決するた
めになされたものであり、その目的とするところは、ア
ルミ電極などの導電材をポリプロピレン系の絶縁樹脂フ
ィルムにより被覆(ラミネート)した薄肉の電気絶縁材
を提供することにあり、そのときに導電材と絶縁樹脂フ
ィルムとの間に難燃性の接着剤を介在させると同時に、
その難燃性樹脂剤に粘着付与剤を添加したものとするこ
とにより、これを空気清浄機の集塵電極に用いたときの
集塵効率の継続的維持と、火災等の異常の回避を図るの
みならず、この電気絶縁材製造時のラミネート温度の低
温化により電気絶縁材の製造時間の短縮による生産性の
向上及び製造コストの低廉化を図らんとするものであ
る。
【0012】
【課題を解決するための手段】この目的を達成するため
に本発明の電気絶縁材は、導電材が難燃性の接着剤を介
してポリプロピレン系の絶縁樹脂フィルムにより被覆
(ラミネート)され、かつ前記難燃性接着剤には粘着性
付与剤が添加されていることを要旨とするものである。
接着剤に粘着付与剤を添加することにより導電材を挟ん
で絶縁樹脂フィルムを貼り合わせるときのラミネート温
度を下げることができる。かつ、ラミネート加工スピー
ドがアップし、それに伴って電気絶縁材としての製造コ
ストの低廉化が実現される。また、この接着剤として耐
熱性に優れた接着剤に対して難燃性を付与したものを用
いることにより熱的に安定になり、また、スパークの発
生等に起因する火災等の回避が図られる。
【0013】そして、この場合に難燃性接着剤としては
各種のものが挙げられるが、例えば無水マレイン酸変性
ポリプロピレン樹脂接着剤に臭素(Br)系難燃剤及び
難燃助剤が配合されたものがその一例として挙げられ、
これに粘着付与剤を添加するとすれば、ロジン系、テル
ペン水添系、脂環族飽和炭化水素系、合成石油樹脂系等
の材料が好適なものとして挙げられる。
【0014】そして、難燃性接着剤に配合される粘着付
与剤の配合比率は、無水マレイン酸変性ポリプロピレン
樹脂接着剤50〜90重量%に対して10〜50重量%
であることが望ましい。
【0015】また、前記絶縁樹脂フィルムの表面にはシ
リコーンコーティングがなされていることが望ましい。
ポリプロピレン絶縁フィルム層の表面をシリコーンコー
ティングすることにより、フィルム表面のはっ水性を付
与してフィルムの吸水を防止し、それによる表面抵抗の
低下をなくす。そしてこれにより多湿雰囲気下での表面
電位の低下が解消され、集塵効率が一層持続的に長期間
にわたって維持される。尚、前記導電材は、アルミニウ
ムの薄板材又は箔材料であってもよいし、あるいは、一
方の絶縁樹脂フィルムに導電性塗料により印刷されたも
のであってもよい。
【0016】そしてこの電気絶縁材を空気清浄機の集塵
電極に用いれば、集塵効率の継続的維持と共に火災等の
異常回避が図れ、また、電気絶縁材の低廉化に伴い空気
清浄機を市場に安価に提供できるものである。
【0017】
【実施例】以下に本発明について各種実験を行なったの
でその内容を詳細に説明する。初めに導電材と絶縁フィ
ルムとの間に介在される接着剤の配合をいろいろと変え
た実験を行ったのでこれについて説明する。導電材と絶
縁フィルムとの接着力(剥離強度)の測定実験に供した
サンプルの断面形態を表1に示し、またこれらの各種供
試サンプルでの実験結果を表2に示した。
【0018】
【表1】
【0019】
【表2】
【0020】表1において、本発明品である実施例1〜
5及び比較例1,2はいずれもラミネートタイプのもの
を示している。これらの供試サンプルは、いずれも50
μmの厚さのアルミニウム(Al)箔の両側に難燃性の
接着剤層を介してポリプロピレン(PP)系樹脂材料に
よる絶縁フィルムをラミネートにより貼り合わせてなる
ものである。表1に示されるように、各供試サンプルと
も接着剤層の厚さは100μm,その両側にラミネート
(貼り合わ)されるPP系樹脂の絶縁フィルムの厚さは
それぞれ片側150μmで総厚みは550μmである。
【0021】そして接着剤については、表2に示したよ
うに、比較例1についてはその難燃性接着剤に粘着付与
剤が添加されておらず、そのほかの本発明品の実施例1
〜5及び比較例2はいずれも難燃性の接着剤に粘着付与
剤が添加されたものを用いている。
【0022】この粘着付与剤が添加されていない比較例
1のものは、難燃性接着剤としてマレイン酸変性ポリプ
ロピレン100重量部に対して、臭素(Br)系難燃剤
を100重量部及び難燃助剤を30重量部を配合したも
のであり、一方、実施例1〜5と比較例2は、無水マレ
イン酸変性ポリプロピレンと粘着付与剤との配合比率を
いろいろと変え、この無水マレイン酸変性ポリプロピレ
ンと粘着付与剤とのトータルの配合量を100重量部と
して、これにBr系難燃剤100重量部及び難燃助剤3
0重量部を配合したものである。これら配合剤は、無水
マレイン酸変性ポリプロピレンについては三井石油化学
工業(株)社製商品名「アドマーQF−551」を、粘
着付与剤については荒川化学(株)社製商品名「アルコ
ンP−90」を、Br系難燃剤については旭硝子(株)
社製商品名「AFR−1021」を、難燃助剤について
は住友金属鉱山(株)社製商品名「三酸化アンチモン特
級」をそれぞれ用いている。粘着付与剤は、ロジン系、
テルペン水添系、合成石油樹脂(C5 )系など各種のも
のを実際には検討したが、この表2では粘着付与剤とし
て「アルコンP−90」を示したのは、これらの各種の
粘着付与剤の中でポリプロピレンとの相溶性、反応性の
少ないもの、低軟化点あるいは色調等から脂環族飽和炭
化水素が検討結果から最も効果的であったからである。
【0023】そして、ここで行う接着力の測定実験で
は、図1に示すようにラミネート温度の設定が可能な2
組のゴムロール対1,2間に、対向面に難燃性接着剤が
積層された絶縁テープ3,3を通し、そのときにその絶
縁テープ3,3の間にアルミ導電材テープ4,4,4を
挿入してラミネートさせ、巻き取る直前でスリッタに掛
けて導電材を分割(この実施例では3等分)して試験サ
ンプルを作成する。そのときにゴムロール対1,2の温
度を変えてラミネート温度条件を順次180℃,150
℃,145℃,140℃,135℃と変えたものについ
て、各種のラミネート温度による試験サンプルを作成し
た。そして、これらの試験サンプルについて接着剤強度
を測定するものであるが、各試験サンプルについてスト
ログラフにより速さ10mm/minの180度剥離試
験を行って剥離強度を測定した。このストログラフは、
東洋精機社製「R−2型」を使用した。
【0024】これらの測定結果は表2に示した通りであ
るが、剥離界面が凝集破壊の場合は接着力が2.0kg
/cm以上であれば◎印、1.5〜2.0kg/cmで
あれば○印、1.0〜1.5kg/cmであれば△印、
そして1.0kg/cm以下の場合には×印で示してい
る。また、剥離界面が界面剥離の場合は接着力が2.0
kg/cm以上であれば○印、1.0〜1.5kg/c
mであれば△印、そして1.0kg/cm以下の場合に
は×印で示している。
【0025】そこで、表2からは次のことが分かる。難
燃性接着剤に粘着付与剤が配合されていない比較例1の
ものは、ラミネート温度が150℃以上でないとラミネ
ートできない。そして、実施例1〜5のものは、難燃性
接着剤に粘着付与剤を配合することによりラミネート温
度を下げていくことができることが分かる。しかし、粘
着付与剤の配合比率が高い比較例2については、ラミネ
ート温度を何度にしても剥離強度が低い結果となった。
最も好ましい結果となたのは、実施例3のもので、ラミ
ネート温度が135℃の低温においても十分な接着力
(2.0kg/cm以上)を得ることができ、粘着付与
剤の効果が顕著に現れている。また、実施例2及び実施
例4については135℃、140℃の低温での接着力が
実施例3の場合よりもやや劣るが、それでも有効な接着
力を得ることができ、ここでも粘着付与剤の効果が現れ
ていると言える。一方、実施例1及び実施例5について
も粘着付与剤が含まれており、ラミネート温度145℃
以上では良好な接着力を示したが、135℃、140℃
の低温ではある程度の接着力を得るものの実施例2〜4
と比較して接着力が若干劣ることが分かった。
【0026】この結果に基づいて考察すると、接着力は
難燃性接着剤と粘着付与剤との配合比率に大きく影響を
受けていることが分かる。
【0027】具体的には、実施例1については難燃性接
着剤中の無水マレイン酸変性ポリプロピレンが90重量
%に対し粘着付与剤が10重量%配合された粘着付与剤
の配合比率が小さいものの場合には、低温(135℃、
140℃)では1.1kg/cm,1.2kg/cmと
接着力が小さかった。また、これとは逆に実施例5につ
いては無水マレイン酸変性ポリプロピレンと粘着付与剤
を50重量%と同比率とした場合にも、低温では共に
1.0kg/cmと接着力が小さかった。そして、無水
マレイン酸変性ポリプロピレン60〜80重量%に対し
て粘着付与剤を20〜40重量%にした場合には、低温
では大きな接着力を得ることができ、特に無水マレイン
酸変性ポリプロピレンが65重量%に対し粘着付与剤が
35重量%の場合には、135℃の低温で2.2kg/
cmもの大きな接着力を得ることができた。
【0028】ところが、比較例2については前記実施例
1乃至5の場合とは逆に、難燃性接着剤中の無水マレイ
ン酸変性ポリプロピレン45重量%に対し粘着付与剤が
55重量%と粘着付与剤の配合比率の方を大きくした場
合には、難燃性接着剤による接着剤本来の効果まで発揮
されなかった。
【0029】そこで、ラミネート温度を低くするには、
粘着付与剤を難燃性接着剤に添加する際の配合比率を難
燃性接着剤中の無水マレイン酸変性ポリプロピレンより
粘着付与剤の配合比率を小さくし、無水マレイン酸変性
ポリプロピレン50〜90重量%に対して粘着付与剤を
10〜50重量%の範囲に設定すればよく、特に、無水
マレイン酸変性ポリプロピレン60〜80重量%に対し
て粘着付与剤を20〜40重量%とするのが望ましいこ
とが分かった。
【0030】以上、PP系樹脂の絶縁フィルムに粘着付
与剤を添加した難燃性接着剤を用いた場合の実験結果を
述べたが、これにより導電材を挟んでPP系樹脂の絶縁
フィルムを貼り合わせるときのラミネート温度を下げる
ことができ、また、ラミネート加工のラインスピードを
上げることが可能となったことにより、シート加工時間
が短縮され、それに伴って製作コストの抑制が実現され
た。
【0031】次に、本発明の電気絶縁材について、水中
耐電圧、絶縁破壊電圧、そして難燃性の各種実験を行っ
たので、これらの実験に供したサンプルの断面形態とこ
れらの各種供試サンプルでの実験結果を次の表3にまと
めて示してこれに基づいて順次説明する。
【0032】
【表3】
【0033】この表3において、実施例6,7はいずれ
もラミネートタイプのものを示している。これらの供試
サンプルは、前記接着力試験で最も結果の良かった実施
例3と同型のものを使用し、50μmの厚さのアルミニ
ウム(Al)箔の両側に接着剤層を介してポリプロピレ
ン(PP)系樹脂材料による絶縁フィルムをラミネート
により貼り合わせてなるものであり、接着剤層の厚さは
100μm,その両側にラミネート(貼り合わ)される
PP系樹脂の絶縁フィルムの厚さはそれぞれ片側150
μmとしている。そして、実施例7では更に5μmの厚
さのシリコーンコートが両側に貼り合わされている。従
って、それぞれの総厚みは実施例6で550μm、実施
例7で560μmである。
【0034】これに対して比較例3はモールドタイプの
もの、比較例4はラミネートタイプのものを示してい
る。比較例3のモールドタイプのものは、50μmの厚
さのAl箔の周囲に3μmの接着剤層を介在させた状態
でその外側をポリ塩化ビニル(PVC)系樹脂材料によ
る絶縁被覆材により、片面400μmの厚さで鋳ぐるむ
ように押出成形したものである。また比較例4のラミネ
ートタイプのものは、50μmの厚さのアルミニウム
(Al)箔、接着剤層の厚さは100μm,その両側に
ラミネート(貼り合わ)されるPP系樹脂の絶縁フィル
ムの厚さはそれぞれ片側150μmとしている。従っ
て、それぞれの総厚みは比較例3のもので856μm、
比較例4のもので550μmである。尚、本発明品の実
施例6,7及び比較例4の絶縁フィルムは、上述のPP
ポリマー100%のPP樹脂フィルムである。
【0035】また接着剤については、本発明品の実施例
6,7は粘着付与剤が添加された難燃性の接着剤を用い
るが、比較例3及び4については非難燃性のものを用い
ている。比較例3の接着剤は二液反応型ウレタン系のも
のを用い、比較例4の接着剤は無水マレイン酸変性ポリ
プロピレン100%(難燃剤などは配合せず)のものを
用いている。
【0036】そこで以上のような供試サンプルを用い
て、表3にその結果を示すように水中耐電圧、絶縁破壊
電圧及び難燃性の試験を行った。先ず、PVC系樹脂に
比べ非常に薄い絶縁層となるPP系樹脂に対する絶縁破
壊試験である水中耐電圧試験については、次のような測
定を行った。150μmの絶縁フィルム2枚と50μm
のAl,あるいは150μmの絶縁フィルムと導電イン
ク付絶縁フィルムとを100μmの接着剤層を用いて貼
り合わせを行い試験サンプルを作製した。これを図2に
示したようにサンプルの導体部分を電源につなげてその
サンプルを水に浸し、水の中にアースをつるようにす
る。そして直流電源により9kVの電圧を継続して印加
させ、電圧が低下するまでの所要時間を測定する。すな
わち絶縁層が破壊し、導体部に水が侵入して通電してし
まい電圧が低下するまでの水中耐電圧を確認する。
【0037】そして、その水中耐電圧試験と同様に絶縁
破壊試験である絶縁破壊電圧試験は、やはりサンプルの
導体部分を電源につなげてそのサンプルを水に浸し、水
の中にアースをつるようにする。そして、本試験では、
直流電源により電圧を印加させていき電圧が低下するま
での最高電圧を測定する。すなわち絶縁層が破壊し、導
体部に水が侵入して通電してしまい電圧が低下する時の
絶縁破壊電圧を確認する。
【0038】更に、難燃性試験では、2組の140℃の
温度に保った2組のゴムロール対において、線速3m/
min、線圧2.0kgf/cmにラミネートされたサ
ンプルを使用し、UL−94規格に基づいて行った。
【0039】これらの各試験結果は表3に示した。そし
てこれらの結果により次のことが分かる。水中耐電圧試
験では、本発明品である実施例6,7及び比較例4の測
定値が500時間以上と良好な結果を得ることができ、
また、絶縁破壊電圧試験についても、本発明品である実
施例6,7及び比較例4の絶縁破壊電圧(KV)の測定
値が30KVと良好な結果が得られた。これに対し、唯
一PVC系樹脂を使用した比較例3の測定値では、水中
耐電圧の測定値が50時間未満、絶縁破壊電圧の測定値
が24KV未満という低い値を示した。これは、PP系
樹脂の絶縁フィルムはPVC系樹脂の絶縁フィルムに比
べて耐電圧特性に優れて経時的な劣化が起こりにくく、
絶縁性が長時間にわたって維持されることにより使用環
境に対する電気特性の安定を図ることができると評価さ
れるものである。
【0040】また、難燃性についての結果では、本発明
品である実施例6,7については「UL94V−0相
当」の良好な結果を示した。これに対して比較例3につ
いては「UL94V−2相当」のやや難燃性に乏しい結
果を示し、更に比較例4にいたっては「可燃性」である
ことが示された。これは、まさに本発明の場合アルミ導
電材とポリプロピレン絶縁フィルムとの間に難燃性接着
剤層を設けたことにより難燃性が付与されたことによ
る。
【0041】以上実験結果を述べたが、これらをまとめ
ると次のようなことが言える。導電材とポリプロピレン
絶縁フィルムとの間に耐熱性の接着剤を用いることによ
り、接着剤層の熱的な劣化が生じることなく、また、難
燃剤を接着剤に添加することによりスパークの発生等に
起因して火災等が発生するといったことがなくなった。
【0042】更に、PP絶縁樹脂フィルムの表面にシリ
コーンコート層を設けることにより、この表3には示さ
なかったが25℃×煙雰囲気、32℃×80%RH(相
対湿度)の高多湿雰囲気のいずれの環境下においても表
面電位の低下率をほとんど0%に抑制することができ、
高い集塵効率を長時間維持することができるものであ
る。これは、PP系樹脂層をシリコーンコートすること
により表面にはっ水性が付与され、そのためにそのPP
系樹脂層の吸水が防止されて表面抵抗の低下が抑止され
たためであると考察される。
【0043】以上各種実施例について説明したが、本発
明は上記実施例に何ら限定されるものではなく本発明の
趣旨を逸脱しない範囲内で改良できることは言うまでも
ない。
【0044】例えば、難燃性接着剤としては、上述した
無水マレイン酸変性ポリプロピレンに難燃剤を配合した
ものに限られるものではなく、各種のものが挙げられ
る。また、この難燃性接着剤に配合される粘着付与剤に
しても、各種のものが挙げられ、例えばロジン系、テル
ペン水添系、あるいは合成石油樹脂(C5 )系のものが
適宜用いられる。
【0045】尚、上記実施例では示さなかったが、2枚
の絶縁テープの一方に導電性塗料が印刷されたものを、
対向面に難燃性接着剤をコーティングしてラミネートさ
せて試験サンプルを作成するようにしてもよい。
【0046】
【発明の効果】以上実施例について説明したように、本
発明の電気絶縁材は、アルミ電極などの導電材をポリプ
ロピレン系の絶縁樹脂フィルムにより被覆した電気絶縁
材を提供するにあたり、そのときに導電材と絶縁樹脂フ
ィルムとの間に介在される接着剤を難燃性のものとした
ため、電気絶縁材の継続的使用による接着剤層の熱的な
劣化が阻止され、空気清浄機の集塵電極として集塵効率
の継続的維持を図ることができ、また、火災等の異常も
有効に回避される。しかもその接着剤には粘着付与剤が
添加されているため、ラミネート温度を下げることがで
き、また、ラインスピードを上げることができるため、
電気絶縁材の生産性の向上による製品コストの低廉化を
図ることができる。従ってこれを空気清浄機の集塵電極
に適用することはきわめて有益である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る電気絶縁材の試験サンプル作成装
置の概略図である。
【図2】本発明に係る電気絶縁材の特性試験のための絶
縁破壊電圧測定装置の概略構成図である。
【図3】電気式集塵機の集塵メカニズムを概略的に説明
した図である。
【図4】図3に示した集塵メカニズムの集塵ユニット部
について詳細な構成を示した図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 志水 孝行 愛知県小牧市大字北外山字哥津3600番地 東海ゴム工業株式会社内

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 導電材が難燃性の接着剤を介してポリプ
    ロピレン系の絶縁樹脂フィルムにより被覆(ラミネー
    ト)され、かつ前記難燃性接着剤には粘着性付与剤が添
    加されていることを特徴とする電気絶縁材。
  2. 【請求項2】 前記難燃性接着剤は、無水マレイン酸変
    性ポリプロピレン樹脂接着剤に臭素(Br)系難燃剤及
    び難燃助剤が配合されたものであり、かつ前記粘着付与
    剤は、ロジン系、テルペン水添系、脂環族飽和炭化水素
    系、合成石油樹脂系のものから選択された一種又は二種
    以上の材料により構成されることを特徴とする請求項1
    に記載の電気絶縁材。
  3. 【請求項3】 前記難燃性接着剤に配合される粘着付与
    剤の配合比率は、無水マレイン酸変性ポリプロピレン樹
    脂接着剤50〜90重量%に対して10〜50重量%で
    あることを特徴とする請求項2に記載の電気絶縁材。
  4. 【請求項4】 前記絶縁樹脂フィルムの表面にはシリコ
    ーンコーティングがなされていることを特徴とする請求
    項1に記載の電気絶縁材。
  5. 【請求項5】 前記導電材は、アルミニウムの薄板材又
    は箔材料であることを特徴とする請求項1に記載の電気
    絶縁材。
  6. 【請求項6】 前記導電材は、一方の絶縁樹脂フィルム
    に導電性塗料により印刷されてなるものであることを特
    徴とする請求項1に記載の電気絶縁材。
  7. 【請求項7】 請求項1乃至請求項6のいずれかに記載
    の電気絶縁材を用いた空気清浄機用集塵電極。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2003085012A1 (de) * 2002-04-11 2003-10-16 Tesa Ag Weiche flammwidrige wickelfolie
JP2006289337A (ja) * 2005-01-07 2006-10-26 Matsushita Electric Ind Co Ltd 集塵装置および空調装置
JP2007083203A (ja) * 2005-09-26 2007-04-05 Matsushita Electric Ind Co Ltd 集塵装置および空調装置

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