JPH08112084A - 冷凍食品類及びその製造方法 - Google Patents

冷凍食品類及びその製造方法

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JPH08112084A
JPH08112084A JP7207304A JP20730495A JPH08112084A JP H08112084 A JPH08112084 A JP H08112084A JP 7207304 A JP7207304 A JP 7207304A JP 20730495 A JP20730495 A JP 20730495A JP H08112084 A JPH08112084 A JP H08112084A
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JP
Japan
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foods
amino acid
freezing
frozen
acidic amino
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JP7207304A
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English (en)
Inventor
Shiyouta Mansei
昌太 満生
Akinori Mizuno
晶徳 水野
Shigeru Toba
茂 鳥羽
Masao Motoki
正雄 本木
Hiroyuki Ide
博之 井出
Isao Yamaura
勲 山浦
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Ajinomoto Co Inc
Original Assignee
Ajinomoto Co Inc
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 凍結及び解凍時間の短縮された冷凍食品類を
提供する。 【解決手段】 酸性アミノ酸ポリマー及び/又はその塩
を含有してなる冷凍食品及び冷凍食品原料並びに酸性ア
ミノ酸ポリマー及び/又はその塩を含有する食品類を凍
結することからなる冷凍食品類の製造方法。 【効果】 呈味や物性等の食品の品質に影響を及ぼすこ
と無く、食品、及び食品原料の凍結及び解凍に要する時
間を大幅に短縮出来る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は酸性アミノ酸ポリマ
ー及び/又はその塩を含有することを特徴とする冷凍用
食品、冷凍用食品材料及び該食品、食品材料を冷凍して
得られる冷凍製品(以下、これらを総称して冷凍食品類
ともいう。)並びにそれらの冷凍食品類の製造方法に関
するものである。
【0002】
【従来の技術】食品又は各種食品材料を冷凍する際に
は、生産効率向上及び冷凍変性抑制の観点から、それら
を短時間で凍結せしめることが要求されており、その要
求に合わせて、従来、冷凍機の能力を上げる等の試みが
なされてきているが、コストの上昇を伴うため、必ずし
も満足できる方法とは言い難い。
【0003】一方、凍結状態にある食品を食するため、
又は凍結状態にある食品材料を加工、調理するためには
解凍工程が必要である。しかしながら、一般的に解凍に
要する時間は凍結に要する時間以上に長いことから、生
産効率向上及び家庭に於ける調理簡便性向上を図るため
に、短時間で解凍できるものが求められている。このよ
うに凍結、解凍が問題になる程に長い時間を要するの
は、水から氷、氷から水に相変化を起こす際に、1g当
たり約335Jの熱量が必要であり、この値が品温を1
0℃上げるために必要な1g当たりの熱量約42Jと比
べて非常に大きいからである。
【0004】これらを解決するために、既に、食品又は
食品材料に呈味の低い可食性の物質を添加して不凍水量
の割合を増加させることにより、凍結・解凍時間を短縮
する種々の試みがなされており、具体的には、甘味度5
0以下のオリゴ糖を添加し、或いはこれに加えて有機酸
塩を添加する方法(特開平04−222584号公報)
が知られている。しかしながら、この方法にあっても、
これらの物質を充分な効果が得られる程度まで添加した
場合の呈味が充分低いとは言えないため、なお一層、凍
結・解凍のための時間を短縮でき、かつ呈味が弱い物質
を開発することが課題として残されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、従来
の方法よりも、さらに効果的に冷凍用の飲食品及び食品
材料等の冷凍食品類の凍結及び解凍時間を短縮すること
ができる可食性の物質を提供することにあり、さらに該
可食性物質を添加して製造、加工された冷凍食品及び冷
凍食品材料からなる冷凍食品類を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、グルタミン酸、ア
スパラギン酸からなる酸性アミノ酸ポリマー及びその塩
に水を不凍水にするすぐれた効果のあることを見い出
し、これを冷凍しようとする飲食品及び食品材料等の食
品類に含有させることによって、呈味に大きな影響を及
ぼすことなく上記の課題を解決できることを発見し、本
発明を完成させるに至った。すなわち、本発明は酸性ア
ミノ酸ポリマーの可食性一価金属塩を含有する冷凍食品
類に関する。
【0007】
【発明の実施の形態】本発明で添加使用する酸性アミノ
酸ポリマーの構成アミノ酸は、L−グルタミン酸、D−
グルタミン酸、L−アスパラギン酸、D−アスパラギン
酸のいずれでも良く、また結合もグルタミン酸の場合は
α結合でもγ結合でも良く、アスパラギン酸の場合はα
結合でもβ結合でも良い。しかしながら、γ結合からな
るグルタミン酸ポリマー(以下、γ−ポリグルタミン酸
と称する)は、納豆の粘質物の主成分の一つであり、実
際に日常の食事で食されている上、カルシウムをはじめ
とするミネラルの吸収促進材としての機能も報告(特開
平3−30648号公報)されていることから、γ−ポ
リグルタミン酸又はその低分子化物が好ましいし、ま
た、呈味の低いD−グルタミン酸の組成比が高いγ−ポ
リグルタミン酸を添加使用することがより好ましい。
【0008】なお、本発明においては、酸性アミノ酸ポ
リマー中の1又は数個の酸性アミノ酸を他の中性・塩基
性アミノ酸に置換・変換した酸性アミノ酸を主成分とす
るポリマーも本発明の効果を有する限り、本発明の酸性
アミノ酸ポリマーに含まれるものとする。
【0009】本発明で使用できる酸性アミノ酸ポリマー
は、その分子量の増加に伴って本発明の効果が徐々に低
下すると共に、粘度が徐々に上昇するため、分子量の高
すぎるものは好ましくない。従って、本発明で使用でき
るアミノ酸ポリマーの分子量は、好ましくは200〜2
0,000であり、特に好ましい範囲は200〜100
00である。
【0010】本発明で添加使用する酸性アミノ酸ポリマ
ーはその可食性塩である。塩の種類については、二価、
三価の塩より一価の塩の方が効果が高いこと、及び食品
への利用を考え合わせた場合、カリウム塩、及びナトリ
ウム塩が特に好ましい。
【0011】本発明に使用できる酸性アミノ酸ポリマー
は、各種菌体から発酵生産物として得られるもの、合成
法により重合化して得られるもの、γ−ポリグルタミン
酸の場合は、納豆から抽出して得られるもの等のいずれ
を用いても良く、場合によっては、必要とする分子量の
ものを得るために、これらの方法により得られたもの
を、酸性下で加熱、或いは酵素分解等により低分子化し
て用いても良い。
【0012】本発明における酸性アミノ酸ポリマーの可
食性塩の添加使用量は、添加対象物である食品、或いは
食品材料等の食品類に対して0.5%〜40%(重量/
重量、以下同様)であり、特に好ましくは1%〜20%
である。この範囲以下の添加使用量では充分な効果は得
られず、逆にこの範囲を越える添加使用量では、低分子
のものを用いる場合には、それ特有の味を食品類に付与
することとなるし、高分子のものを用いる場合には、食
品類に粘度上昇等の物性変化を来す場合も多く、適当で
ない。
【0013】さらに効果的に課題を解決するために、呈
味質の異なる他の食品成分、具体的には糖類、無機塩
類、有機酸、有機酸塩、アミノ酸、アミノ酸塩、ペプチ
ド類、タンパク質等の物質を、呈味に大きな影響を与え
ない添加量の範囲内で、1〜数種類を組み合わせて添加
使用することも可能である。このような併用添加に適し
た物質の種類、配合割合は、呈味、及び必要とされる効
果の大きさを考慮して、本発明を利用する食品、或いは
食品材料毎に検討する必要があるが、当業者であれば、
それらの種類及び配合割合は容易に決定できる。
【0014】本発明において、前記酸性アミノ酸ポリマ
ーを冷凍食品に含有せしめた場合、凍結及び解凍時間短
縮以外の好ましい効果も合わせて示す場合がある。通常
冷凍、チルドで保存、流通されている小麦粉製品、例え
ば餃子、シュウマイ、肉饅頭、飴入り饅頭等の惣菜を電
子レンジで調理解凍した場合には、その皮の部分に含ま
れる、水和した主成分である小麦粉がマイクロ波加熱に
伴い硬化することが知られているが、酸性アミノ酸ポリ
マーを冷凍食品に含有せしめた場合、解凍時間を短縮す
ると共に、皮の部分の電子レンジ調理による硬化現象を
抑える効果を示す。
【0015】この効果を併せて期待する場合には、好ま
しい酸性アミノ酸ポリマーの性状、添加方法が若干異な
る。まず分子の大きさは、特に限定されるものではない
が、分子量数百万のものでも解凍時間の短縮効果は低い
ながらも、電子レンジ調理に伴う硬化抑制効果には同等
の効果を示すため、単に解凍時間短縮効果のみを望む場
合と好ましい分子量域が若干異なる。その好ましい分子
量範囲とは200〜4000,000であるが、最終的
に添加使用する際に適した分子量は、添加する対象によ
り、その当業者による選定のものと上下する。また、実
際に添加使用する場合に、酸性アミノ酸ポリマーの分子
量分布が広範に広がっていても、比較的一致していても
特に効果に影響はない。
【0016】次に酸性アミノ酸ポリマー、又はその塩の
皮の部分への好ましい添加方法も若干異なっている。す
なわち、添加は凍結処理の前後に限定されるものではな
く、皮の部分の製造時にそれらの成分の微結晶又は粉末
を均一になるよう混合する方法、それらの成分を溶解、
又は分散した水溶液を添加する方法、或いはそれら水溶
液に漬けた状態で静置、又は圧力をかけて浸漬する等の
方法により皮の部分に含有せしめる方法の他、成型済み
の餃子、シュウマイ、饅頭等の表面に凍結する前後でそ
れらの成分を溶解、又は分散した水溶液を塗布する方法
を用いても良く、食品の性質、ハンドリング性等を考慮
の上、どの方法を用いるかを決定する。
【0017】さらに酸性アミノ酸ポリマー、又はその塩
の皮の部分への好ましい添加使用量も若干異なってい
る。すなわち好ましい添加量とは添加対象である餃子、
シュウマイ、饅頭等の皮の部分に対し0.01%〜20
%(重量/重量、以下同様)であり、特に好ましくは
0.02%〜10%である。また、酸性アミノ酸ポリマ
ー、又はその塩を皮の表面に塗布する場合には、均一に
含有せしめる場合より低添加量でも充分効果を示すた
め、好ましい添加量は0.005%〜5%である。この
範囲以下の添加使用量では充分な効果は得られず、逆に
この範囲を越える添加使用量では、コストが増える点及
び皮の部分特有の味、風味、食感に変化をきたす点等の
問題があり適当でない。
【0018】本発明において、冷凍対象となる飲食品、
或いは食品材料に特に制限はなく、広範な食品類が対象
となる。飲料、半調理加工食品、調理済加工食品、生鮮
食品、果実、デザート等、何れであっても良い。さらに
本発明で使用する酸性アミノ酸ポリマーの塩は、これら
の対象食品、又は食品材料の凍結時間及び解凍時間を短
縮するが、その効果は各種の凍結、解凍方法において認
められるものである。すなわち、凍結方法としては、冷
凍庫内で凍結する方法、氷点下の冷風を吹きつける方
法、冷媒につけこむ方法等の何れの方法でも、凍結所要
時間を短縮することが確認出来、また、解凍方法として
は、オーブン内解凍、電子レンジ内解凍、室温下自然解
凍の各種の方法で、解凍所要時間を短縮出来ることが確
認されている。
【0019】
【実施例】以下に、本発明を実施例に基づいて説明する
が、本発明はこれらにより限定されるものではない。 実施例1 各種アミノ酸ポリマー塩の水の不凍化能:各種アミノ酸
ポリマーを含有せしめた場合に、それが単位重量当たり
どれくらいの水を不凍水量に変える能力、すなわちどれ
くらい凍結及び解凍時間を短縮する能力を有するのかを
測定した。すなわち、各種アミノ酸ポリマー或いはその
塩の約5%溶液を凍結し、−20℃で10分間保持後、
同温度から3℃/分で昇温した際に、氷の融解に要する
熱量を示差走査熱量計(DSC、「セイコー電子工業
(株)製品」以下、同様)にて測定し、その値から溶液
中の不凍水量を算出し、溶質1g当たりどれくらいの量
の水を不凍水化出来るかを求めた。
【0020】尚、アミノ酸ポリマーはSigma社製の
α結合のL型アミノ酸からなる試薬を用いた。また、酸
性アミノ酸ポリマーであるポリアスパラギン酸とポリグ
ルタミン酸はナトリウム塩を、塩基性アミノ酸ポリマー
であるポリリジン、ポリアルギニンは塩酸塩を用いた。
さらに、ポリアラニンをはじめとする他のアミノ酸ポリ
マーについても同様の検討を試みたが、中性付近での水
溶性が低く測定不能であった。また、表に結果を示さな
かったポリアラニン等の中性アミノ酸ポリマーは水溶性
が極めて低く、測定に至らなかったが、効果は低いと考
えられた。
【0021】上記の方法により求めた各種アミノ酸ポリ
マーの塩1g当たりの水の不凍水化能、さらに対照とし
て、グルコース及びシュークロース1g当たりの水の不
凍水化能を表1に示した。表から分かるように、どのア
ミノ酸ポリマーも分子量がはるかに低い糖類に比べ、同
等かそれ以上の不凍水化能を有していた。特に酸性アミ
ノ酸ポリマーであるポリアスパラギン酸、ポリグルタミ
ン酸は共に非常に高い不凍水化能を示した。このことは
酸性アミノ酸ポリマーが含有されることにより、食品或
いは食品原料中の水のより多くが不凍水に変化している
ことを示しており、それに伴い冷凍時の水の凍結に要す
る熱量や解凍時の氷の融解に要する熱量が少なくなり、
凍結時間、解凍時間が短縮されることを示している。
【0022】実施例2 酸性アミノ酸ポリマーの水の不凍水化能に対する分子量
の影響:各種グルタミン酸ポリマーの分子量と不凍水化
能との関係を実施例1と同様の方法により測定した。測
定に用いたグルタミン酸ポリマーは分子量5000以上
のものはSigma社製のα結合のナトリウム塩を、そ
れ以下のものはBachem社製のペプチドを0.1規
定度の水酸化ナトリウムにて約pH7.0になるまで中
和することにより調製したナトリウム塩を用いた。
【0023】測定結果を図1に示す。低分子のジペプチ
ド及びトリペプチドは1g当たり1.4〜1.5g程度
の水を不凍水化し、非常に高い効果を示した。高分子の
グルタミン酸ポリマーの不凍水化能は、分子量の増加に
伴い徐々にではあるが低下していたが、分子量1万程度
まで分子量180のグルコースと同等以上の不凍水化能
を維持していた。また、図から結合がαでもγでも、構
成グルタミン酸がD体でもL体でも、グルタミン酸ポリ
マーの不凍水化能に差がないことが分かる。以上のこと
は酸性アミノ酸ポリマー、特に低分子の酸性アミノ酸ポ
リマーが含有されることにより、食品或いは食品原料中
の凍結時間、解凍時間が短縮されること、さらにその効
果は構成する酸性アミノ酸の光学異性体の種類、結合部
位には関係なく存在することを示している。
【0024】実施例3 酸性アミノ酸ポリマーの粘度に対する分子量の影響:分
子量の異なる各種グルタミン酸ポリマーの粘度を測定
し、粘度に対する分子量の影響を検討した。測定に用い
たグルタミン酸ポリマーは分子量約300のものは実施
例2の方法により調製したもの、分子量約43000の
ものはSigma社製のもの、さらに分子量約260
0、21000のものは合成法により調製したもので、
何れもα結合のナトリウム塩とした。粘度の測定は、内
径48mmの0.8度角コーンを装着した(株)東京計
器製コーンプレートタイプ回転式粘度計ELD型を用い
て行った。尚、測定温度は15℃、回転数は10rp
m、サンプル濃度は10%、サンプル量は0.6mlと
した。
【0025】結果を図2に示す。グルタミン酸ポリマー
の粘度は分子量の増加に伴い高くなる傾向を示した。特
に分子量10000を超えると粘度は急激に上昇した。
この様な粘度の上昇は、冷凍食品及び冷凍食品原料に含
有せしめた場合、物性の変化をもたらすため好ましくな
い。従って、本発明において用いる酸性アミノ酸の分子
量は、好ましくは20000以下であり、特に好ましく
は10000以下である。
【0026】実施例4 酸性アミノ酸ポリマーの水の不凍水化能に対する塩の種
類の影響:酸性アミノ酸ポリマーの水の不凍水化能に対
する塩の種類の影響を実施例1と同様の方法により測
定、検討した。測定に用いたγ−(L−)ジグルタミン
酸のナトリウム、カリウム、カルシウム塩はBache
m社製のものを、それぞれ0.1規定度の水酸化ナトリ
ウム、カリウム、カルシウムにて約pH7.0になるま
で中和することにより調製した。また、γ−(D、L
−)ポリグルタミン酸の塩についても、市販の納豆より
分取後、平均分子量25万になるまで酸性溶液中で加熱
加水分解したものを同様の操作にて塩に添加することに
より調製した。
【0027】γ−ジグルタミン酸、γ−ポリグルタミン
酸、及びそれらの各種塩の不凍水化能を表2に示した。
両グルタミン酸ポリマーとも塩とした方が不凍水化能は
高く、塩の中では二価のカルシウム塩(表中ではCa)
に比べ、一価のナトリウム(Na)、カリウム(K)が
不凍水化能が高かった。以上のことは酸性アミノ酸ポリ
マーは塩の形で含有される方が、食品或いは食品原料中
の凍結時間、解凍時間をより効果的に短縮すること、さ
らにその効果はナトリウム塩、カリウム塩の場合顕著で
あることを示している。
【0028】実施例5 γ−ジグルタミン酸ナトリウム塩含有グラタンの解凍時
間と呈味への影響:市販の一般用調味料入り粉末ホワイ
トソース14gに、実施例4と同様の方法により調製し
たγ−(L−)ジグルタミン酸ナトリウムの含有割合が
0〜8%(0%は無添加の対照品)、全量が100gと
なるように水とγ−ジグルタミン酸ナトリウムを加え、
攪拌しながら80℃の温浴中で15分間加熱し、予備調
理済みグラタンを得た。各添加割合のグラタン試料は、
−20℃に保った冷凍庫に一夜保存することにより凍結
せしめた。解凍所要時間は、これら凍結グラタンを一般
用オーブンにて解凍し、グラタンの中心部温度が70℃
以上に達し、且つ、全体がなめらかな状態に達する迄の
時間を測定することにより求めた。
【0029】各種濃度のγ−ジグルタミン酸ナトリウム
が含有された凍結グラタンの解凍所要時間の測定結果を
表3に示した。無添加の対照品である0%添加品の解凍
には20分を超える時間を要したが、γ−ジグルタミン
酸ナトリウムの添加濃度に従いその時間は短縮され、8
%添加品では約13分となり、約36%短縮することに
成功した。
【0030】一方、γ−ジグルタミン酸ナトリウムを添
加した場合のグラタン味については、10名のパネリス
トによる官能評価により不快味を感じる濃度を評価し
た。その結果、表3に示すように5%程度の添加なら
ば、呈味上全く問題無く解凍時間を短縮することがで
き、その短縮率は21.4%であった。
【0031】実施例6 各種グルタミン酸ペプチドのナトリウム塩含有グラタン
の解凍時間と呈味への影響:実施例5と同様にして、0
〜8%のγ−L−トリグルタミン酸ナトリウム、γ−D
−ジグルタミン酸ナトリウム、α−L−ジグルタミン酸
ナトリウム、α−D−ジグルタミン酸ナトリウムをそれ
ぞれ含有する予備調理グラタンを調製し、解凍所要時間
測定、官能評価を行った。尚、γ−D−ジグルタミン酸
ナトリウムについては、市販ペプチドが入手出来なかっ
たため、実施例4記載のポリグルタミン酸をThorn
eらの方法(J.Biol.Chem.,233,p1
109,1958)に基づきγ−D−ポリグルタミン酸
を分離した後、酸性下で加水分解したものを高速液体ク
ロマトグラフィーにより分離・精製することにより調製
した。尚、クロマトグラム及び酵素による確認実験か
ら、本試料のγ−D−ジグルタミン酸ナトリウムの純度
は約95%と推定された。
【0032】それぞれのグルタミン酸ペプチドのナトリ
ウム塩について、含有濃度が異なる各種グラタンサンプ
ルのうちから、不快味を感じるパネルが1名以下であっ
た最大濃度での解凍時間短縮結果、官能評価結果を表4
に示す。表よりどのペプチドも、グラタンの解凍時間は
短縮する傾向にあり、これらのペプチドを含有せしめる
ことが解凍時間短縮に有効であることが分かる。特に、
D−グルタミン酸からなるペプチドはL−グルタミン酸
からなるペプチドより呈味が低く、呈味上の問題を起こ
すこと無くより多くグラタンに含有せしめることができ
るため、解凍時間の短縮率は30%を超えるものとなっ
た。また、ジグルタミン酸とトリグルタミン酸とでは、
トリグルタミン酸の方が呈味が低く、呈味上の問題を起
こすこと無くより多くグラタンに含有せしめることがで
き、解凍時間の短縮率はジグルタミン酸をわずかに上回
り22.5%であった。
【0033】
【表1】
【0034】
【表2】
【0035】
【表3】
【0036】
【表4】
【0037】実施例7 γ−ポリグルタミン酸ナトリウム塩含有餃子を電子レン
ジ解凍した場合の食感への影響(1) 小麦粉100重量部、食塩1.1重量部、水37.5重
量部に対し、γ−ポリグルタミン酸Na塩(平均分子量
200万)を1重量部(皮重量に対し0.72重量%)
或いは2重量部(皮重量に対し1.42重量%)添加し
たもの、及び無添加のものを各々10分間混合の後、製
麺機にて麺帯を調製した。圧延して皮を形成し(麺厚
0.7mm)、中具(10g/個)を詰めて餃子を調製
した。蒸し器にて5分間蒸し、急速凍結機にて−40℃
まで凍結させた。凍結した餃子を系内に水を存在させて
電子レンジ(200W)にて、3分間加熱した。加熱調
理した餃子の皮の柔らかさを、不動工業(株)製レオメ
ーター(NRM−2010−CW)を用いて、その切断
強度を測定した。1試料当たり、4回測定し、平均値を
比較した。
【0038】その結果を表5に示す。表より、γ−ポリ
グルタミン酸を添加しない皮の切断強度は1000gを
超え、明かな硬化が認められたのに比べ、添加した皮の
切断強度は明らかに低く、軟らかさを充分保持する物で
あった。また、その効果は添加量が多い程高いことが分
かった。
【0039】実施例8 γ−ポリグルタミン酸ナトリウム塩含有餃子を電子レン
ジ解凍した場合の食感への影響(2) 実施例7と同様の配合、製法にて、平均分子量1万のγ
−ポリグルタミン酸Na塩を皮重量に対し0.72重量
%或いは1.42重量%添加した麺帯、及び無添加の麺
帯を調製した。それを用い実施例7と同様の方法にて冷
凍餃子を調製し、電子レンジ加熱した。加熱調理した餃
子の皮の柔らかさを、該記レオメーターを用いて、その
切断強度を測定した。1試料当たり、4回測定し、平均
値を比較した。
【0040】その結果を表6に示す。表より、実施例7
の結果と同様、γ−ポリグルタミン酸を添加しない皮の
切断強度は1000gを超え、明かな硬化が認められた
のに比べ、添加した皮の切断強度は明らかに低く、軟ら
かさを充分保持するものであった。一方、実施例7の結
果と対比すると、解凍時間短縮を目的とする場合と異な
り添加するγ−ポリグルタミン酸の分子量による差は小
さいことが分かった。従って、酸性アミノ酸ポリマーを
冷凍食品に含有せしめた場合、その凍結及び解凍時間を
短縮すると共に、餃子の皮等、小麦粉製品表面部分の電
子レンジ調理による硬化現象を抑える効果を示すことが
判明した。
【0041】実施例9 γ−ポリグルタミン酸ナトリウム塩含有餃子を電子レン
ジ解凍した場合の食感への影響(3) 小麦粉100重量部当たり、食塩1.1重量部、水3
7.5重量部を10分間混合し、製麺機にて麺帯を作成
した。圧延して皮を作成し(麺厚0.7mm)、中具
(10g/個)を詰めて餃子を調製した。蒸し器にて5
分間蒸し、0.5%γ−ポリグルタミン酸水溶液を餃子
の重量当り3重量%(γ−ポリグルタミン酸添加量対皮
重量0.03%相当)及び6重量%塗布後(γ−ポリグ
ルタミン酸添加量対皮重量0.075%相当)、急速凍
結機にて−40℃まで凍結させた。凍結した餃子を系内
に水を存在させ200W、3分間加熱した。加熱調理し
た餃子の皮の柔らかさを、該記レオメーターを用いて、
その切断強度を測定した。1試料当たり、4回測定し、
平均値を比較した。
【0042】その結果を表7に示す。表より、実施例
6、7の結果と同様、γ−ポリグルタミン酸を添加しな
い皮の切断強度は1000gを超え、明かな硬化が認め
られたのに比べ、添加により添加した皮の切断強度は明
らかに低く、軟らかさを充分保持するものであった。ま
た、塗布によりγ−ポリグルタミン酸を添加した場合、
麺帯に均一に含有させるより低添加量でも効果が認めら
れた。
【0043】
【表5】
【0044】
【表6】
【0045】
【表7】
【0046】
【発明の効果】以上に述べたように、本発明によれば、
冷凍用の食品類にアスパラギン酸又はグルタミン酸を構
成アミノ酸とする酸性アミノ酸ポリマーの塩を添加する
ことにより、該食品類を凍結するための時間及び冷凍し
た食品類を解凍するために要する時間が大幅に短縮でき
ることから、食品類の冷凍変性が抑制できるし、冷凍食
品類の生産効率を向上させ、かつ家庭における調理簡便
性向上の効果を奏する。またさらに、上記酸性アミノ酸
ポリマーの塩を添加することにより、こうした効果の
他、冷凍食品類を電子レンジ調理した場合に、軟らかい
食感が保たれるという別の効果も示す。
【図面の簡単な説明】
【図1】グルタミン酸ポリマー類の分子量と不凍水化能
との関係を示す図。
【図2】酸性アミノ酸ポリマーの粘度に対する分子量の
影響を示す図。
フロントページの続き (72)発明者 本木 正雄 神奈川県川崎市川崎区鈴木町1番1号 味 の素株式会社食品総合研究所内 (72)発明者 井出 博之 群馬県邑楽郡大泉町大字吉田1222番地 味 の素冷凍食品株式会社冷凍食品開発研究所 内 (72)発明者 山浦 勲 群馬県邑楽郡大泉町大字吉田1222番地 味 の素冷凍食品株式会社冷凍食品開発研究所 内

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 酸性アミノ酸ポリマーの可食性一価金属
    塩を含有する冷凍食品類。
  2. 【請求項2】 酸性アミノ酸ポリマーの可食性一価金属
    塩は、Na塩及び/又はK塩であることを特徴とする請
    求項1記載の冷凍食品類。
  3. 【請求項3】 酸性アミノ酸ポリマーは、その構成アミ
    ノ酸がアスパラギン酸及びグルタミン酸から選ばれた酸
    性アミノ酸であることを特徴とする請求項1又は2記載
    の冷凍食品類。
  4. 【請求項4】 酸性アミノ酸ポリマーは、200〜10
    000の分子量を有することを特徴とする請求項1〜3
    のいずれか一項に記載された冷凍食品類。
  5. 【請求項5】 酸性アミノ酸ポリマーは、構成アミノ酸
    がD−アスパラギン酸及び/又はD−グルタミン酸であ
    ることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載
    の冷凍食品類。
  6. 【請求項6】 冷凍用の食品類にポリアスパラギン酸及
    びポリグルタミン酸からなる酸性ポリアミノ酸の一価の
    金属塩から選ばれた1種以上を含有せしめた後、冷凍す
    ることを特徴とする冷凍食品類の製造方法。
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