JPH08108333A - 工作機械の工具把持装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 工作機械の工具把持装置において、主軸ヘッ
ドが暴走して、主軸ヘッドとグリップとが誤った位置で
工具を受け渡すようなことになり主軸ヘッドとグリップ
とが衝突しても、工作機械内部の重要な部品が破損しな
いようにした。 【構成】 グリップ１４の工具把持部が開閉動作して主
軸ヘッドとの間で工具ホルダー５ａの受け渡しを行い、
工具ホルダー５ａの受け渡し時に、主軸ヘッドとグリッ
プ１４との位置がずれて、両者が衝突し、グリップ１４
に衝撃が加わった場合、グリップ１４に設けた低強度部
４０がその衝撃を吸収するので、工作機械のその他の部
分を損傷することがない。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、工具を自動で交換する
機能を有した工作機械の工具把持装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来から、数値制御装置等に代表される
自動工具交換機能を有した工作機械において、交換され
る工具を把持するグリップを有した工具把持装置（以
下、マガジン装置と称す）を備えたものがあり、このマ
ガジン装置と工作機械の主軸ヘッドとの間で工具を受け
渡しすることにより、工具の交換を行うようにしてい
る。このマガジン装置は、旋回可能な円盤状部材を基体
としたマガジンを有し、このマガジンには、工具ホルダ
ー（又は工具）を把持するグリップが放射状に複数個設
けられている。このグリップは、一対のアーム状部材を
基体とし、それぞれ支持軸の回りに回転可能に設けら
れ、圧縮バネにより工具把持側が閉じる方向に付勢され
ている。そして、工具交換に際しては、主軸ヘッドの中
心とマガジンのグリップの中心を一致させてから、主軸
ヘッドとグリップとの間で工具を受け渡さなければなら
ない。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述し
たような従来のマガジン装置において、数値制御装置の
故障等により主軸ヘッドが暴走すると、誤った位置で工
具を受け渡すことになり、そのような場合、主軸ヘッド
とグリップとが衝突し、工作機械の内部の重要、かつ高
価な部品を壊す虞があった。また、どの部品が壊れるか
予測することが困難であるため、修理に時間を要するこ
とになる。本発明は、上記の問題を解消するためになさ
れたものであり、主軸ヘッドが暴走して、主軸ヘッドと
グリップとが誤った位置で工具を受け渡すようなことに
なった場合に、主軸ヘッドとグリップとが衝突しても、
グリップに強度の弱いところを設けて、この部分が変形
又は破損するようにし、工作機械内部の重要な部品が破
損しないようにして、安価でかつ容易に部品交換ができ
るようにした工作機械の工具把持装置を提供することを
目的とする。

【０００４】

【課題を解決するための手段】この目的を達成するため
に請求項１の発明は、工具を交換自在に把持するグリッ
プを有した工作機械の工具把持装置において、グリップ
は、主軸ヘッドとの間で工具の受け渡しを行い得るよう
にその工具把持部が開閉動作可能に構成されるととも
に、グリップの一部に低強度部を設けてなり、工具の受
け渡し時にグリップに衝撃が加わった場合、低強度部に
よりその衝撃を吸収し得るようにしたものである。ま
た、請求項２の発明は、請求項１記載の工作機械の工具
把持装置において、グリップが支点軸の回りに回動可能
に支持されており、低強度部を、グリップの工具把持部
と支点軸との間に設けたものである。また、請求項３の
発明は、請求項１又は２に記載の工作機械の工具把持装
置において、グリップの一部が変形し得る構造とされ、
かつ、このグリップの工具把持部と支点軸側部材との間
に機械応力により変形し得るキーを介在させたものであ
る。

【０００５】

【作用】上記の構成を有する請求項１の工作機械の工具
把持装置によれば、グリップの工具把持部が開閉動作し
て主軸ヘッドとの間で工具の受け渡しを行い、工具の受
け渡し時に、主軸ヘッドとグリップとの位置がずれて、
両者が衝突し、グリップに衝撃が加わった場合、グリッ
プに設けた低強度部がその衝撃を吸収するので、工作機
械のその他の部分を損傷することがない。また、請求項
２の工作機械の工具把持装置によれば、工具の受け渡し
時に、主軸ヘッドとグリップとが衝突した場合に、グリ
ップの工具把持部と支点軸との間に低強度部が設けられ
ているので、衝撃を吸収し易い。また、請求項３の工作
機械の工具把持装置によれば、主軸ヘッドとグリップと
が衝突した場合に、グリップの工具把持部と支点軸側部
材との間に介在させたキーが機械応力により変形し、そ
のために、工作機械本体の他の部品を損傷することがな
くなる。

【０００６】

【実施例】以下、本発明を具体化した一実施例による工
具交換のための工具把持装置（以下、マガジン装置とい
う）を備えた工作機械について図面を参照して説明す
る。図１は全体構成を示す側面図、図２はマガジン装置
の部分正面図、図３はマガジン装置のグリップの損傷時
の側面図である。工作機械１は、ワーク（図示なし）に
対して水平方向（図１上では左右）に切削その他の工作
を行うものであり、前後及び左右方向に移動可能に設け
られたコラム２に対して上下方向に移動可能に設けられ
たスピンドルヘッド（主軸ヘッド）３と、このコラム２
に対して前後方向に移動可能でかつ、旋回可能に設けら
れた自動工具交換のためのマガジン装置４とから構成さ
れる。スピンドルヘッド３は、コラム２側に設けられた
ボールねじ２ａで上下駆動されるようになっている。こ
のスピンドルヘッド３は、工具ホルダー５ａを保持しク
ランプするホルダー部を先端部に有し回転駆動されるス
ピンドル軸（主軸）６と、このスピンドル軸６を回転駆
動するスピンドルモータ７と、工具のクランプを解除す
るアンクランプ機構（図示なし）を備えている。

【０００７】このアンクランプ機構は、回転駆動される
カム１３のカムアンクランプ用カム溝１３ａに嵌まって
カム駆動されるアンクランプレバー（図示なし）と、ス
ピンドルヘッド３が上昇した時にアンクランプレバーが
当接可能になる移動解除部材（図示なし）とを有し、ア
ンクランプレバーが回動して移動解除部材を押すことに
より、工具のクランプ状態を解除できるようになってい
る。

【０００８】マガジン装置４は、工具保持用の一対のア
ーム状部材からなるグリップ１４を放射状に複数配置し
た円盤状のマガジン１５を有し、このマガジン１５は、
コラム２側に固定されたマガジン支持部１６に旋回自在
に支持された回転軸１７に保持されており、この回転軸
１７に形成されたスプラインにより水平方向には移動可
能とされ、該軸１７と一体に旋回されるようになってい
る。回転軸１７は、減速歯車機構１８と駆動軸１９を介
してマガジン旋回モータ２０に連結されている。また、
マガジン１５には、グリップ１４を常時は閉じる方向に
ロックするためのテーパ状のロック部材２２ａを持つロ
ック機構２２が設けられ、工具交換を行う位置等の所定
の回転位置でのみ該ロックは解除されるようになってい
る。すなわち、マガジン１５の最下端に位置するグリッ
プ１４は、マガジン１５が後退した時に、ロック機構２
２の軸２２ｂがマガジン支持部１６に設けられたロック
解除ピン２２ｄにより押されることにより、ロック部材
２２ａがグリップ１４の一対のアーム状部材の間から抜
け出し、ロック解除状態となる。

【０００９】また、マガジン支持部１６のマガジン１５
に対向する面には、マガジン１５を所定の割り出し旋回
位置に停止させるための位置決めピン２１ａが設けら
れ、マガジン１５の背面には、位置決めピン２１ａが嵌
まり込み得る位置決め穴２１ｂが複数のグリップ１４の
各々に対応した位置にその個数分だけ設けられている。
そして、割り出されたマガジン１５が工具交換のために
後退した時に、位置決めピン２１ａが位置決め穴２１ｂ
に嵌まり込むことにより、マガジン１５が正確に位置決
めされる。

【００１０】さらに、マガジン１５を工具交換のために
前後方向に移動させるための機構として、マガジン支持
部１６に取り付けられたカムベース１６ａに前後移動自
在に支持された前後シャフト軸２３と、この前後シャフ
ト軸２３を前後移動させるための前後レバー２４とを有
する。この前後レバー２４は、カムベース１６ａの天板
に回転自在に支持され、その一端に締結されたカムフォ
ロア２４ａはカム１３の前後用カム溝１３ｂに嵌めら
れ、他端に締結されたカムフォロア（図示なし）は前後
シャフト軸２３に結合された前後カム部材に係合されて
いる。前後シャフト軸２３の前端部に締結したカムフォ
ロア２３ａは、マガジン１５と一体に設けたカム溝２６
に係合させ、該シャフト軸２３の前後移動をマガジン１
５に伝達するようにしている。また、アンクランプ用カ
ム溝１３ａと前後用カム溝１３ｂとが設けられた一体の
カム１３は、カム軸２７を介してカム駆動モータ２８に
連結されている。

【００１１】次に、マガジン１５のグリップ１４につい
て図２を参照して説明する。複数のグリップ１４の各々
は、２つの開閉可能なアーム状部材１４ａ，１４ｂを備
え、これらはマガジン１５の円盤状基材に支持軸３１，
３１により回動自在に支持され、外周側の工具把持部が
閉じる方向に圧縮バネにより付勢されている。アーム状
部材１４ａ，１４ｂの工具把持部側先端部には工具ホル
ダー５ａの装脱を容易とするための回転ローラ３４が取
り付けられている。また、アーム状部材１４ａ，１４ｂ
の工具把持部とは反対側の内周側の端部には、互いに対
向する一対のロック爪が形成されており、このロック爪
の間に上記ロック機構２２のロック部材２２ａが入り込
むことで、グリップがロック状態となるように構成され
ている。また、グリップ１４のアーム状部材１４ａ，１
４ｂの工具把持部と支持軸３１との間に、低強度部４０
を設けている。工具ホルダーの５ａ受け渡し時にグリッ
プ１４に衝撃が加わった時に、低強度部４０が塑性変
形、弾性変形又は破壊することにより、その衝撃が吸収
されるようにしている。

【００１２】次に、上記のように構成された工作機械の
自動工具交換動作を説明する。自動工具交換の動作が開
始されると、スピンドルヘッド３が上昇し、スピンドル
ヘッド３のスピンドル軸６にクランプされている工具ホ
ルダー５ａは、マガジン１５のグリップ１４に受け渡さ
れる。さらに、カム駆動モータ２８が駆動されてカム軸
２７を介してカム１３が回転駆動され、アンクランプ機
構が動作して工具のアンクランプが行われる。さらに、
前後レバー２４が前後用カム溝１３ｂのカム動作によっ
て回動して、前後シャフト軸２３を前進させる。これに
より、前後シャフト軸２３の先端のカムフォロア２３ａ
がカム溝２６を介してマガジン１５を前進させる。その
後、マガジン旋回モータ２０が回転し、減速歯車機構１
８と回転軸１７のスプラインを経てマガジン１５を旋回
させ、停止位置の割り出しを行う。割り出し終了後、カ
ム駆動モータ２８を逆回転させることで、カム１３を反
転させる。これにより、上記動作と逆の順序で逆の動作
を行う。すなわち、割り出されたマガジン１５を後退さ
せ、マガジン１５からスピンドルヘッド３側へ工具ホル
ダー５ａを渡し、そのクランプを行う。

【００１３】次に、マガジン１５のグリップ１４の作用
について、図２、図３を参照して説明する。図２におい
て、一点鎖線Ａはグリップ中心位置、矢印Ｂはスピンド
ルヘッド３の移動方向、一点鎖線Ｃは工具交換時のスピ
ンドルヘッド３の停止位置、一点鎖線Ｄは異常時のスピ
ンドルヘッド３の停止位置を示す。工具交換時には、旋
回割り出されたマガジン１５に対してスピンドルヘッド
３が上昇して、マガジン１５の最下端のグリップ１４が
工具ホルダー５ａを把持する状態となる。この時に、ス
ピンドルヘッド３が何等かの理由で暴走した場合、スピ
ンドルヘッド３とグリップ１４が正規でない異常位置
（Ｄ位置）で工具ホルダー５ａを受け渡すようなことに
なり、その場合には、スピンドルヘッド３とグリップ１
４とが衝突する。しかしながら、グリップ１４に低強度
部４０を設けているので、その衝撃は、低強度部４０が
塑性変形、弾性変形又は破壊することにより吸収され、
従って、工作機械内部の重要な部品が破損することはな
い。この低強度部４０は外からも一見して分かり、ま
た、この部品は比較的、安価であるので、容易かつ安価
に部品交換を行うことができる。

【００１４】図４は、異常位置で工具交換が行われた場
合における衝撃吸収のための他の実施例構成を示してい
る。この例では、グリップ１４のアーム状部材１４ａ，
１４ｂの工具把持部と支持軸３１の設けられたマガジン
１５の円盤状基材との間に、機械応力により変形して衝
撃を吸収し得る側面視クランク形状の板状キー４１を挿
入している。このキー４１の外側先端部は工具ホルダー
５ａに設けた凹部に嵌め込み、中心側端部はマガジン１
５の円盤状基材にねじ４２により固定している。また、
グリップ１４のアーム状部材１４ａ，１４ｂそのものも
或る程度の塑性変形し得るようにしている。なお、支持
軸３１よりも中心側の対向するアーム状部材１４ａ，１
４ｂの間には、その工具把持部側を常時閉じる方向に付
勢するための圧縮バネ４３が装入されている。また、ロ
ック機構２２の各構成部材は前述した通りである。上記
の構成において、異常位置で工具交換が行われて、キー
４１が変形した状態を図５に示している。図５におい
て、Ａ，Ｄは上述と同等のものを示している。このよう
にキー４１が変形することにより、スピンドルヘッド３
とグリップ１４とが衝突した時の衝撃が吸収されるの
で、工作機械の重要な部品を破損しなくなる。なお、本
発明は、上記実施例構成に限られず種々の変形が可能で
ある。

【００１５】

【発明の効果】以上のように請求項１又２の発明に係る
工作機械の工具把持装置によれば、工具の受け渡し時
に、主軸ヘッドとグリップとの位置がずれて両者が衝突
してグリップに衝撃が加わるようなことがあっても、グ
リップに設けた低強度部がその衝撃を吸収するので、工
作機械のその他の重要な部品を損傷したり、破損箇所が
不明となるようなことがなくなり、安価かつ容易に部品
交換を行うことができる。また、請求項３の発明に係る
工作機械の工具把持装置によれば、主軸ヘッドとグリッ
プとが衝突するようなことがあっても、グリップの工具
把持部と支点軸側部材との間に介在させたキーが機械応
力により変形し、衝撃を吸収するので、工作機械本体の
重要部品を損傷することがなくなり、上記と同様な効果
が得られる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施例による工具把持装置を備えた
工作機械の側断面図である。

【図２】同装置の要部正面図である。

【図３】同装置のグリップ損傷時の側面図である。

【図４】同装置の他の実施例を示す要部側断面図であ
る。

【図５】同上におけるキー変形時の要部側断面図であ
る。

【符号の説明】

１ 工作機械 ４ マガジン装置 ５ 工具ホルダー １４ グリップ １４ａ，１４ｂ アーム状部材 １５ マガジン ３１ 支持軸 ４０ 低強度部 ４１ キー

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 工具を交換自在に把持するグリップを有
   した工作機械の工具把持装置において、 前記グリップは、主軸ヘッドとの間で工具の受け渡しを
   行い得るようにその工具把持部が開閉動作可能に構成さ
   れるとともに、グリップの一部に低強度部を設けてな
   り、工具の受け渡し時にグリップに衝撃が加わった場
   合、前記低強度部によりその衝撃を吸収し得るようにし
   たことを特徴とする工作機械の工具把持装置。
2. 【請求項２】 前記グリップは支点軸の回りに回動可能
   に支持されており、低強度部を、該グリップの工具把持
   部と支点軸との間に設けたことを特徴とする請求項１記
   載の工作機械の工具把持装置。
3. 【請求項３】 グリップの一部が変形し得る構造とさ
   れ、かつ、このグリップの工具把持部と支点軸側部材と
   の間に機械応力により変形し得るキーを介在させたこと
   を特徴とする請求項１又は請求項２に記載の工作機械の
   工具把持装置。