JPH0810739A - 廃棄物処理材および廃棄物処理方法 - Google Patents

廃棄物処理材および廃棄物処理方法

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JPH0810739A
JPH0810739A JP6301077A JP30107794A JPH0810739A JP H0810739 A JPH0810739 A JP H0810739A JP 6301077 A JP6301077 A JP 6301077A JP 30107794 A JP30107794 A JP 30107794A JP H0810739 A JPH0810739 A JP H0810739A
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健二 上島
Noboru Ikutsu
昇 生津
Takuji Nomura
卓司 野村
Takashi Funahashi
孝 舟橋
Masakazu Kamikita
正和 上北
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 鉛、カドミウム、水銀、クロム、銅、ニッケ
ル、亜鉛等の有害金属を含有する廃棄物を、これらの有
害金属が再溶出しないように安定化すること。 【構成】 有害金属を含有する廃棄物を、固体酸、また
は固体酸とセメント、さらには、これに固結防止剤を加
えたものを主たる構成成分としてなる処理材とともに混
合し、必要に応じて水を添加したものを混練し、養生固
化させる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、有害な重金属などを含
有する廃棄物を安定化処理するのに有効な、廃棄物の処
理材および処理方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】現在、日本では約4800万トン(19
88年)の一般廃棄物と、約3.1億トン(1985
年)の産業廃棄物が排出されている。そして、西暦20
00年には、前記一般廃棄物は約8000万トンに、一
方、前記産業廃棄物は約6億トンに達すると予測されて
いる。このうち、一般廃棄物の約7割は焼却処理され、
約2割が直接処分されている。また、産業廃棄物は約4
割が再生利用され、約3割が焼却などによって減容化さ
れて処分され、約3割が直接最終処分場で廃棄されてい
る。これらの焼却された一般廃棄物や産業廃棄物は、有
害な重金属が大量に含まれているために、処分に関する
規制が大幅に強化される方向にある。
【0003】例えば、都市ゴミ処理場の場合、ゴミの中
に含まれるカラー印刷の紙やセロファン類には、カドミ
ニウム(Cd)、鉛(Pb)、クロム(Cr)、水銀
(Hg)、砒素(As)、銅(Cu)などが、また、プ
ラスチック類には、カドミニウム、鉛、亜鉛(Zn)、
クロム、水銀、砒素などが含まれおり、これらを焼却す
ることによって重金属が濃縮された灰が得られる。焼却
場では、この灰を、ゴミの燃え殻からなる主灰と、バグ
フィルターなどで回収される飛灰とに分けて回収する場
合が多くなってきている。この主灰、飛灰ともに重金属
が含まれているが、飛灰では特に重金属が溶出しやすく
なっている。これは、以下の理由による。つまり、焼却
場では焼却時に発生する塩酸ガスを捕捉するために、排
気経路途中で消石灰や生石灰を吹き込んでいる。これら
の消石灰や生石灰が、焼却時に発生する塩酸ガスと結合
して塩化カルシウムとなるために、排ガス中の塩酸ガス
濃度が低減される。ところが、未反応の消石灰や生石灰
が飛灰中に残存するために、飛灰はpH12以上の高ア
ルカリ性となる。しかし、飛灰には鉛が高濃度に含まれ
ており、鉛は高アルカリ性では鉛塩酸として水溶性とな
る性質があるため、この灰を未処理で廃棄すると鉛が溶
出することになるのである。そこで、焼却場では、この
鉛をはじめとする有害金属の飛灰からの溶出を防ぐ目的
で、飛灰をセメントと混合し、水を加えて混練した後、
養生固化して廃棄したり、主灰と混ぜて埋め立てたりし
ている。しかし、セメントはアルカリ性であるところか
ら、このような飛灰に対してセメントを大量に加えると
鉛の溶出は抑制されない。このように、単にセメントで
固化する従来の処理方法には種々の問題があり、用途を
限定しなければ二次公害が発生する恐れがある。
【0004】また、飛灰処理にキレート化剤が試験的に
使用されているが、とくにアルカリ性が高く鉛含有量の
多い飛灰に対しては、飛灰の重量に対してキレート化剤
を6%以上加えないと規制値以下に抑制されないものも
ある。一般に、この様なキレート化剤は単価がセメント
の50倍から80倍と高価であるため、ランニングコン
ストの面で大きな負担になると考えられる。
【0005】このように、セメントやキレート化剤を用
いただけでは、重金属を安定化することが困難な場合が
あることが分かってきた。また、焼却場で用いられてい
る、飛灰と処理材を混練する装置としては、多数の会社
が様々な混練装置を製造しており、その混練性能も様々
である。また同じ装置であっても、押し出される混練物
の位置によって十分な混練ができていない場合もあり、
その場合には、処理材による有害金属の安定化効果にも
バラツキが生ずる。
【0006】以上のように、現状では処理材および処理
方法に問題があり、加えて国内の陸上埋立処分地の不足
も問題になりはじめており、少量の処理材の添加で廃棄
物中の有害な重金属が再溶出しないように強力に安定化
することが可能な処理材および処理方法が望まれてい
た。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、この
ような有害な重金属などを含有する廃棄物を安定化処理
するのに有効な処理材および処理方法を提供することで
ある。特に本発明は上記の如く、ゴミ焼却炉から排出さ
れるアルカリ性の飛灰に含まれる有害な重金属などが再
溶出しないように安定化することが可能な廃棄物の処理
材および処理方法を提供することを目的とするものであ
る。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、このよう
な問題を解決するために鋭意検討した結果、この目的を
達成し得る廃棄物処理材を得るに至った。即ち、本発明
の処理材は少なくとも1種類以上の固体酸を主たる構成
成分としてなる廃棄物処理材である。さらに、本発明者
らは、上記固体酸として、高比表面積のアルミニウムシ
リケートもしくは二酸化ケイ素を少なくとも1種類以上
含むことがより好ましいことを見いだした。
【0009】本発明で用いられる上記固体酸について詳
しく説明する。本発明で用いられる固体酸には種々ある
が、まず酸性白土、フラーズ・アース、モンモリロナイ
ト、ベントナイト、カオリン、クラリット、フロリジン
などの天然の粘土鉱物で比表面積が150m2 /g以
上、500m2 /g以下になるように加工してなるもの
が挙げられる。
【0010】上記酸性白土(acid clay)は、乾燥すると
空隙の多い粒子となり内部の表面積が大きくなる。酸性
白土を硫酸で処理すると、アルミニウムなど酸に溶解す
る成分の一部が溶出する。その結果、比表面積や細かい
孔の容積が増える。これを活性白土(activated clay)
という。酸性白土の誘導品としては、硫酸でさらに処理
を加えてアルミナ分を除去した二酸化ケイ素がある。酸
性白土と同様のものとして、フラーズアース (Fuller's
earth) やフロリダアース (Florida earth)がある。
【0011】本発明で用いる上記酸性白土などの粘土鉱
物は、比表面積が大きくなるように加工されているもの
が好ましい。
【0012】また、本発明で用いられる上記固体酸とし
て、シリカゲルやアルミナに、硫酸、リン酸、もしくは
マロン酸などを付着させたり、または、ケイソウ土、シ
リカゲル、石英砂、酸化チタンに、リン酸を付着加熱さ
せたりした固型化酸が挙げられる。ここで、担体である
シリカゲルやアルミニウムなどに要求される重要な性質
は、多孔性、表面積、かさ比重、機械的強度などであ
る。これらの諸性質のうち、どの性質が、有害金属に対
する安定化性能と関係が大きいかは、処理する有害金属
や対象となる廃棄物の物性によって異なり一概に言えな
いが、表面積の大きいものが優れており、比表面積が1
50m2 /g以上であることが好ましい。担持の方法と
して加熱する場合には、200℃から1000℃で加熱
する方法がよい。
【0013】さらに、本発明で用いられる上記固体酸と
して、ポリアニオン化合物や陽イオン交換樹脂が挙げら
れる。ポリアニオン化合物とは、複数のアニオン性官能
基を有する化合物である。ポリアニオン化合物は、重金
属に対する除去量が多いので好ましい。ポリアニオン化
合物が有するアニオン性官能基は、1種類であっても2
種類であってもよい。このポリアニオン化合物の代表例
としては、ポリアクリル酸、ポリビニルスルホン酸、ポ
リスチレンスルホン酸、ポリスチレンリン酸、ポリリン
酸などが挙げられる。また、陽イオン交換樹脂とは、水
不溶性の多孔質担体の上にアニオン性の官能基が固定さ
れてなるものである。担体としては、ガラス、シリカ、
アルミナといった無機物や、スチレン、アルキルベンゼ
ルスルホン酸などのポリマーの担体に結合させてなるも
のである。アニオン基の種類としては、チオール基、ス
ルホネート基、硫酸基、カルボキシル基といったモノア
ニオンやポリアニオンが挙げられる。
【0014】また、本発明で用いられる固体酸として
は、ZnO、Al2 3 、もしくはこれらを加熱処理し
たもの、TiO2 、もしくはこれを加熱処理したもの、
CeO 2 、もしくはこれを加熱したもの、As2 3
2 5 、SiO2 、もしくはこれらを加熱処理したも
の、Sb2 5 が挙げれられる。これらの酸化物は、構
造が安定であること、天然物を加工して所定の物性を有
するものを大量に得られることからに好ましい。
【0015】本発明で用いられる他の固体酸としては、
CoSO4 、MnSO4 、もしくはこれらを加熱処理し
たもの、NiSO4 、もしくはこれを加熱処理したも
の、CuSO4 、もしくはこれを加熱処理したもの、C
oSO4 、CdSO4 、もしくはこれらを加熱処理した
もの、SrSO4 、ZnSO4 、もしくはこれらを加熱
処理したもの、MgSO4 、FeSO4 、もしくはこれ
らを加熱処理したもの、加熱処理された、BaSO4
KHSO4 、K2 SO4 、(NH4 2 SO4、Al2
(SO4 3 Fe2 (SO4 3 、Cr2 (S
4 3 、Ca(NO32 ・4H2 O、Bi(N
3 3 ・5H2 O、Zn(NO3 2 ・6H2 O、F
e(NO3 3 ・9H2 O、CaCO3 、Zrリン酸
塩、Tiリン酸塩、Al(H2 PO4 3 、Al2 (H
PO4 3 、AlPO4 などのリン酸アルミニウム、P
bCl2 、HgCl2 、もしくはこれらを加熱処理した
もの、CuCl2 、もしくはこれらを加熱処理したも
の、AlCl3 、もしくはこれを加熱処理したもの、S
nCl2 、もしくはこれを加熱処理したもの、CaCl
2 、AgCl2 、H2 WO4 、AgClO4 、Mg(C
lO4 2 、ZnS、もしくはこれらを加熱処理したも
の、CaS、アルミニウムシリケート、などが挙げられ
る。
【0016】このような中から処理材として用いる固体
酸を選択する場合、本発明の主旨から、なるべく安価な
ものを選択することが好ましいが、次の点を充分に考慮
する必要がある。 (1)Pb、As、Hg、Cdなどを含むの化合物は、
場合によってはその成分自体が溶出規制有害金属に該当
していることがあるので、使用に際しては予め溶出試験
により確認することが必要である。 (2)処理する廃棄物によって最適な固体酸が異なるた
め、使用に際しては予め溶出試験により効果を確認する
必要がある。 これらの点を考慮すると、本発明で用いる固体酸として
は、硫酸アルミニウム、アルミニウムシリケート、二酸
化ケイ素などが好ましい態様の一つである。
【0017】また、本発明で用いられる上記固体酸の形
態は、その反応性から粉体であることが好ましい。な
お、目的に応じて複数種の固体酸を用いることも本発明
の範ちゅうである。
【0018】次に、本発明で用いられるアルミニウムシ
リケートについて詳しく説明する。アルミニウムシリケ
ートとは、二酸化ケイ素のケイ素の一部がアルミニウム
で置換されたもので、軽石、フライアッシュ、カオリ
ン、タルク、ベントナイト、活性白土、ケイソウ土、ゼ
オライトなどの天然のアルミニウムシリケートや、合成
のアルミニウムシリケートが知られている。
【0019】本発明で用いられるアルミニウムシリケー
トは、粉体状である。固体が細分化されて粉体になった
場合には、物理的・化学的に特異な性質を示すようにな
るが、その原因のかなりの部分が、粒子表面の効果によ
ると考えられる。このような表面の性質を調べるために
は、個々の粒子の大きさや分布を調べるよりも、単位量
の粉体中に含まれる全粒子の表面積の総和、すなわち比
表面積を知るのがよい。比表面積の測定には成書(粉体
物性図説、粉体工学研究会、日本粉体工業協会編、19
75)にあるように、気体吸着法(BET法、Hark
ins−Juraの相対法)、液相吸着法、浸漬熱法
(Harkins−Juraの絶対法)、透過法(ブレ
ーン法)が知られているが、それぞれ測定原理を異に
し、得られる結果の意味も必ずしも同じではない。本発
明でいう比表面積とは、BET表面積法による値であ
る。表1に文献値を示した。
【0020】
【表1】
【0021】本発明で使用するアルミニウムシリケート
は、比表面積が広いことが好ましい。つまり、使用する
アルミニウムシリケートの比表面積が増加するにしたが
って、有害金属を安定化する性能は向上する。一方、比
表面積が広くなると、有害金属は安定化されて溶出しな
くなるが、処理材のかさ比重が低下して廃棄物との混合
の際に取扱いが困難になるので好ましくない。そこで、
アルミニウムシリケートの比表面積は、150m2 /g
以上、1000m2 /g未満であることが好ましく、2
00m2 /g以上、700m2 /g未満であることがよ
り好ましい。
【0022】アルミニウムシリケート中のアルミニウム
原子には、4配位のものと6配位のものが存在する。本
発明で用いるアルミニウムシリケートは、その中に含ま
れるアルミニウム原子が4配位であることが好ましい。
すなわち、アルミニウム原子が4配位である場合には、
3価の陽イオンであるアルミニウム原子だけでは電気的
中性が保てないため、格子中に陽イオンを取り込むこと
になる。このため、鉛などの有害金属の安定化量が向上
する。一方、6配位のアルミニウム原子は、電気的には
中性であり、陽イオンを取り込むことができない。した
がって、本発明で用いるアルミニウムシリケートは、4
配位のアルミニウム原子が全アルミニウム原子の50%
以上であることが好ましく、70%以上であることがよ
り好ましい。アルミニウム原子の配位数の測定方法とし
ては、NMRを用いる方法がよい。例えばAlCl3
6H2 Oを基準物質として27Al−NMRを測定する場
合、6配位のアルミニウム原子のケミカルシフトのピー
クは0ppmの近傍に現れ、一方、4配位のアルミニウ
ム原子のケミカルシフトのピークは55ppm付近に現
れる。これらの位置に現れるピーク面積の比からアルミ
ニウムシリケート中に存在する4配位と6配位のアルミ
ニウム原子の存在比を知ることができる。
【0023】アルミニウムシリケートには結晶性、無定
形、非晶質、ガラス状などの種類が知られているが、本
発明では、粉体状のものならば使用することができる。
また、乾燥過程や焼成過程を経ていてもかまわない。た
だし、本発明で用いるアルミニウムシリケートは、分子
ふるいに用いられるゼオライトではない。すなわち、こ
のようなゼオライトは、その比表面積のほとんどが細孔
径1nm以下の範囲に分布しており、細孔径よりも小さ
な分子のみが限定的に吸着するものである。しかしなが
ら、このような微細な細孔には溶液中では溶媒分子が、
また、空気中ですら微量の水分が強固に隙間なく吸着し
てしまうため、溶出した鉛などの重金属イオンは吸着す
ることができず、比表面積が広くても充分な重金属安定
化能力を得ることができない。また、重金属はその種類
によってイオン半径が大きく異なるし、廃棄物中に多数
存在する夾雑イオンと配位して錯イオンを形成すること
によりそのイオン半径はさらに広がる。したがって、本
発明で用いるアルミニウムシリケートは、ゼオライトの
ごとく細孔径分布が狭い範囲のものではなく、広い範囲
にわたる細孔径に表面積が分布していることが望まし
い。また、本発明で使用するアルミニウムシリケート
は、表1に示したフライアッシュや焼却炉灰の如きいわ
ゆるポゾラン物質ではなく、低比表面積の活性白土、カ
オリンクレー、珪藻土、ろう石などは含まれない。ま
た、処理材をあらかじめ調合して保存するような場合に
は、セメント類などの他の添加物の吸湿による劣化を促
進させないために、無水であるか、または充分に水分を
除去していることが好ましい。この様なアルミニウムシ
リケートとしては合成品でも天然品でも存在し、いずれ
も用いることができる。合成品のアルミニウムシリケー
トとしては、ケイ酸ソーダ溶液に可溶性アルミニウム塩
を加えて得られる合成アルミニウムシリケートが挙げら
れる。また、天然のものとしては、酸性白土を酸処理し
て破砕した微粉状のアルミニウムシリケートが挙げられ
る。しかし、本発明に用いられるアルミニウムシリケー
トは、これに限定されるものではない。
【0024】次に、本発明で用いられる二酸化ケイ素に
ついて詳しく説明する。この二酸化ケイ素としては、重
金属の安定化に優れている点で比表面積が大きい微粉状
であることが好ましい。つまり、使用する二酸化ケイ素
の比表面積が増加するにしたがって、重金属を安定化す
る性能は向上する。一方、比表面積が広くなると有害重
金属は安定化されて溶出しなくなるが、処理材のかさ比
重が低下して廃棄物との混合の際に取扱いが困難になる
ので好ましくない。そこで、二酸化ケイ素の比表面積
は、150m2 /g以上、1000m2 /g未満である
ことが好ましく、200m2 /g以上、700m2 /g
未満であることがより好ましい。
【0025】二酸化ケイ素は四面体構造であるSiO4
を単位骨格として種々の構造を形成している。そのた
め、SiO4 四面体の酸素原子のうち何個の酸素原子が
隣接するケイ素によって共有されているかを意味する縮
重度Q(Q=1〜4)がケイ素原子の状態を表すために
用いられる。二酸化ケイ素中のケイ素原子がQ4の場合
は、ケイ素原子の全ての結合が強固なSi−O−Si結
合であるため、鉛などの重金属イオンと結合することが
困難である。これに対して、Q3、Q2もしくはQ1の
ケイ素原子は、Si−O結合やSi−O−X結合を有す
る。ここで、Xは水素原子や、Na、Caなどの金属原
子である。この場合、鉛などの重金属イオンは、Si−
Oと結合したり、X原子と置換されたりして、安定化さ
れる。したがって、本発明で用いる二酸化ケイ素は、Q
4の存在量がなるべく少ない方が良い。すなわち、本発
明で用いる二酸化ケイ素は、全ケイ素原子に対するQ4
のケイ素原子が85%以下であることが好ましく、80
%以下であることがより好ましい。二酸化ケイ素中のQ
4のケイ素原子の存在量を知るためにはNMRを用いる
ことが良い。例えば、(CH3 3 Si(CH2 3
3 Naを基準物質として29Si−NMRを測定する
と、Q4のケミカルシフトピークは−113ppm付近
に現れる。また、Q3のピークは−104ppm、Q2
のピークは−95ppm付近に現れる。これらの位置に
現れるそれぞれのピークの面積比からQ4の存在比を算
出することができる。
【0026】二酸化ケイ素には、結晶性、無定形、非晶
質、ガラス状などの種類が知られているが、ここでは、
粉体状であれば使用することができる。さらに、処理材
をあらかじめ調合して保存するような場合には、セメン
ト類などの他の添加物の吸湿による劣化を促進させない
ために、無水であるか十分に水分を除去していることが
好ましい。このような二酸化ケイ素としては、合成品で
も天然品でも存在し、いずれも用いることができる。合
成の二酸化ケイ素は、ケイ酸ソーダと酸から製造され
る。このときの温度、濃度などの反応条件、乾燥、粉砕
の条件などにより様々な物性を有する二酸化ケイ素が製
造される。また、天然のものとしては、酸性白土や活性
白土を酸処理して破砕した微粉状の二酸化ケイ素が挙げ
られる。しかし、本発明で用いられる二酸化ケイ素はこ
れらに限定されるものではない。
【0027】本発明に用いられる上記のアルミニウムシ
リケートや二酸化ケイ素における表面電位は、それらの
粉体によるイオン吸着量に大きな影響を与える。本発明
で用いるアルミニウムシリケートや二酸化ケイ素は、こ
の表面電位が負であることが望ましい。すなわち、表面
電位が負である場合には、粉体表面には負に帯電した吸
着サイトが多数存在しており、この部分に、陽イオンで
ある有害金属が吸着されて安定化される。したがって、
本発明で使用されるアルミニウムシリケートや二酸化ケ
イ素の表面電位は、pH7以上の領域で、−15mV以
下であることが望ましい。粉体の表面電位の測定方法と
しては、流動電位法や電気泳動法などが知られている。
本発明で用いる粉体状のアルミニウムシリケートや二酸
化ケイ素は粒径が大きく水溶液中に浮遊させることが困
難であるため、流動電位法で測定することが良い。本発
明では、表面電位測定溶液は5%のKCl溶液にNaO
HまたはHClを添加してpHを2〜12に調節したも
のを用いた。
【0028】また、本発明に係る廃棄物処理材には、上
記のような固体酸に加えて、セメントを主たる構成成分
として加えることができる。本発明で用いられるセメン
トには、ポルトランドセメント(普通、超早強、中よう
熱、耐硫酸塩など)、混合セメント系(フライアッシ
ュ、高炉、シリカなど)などの水硬性セメントや、石
灰、石膏のような気硬性セメントなどがある。また、石
灰混合セメントなども使用することができる。本発明で
は、これらを2種類以上混合して用いてもよく、使用す
るセメントには特に制限はなく、処理すべき廃棄物の性
質、処理の状況などに応じて適宜選択して用いることが
できる。
【0029】さらに、本発明では、上記のような固体酸
やセメントなどの主たる構成成分の他に、還元剤、アロ
フェン、ベントナイトなどを補助剤として含有させても
良い。また、防水剤(塩化カルシウム、ポリマーエマル
ション、水溶性ポリマー、高級脂肪酸など)、凝固促進
剤、固化促進剤などを加えても良い。前記還元剤として
は、チオ硫酸ナトリウム、チオ尿素、塩化第1鉄、硫酸
第1鉄、亜硫酸ナトリウム、ハイドロサルファイトなど
がある。この中でもチオ硫酸ナトリウム、チオ尿素、が
より好ましい。上記の補助剤をさらに含有させると、本
発明の廃棄物処理材において、還元剤は、有害重金属を
含有する廃棄物が混合、混練される処理材を、セメント
が固化されるまで、還元的な状態にすることができると
考えられる。アロフェンやベントナイトはセメントの中
でのエトリンガイトの生成を促進するものと考えられ
る。また、アロフェンやベントナイトには物理的吸着作
用があると考えられる。さらに、ゼオライトや活性炭も
本発明の効果を増すために加えることができる。したが
って、セメントと固体酸を主たる構成成分としてなる処
理材や、高比表面積のアルミニウムシリケートや二酸化
ケイ素に、さらに上記の群から選ばれた化合物を補助剤
として加えることで、一層の重金属の安定化が期待でき
る。
【0030】ここで、セメント、固体酸の混合比率につ
いて説明する。セメントと固体酸の混合比率は適宜調製
されるが、一般的な混合比率として、固体酸は、10〜
80重量%、好ましくは20〜60重量%である。固体
酸がこの範囲より少ないと有害な重金属の安定化が十分
でなく、多いほど有害重金属は安定化されて溶出しなく
なるがこの範囲の量で十分である。むしろ、この範囲を
超えると、固体酸がセメントの固化を阻害して固化に時
間がかかる傾向があり、また、他の成分の添加を制限す
るので好ましくなく、加えて、比表面積の大きい固体酸
は嵩高くなる傾向があり、固体酸とセメント成分との十
分な混合ができず、均一な処理材を大量生産できないの
で好ましくない。
【0031】また、セメントと、アルミニウムシリケー
トや二酸化ケイ素との混合の混合比率は、適宜調整され
るが、一般的な混合比率は、10〜80重量%、好まし
くは20〜60重量%である。しかし、前述のごとく高
比表面積のアルミニウムシリケートや二酸化ケイ素によ
る重金属の安定化効果は、固体酸としての効果だけでは
なく、重金属イオンに対する吸着効果なども含まれる。
したがって、アルミニウムシリケートや二酸化ケイ素に
よる重金属の安定化効果は、廃棄物単位量に対するアル
ミニウムシリケートや二酸化ケイ素の表面積にも左右さ
れる。そこで、セメントへのアルミニウムシリケートや
二酸化ケイ素の添加量は、処理材単位量当たりにおける
アルミニウムシリケートや二酸化ケイ素の表面積で規定
するのが良い。すなわち、処理材1g当たりに含まれる
アルミニウムシリケートや二酸化ケイ素の表面積は、5
0m2 以上であることが好ましく、100m2 以上であ
ることがより好ましい。
【0032】次に、本発明に係る廃棄物処理材の調製方
法に付いて説明する。本処理材は、セメントや、アルミ
ニウムシリケート、二酸化ケイ素、固体酸などを予め混
合してもよいし、また、使用に際して混合してもよい。
さらには、廃棄物の処理時に、セメント、固体酸、その
他の処理材成分、および廃棄物の全てを同時に混合して
もよい。前者の予め混合する場合、混合の仕方とか順序
については特に制限はない。なお、予め混合する場合の
処理材の保存に当たっては、セメントと同程度に水分の
混合をできるだけ避けるのがよく、密封状態であれば、
処理材はセメントと同様に安定である。また、アルミニ
ウムシリケートや二酸化ケイ素は単独で用いても良い
し、両方を混合して用いても良い。さらに、アルミニウ
ムシリケートや二酸化ケイ素を、セメントや他の固体酸
などと混合して用いても良い。もちろんセメントなどと
混合して用いる場合にも、アルミニウムシリケートと二
酸化ケイ素を併用しても良い。セメントを加えた処理材
は、処理物の固化強度が上がり、成型品を再利用するこ
ともできるし、セメント本来の重金属安定化能力を補助
的に利用することができる。またセメントがアルカリ性
であることを利用し、セメントと固体酸を用いて廃棄物
のpHを調節することができる。
【0033】次に本発明の処理材による廃棄物の処理方
法を説明する。本発明の廃棄物処理方法は、上記のよう
な処理材を、廃棄物に添加し、必要に応じて水を加えた
ものを混練し、養生固化させる。本発明の好ましい実施
態様としては、ホッパーに集められたダストや飛灰など
の廃棄物を、別のホッパーからの上記廃棄物処理材と混
合し、必要に応じて、これに水を加え、賦型装置内で十
分に練り合わせて押し出す方法である。従来のセメント
のみによる処理方法では、一般的に廃棄物としてのダス
ト100重量部に対して10〜30重量部のセメントを
加えて混練を行っている。しかし、本発明の処理材を用
いる場合には、同量のセメントを加えた場合よりも優れ
た性能が得られる。したがって、例えば、セメントと同
程度の重金属安定化能を希望する場合には、セメントの
みの場合よりも処理材の添加量は少量でよく、処理後の
固化物の減容化が期待できる。また、従来のセメントの
みの方法では、重金属の安定化が不十分なものには、セ
メントと同量の処理材を用いることで十分な重金属安定
化効果が期待できる。
【0034】既に述べたように、廃棄物焼却飛灰中のP
bはアルカリ雰囲気下で溶出しやすいことが一般的に知
られているが、都市ゴミの焼却炉などでは稼働中に発生
する塩酸ガス量を制御する目的で消石灰を吹き込んでい
るため、このような運転条件下で生成する電気集塵機捕
集飛灰やバグフィルター捕集飛灰は特にPb溶出量が多
い。これに対し本発明の処理材は、固体酸の効果により
アルカリ雰囲気をより中性に近づけるためPb溶出量を
減少しうる、との発想に基づき開発されたものである
が、予想通りのPb溶出抑制効果は確認されものの、必
ずしもPHが低下するとは限らず、固体酸の作用機構に
関しては必ずしも明確でないのが現状である。
【0035】また、本発明で用いられる高比表面積のア
ルミニウムシリケートや二酸化ケイ素が、有害重金属を
安定化する機構は、有害金属イオンを化学的、物理的に
吸着する作用、有害金属を含むコロイド粒子を凝集さ
せ、また吸着する作用が主なものであると推察される。
また、さらに、高比表面積のアルミニウムシリケートや
二酸化ケイ素は、固体酸としても作用するものである。
【0036】
【発明の効果】本発明の廃棄物処理材を用いて有害重金
属を含有する産業廃棄物や都市ゴミの焼却炉から排出さ
れるEP灰やバグ灰(特に、消石灰や生石灰を吹き込ん
だEP灰やバグ灰)を処理することで、有害重金属、特
にPbが効率よく安定化され、溶出量が減少し、安定化
処理に非常に有効なものである。有害重金属では、その
他にカドミウム、水銀、クロム、銅、ニッケル、亜鉛な
どを安定化できる。さらに、本発明の廃棄物処理材を用
いる事により、例えば、半導体工場やメッキ工場のよう
な各種廃液の処理後に排出されるスラリー状スラッジや
脱水ケーキスラッジ、あるいは製鋼所での電気炉溶融窯
などの作業場での作業環境保全用の有害集塵ダスト、都
市ゴミ溶融炉からでる飛灰、あるいは埋立投棄処分など
による汚染土壌などに含まれる有害重金属を安定化し
て、有害重金属の溶出量を抑えることができる。
【0037】
【実施例】以下に実施例を上げて本発明を更に具体的に
説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
なお、実施例の記載に先立ち、実施例および比較例で用
いた各種アルミニウムシリケートおよび二酸化ケイ素の
物性を、予め表2、表3に示す。
【0038】
【表2】
【0039】
【表3】
【0040】また、上記アルミニウムシリケート(1) と
アルミニウムシリケート(2) 、および二酸化ケイ素(1)
の各pHでの表面電位を、表4、表5、および表6に示
す。
【0041】
【表4】
【0042】
【表5】
【0043】
【表6】
【0044】(実施例1)普通ポルトランドセメント7
0重量部(宇部セメント製)に対し、固体酸としてBE
T法による比表面積がそれぞれ150m2 /g、180
2 /g、190m2 /g、220m2 /g、および2
50m2 /gの活性白土(水澤化学工業製)30重量部
を混合して本発明の廃棄物処理材を得た。比較例とし
て、普通ポルトランドセメントを用いた。各処理材の組
成を下記表7に示す。
【0045】
【表7】
【0046】都市ゴミ焼却場から排出される、鉛を大量
に含有する飛灰50gに対して、10gの上記処理材、
および30gの水を添加して混練を行い、7日間養生固
化させた。その後、これらの処理材を用いた場合の無害
化効果を、環境庁告示13号法(日本、以下同じ)で鉛
の溶出試験を行い調べた。この時の実験結果を、下記表
8に示す。尚、表には、比較例として用いた普通ポルト
ランドセメントのみを処理材として飛灰に添加した場合
の鉛溶出量(比較例(1-1) )、実験に用いた飛灰の無処
理の場合の鉛溶出量(比較例(1-2) )、および日本にお
ける規制値を併記した。
【0047】
【表8】
【0048】表8に示される実験結果は、本発明の廃棄
物処理材が、固体酸の1つである酸性白土を加工して比
表面積が150m2 /g以上になるように加工した活性
白土を用いた廃棄物処理材が、従来のセメントと比較し
て、重金属の安定化効果に優れていることを示してい
る。
【0049】(実施例2)普通ポルトランドセメント8
0重量部(宇部セメント製)に対し、固体酸として硫酸
アルミニウム(和光純薬製)、リン酸アルミウニム(和
光純薬製)、ミョウバン(和光純薬製)、アルミニウム
シリケート(和光純薬製)、タンニン(和光純薬製)2
0重量部を混合して本発明の廃棄物処理材を得た。比較
例として普通ポルトランドセメントを用いた。各処理材
の組成を下記表9に示す。
【0050】
【表9】
【0051】塩化鉛2gを精製水18mlに加えて十分
に攪拌した後、上記各処理材45gを加えて混練し、7
日間養生した。その後、これらの処理材を用いた場合の
無害化効果を、環境庁告示13号法で鉛の溶出試験を行
い調べた。この時の実験結果を下記の表10に示す。比
較例(2-1) として、普通ポルトランドセメントのみを処
理材として塩化鉛溶液に添加した場合の鉛溶出量を示
す。
【0052】
【表10】
【0053】表10に示される実験結果は、本発明の廃
棄物処理材が、固体酸である硫酸アルミニウム、リン酸
アルミニウム、アルミニウムシリケート、ミョウバン、
またはポリアニリン化合物であるタンニンの、いずれを
用いた場合においても、従来のセメントの場合と比較し
て、重金属の安定化効果に優れていることを示していす
る。
【0054】(実施例3)陽イオン交換樹脂(ダウケミ
カル社製;ダウエックス50W−X8)を処理材(3-1)
とした。また、比較例として、陰イオン交換樹脂(ダウ
ケミカル社製;ダウエックス1−X8)を比較材(3-1)
とした。都市ゴミ焼却場から排出される、鉛を含んだア
ルカリ性飛灰140gに蒸留水1400gを添加し、良
く振とうした後に上澄み液を濾過して得られた抽出液2
00gに、上記処理材を0.2g添加して1時間振とう
した後に、上澄み液を濾過し、その鉛濃度を測定した結
果を下記表11に示す。尚、表には、比較例として、比
較材(3-1) で同様の実験をした場合の鉛濃度、および無
処理の抽出液の鉛濃度を併記した。
【0055】
【表11】
【0056】アルカリ領域では、鉛は陰イオン(亜鉛酸
イオン)として存在しているということが通説である。
しかし、表11から明らかなように、陽イオン交換樹脂
を処理材とした場合には、鉛濃度が無処理のものより低
下している。これに対し、陰イオン交換樹脂では、鉛濃
度が全く変化していない。したがって、固体酸としての
陽イオン交換樹脂が、重金属の安定化能力に優れている
ことが分かる。
【0057】(実施例4)普通ポルトランドセメント
(宇部セメント製)80重量部に、硫酸カリウム(和光
純薬製)、または炭酸カルシウム(和光純薬製)20重
量部を混合して処理材を得た。都市ゴミ焼却場から排出
される鉛を含んだアルカリ性飛灰50gに対して、上記
処理材15gを添加し、これに水30gを添加して混練
を行い、7日間養生固化させた。また、比較例として上
記飛灰50gに対し、普通ポルトランドセメント15g
を添加し、これに水30gを添加して混練し、同様に養
生固化させた。その後、これらの処理材を用いた場合の
無害化効果を、環境庁告示13号法で溶出試験を行い比
較した。この時の実験結果を下記表12に示す。なお、
表には、日本における規制値を併記した。
【0058】
【表12】
【0059】表12の結果から、単なるセメント処理に
よって鉛溶出量は規制値以下にはならないのに対し、本
発明の処理材を使用することにより、鉛の溶出量を効果
的に規制値以下にできる。このことから、本発明に係る
廃棄物処理材およびこれを用いた処理方法の効果が明ら
かとなった。
【0060】(実施例5)普通ポルトランドセメント
(宇部セメント製)60重量部に、酸化アルミニウム
(和光純薬製)40重量部を混合して処理材を得た。都
市ゴミ焼却場から排出される、鉛を含んだアルカリ性飛
灰50gに対して、上記処理材を添加し、これに水30
gを添加して混練を行い、7日間養生固化させた。ま
た、比較例として、上記飛灰50gに対し、普通ポルト
ランドセメント5g、又は15gを添加し、これに水3
0gを添加して混練し、同様に養生固化させた。その
後、これらの処理材を用いた場合の無害化効果を、環境
庁告示13号法で溶出試験を行い比較した。この時の実
験結果を下記表13に示す。なお、表には、試験に用い
た飛灰の、無処理の場合の鉛溶出量、および規制値を併
記した。
【0061】
【表13】
【0062】表13の結果から、単なるセメント処理に
よっては鉛溶出量は規制値以下にならないのに対し、本
発明の処理材を使用した場合には、効果的に規制値以下
にできる。このことから、本発明に係る廃棄物処理材お
よびこれを用いた処理方法の効果が明らかとなった。
【0063】(実施例6)下記の表14に示す割合で配
合、混合した処理材(6-1) 〜処理材(6-5) を調製した。
【0064】
【表14】
【0065】都市ゴミ焼却場から発生した、2種類の高
アルカリ性飛灰A(鉛含有量0.9重量%)、または飛
灰B(鉛含有量0.2%)50gに、上記処理材(6-1)
〜処理材(6-5) を、下記表15に示す量だけ混合し、こ
れに水を25g添加して混練したものを7日間養生固化
し、環境庁告示13号法により溶出試験を行った結果を
表15に示す。また、普通ポルトランドセメント(宇部
セメント製)15gを、上記飛灰Aまたは飛灰Bに添加
した以外は、上記実施例と同じ操作を行った結果、およ
び各飛灰の無処理の場合の鉛溶出量を比較例として併記
する。なお、上記の実施例において硫酸アルミニウム、
アルミニウムシリケートは、いずれも試薬(和光純薬
製)を使用した。
【0066】
【表15】
【0067】表15の実施例(6-1) 〜実施例(6-5) の結
果と、比較例(6-1) 〜比較例(6-5)の比較から、単なる
セメント処理によっても鉛溶出量は減少するものの、本
発明の処理材を使用することにより、さらに効果的に鉛
の溶出を抑制できることが示された。このことから、本
発明に係る廃棄物処理材およびこれを用いた処理方法の
効果が明らかとなった。
【0068】(実施例7)普通ポルトランドセメント
(宇部セメント製)60重量部にアルミニウムシリケー
ト(和光純薬製)10重量部を混合して処理材(7-1) を
得た。また、アルミニウムシリケートを合成二酸化ケイ
素(シオノギ製薬製)に変えた他は同様の条件で処理材
(7-2) を得た。都市ゴミ焼却場から得られる飛灰Aおよ
び飛灰C、または産業廃棄物処理場から得られた飛灰B
50gに対して、上記処理材を添加し、これに水30g
を添加して混練を行い、7日間養生固化させた。また比
較例として、上記飛灰50gに対し普通ポルトランドセ
メントを添加し、これに水30gを添加して混練し同様
に養生固化した。その後、これらの処理材を用いた場合
の無害化効果を、環境庁告示13号法で溶出試験を行い
比較した。この時の実験結果を以下の表16に示す。な
お、表16には、試験に用いた飛灰の無処理の場合の鉛
溶出量、および日本における規制値を併記した。
【0069】
【表16】
【0070】表16の結果から明らかなように、セメン
トに固体酸であるアルミニウムシリケート、または二酸
化ケイ素を組み合わせることで、高性能の廃棄物処理材
があられることが分かる。 (実施例8)表2に示したアルミニウムシリケート(1
(比表面積500m2 /g)を処理材(8-1) とした。都
市ゴミ焼却場から排出される、鉛を大量に含有する飛灰
(無処理での鉛溶出量130mg/1)50gに対し
て、6gの処理剤(8-1) および30gの水を添加して混
練を行い、7日間養生固化させた。その後、この処理材
を用いた場合の無害化効果を、環境庁告示13号法で鉛
の溶出試験を行ない調べた。この時の実験結果を、下記
の表17に示す。また、比較例として表2に示したアル
ミニウムシリケート(7) (比表面積100m2 /g)、
およびアルミニウムシリケート(8) (比表面積110m
2 /g)を比較例(8-1) 、比較例(8-2) として6g添加
した場合の、鉛溶出量を測定した。なお、表17には、
実験に用いた飛灰の無処理の場合の鉛溶出量、および日
本における規制値を併記した。
【0071】
【表17】
【0072】表17の実験結果より、本発明の処理剤(8
-1) は、鉛に対して優れた固化封入効果を有しているこ
とが分かる。すなわち、比表面積が小さなアルミニウム
シリケート(7) やアルミニウムシリケート(8) を処理剤
として用いた場合には、鉛溶出量を規制値以下にするこ
とはできない。これに対して、比表面積の大きなアルミ
ニウムシリケート(1) を用いた場合(実施例(8-1) )に
は、鉛溶出量を規制値以下にすることが可能である。
【0073】(実施例9)表2に示したアルミニウムシ
リケート(1) (4配位のアルミニウム原子が79.8
%)を処理材(9-1) とした。都市ゴミ焼却場から排出さ
れる、鉛を大量に含有する飛灰(鉛2000mg/dr
yweight,CaO含有41.4%)50gに対し
て、所定量(1g,2g,4g,6g,8g)の処理材
(9-1) および30gの水を添加して混練を行い、7日間
養生固化させた。その後、これらの処理材を用いた場合
の無害化効果を、環境庁告示13号法で鉛の溶出試験を
行ない調べた。この時の実験結果を、下記の表18に示
す。また、比較例として普通セメント(比較例(9-1) )
およびフライアッシュセメント(比較例(9-2) )を処理
材として、飛灰10gに添加した場合の鉛溶出量を測定
した。なお、表18には、実験に用いた飛灰の、無処理
の場合の鉛溶出量、および日本における規制値を併記し
た。
【0074】
【表18】
【0075】表18の実験結果より、本発明の処理材(9
-1) は、鉛に対して優れた固化封入効果を有しているこ
とが分かる。すなわち、普通セメントやフライアッシュ
セメントを処理材として用いた場合には、これらを飛灰
50gに対して10g添加しても、鉛溶出量を規制値以
下にすることはできない。これに対して、本発明の処理
材(9-1) を用いた場合には、それよりも少量の添加であ
るにも係わらず、鉛の溶出量を0.1mg/l(測定限
界)以下にすることができている。
【0076】実施例9で用いたものと同じ飛灰50gに
表2に示したアルミニウムシリケート(9) (4配位のア
ルミニウム原子37%)と30gの水を添加して混練を
行い、7日間養生固化させた。その後、これらの処理材
を用いた場合の無害化効果を、環境庁告示13号法で鉛
の溶出試験を行ない調べた。その結果を、下記の表19
に示す。
【0077】
【表19】
【0078】表19の結果を実施例9の表18の結果と
比較すると、比較材(9-1) (4配位のアルミニウム原子
が全アルミニウム原子の37%であるアルミニウムシリ
ケート(9) )を用いた場合には、処理材(9-1) (4配位
のアルミニウム原子が全アルミニウム原子の79.8
%)を用いた場合と比較して、鉛安定化能力が劣ること
が分かる。すなわち、比較材(9-1) は処理材(9-1) と等
量の添加量では、鉛溶出量が多い。また、処理材(9-1)
では、飛灰50gに対して8gの添加量で鉛の溶出量を
検出限界以下に抑制できたのに対して、比較材(9-1) で
は、8g添加しても規制値以下にすることはできなかっ
た。このことから、4配位のアルミニウム原子が多いア
ルミニウムシリケートの方が、重金属の安定化性能が優
れていることが分かる。
【0079】(実施例10)表2に示したアルミニウム
シリケート(1) 、(2) 、(3) 、(4) を、処理材(10-1)、
処理材(10-2)、処理材(10-3)、処理材(10-4)とした(い
ずれも、4配位のアルミニウム原子が全アルミニウム原
子の50%以上)。都市ゴミ焼却場から排出される、鉛
を大量に含有する飛灰(無処理の場合の鉛溶出量が47
mg/l)50gに対して、5gの処理材(10-1)〜処理
材(10-4)、および30gの水を添加して混練を行い、7
日間養生固化させた。その後、これらの処理材を用いた
場合の無害化効果を、環境庁告示13号法で鉛の溶出試
験を行ない調べた。この時の実験結果を、下記の表20
に示す。また、表には、比較例として表2に示したアル
ミニウムシリケート(9) を比較材(10-1)として、飛灰5
0gに対して5g添加した場合の結果を併記した。
【0080】
【表20】
【0081】表20の実験結果より、本発明の処理材(1
0-1)〜処理材(10-4)は、鉛に対して優れた固化封入効果
を有していることが分かる。すなわち、本実験では分析
精度を向上させ、検出限界を0.01mg/lまで引き
下げて測定したにも係わらず、処理材(10-1)、処理材(1
0-2)、処理材(10-4)では、鉛溶出量は検出限界以下に、
また、処理材(10-3)では、0.01mg/lにまで低下
させることができている。これに対して、比較材(10-1)
(アルミニウムシリケート(9) )を処理材として用いた
場合には、鉛溶出量は0.40mg/lであり、処理材
(10-1)〜処理材(10-4)を用いた場合の鉛溶出量の40倍
以上になっている。
【0082】(実施例11)普通セメント60重量部に
対して、表2に示したアルミニウムシリケート(1)、(2)
、(5) 、または(6) を40重量部加えて十分混合し、
下記表21に示す通りの処理材(11-1)〜処理材(11-4)を
得た。
【0083】
【表21】
【0084】都市ゴミ焼却場から排出される、鉛を大量
に含有する飛灰50gに対して、所定量の処理材(11-1)
〜処理材(11-4)、および30gの水を添加して混練を行
い、7日間養生固化させた。その後、これらの処理材を
用いた場合の無害化効果を、環境庁告示13号法で鉛の
溶出試験を行ない調べた。この時の実験結果を、下記の
表22に示す。比較例として、普通セメントのみを処理
材として飛灰に添加した場合の鉛溶出量を示す。なお、
表には、実験に用いた飛灰の無処理の場合の鉛溶出量お
よび、日本における規制値を併記した。
【0085】
【表22】
【0086】表22の実験結果より、本発明の処理材(1
1-1)〜処理材(11-4)は、鉛に対して優れた溶出防止効果
を有していることが分かる。つまり、処理材(11-1)は、
普通セメントよりも少ない添加量(実施例(11-2))で鉛
溶出量をセメント(比較例(11-1))以下にすることが可
能であり、添加量を普通セメント(比較例(11-1))と同
程度(7.5g、実施例(11-3))とすれば、鉛溶出量を
セメントの場合に比べて1/3に抑えることができる。
また、他の処理材(11-2)〜処理材(11-4)についても、普
通セメントと同等の添加量で鉛溶出量を普通セメント以
下にすることが可能である。さらに、処理材(11-1)〜処
理材(11-4)を比較すると、比表面積の大きなアルミニウ
ムシリケートが含まれる処理材(11-1)の鉛溶出防止効果
が大きいことがわかる。
【0087】(実施例12)各種セメント65重量部に
対して、表2に示したアルミニウムシリケート(1)(比
表面積500m2 /g)35重量部を加えて十分混合
し、下記の表23に示すとおりの処理材(12-1)、処理材
(12-2)、および処理材(12-3)を得た。
【0088】
【表23】
【0089】都市ゴミ焼却場から排出される、鉛を大量
に含有する飛灰50gに対して、所定量の処理材(12-
1)、処理材(12-2)、または処理材(12-3)、および30g
の水を添加して混練を行い、7日間養生固化させた。そ
の後、これらの処理材を用いた場合の無害化効果を、環
境庁告示13号法で鉛の溶出試験を行い調べた。この時
の実験結果を下記の表24に示す。また、比較例とし
て、普通セメントのみを処理材として飛灰に添加した場
合の鉛溶出量を示す。なお、表には、実験に用いた飛灰
の、無処理の場合の鉛溶出量、および、日本における規
制値を併記した。
【0090】
【表24】
【0091】表24の結果より、本発明に係る処理材(1
2-1)、処理材(12-2)、および処理材(12-3)は、いずれも
鉛に対して優れた溶出防止効果を有していることが分か
る。すなわち、高比表面積のアルミニウムシリケートを
セメントに添加することにより、普通セメントと比較し
て鉛の溶出量を大幅に減少させることができる。また、
この場合の処理材に用いるセメントの種類がどのような
ものであっても、セメント単独でも用いるよりも高性能
な処理材が得られることが分かる。
【0092】(実施例13)普通セメントに、表2に示
したアルミニウムシリケート(1) を加え良く混合し、下
記の表25に示すとおりの処理材(13-1)〜処理材(13-6)
を調製した。
【0093】
【表25】
【0094】都市ゴミ焼却場から排出される、鉛を大量
に含有する飛灰50gに対して、所定量の処理材(13-1)
〜処理材(13-6)、および30gの水を添加して混練を行
い、7日間養生固化させた。その後、これらの処理材を
用いた場合の無害化効果を、環境庁告示13号法で鉛の
溶出試験を行い調べた。この時の実験結果を下記の表2
6に示す。また、比較例として、普通セメントのみを処
理材として上記飛灰に添加した場合の鉛溶出量を示す。
なお、表には、実験に用いた飛灰の無処理の場合の鉛溶
出量を併記した。
【0095】
【表26】
【0096】表26の結果より、本発明に係る処理材
は、いずれも普通セメントよりも少ない添加量で、鉛の
溶出量を普通セメント以下にすることが可能であること
が分かる。つまり、処理材1g中のアルミニウムシリケ
ートの表面積が50m2 以上の処理材は、普通セメント
よりも鉛安定性能が優れていることがわかる。
【0097】(実施例14)表3に示した二酸化ケイ素
(1) 、(2) を処理材(14-1)、処理材(14-2)とした。都市
ゴミ焼却場から排出される、鉛を大量に含有する飛灰
(無処理の場合の鉛溶出量40mg/1)50gに対し
て、5gの処理材(14-1)、または処理材(14-2)、および
30gの水を添加して混練を行い、9日間養生固化させ
た。その後、これらの処理材を用いた場合の無害化効果
を、環境庁告示13号法で鉛の溶出試験を行ない調査べ
た。この時の実験結果を、下記の表27に示した。
【0098】
【表27】
【0099】表27の実験結果より、本発明の処理材は、
鉛に対して優れた固化封入効果を有していることが分か
る。すなわち、比表面積が150m2 /g以上である二
酸化ケイ素を処理剤として用いた場合には、鉛の溶出量
を検出限界以下まで低下させることが可能であるが、比
表面積がそれ以下の比較例では、0.25mg/lまで
しか低下させることははできない。また、実施例(14-1)
で用いた処理材は、Q4のケイ素原子の存在量が85%
未満である二酸化ケイ素であり、比較例(14-1)で用いた
処理材は、Q4のシリコン原子の存在量が85%以上で
ある二酸化ケイ素である。
【0100】(実施例15)普通ポルトランドセメント
50重量部に、表3示した二酸化ケイ素(1) 、(3)を5
0重量部添加し、十分混合して処理材(15-1)、処理材(1
5-2)とした。都市ゴミ焼却場から排出される、鉛を大量
に含有する飛灰(鉛含有量1300mg/kg、無処理
の場合の鉛溶出量40mg/l)100gに対して、
7.5gまたは15gの処理材(15-1)、処理材(15-2)、
および30gの水を添加して混練を行い、7日間養生固
化させた。その後、これらの処理材を用いた場合の無害
化効果を、環境庁告示13号法で鉛の溶出試験を行ない
調べた。この時の実験結果を、下記の表28に示す。ま
た、比較例として、表2に示した二酸化ケイ素(6) 、お
よび普通ポルトランドセメントを比較材(15-1)、比較材
(15-2)として15g添加した場合の結果を併記した。
【0101】
【表28】
【0102】表28の実験結果より、本発明の処理材(1
5-1)、処理材(15-2)は、鉛に対して優れた固化封入効果
を有していることが分かる。すなわち、比表面積が15
0m 2 /g以上である二酸化ケイ素を用いた場合には、
比表面積が150m2 /g以下の二酸化ケイ素と比較し
て1/2以下、ポルトランドセメントと比較すると1/
10以下の鉛溶出量であることが分かる。処理材(15-1)
を30重量%添加することにより、鉛溶出量を検出限界
以下にすることが可能である。また、この固化封入効果
は、添加した二酸化ケイ素の比表面積が大きいほど高
く、処理材1g当たりの比表面積が大きいほど高いこと
が分かる。
【0103】(実施例16)普通ポルトランドセメント
80重量部に、表3に示した二酸化ケイ素(1) 、または
二酸化ケイ素(4) を20重量部添加し、十分に混合して
処理材(16-1)および処理材(16-2)とした。都市ゴミ焼却
場から排出される、鉛を大量に含有する飛灰(鉛含有量
1300mg/kg、無処理の場合の鉛溶出量87mg
/l)50gに対して、7.5gの処理材(16-1)または
処理材(16-2)、および水30gを添加して混練を行い、
7日間養生固化させた。その後、これらの処理材を用い
た場合の無害化効果を、環境庁告示13号法で鉛の溶出
試験を行ない調べた。この時の実験結果を、下記の表2
9に示す。また、比較例として二酸化ケイ素(5) 20重
量部を普通ポルトランドセメント80重量部に添加した
ものを比較材(16-1)として15g添加した場合の結果、
および無処理の場合の溶出量を併記した。
【0104】
【表29】
【0105】表29の実験結果より、Q4のケイ素原子
の存在量が少ない二酸化ケイ素ほど鉛の溶出量を低く抑
えられることが分かる。また、処理材1g中の二酸化ケ
イ素の表面積が50m2 /g以上である処理材は、鉛に
対する安定化効果が高いことが分かる。
【0106】(実施例17)普通ポルトランドセメント
70重量部に対し、表2および表4に、その性状および
表面電位を示したアルミニウムシリケート(1) (pH7
以上での表面電位が−15mV以下)を30重量部加え
て処理剤(17-1)を得た。都市ゴミ焼却場から排出され
る、鉛を大量に含有する飛灰(無処理の場合の鉛溶出量
90mg/l)50gに対して、10gの処理材(17-
1)、および30gの水を添加して混練を行い、7日間養
生固化させた。その後、この処理材を用いた場合の無害
化効果を、環境庁告示13号法で鉛の溶出試験を行ない
調べた。この時の実験結果を、下記の表30に示す。ま
た、比較例として表2および表5に、その性状および表
面電位を示したアルミニウムシリケート(9) を比較材(1
7-1)として5g添加した場合の結果を併記した。なお、
表には、実験に用いた飛灰の無処理の場合の鉛溶出量お
よび、日本における規制値を併記した。
【0107】
【表30】
【0108】表30の実験結果より、本発明に係る処理
材(17-1)は、鉛に対して優れた固化封入効果を有してい
る事が分かる。すなわち、処理材(17-1)を用いた場合に
は、鉛の溶出量を規制値以下に抑えることができてい
る。これに対して、pH7以上での表面電位が−14m
V以上のアルミニウムシリケート(9) を用いて調製した
比較材(17-1)では、鉛の溶出量を規制値を越える11m
g/lにする事しかできない。
【0109】(実施例18)普通ポルトランドセメント
30重量部に対して、硫酸アルミニウム20重量部と、
表3および表6に、その性状および表面電位を示した二
酸化ケイ素(1) (pH7以上での表面電位が−15mV
以下)を50重量部加えて処理剤(18-1)を得た。また、
普通ポルトランドセメント30重量部に対して、硫酸ア
ルミニウム20重量部およびアルミニウムシリケート
(9) を50重量部を加えたものを比較材(18-1)として調
製した。 都市ゴミ焼却場から排出される、鉛を大量に
含有する飛灰(無処理の場合の鉛溶出量40mg/l)
50gに対して、7.5gの処理材(18-1)、および30
gの水を添加して混練を行い、7日間養生固化させた。
その後、この処理材を用いた場合の無害化効果を、環境
庁告示13号法で鉛の溶出試験を行ない調べた。この時
の実験結果を、下記の表31に示す。また、比較例とし
て比較材(18-1)を5g、10g、または15g添加した
場合の結果を併記した。なお、表31には、実験に用い
た飛灰の無処理の場合の鉛の溶出量および、日本におけ
る規制値を併記した。
【0110】
【表31】
【0111】表31の実験結果より、本発明に係る処理
材(18-1)は、鉛に対して優れた固化封入効果を有してい
る事が分かる。すなわち、処理材(18-1)を用いた場合に
は、鉛溶出量を検出限界(0.1mg/l)以下に抑え
ることができている。これに対して、pH7以上での表
面電位が−14mV以上のアルミニウムシリケート
(9)を用いて調製した比較材(18-1)では、添加量を倍
にしても鉛の溶出量を検出限界以下にする事ができな
い。
【0112】(実施例19)普通ポルトランドセメント
50部に対して、硫酸アルミニウム10部、表2に示し
たアルミニウムシリケート(1) 20重量部、および表3
に示した各種二酸化ケイ素20部をよく混合して、表3
2に示す処理材(19-1)〜処理材(19-4)を得た。
【0113】
【表32】
【0114】都市ゴミ焼却場から排出される鉛を大量に
含有する飛灰(無処理の場合の鉛溶出量120mg/
l)50gに対して、15gの処理材(19-1)〜処理材(1
9-4)、および30gの水を添加して混練を行い、7日間
養生固化させた。その後、これらの処理材を用いた場合
の無害化効果を、環境庁告示13号法で鉛の溶出試験を
行い調べた。この時の実験結果を下記の表38に示す。
なお、表には、実験に用いた飛灰の無処理の場合の鉛溶
出量、および日本における規制値を併記した。
【0115】
【表33】
【0116】表38の実験結果より、本発明の処理材
は、鉛に対して優れた固化封入効果を有していることが
分かる。すなわち、無処理の場合には鉛溶出量が120
mg/lという高鉛含有の飛灰を、規制値の1/100
〜1/10の溶出量に抑えることができている。また、
本処理材では、アルミニウムシリケートや二酸化ケイ素
を組み合わせても高い性能を維持することができる。し
たがって、コストや他の物性(嵩密度や流動性)を考慮
して、アルミニウムシリケートや二酸化ケイ素を自由に
組み合わせて良いことがわかる。
【0117】(実施例20)ここでは、比較例から先に
説明する。都市ゴミ焼却施設で生成するバグフィルター
捕集飛灰を、環境庁告示13号法により溶出試験を行っ
た結果を比較例(20-1)として表34に示す。また、上記
の飛灰50gに普通ポルトランドセメントを15g混合
したものに水を30g添加混練したものを7日間養生固
化し、環境庁告示13号法により溶出試験を行い、結果
を比較例(20-2)として表34に示す。
【0118】普通ポルトランドセメント(宇部セメント
製)と硫酸アルミニウム(八代化学製)をそれぞれ重量
比で50:50の比率で配合、混合したものを処理材と
して調製した。ここで、硫酸アルミニウムには、製造工
程が同一で生産ロットのみ異なる2種のものを使用し、
一方のロットの硫酸アルミニウムを使用した試験、およ
び試験結果を比較例(20-3)、他方のロットの硫酸アルミ
ニウムを使用したものを比較例(20-4)とする。セメント
の代わりに上記各処理材を使用する他は比較例(20-2)と
同様の方法で溶出試験を行った場合の結果を表34に示
す。また、処理材の固結性を評価するために、下記に示
す方法で固結試験を行った。すなわち、処理材約200
gを500mlのポリ容器に入れ、5kgの荷重を上部
より印加した状態で、5日または10日間放置し、その
後、目開き2mmメッシュのふるい上に処理材を取り出
してふるいにかけ、ふるい上の残った処理材(固まり)
の量を測定した。固まり量の最初の重量に対する比率
(%)で処理材の固結性を評価した(比率が低いほど良
好)。表34にその結果を示す。
【0119】比較例(20-3)と比較例(20-4)の比較から、
同じ生産者による硫酸アルミニウムでも、ロットが異な
ることによって固結試験結果が大きく異なることがわか
る。これは微妙な生産条件、または保管条件が、硫酸ア
ルミニウムの表面状態などに影響を及ぼした結果と考え
られるが、現在のところ、その詳細は不明である。そこ
で、以下に述べる実施例20では、本発明の効果を顕著
に示すため、比較例(20-4)に使用した硫酸アルミニウム
と同じロット、すなわち固結しやすいロットの硫酸アル
ミニウムを使用した。
【0120】(実施例(20-1)〜実施例(20-5))普通ポル
トランドセメント(宇部セメント製)と硫酸アルミニウ
ム(八代化学製)と固結防止剤をそれぞれ重量比で5
0:50:10の比率で配合、混合して処理材を調製し
た。ここで、固結防止剤には、シリカゲル、活性白土、
ステアリン酸Ca、活性アルミナ、ステアリン酸アルミ
ニウムをそれぞれ使用し、実施例(20-1)〜実施例(20-5)
とした。セメントの代わりに、上記各処理材を使用する
他は比較例(20-2)と同様の方法で溶出試験を行った。そ
の結果を表34に示す。また、比較例(20-3)、比較例(2
0-4)と同様の方法で固化試験を行い、結果を表34に示
した。
【0121】(実施例(20-6))硫酸アルミニウム100
重量部に対し、5重量部のパーム油をテトラヒドロフラ
ンに溶解して前記硫酸アルミニウムに添加混合した後、
真空条件下で脱テトラヒドロフラン処理を行ったもの
と、セメントとを、重量比で55:50の比率で配合、
混合して処理材を調製し、上記と同様の方法で溶出試
験、固結試験を行った。結果を表34に示した。
【0122】(実施例(20-7))普通ポルトランドセメン
ト(宇部セメント製)と硫酸アルミニウム(八代化学
製)とステアリン酸カルシウムをそれぞれ重量比で5
0:50:5の比率で配合、混合して処理材を調製し、
上記と同様の方法で溶出試験、固結試験を行った。結果
を表34に示す。
【0123】
【表34】
【0124】表34に示される、比較例(20-2)、比較例
(20-3)、比較例(20-4)、および実施例(20-1)〜実施例(2
0-7)の結果の比較から、飛灰からの鉛溶出量は、セメン
ト処理により大幅に減少するものの充分でないのに対
し、本発明の処理材は固結防止材の種類、添加量によっ
て多少の変動はあるものの、すべて1mg/l以下に抑
制でき、固体酸の添加による溶出防止性能についてその
有意性が示された(比較例(20-3)、比較例(20-4)も固体
酸を添加しているので鉛溶出量の抑制効果は高いが、こ
こでは固形防止効果を中心に説明するために、あえて比
較例とした)。一方、固結防止試験については、固結し
やすい硫酸アルミニウムを使用した比較例(20-4)と同じ
硫酸アルミニウムを用いた実施例(20-1)〜実施例(20-7)
を比較することによって、本発明における固結防止剤の
効果が示された。しかしながら、その効果は、用いる固
結防止剤の種類によって異なること、また、実施例(20-
3)と実施例(20-7)の比較から明らかなように、用いる固
結防止材の添加量によっても効果が異なることから、固
結防止剤の種類、添加量については適宜選択する必要が
あることが分かる。以上のことから、本発明に係る処理
材の有害重金属の溶出抑制性能、および固結防止効果
(保存安定性)が示され、本発明の廃棄物処理材の効果
が明らかとなった。
【0125】(実施例21)普通ポルトランドセメント
60〜70重量部(宇部セメント製)に対し、固体酸と
してBET法による比表面積500m2 /gのアルミニ
ウムシリケート、および還元剤としてのチオ硫酸ナトリ
ウム(和光純薬製)、アロフェン(松村産業製)、ベン
トナイト(クニミネ工業製)のうちの1種または2種以
上を10〜20重量部を混合して本発明の処理材を得
た。また、比較例として、普通ポルトランドセメント8
0重量部に対し、アルミニウムシリケート20重量部を
混合して比較材(21-1)とした。各処理材の組成を下記の
表35に示した。
【0126】
【表35】
【0127】都市ゴミ焼却場から排出される、鉛を大量
に含有する飛灰50gに対して、7.5gの上記処理
材、および30gの水を添加して混練を行い、7日間養
生固化させた。その後、これらの処理材を用いた場合の
無害化効果を、環境庁告示13号法で鉛の溶出試験を行
い調べた。この時の実験結果を下記の表36に示した。
また、普通セメントのみを処理材として飛灰に添加した
比較例の鉛溶出量を示す。なお、表には、実験に用いた
飛灰の無処理の場合の鉛溶出量、および日本における規
制値を併記した。
【0128】
【表36】
【0129】表36の実験結果は、本発明の廃棄物処理
材が、固体酸の1つであるアルミニウムシリケートに補
助的に還元剤、アロフェン、ベントナイトを加えること
によって、さらに重金属の安定化効果を向上させること
が出来ることを示している。
【0130】(実施例22)シリカゲル(和光純薬社
製)5重量部を、100g/lのH3 PO4 溶液100
重量部に分散し攪拌した後、濾過し得られたケークを、
150℃で乾燥したものを処理材(22-1)とした。また、
3 PO4 溶液の代わりに硫酸を用いた以外は処理材(2
2-1)と同様の方法で調製したものを処理材(22-2)とし
た。都市ゴミ焼却場から排出される、鉛を大量に含有す
る飛灰50gに対して、5g、7.5g、10gの上記
処理材:および30gの水を添加して混練を行い、7日
間養生固化させた。その後、これらの処理材を用いた場
合の無害化効果を、環境庁告示13号法で鉛の溶出試験
を行い調べた。この時の実験結果を下記の表37に示
す。比較例(22-1)として、普通セメントのみを処理材と
して飛灰に添加した場合の鉛溶出量を示す。なお、表に
は実験に用いた飛灰の無処理の場合の鉛溶出量、およ
び、日本における規制値を併記した。
【0131】
【表37】
【0132】表37の結果から、本処理材は、鉛の固化
封入効果に優れていることがわかる。すなわち本処理材
によれば、セメントより少ない添加量で鉛溶出量をセメ
ント以下に抑えることができ、鉛溶出量を規制値よりも
少なくすることができている。
【0133】(実施例23)普通ポルトランドセメント
(宇部セメント製)60重量部に対して40重量部の硫
酸アルミニウム(和光純薬社製)、アルミニウムシリケ
ート(和光純薬社製)、二酸化ケイ素(シオノギ製
薬)、またはリン酸アルミニウムを加えて十分混合し、
処理材(23-1)〜処理材(23-4)を得た。メッキ工場から排
出される、銅を大量に含有する廃水スラッジ50gに対
し、上記の各処理材を15g添加して混練を行い、7日
間養生固化させた。その後、それぞれの処理材の安定化
効果を調査した。各重金属の溶出量の測定方法には、ア
メリカ合衆国カリフォルニア州で採用されている試験方
法であるCAM法(California Wet E
xtraction Test Method)を用い
た。このときの結果を下記の表38に示した。
【0134】
【表38】
【0135】表38に示される実験結果より、本発明の
廃棄物処理材は、いずれの有害金属に対しても優れた安
定化効果を示し、従来のセメントのみの処理法と比較し
て顕著な効果が現れている。このように、本発明に係る
処理材は、鉛以外に、鉛、カドミムウ、水銀、クロム、
銅、ニッケル、亜鉛についても、その溶出量を減少させ
ることができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 B09B 3/00 301 S (31)優先権主張番号 特願平6−92325 (32)優先日 平6(1994)4月28日 (33)優先権主張国 日本(JP) (72)発明者 舟橋 孝 神戸市兵庫区吉田町1丁目2番80号 鐘淵 化学工業株式会社内 (72)発明者 上北 正和 神戸市兵庫区吉田町1丁目2番80号 鐘淵 化学工業株式会社内

Claims (33)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 鉛、カドミウム、水銀、クロム、銅、ニ
    ッケル、亜鉛からなる群のうちの少なくとも1つの有害
    物質を含有する廃棄物を処理するための処理材であっ
    て、固体酸を主たる構成成分としてなることを特徴とす
    る廃棄物処理材。
  2. 【請求項2】 鉛、カドミウム、水銀、クロム、銅、ニ
    ッケル、亜鉛からなる群のうちの少なくとも1つの有害
    物質を含有する廃棄物を処理するための処理材であっ
    て、セメントと固体酸を主たる構成成分とし、処理材中
    の固体酸の配合量が10〜80重量%であることを特徴
    とする廃棄物処理材。
  3. 【請求項3】 鉛、カドミウム、水銀、クロム、銅、ニ
    ッケル、亜鉛からなる群のうちの少なくとも1つの有害
    物質を含有する廃棄物を処理するための処理材であっ
    て、セメントと固体酸と固結防止剤を主たる構成成分と
    してなることを特徴とする廃棄物処理材。
  4. 【請求項4】 上記固体酸が、酸性白土、フラーズ・ア
    ース、モンモリロナイト、ベントナイト、カオリン、ク
    ラリット、フロリジンなどの天然の粘土鉱物であり、か
    つその比表面積が150m2 /g以上、500m2 /g
    以下になるように加工してなる請求項1〜請求項3のい
    ずれかに記載の廃棄物処理材。
  5. 【請求項5】 上記固体酸が、シリカゲルもしくはアル
    ミナに、硫酸、リン酸、もしくはマロン酸を付着させた
    ものか、または、ケイソウ土、シリカゲル、石英砂、も
    しくは酸化チタンを担体として、リン酸を付着加熱させ
    た固定化酸である請求項1〜請求項3のいずれかに記載
    の廃棄物処理材。
  6. 【請求項6】 上記固体酸が、ポリアニオン化合物であ
    る請求項1〜請求項3のいずれかに記載の廃棄物処理
    材。
  7. 【請求項7】 上記固体酸が、陽イオン交換樹脂である
    請求項1〜請求項3のいずれかに記載の廃棄物処理材。
  8. 【請求項8】 上記固体酸が、 ZnO、Al2 3 、もしくはこれらを加熱処理したも
    の、 TiO2 、もしくはこれを加熱処理したもの、 CeO2 、もしくはこれを加熱したもの、 As2 3 、V2 5 、SiO2 、もしくはこれらを加
    熱処理したもの、 またはSb2 5 、 のうちから選択される1種または2種以上である請求項
    1〜請求項3のいずれかに記載の廃棄物処理材。
  9. 【請求項9】 上記固体酸が、 CaSO4 、MnSO4 、もしくはこれらを加熱処理し
    たもの、 NiSO4 、もしくはこれを加熱処理したもの、 CuSO4 もしくはこれを加熱処理したもの、 CoSO4 、CdSO4 、もしくはこれらを加熱処理し
    たもの、 SrSO4 、ZnSO4 もしくはこれらを加熱処理した
    もの、 MgSO4 、FeSO4 、もしくはこれらを加熱処理し
    たもの、 加熱処理された、BaSO4 、KHSO4 、K2
    4 、(NH4 2 SO4、Al2 (SO4 3 、Fe
    2 (SO4 3 、Cr2 (SO4 3 、Ca(NO 3
    2 ・4H2 O、Bi(NO3 3 ・5H2 O、Zn(N
    3 2 ・6H2 O、Fe(NO3 3 ・9H2 O、C
    aCO3 、Zrリン酸塩、Tiリン酸塩、リン酸アルミ
    ニウム、 PbCl2 、HgCl2 もしくはこれらを加熱処理した
    もの、 CuCl2 もしくはこれを加熱処理したもの、 AlCl3 もしくはこれを加熱処理したもの、 SnCl2 もしくはこれを加熱処理したもの、 CaCl2 、AgCl2 、H2 WO4 、AgClO4
    Mg(ClO4 2 、ZnS、もしくはこれらを加熱処
    理したもの、 CaS、 または、アルミニウムシリケート、 のうちから選択される1種または2種以上である請求項
    1〜請求項3のいずれかに記載の廃棄物処理材。
  10. 【請求項10】 上記固体酸が、硫酸アルミニウム、ア
    ルミニウムシリケート、または二酸化ケイ素のうちから
    選択される1種または2種以上である請求項1〜請求項
    3のいずれかに記載の廃棄物処理材。
  11. 【請求項11】 上記固体酸が、粉体状である請求項1
    〜請求項3のいずれかに記載の廃棄物処理材。
  12. 【請求項12】 上記固体酸が、粉体状アルミニウムシ
    リケートまたは粉体状二酸化ケイ素であり、且つ比表面
    積が150m2 /g以上、1000m2 /g未満である
    請求項11記載の廃棄物処理材。
  13. 【請求項13】 上記アルミニウムシリケート中に存在
    するアルミニウム原子の50%以上が4配位のアルミニ
    ウム原子である請求項12記載の廃棄物処理材。
  14. 【請求項14】 上記二酸化ケイ素中に存在するケイ素
    原子のうち縮重度が4であるケイ素原子が85%以下で
    ある請求項12記載の廃棄物処理材。
  15. 【請求項15】 上記粉体状アルミニウムシリケートま
    たは粉体状二酸化ケイ素が、pH7以上の領域で表面電
    位が−15mV以下である請求項12記載の廃棄物処理
    材。
  16. 【請求項16】 処理材1g中に含まれるアルミニウム
    シリケートまたは二酸化ケイ素の比表面積が、50m2
    /g以上、300m2 /g未満である請求項12記載の
    廃棄物処理材。
  17. 【請求項17】 処理材中の上記固結防止剤の配合量が
    1〜20重量%である請求項3記載の廃棄物処理材。
  18. 【請求項18】 上記固結防止剤が、シリカゲル、ケイ
    ソウ土、ベントナイト、活性白土、ステアリン酸塩、ア
    ルキルアミン酢酸塩、パーム油、酸性白土、活性ボーキ
    サイト、活性アルミナ、アクリル樹脂、ポリビニルアセ
    テート、ポリビニルブチラール、パラフィン、イオウ、
    炭酸カルシウム、塩基性炭酸マグネシウム、リン酸カル
    シウム、カリオン、タルク、クエン酸鉄アンモニウム、
    硫酸カリウム、アルミニウムシリケートのうちから選択
    される1種または2種以上である請求項3記載の廃棄物
    処理材。
  19. 【請求項19】 上記固結防止剤が、無機物の粉体であ
    る請求項3記載の廃棄物処理材。
  20. 【請求項20】 上記固結防止剤が、有機物であり、こ
    れを固体酸粉体表面上にスプレーコーティング、または
    浸漬法コーティングしてなる請求項3記載の廃棄物処理
    材。
  21. 【請求項21】 上記固結防止剤が、活性白土、活性ア
    ルミナ、ステアリン酸カルシウム、シリカゲルのうちか
    ら選択される1種または2種以上である請求項3記載の
    廃棄物処理材。
  22. 【請求項22】 還元剤、アロフェン、ベントナイトか
    ら選択される1種または2種以上を補助剤としてさらに
    添加してなる請求項1〜請求項3のいずれかに記載の廃
    棄物処理材。
  23. 【請求項23】 還元剤が、チオ硫酸ナトリウム、チオ
    尿素、塩化第1鉄、硫酸第1鉄、亜硫酸ナトリウム、ハ
    イドロサルファイトのうちから選択される1種または2
    種以上である請求項22記載の廃棄物処理材。
  24. 【請求項24】 ゼオライトまたは活性炭をさらに添加
    してなる請求項22記載の廃棄物処理材。
  25. 【請求項25】 鉛、カドミウム、水銀、クロム、銅、
    ニッケル、亜鉛からなる群のうちの少なくとも1つの有
    害物質を含有する廃棄物を処理するための廃棄物処理方
    法であって、廃棄物を、固体酸を主たる構成成分として
    なる廃棄物処理材とともに混合し、必要に応じて水を添
    加したものを混練し、養生固化させることを特徴とする
    廃棄物処理方法。
  26. 【請求項26】 鉛、カドミウム、水銀、クロム、銅、
    ニッケル、亜鉛からなる群のうちの少なくとも1つの有
    害物質を含有する廃棄物を処理するための廃棄物処理方
    法であって、廃棄物を、セメントと固体酸を主たる構成
    成分としてなる廃棄物処理材とともに混合し、必要に応
    じて水を添加したものを混練し、養生固化させることを
    特徴とする廃棄物処理方法。
  27. 【請求項27】 鉛、カドミウム、水銀、クロム、銅、
    ニッケル、亜鉛からなる群のうちの少なくとも1つの有
    害物質を含有する廃棄物を処理するための廃棄物処理方
    法であって、廃棄物を、セメントと固体酸と固結防止剤
    を主たる構成成分としてなる廃棄物処理材とともに混合
    し、必要に応じて水を添加したものを混練し、養生固化
    させることを特徴とする廃棄物処理方法。
  28. 【請求項28】 処理材中の上記固体酸の配合量が10
    〜80重量%である請求項25〜請求項27のいずれか
    に記載の廃棄物処理方法。
  29. 【請求項29】 上記廃棄物がアルカリ性の飛灰である
    請求項25〜請求項27のいずれかに記載の廃棄物処理
    方法。
  30. 【請求項30】 上記固体酸が硫酸アルミニウム、アル
    ミニウムシリケート、または二酸化ケイ素のうちから選
    択される1種または2種以上である請求項25〜請求項
    27のいずれかに記載の廃棄物処理方法。
  31. 【請求項31】 上記固結防止剤が、活性白土、活性ア
    ルミナ、ステアリン酸カルシウム、シリカゲルのうちか
    ら選択される1種または2種以上である請求項27記載
    の廃棄物処理方法。
  32. 【請求項32】 還元剤、アロフェン、ベントナイトを
    補助剤としてさらに添加してなる請求項25〜請求項2
    7のいずれかに記載の廃棄物処理方法。
  33. 【請求項33】 ゼオライトまたは活性炭をさらに添加
    してなる請求項25〜請求項27のいずれかに記載の廃
    棄物処理方法。
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